JP4070444B2 - 不飽和アミン類の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、医薬品或いはその合成中間体、ポリマー原料、界面活性剤原料等として広く利用される不飽和アミン類の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、不飽和イミン類又は不飽和オキシム類の選択還元により不飽和アミン類を製造する方法は公知であり、例えば、▲1▼水素化アルミニウムリチウム、水素化ホウ素ナトリウム等の水素化金属化合物で不飽和イミン類又は不飽和オキシム類を還元する方法、▲2▼不飽和イミン類又は不飽和オキシム類を電解還元する方法、▲3▼ナトリウムアマルガムを用いて不飽和イミン類又は不飽和オキシム類を還元する方法、▲4▼ポリメチルヒドロシロキサン等のシロキサン類で不飽和イミン類又は不飽和オキシム類を還元する方法などが知られている。
これらの中でも操作の簡便さ、化合物の入手の容易さ等の観点から、特に▲1▼の水素化金属化合物で不飽和イミン類又は不飽和オキシム類を還元する方法が通常採用されている[J.Am.Chem.Soc.,74,5185(1952)、Chem.Ber.,121,225(1988)、Synthesis,587(1988)、J.Org.Chem.,63,370(1998)、J.Org.Chem.,61,3849(1996)等]。ところが、この方法で使用する還元剤の水素化金属化合物は非常に高価であり、これを原料の不飽和イミン類又は不飽和オキシム類に対して等量以上使用しなければならないため、工業的に実施するには経済性の観点からは有利な方法とは言いがたい。
上記方法のほかに、遷移金属錯体の存在下、不飽和結合を有する環状イミニウム塩を水素と反応させて不飽和結合を有する環状アミンを製造する方法が知られている[Terahedron−Asymmetry,9,4043(1998)]。当該方法では、例えば、クロロ(1,5−シクロオクタジエン)イリジウム(I)二量体[{Ir(COD)Cl}2]及び配位子としてのキラルなアミドフォスフィン−フォスフィナイト、並びにテトラブチルアンモニウム=ヨージドの存在下、トルエン及びメタノールの混合溶媒中、3,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロイソキノリン誘導体の酸塩を水素で還元して1,2,3,4,5,6,7,8−オクタヒドロイソキノリン誘導体を得ている。
しかしながらこの方法においては、反応に不飽和結合を有するイミンの酸塩を使用しており、不飽和イミン類をそのまま水素と反応させて不飽和アミン類を製造するものではない。そして遷移金属錯体触媒と共に四級アンモニウム塩を併用しているため、触媒の回収、再使用が困難であると考えられる。
また、上記方法のほかに、例えば、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノアミノ)シクロヘキサンと1,2−ジフェニルエチレンジアミンを配位子として含むルテニウムヒドリド錯体を触媒に用いて、イソプロポキシカリウムの存在下、水素で共役不飽和イミンの還元を行う方法が知られている。[Organometallics,20,6,1048(2001)]。当該方法によって、例えば、ベンゼン溶媒中或いは無溶媒で、1−アザ−1,4−ジフェニル−2−メチルブタジエンを還元して、N,3−フェニル−1−メチルアリルアミンが48%及びN,3−ジフェニル−1−メチルプロピルアミンが52%の割合で得られている。
この方法においては、脂溶性錯体触媒を用いており、触媒と目的物の分離及び触媒の再使用のための回収操作が煩雑若しくは分離、回収が困難であることが予想される。
なお、デリケートな金属錯体を触媒として使用した後、使用後の金属錯体を触媒として再使用することは、きわめて困難であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、不飽和イミン類又は不飽和オキシム類の選択的還元により不飽和アミン類を製造するにあたり、上記従来法の問題点を解決した工業的に適用しうる簡便な方法、即ち、使用後の触媒の回収再使用が容易な触媒反応によって不飽和アミン類を選択的に製造できる方法を提供することを課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を行った。その結果、不飽和イミン類又は不飽和オキシム類を水素で還元して不飽和アミン類を製造する際に、親水性ホスフィン化合物を配位子として有する水溶性の遷移金属錯体を触媒として用い、そして還元を多相系溶媒中で行う方法によって、4級アンモニウム塩を用いることなく目的の不飽和アミン類を選択的に容易に製造できることを見出した。そして触媒として使用した水溶性の遷移金属錯体は反応終了後の反応混合物から容易に回収でき、これを反応に再使用できることも見出し、本発明を完成するに至った。
