JP4126601B2 - 車両用ダクト - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、車両用ダクトに関し、更に詳細には、車両のボンネットとその下方に位置する車体構成部分との間に配設され、該ボンネットの裏側に近接位置する第1ダクト壁部と、該第1ダクト壁部に所要空間を保持して対向的に位置し、該車体構成部分に近接位置する第2ダクト壁部と、該第2ダクト壁部の内側から突出して前記第1ダクト壁部の裏面を当接支持する支持壁部とを備える車両用ダクトに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
所謂2ボックスタイプまたは3ボックスタイプ等の自動車(車両)では、図10および図11に例示するように、車体10における乗員室の前側部分に画成したエンジンルーム12内に、駆動源とされるエンジン20が搭載されている。このエンジン20は、周知の如く、エアクリーナー22を介して導入される清浄空気と燃料タンクから供給される燃料とを混合させた混合気を燃焼させる内燃機関であるから、走行中の中・高速回転時には常に外部空気を連続的かつ安定的に供給することが必要不可欠とされている。しかし、エンジンルーム12内の空気は前記エンジン20自体から発生する熱により温度が上昇するため、この高温空気を該エンジン20へ導入するようにすると燃焼効率が低下して出力低下等を招来する。このため、例えば図10および図11に例示したように、前記エアクリーナー22に連結される外気導入用の車両用ダクト30をエンジンルーム12の前側に配設し、走行中には外部空気を前側から効率的にエアクリーナー22へ誘導するようになっている(関連技術としては、特許文献1を参照)。
【0003】
ここで前記車両用ダクト30は、外部空気を効率的に取り込むことを前提とすると、一般的にはエンジンルーム12の前側における車体前面中央、すなわち該エンジンルーム12を開閉可能に閉成するボンネット14と、該ボンネット14の下方に位置してラジエター16を固定するためのラジエターサポート(車体構成部分)18との間に画成された隙間に設置することが望ましい。しかしながら前記隙間は、図11から明らかなように、上下方向の間隔を大きく確保することが困難な場合が多く、従って前記車両用ダクト30の外形形状は、必然的に該隙間に収まるように高さ寸法を低く抑えた薄型扁平形状とせざるを得ない。
【0004】
従って車両用ダクト30は、例えば図12に示すように、平坦トレー状の第1ダクト壁部32と、該第1ダクト壁部32に所要空間を保持して対向的に位置する平坦トレー状の第2ダクト壁部34とで中空体に形成され、両ダクト壁部32,34の端部に空気導入口38および空気導出口40が開設されている。そして、この車両用ダクト30を前記ボンネット14とラジエターサポート18との間に配設した際には、前記第1ダクト壁部32が該ボンネット14の裏側に近接位置すると共に、前記第2ダクト壁部34が該ラジエターサポート18に近接位置するようになる。なお前記車両用ダクト30は、ポリエチレン(PE)またはポリプロピレン(PP)等の樹脂材料を材質とする合成樹脂製とされ、例えばインジェクション成形技術またはブロー成形技術等の成形技術により成形される。
【0005】
ここで前記車両用ダクト30は、第1ダクト壁部32および第2ダクト壁部34が平坦状に形成されていると共に、前記空気導入口38が横長に開口した形状とされているため、これらダクト壁部32,34の剛性が低下している。従って、前記エンジン20の始動により前記空気導入口38を介して外部空気が吸引される際に、ダクト内圧と大気圧との圧力差(ダクト内圧<大気圧)が生ずると、第1ダクト壁部32および第2ダクト壁部34が相互近接するように変形し、場合によっては、当該車両用ダクト30が圧潰的に変形して空気導入口38が閉口状態となるおそれがある。車両用ダクト30が前述のように変形すると、エンジン20に対して必要量の外部空気が導入されなくなり、該エンジン20の出力低下または故障を招来する等の不都合が発生する。
【0006】
そこで、前述した不都合を回避するため、図12および図13に示すように、前記第2ダクト壁部34の内側から突出する支持壁部36を該第2ダクト壁部34に一体的に形成し、該支持壁部36で前記第1ダクト壁部32の裏面を当接支持する構造としたものが提案されている。このように、第2ダクト壁部34に前記支持壁部36を設けることで、ダクト内圧と大気圧との圧力差(ダクト内圧<大気圧)が生じたとしても、第1ダクト壁部32および第2ダクト壁部34が相互近接するように変形することが規制され、前記空気導入口38が閉口状態となる不都合の発生を防止し得る。
【0007】
【特許文献1】
