JP4179486B2 - 細粒組織を有する鋼板およびその製造方法 - Google Patents

細粒組織を有する鋼板およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車その他の各種の鋼構造物用材料として好適な、高強度でありながら靭性に優れ、かつ、リサイクル性にも優れた細粒組織を有する鋼板およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車その他の各種の鋼構造物の軽量化や安全性向上のために、高張力鋼板の採用が進められている。鋼の強度が高くなるにつれて靭性が損なわれる場合が多いうえ、これらの鋼板は加工され、溶接されて使用される場合が多いので、鋼の強度と共に、靭性や溶接性などの性能が優れていることが必要とさる。
【0003】
鋼の強度を高める方法としては、固溶強化、析出強化、変態強化、細粒強化などの方法が知られている。固溶強化は、鋼にSiやMn等の固溶元素を含有させて強度を高める方法であり、特殊な元素を含有させる必要がなく、強度を高めても延性がさほど損なわれない特長を有する。しかしながら強化能は大きくなく、引張り強さで50kg/mm2 前後が上限であるため、高張力鋼板としては強度が十分ではない。Nb、Ti等による析出強化は広く用いられているが引張り強さとしては50kg/mm2 前後が上限である。マルテンサイトなどの導入による変態強化によれば70kg/mm2 級以上の引張り強さが得られるが靭性に乏しいのが問題である。
【0004】
鋼の組織を微細化して強度を高める方法として、Nb、Ti、Vなどの再結晶抑制作用を有する元素を含有させた鋼を利用する制御圧延法などが提案されている。特公昭62−39231号公報には、C、Si、Mnを含有し、残部がFeからなる、表面から少なくとも0.3mm厚さの部分は平均粒径5μm以下のフェライト結晶粒が70%以上を占め、鋼の内部は主としてベイナイトおよび/またはマルテンサイトからなる金属組織を有する、表面が微細なフェライト結晶粒の熱間圧延鋼が開示されている。この鋼は、内部に変態組織を有するので加工性が十分ではないうえ、強度も70kg/mm2 以下である。
【0005】
特開平9−87798号公報には、体積率で5〜20%の残留オーステナイトと75%以上の平均粒径10μm未満のフェライトからなる高張力熱延鋼板、および、TiやNbを含有したスラブを使用するその製造方法が開示されている。しかしながらこの鋼においては平均粒径が5μm程度であり、十分に微細化されているとはいい難い。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
鋼の製造には多大のエネルギーを要するため、省エネルギーや省資源のためにリサイクルに適した材料であることも望まれている。上述したように、鋼の強度を高めるのにTiやNbなどの合金元素を使用する場合が多いが、リサイクルに際して鋼からこれらの元素を除去するのは容易でない。このため、構造物材料として広く使用される鋼としては、このような元素を含有しない化学組成のものが望まれている。さらに、軽量化など高張力鋼板採用の効果を発揮させるには鋼の引張り強さが70kg/mm2 以上の強度−靭性バランスに優れた高張力鋼板が求められている。
【0007】
本発明が解決しようとする課題はこれらの問題点を解決し、高強度で、強度−靭性バランスにすぐれ、かつ、特殊な合金元素を使用しないでリサイクルに適した化学組成からなる微細組織を有する鋼板およびその製造方法を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
