JP4101548B2 - コンドロイチン合成酵素及びそれをコードするdna - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規なコンドロイチン合成酵素、それをコードするDNA、コンドロイチン合成酵素の製造方法、コンドロイチンの二糖繰返し単位を有する糖鎖の製造方法、及びコンドロイチン合成酵素に対するハイブリダイゼーション用プローブ等に関する。
【0002】
【従来の技術】
まず、本明細書中で共通して用いる略号について説明する。
「GlcUA」はD-グルクロン酸を、「GalNAc」はN-アセチル-D-ガラクトサミンを、「GlcNAc」はN−アセチル-D-グルコサミンを、「UDP」はウリジン 5'-ジリン酸を、式中に記載された「-」はグリコシド結合をそれぞれ意味する。
【0003】
コンドロイチンは、GlcUA残基とGalNAc残基の二糖の繰り返し構造(-GlcUAβ(1-3)-GalNAcβ(1-4)-;本明細書において、コンドロイチン骨格ともいう)からなる糖鎖であり、このコンドロイチンがさらに硫酸化された糖鎖がコンドロイチン硫酸である。
【0004】
GlcUA供与体とGalNAc供与体から、GlcUAとGalNAcを交互に受容体に転移してコンドロイチンを合成する酵素(コンドロイチン合成酵素)や、それをコードするDNAについては、Pasteurella multocida由来のコンドロイチン合成酵素(J.Biol.Chem. 275(31), 24124-24129(2000))が知られているのみである。
【0005】
また、ある種の大腸菌株(Escherichia coli Serotype O5:K4(L):H4、以下大腸菌K4株という)は莢膜抗原としてコンドロイチン骨格を有する多糖体を産生するが、その構造はGlcUA残基の側鎖にフルクトースがβ2-3位で結合した三糖繰り返し構造をしている。したがって、大腸菌K4株がはたして自身の莢膜抗原合成系としてコンドロイチン合成酵素を有しているかは不明であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記観点からなされたものであり、新規なコンドロイチン合成酵素、それをコードするDNA、コンドロイチン合成酵素の製造方法、コンドロイチンの二糖繰返し単位を有する糖鎖の製造方法、及びコンドロイチン合成酵素に対するハイブリダイゼーション用プローブ等を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、特定の微生物(大腸菌K4株(Escherichia coli Serotype O5:K4(L):H4、ATCC23502))が産生する新規なコンドロイチン合成酵素を見出し、これをコードするcDNAを単離し、さらにこのcDNAを用いてコンドロイチン合成酵素を製造することに成功して、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち本発明は、下記の性質を有するコンドロイチン合成酵素(以下、本発明酵素ともいう)を提供する。なお、本明細書において「コンドロイチン合成」あるいは「コンドロイチンの合成」とは、コンドロイチン等の糖鎖に単糖を転移・付加して、コンドロイチンの糖鎖を延長することを含む概念である。よって、コンドロイチンを合成する単糖(GlcUA及びGalNAc)を交互に糖鎖に転移・付加してコンドロイチンの糖鎖を延長する反応は、「コンドロイチン」ないし「コンドロイチンの合成」という概念に包含される。
(1)作用:
GlcUA供与体からGlcUAを、GalNAc供与体からGalNAcを、交互に糖鎖の非還元末端に転移する。
(2)基質特異性:
非還元末端にGalNAcを有しかつコンドロイチン骨格を有するオリゴ糖に対しては、GlcUA供与体からGlcUAを転移するが、GalNAc供与体からGalNAcを実質的に転移しない。
非還元末端にGlcUAを有しかつコンドロイチン骨格を有するオリゴ糖に対しては、GalNAc供与体からGalNAcを転移するが、GlcUA供与体からGlcUAを実質的に転移しない。
(3)金属イオン等による影響:
Mn2+イオンの存在下で作用し、Ca2+若しくはCu2+イオン又はエチレンジアミン四酢酸の存在下では実質的に作用しない。
本発明酵素は、大腸菌由来であるものが好ましい。
【0009】
また本発明は、下記(A)又は(B)のタンパク質(以下、本発明タンパク質ともいう)を提供する。
(A)配列番号2で示されるアミノ酸配列を含むタンパク質。
(B)配列番号2で示されるアミノ酸配列における1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入又は転位したアミノ酸配列を含み、かつ、コンドロイチン合成酵素活性を有するタンパク質。
【0010】
また本発明は、下記(a)〜(c)のいずれかを保持するDNA(以下、本発明DNAともいう)を提供する。
(a)配列番号2で示されるアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA。このDNAは配列番号1で示されるDNAであることが好ましい。
(b)配列番号2で示されるアミノ酸配列における1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入又は転位したアミノ酸配列からなり、かつ、コンドロイチン合成酵素活性を有するタンパク質をコードするDNA。
(c)上記(a)に記載のDNA若しくは当該DNAに相補的なDNA又はこれらのDNAの塩基配列の一部を有するDNAと、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNA。
【0011】
また本発明は、本発明DNAを保持するベクター(以下、本発明ベクターともいう)を提供する。本発明ベクターは、発現ベクターであることが好ましい。
【0012】
また本発明は、本発明ベクターによって宿主が形質転換された形質転換体(以下、本発明形質転換体ともいう)を提供する。
【0013】
また本発明は、本発明形質転換体を生育させ、その生育物からコンドロイチン合成酵素を採取することを特徴とする、コンドロイチン合成酵素の製造方法(以下、本発明酵素製造方法ともいう)を提供する。
【0014】
また本発明は、下記(A)又は(B)に示すアミノ酸配列をそのアミノ酸配列中に包含し、かつ下記(イ)及び(ロ)の触媒活性を有する酵素タンパク質を含有する、糖鎖合成剤(以下、本発明合成剤ともいう)を提供する。
(A)配列番号2で示されるアミノ酸配列。
(B)配列番号2で示されるアミノ酸配列における1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入又は転位したアミノ酸配列。
(イ)GlcUA供与体からGlcUAを、GalNAc供与体からGalNAcを、交互に糖鎖の非還元末端に転移する。
(ロ)GlcNAc供与体からGlcNAcを、非還元末端にGlcUAを有する糖鎖の当該非還元末端に転移する。
【0015】
また本発明は、本発明合成剤を、GalNAc供与体及び下記一般式(1)で示される糖鎖に接触させる工程を少なくとも含む、下記一般式(3)で示される糖鎖の製造方法(以下、本発明糖鎖製造方法1ともいう)を提供する。
GlcUA-X-R1 (1)
GalNAc-GlcUA-X-R1 (3)
(各式中、XはGalNAc又はGlcNAcを、R1は任意の基を示す。)
また本発明は、本発明合成剤を、GlcNAc供与体及び下記一般式(1)で示される糖鎖に接触させる工程を少なくとも含む、下記一般式(4)で示される糖鎖の製造方法(以下、本発明糖鎖製造方法2ともいう)を提供する。
GlcUA-X-R1 (1)
GlcNAc-GlcUA-X-R1 (4)
(各式中、X及びR1はいずれも前記と同義である。)
【0016】
また本発明は、本発明合成剤を、GlcUA供与体及び下記一般式(2)で示される糖鎖に接触させる工程を少なくとも含む、下記一般式(5)で示される糖鎖の製造方法(以下、本発明糖鎖製造方法3ともいう)を提供する。
GalNAc-GlcUA-R2 (2)
GlcUA-GalNAc-GlcUA-R2 (5)
(各式中、R2は任意の基を示す。)
【0017】
また本発明は、本発明合成剤を、GalNAc供与体及びGlcUA供与体、並びに下記一般式(1)で示される糖鎖に接触させる工程を少なくとも含む、下記一般式(6)及び(8)から選ばれる糖鎖の製造方法(以下、本発明糖鎖製造方法4ともいう)を提供する。
GlcUA-X-R1 (1)
(GlcUA-GalNAc)n-GlcUA-X-R1 (6)
GalNAc-(GlcUA-GalNAc)n-GlcUA-X-R1 (8)
(各式中、nは1以上の整数を示し、X及びR1はいずれも前記と同義である。)
【0018】
また本発明は、本発明合成剤を、GalNAc供与体及びGlcUA供与体、並びに下記一般式(2)で示される糖鎖に接触させる工程を少なくとも含む、下記一般式(7)及び(9) から選ばれる糖鎖の製造方法(以下、本発明糖鎖製造方法5ともいう)を提供する。
GalNAc-GlcUA-R2 (2)
(GalNAc-GlcUA)n-GalNAc-GlcUA-R2 (7)
GlcUA-(GalNAc-GlcUA)n-GalNAc-GlcUA-R2 (9)
(各式中、n及びR2はいずれも前記と同義である。)
また本発明は、配列番号1で示される塩基配列又はその一部と相補的な塩基配列を有するハイブリダイゼーション用プローブ(以下、本発明プローブともいう)を提供する。
【0019】
さらに本発明は、下記(A)又は(B)に示すアミノ酸配列を含む酵素タンパク質を含有し、GlcUA供与体からGlcUAを、GalNAc供与体からGalNAcを、GlcNAc供与体からGlcNAcをそれぞれ糖鎖の非還元末端に転移する機能を有する、糖転移触媒(以下、本発明触媒ともいう)を提供する。
(A)配列番号2で示されるアミノ酸配列。
(B)配列番号2で示されるアミノ酸配列における1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入又は転位したアミノ酸配列。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を発明の実施の形態によって詳説する。
