JP4098903B2 - トラクタの正逆転切替装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンからの出力を車軸伝動系に伝達し、該出力を正逆変換するためのリバーサ用油圧クラッチからなる油圧式正逆切替手段を設け、かつ該正逆切替手段を操作するためのリバーサ操作手段を配設した構成のトラクタに具備される正逆転切替装置において、前進から後進へ又は後進から前進へリバーサ操作手段が急速に切り替わった場合に発生するショックを防止又は緩衝し、さらに前記正逆切替手段の焼き付きを防止するための技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、エンジンからの出力を車軸伝動系に伝達し、該出力を正逆変換するためのリバーサ用油圧クラッチを車軸伝動系に設け、該リバーサ用油圧クラッチを切り替えるためのリバーサレバーを設けた構成の農用トラクタの技術は公知となっている。このトラクタは、前進・中立・後進の切替が可能なリバーサレバーを操作部に設けてあり、更に該リバーサレバーに連動してリバーサ用油圧クラッチを作動せしめる正逆転切替装置が装備されていて、オペレータが該リバーサレバーを切替操作することにより、リバーサ用油圧クラッチが断接操作され、車両の駆動方向を前進方向又は後進方向へ切り替えることができる。
【0003】
また、リバーサレバーの切替によるショックを緩衝するために、リバーサ用油圧クラッチに作動油を圧送する油圧回路にディレイリリーフバルブを設け、リバーサ用油圧クラッチの接続が緩やかにかつスムーズに行われるようにした正逆転切替装置の技術もひろく公知となっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、オペレータの誤操作等によりリバーサレバーが短時間に切り替わった場合には、リバーサレバー中立位置による減速が十分に得られないまま車両の駆動方向が急速に切り替わるため、ディレイリリーフバルブでは緩衝しきれず大きい慣性力を受けることとなり、オペレータは該慣性力による強いショックを感じ、不安や不快感を感じることとなる。また、車両が高速で走行している場合においては、駆動方向の切り替えの際にリバーサ用油圧クラッチに過大な負荷が発生し、クラッチの焼き付き等が発生して該クラッチの寿命を縮めることにもなる。 このようなリバーサレバーの急切替によるショック又はクラッチの過負荷を防止するために、様々な技術が開発され公知となっている。例えば、特開昭62−61841号の如き技術や、特開昭62−62043号の如き技術である。しかし、上記のようなリバーサ操作手段の急切替時の問題を、より効果的に解決できるような技術の開発が望まれていた。また、リバーサ操作手段の操作の際のフィーリングをより向上させた、操作信頼性・安定性のより良い正逆転切替装置の技術が要望されていた。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0006】
エンジンからの出力を、主変速操作手段及び副変速操作手段の操作に連動して変速する変速機構、及び、該出力を、リバーサレバー(82)の操作に連動して切り替える油圧式正逆切替手段を有する、トラクタの正逆転切替装置において、該油圧式正逆転切替手段は、二つのリバーサ用油圧クラッチ(56・57)と、該リバーサレバー(82)に連動したリバーサコントロールバルブ(83)と、前記二つのリバーサ用油圧クラッチ(56・57)に供給される油圧を調整する役割を果たす比例減圧弁(81)により構成し、前記主変速操作手段及び副変速操作手段の、位置を検出する速度段検出手段、該リバーサレバー(82)の位置を検出する手段、並びに前記正逆切替手段の三者を、制御手段と接続し、該速度段検出手段の検出値が設定速度段以上において、前記リバーサレバー(82)が、前進から後進へ、又は後進から前進へ、「中立」位置を通過するのに要した通過時間(t)を計測し、該通過時間(t)が設定時間未満で切り替わった場合には、前記比例減圧弁(81)の圧力をゼロのまま維持すべく信号を送り、リバーサコントロールバルブ(83)のポンプポートをドレーンして圧力をゼロとし、上記リバーサレバー(82)が前進または後進の位置にあったとしても、リバーサコントロールバルブ(83)に油圧を供給しないこととし、該速度段検出手段の検出値が設定速度段未満において、前記リバーサレバー(82)が、前進から後進へ、又は後進から前進へ、「中立」位置を通過するのに要した通過時間(t)を計測し、該通過時間(t)が設定時間未満で切り替わった場合には、前記比例減圧弁(81)の、波形の立ち上がりを通常の波形(A)より一定時間(D)だけ遅らせる波形(B)として昇圧させ、一定時間(D)だけリバーサ用油圧クラッチ(56・57)の作動を遅延させて、その間に減速させるものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
