JP4122975B2 - 3次元レーザ加工機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、回転軸及び姿勢軸を回転させた際に加工点が移動しないヘッド構造をもつ3次元レーザ加工機において、ノズル方向ベクトルをもとに直交座標系のZ軸からなるノズルの垂直方向の角度及びノズル方向ベクトルをXY平面に投影した際の水平方向の角度を表示する機能を備えた3次元レーザ加工機用制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ここで、平面または立体ワーク形状を加工する3次元レーザ加工機において、回転軸及び姿勢軸を回転させた際に加工点が移動しないヘッド(以下、一点指向型ヘッドと称する)構造をもつ3次元レーザ加工機の構成を図6、図7及び図8により説明する。
【0003】
図6は一点指向型ヘッド搭載3次元レーザ加工機の各軸の構成を示す斜視図、図7は一点指向型ヘッド搭載3次元レーザ加工機の加工ヘッドを拡大した拡大図、図8は3次元レーザ加工機の構成を示すブロック図である。
【0004】
図において、109はアーム111の駆動端に位置する姿勢軸(以下、U軸と称する)、110はU軸109に接続された回転軸(以下、W軸と称する)、108はW軸110に接続されたZ軸であり、これらはアーム111を構成している。
また、加工ヘッド3はZ軸受115の先端に回転軸受114によってZ軸を中心に矢印+αまたは−α方向に回転可能なW軸110と、W軸110の先端に姿勢軸受113によって取り付けられてZ軸に対して45度傾斜した軸を中心に矢印+βまたは−β方向に回転可能なU軸109とを有し、U軸109の先端に加工ノズル4が取り付けられている。
ただし、U軸109は水平面に対して45度傾いた軸を中心に回転しているため、U軸の角度と加工ノズル4が向いている垂直方向の角度が1対1で対応しない。
【0005】
113はサーボモータSM5によりU軸109を矢印+βまたは−β方向に回転させる姿勢軸受、114はサーボモータSM4によりW軸110を矢印+αまたは−α方向に回転させる回転軸受である。
115はサーボモータSM3により加工ヘッド3を矢印Z方向に移動させるZ軸受、116はサーボモータSM2により加工ヘッド3を矢印Y方向に移動させるY軸受、117はサーボモータSM1により加工テーブル2を矢印X方向に移動させるX軸受である。なお、上記サーボモータSM1〜SM5は、NC制御部8からの駆動信号により駆動される。
PはW軸110及びU軸109が回転しても位置が変わらない加工点である。
105はレーザ光を発生させるレーザ発振器、103はNC制御部を操作する操作部である。
【0006】
以上のように構成されたレーザ加工機を用いてレーザ加工を行う際、平面または立体ワーク形状を加工する3次元レーザ加工においては、加工面に照射されるレーザの光軸が加工面に対して法線方向であることを保つために加工ノズル4は加工面に対して常に面直の方向姿勢であることが要求される。
そのため、オペレータは、加工を行う前に加工点Pを加工ワーク9の加工線K上の点(以下、教示点と称する)にあわせ、この要求を満たす教示点をプログラムにティーチングデータとして入力するティーチング作業を実加工に先立って行う。
そして、レーザ加工時にはティーチングデータに従い加工ワーク9に対する加工ヘッド3の距離を一定に保持しながらレーザ光のスポットが加工線Kに沿って進行するように制御される。
【0007】
図9は、XY平面を水平面と定めX、Y、Z軸が他の軸の外積、つまりY×Z、Z×X、X×Yの関係が成り立つ座標系(以下、直交座標系と称する)において、W軸110とU軸109の角度から加工ノズル4が指し示す方向の単位ベクトル(以下、ノズル方向ベクトルと称する)の水平成分及び垂直成分の角度を示した図である。
70はワークの傾斜部分における教示点、71は原点Oと教示点70とで作成される線分、つまりノズル方向ベクトルを示す。
