JP3986362B2 - 液晶表示装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
TFT方式液晶表示装置においては、TFTにおける寄生容量とTFTのオンからオフへのスイッチング動作とによって画素電極の電圧に引込みが生じる。この引込み電圧(「フィードスルー電圧」と呼ばれることもある。)を補償するために、液晶層を介して画素電極に対向するように配置されている対向電極に、その引き込み電圧に応じたオフセット電圧が印加される。
【0003】
しかしながら、引込み電圧とオフセット電圧とが一致していない場合(引込み電圧とオフセット電圧との差は「対向ずれ」と呼ばれることがある。)、液晶層に印加する電圧の極性を反転する毎に、液晶層に印加される実効電圧に差が生じ、フリッカとして視認されることになる。
【0004】
通常はこのフリッカの視認性を下げるため、このフリッカの視認性を下げるため、走査線1本毎に極性を反転させる、いわゆるゲートライン反転(「1H反転」とも呼ばれる。)駆動などの対策がとられている。この場合、信号線から供給される表示信号の極性の反転周期にあわせて逆位相の反転信号を対向電極に供給するのが一般的である(対向電極の反転駆動)。このように、画素電極の電位を反転させるに同期して対向電極の電位を反転させると、液晶層に印加される電圧はこれらの電極電位の差なので、信号線から画素電極に供給する表示信号の振幅を小さくすることができる。従って、耐圧の低いICを用いて信号線を駆動することが可能になるという利点に加え、信号線の反転駆動にかかる消費電力を低減できるという利点も得られる。
【0005】
しかしながら、対向ずれ量が大きい場合には、ゲートライン反転駆動を行っても、フリッカが動く縞模様のように視認されることがある。このため、さらに効果の高い駆動方法として、走査線毎に極性を反転させるゲートライン反転に加えて隣接する信号線毎に極性を反転させる、いわゆるドット反転駆動も知られている。
【0006】
一方、ドット反転駆動を採用すると、ゲートライン反転駆動の場合のように、対向電極を反転駆動することができないため、信号線を駆動するためのICの耐圧を低下できず、その結果、ICがコストアップするという問題があった。さらに、信号線の反転駆動にかかる消費電力も増加する上、ICに供給する電圧を大きくしなければならないため電源回路における昇圧ロスが増加して、さらに消費電力が増加してしまうという問題があった。
【0007】
上記のドット反転駆動の問題を解決できる駆動方法として、特許第2982877号公報は、駆動上はゲートライン反転駆動でありながら、表示上はドット反転駆動のような挙動を示す駆動方法(本明細書においては「擬似ドット反転駆動」と呼ぶことにする。)を開示している。
【0008】
図1および図2を参照しながら、上記特許公報に開示されている擬似ドット反転駆動方法を詳細に説明する。図1は、上記公報に記載されている液晶表示装置100の画素配列を模式的に示す平面図である。なお、本発明による液晶表示装置も図1に示した配列と実質的に同じ画素配列を有するので、後に本発明の実施形態の説明においても図1を参照する。
【0009】
液晶表示装置100は、複数の行および複数の列を有するマトリクス状に配列された複数の画素電極10と、行方向に延びる複数の走査線(ゲートライン)32と、列方向に延びる複数の信号線(ソースライン)34と、画素電極10のそれぞれに対応して設けられた複数のTFT20とを有している。画素電極10は、TFT20を介して、走査線32および信号線34とに接続されている。走査線32は、走査線X1、X2・・・Xnを含み、信号線34は信号線Y1、Y2・・・Ynを含み、画素電極10は画素電極P11、P12、P13、・・P22、P23・・・)を含む。
【0010】
液晶表示装置100は、複数の走査線32に走査信号電圧を順次供給することによって、複数の画素電極10の中から同じ走査線32に接続されている画素電極10の群を順次選択し、選択された群の画素電極10に、信号線34を介して表示信号電圧を供給することによって表示を行う。すなわち、この液晶表示装置100は、線順次駆動される。
【0011】
複数の画素電極10は、任意の行に属する画素電極(例えば、P11、P12P13、P14・・・)は、それぞれ対応するスイッチング素子を介して、その行に隣接する一対の走査線(X1およびX2)の内の一方(走査線X1)に接続された画素電極(P12、P14・・)と他方(走査線X2)に接続された画素電極(P11、P13・・)とを交互に有する。従って、走査線(X1、X2・・・Xn)に走査信号電圧を順次供給することによって同じ走査線32に接続されているTFT20を選択し、選択されたTFT20に接続されている画素電極10に対応する表示信号電圧を複数の信号線(Y1、Y2、・・・Ym)を介して供給することによって表示が行われる。
【0012】
このように配置すると、個々の走査線32が選択される度に全ての信号線34に印加される表示信号電圧の極性を反転し、さらに次の垂直走査期間で同一画素電極10に印加される表示信号電圧の極性を反転させることによって、ドット反転駆動を実現することができる。
【0013】
なお、ここでは簡単のために、「信号線34に印加する表示信号電圧の極性」という表現をしたが、現実に反転されるべきは、「信号線34に接続された画素電極10で駆動される液晶層に印加する電圧の極性」であり、「対向電極の電位を基準とした画素電極の電位の極性」ということになる。以下でも、簡単のために、「画素電極10に印加される表示信号電圧」を「液晶層に印加される電圧」と同様の意味に用いることがある。上記の例では、例えば、画素電極P12によって規定される画素の液晶層に印加される電圧は、画素電極P11やP13、および画素電極P22によって規定される液晶層に印加される電圧と極性が異なっている。