【0005】
即ち本発明は、親水性ホスフィン化合物を配位子として有する水溶性の遷移金属錯体の存在下、多相系溶媒中で不飽和イミン類又は不飽和オキシム類を、水素と反応させて不飽和アミンを製造することを特徴とする不飽和アミン類の製造方法に関する。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明を以下に詳しく説明する。
本発明に用いられる不飽和イミン類とは、分子内に炭素原子間の不飽和結合を少なくとも1個とイミノ基を少なくとも1個有する化合物であり、また不飽和オキシム類とは、分子内に炭素原子間の不飽和結合を少なくとも1個とヒドロキシイミノ基及びアルコキシイミノ基から選ばれる基を少なくとも1個有する化合物である。
【0007】
当該不飽和イミン類又は不飽和オキシム類としては、一般に公知の方法によって製造したものを使用できる。例えば、以下に示す反応経路にしたがって、ケトン類又はアルデヒド類をアンモニア、第一級アミン、ヒドロキシルアミン又はアルコキシルアミン類と反応させて製造したものを用いることができる。
【0008】
【化1】
Figure 0004070444
(式中、R1及びR2は同じか或いは互いに異なってそれぞれ水素原子又はいずれも置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基或いはアリール基を表すか、又はR1及びR2が一緒になってそれらが結合する炭素原子と共に環を形成する基を表し、R3及びR4はそれぞれ水素原子又はいずれも置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基或いはアリール基を表し、且つ、R1、R2、R3及びR4から選ばれる少なくとも1つが炭素原子間の不飽和結合を少なくとも1個有する基である。)
【0009】
上記式中、R1、R2、R3及びR4で表される置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基及びシクロアルケニル基において置換基を持たないものとしては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等の炭素数1〜6の直鎖状及び分岐鎖状のアルキル基;アリル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、ビニル基等の炭素数2〜4の直鎖状及び分岐鎖状のアルケニル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等の炭素数5〜8のシクロアルキル基;該シクロアルキル基において隣接する炭素原子間の結合の少なくとも1つが二重結合であるシクロアルケニル基;等が挙げられ、これらが置換基を有するものであるとき、置換基としては、例えば、水酸基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等の炭素数1〜4の直鎖状及び分岐鎖状のアルコキシ基;フェニル基及びナフチル基並びにこれらが前記アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基及びアルコキシ基並びに水酸基等から選ばれる置換基を1個以上有していてもよいアリール基;等を挙げることができる。またR1、R2又はR6で表される置換基を有していてもよいアリール基としては、例えば、前記置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基及びアルコキシ基並びに水酸基からなる群より選ばれる基を1個以上有していてもよいフェニル基及びナフチル基等を挙げることができる。
【0010】