特開平11−294249号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで近年に至っては、歩行者保護に関する安全対策の確立が希求されつつあり、歩行者が衝突した際にはその衝撃によりボディが適度に変形することで、衝撃吸収を図るようにした所謂「歩行者傷害軽減ボディ」が開発されている。すなわち、走行中の車両が誤って歩行者に衝突した場合には、先ず第1段階として歩行者の脚部に当該車両のフロントバンパーが衝突し、第2段階として該歩行者の腰部が当該車両の前記ボンネット14の前縁部位に衝突するようになり、第3段階として該歩行者の胸部および頭部が前記ボンネット14の後縁部位またはフロントガラスに衝突することが知られている。このため前記ボンネット14においては、歩行者が衝突した際に陥凹的に変形するよう設計することで、衝突による衝撃吸収を図って歩行者の負傷度合を軽減する対策が施されている。
【0009】
しかしながら、前記ボンネット14における前縁裏側には、前述すると共に図11に示したように、前記車両用ダクト30が殆ど隙間のない状態に配設されており、この前縁部位には当該ボンネット14が陥凹的に変形するのを許容する変形許容空間が殆ど画成されていない。このため、歩行者の腰部が前記ボンネット14の前縁に衝突した際には、該ボンネット14は変形開始と同時に前記車両用ダクト30に接触するようになる。しかも前記車両用ダクト30は、前述したように、剛性向上を図るべく前記支持壁部36を有しているため、歩行者との衝突により前記ボンネット14が変形して前記第1ダクト壁部32を上方から衝撃力を伴って押圧したとしても、前記支持壁部36の支持により該第1ダクト壁部32の沈み込みが許容されない。従って従来の車両用ダクト30では、歩行者との衝突による前記ボンネット14の陥凹的な変形を規制してしまい、該ボンネット14の衝撃吸収性能の低下を招来すると共に、歩行者の負傷度合の軽減を図るうえで支障を来すこととなっていた。
【0010】
【発明の目的】
本発明は、前述した課題を好適に解決するべく提案されたもので、歩行者との衝突により変形したボンネットにより衝撃力を伴って押圧された際にダクト壁部の変形が許容される構造とすることで、該ボンネットの更なる変形を許容し得るよう構成した車両用ダクトを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決して、所期の目的を達成するため本発明は、車両のボンネットとその下方に位置する車体構成部分との間に配設され、該ボンネットの裏側に近接位置する第1ダクト壁部と、該第1ダクト壁部に所要空間を保持して対向的に位置し、該車体構成部分に近接位置する第2ダクト壁部と、該第2ダクト壁部の内側から突出して前記第1ダクト壁部の裏面を当接支持する支持壁部とを備える車両用ダクトにおいて、
前記第2ダクト壁部と前記支持壁部との連接領域に、該支持壁部を囲繞する破断予定ラインを設け、
歩行者との衝突により前記ボンネットが変形して前記第1ダクト壁部を上方から押圧した際に、前記支持壁部が、破断予定ラインの少なくとも一部を破断させて前記第2ダクト壁部から部分的または全体的に分離し、これにより前記第1ダクト壁部の沈み込みを許容して該ボンネットの更なる変形を許容し得るよう構成したことを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
次に、本発明に係る車両用ダクトにつき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下説明する。なお、本発明が対象とする車両用ダクトは種々の外形形状・サイズ等のものがあり得るが、本実施例では図12および図13に例示した従来の車両用ダクト30と基本的形状を同一とした車両用ダクトを例示する。従って、図10〜図13を引用して説明した従来技術の項における既出の部材や部位と同一部材・部位に関しては、同一の符号で指示する。
【0013】
図1は、本発明の好適実施例に係る車両用ダクトの底面図、図2は図1のII−II線断面図、図3は図1のIII−III線断面図である。実施例の車両用ダクト50は、例えばポリエチレン(PE)等の樹脂材料を材質とし、図5に例示した第1成形型44および第2成形型46からなるブロー成形型42を使用してブロー成形技術により成形されたものである。なお、ブロー成形技術は公知の技術であるから、ここではその詳細説明は省略する。
【0014】
実施例の車両用ダクト50は、車両の前記ボンネット14と該ボンネット14の下方に位置するラジエターサポート(車体構成部分)18との間に配設して、例えば前記エンジン20に清浄空気を供給する前記エアクリーナー22に連結して実施に供される。このような車両用ダクト50は、前記ボンネット14とラジエターサポート18との間に配設した際に、前記ボンネット14の裏側に近接位置する第1ダクト壁部32と、該第1ダクト壁部32に所要空間を保持して対向的に位置し、前記ラジエターサポート18に近接位置する第2ダクト壁部34と、該第2ダクト壁部34の内側から突出して前記第1ダクト壁部32の裏面を当接支持する支持壁部36とを備えている。