【0014】
また、本明細書において、個々の走査線を選択するために利用され得る期間を水平走査期間と呼び、表示面全面に亘る所定の群の走査線を走査するために利用される期間を垂直走査期間と呼ぶ。1フレーム毎に全ての走査線を走査する場合(すなわち、書き換え周期が60Hzの場合)は、1フレーム周期が1垂直走査期間に対応する。
【0015】
図2を参照しながら、液晶表示装置100の駆動方法をさらに詳細に説明する。図2は、液晶表示装置100を駆動するために用いられる走査信号および表示信号の波形、ならびに画素電極の電位(対向電極の電位を基準とした電位であり、液晶層に印加される電圧と実質的に同じ)の変化を示すタイミングチャートである。
【0016】
図2において、X1、X2およびX3として示している波形は、それぞれの走査線に供給される走査信号の波形であり、パルス状の走査信号電圧(走査パルスということもある)を含んでいる。また、Y1、Y2…として示している波形は、信号線に供給される表示信号の波形であり、走査信号に同期して極性が反転されている。なお、表示信号はそれが供給される信号線に接続された複数の画素電極に対応する表示信号電圧を含み、個々の表示信号電圧は画素電極に応じた振幅を有するが、ここでは簡単のために一定の電圧として図示している。
【0017】
図2を参照しながら具体的に説明すると、例えば、走査線X1に供給される走査信号は、時刻t4〜時刻t5の間(1水平走査期間に対応)に走査信号電圧(TFTをオン状態に切替える振幅を有する電圧)を有する。また、信号線X1には時刻t11〜時刻t12の間においても走査信号電圧が供給される。すなわち、時刻t4と時刻t11との間が1垂直走査期間に対応する。走査線X2に供給される走査信号は、X1に供給される走査信号よりも1水平走査期間ずれた時刻t5〜t6の間に走査信号電圧を有している。それぞれの走査線は、対応する1水平走査期間内の走査信号電圧が供給されている期間に選択され(「選択期間」または「書き込み期間」と呼ぶことがある。)、この選択期間において、画素電極にそれぞれ対応する表示信号電圧が書き込まれる。選択期間(または書き込み期間)は、一般に水平走査期間よりも短い。ここでは、水平走査期間の開始時刻と選択期間の開始時刻とが一致した例を示しているがこれに限られない。
【0018】
一方、信号線Y1〜Ymに供給される表示信号の極性は走査信号に同期して(1水平走査期間毎に)反転しており、かつ、1垂直走査期間毎に反転されている。ここでは、それぞれの画素電極に対応する表示信号電圧のパルス幅が1水平走査期間に一致している場合を示しているがこれに限られず、それぞれの選択期間において所定の電圧値を有していればよい。
【0019】
次に、画素電極の電位が変化する様子を説明する。
【0020】
ある水平走査期間に属する時刻t2に走査線X1に走査信号電圧が供給されると(「走査線X1が選択される」と表現することもある)、走査線X1に接続されているTFTがオン状態となり画素電極P12およびP14に信号線Y2およびY4を介して対応する表示信号電圧が書き込まれる。このとき信号線(Y1、Y2・・・Ym)に供給されている表示信号電圧は正であるので、画素電極P12およびP14の電位の極性は正である。
【0021】
次の水平走査期間に属する時刻t3に走査線X2が選択されると、走査線X2に接続されているTFTがオン状態となり、画素電極P11、P13およびP22に、信号線Y1、Y2およびY3を介して対応する表示信号電圧が書き込まれる。このとき信号線(Y1、Y2・・・Ym)に供給されている表示信号電圧は負であるので、画素電極P11、P13およびP22の電位の極性は負である。
【0022】
さらに次に水平走査期間に属する時刻t4においては、画素電極P23に正の表示信号電圧が書き込まれる。
【0023】
このようにして、走査線X1〜Xnが順次選択されることによって、互いに隣接する画素電極の電位の極性は互いに逆であり、ゲートライン反転駆動でありながら、ドット反転駆動されたように書き込まれる。ここの例では、行方向および列方向のいずれにおいて、互いに隣接する画素電極の電位の極性は逆である。また、それぞれの画素電極に供給される表示信号電圧の極性は、1垂直走査期間毎に反転されている。
【0024】
また、図2に示したように、それぞれの画素電極の電位は、走査信号電圧(走査パルス)の供給が終了した瞬間、すなわち、走査線が選択から非選択に切り替わる瞬間に、前述した引込み電圧の影響を受けて低下する(負方向にずれる)。この引込み電圧を補償するために対向電極に、その引き込み電圧に応じたオフセット電圧が印加される。
【0025】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、本発明者が検討した結果、図1に示した構成を備える液晶表示装置100を図2に示す信号を用いて上述のように擬似ドット反転駆動をおこなっても、縞模様が観察されるという問題があることが分かった。また、後に詳述するように、この縞模様は、行方向において隣接する画素電極間の容量結合に起因することが分かった。すなわち、ある画素電極に所定の電圧が供給された後、隣接画素電極の電位が大きく変動すると、当該画素電極の電位が寄生容量を介して隣接画素電極の電位変動の影響を受けて、所定の電位からずれることによる。