鋼の強度は結晶粒度と相関関係があることはホール−ペッチの関係式としてよく知られている。例えば、C−Mn−Si系の化学組成の平均結晶粒径が10μmのフェライト結晶組織を有する引張り強さが40kg/mm2 の鋼の平均結晶粒径を2μmにまで細粒化できるとすると、上記関係式から、その引張り強さは70kg/mm2 級になることが予測できる。従って、NbやTiを含有しないリサイクルに適した化学組成であっても、フェライト結晶組織を微細にすることにより所望の引張り強さを有する鋼を得ることができる。また、結晶粒径が2μm以下になれば、強度−靭性バランスの改善など、鋼の強化に対する細粒化効果がさらに著しく発揮される。
【0009】
熱間圧延時に低温域で大圧下圧延を施すことにより結晶組織を微細化した鋼を素材とし、これに高い圧下率での冷間圧延と短時間の再結晶焼鈍を施すことにより、極めて微細な結晶組織を有する鋼が得られる。熱間圧延鋼板の結晶組織を微細にするには、オーステナイトの再結晶が生じない温度域(以下、単に「未再結晶域」と記す)での圧延、および/または、オーステナイトとフェライトが共存する温度域(以下、 単に「2相域」と記す。 )での圧延を施すのがよい。
【0010】
未再結晶域で熱間圧延することにより、オーステナイト粒の偏平化と変形帯の導入により変態後のフェライト組織を微細にすることができる。2相域では、圧延温度が低いので圧延による加工歪みを有効に導入し蓄積できるうえ、結晶粒の成長も著しく抑制されるので熱間圧延鋼板の結晶組織を微細にすることができる。
【0011】
冷間または温間で強加工した後に施す再結晶焼鈍は、結晶粒の成長を抑制するために、急速加熱して短時間焼鈍し、その後急速冷却するのがよい。焼鈍温度(均熱温度)は、フェライト域でも2相域でもよい。2相域で焼鈍すれば一部のフェライトがオーステナイトに逆変態するので、再結晶組織をさらに微細化することができる。
【0012】
本発明は上記の知見を基にして完成されたものであり、その要旨は下記(1)に記載の細粒組織を有する鋼板または(2)に記載のその製造方法にある。
【0013】
(1)化学組成が重量%で、C:0.100.50%、Mn:1.03.0%、Si:0〜2.0%、Al:0.01〜2.0%、Cr:0〜1.0%、Mo:0〜2.0%、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、結晶組織に占めるフェライトの比率が40体積%以上80体積%以下で、その平均結晶粒径が1.8μm以下である細粒組織を有する鋼板。
【0014】
(2)化学組成が重量%で、C:0.100.50%、Mn:1.03.0%、Si:0〜2.0%、Al:0.01〜2.0%、Cr:0〜1.0%、Mo:0〜2.0%、残部がFeおよび不可避的不純物からなるスラブに、Ar3点+50℃以下、Ar1点以上の温度域で圧下率50%以上で圧延する工程を含む熱間圧延を施し、冷間または温間で圧下率50%以上での圧延を施し、600℃以上、Ac3点未満の温度で均熱時間が10分以下である焼鈍を施すことを特徴とする上記(1)に記載の細粒組織を有する鋼板の製造方法。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態をさらに詳細に述べる。なお、以下に記す化学組成の%表示は重量%を意味する。
【0016】
a.鋼の化学組成
C:鋼板の強度を高めるため、および、熱間圧延と再結晶焼鈍の際に発生するセメンタイトの、フェライト粒の成長に対するピンニング効果を活用するためにCを0.05%以上含有させる。好ましくは0.2%以上である。Cが増すにつれて溶接性が損なわれるので、その含有量は0.6%以下とする。好ましくは0.4%以下である。
【0017】
Si:Siを含有させると、オーステナイトとフェライトの2相が共存する温度域が拡大し、2相域圧延が容易になる効果が得られる。また、鋼を脱酸する作用もある。これらの効果を得る目的でSiを含有させてもよい。他方、Siを過度に含有させると熱間圧延時に剥離しにくいスケールが発生して鋼の表面外観を損なうので、その上限は3%とする。好ましくは2%以下である。
【0018】
Mn:鋼の強度を高めるために1%以上含有させる。しかしながら、Mnを過剰に含有させると鋼の焼き入れ性が高まり好ましくないので、Mn含有量の上限は4%とする。好ましくは3%以下である。