また、R1とR2が一緒になってそれらが結合する炭素原子と共に環を形成する基としては、例えば、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基及びヘキサメチレン基等のアルキレン基;これらアルキレン基が前記アルキル基、アルコキシ基及び水酸基等から選ばれる置換基を1個以上有するもの;及びこれら置換基を有していてもよいアルキレン基においてアルキレン鎖中に炭素原子間の二重結合を1個以上有する基;並びにこれらが窒素原子及び/又は酸素原子によって中断されているもの(即ち、例えば、R1とR2が一緒になってそれらが結合する炭素原子と共にピペリジン環、モルホリン環等の複素環を形成するもの)等を挙げることができる。
【0011】
本発明に用いられる不飽和イミン類及び不飽和オキシム類は、上記の例に限定されず、またシン型及びアンチ型の立体構造についても特に制限はない。
【0012】
本発明において触媒として用いられる親水性ホスフィン化合物を配位子として有する水溶性の遷移金属錯体(以下、単に水溶性遷移金属錯体という。)において、親水性ホスフィン化合物は、親水性であって遷移金属原子又はそのイオンと共に錯体を形成し得るホスフィン化合物であればいずれも用いることができ、公知のものを広く適用することができる。親水性ホスフィン化合物は、分子中にリン原子を1個又は2個以上含むもののいずれであってもよく、好ましくは分子中にリン原子を1個又は2個含むものである。
【0013】
分子中にリン原子を1個含む親水性ホスフィン化合物としては、例えば、式(1):
【0014】
【化2】
Figure 0004070444
(式中、R5はスルホナト基(−SO31:M1はアルカリ金属イオン又はアンモニウムイオンを表す。以下、同様。)及びカルボキシラート基(−COOM2:M2はアルカリ金属イオン又はアンモニウムイオンを表す。以下、同様。)からなる群より選ばれる置換基を1個以上有するアリール基;炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基;スルホナト基及びカルボキシラート基からなる群より選ばれる置換基を1個以上有する炭素数1〜6のアルキル基;又は下記式(2)〜(6)から選ばれる基を表し、R6及びR7は互いに同じか或いは異なってそれぞれ置換基を有していてもよいアルキル基、アルコキシ基、アリール基或いはアラルキル基を表す。)で示される化合物等が代表的なものとして挙げられる。
【0015】
【化3】
Figure 0004070444
(式中、R8は水素原子又は炭素数1〜18のアルキル基を表し、aは0〜3の整数、bは2〜16の整数である。)
【0016】
【化4】
Figure 0004070444
(式中、M3はアルカリ金属イオン又はアンモニウムイオンを表し、cは2〜10の整数である。)
【0017】
【化5】
Figure 0004070444
(式中、dは2〜16の整数である。)
【0018】
【化6】
Figure 0004070444
(式中、R9はメチレン基、炭素数2〜6のポリメチレン基又はフェニレン基を表し、eは3〜7の整数である。)
【0019】
【化7】
Figure 0004070444
(式中、fは3〜7の整数である。)
【0020】
上記式(1)においてR5で表されるスルホナト基及びカルボキシラート基からなる群より選ばれる置換基を1個以上有するアリール基は、好ましくはスルホナト基又はカルボキシラート基を1個又は2個有するフェニル基、ナフチル基、ビフェニリル基及びビナフチリル基であり、炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基は、好ましくはヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、4−ヒドロキシブチル基等の炭素数1〜4のヒドロキシアルキル基であり、スルホナト基及びカルボキシラート基からなる群より選ばれる置換基を1個以上有する炭素数1〜6のアルキル基は、好ましくはスルホナト基又はカルボキシラート基を1個有する炭素数1〜4のアルキル基である。
【0021】
上記式(1)において、式中のR6及びR7で表される置換基を有していてもよいアルキル基、アルコキシ基、アリール基及びアラルキル基には、上記R5で示される置換基が包含される。