【0026】
本発明はかかる諸点に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、上記の擬似ドット反転駆動などの駆動方法において、画素電極間の寄生容量(容量結合)を介して隣接する画素電極の電位変動の影響を受けることに起因する縞模様が視認され難い液晶表示装置を提供することにある。
【0027】
【課題を解決するための手段】
本発明の液晶表示装置は、複数の行および複数の列を有するマトリクス状に配列された複数の画素電極と、行方向に延びる走査線と、列方向に延びる信号線と、それぞれが、前記複数の画素電極のそれぞれに対応して設けられ、前記複数の画素電極のそれぞれと前記複数の走査線および前記複数の信号線とに接続された、複数のスイッチング素子を有し、前記複数の走査線に走査信号電圧を順次供給することによって、前記複数の画素電極の中から同じ走査線に接続されているスイッチング素子を選択し、前記選択されたスイッチング素子に接続されている画素電極に対応する表示信号電圧を前記複数の信号線を介して供給することによって、表示を行う液晶表示装置であって、前記複数の画素電極の内の任意の行に属する画素電極は、それぞれ対応するスイッチング素子を介して、一定本数だけ離れた異なる走査線に接続された画素電極を所定数毎に含み、前記複数の信号線に供給される表示信号電圧の極性は、前記一定本数の走査線に走査信号電圧が順次供給されるたびに反転され、前記任意の行に属する画素電極は、対応する表示信号電圧が先に供給される画素電極と、対応する表示信号電圧が後に供給される画素電極とを含み、これらの画素電極は、互いに隣接し、且つ、表示信号電圧の極性が隣接する画素電極と異なる画素電極を含み、対応する表示信号電圧が後で供給される画素電極に、前記隣接する画素電極に対応する表示信号電圧が供給される前に、当該画素電極に対応する表示信号電圧と同じ極性の予備電圧を供給することを特徴とする。
【0028】
ある実施形態において、前記一定本数だけ離れた走査線は、前記任意の行に隣接する一対の走査線であり、前記任意の行に属する画素電極は、前記一対の走査線の内の一方に接続された画素電極と他方に接続された画素電極とを所定数毎に交互に含んでおり、前記複数の信号線に供給される表示信号電圧の極性は、前記複数の走査線に走査信号電圧が順次供給されるのに同期して反転される。
【0029】
前記予備電圧は、前記任意の行以外の行に属する画素電極に対応する表示信号電圧としてもよい。
【0030】
前記予備電圧は、前記任意の行の2行前の行に属する画素電極に対応する表示信号電圧であることが好ましい。
【0031】
前記予備電圧は、前記任意の行の1行前の行に属する画素電極に対応する表示信号電圧を当該画素電極に印加するための期間において、前記表示信号電圧よりも先に供給される構成としてもよい。
【0032】
ある実施形態において、前記一定本数だけ離れた走査線は、3本離れた一対の走査線であり、前記任意の行に属する画素電極は、前記一対の走査線の内の一方に接続された画素電極と他方に接続された画素電極とを連続した3画素ごとに交互に含んでおり、前記複数の信号線に供給される表示信号電圧の極性は、3本の走査線に走査信号電圧が順次供給されるたびに反転される。前記連続した3画素は、例えば、R画素、G画素およびB画素である。
【0033】
前記予備電圧は、前記任意の行以外の行に属する画素電極に対応する表示信号電圧としてもよい。
【0034】
前記予備電圧は、前記任意の行の6行前の行に属する画素電極に対応する表示信号電圧であることが好ましい。
【0035】
前記予備電圧は、前記任意の行の3行前の行に属する画素電極に対応する表示信号電圧を当該画素電極に印加するための期間において、前記表示信号電圧よりも先に供給される構成としても良い。
【0036】
本発明の液晶表示装置において、任意の行に属する複数の画素電極に対応する画素は、連続したR画素、G画素およびB画素を含む構成であってもよい。
【0037】
【発明の実施の形態】
まず、本発明者が見出した従来の擬似ドット反転駆動の問題点を図2を参照しながら説明する。
【0038】
図2には、引込み電圧の影響だけでなく、隣接画素間の寄生容量に起因する電位の変動を示している。
【0039】
例えば、画素電極P12の時刻t5〜t6の期間(および時刻t12〜t13の期間)における電位は、走査線X1が非選択状態であるので、その電位は本来一定であるべきなのにも拘わらず、図2に示したように変動し、その結果、液晶層に印加される実効電圧(1垂直走査期間に亘る積分値)が所望の値とは異なるのである。これは、同一の行に属し、異なるタイミングで選択される互いに隣接した画素電極P12とP13との間に存在する寄生容量に起因している。
【0040】
まず、画素電極P12およびP13のうち、後で選択される(表示信号電圧が供給される)画素電極P13の電位の変化を説明する。
【0041】