次に、発明の実施の形態を説明する。図1は本発明の一実施例に係る農用トラクタの全体的な構成を示した側面図、図2は主変速レバー及び主変速レバー位置検出用のポテンショメータ並びに副変速レバーの配置構成を示した側面図、図3は副変速レバー位置検出スイッチの配置構成を示した側面図、図4はメインクラッチ及びトランスミッションの構成を示した側面断面展開図である。図5は本トラクタの動力伝達構成を示したスケルトン図、図6は本トラクタの油圧回路図である。
【0008】
まず、本発明の一実施例に係る農用トラクタの全体的な構成について、図1を用いて説明する。すなわち、このトラクタは、前後に前輪1及び後輪2を懸架する本体の前部にボンネット6を配設し、該ボンネット6内部にはエンジン5を配置している。ボンネット6の後方にはステアリングハンドル10を設けており、該ステアリングハンドル近傍にはリバーサ操作手段たるリバーサレバー82が配設される。
【0009】
該リバーサレバー82は「前進」・「中立」・「後進」の三段階切替としており、オペレータがリバーサレバー82を「前進」側又は「後進」側へ操作することにより、トラクタの駆動方向が前進方向又は後進方向に決定される。また、リバーサレバー82近傍位置にはリバーサレバー82の位置を検出するためのリバーサ位置検出手段が配設される。このリバーサ位置検出手段は、リバーサ中立検出スイッチ82a及びリバーサ後進検出スイッチ82bよりなり(両者とも図1においては図略)、リバーサレバー82が「中立」位置又は「後進」位置に位置するときのみそれぞれのスイッチ82a・82bがONとなるように構成している。
【0010】
上記ステアリングハンドル10の後方には、シート11を配設している。ステアリングハンドル10及びシート11は、キャビン12によって覆われる。
【0011】
エンジン5の後方には、クラッチハウジング8を配設し、該クラッチハウジング8の後方にはミッションケース9を連結し、エンジン5からの動力を後輪2に伝達して駆動している。但し、操作によっては、前輪1にも同時に駆動力を伝達する四輪駆動とすることも可能である。
【0012】
また、エンジン5の駆動力は、ミッションケース9後端から突出したPTO軸15に伝達されて、該PTO軸15を駆動し、機体後端に接続した作業機100(図1においては図略)を駆動するように構成している。
【0013】
そして、トラクタを操作するオペレータの足元には、クラッチを断接操作するための、クラッチペダル16が傾動可能に支持される。また、オペレータが座るシート11の側部には、変速を行うための主変速操作手段たる主変速レバー77と副変速操作手段たる副変速レバー98がそれぞれ図2の如く突設される。
【0014】
主変速レバー77は一〜四段階の変速M1・M2・M3・M4及び中立位置MNの計五つの位置に切替可能としており、該主変速レバー77の操作により車両の変速が行われる。そして、該主変速レバー77の近傍位置には速度段検出手段たるポテンショメータ77aが配置され該主変速レバー77と連係されており、主変速レバー77の位置を検出することとしている。
【0015】
上記副変速レバー98は二つの中立位置SN・SNとクリープ(超低速)SC、低速SL、中速SM及び高速SHの計六つの位置に切替可能で、オペレータが該副変速レバー98を操作することにより車両の変速が行われる。そして、該副変速レバー98の近傍位置には、もう一つの速度段検出手段たる副変速高速検出スイッチ98aが図3に示す如く配設される。該副変速高速検出スイッチ98aは、副変速レバー98が高速位置SHにあるときのみONとなるよう構成している。
【0016】
次に、クラッチハウジング8及びミッションケース9内の構成について、図4及び図5をもとに説明する。即ち、エンジン5の後方にクラッチハウジング8を固設し、クラッチハウジング8の後面にはミッションケース9が取り付けられる。ミッションケース9は前後に、二分割される構成(9a・9b)としており、間にセンタープレート13を挟持している。後半部のトランスミッションハウジング9bの後部左右側にはリアアクスルケースが固設される。