その他の置換基を有していてもよいアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基及びn−ヘキシル基等の炭素数1〜6の直鎖状又は分岐鎖状の無置換のアルキル基並びにこれらが、水酸基、ニトロ基、アミノ基及びハロゲン原子からなる群より選ばれる置換基を1個以上有するもの等が挙げられ、置換基を有していてもよいアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロポキシ基、n−ブチルオキシ基、イソブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基等の炭素数1〜6の直鎖状又は分岐鎖状の無置換のアルコキシ基並びに当該無置換のアルコキシ基が水酸基、ニトロ基、アミノ基及びハロゲン原子等からなる群より選ばれる置換基を1個以上有するもの等が挙げられ、置換基を有していてもよいアリール基としては、例えば、前記置換基を有していてもよいアルキル基及びアルコキシ基並びに水酸基からなる群より選ばれる置換基を1個以上有していてもよいフェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、フェニルナフチル基並びにビナフチル基等(具体的には、例えば、置換基を有していてもよいフェニル基としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、クミル基、メトキシフェニル基、ヒドロキシフェニル基、ヒドロキシトリル基等)が挙げられ、置換基を有していてもよいアラルキル基としては、例えば、前記置換基を有していてもよいアルキル基に前記置換基を有していてもよいアリール基が置換したもの等(具体的には、例えば、ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基、トリルメチル基、キシリルメチル基、(ヒドロキシフェニル)メチル基等)が挙げられる。
【0022】
分子中にリン原子を1個含む親水性ホスフィン化合物は上記式(1)で示される化合物に限定されない。分子中にリン原子を1個含む親水性ホスフィン化合物の具体例としては、例えば、以下の化合物を挙げることができる。
【0023】
【化8】
Figure 0004070444
【0024】
【化9】
Figure 0004070444
(式中、hは1、2、4、5又は7である。)
【0025】
【化10】
Figure 0004070444
(式中、R10は炭素数4〜18の直鎖状のアルキル基を表し、kは7〜16の整数、mは0〜2の整数、nは1〜3の整数であり、m+n=3である。)
【0026】
【化11】
Figure 0004070444
【0027】
【化12】
Figure 0004070444
(式中、pは2〜16の整数、qは0〜2の整数、rは1〜3の整数であり、q+r=3である。)
【0028】
【化13】
Figure 0004070444
(式中、sは1又は2である。)
【0029】
【化14】
Figure 0004070444
(式中、fは上記と同じ。)
【0030】
【化15】
Figure 0004070444
(式中、tは2〜16の整数である。)
【0031】
【化16】
Figure 0004070444
【0032】
また、分子中にリン原子を2個含む親水性ホスフィン化合物としては、例えば、式(7):
【0033】
1112P−A−PR1314 (7)
[式中、R11、R12、R13及びR14は互いに同じか或いは異なってそれぞれ置換基を有していてもよいアルキル基、アルコキシ基、アリール基又はアラルキル基を表し、Aは置換基を有していてもよいアルキレン基;置換基を有していてもよいアリーレン基;又は式(8):
【0034】
【化17】
Figure 0004070444
(式中、uは1〜6の整数である。)で示される基を表し、Aが置換基を有していてもよいアルキレン基又はアリーレン基の場合、当該アルキレン基及びアリーレン基はスルホナト基及びカルボキシラート基からなる群より選ばれる置換基を1個以上有し及び/又はR11、R12、R13及びR14の少なくとも1個は式(1)中のR5と同様である。]で示される化合物が挙げられる。
【0035】
式(7)中のR11、R12、R13及びR14の置換基を有していてもよいアルキル基、アルコキシ基、アリール基及びアラルキル基は、上記式(1)におけるR6及びR7と同様である。
【0036】