画素電極P13には、上述したように、所定の水平走査期間において走査線X2が選択されたとき(例えば時刻t5)に所定の表示信号電圧(ここでは負極性)が書き込まれる。なお、画素電極P13に所定の表示信号電圧が書き込まれる前の水平走査期間に属する時刻t4において、隣接画素電極P12およびP14に対応する表示信号電圧(正極性)が供給され、画素電極P13と隣接画素電極P12およびP14との寄生容量を介して、隣接画素電極P12およびP14の極性反転を伴う大きな電位変動による突上げを受ける。時刻t4の1周期後の垂直走査期間に属する時刻t11には、同様に、隣接画素電極P12およびP14に対応する表示信号電圧(負極性)が供給され、隣接画素電極P12およびP14の極性反転を伴う大きな電位変動による突下げを受ける。しかしながら、画素電極P13には、その直後の水平走査期間(時刻t5またはt12を含む)において、走査線X2が選択されて所定の表示信号電圧が書き込まれ、そのまま次の垂直走査期間までその電位を維持する(但し、引込み電圧の影響を受けるのは上述の通り)ので、表示に影響する実効値としては影響を受けない。なお、図2ではt8とt9との間を省略しているが、時刻t9以降は時刻t1を含む垂直走査期間の次の垂直走査期間に属する。
【0042】
一方、画素電極P12は、隣接する画素電極P11およびP13よりも先に書き込まれるので、画素電極P12に所定の表示信号電圧が書き込まれた直後に、隣接画素電極P11およびP13の電位変動の影響を受ける。すなわち、時刻t5において、隣接画素電極P11およびP13に負極性の表示信号電圧を書き込まれるときに、隣接画素電極P11およびP13の極性反転を伴う大きな電位変動による突下げを受ける。同様に、時刻t12において、隣接画素電極P11およびP13に正極性の表示信号電圧が書き込まれるときに、突上げを受ける。そして、画素電極P12の電位は、隣接画素電極P11およびP13の極性反転を伴う大きな電位変動による突上げもしくは突下げの影響を受けた状態で、次の垂直走査期間までその電位を保持するので、実効値として影響を受ける。
【0043】
すなわち、画素電極P11、P13…は、同じ行に属し、後から書き込みが行われる画素電極P12、P14…よりも、実効値で数十mV小さな電圧しかかからないことになる。同様のことは次の行の画素電極P21、P22…にも当てはまる。すなわち、同じ行に属し、先に選択される走査線に接続された画素電極と後に選択される走査線に接続された画素電極が隣接していると、前者の液晶層に印加される電圧が後者のそれに対して目減りし、場合によっては前者と後者が繰り返される周期にしたがって表示において縞模様(典型的には縦縞)のように視認されるのである。
【0044】
隣接する画素電極間(例えばP11とP12)に形成される寄生容量は、一般に大きくないが、無視できない場合がある。特に、図3(a)および(b)に示す構成を有する液晶表示装置においては、寄生容量が大きい。
【0045】
図3(a)は公知の液晶表示装置の1画素の構造を模式的に示す平面図であり、図3(b)は図3(a)のG−G’線に沿った断面図である。
【0046】
この液晶表示装置は、アクティブマトリクス側のガラス基板109と、対向側のガラス基板106と、これらの間に設けられた液晶層103とを有している。対向基板側ガラス基板106の液晶層103側には、カラーフィルタ層105および対向電極104がこの順に形成されている。アクティブマトリクス側のガラス基板109の液晶層103側には、ゲート絶縁層108、TFT120のソース電極120Sと一体に形成された信号線101、TFT120およびTFT120のゲート電極120Gと一体に形成された走査線111や保護層107などが形成されている。また、この液晶表示装置は、TFT120のドレイン電極120Dに接続された接続電極112および補助容量共通電極113(対向電極104と同じ電圧が印加される)とを有し、補助容量共通電極113と、その上に形成された保護層(絶縁層)107と、接続電極112の補助容量共通電極113に対向する部分(補助容量電極として機能する)112aとによって、補助容量を構成している。
【0047】
TFT120や信号線101や走査線を覆うように層間絶縁層110が形成されており、層間絶縁層110上に、層間絶縁層を介して信号線110と一部が対向するように画素電極102が形成されている。画素電極102は、透明電極であっても良いし、反射電極であってもよい。さらに、画素電極102の中央部を透明電極として、周辺部を反射電極としても良い。画素電極102が透明電極である場合、信号線101は画素電極102の間隔から透過する光を遮断する遮光膜を兼ねることができる。このように、画素電極102の一部が信号線101と重なる構造を採用することによって、高開口率を実現できる。もちろん、図3(b)に示しているように、走査線111と画素電極102の一部とが重なるように構成してもよい。
【0048】
上述の構成を採用すると開口率を向上することができる一方で、隣接画素電極102間に、液晶層103や層間絶縁膜110を介して平面方向に寄生容量が発生し、この大きさが無視できないことがある。例えば、この寄生容量の大きさは、例えば、寄生容量の大きさは、1画素あたりのトータル容量(液晶容量および補助容量の和)の数パーセントとなり、隣接画素電極120の電位の極性反転によって、画素電極の電圧が保持期間(概ね1垂直走査期間に相当)に数十mV程度の変動を受けることがある。
【0049】
なお、図3に示したような構造は、特に反射型の液晶表示装置でより広く用いられており、この場合には、例えば、層間絶縁膜110に光を散乱(拡散反射)させるべく凹凸が形成されており、画素電極102はAlやAgなどの金属膜から形成されることが多い。反射型液晶表示装置においては、画素電極の大きさが直接開口率の大きさに反映されるので、隣接画素電極間の間隔は透過型液晶表示装置の場合よりもさらに狭く設計されることが多い。隣接画素電極間の間隔が狭いときには前述の寄生容量はさらに大きくなるので、上述の問題が発生しやすい。
【0050】
次に、図4を参照しながら、本発明の実施形態による液晶表示装置の駆動方法を説明する。本発明の液晶表示装置の画素配列は、図1に示した液晶表示装置100と実質的に同じであるので、その説明はここでは省略する。