72は教示点70をXY平面に投影した点、73は線分71をXY平面に投影した線分すなわち原点Oと点72とで作成される線分、74は加工点70におけるX成分dx、75は加工点70におけるY成分dy、76は加工点70におけるZ成分dz、θは線分71とZ軸とのなす垂直成分の角度θ、φは線分73とX軸とのなす水平成分の角度φである。
【0008】
図9において、加工ヘッド3の構造上、W軸110の角度α、U軸109の角度βからノズル方向ベクトルdは
と与えられることが知られている。
【0009】
ここで、図9において教示点70における各成分dx、dy、dzと水平成分及び垂直成分の角度との関係は極座標系を用いて考えると、以下の式で得られる。
cosθ=dz
tanφ=dy/dx
これより、水平方向及び垂直方向の角度が得られる。
θ=acos(dz)
φ=atan(dy/dx)
上記のように変換式に逆三角関数もあり、U軸109の角度βを見ただけでは加工ノズル4が向いている垂直成分の角度θを読み取ることができない。
また、W軸110と水平成分の角度φの関係も同様なことが言える。
【0010】
図10は、ティーチング時の加工ヘッドの姿勢変化及びレーザ入射角度を傾けた加工を示す図であり、図10(a)はW軸及びU軸を回転させた際に加工点が移動しないヘッド構造をもつ3次元レーザ加工機における姿勢変化コーナ部でのティーチング時の加工ヘッドの姿勢変化を示し、図10(b)はワーク表面に対してレーザ入射角度を傾けた加工(以後、テーパ加工と称する)を示す図である。
【0011】
図において、P1は加工ワーク9の加工線K上にある水平面上の教示点、P2は加工ワーク9の加工線K上にある45度傾斜面上の教示点、P3は加工ワーク9の加工線K上にある直立面上の教示点、3a、4aは教示点P1における下向きの加工ヘッド及び加工ノズル、3b、4bは教示点P2における45度向きの加工ヘッドノズル及び加工ノズル、3c、4cは教示点P3における水平向きの加工ヘッド及び加工ノズルである。
ティーチングを行う際、オペレータはレーザ加工を行うための所定の図面から完成品のワーク形状を読み取る。
そして、それをもとにティーチングデータ作成用ワークに加工線Kのけがきを行い、その加工線K上の各教示点におけるノズル角度を割り出す。
その後、加工ワーク9上の各教示点P1、P2、P3において面直状態を作成するには、ノズル角度を図面から割り出したワーク傾斜角度である0°、45°、90°に調整する。
また、図10(b)においてAはテーパ加工時の指定角度であり、ノズル角度をこの値に調整すればよい。
なお、オペレータは、図面から割り出したノズル角度から正確なW、U軸の値の算出はできず、数値的に合わすことは困難であり、大体どのあたりか推測できる程度である。
【0012】
図11は、機械によって定められた固有の位置を原点とする機械座標系における各軸の座標値を表示した従来の座標表示の画面を示した図であり、ティーチング作業時に表示される。
この画面では機械固有の機械原点を基準にX、Y、Z軸で加工ノズル4の先端にある加工点Pの位置(以下、先端位置と称す)を示し、W、U軸の角度αとβで加工ノズル4の姿勢を示す。
さらに、X、Y、Z、W、U軸を動かすと、それに伴い画面上の各軸の値は随時更新される。
ティーチングデータは上記の座標値を用いて作成させるため、W、U軸の値は、加工時にNC側の処理でレーザ光のスポットが加工線Kに沿って進行するように制御させるのに必要である。
ただし、オペレータへ提示する情報として扱われることは少ない。
【0013】
図12は、ワーク傾斜部分またはテーパ加工時の従来のティーチング作業におけるフローチャートを示す。
加工点の教示により3次元プログラムを作成するティーチング作業の準備として、ティーチングボックス(以下、T/Bと称す)7の使用有効等の諸設定を実施し、ステップST11にて、加工プログラムにおいて初期設定である補助機能コードのシャッタ開等の指令を設定する。
その後、ステップST12にて、T/B7上に配置された加工軸送りキー、またはハンドル並びにジョイスティックを用い、図11で示される座標表示画面のX、Y、Z軸の座標値をみて先端位置を教示点へ移動させる。
その際、ワーク傾斜部分またはテーパ加工のティーチングにより加工ノズル4の角度調整が必要な場合(ステップST13)、ステップST14にて、加工ノズル4の姿勢を設定するためW軸110及びU軸109をそれぞれ手動で回転させる。