<1>本発明酵素、本発明タンパク質
本発明酵素は、下記の(1)〜(3)の性質を有するコンドロイチン合成酵素である。
(1)作用:
GlcUA供与体からGlcUAを、GalNAc供与体からGalNAcを、交互に糖鎖の非還元末端に転移する。
【0021】
ここで、GlcUA供与体としてはヌクレオシドジリン酸−GlcUAが好ましく、UDP-GlcUAが特に好ましい。また、GalNAc供与体としてはヌクレオシドジリン酸−GalNAcが好ましく、UDP-GalNAcが特に好ましい。
【0022】
本発明酵素は、これらそれぞれの糖供与体から、GlcUAとGalNAcを交互に糖鎖(受容体)の非還元末端に転移する。例えば、糖鎖(受容体)の非還元末端にまずGlcUAが転移された場合には、次いでGalNAcが転移され、次いでGlcUAが転移され、次いでGalNAcが転移され、という要領で単糖が転移される。同様に、糖鎖(受容体)の非還元末端にまずGalNAcが転移された場合には、次いでGlcUAが転移され、次いでGalNAcが転移され、次いでGlcUAが転移され、という要領で単糖が転移される。この結果、本発明酵素によってGlcUA残基とGalNAc残基の二糖の繰り返し構造、すなわちコンドロイチン骨格が合成されることになる。
【0023】
単糖の受容体となる糖鎖としては、コンドロイチン骨格を有する糖鎖が好ましい。コンドロイチン骨格を有する糖鎖としては、コンドロイチン硫酸やコンドロイチンが例示される。コンドロイチン硫酸のなかでも、コンドロイチン6−硫酸構造を主とし、若干のコンドロイチン4−硫酸構造をも含むコンドロイチン硫酸(以下、コンドロイチン硫酸Cという)が好ましい。
【0024】
また、受容体となる糖鎖はオリゴ糖であることがより好ましい。オリゴ糖のサイズは特に限定されないが、受容体がコンドロイチン硫酸Cのオリゴ糖の場合には6糖又は7糖が、コンドロイチンのオリゴ糖の場合には4糖又は6糖がそれぞれ好ましい。
【0025】
また本発明酵素は、さらにGalNAc供与体からGalNAcを、ヒアルロン酸骨格(GlcUA残基とGlcNAc残基の二糖の繰り返し構造)を有する糖鎖に転移する作用を有しているものが好ましい。ヒアルロン酸骨格を有する糖鎖もオリゴ糖であることが好ましい。オリゴ糖のサイズは特に限定されないが、6糖程度のものが特に好ましい。
【0026】
(2)基質特異性:
非還元末端にGalNAcを有しかつコンドロイチン骨格を有するオリゴ糖に対しては、GlcUA供与体からGlcUAを転移するが、GalNAc供与体からGalNAcを実質的に転移しない。
【0027】
非還元末端にGlcUAを有しかつコンドロイチン骨格を有するオリゴ糖に対しては、GalNAc供与体からGalNAcを転移するが、GlcUA供与体からGlcUAを実質的に転移しない。
【0028】
本発明酵素は、さらに、非還元末端にGalNAcを有しかつコンドロイチン骨格を有するオリゴ糖に対して、GlcNAc供与体からGlcNAcを実質的に転移しないものが好ましい。本発明酵素は、さらに、非還元末端にGlcUAを有しかつコンドロイチン骨格を有するオリゴ糖に対して、GlcNAc供与体からGlcNAcを転移するものが好ましい。ただし、GlcNAcが転移されて生成したオリゴ糖に対して、GlcUA供与体からGlcUAを実質的に転移しないものが好ましい。
【0029】
また本発明酵素は、非還元末端にGlcUAを有しかつヒアルロン酸骨格を有するオリゴ糖に対しては、GalNAc供与体からGalNAcを転移するが、GlcUA供与体からGlcUAを実質的に転移しないものが好ましい。
【0030】
(3)金属イオン等による影響:
Mn2+イオンの存在下で作用し、Ca2+若しくはCu2+イオン又はエチレンジアミン四酢酸の存在下では実質的に作用しない。
【0031】
なお本発明酵素は、好ましくは、さらにFe2+又はMg2+イオンの存在下でも作用するものである。また本発明酵素は、Mn2+イオンの存在下における作用の程度(酵素活性)が、Fe2+又はMg2+イオンの存在下における作用の程度(酵素活性)よりも高いものが好ましい。
【0032】
また本発明酵素を用いて反応させると、25℃以上において、反応温度の上昇とともに反応生成物(コンドロイチン鎖)のサイズが小さくなることが観察されれいる(実施例参照)。従って本発明酵素は、後述の実施例に記載の反応条件においては、25℃以上において反応温度の上昇につれて酵素活性が低下するものと考えられる。
【0033】
本発明酵素は大腸菌由来であるものが好ましい。特に莢膜多糖体の生産に関与する遺伝子を持つ大腸菌が好ましく、莢膜抗原(K)が「K4」である大腸菌がより好ましい。
莢膜抗原の抗原型(Serotype)が「K4」である大腸菌としては、大腸菌K4株(Escherichia coli Serotype O5:K4(L):H4)が好ましく例示され、更に具体的にはATCC23502, NCDC U1-41, Freiburg collection number 2616等が好ましく例示される。
【0034】
また本発明酵素は、下記(A)又は(B)のタンパク質(本発明タンパク質)であることが好ましい。
(A)配列番号2で示されるアミノ酸配列を含むタンパク質。
(B)配列番号2で示されるアミノ酸配列における1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入又は転位したアミノ酸配列を含み、かつ、コンドロイチン合成酵素活性を有するタンパク質。
【0035】
天然に存在するタンパク質には、それをコードするDNAの多型や変異の他、生成後のタンパク質の細胞内及び精製中の修飾反応などによってそのアミノ酸配列中にアミノ酸の置換、欠失、挿入又は転位等の変異が起こりうるが、それにもかかわらず変異を有しないタンパク質と実質的に同等の生理、生物学的活性を示すものがあることが知られている。このように構造的に若干の差違があってもその機能については大きな違いが認められないタンパク質も、本発明タンパク質に包含される。人為的にタンパク質のアミノ酸配列に上記のような変異を導入した場合も同様であり、この場合にはさらに多種多様の変異体を作製することが可能である。例えば、ヒトインターロイキン2(IL-2)のアミノ酸配列中の、あるシステイン残基をセリンに置換したポリペプチドがインターロイキン2活性を保持することが知られている(Science,224,1431(1984))。また、ある種のタンパク質は、活性には必須でないペプチド領域を有していることが知られている。例えば、細胞外に分泌されるタンパク質に存在するシグナルペプチドや、プロテアーゼの前駆体等に見られるプロ配列などがこれにあたり、これらの領域のほとんどは翻訳後、又は活性型タンパク質への転換に際して除去される。このようなタンパク質は、一次構造上は異なった形で存在しているが、最終的には同等の機能を有するタンパク質である。
【0036】
本明細書において「数個のアミノ酸」とは、コンドロイチン合成酵素の活性が失われない程度の変異を起こしてもよいアミノ酸の数を示し、例えば600アミノ酸残基からなるタンパク質の場合、2〜30程度、好ましくは2〜15、より好ましくは2〜8以下の数を示す。
【0037】
また本発明タンパク質は、上記(A)又は(B)に記載のアミノ酸配列を含んでいる限りにおいて他のタンパク質やペプチドのアミノ酸配列を含んでいても良い。すなわち本発明タンパク質は、他のタンパク質やペプチドとの融合タンパク質であっても良い。
【0038】
例えば、上記(A)又は(B)に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質とマーカーペプチドとの融合タンパク質等も本発明タンパク質に包含される。このような本発明タンパク質は、精製を容易にすることができるというメリットがある。上記マーカーペプチドとしては例えばプロテインA、インスリンシグナル配列、His、FLAG、CBP(カルモジュリン結合タンパク質)、GST(グルタチオン S−トランスフェラーゼ)などが挙げられる。例えばプロテインAとの融合タンパク質は、IgGを結合させた固相を用いたアフィニティークロマトグラフィーによって簡便に精製することができる。同様に、Hisタグとの融合タンパク質については磁性ニッケルを結合させた固相を用いることができ、FLAGとの融合タンパク質については抗FLAG抗体を結合させた固相を用いることができる。またインスリンシグナルとの融合タンパク質は、細胞外(培地等)に分泌されることから、細胞破砕等の抽出操作が不要となる。本発明タンパク質(本発明酵素)は可溶性のものが好ましい。
【0039】
ここで好ましいのは、配列番号4のアミノ酸配列で示されるペプチド(Hisタグ)との融合タンパク質である。このHisタグは、配列番号2で示されるアミノ酸配列の直前の位置に連続して融合させることが好ましい。この融合タンパク質は、配列番号4の塩基配列を、配列番号1の塩基配列の直前の位置に連続して結合させたDNAを発現させることによって製造することができる。この融合タンパク質は可溶性である。
【0040】
「コンドロイチン合成酵素活性」は、グリコシルトランスフェラーゼの一般的なアッセイ方法に準じて検出することができる。具体的には、GlcUA供与体、GalNAc供与体、及び受容体となる糖鎖を用い、GlcUAとGalNAcが交互に糖鎖(受容体)の非還元末端に転移してコンドロイチンを合成する活性として検出することができる。
【0041】
例えば、非還元末端にGalNAcを有する糖鎖に対してはGlcUA供与体からGlcUAを転移し、かつ、非還元末端にGlcUAを有する糖鎖に対してはGalNAc供与体からGalNAcを転移する場合には、GlcUAとGalNAcが交互に糖鎖の非還元末端に転移する活性、すなわちコンドロイチン合成酵素活性を有すると判定できる。具体的方法としては、後述の実施例に記載した酵素活性の測定方法を採用することが好ましい。このような方法によって、コンドロイチン合成酵素活性を保持しているアミノ酸の欠失、置換、挿入又は転位を容易に選択することができる。
【0042】
本発明酵素及び本発明タンパク質の製造方法は特に限定されず、後述の本発明DNAを適当な細胞で発現させることによって製造することができる。また天然物から単離されたものや、化学合成等によって製造されたものについても当然に本発明酵素や本発明タンパク質に包含される。本発明DNAを用いた本発明酵素(本発明タンパク質)の製造方法については後述する。