【0017】
次に、後車軸伝動系の構成について説明する。即ち、上記クラッチハウジング8内には、上記クラッチペダル16に連係される湿式多板式のメインクラッチ21が配置され、該メインクラッチ21の原動側軸22に、エンジン5のクランク軸の回転が入力される。メインクラッチ21の従動側軸23は機体後方に延出され、その後端に形設したギア23aには走行クラッチ軸24に遊嵌された主変速四速歯車34が噛合している。該主変速四速歯車34は主軸25に固設された伝達歯車44に噛合している。該主軸25には三枚の伝達歯車41・42・43が更に固設されあるいは形設されており、該三枚の伝達歯車41・42・43を介して、走行クラッチ軸24にそれぞれ遊嵌された主変速一速歯車31、主変速二速歯車32、主変速三速歯車33に動力が伝達される。従って、メインクラッチ21の従動側軸23が回転すると、主変速一速歯車31、主変速二速歯車32、主変速三速歯車33及び主変速四速歯車34は各々異なる回転数で回転することとなる。そして、上記主変速レバー77に連動連結された油圧制御弁により、四つの油圧クラッチ51・52・53・54のいずれか一が選択されて「接」とされて、四段階の変速が可能となり、主軸25の回転が該変速を経て走行クラッチ軸24に伝達される。
【0018】
走行クラッチ軸24はセンタープレート13を貫通して後方に延長される。該延長部分には正転側歯車26及び逆転側歯車27がそれぞれ同一軸心上に遊嵌される。そして、前記リバーサレバー82に連係する油圧制御弁の操作により、前進側のリバーサ用油圧クラッチ56又は後進側のリバーサ用油圧クラッチ57のいずれか一が選択され接続され、走行クラッチ軸24の回転は正転側歯車26又は逆転側歯車27のいずれか一に伝達される。ただし、リバーサレバー82がニュートラル位置の場合は、回転は両歯車26・27いずれにも伝達されない。
【0019】
正転側歯車26は副変速軸35に相対回転不能に連結され、同時に、クリープ変速軸36に固設された伝達歯車37に噛合しており、その回転を両軸35・36に伝達する。逆転側歯車27は、正逆転軸38の一端に形設された歯車39に噛合しており、該正逆転軸の他端に形設された歯車40は、クリープ変速軸36に固設された前記伝達歯車37に噛合する。従って、逆転側歯車27の回転は、正逆転軸38を介して該クリープ変速軸36を逆転方向に回転させる。また、該クリープ変速軸36の伝達歯車37に噛合する正転側歯車26を介して、それに連結された副変速軸35を逆転方向に回転させる。即ち、前述の二つのリバーサ用油圧クラッチ56・57を選択的に作動せしめることで、エンジン5の出力を正逆変換することが可能であり、この意味で、該リバーサ用油圧クラッチ56・57が前述の正逆切替手段としての役割を果たすものである。
【0020】
副変速軸35の後部には副変速第二軸45が同一軸心上に配置され遊転可能としており、該副変速第二軸45にはクリープ変速歯車46が遊嵌される。該クリープ変速歯車46はクリープ変速軸36に形設した歯車47に噛合している。また、副変速第二軸45には入力クラッチスライダ91が軸方向摺動可能にスプライン嵌合され、上述の副変速レバー98に連係されている。従って、該入力クラッチスライダ91は、上記副変速レバー98の操作により副変速軸35又はクリープ変速歯車46のいずれか一に噛み合って、その回転を副変速第二軸45に伝達可能としている。即ち、該入力クラッチスライダ91の摺動に基づく選択により、副変速軸35の回転又は副変速軸35からクリープ変速軸36によるクリープ変速を経た回転のいずれか一が、副変速第二軸45に入力される。
【0021】
また、出力軸48が副変速第二軸45と平行に軸支され、該出力軸48には二枚の伝達歯車49・50が固設される。該伝達歯車49・50は副変速第二軸45に遊嵌された二枚の変速歯車59・60に噛合している。また、副変速第二軸45には出力クラッチスライダ92が軸方向摺動可能にスプライン嵌合されている。該出力クラッチスライダ92は上述の副変速レバー98に連係されている。従って、副変速レバー98の操作により出力クラッチスライダ92が摺動され、二枚の変速歯車59・60のいずれか一に噛み合って、該副変速第二軸45の回転を二枚の変速歯車59・60のいずれか一に伝達可能としている。従って、出力クラッチスライダ92の摺動に基づく選択により、副変速第二軸45の回転が二段の変速を経て出力され、出力軸48に入力される。