【0051】
図4は、従来の擬似ドット反転駆動の説明に用いた図2に対応し、本発明による実施形態の液晶表示装置の駆動に用いられる走査信号および表示信号の波形、ならびに画素電極の電位の変化の様子を示すタイミングチャートである。
【0052】
本実施形態の液晶表示装置においては、それぞれの走査線(X1、X2・・・Xn)に、一定の時間間隔を隔てて、2つの走査信号電圧(パルス)が供給されている。それぞれの走査線に対して後から供給されている走査信号電圧(例えばX1の時刻t4で供給されている走査信号電圧や、X2の時刻t5で供給されている走査信号電圧)が、それぞれの走査線に接続された画素電極に対応する表示信号電圧を供給するための書き込み期間(「本来の選択期間」ということもある。)を制御するための走査信号電圧(「本来の走査信号電圧」ということもある。)である。すなわち、図2と同様、走査線X1に対する本来の水平走査期間は時刻t4〜時刻t5の期間であり、走査線X2に対する本来の水平走査期間は時刻t5〜時刻t6の期間である。一方、それぞれの走査線に対する本来の水平走査期間よりも2つ前の水平走査期間において供給されている走査信号電圧(例えばX1の時刻t2で供給されている走査信号電圧やX2の時刻t3で供給されている走査信号電圧)は、隣接画素電極の電位変動の影響を抑制するための予備電圧をそれぞれの画素電極に供給する期間(「予備選択期間」という。)を制御するための電圧であり、以下では「予備走査電圧」と呼ぶ。それぞれの走査線(例えばX2)に供給される予備走査電圧は、当該走査線(例えばX2)の直前に選択される走査線(例えばX1)の本来の水平走査期間(例えば時刻t4〜時刻t5)よりも1つ前の水平走査期間(例えば時刻t3〜時刻t4)に供給される。一方、信号線(Y1〜Ym)には、1水平走査期間毎に極性が反転する表示信号電圧が供給されている。信号線に供給される信号は従来の表示信号と同じである。
【0053】
ここで、図4の画素電極P12の電位に注目し、画素電極P12に隣接する画素電極P13の電位変動の影響による縞模様の発生が抑制される理由を説明する。
【0054】
画素電極P12には、本来の水平走査期間(時刻t4〜時刻t5)において本来の表示信号電圧(正極性)が供給される。一方、画素電極P12に隣接し、画素電極P12に本来の表示信号電圧が供給された後(すなわち時刻t5〜時刻t6)に、それに対応する本来の表示信号電圧(負極性)が供給される隣接画素電極P13には、この本来の水平走査期間の2つ前の水平走査期間(すなわち、画素電極P12の本来の水平走査期間よりも1つ前の水平走査期間)に予備電圧(負極性)が印加される。画素電極P13に時刻t3〜時刻t4の間に供給されるこの予備電圧は、本来の水平走査期間(時刻t5〜時刻t6)の2つ前の水平走査期間に供給される表示信号電圧であるので、画素電極P13に対応する本来の表示信号電圧と同じ極性(負極性)を有している。従って、図4に示したように、画素電極P13の電位は、この予備電圧が供給される時刻t3から始まる予備選択期間において極性反転する。
【0055】
すなわち、従来の駆動方法では、図2に示したように、画素電極P13の本来の選択期間(時刻t5から始まる期間)において発生した極性反転を伴う比較的大きな電位変動が、本実施形態の駆動方法によると、その2つ前の水平走査期間内の予備選択期間(時刻t3から始まる期間)で発生する。その結果、画素電極P13の電位のこの極性反転(正極性から負極性)の影響を受けて、画素電極P12の電位は時刻t3から始まる予備選択期間において突き下げられる。
【0056】
そして、画素電極P13の電位の極性反転による突き下げを受けた後で、時刻t4〜時刻t5において画素電極P12に本来の表示信号電圧が供給される。この後、次の水平走査期間(時刻t5〜時刻t6)において、画素電極P13に本来の表示信号電圧が供給されるが、画素電極P12の電位は先に供給した予備信号電圧によって既にこの表示信号電圧と同じ極性となっているので、本来の表示信号電圧が供給されたときの画素電極P13の電位の変化は、極性の反転を伴わず、比較的小さい。従って、本来の表示信号電圧が供給された画素電極P12の電位が、隣接画素P13の電位変動の影響を受けることが抑制され、画素電極P12が本来の表示信号電圧が供給された後に保持する電圧は、隣接画素電極P13の電位変動による突き下げの影響を受けておらず、画素電極P12の表示信号電圧の実効値は隣接画素電極P13の電位変動の影響を受けない。ここでは、画素電極P12に隣接する画素電極のうちの画素電極P13の電位変動の影響について説明したが、画素電極P11についても同様である。
【0057】
すなわち、本実施形態では、同じ行に属し後から本来の表示信号電圧が供給される画素電極(例えばP13)に対し、当該画素電極に対応する表示信号電圧を供給する本来の水平走査期間の2つ前の水平走査期間において、当該画素電極を選択するための走査線に予備走査電圧を供給し、本来の表示信号電圧と同極性の予備電圧を当該画素電極に予め供給することによって、同じ行に属し先に本来の表示信号電圧が供給される画素電極(例えばP12)に本来の表示信号電圧が供給される前に、隣接画素電極(例えばP13)に極性反転を伴う大きな電位変動を起こさせ、後で表示信号電圧が供給されたときの電位の変動を比較的小さく抑制し、先に表示信号電圧が供給された画素電極(P12)の電位に影響しないようにしている。また、予備電圧として2つ前の水平走査期間の表示電圧を用いているので、表示信号として従来と同じ表示信号を用いることができる。