【0043】
<2>本発明DNA
本発明DNAは、下記(a)〜(c)のいずれかを保持するDNAである。
(a)配列番号2で示されるアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA。このDNAは配列番号1で示されるDNAであることが好ましい。
(b)配列番号2で示されるアミノ酸配列における1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入又は転位したアミノ酸配列からなり、かつ、コンドロイチン合成酵素活性を有するタンパク質をコードするDNA。
(c)上記(a)に記載のDNA若しくは当該DNAに相補的なDNA又はこれらのDNAの塩基配列の一部を有するDNAと、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNA。
【0044】
本明細書において「ストリンジェントな条件」とは、いわゆる特異的なハイブリッドが形成され、非特異的なハイブリッドが形成されない条件をいう(Sambrook, J. et al., Molecular Cloning A Laboratory Manual, second Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989)等参照)。「ストリンジェントな条件」として具体的には、50%ホルムアミド、4×SSC、50mMHEPES(pH7.0)、10×Denhardt's solution、100μg/mlサケ***DNAを含む溶液中、42℃でハイブリダイズさせ、次いで室温で2×SSC、0.1%SDS溶液、50℃下で0.1×SSC、0.1%SDS溶液で洗浄する条件が挙げられる。
【0045】
本発明DNAは、もともとはK4抗原を有する大腸菌から取得されたものであるが、形質転換された他の生物種から取得されたものや、化学合成等によって製造されたDNAも当然に包含される。本発明DNAの製造方法も特に限定されないが、例えば後述の実施例に記載の方法を用いることが好ましい。
本発明DNAとして、遺伝暗号の縮重による種々の異なった塩基配列を有するDNAが存在することは、当業者にとって容易に理解されるところである。
【0046】
<3>本発明ベクター
本発明ベクターは、本発明DNAを保持するベクターである。本発明ベクターに保持される本発明DNAとして好ましいDNAは、前記<2>の説明と同様である。また本発明ベクターは、後述する本発明酵素製造方法に好ましく用いられることから、発現ベクターであることが好ましい。
本発明DNAを公知のベクターに組込むことによって、本発明ベクターを調製することができる。
【0047】
本発明DNAを導入するベクターとしては、例えば、導入したDNAを発現させることができる適当な発現ベクター(ファージベクター或いはプラスミドベクター等)を使用することができ、本発明ベクターを組込む宿主細胞に応じて適宜選択できる。このような宿主−ベクター系としては、COS細胞、3LL-HK46細胞などの哺乳類細胞と、pGIR201(Kitagawa, H., and Paulson, J. C. (1994) J. Biol. Chem. 269, 1394-1401)、pEF-BOS(Mizushima, S., and Nagata, S. (1990) Nucleic Acid Res. 18, 5322)、pCXN2(Niwa, H., Yamanura, K. and Miyazaki, J. (1991) Gene 108, 193-200)、pCMV-2(イーストマン コダック(Eastman Kodak)製)、pCEV18、pME18S(丸山ら,Med. Immunol., 20, 27(1990))又はpSVL(ファルマシア バイオテック社製)等の哺乳類細胞用発現ベクターの組み合わせ、大腸菌(E. coli)と、pTrcHis(インビトロゲン社製)、pGEX(ファルマシア バイオテック社製)、pTrc99(ファルマシア バイオテック社製)、pKK233-3(ファルマシア バイオテック社製)、pEZZZ18(ファルマシア バイオテック社製)、pCH110(ファルマシア バイオテック社製)、pET(ストラタジーン社製)、pBAD(インビトロゲン社製)、pRSET(インビトロゲン社製)、及びpSE420(インビトロゲン社製)等の原核細胞用の発現ベクターとの組み合わせのほか、宿主細胞として昆虫細胞、酵母、枯草菌などが例示され、これらに対応する各種ベクターが例示される。上述の宿主−ベクター系の中でも特に大腸菌とpTrcHisとの組み合わせが好ましい。
【0048】
また、本発明DNAを組込むベクターは、本発明タンパク質(本発明酵素)とマーカーペプチドとの融合タンパク質を発現するように構築されたものを用いることもでき、前記<1>で説明した通り、本発明ベクターを用いて発現されるコンドロイチン合成酵素を精製する場合には特に好ましい。具体的には、例えばHisを発現する塩基配列(例えば配列番号4の塩基配列)を保有するベクターが好ましい。
【0049】
いずれのベクターを用いる場合であっても、本発明DNAとベクターとの連結が可能となるように、これら双方を制限酵素等によって処理し、必要に応じて平滑化や粘着末端の連結を行った後、本発明DNAとベクターとを連結することができる。
本発明ベクターの製造方法としては、例えば後述の実施例に記載の方法を用いることができ、かつ、好ましい。
【0050】
<4>本発明形質転換体
本発明形質転換体は、本発明ベクターによって宿主が形質転換された形質転換体である。
ここでいう「宿主」は、本発明ベクターによる組換えが可能なものであればよいが、本発明DNA又は本発明DNAを組み込んだ組換えベクターの機能を発揮できるものが好ましい。宿主としては、動物細胞、植物細胞、微生物細胞(菌体)が包含され、COS細胞(COS-1細胞、COS-7細胞等)、3LL-HK46細胞などの哺乳類細胞、大腸菌(E. coli)、昆虫細胞、酵母、枯草菌などが例示される。宿主は、本発明ベクターにあわせて適宜選択することができるが、例えばpTrcHisをベースとする本発明ベクターを用いる場合には大腸菌を選択することが好ましい。
【0051】
本発明ベクターによる宿主の形質転換は、常法によって行うことができる。例えば、市販のトランスフェクション用試薬を用いる方法や、DEAE-デキストラン法、エレクトロポレーション法等によって本発明ベクターを宿主に導入し、形質転換を行うことができる。
このようにして得られる本発明形質転換体は、後述の本発明酵素製造方法に用いることができる。
【0052】
<5>本発明酵素製造方法
本発明酵素製造方法は、本発明形質転換体を生育させ、その生育物からコンドロイチン合成酵素を採取することを特徴とする、コンドロイチン合成酵素の製造方法である。
【0053】
ここで「生育」とは、本発明形質転換体である細胞や微生物自体の増殖、本発明形質転換体である細胞を組み込んだ動物、昆虫等の生育を含む概念である。また、ここでいう「生育物」とは、本発明形質転換体を生育させた後の培地(培養液の上清)及び培養された宿主細胞、分泌物、排出物等を包含する概念である。生育の条件(培地や培養条件等)は、用いる宿主に合わせて適宜選択される。本発明酵素製造方法によれば、用いる形質転換体に応じて種々の形態のコンドロイチン合成酵素を産生させることができる。
【0054】
例えば、マーカーペプチドとの融合タンパク質を発現するよう構築された発現ベクターによって形質転換された形質転換体を生育させれば、マーカーペプチドと融合したコンドロイチン合成酵素が産生される。具体的には、例えば配列番号4のアミノ酸配列が、配列番号2で示されるアミノ酸配列の直前の位置に連続して融合したタンパク質を発現するよう構築された発現ベクターによって形質転換された形質転換体を生育させることによって、Hisタグと融合したコンドロイチン合成酵素が産生される。特に、配列番号4の塩基配列を、配列番号1の塩基配列の直前の位置に連続して結合させることによって構築した発現ベクターによって形質転換された形質転換体を用いることが好ましい。
【0055】
生育物からのコンドロイチン合成酵素の採取は、産生されるコンドロイチン合成酵素の形態に応じて、タンパク質の公知の抽出・精製方法によって行うことができる。
【0056】
例えばコンドロイチン合成酵素が、培地(培養液の上清)中に分泌される可溶性の形態で産生される場合には、培地を採取し、これをそのままコンドロイチン合成酵素として用いてもよい。またコンドロイチン合成酵素が細胞質中に分泌される可溶性の形態、又は不溶性(膜結合性)の形態で産生される場合には、窒素キャビテーション装置を用いる方法、ホモジナイズ、ガラスビーズミル法、音波処理、浸透ショック法、凍結融解法等の細胞破砕による抽出、界面活性剤抽出、又はこれらの組み合わせ等の処理操作によってコンドロイチン合成酵素を抽出することができ、その抽出物をそのままコンドロイチン合成酵素として用いてもよい。
【0057】
これらの培地や抽出物から、コンドロイチン合成酵素をさらに精製することもでき、かつ好ましい。精製は、不完全な精製(部分精製)であっても、完全な精製であってもよく、コンドロイチン合成酵素の使用目的等に応じて適宜選択することができる。
【0058】
精製方法として具体的には、例えば硫酸アンモニウム(硫安)や硫酸ナトリウム等による塩析、遠心分離、透析、限外濾過法、吸着クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、ゲルろ過法、ゲル浸透クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、電気泳動法等や、これらの組み合わせ等の処理操作が挙げられる。
コンドロイチン合成酵素の製造は、アミノ酸配列、作用、基質特異性等を分析することによって確認することができる。
【0059】
<6>本発明合成剤
本発明合成剤は、下記(A)又は(B)に示すアミノ酸配列をそのアミノ酸配列中に包含し、かつ下記(イ)及び(ロ)の触媒活性を有する酵素タンパク質を含有する、糖鎖合成剤である。
(A)配列番号2で示されるアミノ酸配列。