【0019】
Al:鋼を脱酸する作用があるので脱酸剤として0.01%以上含有させる。また、鋼の強度を高める目的で含有させてもよい。この場合には0.5%以上含有させるのがよい。しかしながらAlは高価であるので、その上限は2.5%、好ましくは2%以下である。
【0020】
CrおよびMo:必須元素ではないが、鋼の強度を高める目的でCrおよび/またはMoを、それぞれの元素の含有量として2.5%以下の範囲で含有させてもよい。
上記以外の化学組成はFeおよび不可避的不純物である。
【0021】
b.結晶組織
細粒鋼の結晶組織には、フェライトの他にマルテンサイト、ベイナイト、パーライトなどの変態組織が含まれることがあるが、鋼の強度と靭性などの性能との関係は、その組織に占めるフェライト結晶粒の存在状態でほぼ定まる。
【0022】
フェライト結晶粒径が小さくなるほど鋼の強度が増す。特に平均粒径が2μm以下になると、鋼の強度の結晶粒径依存性が特に強くなり、鋼が著しく強化される。鋼の引張り強さを70kg/mm2 以上にするために、平均結晶粒径は2μm以下とする。好ましくは1μm以下とするのがよい。
【0023】
マルテンサイトやベイナイトなどの変態組織は鋼の強度を高める作用があるが、強度−靭性バランスを向上させるにはこれらの変態組織が少なくフェライトの比率が高いほどよい。良好な強度−靭性バランスを得るために、フェライト結晶粒の体積率を40%以上とする。フェライトの体積率が40%に満たない場合には、強度−靭性バランスがよくなく、マルテンサイトなどの変態組織が増して溶接性も損なわれる。フェライトの体積率は好ましくは60%以上、さらに好ましくは80%以上とするのがよい。
【0024】
c.製造方法
本発明の鋼の溶製方法は通常の溶製方法でよく、特に限定しない。転炉や電気炉など公知の方法で溶解し、取鍋処理や脱ガス処理などを施し、連続鋳造法あるいは造塊法でスラブまたは鋼塊とし、鋼塊は分塊圧延してスラブとした後、熱間圧延を施す。スラブの加熱炉および熱間圧延機は通常用いられている装置を用いることができる。
【0025】
スラブ加熱:前述した化学組成を有するスラブの温度が以下に述べる圧延が可能な温度である場合には、加熱炉を経ないで直ちに圧延してもよい。スラブの温度がA3変態点以下である場合には、圧延を容易にし、金属組織を均一にするために、熱間圧延に先立ってオーステナイト域に加熱するのがよい。その際、スラブを高温で長時間加熱するとオーステナイト結晶粒が粗大になり、製品の結晶組織を微細にするのが困難になるので、加熱温度は1200℃以下、さらに好ましくは1050℃以下とするのがよい。加熱時間は短い方が好ましく、例えば30分程度以下、さらに好ましくは10分程度以下の短時間加熱とするのがよい。
【0026】
熱間圧延:本発明の重要なポイントの一つは、熱間圧延時の加工熱処理を活用することにより、冷間圧延前の鋼の結晶組織を、NbやTiなどの特殊な合金元素を使用することなく微細化しておくことにある。このため、スラブには、少なくとも、Ar3点+50℃以下、Ar1点以上の温度域で圧下率50%以上の圧延を施す工程を含めるのがよい。ここでのAr3点およびAr1点は加工を受けない鋼が徐冷された時に変態を開始する温度を意味する。
【0027】
Ar3点+50℃以下、Ar3点以上の温度域は、オーステナイトの再結晶が起こらない未再結晶域にほぼ相当する。この温度域での圧延によりオーステナイト粒の偏平化と変形帯の導入が促進されるので、圧延後のフェライト組織を微細にすることができる。2相域での熱間圧延により、加工歪みが有効に導入され蓄積されるうえ、結晶粒の成長も強く抑制されるので熱間圧延鋼板の結晶組織を微細にすることができる。Ar3点+50℃を超える高温域での圧延は結晶粒の微細化にはさほど寄与しない。このため、このような高温域での圧延は任意であり、施してもよいし施さなくてもよい。Ar1点以下での圧延は、再結晶が不完全になり結晶組織が均一でなくなるので好ましくない。