【0058】
また、上述した予備走査電圧を有する走査信号は、従来の走査線駆動回路に僅かな変更を加えるだけで実現できる。例えば、図4に示した例について説明すると、本来の走査信号電圧と同じパス幅を有する予備走査電圧を、本来の走査信号よりも2水平走査期間前に追加的に生成するように制御すればよい。これは、例えば、走査線駆動回路のシフトレジスタにおけるスタートパルスを2水平走査期間の間隔で2回供給することによって実現することができ、大掛かりな回路変更を要しない。
【0059】
本実施形態では、表示信号電圧の極性を反転させる周期を1水平走査期間(1走査線)毎であるため、1水平走査期間だけ隔てた予備走査電圧と走査信号電圧とによって選択される2つの表示信号電圧は同一極性となっているが、表示信号電圧の極性反転の周期によってはこの限りではない。すなわち、表示信号電圧の極性反転の周期が複数の水平走査期間毎である場合には、予備走査電圧と走査信号電圧とを供給する水平走査期間における表示信号電圧の極性が同じになるように選択すればよい。この例は、後に図6を参照しながら他の実施形態として説明する。もちろん、表示信号電圧の極性反転の周期が1水平走査期間毎であっても、上記の例に限られず、予備走査電圧と走査信号電圧とを供給する水平走査期間における表示信号電圧の極性が同じになるように選択すればよい。
【0060】
但し、いずれの場合においても、予備走査電圧で選択される期間(予備選択期間)と走査信号電圧で選択される期間(本来の選択期間)との間隔が広すぎると、その分隣接画素電極の電位変動を受けた電位が保持される期間が長くなるので、実効値に対する影響が大きくなる。例えば、図4のP12についての予備選択期間(時刻t3〜時刻t4)が、本来の電位を保持する期間(時刻t5〜時刻t9)に対して無視できないぐらい大きくなると、この2つの電位保持期間における電位の違いによるフリッカが発生するという問題が発生したり、あるいは縦縞模様が発生する恐れがあるため、予備走査電圧と走査信号電圧との間隔はできるだけ短く設定することが好ましい。
【0061】
次に、図5を参照しながら本発明による他の実施形態の液晶表示装置の駆動方法を説明する。液晶表示装置の画素配列は、先の例と同様、図1に示した液晶表示装置100と実質的に同じである。図5は、本発明による他の実施形態の液晶表示装置の駆動に用いられる走査信号および表示信号の波形、ならびに画素電極の電位の変化の様子を示すタイミングチャートである。
【0062】
先の実施形態では、ある画素電極に対する予備選択期間は、他の行に属する画素電極に対する本来の選択期間と一致していたが、本実施形態では、予備選択期間を本来の選択期間と独立させる。
【0063】
図5に示すように、画素電極P13に接続された走査線X2には、本来の水平走査期間(時刻t5〜時刻t6)に走査信号電圧が供給され、画素電極P13と同じ行に属し且つ画素電極P13よりも先に選択される画素電極P12の本来の水平走査期間(時刻t4〜時刻t5)において、画素電極P12に対する本来の選択期間が開始する前に、予備走査電圧が供給されている。予備走査電圧の幅(印加期間、すなわち予備選択期間の長さ)は、画素電極P12に対する本来の走査信号電圧の幅(本来の選択期間の長さ)より短く設定されることが好ましい。予備選択期間を短くすることにより、1水平走査期間(時刻t4〜時刻t5)において、本来の選択期間を長くできるため、画素電極の電位を所望の電位に近づけることができる。また、予備選択期間に画素電極に書き込まれる電圧は、本来の表示信号電圧と同極性であることは重要であるが、その大きさ(振幅)はあまり重要でない。
【0064】
一方、信号線Y1、Y2には、それぞれの水平走査期間において、本来の選択期間に対応して表示信号電圧が供給されるとともに、予備選択期間に対応して予備電圧が供給されている。表示信号電圧は1水平走査期間毎に極性が反転し、予備電圧は次の水平走査期間の表示信号電圧と同極性に設定されるので、ある水平走査期間に信号線に供給される信号は、当該水平走査期間の本来の表示信号電圧と、それとは逆極性の予備電圧を含んでいる。また、ここでは、予備電圧の大きさを表示信号電圧の中間調電圧に相当するような一定の値としている。
【0065】
このように走査信号(予備走査信号を含む)および表示信号(予備電圧を含む)を供給することによって、同じ行に属し先に本来の表示信号電圧が供給される画素電極(例えばP12)に本来の表示信号電圧が供給される前に、隣接画素電極(例えばP13)に極性反転を伴う大きな電位変動を起こさせ、後で表示信号電圧が供給されたときの変動を比較的小さく抑制し、先に表示信号電圧が供給された画素電極(P12)の電位に影響しないようにしている。
【0066】
先の実施形態では、予備選択期間は、他の行に属する画素電極に対するの正規の選択期間と一致しているため、当該画素電極と当該他の画素電極の表示状態や寄生容量の大小によっては、当該他の画素電極の電位変動の影響を受けて、いわゆるクロストークともいうべき表示上の不具合を生じる可能性もあるが、本実施形態においては、予備選択期間は他の行に属する画素電極の選択期間とは独立しているため、このような影響を受けるおそれがない。
【0067】
なお、予備選択期間に対応して信号線に供給する予備電圧を中間調電圧に設定することが好ましい理由を説明する。
【0068】