(B)配列番号2で示されるアミノ酸配列における1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入又は転位したアミノ酸配列。
(イ)GlcUA供与体からGlcUAを、GalNAc供与体からGalNAcを、交互に糖鎖の非還元末端に転移する。
(ロ)GlcNAc供与体からGlcNAcを、非還元末端にGlcUAを有する糖鎖の当該非還元末端に転移する。
本発明合成剤の有効成分である「上記(A)又は(B)に示すアミノ酸配列をそのアミノ酸配列中に包含し、かつ上記(イ)及び(ロ)の触媒活性を有する酵素タンパク質」としては、本発明酵素又は本発明タンパク質をそのまま用いることができる。
【0060】
本発明合成剤は、本発明酵素及び本発明タンパク質が有する「GalNAcの転移作用」、「GlcNAcの転移作用」及び「GlcUAの転移作用」を、糖鎖の合成剤として応用したものである。
【0061】
本発明合成剤は糖鎖の合成に用いるものである。本明細書において「糖鎖の合成」あるいは「糖鎖合成」とは、ある糖鎖に単糖を転移・付加して、糖鎖を延長することを含む概念である。例えば、コンドロイチン、コンドロイチン硫酸又はヒアルロン酸等の糖鎖に、GlcUA、GalNAc又はGlcNAc等の単糖を転移・付加してこれらの糖鎖を延長する概念は、本明細書における「糖鎖合成」という用語に包含される。
【0062】
本発明合成剤の形態も限定されず、溶液形態、凍結形態、凍結乾燥形態、担体と結合した固定化酵素形態のいずれであってもよい。またコンドロイチン合成酵素の活性に影響を与えない限りにおいて他の成分(例えば、医薬的又は試薬的に許容される担体等)を含んでいてもよい。
【0063】
<7>本発明糖鎖製造方法
本発明糖鎖製造方法は、いずれも本発明合成剤を用いるものであり、使用する糖供与体と受容体基質に応じて、以下の4つに分けることができる。
(1)本発明糖鎖製造方法1
本発明合成剤を、GalNAc供与体及び下記一般式(1)で示される糖鎖に接触させる工程を少なくとも含む、下記一般式(3)で示される糖鎖の製造方法。
GlcUA-X-R1 (1)
GalNAc-GlcUA-X-R1 (3)
【0064】
(2)本発明糖鎖製造方法2
本発明合成剤を、GlcNAc供与体及び下記一般式(1)で示される糖鎖に接触させる工程を少なくとも含む、下記一般式(4)で示される糖鎖の製造方法。
GlcUA-X-R1 (1)
GlcNAc-GlcUA-X-R1 (4)
【0065】
(3)本発明糖鎖製造方法3
本発明合成剤を、GlcUA供与体及び下記一般式(2)で示される糖鎖に接触させる工程を少なくとも含む、下記一般式(5)で示される糖鎖の製造方法。
GalNAc-GlcUA-R2 (2)
GlcUA-GalNAc-GlcUA-R2 (5)
【0066】
(4)本発明糖鎖製造方法4
本発明合成剤を、GalNAc供与体及びGlcUA供与体、並びに下記一般式(1)で示される糖鎖に接触させる工程を少なくとも含む、下記一般式(6)及び(8)から選ばれる糖鎖の製造方法。
GlcUA-X-R1 (1)
(GlcUA-GalNAc)n-GlcUA-X-R1 (6)
GalNAc-(GlcUA-GalNAc)n-GlcUA-X-R1 (8)
【0067】
(5)本発明糖鎖製造方法5
本発明合成剤を、GalNAc供与体及びGlcUA供与体、並びに下記一般式(2)で示される糖鎖に接触させる工程を少なくとも含む、下記一般式(7)及び(9) から選ばれる糖鎖の製造方法。
GalNAc-GlcUA-R2 (2)
(GalNAc-GlcUA)n-GalNAc-GlcUA-R2 (7)
GlcUA-(GalNAc-GlcUA)n-GalNAc-GlcUA-R2 (9)
上記各式中の「X」はGalNAc又はGlcNAcを、「R1」及び「R2」は任意の基を示す。「R1」と「R2」は互いに同一でも異なっていてもよい。
【0068】
「R1」及び「R2」としては、例えば、コンドロイチン骨格を有する糖鎖や、ヒアルロン酸骨格を有する糖鎖等が例示される。
【0069】
上記一般式(1)で示される糖鎖として好ましいものは、非還元末端にGlcUAを有するコンドロイチン硫酸(特にコンドロイチン硫酸C)、コンドロイチン若しくはヒアルロン酸又はこれらのオリゴ糖である。
【0070】
上記一般式(2)で示される糖鎖として好ましいものは、非還元末端にGalNAcを有するコンドロイチン硫酸(特にコンドロイチン硫酸C)若しくはコンドロイチン又はこれらのオリゴ糖である。
【0071】
GalNAc供与体としては、ヌクレオシドジリン酸−GalNAcが好ましく、UDP-GalNAcが特に好ましい。GlcNAc供与体としては、ヌクレオシドジリン酸−GlcNAcが好ましく、UDP-GlcNAcが特に好ましい。また、GlcUA供与体としては、ヌクレオシドジリン酸−GlcUAが好ましく、UDP-GlcUAが特に好ましい。
【0072】
「接触」のさせ方は、本発明合成剤中に含まれる本発明酵素(又は本発明タンパク質)、供与体、及び受容体(糖鎖)の分子が相互に接触して酵素反応が生ずる限りにおいて特に限定されない。例えばこれら三者が溶解した溶液中で接触させてもよい。また本発明合成剤中に含まれるコンドロイチン合成酵素を適当な固相(ビーズ等)に結合させた固定化酵素や、限外濾過膜、透析膜等を用いる膜型リアクター等を用いて連続的に酵素反応させることもできる。また、PCT国際公開パンフレットWO00/27437号に記載された方法と同様に、受容体を固相に結合させて酵素反応させることもできる。さらに、供与体を再生(合成)するバイオリアクターを組み合わせて用いてもよい。
【0073】
また、上記(4)及び(5)においては、必ずしもGalNAc供与体とGlcUA供与体とを同時に本発明合成剤及び上記一般式(1)又は(2)で示される糖鎖に接触させる必要はなく、これら供与体を交互に接触させてもよい。
【0074】
酵素反応させる条件は、本発明酵素(又は本発明タンパク質)が作用する条件である限りにおいて特に限定されないが、中性pH付近(例えばpH 7.0〜7.5程度)で反応させることが好ましく、当該pH下で緩衝作用を有する緩衝液中で反応を行うことがより好ましい。またこのときの温度も、本発明酵素(又は本発明タンパク質)の活性が保持されている限りにおいて特に限定されないが、25℃〜30℃程度が例示される。また本発明酵素(又は本発明タンパク質)の活性を増加させる物質がある場合には、その物質を添加してもよい。例えばMn2+等を共存させることが好ましい。反応時間は、使用する本発明合成剤、供与体及び受容体の量、並びにその他の反応条件に応じて当業者が適宜決定することができる。
【0075】
生成物からの糖鎖の単離等は、公知の方法によって行うことができる。
また、本発明合成剤(コンドロイチン合成酵素)と、硫酸基転移酵素(スルホトランスフェラーゼ)とを組み合わせて用いることによって、コンドロイチン硫酸等の硫酸化糖を製造することもできる。
【0076】
例えば、上記の糖鎖の製造方法において、さらに硫酸基供与体(3'-ホスホアデノシン 5'-ホスホ硫酸(PAPS)など)と硫酸基転移酵素を共存せしめ、コンドロイチンの生成と硫酸基の転移とを同時に行うことによって、コンドロイチン硫酸等の硫酸化糖を製造することができる。硫酸基転移酵素は、前記と同様に適当な固相(ビーズ等)に結合させた固定化酵素として用いてもよく、限外濾過膜、透析膜等を用いる膜型リアクターを用いて、連続的に反応させてもよい。この際、硫酸基供与体を再生(合成)するバイオリアクターを組み合わせて用いてもよい。
【0077】
ここで用いることができる硫酸基転移酵素は、コンドロイチンに硫酸基を転移する酵素であればよく、所望のコンドロイチン硫酸のタイプに応じて、公知のものから適宜選択することができる。また、硫酸基の転移位置が異なる2種類以上の硫酸基転移酵素を組み合わせて用いてもよい。
硫酸基転移酵素の一例として、例えばコンドロイチン6−O−硫酸基転移酵素(J. Biol. Chem., 275(28), 21075-21080 (2000))を挙げることができるが、これに限定されず、他の酵素を用いることもできる。
【0078】
<8>本発明プローブ
本発明プローブは、配列番号1で示される塩基配列又はその一部と相補的な塩基配列を有するハイブリダイゼーション用プローブである。
本発明プローブは、配列番号1に示される塩基配列又はその一部と相補的な塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを作成し、これをハイブリダイゼーションに適した標識(例えば、放射性同位体)で標識することによって得ることができる。
【0079】
オリゴヌクレオチドの長さは、本発明プローブを用いるハイブリダイゼーションの条件等によって適宜選定される。
本発明プローブは、コンドロイチン硫酸の生物学的機能を調べる有用な道具となることが期待される。コンドロイチン硫酸は、広く発現し、かつ、多くの組織、特に脳において重要な役割を果たしているからである。このプローブはさらに、遺伝子と疾患との関連を探るのにも有用と考えられる。
【0080】
<9>本発明触媒
本発明触媒は、下記(A)又は(B)に示すアミノ酸配列を含む酵素タンパク質を含有し、GlcUA供与体からGlcUAを、GalNAc供与体からGalNAcを、GlcNAc供与体からGlcNAcをそれぞれ糖鎖の非還元末端に転移する機能を有する、糖転移触媒である。
(A)配列番号2で示されるアミノ酸配列。
(B)配列番号2で示されるアミノ酸配列における1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入又は転位したアミノ酸配列。
本発明触媒の有効成分である「上記(A)又は(B)に示すアミノ酸配列を含む酵素タンパク質」としては、本発明酵素又は本発明タンパク質をそのまま用いることができる。
【0081】
本発明触媒は、本発明酵素及び本発明タンパク質が有する「GalNAcの転移作用」、「GlcNAcの転移作用」及び「GlcUAの転移作用」を、糖転移触媒として応用したものである。
本発明触媒は、GlcUA、GalNAc又はGlcNAcの転移に用いることができる。例えば、コンドロイチン、コンドロイチン硫酸又はヒアルロン酸等の糖鎖の非還元末端に、GlcUA、GalNAc又はGlcNAc等の単糖を転移する際に用いることができる。
【0082】