【0022】
トランスミッションハウジング後部9bには後輪デフ部66bが配置され、前記出力軸48の回転が、その後端に形設したベベルギア20を介して該後輪デフ部66bに入力され、リアアクスルケース内の車軸、伝達歯車等を経由して後輪2を駆動する。
【0023】
次に、PTO伝動系について説明する。即ち、トランスミッションハウジング前部9a内には主軸25と平行にPTOクラッチ軸29が配置され、該PTOクラッチ軸29には四枚のPTO変速歯車、即ちPTO一速歯車61、PTO二速歯車62、PTO三速歯車63、PTO四速歯車64が遊嵌される。該PTO変速歯車61・62・63・64は、主軸25に固設あるいは形設した四枚の前記伝達歯車41・42・43・44に噛合しており、主軸25の回転により該PTO変速歯車61・62・63・64が異なる回転数で回転される。また、PTOクラッチ軸29にはPTO逆転歯車65が遊嵌され、該PTO逆転歯車65は、走行クラッチ軸24に遊嵌された前述の主変速一速歯車31に噛合している。即ち、該主変速一速歯車31は、PTO逆転付与機構のアイドルギアとしての役割をも果たす。
【0024】
また、PTOクラッチ軸には二つのPTOクラッチスライダ93・94が軸方向摺動可能にスプライン嵌合される。また、該PTOクラッチスライダ93・94は、図略のPTO変速レバーに連係されている。従って、両PTOクラッチスライダ93・94の摺動に基づく選択により、主軸の回転が四段階の変速を経た後にPTO軸に伝達される。また、主変速一速歯車31、PTO逆転歯車65を介して、主軸25の回転が正逆変換されてPTOクラッチ軸29に伝達される。即ち、正転四速、逆転一速の変速が両軸25・29の間に行われる。前記PTOクラッチ軸29はPTO軸15に相対回転不能に連結される。該PTO軸15は後方に延出され、トラクタ後端に接続された作業機100を駆動する。
【0025】
次に、前車軸伝動系について説明する。即ち、前記PTO軸15にはパイプ状の前輪入力軸55が遊転可能に外嵌され、該前輪入力軸55と平行に前輪クラッチ軸30が軸支される。前記前輪入力軸55には入力歯車67が固設され、該入力歯車67は前記出力軸48に固設された二枚の伝達歯車のうちの一枚49に噛合している。該前輪入力軸55には更に二枚の変速歯車18・19が固設され、該変速歯車は前輪クラッチ軸30に遊嵌された二枚の歯車、即ち四輪駆動側歯車68及び前輪倍速側歯車69にそれぞれ噛合している。
【0026】
そして、図略の4WD・前輪倍速切替スイッチに連動する油圧制御弁の操作により、二つの油圧クラッチ78・79のいずれか一が選択され接続されて、前輪入力軸55の回転が略二倍の増速あるいは略等速で前輪クラッチ軸30に伝達される。前輪クラッチ軸30の回転は前端に連結する前輪伝達軸14、ユニバーサルジョイント等を介して前輪側のデフ部66aに入力され、フロントアクスルケース内の車軸、伝達歯車等を介して前輪1を駆動する。
【0027】
以上構成のトラクタに具備される油圧回路の構成を、図6をもとに説明する。即ち、油タンク(ミッションケース)71内の作動油はサクションストレーナ73を経て二方向に分岐され、一方は走行系油圧ポンプ72によりパワーステアリングユニット74に圧送される。このパワーステアリングユニット74は、ステアリングハンドル10を操作するのに必要なトルクを低減すべく設けられるものであって、ステアリングハンドル10に連動した切替弁75により、前輪操向装置に連結された複動シリンダ76が駆動され、前輪1に舵取り角を与えることとしている。
【0028】
パワーステアリングユニット74を経た作動油は三つに分岐され、一つは主変速レバー77に連動した主変速コントロールバルブ80により、四つの油圧クラッチ51・52・53・54のいずれか一を作動させ、主変速を行う。もう一つは比例減圧弁81を経て、リバーサレバー82に連動したリバーサコントロールバルブ83により、二つのリバーサ用油圧クラッチ56・57のうちいずれか一を作動させ、トラクタの前進又は後進の切り替えを行う。前記比例減圧弁81は電磁バルブよりなるON/OFF切替弁より構成されており、上述のリバーサ用油圧クラッチ56・57に供給される油圧を調整する役割を果たす。また、比例減圧弁81の切替によりリバーサコントロールバルブ83のポンプポートをドレーンして圧力をゼロとすることで、リバーサレバー82の位置に関係なくリバーサ用油圧クラッチ56・57のいずれをも作動させなくすることもできる。残りは電磁コントロールバルブ95を経て、二つの油圧クラッチ78・79のうちいずれか一を作動させて、前輪増速又は四輪駆動の切り替えを行う。前輪増速時は、更に後輪左右に設けられるブレーキ装置84・85のうち旋回内側のものを作動させて、カーブの際の旋回半径を小さいものとしている。