また式(7)中のAで表される置換基を有していてもよいアルキレン基としては、例えば、メチレン基;エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基及びヘキサメチレン基等のポリメチレン基;これらが置換基を有していてもよいアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アラルキル基[上記式(1)におけるR6及びR7のそれらと同様]、スルホナト基及びカルボキシラート基からなる群から選ばれる少なくとも1個の置換基を有していてもよい基等が挙げられる。置換基を有していてもよいアリーレン基としては、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニリレン基及びビナフチリレン基並びにこれらが置換基を有していてもよいアルキル基、アルコキシ基、アラルキル基及びアリール基[上記式(1)におけるR6及びR7のそれらと同様]並びにスルホナト基及びカルボキシラート基からなる群から選ばれる少なくとも1個の置換基を有していてもよい基が挙げられる。
【0037】
分子中にリン原子を2個含む親水性ホスフィン化合物は、上記式(7)で示される化合物に限定されるものではない。分子中にリン原子を2個含む親水性ホスフィン化合物の具体例としては、例えば、以下の化合物を挙げることができる。
【0038】
【化18】
Figure 0004070444
【0039】
【化19】
Figure 0004070444
【0040】
【化20】
Figure 0004070444
【0041】
【化21】
Figure 0004070444
【0042】
【化22】
Figure 0004070444
【0043】
【化23】
Figure 0004070444
【0044】
【化24】
Figure 0004070444
【0045】
【化25】
Figure 0004070444
【0046】
【化26】
Figure 0004070444
【0047】
【化27】
Figure 0004070444
【0048】
【化28】
Figure 0004070444
【0049】
【化29】
Figure 0004070444
【0050】
【化30】
Figure 0004070444
【0051】
本発明において親水性ホスフィン化合物がキラルな化合物であり、不飽和イミン類又は不飽和オキシム類がプロキラルな化合物であるときには、本発明によりキラルな不飽和アミン類が得られることが期待される。このようなキラルな親水性ホスフィン化合物としては、例えば、上記の分子中にリン原子を2個含むホスフィン化合物におけるビナフチル誘導体のキラルな化合物等を挙げることができる。また、キラルな置換基を側鎖に持ったフェロセニルホスフィンで分子内にヒドロキシメチル基を持つもの、またキラルな置換基を側鎖に持ったフェロセニルホスフィンでシクロペンタジエン環にスルホナト基を持つもの等も本発明に使用可能なキラルな親水性ホスフィン化合物として挙げられる。
【0052】
なお親水性ホスフィン化合物は、従来公知の方法にしたがって調製することができる。
【0053】
本発明の水溶性遷移金属錯体は、当該錯体が水溶性である限りにおいて、親水性ホスフィン化合物以外に、他の配位子を含んでいてもよい。他の配位子としては、具体的には、例えば、トリフェニルホスフィン、1,5−シクロオクタジエン、ハロゲンイオン(塩素イオン、臭素イオン又はヨウ素イオン)、2,2‘−ジピリジル、p−シメン、CO、トリ(シクロヘキシル)ホスフィン、シクロペンタジエン、ペンタメチルシクロペンタジエン、エチレンジアミン及びノルボルナジエン等、従来公知の遷移金属錯体に含まれる配位子を挙げることができる。
【0054】
また本発明における水溶性遷移金属錯体を構成する遷移金属としては、例えば、8族、9族及び10族の遷移金属が挙げられ、好ましくは、ロジウム、イリジウム及びルテニウムである。これら遷移金属は、0価の原子又は陽イオンとして本発明の水溶性遷移金属錯体を構成する。
【0055】
本発明における水溶性遷移金属錯体は、上記親水性ホスフィン化合物を、上記遷移金属の化合物と反応させて調製することができる。水溶性遷移金属錯体の調整原料として用いられる遷移金属化合物としては、例えば、クロロ(1,5−シクロオクタジエン)イリジウム(I)二量体、クロロ(1,5−シクロオクタジエン)ロジウム(I)二量体、ジクロロ(1,5−シクロオクタジエン)ルテニウム(II)、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ロジウム(I)テトラフルオロボレート等を挙げることができるがこれらに限定されない。
【0056】
本発明の水溶性遷移金属錯体の調整方法は特に限定されず、従来公知の方法を適用することができ、例えば、親水性ホスフィン化合物を調整原料の遷移金属化合物と溶媒中で反応させた後、溶媒を除去し、得られた固体を再結晶等により精製する方法が挙げられる。また、本発明の方法によって不飽和イミン類又は不飽和オキシム類を水素と反応させる際に、水溶性遷移金属錯体に代えて調製原料の遷移金属化合物及び親水性ホスフィン化合物を反応系に加えて混合することにより、反応系にて本発明の水溶性遷移金属錯体を形成させてもよい。