本発明触媒の形態も限定されず、溶液形態、凍結形態、凍結乾燥形態、担体と結合した固定化酵素形態のいずれであってもよい。またGlcUA、GalNAc又はGlcNAcの転移活性に影響を与えない限りにおいて他の成分(例えば、医薬的又は試薬的に許容される担体等)を含んでいてもよい。
【0083】
【実施例】
以下に、本発明の実施例を具体的に説明する。しかしながら、これらによって本発明の技術的範囲が限定されるものではない。
なお、本実施例において用いたUDP-[14C]GlcUA、UDP-[3H]GalNAc及びUDP-[14C]GlcNAcは、NEN ライフサイエンス社から入手した。また、UDP-GlcUA、UDP-GalNAc及びUDP-GlcNAcはシグマ社から入手した。
【0084】
実施例1 コンドロイチン合成酵素遺伝子のクローニング
(1)DNAライブラリーの作製
大腸菌K4株(serotype O5:K4(L):H4、ATCC 23502)を、50mlのLB培地中で 37℃、一晩培養した。遠心分離(3800rpm、15分)して菌体を集め、1mM エチレンジアミン四酢酸(EDTA)を含む10mM Tris-HCl(pH 8.0)緩衝液(以下TEという)9mlに懸濁し、10% SDS 0.5ml及びproteinase K(20mg/ml:Boehringer Mannheim)50μlを加えて37℃で1時間処理した。その懸濁液に、10mlのPCI溶液(フェノール:クロロホルム:イソアミルアルコール=25:24:1)を加えて30分間攪拌し、遠心分離(3800rpm、15分)して水層及び中間の不溶物を集め、再度遠心分離(10000rpm、30分)した。上清を集めRNaseA(20mg/ml:Sigma)50μlを加えて37℃で1時間反応させた。その処理液に、10mlのPCI溶液を加えて30分間攪拌し、遠心分離(3800rpm、15分)によって水層を集め再度遠心分離(10000rpm、30分)した。上清を集めて2000mlのTEに対して4℃で一晩透析して得られた透析内液(7.5ml)を染色体DNA溶液(DNA濃度0.9mg/ml)とした。得られたK4株由来の染色体DNA溶液120μlを制限酵素Sau3A1(4単位:NEB)を用いて37℃で30分間切断処理をし、0.3%アガロースゲル電気泳動した後、約7〜11kbpのDNAが泳動される位置のアガロースゲルを切り出した。切り出したゲルを注射針で底に穴をあけた1.5mlチューブに入れ、そのチューブごと2mlチューブに重ねて遠心分離(8000rpm、1分)してゲルを潰した。そして、ゲルとほぼ等量の中和フェノールを加えて強く攪拌して、−80℃で凍結処理した。30分後室温に戻し融解させた後、遠心分離(13000rpm、5分)によって水層を集めて、等量のPCI溶液を加えて攪拌後、遠心分離(13000rpm、5分)した。水層を集めて1/10量の3M 酢酸ナトリウム溶液及び等量の2-プロパノールを加えてDNAを沈殿させ、遠心分離(13000rpm、30分)して集めた。集めた沈殿に70% エタノール溶液を加えて遠心分離(13000rpm、5分)し、沈殿にTEを100μl加えて溶解した。この溶液を濃縮するために10μlの3M 酢酸ナトリウム溶液及び300μlのエタノールを加えてDNAを沈殿させ、遠心分離(13000rpm、20分)して回収した。集めた沈殿に70% エタノール溶液を加えて遠心分離(13000rpm、5分)し、沈殿を精製水4μlに溶解して染色体DNA断片溶液を得た。そのDNA断片溶液2μlを制限酵素(BamH I(80単位:NEB)及びEcoRI(80単位:NEB))で処理したλファージベクター(λEMBL3:STRATAGENE)に組み込み、パッケージングキット(Gigapack III Gold Packaging Extract、STRATAGENE)を用いて添付の操作法に従ってパッケージングを行い、大腸菌(NM539株)にλファージを感染させて増殖させ、K4染色体DNAライブラリーを作製した。
【0085】
(2)プローブの作製
既に配列が分かっている(Mol. Microbiol. 17 (4), 611-620 (1995))大腸菌K5株(Serotype O10:K5(L):H4、ATCC 23506)のK抗原遺伝子クラスター部分3領域の内、K抗原糖鎖特異的領域 R-II部(gene bank accession NO.X77617) を挟んで、大腸菌株間で相同性が高いと言われているR-I部(gene bank accession NO.X74567) の3'端寄りの1kbp程度のDNAフラグメントが得られるようなプライマーセット(CS-S 5'-ACCCAACACTGCTACAACCTATATCGG-3'(配列番号5);CS-AS 5'-GCGTCTTCACCAATAAATACCCACGAAACT-3'(配列番号6))と、R-III部(gene bank accession NO.X53819)の 5'端寄りの1kbp程度のDNAフラグメントが得られるようなプライマーセット(TM-S 5'-CGAGAAATACGAACACGCTTTGGTAA-3'(配列番号7);TM-AS 5'-ACTCAATTTTCTCTTTCAGCTCTTCTTG-3'(配列番号8))を選択・作製した。
【0086】
R-I用, R-III用それぞれのプライマーセットを使って、上記(1)のSau3A1処理してアガロースゲル電気泳動後抽出精製したK4株のゲノムDNAフラグメントを鋳型にして、ポリメラーゼ・チェイン・リアクション(PCR)(94℃、1分−(94℃、45秒−47℃、30秒−72℃、5分) 30サイクル−72℃、10分(R-I用)、94℃、1分−(94℃、45秒−50℃、30秒−72℃、5分) 30サイクル−72℃、10分(R-III用))を行い、R-I 部 1.3kbp(K4RI3)、R-III部 1.0kbp(K4RIII5) のK4由来のDNAフラグメントを得た。得られたDNAフラグメントのヌクレオチド配列をABI PRISM 310 Genetic Analyzer(Perkin-Elmer)を用いて決定した。同じ遺伝子位置でのK5株DNAとのホモロジーは、それぞれ96%、及び95%であった。
【0087】
(3)K4R-II部の遺伝子クローニング
R-I部、R-III部それぞれのDNAフラグメント(K4RI3、K4RIII5)をプローブとして、(1)で得られたK4染色体DNAライブラリーから K4抗原遺伝子クラスターのスクリーニングを行った。大腸菌(NM539株)培養液300μlにK4染色体DNAライブラリー(λファージ40μl)を感染(37℃,15分間)させ、10mlのTop agaroseを加えて10×14cm角形シャーレ中のLBプレート培地5枚に塗布し37℃で9.5時間培養してプラークを形成させた。各プレートにつき2枚ずつ9×13cmのメンブレン(Hybond-N+ : Amersham ファルマシア社 Biotech)を準備し、1枚目は1分間、2枚目は3分間培地に接面させた。余分な水分を除いた後1.5M NaClを含む0.5M NaOH溶液に2分間浸して変性処理し、続いて1.5M NaClを含む1M Tris-HCl(pH 7.4)に3分間浸して中和処理した。乾燥後80℃で2時間ベーキングしてフィルターを作成した。このフィルターを65℃で1時間プレハイブリダイズ処理した後、0.5M チャーチリン酸緩衝液(pH 7.2)、1mM EDTA及び7% SDS中で、[32P]でラベルしたK4RI3と64℃で一晩(15時間)ハイブリダイズさせ、1% SDSを含む40mM チャーチリン酸緩衝液(pH 7.2)で3回(65℃下、各15分間)洗浄した。フィルターを乾燥させた後X線フィルムに感光させ、陽性のプラークを30個とった。それぞれについてPCRでK4RI3の存在を確認し、うち7個を2次スクリーニングに移行させた。次に、K4RI3とハイブリダイズさせたフィルターを0.5% SDS 溶液中で3分間煮沸処理してK4RI3を除き、乾燥させてK4RIII5ハイブリダイズ用フィルターとした。このフィルターを65℃で1時間プレハイブリ処理した後、[32P]でラベルしたK4RIII5と65℃で一晩ハイブリダイズさせ、1% SDSを含む40mM チャーチリン酸液で3度洗浄した。フィルターを乾燥させた後X線フィルムに感光させ、陽性のプラークを29個とった。それぞれについてPCRでK4RIII5の存在を確認し、うち18個を2次スクリーニングに移行させた。2次スクリーニングではφ9cmのLBプレート培地を使用し、1次スクリーニングと同じ方法で陽性のプラークを取得した。
【0088】
1次、2次スクリーニング後、R-I部から4個、R-III部から10個のλファージクローンが得られた。各クローンについてEcoRI(10単位:NEB)、SalI(10単位:NEB)、BamHI(10単位:NEB)それぞれ単独で、あるいは様々な組み合わせで同時に酵素処理を行い、電気泳動で見える断片の大きさからそれらの制限酵素地図を作製した(図1)。
【0089】
これらのクローンのうちの1クローン(CS23、挿入部15.4kbp)は、R-III部のプローブを元に作られたDNAクローンであるが、R-I部のプローブとも弱い反応を示していたことから挿入部の5'端のシークエンスを見たところ、そこに R-I部のプローブの3'端と完全に一致する配列が見られた。挿入部にR-I部とR-III部の両DNAフラグメントを含むことから、K4株のK抗原遺伝子クラスターのR-II部を全て含むクローンであると判断した。
【0090】
(4)K4 R-II部の遺伝子解析
上記CS23クローンについてシークエンシングを行うためにサブクローニングを行った。まず、CS23クローンをEcoRI処理して得られた約3kbp,8kbpのDNAフラグメントとSalI処理して得られた約2kbp,5kbp,7kbpのDNAフラグメントをそれぞれクローニングベクター(pBluescript II KS(-))とライゲーションさせ、大腸菌(XLI-Blue株)に組み込みインサートの向きの異なるクローンを得た。そのクローンについて、「ベクターのマルチクローニングサイトにある各種制限酵素で処理・ライゲーション・トランスフォーメーション」を繰り返して、R-II部の部分DNAフラグメントを持つ22種類のプラスミドを得た。それらの挿入DNAフラグメントのシークエンシングを行い、それらを繋げて K4 R-II部の全遺伝子配列を決定した(配列番号3)。