【0029】
次に、作業機制御系の油圧回路について説明する。前記油タンク71からサクションストレーナ73を経て分岐された作動油は、作業機用油圧ポンプ86により、外部油圧取出部87を経て作業機制御用ユニット88に圧送される。そして、作業機昇降用シリンダ89及び作業機水平制御シリンダ90を適宜作動させ、トラクタ後端に連結された作業機100の昇降及び水平制御を行う。
【0030】
次に、上記のリバーサ用油圧クラッチ56・57に圧油を供給する比例減圧弁81の制御について、図7から図11までを用いて説明する。図7は比例減圧弁の制御装置の構成図である。図8は制御装置の制御フローを示した図である。図9はリバーサの通常切替時における比例減圧弁の圧力波形を示した図、図10は低速状態においてリバーサの急切替がされた場合の比例減圧弁の圧力波形を示した図、図11は高速状態においてリバーサの急切替がされた場合の比例減圧弁の圧力波形を示した図である。尚、図9から図11までに示す記号「F」、「N」、「R」は、それぞれリバーサレバー82の「前進」、「中立」、「後進」を意味している。
【0031】
即ち、図6及び図7に示す比例減圧弁81は電磁切替型のものであって、制御手段たる制御装置96に電気的に接続されており、該制御装置96が送出する信号により圧力(デューティ比)が制御される。尚、97は該制御装置96に電力を供給するバッテリーである。
【0032】
そして、主変速レバー77の位置を検出する前記ポテンショメータ77a及び副変速レバー98の高速位置を検出する前記副変速高速検出スイッチ98aが該制御装置96に電気的に接続される。そして、ポテンショメータ77aの抵抗値及び副変速高速検出スイッチ98aの状態についての情報が該制御装置96に入力され、該制御装置96はその情報をもとに、主変速レバー77及び副変速レバー98により決定される速度段が、高速状態にあるか否かを判断する。具体的には、例えば、副変速高速検出スイッチ98aがONであれば、副変速レバー98が高速位置SHにあることを意味するから、さらに主変速レバー77の位置が一定位置(例えば第三速の位置M3又は第四速M4の位置)にあれば、速度段が高速状態にあると判断する等である。
【0033】
更に、リバーサレバー82の位置を検出するリバーサ中立検出スイッチ82a及びリバーサ後進検出スイッチ82bが制御装置96に接続される。そして、両スイッチ82a・82bの状態についての情報が該制御装置96に入力され、該制御装置96はその情報をもとに、リバーサレバー82が現在「前進」「中立」「後進」のどの位置にあるかを判断する。
【0034】
そして該制御装置96は、上記判断結果をもとに、比例減圧弁81を次のように制御する。即ち、図8に示す如く、制御装置96は最初に上記速度段検出手段77a・98aの検出値により、現在の速度段が高速状態にあるか否かを判断する。そして、現在の速度段が高速状態にある場合は、リバーサレバー82が「中立」位置を通過するのに要した時間(図9から図11までに示すt)を計測する。 そして、該通過時間tが一定値未満であるときは、制御装置96はリバーサレバー82が前進から後進へ又は後進から前進へ急激に切り替えられたものと判断する(以下、この急激な切替操作を「急操作」と定義する)。この場合は高速走行時であるので、制御装置96は油圧クラッチ56・57の焼き付きを防止すべく、図11に示す如く、比例減圧弁81の圧力を0のまま維持すべく信号を送り、リバーサコントロールバルブ83のポンプポートをドレーンして圧力をゼロとする。従って、上記リバーサレバー82が前進または後進の位置にあったとしても、リバーサコントロールバルブに油圧が供給されないので、二つのリバーサ用油圧クラッチ56・57のいずれも作動せず、結果として両クラッチ56・57が過負荷から保護される。
【0035】