【0028】
圧下率が50%に満たない場合には、熱間圧延後の鋼板の結晶粒が小さくならないために好ましくない。この圧下率が高い程結晶組織が微細になるので好ましい。しかしながら過度に圧下率を高めようとすると、設備上の制約や、経済性を損なうなどの問題があるので、その上限は95%とするのがよい。
【0029】
Ar3点+50℃以下、Ar1点以上の温度域での圧下率は、圧延温度がAr3点+50℃になった時の厚さと圧延が終了した時の厚さから計算される圧下率を意味する(以下、単に「合計圧下率」とも記す)。この間の圧延は、1回の圧延パスで圧下を完了してもよいし、複数回の圧延パスに分けて所定の圧下率を得てもよい。熱間圧延終了後は、結晶粒の成長を抑制するために急速冷却を施すのがよい。例えば、10℃/秒以上の冷却速度で400℃以下の温度まで冷却するなどの条件が好ましい。
【0030】
冷間圧延:上述の方法で熱間圧延された鋼板には、酸洗や研削などの公知の方法により表面の酸化物層を除去した後、冷間圧延と再結晶焼鈍が施される。細粒鋼を得る観点からは冷間圧延時の圧下率は高いほど好ましく、所望の組織を得るには圧下率を50%以上とするのがよい。より好ましくは70%以上である。
【0031】
冷間圧延に際しては、鋼の変形抵抗を低くして圧延を容易にするために、鋼の温度が500℃前後までの温間圧延であってもかまわない。
【0032】
再結晶焼鈍:冷間圧延した鋼板には、600℃以上、Ac3点未満の温度で短時間の再結晶焼鈍を施す。焼鈍温度が600℃に満たない場合には再結晶が不十分になり、鋼板の靭性などの性能が良くない。焼鈍温度がAc3点以上になると焼鈍後に細粒のフェライト組織が得られないので好ましくない。
【0033】
焼鈍温度を600℃以上、Ac1点以下のフェライト領域にして焼鈍する(フェライト域焼鈍)と、フェライト体積率が高い微細組織を有する製品が得られる。焼鈍温度を2相領域にする(2相域焼鈍)と、フェライト相の一部分がオーステナイトに変態し、冷却時にマルテンサイトなどの変態組織になる。このため、2相域焼鈍は、フェライト域焼鈍に比較するとフェライト体積率が低くなる。しかしながら、2相域では、フェライト結晶粒とオーステナイト結晶粒が互いに干渉し合うためにいずれの結晶粒も成長しにくく、冷却後の変態組織が微細になる効果がある。このため、フェライト域焼鈍、2相域焼鈍、いずれの場合でもほぼ同様の性能の鋼板が得られる。
【0034】
均熱時間(焼鈍時間)は結晶粒の粗大化を防ぐために10分以下、より好ましくは2分以下、さらに好ましくは1分以下とするのがよい。結晶粒の粗大化を防ぐために、焼鈍時の加熱速度および冷却速度は大きくするのがよい。
なお、上記のAc1点およびAc3点は、5℃/秒前後の加熱速度で加熱した場合に変態が生じる温度とする。
【0035】
上記以外の製造条件は通常の製造方法でよく、例えば鋼板の形状を整えるために調質圧延を施すなどの処理を行ってもよい。また、冷間圧延および焼鈍が終了した鋼板を母材として塗装鋼板やめっき鋼板などを製造してもよい。
【0036】
【実施例】
(実施例1)
表1に示す化学組成を有する鋼を電気炉で溶解し、厚さ70mmの鋼塊を実験室的に製造した。これらの鋼塊を、1000℃に加熱し、熱間圧延して厚さ20mmの熱間圧延鋼板を得た。圧延開始温度はAr3点+50℃、圧延終了温度は(Ar1+Ar3)/2(℃)とした。これらの熱間圧延鋼板を酸洗した後、圧下率70%の冷間圧延を施して厚さ6mmの鋼板とした。得られた鋼板を脱脂洗浄した後、それぞれの鋼の(Ac1−50)℃で30秒間均熱する焼鈍を施した。焼鈍時の加熱速度は5℃/秒、冷却速度は20℃/秒であった。得られた鋼板から顕微鏡観察用の試験片を採取し、鋼板断面を研磨し、ナイタール腐食液で研磨面をエッチングし、フェライト結晶粒の平均結晶粒径と体積率を画像処理装置を用いて測定した。これらは0.1mm×0.1mmの視野で10ヶ所測定しその平均値を求めた。表1にこれらの鋼の化学組成と結晶組織測定結果を示した。