【0091】
(5)コンドロイチン合成酵素遺伝子の同定
K4株R-II部のDNA配列を解析した結果、8個のオープンリーディングフレーム(ORF)の存在が予想された(図2)。
【0092】
その中で R-III側から3番目のORF(2061 bp(配列番号3における塩基番号3787〜5847。終止コドンを除いた2058 bpの配列を配列番号1に示す)、アミノ酸数として 686個、計算によって求めた分子量 79,256(配列番号2))は、Pasteurella multocida の ヒアルロン酸合成酵素(クラス2型 pmHAS; J. Biol. Chem., 273 (14), 8454-8458 (1998)) と59%の相同性があった。また、Pasteurella multocida のコンドロイチン合成酵素(pmCS; Biol. Chem. 275 (31), 24124-24129 (2000))と61%の相同性があった。また、R-III側から1番目のORF(1017 bp(配列番号3における塩基番号643〜1659)、アミノ酸数として 339個)は、Pasteurella multocidaのUDP-Glucose-4-epimerase(Submitted (29-OCT-1996) Genetics and Microbiology, Autonomus University of Barcelona, Edifici C, Bellaterra, BCN 08193, Spain)と60%の相同性を、4番目のORF(1332 bp(配列番号3における塩基番号5877〜7207))はInsertion Sequence 2(Nucleic Acids Res. 6 (3), 1111-1122 (1979))と高い相同性(98%)を、7番目のORF(1167 bp(配列番号3における塩基番号11453〜12619)、アミノ酸数として 389個)は、大腸菌(K5株)のkfiD(Mol. Microbiol. 17 (4), 611-620 (1995))遺伝子(UDP-Glucose dehydrogenaseをコード)と65%の相同性をそれぞれ持っていた。また8番目のORF(1035 bp(配列番号3における塩基番号13054〜14088)、アミノ酸数として 345個)はグリコシルトランスフェラーゼに共通するDXDモチーフを含み、糖転移活性を有していると予想された。残る他の3つのORF(No. 2、5及び6(配列番号3における塩基番号はそれぞれ、1849〜3486、7210〜8673、及び9066〜10631)については相同性を持つものは発見されなかった。
【0093】
実施例2 コンドロイチン合成酵素タンパク質の発現と酵素活性
(1)K4 R-II部のORF(No. 3)がコンドロイチン合成酵素遺伝子であることを確認するために、制限酵素切断部位を持ち該当するORF部分を挟むプライマー(K4C-SP 5'-CGGGATCCCGATGAGTATTCTTAATCAAGC-3'(配列番号9);K4C-AS 5'-GGAATTCCGGCCAGTCTACATGTTTATCAC-3'(配列番号10))を作成し、PCR(94℃、1分−(94℃、30秒−59℃、30秒−74℃、3分)20サイクル−74℃、10分)を行った。このPCR産物を0.7% Agarose gel電気泳動し、ゲル抽出キット(QIAGEN)を用いて抽出・精製した。制限酵素(BamHI及びEcoRI)処理をした後、再度0.7% アガロースゲル電気泳動し、同様に抽出・精製してインサートとした。
【0094】
発現ベクター(pTrcHisC:Invitrogen;配列番号4の塩基配列を保持している)を制限酵素(BamHI及びEcoRI)処理及びCIP処理したものと、上記で調製したインサートを、T4DNA ligaseの存在下で16℃,1時間かけて挿入して、大腸菌(TOP10株)にトランスフォーメーションを行った。その大腸菌株を培養(アンピシリンを含むLBプレート培地、37℃、一晩)して7個のコロニーを得た。この中から上記インサートが正確に挿入されているプラスミドを保持している1クローンを選択した。その大腸菌を1.5mlの アンピシリン(100μg/ml)を含むLB培地で培養(37℃,一晩)し、その培養菌液50μlを50mlのアンピシリン(100μg/ml)を含むLB培地に接種して37℃でOD600が0.6になるまで培養した。0.5 M β−イソプロピルチオガラクトシド(IPTG)を 1ml(最終濃度:1mM)培養液に添加して37℃で3時間誘導した。遠心分離(10000rpm、30分)して菌体を集め、Lysis buffer(300mM NaCl及び10mM イミダゾールを含む50mM NaH2PO4 (pH 8.0))を 4ml 加えて懸濁した。その懸濁液にリゾチーム(シグマ社)を4mg加え、氷上で30分間静置した後、ソニケーターで10秒ずつ3回超音波処理して菌体を破砕した。遠心分離(10000rpm、30分)して上清を集め、Ni-NTA アガロースカラム(担体量1ml,Lysis buffer で平衡化;QIAGEN)にアプライし、ローターで撹拌(4℃で1時間)した。カラムを立てて担体を沈め、Wash buffer(300mM NaCl及び20mM イミダゾールを含む50mM NaH2PO4 (pH 8.0))を用いて4mlずつ2回に分けてカラムを洗浄した。次いでElution buffer(300mM NaCl及び250mM イミダゾールを含む50mM NaH2PO4 (pH 8.0))を0.5 ml ずつ4回に分けて流し、タンパク質を溶出した。目的のタンパク質を含む溶出液1mlを500mlの20%グリセロールを含むPBS(リン酸緩衝生理食塩液)に対して4℃で2日間透析し、およそ0.5ml(タンパク量0.4mg/ml)の透析液(本発明酵素(本発明タンパク質)の溶液)を得た。
【0095】
ここで得られたタンパク質についてドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)とウエスタンブロッティングを行った。SDS-PAGEには10%ゲルを使用した。タンパク質はクマシー・ブリリアント・ブルー(coomassie brilliant blue)染色によって検出した。ウエスタンブロッティングは、SDS-PAGEゲル中のタンパク質をニトロセルロース膜に転写し、その膜を5%スキムミルク(150mM NaCl及び0.05% Tween 20を含有する25mM Tris-HCl(pH 7.5)(この溶液をTBS-Tという)に溶解)でブロッキングした後、抗-テトラ-His抗体(Qiagen)で処理した。TBS-Tで数回洗浄した後、この膜をペルオキシダーゼ結合抗マウスIgGで処理した。TBS-Tで洗浄した後、反応したタンパク質をECL検出システム(ECL detection system;アマシャム社)で検出した。
【0096】
その結果このタンパク質は、SDS-PAGE及び抗テトラHis抗体を用いたウエスタンブロッティング解析において80kDa付近にバンドを呈した。これに対し、コントロール(インサートを有さない発現ベクター)の培養抽出物においては、免疫学的に反応するバンドは検出されなかった。
【0097】
(2)酵素活性の解析(GalNAc転移活性の解析)
20mM MnCl2、0.1M (NH4)2SO4、1M エチレングリコールを含む50mM Tris-HCl(pH 7.2)に、本発明酵素(2μg)、受容体として睾丸ヒアルロニダーゼで分解して精製したサメ軟骨由来のコンドロイチン硫酸Cの6糖(70 pmol)並びに供与体としてUDP-GalNAc(3 nmol)、UDP-GlcUA(3 nmol)及びUDP-[3H]GalNAc(0.1 nmol 0.1 μCi)を加えて全量を50μlに調整し、30℃で30分間酵素反応させ、酵素を加熱失活させた。その反応液に1.3% 酢酸カリウムを含有する95%エタノールを3倍量添加し、サンプルを 10,000×gで20分間遠心した。
沈殿を50μlの蒸留水で溶解し、これをSuperdex peptideカラム(300×φ10 mm:ファルマシア社、クロマトグラフィー条件;buffer:0.2M NaCl、流速:0.5ml/分)にかけて溶出液を0.5ml毎に分画し、各フラクションの放射活性([3H]のカウント)をシンチレーションカウンターで計測した。コンドロイチン合成活性は、受容体基質よりも高い分子量の画分に取り込まれた放射活性の量を計算することによって決定した。結果を図3に示す。なお、図3中の黒四角印は、受容体としてコンドロイチン硫酸Cのオリゴ6糖を用いた場合の放射活性を、白三角印は酵素反応産物をコンドロイチナーゼABCで処理した場合の放射活性を、黒丸印はコントロール(熱で失活させた本発明酵素を用いた場合)をそれぞれ示す。
【0098】
その結果、放射活性の溶出位置はコンドロイチン硫酸Cの6糖よりも高分子量側に現れた(5,000Da付近に頂をもつ幅広いピーク)(図3中の黒四角印)。また、酵素反応産物をコンドロイチナーゼABC処理すると、高分子ピークが2糖画分に相当する位置に移動していた(図3中の白三角印)。このコンドロイチナーゼABC消化物を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて二糖組成分析した結果、硫酸化されていない不飽和のコンドロイチン二糖(Δdi0S)のみが検出された。
【0099】
また酵素反応産物はコンドロイチナーゼACII処理によっても完全に消化されたが、ストレプトマイセス(Streptomyces)のヒアルロニダーゼやヘパリチナーゼIによっては消化されなかった。
以上のことから、得られた本発明酵素は少なくともUDP-GalNAc(供与体)からGalNAcをコンドロイチン硫酸Cの6糖に転移することが示された。この比活性は 3.25±0.64 nmol GalNAc/分/mgタンパク質 であった。
【0100】
(3)酵素反応生成物のサイズの解析
上記「(2)酵素活性の解析」と同様に酵素反応及びクロマトグラフィーを行い、酵素反応生成物のサイズを調べた。結果を図4に示す。