上述の擬似反転駆動において縞模様が発生するという問題は、中間調を表維持するとき、特に、全面に亘って中間調を表示するときに、顕著に視認される。つまり、白黒表示のような単色表示においては、電圧変動による透過率(反射率)の変化は少ないが、中間調においては微小な電圧変動によっても透過率(反射率)の変化は急峻である。従って、隣接画素電極の電位変動の影響によって画素電極の電位が変動する現象を中間調表示において最小にすることが表示品位の向上に対して最も有効である。自身の画素の状態が中間調状態である場合、隣接画素も中間調であれば、この実施形態に従うと、予備電圧と本来の表示信号電圧とが同じ電圧であるため、縞模様の問題は生じない。また、隣接画素が中間調状態でない場合には、そこが表示状態の境目にあたるため、仮に電位変動が生じても視認されにくい。また、中間調からは黒表示あるいは白表示への電圧変化量は比較的小さいので、予備電圧によって中間調にセットとしておけば、本来の表示信号電圧によって、いずれの表示状態にも容易に変化させることができる。
【0069】
次に、図6を参照しながら、本発明による他の実施形態の液晶表示装置の動作を説明する。先の実施形態では、同じ行に属する複数の画素電極がスイッチング素子を介して接続されている走査線が1画素毎に異なっており、且つ、走査線を選択する毎(1水平走査期間毎)に信号線に供給する表示信号電圧の極性を反転することによって、擬似ドット反転を実現したのに対して、本実施形態では、同じ行に属する画素電極がスイッチング素子を介して接続される走査線を3画素毎に異ならせている。この行方向に連続する3つの画素は、表示画素における赤(R)、緑(G)、青(B)の各画素に対応しており、R、GおよびBを1つのカラー表示単位とみなすと、行方向にこのカラー表示単位毎に画素電極の電位の極性が異なることになる。R、GおよびBの個々の単位をドットと呼び、R、GおよびBからなる1つのカラー表示単位をピクセルと呼ぶことがある。なお、図6においては、簡単のために画素電極を省略している。
【0070】
一般に、液晶表示装置に対して外部から供給される表示信号は、R、GおよびBのそれぞれの信号がパラレルに入力されており、外部クロックに同期してR、GおよびB信号は同時に入力される。従って、信号線駆動回路においてもR、GおよびBの各信号を同時に処理し、これを1組の信号として出力処理し得るようなパネル構造(画素電極配列および画素電極と走査線との接続関係)としておくことが、信号線駆動回路の構造を複雑にしないために好ましい。
【0071】
しかしながら、先の実施形態の構造でカラー表示を行う場合を考えると、信号線駆動回路にR、GおよびBの信号を1組の信号として同時に入力させても、隣接画素電極間の選択期間のタイミングが異なるので、外部からパラレルに入力されるR、GおよびBの1組の信号をそれぞれの選択期間に同期させるために、例えばR信号と、G信号およびB信号、というように分離し、一時記憶(レジスタ)する処理が必要となり、信号処理が複雑になる。このことは、外部回路に信号処理機能を割り振るなどの回路設計を困難にするだけでなく、信号線駆動回路を複雑大型化また高コスト化させるなど好ましくない。これに対し、本実施形態の液晶表示装置の構成を採用するとこのような問題が発生しない。
【0072】
さらに、先の実施形態では、走査線選択毎(水平走査期間毎)に表示信号電圧の極性を反転させることによって、同じ列に属する画素電極の電位の極性が1画素毎に異なるようにし、これと上記構造の組み合わせによって、行方向および列方向ともに1画素毎に極性が異なる擬似ドット反転駆動を実現していた。本実施形態の液晶表示装置は、列方向にも画素電極の電位の極性反転周期が3つの画素(3行)ごとになるような構造としている。
【0073】
すなわち、図6に示したように、走査線が3行選択される毎(3水平走査期間毎)に信号線に供給する表示信号電圧の極性が反転しており、これにより1走査線毎に極性反転する場合に比べて、極性反転にかかる電力消費を3分の1にすることができる。これに伴って、上記行向の隣接3画素(RGB)を1単位とする単位毎にそれぞれスイッチング素子を介して接続される走査線は、図1のように隣接する走査線ではなく、互いに3本の走査線分の離れた2本の走査線(間に2本の走査線を挟む一対の走査線)としている。例えば、図6の第4行に属する画素電極(P43、P44など)は、3つの連続した画素電極が走査線X3に接続され、その隣の3つの連続した画素電極は走査線X6に接続され、さらにその隣の3つの連続した画素電極は走査線X3に接続されている。すなわち、同じ行に属する画素電極は、3つの連続する画素電極ごとに走査線X3とX6とに交互に接続されている。
【0074】
本実施形態の液晶表示装置の駆動方法を図7を参照しながら説明する。時刻t0、t1およびt2のタイミングで走査線X3、X4およびX5がそれぞれ選択される。この間、信号線Y1…に供給される表示信号電圧の極性は正であるので、画素電極P43、P53およびP63には、それぞれ正極性の表示信号電圧が書き込みされる。次に、時刻t3のタイミングで走査線X6が選択され、その時の信号線に供給されている表示信号電圧の極性は負に反転されているため、画素電極P73には負の表示信号電圧が書き込まれる。
【0075】