ステップST15では、ノズル角度を目視で確認して面直状態になる、またはテーパ加工での角度になるまでステップST14を繰り返す。
ステップST15にて、教示点での先端位置及び姿勢の設定終了後、ステップST16では、ティーチングデータとして教示を行う。
その続きとして、同様にT/B7上に配置された加工軸送りキー、またはハンドル並びにジョイスティックを用い、図11に示される座標表示をみながら次の教示点へ先端位置を移動させ、教示作業により加工プログラムの各教示点を作成していく。
ただし、ステップST13にて加工ノズル4の角度調整がないティーチング作業の場合には、ステップST14からステップST15までの作業を省く。
最後にステップST18にて、補助機能コードのシャッタ閉及びプログラムエンド等の指令を入力し、加工プログラムの作成が終了する。
【0014】
従来において、図7のヘッド構造をもつ3次元レーザ加工機でのティーチング作業では、図12で示したフローチャートの方法が標準的操作として定着していた。
しかし、目視確認のため、面直状態及びテーパ加工でのノズル角度調整の精度が悪く、良好な加工の実現が困難であった。さらに、ティーチング作業において作業時間もかかっていた。
また、加工直前に各教示点の位置及び姿勢の確認作業において、W軸110及びU軸109の角度を変更したい場合には再度教示点において姿勢を調整しなおす必要があり、上記のフローチャートのステップST13〜ステップST16の操作に基づいて姿勢の修正を行っていた。
【0015】
参考までに、3次元加工機において、加工ヘッドがスリムで深絞りワークの加工に適したもう一種類のヘッドタイプ(以下、オフセット型ヘッドと称する)構造をもつ3次元レーザ加工機の構成を図13、図14により説明する。
【0016】
図13は、オフセット型ヘッド搭載3次元レーザ加工機の各軸の構成を示す斜視図、図14はオフセット型ヘッド搭載3次元レーザ加工機の加工ヘッドを拡大した拡大図であり、図7で示した一点指向型ヘッド搭載3次元レーザ加工機と同一符号はほぼ同一構造であり、アーム111部分が異なっている。
図において、加工ヘッド4はZ軸部材115の先端に回転軸受114によってZ軸を中心に矢印+α´または−α´方向に回転可能な回転軸(以下、C軸と称する)122と、C軸122の先端に姿勢軸受113によって取り付けられてZ軸に対して直交した軸(C軸122)を中心に矢印+β´または−β´方向に回転可能な姿勢軸(以下、A軸と称する)121とを有し、A軸121の先端に加工ノズル4が取り付けられている。
ここで、A軸121の角度は加工ノズル4の垂直方向の角度と1対1に対応し、C軸122の角度は加工ノズル4の水平方向の角度と1対1に対応している。
【0017】
次に、オフセット型ヘッドについても回転軸及び姿勢軸の角度とノズル方向ベクトルの水平成分及び垂直成分の角度との関係を示す。
図14(b)において加工ヘッド3の構造上、C軸122の角度α´、A軸121の角度β´からノズル方向ベクトルd´は
と与えられることが知られている。
【0018】
ここで、図9において教示点70における各成分dx、dy、dzと水平成分及び垂直成分の角度との関係は極座標系を用いて考えると、以下の式で得られる。
cosθ=dz
tanφ=dy/dx
これより、水平方向及び垂直方向の角度が得られる。
θ=β´
φ=90°−α´
よって、A軸121の角度β´を見ただけで加工ノズル4が向いている垂直成分の角度θを読み取ることができる。
また、C軸122と水平成分の角度φの関係も同様なことが言える。
【0019】
図15は、オフセット型ヘッド構造をもつ3次元加工機のティーチング作業のフローチャートを示す。
図において、ステップST22までは図12で示した一点指向型ヘッドのステップST12までと同様な操作を行う。
その後、加工ノズル4の角度調整が必要な場合(ステップST23)、ステップST24にて、先端位置を固定しC軸122及びA軸121を回転させて姿勢を合わせる先端固定モードに設定する。