図4より、前記で得られた本発明酵素は、少なくともGalNAc供与体(UDP-GalNAc)からGalNAcを受容体(コンドロイチン骨格を有するオリゴ糖(睾丸ヒアルロニダーゼで調製したコンドロイチン硫酸Cの6糖))に転移して、分子量1万〜2万以上のコンドロイチンを生成することが確認された。
【0101】
(4)供与体基質の特異性の解析
供与体としてUDP-[14C]GlcUA、UDP-[14C]GlcNAc又はUDP-[3H]GalNAcを用い、前記の「(2)酵素活性測定」に記載した方法に準じて、以下の受容体に対する転移活性を調べた。酵素反応後の生成物をゲル濾過で分析した。
【0102】
コンドロイチン硫酸Cの6糖又は7糖を受容体として用いたときの結果を図5に示す。なお図5中の黒丸印はコントロール(熱で失活させた本発明酵素を用いた場合)を示す。
(イ)コンドロイチン硫酸Cの6糖(サメ軟骨由来のコンドロイチン硫酸Cを睾丸ヒアルロニダーゼ分解し、精製したもの。非還元末端がGlcUAである。)
供与体としてUDP-GalNAcのみを使用すると7糖のみが合成された(図5中の黒菱形印)。
【0103】
供与体としてUDP-GlcUAのみを用いた場合には、実質的な転移は見られなかった(図5中の黒三角印)。
【0104】
供与体としてUDP-GlcNAcのみを用いた場合には、わずかであるがGlcNAcの転移が見られた。この転移活性は、UDP-GalNAcを供与体としたときを100%とすると、6.3%であった(図5中の黒四角印)。しかし、これにUDP-GlcNAc及びUDP-GlcUAの両方を存在させても、8糖又はそれ以上のサイズの糖鎖は得られなかった。
【0105】
また、受容体基質の非存在下では放射能の取り込みは見られなかったことから、この酵素によるコンドロイチンの合成には、受容体基質が必須であることが示唆された。
(ロ)コンドロイチン硫酸Cの7糖(上記のコンドロイチン硫酸Cの6糖に本発明酵素を作用させて、該6糖の非還元末端にGalNAcを1残基結合させたもの。)供与体としてUDP-GlcUAのみを使用すると8糖のみが合成された(図5中の白三角印)。
【0106】
供与体としてUDP-GalNAc又はUDP-GlcNAcのいずれか一方のみを用いた場合には、いずれも実質的な転移は見られなかった(それぞれ、図5中の白菱形印及び白四角印)。
【0107】
また、同様の実験を別個独立に行った結果を表1に示す。なお表1中の「CS」はコンドロイチン硫酸Cを意味する。また表中のカッコ内は酵素反応後の糖鎖の長さを示し、「−」は標識化UDP-糖が受容体基質に転移されなかったことを意味する。
【0108】
【表1】
【0109】
以上の結果から、前記で得られた本発明酵素は、非還元末端がGlcUAであるコンドロイチン骨格を有する糖鎖(受容体)に対して、UDP-GalNAcからGalNAcを転移することが示された。またこの受容体を用いた場合、前記で得られた本発明酵素はUDP-GlcNAcからGlcNAcを転移する活性も有しているが、その活性はGalNAc転移活性よりはるかに低いものであることが示された。またこの受容体を用いた場合、前記で得られた本発明酵素は、UDP-GlcUAからGlcUAを転移する活性を実質的に有さないことが示された。これらのことから、前記の本発明酵素は、非還元末端のGlcUAに対してGlcUAを転移せず、GalNAc(あるいは、わずかではあるがGlcNAc)を1残基転移する作用を有することが示された。
【0110】
また、前記で得られた本発明酵素は、非還元末端がGalNAcであるコンドロイチン骨格を有する糖鎖(受容体)に対して、UDP-GlcUAからGlcUAを転移することが示された。またこの受容体を用いた場合、前記で得られた本発明酵素は、UDP-GalNAcからGalNAcを転移する活性、及びUDP-GlcNAcからGlcNAcを転移する活性のいずれをも実質的に有さないことが示された。これらのことから、前記の本発明酵素は、非還元末端のGalNAcに対してGalNAcを転移せず、GlcUAを1残基転移する作用を有することが示された。
以上のことから、前記の本発明酵素は、GlcUA供与体からGlcUAを、GalNAc供与体からGalNAcを、交互に糖鎖の非還元末端に転移する作用を有することが示された。
【0111】
(5)受容体基質の特異性の解析
受容体として、睾丸ヒアルロニダーゼで分解して精製したコンドロイチン硫酸Cの4糖(140 pmol)若しくは6糖(140 pmol)、長沢法(Carbohydrate Reserch,97,263-278(1981))によって分解して精製したコンドロイチン4糖(260 pmol)若しくは6糖(175 pmol)、睾丸ヒアルロニダーゼで分解して精製したヒアルロン酸6糖(175 pmol)、コンドロイチン硫酸C(分子量20,000)、コンドロイチン(分子量10,000)、デルマタン硫酸(分子量15,000)、ヒアルロン酸(分子量20,000)、又はヘパリン(分子量10,000)を用い、以下の方法で転移活性を調べた。なお、これらの糖鎖は生化学工業株式会社から入手した。
【0112】
20mM MnCl2、0.1M (NH4)2SO4、1M エチレングリコールを含む50mM Tris-HCl(pH 7.2)に、本発明酵素(2μg)、供与体としてUDP-GalNAc(Sigma)(60 pmol)、UDP-GlcUA(Sigma)(0.6 nmol)及びUDP-[3H]GalNAc(0.1 nmol 0.1 μCi)を、受容体として上記の各糖鎖を加えて全量を50μlに調整し、30℃で30分間酵素反応させ、酵素を加熱失活させた。その反応液をSuperdex peptideカラム(300×φ10 mm: ファルマシア社、クロマトグラフィー条件;buffer:0.2M NaCl、流速:1 ml/分)にかけて溶出液を0.5ml毎に分画し、各フラクションの放射活性([3H]のカウント)をシンチレーションカウンターで計測した。結果を表2に示す。表中のカッコ内の数字は、コンドロイチン硫酸Cの6糖を受容体としたときの放射活性量(GalNAcが転移した量)を100%とした場合における相対値である。
【0113】
【表2】
【0114】
この結果から、コンドロイチン硫酸Cの6糖は最も良い受容体基質となることが示された。コンドロイチン6糖も受容体基質として機能したが、その活性はコンドロイチン硫酸Cの6糖の場合に比して低かった(37%)。コンドロイチン硫酸4糖又はコンドロイチン4糖への取り込みも同様であった(それぞれ43%、33.5%)。驚くべきことに、ヒアルロン酸6糖及びヒアルロン酸(分子量20,000)も受容体基質として機能した。コンドロイチン硫酸C(分子量20,000)の取り込みのレベルは、コンドロイチン硫酸Cの6糖と同程度であった。コンドロイチン(分子量10,000)では、それほど高い取り込みは見られなかった。
【0115】
以上の結果を総合すると、前記本発明酵素は、コンドロイチン骨格を有するオリゴ糖や多糖(少なくともコンドロイチン硫酸Cの4糖、6糖及び7糖、コンドロイチン4糖及び6糖、コンドロイチン硫酸C(分子量20,000)並びにコンドロイチン(分子量10,000))及びヒアルロン酸のオリゴ糖や多糖(少なくとも、ヒアルロン酸6糖及びヒアルロン酸(分子量20,000))を受容体とすることが示された。
一方、デルマタン硫酸(分子量15,000)やヘパリン(分子量10,000)には放射活性の取り込みは見られず、受容体基質として実質的に機能しないことが示された。
【0116】
(6)温度による影響の解析
酵素反応温度を25、30、37、40、45又は100℃として前記「(2)酵素活性の解析」と同様に酵素反応させ、反応後の液をSuperdex75カラム(300×φ10 mm: ファルマシア社、クロマトグラフィー条件;buffer:0.2M NaCl、流速:0.5ml/分)にかけた。溶出液を1ml毎に分画し、各フラクションの放射活性([3H]のカウント)をシンチレーションカウンターで計測した。結果を図6に示す。なお図6中の菱形印、四角印、三角印、バツ印、及び*印は、それぞれ25、30、37、40、45及び100℃の結果を示す。また図6中の丸印はコントロール(熱で失活させた本発明酵素を用いた場合)の結果を示す。
【0117】
図6より、今回調べた反応条件・温度範囲においては、温度が上がると反応生成物の分子量は小さくなっていた。30℃において最も高い取り込みが見られたが、25℃において最も高分子量の産物が得られた。
この結果から、前記の本発明酵素は、今回の反応条件においては、25℃以上において反応温度の上昇につれて酵素活性が低下するものと考えられる。
【0118】
(7)金属イオン等による影響の解析
前記「(2)酵素活性の解析」におけるMnCl2に代えて、種々の金属塩(MnCl2、FeCl2、MgCl2、CaCl2又はCuCl2)又はEDTAを添加した場合の酵素反応後の液を、Superdex75カラム(300×φ10 mm: ファルマシア社、クロマトグラフィー条件;buffer:0.2M NaCl、流速:0.5ml/分)にかけた。溶出液を1ml毎に分画し、各フラクションの放射活性([3H]のカウント)をシンチレーションカウンターで計測した。MnCl2を添加した場合における放射活性を100%とした場合の相対値を以下に示す。
【0119】
【表3】
【0120】
この結果から、前記の本発明酵素はMn2+イオンの存在下で最も高い活性を示した。またFe2+又はMg2+イオンの存在下では、Mn2+イオンの存在下における場合に比して約30%の活性を示した。また、Ca2+若しくはCu2+イオン又はエチレンジアミン四酢酸の存在下では実質的に作用しないことが示された。
【0121】
また前記の本発明酵素はFe2+又はMg2+イオンの存在下でも作用し、Mn2+イオンの存在下における酵素活性はFe2+又はMg2+イオンの存在下における酵素活性よりも高いことが示された。
【0122】
(8)至適反応pH
前記「(2)酵素活性の解析」におけるpHを種々変化させて本発明酵素の至適反応pHを調べた結果、pH 7.0〜7.5であった。
【0123】
(9)酵素反応時間との関係