【0015】
そして、前記第1ダクト壁部32および第2ダクト壁部34における一方の端縁部には横長に開口した空気導入口38が開設され、また両ダクト壁部32,34における他方の端縁部には前記エアクリーナー22に接続し得る形状に開口した空気導出口40が開設されている。なお前記支持壁部36は、前記空気導入口38に隣接した側において所要長さの湾曲状に延在形成され、該空気導入口38から導入される外部空気が空気導出口40の側へスムーズに流通するようにさせる所謂整流板としても機能するようになっている。
【0016】
前記第1ダクト壁部32、第2ダクト壁部34および支持壁部36の肉厚Tは何れの部位においても略同一とされ、例えば2〜2.5mm程度とされている。これにより、第1ダクト壁部32および第2ダクト壁部34はある適度の柔軟性を有しているものの、前記支持壁部36が所謂「補強リブ」として機能するために撓曲的な変形が好適に規制されている。従って、エンジンルーム12の前側に配設した実施状態において、前記空気導入口38を介して外部空気が導入される際にダクト内外の圧力差(ダクト内圧<大気圧)が生じたとしても、第1ダクト壁部32および第2ダクト壁部34が相互近接するように変形することが阻止され、前記空気導入口38が閉口状態となることが防止されるようになっている。
【0017】
そして実施例の車両用ダクト50では、前記支持壁部36を設けて空気導入時の変形を防止するようにしたもとで、図8に例示するように、歩行者との衝突により前記ボンネット14が変形した際には、前記第1ダクト壁部32が沈み込むように変形することで、該ボンネット14の更なる陥凹的な変形を許容し得るようになっている。すなわち前記車両用ダクト50は、ボンネット14が下方へ変形して前記第1ダクト壁部32を上方から衝撃力を伴って押圧した際に、該第1ダクト壁部32が下方へ沈み込むように変形するようにするため、図1および図2等に示すように、前記第2ダクト壁部34と支持壁部36との連接領域52に、該支持壁部36を囲繞するよう延在する破断予定ライン54を設けてある。ここで、本願で定義する前記連接領域52とは、図4に示すように、該第2ダクト壁部34と該支持壁部36との境界部位、すなわち両壁部32,34の境界ラインに沿って延在形成された曲面部分の範囲を意味している。なお、前記エンジン20のメンテナンス作業に際して前記第1ダクト壁部32の上面を軽く押した程度の場合等、該第1ダクト壁部32を上方から衝撃力を伴わずに押圧した際には、前記破断予定ライン54が破断しないようになっている。
【0018】
前記破断予定ライン54は、前記第2ダクト壁部34と前記支持壁部36との連接領域において、所要間隔毎で直列状に設けた複数の薄肉部56から形成され、これら薄肉部56により脆弱化を図った部分である。前記各々の薄肉部56は、前記第2ダクト壁部34と支持壁部36との連接領域52における外面に、形成長Sが3〜4mm程度とされるV溝を、3〜5mm程度の形成間隔W毎で直列状に凹設した結果として形成される。なお、各々の薄肉部56の肉厚T1は、前記第1ダクト壁部32、第2ダクト壁部34および支持壁部36における一般部位の肉厚Tの概ね1/3〜1/4(0.5〜0.8mm)程度に設定するのが望ましい。
【0019】
前記各々の薄肉部56を形成するためのV溝は、前記ブロー成形型42における前記第2成形型46に設けた複数のV状凸部49により、当該ダクト50をブロー成形するに際して同時に形成される。すなわち第2成形型46の成形面46aには、図7に示すように、前記支持壁部36を形成するための凸壁部48が湾曲状に突設されると共に、該成形面46aと凸壁部48の境界部位には、前記各々のV溝を形成するための複数のV状凸部49が、所要間隔毎で直列状に突設されている。なお、後述するように前記薄肉部56を形成するために、前記V状凸部49は、できるだけ鋭角に突出した形状とすることが望ましい。
【0020】
前述したブロー成形型42を使用して実施例の車両用ダクト50を成形する場合には、先ず図5に示すように、前記第1成形型44および第2成形型46を相互離間させたもとで、両成形型44,46の成形面44a,46a間へパリソンPを到来させる。そして、前記第1成形型44および第2成形型46とを相互近接させると共に、前記パリソンP内へ成形空気を圧送して該パリソンPを膨張させることで、該パリソンPは両成形型44,46の各々の成形面44a,46aに密着するように押付けられる。