【0057】
本発明において、水溶性遷移金属錯体の使用量は、原料の不飽和イミン類又は不飽和オキシム類1モルに対して通常0.0001〜0.2モル、好ましくは0.001〜0.1モルである。
【0058】
本発明の不飽和イミン類又は不飽和オキシム類と水素との反応は、多相系溶媒中で行われる。多相系溶媒とは、互いに混和しない2種以上の溶媒の組み合わせからなり、静置状態でそれぞれの溶媒の相に層分離する混合溶媒である。具体的には、例えば、水、有機溶媒及びイオン性流体から選ばれる少なくとも2種類の互いに混和しない溶媒を組み合わせて用いた混合溶媒である。有機溶媒としては、例えば、n−ヘキサン等の脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン及びキシレン等の芳香族炭化水素、ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素、テトラリン等の脂環式炭化水素、ジエチルエーテル等のエーテル類等が挙げられ、イオン性流体としては、例えば、N,N’−ジアルキル置換イミダゾリウム=テトラフルオロボレート、N,N’−ジアルキル置換イミダゾリウム=ヘキサフルオロホスフェート、N−アルキル置換ピリジニウム=ヘキサフルオロホスフェート等が挙げられる。ここで、水、有機溶媒及びイオン性流体の組み合わせは、本発明における水溶性遷移金属錯体と目的物の不飽和アミン類のそれぞれを異なる溶媒の相に溶解して容易に分離できるような組み合わせが好ましく、不飽和アミン類の溶解特性に応じて決定すればよい。
【0059】
特に好ましくは多相系溶媒として水及び水と混和しない有機溶媒の混合溶媒を用いる。目的物の不飽和アミン類の多くは、有機溶媒相に溶解するので、反応終了後、水相と有機相を分液すれば、水溶性遷移金属錯体を水相に、不飽和アミン類を有機溶媒相に、それぞれ溶解して分離、回収することができる。また不飽和アミン類が水及び有機溶媒のいずれにも溶解し得る場合には、水相と有機溶媒相を分液した後、さらに水相から不飽和アミン類を水と混和しない有機溶媒で抽出して分離してもよい。なお、このようにして得られる水相に含まれる水溶性遷移金属錯体は、そのまま、本発明の不飽和イミン類又は不飽和オキシム類と水素との反応の触媒として再利用することができる。
【0060】
多相系溶媒の使用量は特に限定されないが、不飽和イミン類又は不飽和オキシム類1重量部に対して通常0.5〜100重量部、好ましくは2〜20重量部である。
【0061】
本発明の反応の水素圧力は、通常0.1〜10MPa(約1〜100kg/cm2)程度であり、好ましくは2〜6MPa(20〜60kg/cm2)である。また反応温度は、通常0〜200℃の範囲でよく、好ましくは50〜150℃である。反応時間は特に制限はない。
【0062】
本発明の不飽和アミン類の製造法を実施するには、反応器に不飽和イミン類又は不飽和オキシム類、水溶性金属錯体及び多相系溶媒を仕込んだ後、上記水素圧力にし、上記反応温度にて攪拌すればよい。なお反応は、低酸素状態若しくは酸素が存在しない条件下で実施するのが好ましく、反応に用いる化合物が液体であるときには脱気した後に使用するのが好ましい。また、反応は窒素やアルゴン等の不活性な気体の雰囲気下で実施することが好ましい場合もある。
【0063】
反応終了後、分液した後、抽出等の手段によって、目的とする不飽和アミン化合物を得ることができる。また、必要によりカラムクロマトグラフィー或いは晶析等により精製することもできる。
【0064】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0065】
なお、以下の実施例におけるガスクロマトグラフィーの分析条件は次の通りである。
<ガスクロマトグラフィー分析条件>
カラム:G−100(化学品検査協会製)
キャリアガス及び流量:ヘリウム、20ml/分
カラム温度:80℃から250℃まで5℃/分で昇温した後、250℃で30分間保持。
【0066】
参考例1(イリジウム錯体の合成)
小宮らのChem.Commun.,489,1999の記載にしたがって、次のようにしてイリジウム錯体を合成した。