そして、ステップST25にて、座標表示画面のC軸122、A軸121の角度表示を見ながら図14(a)に示すような既知のワーク傾斜部分で面直状態になる、または加工ノズル4をテーパ加工の角度になるまでC軸122及びA軸121を回転させる。
その教示点での先端位置及び姿勢の設定終了後、ステップST26にて、ティーチングデータとして教示を行う。
その後のステップST27、ステップST28は、図12で示した一点指向型ヘッドのステップST17、ステップST18と同様な操作を行う。
【0020】
従来の図13で示すヘッド構造をもつ3次元レーザ加工機でのティーチング作業では、上記のフローチャートに示す如く、図面から完成品のワーク形状を読み取りノズル角を割り出すが、このノズル角がC軸、A軸と1対1に対応することから、既知のワーク傾斜部分に対して面直状態及び図面で指定された角度への調整が容易かつ精度よく行え、ティーチング作業時間においても時間が短縮できる。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】
従来のオフセット型ヘッド構造をもつ3次元加工機のティーチング作業は、図15のフローチャートに示される如く容易であるが、一点指向型ヘッド構造をもつ3次元加工機を用いたワーク傾斜部分またはテーパ加工のティーチング作業は、ティーチング時にオペレータがノズル角度を目視で確認して面直状態になる、またはテーパ加工の角度になるまで手動でW軸及びU軸を回転させるため、ワーク傾斜部分またはテーパ加工での教示点におけるノズル角度の正確性に欠け、その上、1つ1つの教示点に対してティーチングを行うため、教示点が増加すればするほどティーチングに多くの時間を割くという問題点もあった。
【0022】
また、以前、オフセット型ヘッド搭載の3次元加工機を所有していたユーザにとって、W軸及びU軸を回転させても加工点が移動しないヘッド構造をもつ3次元レーザ加工機のティーチング作業では、従来の技術にて説明したようにW軸及びU軸の角度から加工ノズルの水平方向及び垂直方向の実角度を知りえないため、オフセット型ヘッド時と比べ、ノズル角度調整時での使い勝手が悪く、作業効率が悪かった。
【0023】
本発明はかかる問題を解決するためになされたものであり、W軸及びU軸を回転させた際に加工点が移動しないヘッド構造をもつ3次元レーザ加工機において、直交座標系からみたノズルの水平方向の角度及び垂直方向の角度を算出して表示させることで、ティーチング作業の効率化を図るものである。
【0024】
また、傾斜角度が既知な加工ワークに対しては容易に面直状態を作り出すことが可能な3次元レーザ加工機用制御装置を提供するものである。
【0025】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために、第1の観点によれば、回転軸及び姿勢軸を回転させた際に加工点が移動しないヘッド構造をもつ3次元レーザ加工機において、現在の回転軸及び姿勢軸の角度情報を記憶し、それらの角度からノズル方向ベクトルを算出する手段と、そのノズル方向ベクトルをもとに直交座標系のZ軸からなるノズルの垂直方向及び水平方向の角度を割り出す手段と、その割り出したノズル角度を表示する手段と、を備えたものである。
【0026】
また、ノズルの垂直方向及び水平方向の角度割り出しは、ノズル方向ベクトルをもとに直交座標系のZ軸からなるノズルの垂直方向の角度及びノズル方向ベクトルをXY平面に投影した際のX軸からなる水平方向の角度より求めるものである。
【0027】
また、ノズルの角度を予め記憶させるノズル角度設定手段を備え、割り出したノズルの垂直方向及び水平方向の角度と比較することにより、上記予め記憶したノズル角度に到達したことを通知する通知手段を備えたものである。
【0028】
また、ノズル角度の表示は、ティーチングボックス等の遠隔操作部に対して表示するものである。
【0029】
また、ノズルの角度を予め記憶させるノズル角度設定手段を備え、割り出したノズルの垂直方向及び水平方向の角度と比較することにより、上記ノズルの回転軸及び姿勢軸を回転させ、上記予め記憶させたノズル角度に位置決めするものである。