一方、該通過時間tが一定値以上であるときは、制御装置96はリバーサレバー82の急操作が行われなかったものと判断して、通例の如く、即ち図9に示すAの波形の如く比例減圧弁81を昇圧する。即ち、この場合は、リバーサレバーが中立位置にある時間が長いので、その間に十分に減速がされることとなる。従って、通常時と同様にリバーサ用油圧クラッチ56・57を作動させても、オペレータが感じるショックは小さいものであり、該クラッチ56・57の焼き付きという問題も発生しないことから、直ちに該クラッチ56・57を作動させることとしている。
【0036】
一方、現在の速度段が高速状態にない(即ち、低速状態又は中速状態である)場合も、制御装置96はリバーサレバー82が「中立」位置を通過するのに要した時間tを計測する。そして、該通過時間tが一定値未満であるときは、制御装置96はリバーサレバー82が急操作されたものと判断する。この場合は慣性力によるショックを緩和すべく、波形の立ち上がりが上述のAの波形より一定時間Dだけ遅らせることとしたBの波形(図10)の如く、比例減圧弁81を昇圧する。即ち、この場合は、リバーサレバー82が中立位置にある時間が短いので減速が不十分であり、通常時と同様にリバーサ用油圧クラッチ56・57を作動させると大きい慣性力が発生してオペレータに強いショックを与えることから、一定時間Dだけリバーサ用油圧クラッチ56・57の作動を遅延させて、その間に十分に減速をさせることとしているのである。
【0037】
一方、該通過時間tが一定値以上であるときは、制御装置96はリバーサレバー82の急操作が行われなかったものと判断して、通例の如く、即ち図9に示すAの波形の如く比例減圧弁81を昇圧する。即ち、この場合は中立位置にある時間が長いことから十分な減速がされているので、発生する慣性力は小さく、生じるショックは許容範囲であることから、通常と同様に直ちにリバーサ用油圧クラッチ56・57を作動させることとしたものである。
【0038】
【発明の効果】
本発明は、以上のように構成したので、以下に示すような効果を奏するのである。
エンジンからの出力を、主変速操作手段及び副変速操作手段の操作に連動して変速する変速機構、及び、該出力を、リバーサレバー(82)の操作に連動して切り替える油圧式正逆切替手段を有する、トラクタの正逆転切替装置において、該油圧式正逆転切替手段は、二つのリバーサ用油圧クラッチ(56・57)と、該リバーサレバー(82)に連動したリバーサコントロールバルブ(83)と、前記二つのリバーサ用油圧クラッチ(56・57)に供給される油圧を調整する役割を果たす比例減圧弁(81)により構成し、前記主変速操作手段及び副変速操作手段の、位置を検出する速度段検出手段、該リバーサレバー(82)の位置を検出する手段、並びに前記正逆切替手段の三者を、制御手段と接続し、該速度段検出手段の検出値が設定速度段以上において、前記リバーサレバー(82)が、前進から後進へ、又は後進から前進へ、「中立」位置を通過するのに要した通過時間(t)を計測し、該通過時間(t)が設定時間未満で切り替わった場合には、前記比例減圧弁(81)の圧力をゼロのまま維持すべく信号を送り、リバーサコントロールバルブ(83)のポンプポートをドレーンして圧力をゼロとし、上記リバーサレバー(82)が前進または後進の位置にあったとしても、リバーサコントロールバルブ(83)に油圧を供給しないので、二つのリバーサ用油圧クラッチ(56・57)のいずれも作動せず、結果として両クラッチ(56・57)が過負荷から保護するように制御したので、高速走行時においてリバーサが急激に切り替わった場合は正逆切替手段が中立となった後油圧の供給が断たれるので、リバーサ操作手段が前進又は後進位置にあっても正逆切替手段は作動せず、エンジンの出力は車軸に伝達されないこととなる。
従って、オペレータの誤操作等によりリバーサ操作手段が急激に切り替わった場合でも、切替手段は作動しないので、車軸が逆方向に急激に駆動されることがなく、この結果慣性力によりオペレータが強いショックを感じることが防止される。
【0039】
また、高速走行時におけるリバーサ急切替時に発生する過大な負荷が正逆切替手段に作用することが防止され、クラッチの焼き付き等が起こらなくなり、該正逆切替手段に用いる部品の寿命を長いものとすることができる。
【0040】