80重量%テトラヒドロキシメチルホスホニウム=クロリド水溶液(試薬)2.5g(10.5ミリモル)から水を除去し、トリエチルアミン12.0mlを加えて混合した。得られた混合物を濾過して不溶物を除き、次いで濾液を濃縮し、残渣を乾燥させた。得られた固形物をエタノールに溶解し、エーテルを加えて沈殿を生成させた後、濾過し、得られた沈殿物を乾燥してトリヒドロキシメチルホスフィン0.80g(6.45ミリモル、収率61%)を得た。
上記で得たトリヒドロキシメチルホスフィン0.50g(4.03ミリモル)、テトラヒドロフラン10ml及び[{Ir(COD)Cl}2]0.56g(0.83ミリモル)を混合した後、濾過し、濾滓をテトラヒドロフランで洗浄した。濾滓は乾燥した後、エタノールに溶解し、不溶物を濾過した。濾液にエーテルを加えて沈殿を生成させ、次いで濾過し、濾滓をエーテルで洗浄後、乾燥して親水性ホスフィン配位子を有するIr錯体0.49g得た(収率83%)。得られたIr錯体は、(シクロオクタジエン)トリス(トリヒドロキシメチルホスフィン)イリジウム(I)=クロリド[Ir(COD){P(CH2OH)33]Clと1H−nmrが一致した。
【0067】
参考例2(イミンの合成)
シンナムアルデヒド2.64g(20ミリモル)、ベンジルアミン2.04g(20ミリモル)、脱水触媒としてのモレキュラーシーブ4A(試薬)10.0g及びジクロロメタン30mlを混合し、室温で3時間攪拌して反応させた。反応終了後、モレキュラーシーブ4Aを濾過して除去した後、濾液からジクロロメタンを除き、オイル状のN−シンナミリデンベンジルアミン3.99g(収率95%)を得た。
【0068】
実施例1
20mlステンレス製オートクレーブ[ガラス内筒つき、耐圧ガラス工業(株)製]中をアルゴンガスで満たし、参考例2で得たN−シンナミリデンベンジルアミン1.570g(7.5ミリモル)、水2.5ml及びベンゼン2.5mlを仕込み、さらに参考例1で得た親水性ホスフィン配位子を有するIr錯体0.011g(0.015ミリモル)を加えた。次いでオートクレーブ内を水素で置換して密閉し、内圧が3.0MPaとなるまで水素を導入した後、100℃に昇温し、同温度で24時間攪拌して反応させた。反応終了後、冷却し、オートクレーブ内の残存水素を除いた後、内容物を取り出し、水層と有機層に分液した。有機層をガスクロマトグラフィーにて分析した結果、反応生成物の割合はN−ベンジルシンナミルアミン:シンナミルアミン:シンナミルアルコール(ガスクロマトグラムのピーク面積比、以下GC面比)=55:0.2:20であった。
【0069】
実施例2
実施例1において水及び参考例1で得た親水性ホスフィン配位子を有するIr錯体に代えて実施例1の反応終了後に分液して得られた水層を用いた以外は実施例1と同様に行った。その結果、反応生成物の割合は、N−ベンジルシンナミルアミン:シンナミルアミン:シンナムアルコール=69:0.2:11(GC面比)であった。

Claims (7)

  1. 親水性ホスフィン化合物を配位子として有する水溶性の遷移金属錯体の存在下、多相系溶媒中で不飽和イミン類又は不飽和オキシム類を、水素と反応させて不飽和アミンを製造することを特徴とする不飽和アミン類の製造方法。
  2. 水溶性の遷移金属錯体における遷移金属が、8族、9族又は10族の金属である請求項1に記載の方法。
  3. 水溶性の遷移金属錯体における遷移金属が、ロジウム、イリジウム又はルテニウムである請求項1に記載の方法。
  4. 多相系溶媒が、水、有機溶媒及びイオン性流体から選ばれる少なくとも2種類の互いに混和しない溶媒の組み合わせである請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造。
  5. 多相系溶媒が、水及び水と混和しない有機溶媒の混合溶媒である請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造。
  6. 反応終了後の反応混合物から、親水性ホスフィン化合物を配位子として有する遷移金属錯体を水溶液として回収して反応に再使用する請求項5に記載の方法。
  7. 不飽和イミン類が、不飽和ケトン類又は不飽和アルデヒド類をアンモニア又はアミン類と反応させて得られるイミン類であり、不飽和オキシム類が、不飽和ケトン類又は不飽和アルデヒド類をヒドロキシルアミン又はアルコキシアミン類と反応させて得られるオキシム類である請求項7のいずれか1項に記載の方法。
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