【0030】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1は、ティーチング作業時の一点指向型ヘッド搭載3次元レーザ加工機システムの斜視図である。
図において、1は3次元加工機本体、2はベッド上にX軸方向に移動可能に設けられた加工テーブル、3はZ軸ユニット5に取り付けられた加工ヘッド、4は加工ヘッド3の先端に取り付けられている加工ノズル、5は加工ヘッド3を矢印Z方向に動かすことのできるZ軸ユニットであり、Y軸ユニット6にZ軸方向に移動可能に設けられている。
6はZ軸ユニット5を矢印Y方向に動かすことのできるY軸ユニットであり、左右のコラム間に水平に掛け渡されたクロスレールに移動可能に設けられている。7はペンダント型のティーチングボックス、8はマンマシンインタフェースとしての操作盤8a及びCRTや液晶等による画面表示部8bを有したコンピュータ式のNC制御部、9は加工テーブル2上に設置された加工ワークである。
なお、ワークテーブル2、Z軸ユニット5、Y軸ユニット6は、それぞれ、図示省略のX軸サーボモータ、Z軸サーボモータ、Y軸サーボモータにより駆動され、NC制御装置8の各軸指令により位置制御される。
【0031】
10は現在のW軸22とU軸24の角度から加工ノズル4が指し示す方向の単位ベクトル(以下、ノズル方向ベクトルと称す)を算出して記憶するノズル方向記憶部、11はノズル方向記憶部10で算出したノズル方向ベクトルをもとに直交座標系のZ軸からなるノズルの垂直方向の角度及びノズル方向ベクトルをXY平面に投影した際の水平方向の角度を算出するノズル角度計算部、12は画面表示部8bまたはT/B7の画面において設定した予め移動させたいノズル角度の設定値を記憶するノズル角度設定記憶部、13はノズル角度設定記憶部12がノズル角度計算部11の結果と一致するか判定し、一致した場合には到達信号をオンにするノズル角度比較判定部、14はノズル角度計算部11で算出された水平方向及び垂直方向の角度を、T/B7並びにNC制御部8の画面表示部8bに表示させ、また、ノズル角度比較判定部13にて到達信号がオンの場合、ノズル角度の近傍にマークを表示させるノズル角度表示部である。
なお、ノズル方向記憶部10、ノズル角度計算部11、ノズル角度設定記憶部12、ノズル角度比較判定部13、ノズル角度表示部14は、NC制御部8の各内部処理機能である。
【0032】
ノズル角度計算部11における演算処理では、下記の論理式によって計算を実行する。
図2はXY平面を水平面と定めX、Y、Z軸が他の軸の外積、つまりY×Z、Z×X、X×Yの関係が成り立つ直交座標系におけるノズル方向ベクトルの水平成分及び垂直成分の角度を示した図である。
15はワークの傾斜部分における教示点、16は原点Oと教示点15とで作成される線分、つまりノズル方向ベクトルを示す、17は教示点15をXY平面に投影した点、18は線分16をXY平面に投影した線分すなわち原点と点17とで作成される線分、19は加工点15におけるX成分dx、20は加工点15におけるY成分dy、21は加工点15におけるZ成分dz、θは線分16とZ軸とのなす垂直成分の角度θ、φは線分18とX軸とのなす水平成分の角度φである。
【0033】
図2において加工ヘッド3の構造上、W軸22及びU軸24の角度α及びβからノズル方向ベクトルdは、
と与えられることが知られている。
【0034】
ここで、図2において教示点15における各成分dx、dy、dzと水平成分及び垂直成分の角度との関係は極座標系を用いて考えると、以下の式で得られる。
cosθ=dz
tanφ=dy/dx
これより、水平方向及び垂直方向の角度が得られる。
θ=acos(dz)
φ=atan(dy/dx)
ただし、水平方向の角度φにおいては以下のように条件分けが必要となる。
dx>0 :φ=atan(dy/dx)
dx<0、dy>0:φ=atan(dy/dx)+180°
dx<0、dy<0:φ=atan(dy/dx)−180°
また、θ’はXY平面に対する垂直方向の角度で、以下のようになる。
θ’=90°−θ
よって、水平方向及び垂直方向の角度は上記の関係式を用いてW軸22及びU軸24の角度α及びβから導出される。