また、該速度段検出手段の検出値が設定速度段未満において、前記リバーサレバー(82)が、前進から後進へ、又は後進から前進へ、「中立」位置を通過するのに要した通過時間(t)を計測し、該通過時間(t)が設定時間未満で切り替わった場合には、比例減圧弁(81)の、波形の立ち上がりを通常の波形(A)より一定時間(D)だけ遅らせる波形(B)として昇圧させ、一定時間(D)だけリバーサ用油圧クラッチ(56・57)の作動を遅延させて、その間に減速させるので、その間に多少の減速を図ることができる。
従って、リバーサ切替時に発生する慣性力を低減することができ、オペレータが感じるショックが緩和され、運転時にオペレータに不安や不快感を与えることが少なくなる。
即ち、オペレータにとって信頼性・安定性の高い、操作フィーリングの良いトラクタを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例に係る農用トラクタの全体的な構成を示した側面図。
【図2】 主変速レバー及び主変速レバー位置検出用のポテンショメータ並びに副変速レバーの配置構成を示した側面図。
【図3】 副変速レバー位置検出スイッチの配置構成を示した側面図。
【図4】 メインクラッチ及びトランスミッションの構成を示した側面断面展開図。
【図5】 本トラクタの動力伝達構成を示したスケルトン図。
【図6】 本トラクタの油圧回路図。
【図7】 比例減圧弁の制御装置の構成図。
【図8】 制御装置の制御フローを示した図。
【図9】 リバーサの通常切替時における比例減圧弁の圧力波形を示した図。
【図10】 低速状態においてリバーサの急切替がされた場合の比例減圧弁の圧力波形を示した図。
【図11】 高速状態においてリバーサの急切替がされた場合の比例減圧弁の圧力波形を示した図。
【符号の説明】
5 エンジン
16 クラッチペダル
21 メインクラッチ
56・57 リバーサ用油圧クラッチ(正逆切替手段)
77 主変速レバー(主変速操作手段)
77a ポテンショメータ(速度段検出手段)
81 比例減圧弁
82 リバーサレバー(リバーサ操作手段)
83 リバーサコントロールバルブ
96 制御装置(制御手段)
98 副変速レバー(副変速操作手段)
98a 副変速高速検出スイッチ(速度段検出手段)
Claims (1)
- エンジンからの出力を、主変速操作手段及び副変速操作手段の操作に連動して変速する変速機構、及び、該出力を、リバーサレバー(82)の操作に連動して切り替える油圧式正逆切替手段を有する、トラクタの正逆転切替装置において、該油圧式正逆転切替手段は、二つのリバーサ用油圧クラッチ(56・57)と、該リバーサレバー(82)に連動したリバーサコントロールバルブ(83)と、前記二つのリバーサ用油圧クラッチ(56・57)に供給される油圧を調整する役割を果たす比例減圧弁(81)により構成し、前記主変速操作手段及び副変速操作手段の、位置を検出する速度段検出手段、該リバーサレバー(82)の位置を検出する手段、並びに前記正逆切替手段の三者を、制御手段と接続し、該速度段検出手段の検出値が設定速度段以上において、前記リバーサレバー(82)が、前進から後進へ、又は後進から前進へ、「中立」位置を通過するのに要した通過時間(t)を計測し、該通過時間(t)が設定時間未満で切り替わった場合には、前記比例減圧弁(81)の圧力をゼロのまま維持すべく信号を送り、リバーサコントロールバルブ(83)のポンプポートをドレーンして圧力をゼロとし、上記リバーサレバー(82)が前進または後進の位置にあったとしても、リバーサコントロールバルブ(83)に油圧を供給しないこととし、該速度段検出手段の検出値が設定速度段未満において、前記リバーサレバー(82)が、前進から後進へ、又は後進から前進へ、「中立」位置を通過するのに要した通過時間(t)を計測し、該通過時間(t)が設定時間未満で切り替わった場合には、前記比例減圧弁(81)の、波形の立ち上がりを通常の波形(A)より一定時間(D)だけ遅らせる波形(B)として昇圧させ、一定時間(D)だけリバーサ用油圧クラッチ(56・57)の作動を遅延させて、その間に減速させることを特徴とするトラクタの正逆転切替装置。
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- 1998-11-24 JP JP33307398A patent/JP4098903B2/ja not_active Expired - Lifetime
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