酵素反応時間を10分間、30分間、1時間、3時間、6時間又は18時間として、前記「(2)酵素活性の解析」と同様に酵素反応させ、酵素反応産物に取り込まれた放射活性を分析した。種々の反応時間における[3H]GalNAcのゲル濾過パターンを図7に、各々の酵素反応時間における放射活性の取り込みの総量を図8にそれぞれ示す。図7中の白丸印、黒丸印、白三角印、黒三角印、白四角印及び黒四角印は、それぞれ10分間、30分間、1時間、3時間、6時間及び18時間の結果を示す。また「20k」、「10k」、「5k」、「14」、「8」又は「6」と付された矢印は、それぞれ分子量20,000、10,000、5,000、14糖(分子量約2,800)、8糖(分子量約1,600)又は6糖(分子量約1,200)のヒアルロン酸(スタンダード)の溶出位置を示す。
【0124】
図8の結果から、本実験条件下においては、3時間や6時間において速やかな[3H]GalNAcの取り込みが見られるが、20時間近くになると取り込みが遅くなることが示された。
また図7の結果から、長時間の反応においては取り込みが増加して、高分子量の反応産物が得られることが示された。
そして、受容体基質(6糖)を低濃度とした場合には高分子量の産物が速やかに得られ、受容体基質(6糖)を高濃度とした場合には、より低分子量の産物が得られた。
【0125】
(10)ミカエリス定数(Km)の決定
前記「(2)酵素活性の解析」における本発明酵素の使用量を1.3μgとし、かつ、一方の供与体基質(UDP-糖;UDP-GlcUA又はUDP-GalNAc)を一定濃度(240μM)含有させ、これに放射性標識した種々の濃度の他方の供与体基質(放射化UDP-糖;UDP-[3H]GalNAc又はUDP-[14C]GlcUA)(0.6〜200μM)を添加することによって、酵素反応産物に取り込まれた放射活性を測定した。独立した実験を3回行い、その平均値を測定値とした。
【0126】
取り込まれた放射活性(V)とUDP-糖の基質濃度(S)との関係を図9に、そのダブル・レシプロカル・プロットを図10にそれぞれ示す。図中の黒丸印及び白四角印は、それぞれUDP-GlcUA及びUDP-GalNAcについての結果を示す。
この結果、UDP-GlcUAに対するKmは3.44μM、UDP-GalNAcに対するKmは31.6μMと算出された。
【0127】
【発明の効果】
本発明酵素及び本発明タンパク質は、単独の分子でGlcUAとGalNAcを交互に転移することができ、コンドロイチン骨格を有する糖鎖(コンドロイチンやコンドロイチン硫酸等)の大量製造のためのツールとして、本発明合成剤や本発明触媒の有効成分として、あるいは試薬等として極めて有用である。また本発明DNAは、このような本発明酵素及び本発明タンパク質の大量製造のためのツールとして極めて有用である。本発明ベクターは、このような本発明DNAを安定に保持し、その機能を有効かつ効率的に発揮させることができることから極めて有用である。また本発明形質転換体は、このような本発明ベクターを安定に保持し、その機能を有効かつ効率的に発揮させることができるのみならず、本発明酵素や本発明タンパク質の大量製造にそのまま利用できることから極めて有用である。さらに本発明酵素製造方法は、本発明酵素や本発明タンパク質の大量製造に極めて有用である。また本発明糖鎖製造方法は、コンドロイチン骨格を有する糖鎖(コンドロイチンやコンドロイチン硫酸等)の大量製造に極めて有用である。本発明合成剤や本発明触媒は、本発明糖鎖製造方法に用いることができ極めて有用である。
【0128】
このような本発明によって、高品質かつ均質なコンドロイチン合成酵素を簡便・迅速かつ大量に製造することができることから、安価な製品を産業界に提供するとにもつながり、極めて有用性が高い。
【0129】
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】 大腸菌K5株のK抗原遺伝子クラスターのR-I部とR-III部の制限酵素地図を示す。
【図2】 大腸菌K4株のK抗原遺伝子クラスターのR-II部のオープンリーディングフレーム(ORF)を示す。
【図3】 本発明酵素による、GalNAcのコンドロイチン硫酸Cのオリゴ6糖への転移を示す。
【図4】 本発明酵素によるGalNAcのコンドロイチン硫酸Cのオリゴ6糖への転移及び生成する糖鎖のサイズを示す図である。
【図5】 供与体としてUDP-GlcUA、UDP-GlcNAc又はUDP-GalNAcを、受容体としてコンドロイチン硫酸Cの6糖又は7糖を用いたときの、各単糖の転移を示す。
【図6】 本発明酵素の活性に対する温度の影響を示す。
【図7】 種々の酵素反応時間における、酵素反応産物のゲル濾過パターンを示す図である。
【図8】 酵素反応時間と放射活性の取り込み量との関係を示す図である。
【図9】 取り込まれた放射活性(V)とUDP-糖の基質濃度(S)との関係を示す図である。
【図10】 ダブル・レシプロカル・プロットを示す図である。
Claims (15)
- 下記(A)又は(B)のタンパク質。
(A)配列番号2で示されるアミノ酸配列を含むタンパク質。
(B)配列番号2で示されるアミノ酸配列における1〜30個のアミノ酸が欠失、置換、挿入又は転位したアミノ酸配列を含み、かつ、コンドロイチン合成酵素活性を有するタンパク質。 - 下記(a)〜(c)のいずれかを保持するDNA。
(a)配列番号2で示されるアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA。
(b)配列番号2で示されるアミノ酸配列における1〜30個のアミノ酸が欠失、置換、挿入又は転位したアミノ酸配列からなり、かつ、コンドロイチン合成酵素活性を有するタンパク質をコードするDNA。
(c)上記(a)に記載のDNA又は当該DNAに相補的なDNAと、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNA。 - 前記(a)が、配列番号1で示されるDNAである、請求項2に記載のDNA。
- 前記(a)が、配列番号3で示されるDNAである、請求項2に記載のDNA。
- 請求項2又は3に記載のDNAを保持するベクター。
- 発現ベクターである、請求項5に記載のベクター。
- 請求項5又は6に記載のベクターによって宿主が形質転換された形質転換体。
- 請求項7に記載の形質転換体を生育させ、その生育物からコンドロイチン合成酵素を採取することを特徴とする、コンドロイチン合成酵素の製造方法。
- 下記(A)又は(B)に示すアミノ酸配列をそのアミノ酸配列中に包含し、かつ下記(イ)及び(ロ)の触媒活性を有する酵素タンパク質を含有する、糖鎖合成剤。
(A)配列番号2で示されるアミノ酸配列。
(B)配列番号2で示されるアミノ酸配列における1〜30個のアミノ酸が欠失、置換、挿入又は転位したアミノ酸配列。
(イ) GlcUA 供与体から GlcUA を、 GalNAc 供与体から GalNAc を、交互に糖鎖の非還元末端に転移する。
(ロ) GlcNAc 供与体から GlcNAc を、非還元末端に GlcUA を有する糖鎖の当該非還元末端に転移する。
( GlcUA は D- グルクロン酸を、 GalNAc はN−アセチル -D- ガラクトサミンを、 GlcNAc はN−アセチル -D- グルコサミンを示す。) - 請求項9に記載の合成剤を、 GalNAc 供与体及び下記一般式 (1) で示される糖鎖に接触させる工程を少なくとも含む、下記一般式 (3) で示される糖鎖の製造方法。
GlcUA-X-R 1 (1)
GalNAc-GlcUA-X-R 1 (3)
(各式中、 GlcUA 及び GalNAc は、いずれも前記と同義である。 X は GalNAc 又は GlcNAc ( GlcNAc は前記と同義である。)を、 - はグリコシド結合を、 R 1 は任意の基を示す。) - 請求項9に記載の合成剤を、 GlcNAc 供与体及び下記一般式 (1) で示される糖鎖に接触させる工程を少なくとも含む、下記一般式 (4) で示される糖鎖の製造方法。
GlcUA-X-R 1 (1)
GlcNAc-GlcUA-X-R 1 (4)
(各式中、 GlcUA 、 GalNAc 、 X 及び - は、いずれも前記と同義である。 R 1 は任意の基を示す。) - 請求項9に記載の合成剤を、 GlcUA 供与体及び下記一般式 (2) で示される糖鎖に接触させる工程を少なくとも含む、下記一般式 (5) で示される糖鎖の製造方法。
GalNAc-GlcUA-R 2 (2)
GlcUA-GalNAc-GlcUA-R 2 (5)
(各式中、 GlcUA 、 GalNAc 、及び - は、いずれも前記と同義である。 R 2 は任意の基を示す。) - 請求項9に記載の合成剤を、 GalNAc 供与体及び GlcUA 供与体、並びに下記一般式 (1) で示される糖鎖に接触させる工程を少なくとも含む、下記一般式 (6) 及び (8) から選ばれる糖鎖の製造方法。
GlcUA-X-R 1 (1)
(GlcUA-GalNAc)n-GlcUA-X-R 1 (6)
GalNAc-(GlcUA-GalNAc)n-GlcUA-X-R 1 (8)
(各式中、nは1以上の整数を示し、 GlcUA 、 GalNAc 、 X 及び - は、いずれも前記と同義である。また R 1 は任意の基を示す。) - 請求項9に記載の合成剤を、 GalNAc 供与体及び GlcUA 供与体、並びに下記一般式 (2) で示される糖鎖に接触させる工程を少なくとも含む、下記一般式 (7) 及び (9) から選ばれる糖鎖の製造方法。
GalNAc-GlcUA-R 2 (2)
(GalNAc-GlcUA)n-GalNAc-GlcUA-R 2 (7)
GlcUA-(GalNAc-GlcUA)n-GalNAc-GlcUA-R 2 (9)
(各式中、nは1以上の整数を示し、 GlcUA 、 GalNAc 、及び - は、いずれも前記と同義である。また R 2 はいずれも任意の基を示す。) - 下記(A)又は(B)に示すアミノ酸配列を含む酵素タンパク質を含有し、 GlcUA 供与体から GlcUA を、 GalNAc 供与体から GalNAc を、 GlcNAc 供与体から GlcNAc をそれぞれ糖鎖の非還元末端に転移する機能を有する、糖転移触媒。
(A)配列番号2で示されるアミノ酸配列。
(B)配列番号2で示されるアミノ酸配列における1〜30個のアミノ酸が欠失、置換、挿入又は転位したアミノ酸配列。
( GlcUA 、 GalNAc 及び GlcNAc は、いずれも前記と同義である。)
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