【0035】
また、加工ヘッド3は、従来のものと同等に構成されており、図3に示されているように、Z軸ユニット5の先端に軸受部材27によってZ軸を中心に矢印+αまたは−α方向に回転可能な回転軸(以下、W軸と称する)22と、W軸22の先端に軸受部材23によって取り付けられてZ軸に対して45度傾斜した軸を中心に矢印+βまたは−β方向に回転可能な姿勢軸(以下、U軸と称する)24とを有し、U軸24の先端に加工ノズル4が取り付けられている。
W軸22はW軸サーボモータ25により回転駆動され、U軸24はU軸サーボモータ26により回転駆動される。
X軸サーボモータ、Y軸サーボモータ、Z軸サーボモータ(図示省略)と、W軸サーボモータ25と、U軸サーボモータ26は、NC制御装置8からの駆動信号により駆動され、ティーチングデータに従いワークテーブル2上の加工ワークに対する加工ノズル4の距離を一定に保持しながらレーザ光のスポットが加工線回りを倣うと共に加工ノズル4のノズル角度が加工ワーク9の表面に対してほぼ垂直(法線方向)となるように制御される。
【0036】
図4は、ノズル角度の表示を含んだ座標表示の画面を示した図である。
ノズル角度においては直交座標系からみた水平方向及び垂直方向の角度を表示する。
W軸及22及びU軸24の回転に伴い、ノズル角度の表示も対応して上述した演算を行うことにより変動する。
なお、画面表示部8bまたはT/B7の画面において予め移動させたいノズル角度を設定した場合に操作盤8aまたはT/B7上のボタンを押すと、ノズル角度比較判定部13においてノズル角度計算部11で算出した値が設定値に一致したと判断されるまでW軸22及びU軸24を回転させる。
ノズル角度比較判定部13より、ノズル角度が設定値に到達したと判断された際には、W軸22及びU軸24を停止させ、ノズル角度表示部34によりノズル角度表示の横に#マークを表示する。
【0037】
図5は、ワーク傾斜部分またはテーパ加工時のティーチング作業におけるフローチャートである。
加工点の教示により3次元プログラムを作成するティーチング作業の準備として、T/B7の使用有効等の諸設定を実施した後、ステップST1にて、加工プログラムにおいて初期設定である補助機能コードのシャッタ開等の指令を設定する。
そして、ステップST2では、T/B7上に配置された加工軸送りキー、またはハンドル並びにジョイスティックを用い、図4で示された座標表示画面のX、Y、Z軸の座標値をみて先端位置を教示点へ移動させる。
その際、ワーク傾斜部分またはテーパ加工のティーチングにより加工ノズル4の角度調整が必要な場合(ステップST3)、ステップST4にて、T/B7または制御装置8の画面表示部8bに表示された図4に示されるノズル角度を確認しながら、面直状態になる、またはテーパ加工の角度になるまでU軸24及びW軸22を回転させる。
その教示点での先端位置及び姿勢の設定終了後、ステップST5にて、ティーチングデータとして教示を行う。
その後、ステップST6にて、同様にT/B7上に配置された加工軸送りキー、またはハンドル並びにジョイスティックを用い、図4で示される座標表示をみながら次の教示点へ先端位置を移動させ、教示作業により加工プログラムの各教示点を作成していく。
ただし、ワーク傾斜部分またはテーパ加工によるノズル角度調整のティーチング作業がない場合には、ステップST4の作業を省く。
最後にステップST7にて、補助機能コードのシャッタ閉及びプログラムエンド等の指令を入力し、加工プログラムの作成が終了する。
【0038】
本実施の形態によれば、ティーチング作業効率が悪かった一点指向型ヘッドに対して、ノズル角度を表示することができるようになるため、ワーク面に対し面直状態を容易に作成することができ、更に、ノズル角度を目視で繰り返し確認していた作業がなくなり、ティーチング作業時の効率化が図れる。
また、テーパ加工したい要求に対し、高い精度でテーパ加工の角度に合わせることもできる。
一方、オフセット型ヘッド搭載の3次元加工機を所有していたユーザに対し、一点指向型ヘッドにおいてもオフセット型ヘッドと同様にノズル角度を把握しながらティーチング作業ができるため、使い勝手が良くなる。