【0021】
そして、前記パリソンPが第2成形型46の成形面46aおよび凸壁部48に押付けられるに際し、前記各々のV状凸部49が該パリソンPの外側へ食い込んだ状態となるため、各々のV状凸部49に対応した部位の肉厚が小さくなる(図6)。これにより、第1ダクト壁部32、第2ダクト壁部34および支持壁部36の成形と同時に、前記連接領域52に複数の薄肉部56が直線状に形成されるようになる。従って、実施例の車両用ダクト50は、図12および図13に例示した従来の車両用ダクト50と同一工程において破断予定ライン54の成形が可能であり、成形コストが大幅に嵩むようになることはない。
【0022】
このように、前記第2ダクト壁部34と支持壁部36との連接領域に、該支持壁部36を囲繞する前記破断予定ライン54を設けた本実施例の車両用ダクト50は、前述したように、エンジンルーム12の前側における車体前面中央に固定される。このとき、前記第1ダクト壁部32が前記ボンネット14の裏側に近接位置するようになり、また前記第2ダクト壁部34が前記ラジエターサポート18に近接位置するようになる。
【0023】
このような実施状態における前記車両用ダクト50では、歩行者との衝突により前記ボンネット14が下方へ変形して前記第1ダクト壁部32を上方から衝撃力を伴って押圧した際には、該第1ダクト壁部32に作用した押圧力が前記支持壁部36へ伝達される。そして、前記押圧力を受けた前記支持壁部36は、それ自体が座屈変形することなく下方へ押圧されるため、この押圧力による応力は前記破断予定ライン54を形成する各薄肉部56に作用するようになる。これにより、前記破断予定ライン54の少なくとも一部分(場合によっては全周)に沿って破断が生じ、前記支持壁部36は第2ダクト壁部34から部分的または全体的に分離するようになるので、該支持壁部36が第2ダクト壁部34の下方へ移動すると共に第1ダクト壁部32の沈み込みが許容されるようになる(図9,図10)。
【0024】
従って、本実施例の車両用ダクト50は、空気導入時における変形を防止するために前記支持壁部36を設けて剛性向上を図ったもとで、歩行者との衝突により変形したボンネット14が前記第1ダクト壁部32を上方から衝撃力を伴って押圧した際には、前記破断予定ライン54の少なくとも一部分が破断して該第1ダクト壁部32の沈み込みが許容されるようになる。従って、歩行者が衝突した際の前記ボンネット14の更なる陥凹的な変形を許容するようになり、該ボンネット14の衝撃吸収性能の低下を招来する不都合を回避すると共に、歩行者の負傷度合の軽減に寄与し得る。
【0025】
前記実施例では、第2ダクト壁部34と支持壁部36との連接領域52に設けた破断予定ライン54を、所要間隔毎に直列状に設けた複数の薄肉部56から形成した場合を例示したが、該薄肉部56の形成数、形成サイズ(長さ、幅、肉厚)等は、変形したボンネット14が第1ダクト壁部32を衝撃力を伴って押圧した際に、該破断予定ライン54が適切に破断することを前提として設定される。
【0026】
なお、前記薄肉部56を形成するための前記V溝は、前述したブロー成形型42における第2成形型46の成形面46aに突設したV状凸部49により形成する以外の方法で形成するようにしてもよい。例えば、従来のように車両用ダクト50を成形した後に、▲1▼エンドミル等を使用して切削加工することで形成する方法、▲2▼熱刃等を押付けて適宜溶融させることで形成する方法、等を利用すれば前記V溝の成形が可能である。
【0027】
また前記破断予定ライン54は、第2ダクト壁部34と支持壁部36との連接領域52において、1本の線状に延在した薄肉部から形成するようにしてもよい。このような破断予定ライン54は、その全周に亘って薄肉状態に形成される。
【0028】
なお前記破断予定ライン54は、前記第2ダクト壁部34の前記連接領域52に隣接した部位に形成するようにしてもよいし、また前記支持壁部36の前記連接領域52に隣接した部位に形成するようにしてもよい。また、前記破断予定ライン54は、1本だけではなく複数本形成するようにしてもよい。
【0029】
更に前記実施例では、前記エンジン20に供給される外部空気の導入のために供される車両用ダクト50を例示したが、本願が対象とする車両用ダクトはこれに限定されるものではなく、例えば前記エンジンルーム12、図示しないエアコンユニット、または乗員室等へ外部空気を導入するために供される車両用ダクト等、前記ボンネット14と車体構成部分18との間に配設されるものは全て対象とされる。
【0030】
【発明の効果】