【0037】
【表1】
Figure 0004179486
【0038】
表1に示されているように、本発明の規定する範囲内の化学組成を有する試番1〜17の鋼板は、いずれも平均結晶粒径が2μm以下であり、その体積率は40%以上であった。これに対し、試番18〜24の結果に示されるように、化学組成が本発明の規定範囲から外れる場合には所望の微細組織を有する鋼板が得られなかった
(実施例2)
実施例1で製造した本発明の規定する範囲内の化学組成を有する鋼bと鋼kの厚さ70mmの鋼塊の上下面を研削して種々の厚さの鋼片とし、これらを1000℃に加熱した後、未再結晶域および/または2相域で種々の圧下率での熱間圧延を施して熱間圧延鋼板を得た。さらに酸洗した後、圧下率70%または30%の冷間圧延を施し、厚さがいずれも6mmの鋼板とし、フェライト域焼鈍または2相域焼鈍を施した。均熱時間は30秒、焼鈍時の加熱速度は5℃/秒、冷却速度は20℃/秒であった。得られた鋼板から顕微鏡観察用の試験片を採取し、実施例1に記載したのと同様の方法でフェライト結晶組織を調査した。また、それぞれの鋼板から、JIS−5号試験片を採取して引張り強さを測定した。さらに、それぞれの鋼板から、幅5mmのサブサイズのVノッチシャルピー試験片を採取し、破面遷移温度を測定した。表2にこれらの製造条件と結晶組織測定結果を示した。
【0039】
【表2】
Figure 0004179486
【0040】
表2に示されてた結果からわかるように、熱間圧延の合計圧下率が50%以上で冷間圧延圧下率が70%であった試番30〜39は、いずれもフェライト平均結晶粒径が2μm以下であり、その体積率は40%以上であった。これらの鋼板の引張り強さは70kg/mm2 以上、破面遷移温度は−125℃以下であった。特に試番36〜38は強度−靭性バランスが優れていた。2相域での熱間圧延を施さなかった試番34および試番39の平均結晶粒径は2μmであり、引張り強さは70kg/mm2 であった。二相域での熱間圧延時の圧下率が低かった試番40、試番42、および冷間圧下率が低すぎた試番41、試番43では、いずれもフェライト平均結晶粒径が十分には小さくならず、引張り強さが50kg/mm2 前後であり、破面遷移温度も試番30〜39のそれに比較すると高かった。
【0041】
【発明の効果】
本発明の鋼板は平均結晶粒径が2μm以下のフェライト結晶を体積率で40%以上有するので、70kg/mm2 以上の引張り強さを有し、かつ、靭性が良好である。特殊な元素を含有させなくてもよいのでリサイクルも容易である。また冷間圧延を施しているので表面が美麗で寸法精度も良好である。このように優れた性質を有しているので、自動車その他の構造部材の軽量化や高強度化に有用な鋼材である。

Claims (2)

  1. 化学組成が重量%で、C:0.100.50%、Mn:1.03.0%、Si:0〜2.0%、Al:0.01〜2.0%、Cr:0〜1.0%、Mo:0〜2.0%、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、結晶組織に占めるフェライトの比率が40体積%以上80体積%以下で、その平均結晶粒径が1.8μm以下である細粒組織を有する鋼板。
  2. 化学組成が重量%で、C:0.100.50%、Mn:1.03.0%、Si:0〜2.0%、Al:0.01〜2.0%、Cr:0〜1.0%、Mo:0〜2.0%、残部がFeおよび不可避的不純物からなるスラブに、Ar3点+50℃以下、Ar1点以上の温度域で圧下率50%以上で圧延する工程を含む熱間圧延を施し、冷間または温間で圧下率50%以上での圧延を施し、600℃以上、Ac3点未満の温度で均熱時間が10分以下である焼鈍を施すことを特徴とする請求項1に記載の細粒組織を有する鋼板の製造方法。
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