また、水平方向及び垂直方向の角度情報をT/B等の遠隔操作機に表示することも可能であり、ティーチング操作時に手元でノズルの水平方向及び垂直方向の角度を確認することが可能になり、時間の短縮による作業効率の向上を図ることができる。
さらに、ワーク傾斜部分または図面にてノズル角度が指定された場合においては、該ノズル角度と表示される実際のノズル角度をあわせたり、傾斜角度が既知な加工ワークに対しては容易に面直状態を作り出すことが可能であることから、ティーチング作業をより効率よく行うことができる。
【0039】
以上、詳記したように本発明によれば、ワーク面に対しノズルの面直状態を容易に作成することができ、ティーチング作業の効率化が図ることができる。
また、予め設定したノズル角度とティーチング作業中の実際のノズル角度との比較が行えるので、オペレータの作業効率が向上する。
さらに、ティーチング操作時に手元でノズルの水平方向及び垂直方向の角度を確認することが可能になり、時間の短縮による作業効率の向上を図ることができる。
【0040】
以上のように、本発明にかかる3次元レーザ加工機は、加工ヘッドのノズル角度表示を行うことによりティーチング作業を効率化させるものに適している。
【図面の簡単な説明】
図1は、この発明に係る3次元レーザ加工機の制御装置の機能とその処理の流れを示した全体構成図である。
図2は、直交座標系からみたノズルの水平方向及び垂直方向の角度を示す図である。
図3は、加工ヘッドの構造を示す構造図である
図4は、本発明によるノズル角度を含んだ座標表示画面の図である。第1の実施の形態に係る画面設定図である。
図5は、本発明によるティーチング作業のフローチャートである。
図6は、一点指向型ヘッド搭載3次元レーザ加工機の各軸の構成を示す斜視図である。
図7は、一点指向型ヘッド搭載3次元レーザ加工機の加工ヘッドの拡大図である。
図8は、従来の3次元レーザ加工機の構成を示すブロック図である。
図9は、直交座標系からみたノズルの水平方向及び垂直方向の角度を示す図である。
図10は、加工ヘッドの姿勢変化及び加工の概略を示す図である。
図11は、従来の座標表示画面の図である。
図12は、従来の一点指向型ヘッドのティーチング作業のフローチャートである。
図13は、オフセット型ヘッド搭載3次元レーザ加工機の各軸の構成を示す斜視図である。
図14は、オフセット型ヘッド搭載3次元レーザ加工機の加工ヘッドの拡大図である。
図15は、オフセット型ヘッドのティーチング作業のフローチャートである。
Claims (4)
- 回転軸及び姿勢軸を回転させた際に加工点が移動しないヘッド構造をもつ3次元レーザ加工機において、
現在の回転軸及び姿勢軸の角度情報を記憶し、それらの角度からノズル方向ベクトルを算出する手段と、
そのノズル方向ベクトルをもとに、XY平面を水平面とする直交座標系におけるノズル方向ベクトルとZ軸またはXY平面との角度及びノズル方向ベクトルのXY平面への投影とX軸との角度を、各々ノズルの垂直方向の角度および水平方向の角度として割り出す手段と、
その割り出したノズル角度を表示する手段と、
を備えた3次元レーザ加工機。 - ノズルの角度を予め記憶させるノズル角度設定手段を備え、割り出したノズルの垂直方向及び水平方向の角度と比較することにより、上記予め記憶したノズル角度に到達したことを通知する通知手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の3次元レーザ加工機。
- ノズル角度の表示は、ティーチングボックス等の遠隔操作部に対して表示することを特徴とする請求項1又は2に記載の3次元レーザ加工機。
- ノズルの角度を予め記憶させるノズル角度設定手段を備え、割り出したノズルの垂直方向及び水平方向の角度と比較することにより、上記ノズルの回転軸及び姿勢軸を回転させ、上記予め記憶させたノズル角度に位置決めすることを特徴とする請求項1乃至3何れかに記載の3次元レーザ加工機。
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