以上説明した如く、本発明に係る車両用ダクトによれば、空気導入時における変形を防止するために支持壁部を設けて剛性向上を図ったもとで、歩行者との衝突により変形したボンネットが第1ダクト壁部を上方から押圧した際には、破断予定ラインの少なくとも一部が破断して該第1ダクト壁部の沈み込みが好適に許容されるようになる。従って、歩行者が衝突した際の前記ボンネットの更なる変形を規制することが殆どなく、該ボンネットの衝撃吸収性能の低下を招来する不都合を回避すると共に、歩行者の負傷度合の軽減に寄与し得る等の有益な効果を奏する。
また、従来の車両用ダクトと同一工程で破断予定ラインの成形が可能であるから、成形コストが大幅に嵩むこともない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好適実施例に係る車両用ダクトの底面図である。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】図1のIII−III線断面図である。
【図4】図2を部分的に拡大して図示した説明断面図である。
【図5】ブロー成形型の第1成形型および第2成形型を相互離間させたもとで、両成形型の間にパリソンを到来させた状態を示した説明断面図である。
【図6】第1成形型および第2成形型を近接させることで、実施例の車両用ダクトをブロー成形している状態を部分的に示した説明断面図であって、第2成形型の成形面にパリソンが密着することで、破断予定ラインを形成する各々の薄肉部が同時に形成されることを示している。
【図7】ブロー成形型における第2成形型の部分斜視図であって、成形面と凸壁部との境界部分に、所要間隔毎で複数のV状凸部が突設されている状態を示している。
【図8】歩行者との衝突により変形したボンネットが第1ダクト壁部を上方から衝撃力を伴って押圧した際の説明断面図であって、支持壁部が破断予定ラインの少なくとも一部を破断させて第2壁部から部分的または全体的に分離し、これにより第1ダクト壁部の沈み込みが許容されて該ボンネットの更なる変形を許容した状態を示している。
【図9】図8を部分的に拡大した説明断面図である。
【図10】車両におけるエンジンルーム内を略示した斜視図であって、ボンネットとラジエターサポートとの間に車両用ダクトが配設された状態を示している。
【図11】図10のX−X線断面図である。
【図12】図10に示した従来の車両用ダクトの一部破断斜視図である。
【図13】図12のY−Y線断面図である。
【符号の説明】
14 ボンネット
18 ラジエターサポート(車体構成部分)
20 エンジン
32 第1ダクト壁部
34 第2ダクト壁部
36 支持壁部
42 ブロー成形型(成形型)
49 V状凸部(凸部)
52 連接領域
54 破断予定ライン
56 薄肉部
T 肉厚(一般部位の)
T1 肉厚(薄肉部56の)
Claims (6)
- 車両のボンネット(14)とその下方に位置する車体構成部分(18)との間に配設され、該ボンネット(14)の裏側に近接位置する第1ダクト壁部(32)と、該第1ダクト壁部(32)に所要空間を保持して対向的に位置し、該車体構成部分(18)に近接位置する第2ダクト壁部(34)と、該第2ダクト壁部(34)の内側から突出して前記第1ダクト壁部(32)の裏面を当接支持する支持壁部(36)とを備える車両用ダクトにおいて、
前記第2ダクト壁部(34)と前記支持壁部(36)との連接領域(52)に、該支持壁部(36)を囲繞する破断予定ライン(54)を設け、
歩行者との衝突により前記ボンネット(14)が変形して前記第1ダクト壁部(32)を上方から押圧した際に、前記支持壁部(36)が、破断予定ライン(54)の少なくとも一部を破断させて前記第2ダクト壁部(34)から部分的または全体的に分離し、これにより前記第1ダクト壁部(32)の沈み込みを許容して該ボンネット(14)の更なる変形を許容し得るよう構成した
ことを特徴とする車両用ダクト。 - 前記破断予定ライン(54)は、前記第2ダクト壁部(34)と前記支持壁部(36)との連接領域(52)において、所要間隔毎で直列状に設けた複数の薄肉部(56)から形成されている請求項1記載の車両用ダクト。
- 前記破断予定ライン(54)は、前記第2ダクト壁部(34)と前記支持壁部(36)との連接領域(52)において、線状に延在した薄肉部(56)から形成されている請求項1記載の車両用ダクト。
- 前記薄肉部(56)の肉厚(T1)は、前記各壁部(32,34,36)における一般部位の肉厚(T)の1/3〜1/4程度に設定される請求項2または3記載の車両用ダクト。
- 前記薄肉部(56)は、当該車両用ダクトを成形するための成形型(42)における成形面に突設した凸部(49)により形成される請求項2〜4の何れかに記載の車両用ダクト。
- 前記車両用ダクトは、エンジン(20)へ供給される外部空気の導入に供される請求項1〜5の何れかに記載の車両用ダクト。
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