また、それらの画素電極に隣接し、異なる単位(カラー表示単位)に属する画素電極は、それらの画素電極よりも3画素電極分(1カラー表示単位)離れた画素電極と同じ走査線に接続されている。すなわち、時刻t3のタイミングにおいて走査線X6が選択されると、信号線Y3から画素電極P73への負の書込みが行われると同時に、信号線Y4から画素電極P44への負極性の表示信号電圧の書込みが行われる。すると、画素電極P44の大きな電位変動によって、寄生容量に起因する電圧変動が画素電極P43にもたらされる。しかし先の実施形態と同様に、これらは予備選択であって、画素電極P43に対する本来の選択期間は、隣接画素電極P44が大きく電位変動せられるt3よりも後の時刻t6から始まる選択期間である。さらに、隣接画素電極P44の本来の選択期間(時刻t9から始まる期間)に表示信号電圧が供給された時の隣接画素電P44の電位変動は極性の反転を伴わない比較的小さなものなので、画素電極P43の電位にほとんど影響しない。従って、本来の表示信号電圧が供給された画素電極P43は、次の垂直走査期間まで、所定の電圧を保持することになる。
【0076】
このように、本実施形態では、同じ行に属し後から本来の表示信号電圧が供給される画素電極(例えばP44)に対し、当該画素電極に対応する表示信号電圧を供給する本来の水平走査期間の6つ前の水平走査期間において、当該画素電極を選択するための走査線に予備走査電圧を供給し、本来の表示信号電圧と同極性の予備電圧を当該画素電極に予め供給することによって、同じ行に属し先に本来の表示信号電圧が供給される画素電極(例えばP43)に本来の表示信号電圧が供給される前に隣接画素電極(例えばP44)に極性反転を伴う大きな電位変動を起こさせ、後で表示信号電圧が供給されたときの電位の変動を比較的小さく抑制し、先に表示信号電圧が供給された画素電極(P43)の電位に影響しないようにしている。
【0077】
ここでは、6行前の走査線に対応する水平走査期間に供給される表示信号電圧を予備電圧として用いたが、この例に限られず、予備走査電圧と走査信号電圧とを供給する水平走査期間における表示信号電圧の極性が同じになるように選択すればよい(例えば12行前の走査線に対応する水平走査期間に供給される表示信号電圧)。但し、上述したように、予備選択期間と本来の選択期間との間隔が広すぎると、その分隣接画素電極の電位変動を受けた電位が保持される期間が長くなるので、実効値に対する影響が大きくなるので、予備選択期間と本来の選択期間との間隔はできるだけ短い方が好ましい。
【0078】
本実施形態の液晶表示装置およびその駆動方法では、行方向列方向ともに3画素毎に画素電極の電位の極性が異なるようにしているが、これに限るものではなく、さらに極性反転の画素構成単位を大きくすることもできる。但し、この場合本来のドット反転の意図を逸脱するものであってはならず、対向電極の電位を調整するオフセット量のズレの視認性に応じて、適宜1画素毎や3画素毎など画素電極電位の極性反転周期を最適に設定することが好ましい。
【0079】
なお、図6に示した画素配列を有する液晶表示装置に対して、図5を参照しながら上述した駆動方法を適用することによって、同様の効果を得ることができる。すなわち、図5においては、ある行の1行前の行に属する画素電極に本来の表示信号電圧を印加するための水平走査期間において、本来の表示信号電圧よりも先に予備電圧を供給したの対し、本実施形態においては、ある行の3行前の行に属する本来の表示信号電圧を印加するための水平走査期間において、本来の表示信号電圧よりも先に予備電圧を供給すればよい。
【0080】
【発明の効果】
本発明によると、従来の擬似ドット反転駆動において、行方向において隣接する画素電極間の寄生容量(容量結合)に起因する縞模様が視認され難い液晶表示装置が提供される。本発明は、特に、隣接画素電極間を狭い高開口率構造を有する液晶表示装置を擬似ドット反転駆動する際の表示品位を向上する効果が高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】擬似ドット反転駆動が可能な液晶表示装置100の画素配列を模式的に示す平面図である。
【図2】液晶表示装置100を駆動するための信号波形および画素電極電位の変化の様子を示す図である。
【図3】公知の高開口率液晶表示装置の構造を模式的に示す図であり、(a)は平面図であり、(b)は断面図である。
【図4】本発明による実施形態の液晶表示装置の駆動に用いられる走査信号および表示信号の波形、ならびに画素電極の電位の変化の様子を示すタイミングチャートである。
【図5】本発明による他の実施形態の液晶表示装置の駆動に用いられる走査信号および表示信号の波形、ならびに画素電極の電位の変化の様子を示すタイミングチャートである。
【図6】擬似ドット反転駆動が可能な他の実施形態の液晶表示装置200の画素配列を模式的に示す平面図である。
【図7】液晶表示装置200の駆動に用いられる走査信号および表示信号の波形、ならびに画素電極の電位の変化の様子を示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
X1、X2、X3 走査線
Y1、Y2、Y3 信号線
P12、P13、P22、P23 画素電極
10 画素電極
20 TFT
32 走査線
34 信号線
100 液晶表示装置
Claims (8)
- 複数の行および複数の列を有するマトリクス状に配列された複数の画素電極と、
行方向に延びる走査線と、
列方向に延びる信号線と、
それぞれが、前記複数の画素電極のそれぞれに対応して設けられ、前記複数の画素電極のそれぞれと前記複数の走査線および前記複数の信号線とに接続された、複数のスイッチング素子を有し、
前記複数の走査線に走査信号電圧を順次供給することによって、前記複数の画素電極の中から同じ走査線に接続されているスイッチング素子を選択し、前記選択されたスイッチング素子に接続されている画素電極に対応する表示信号電圧を前記複数の信号線を介して供給することによって、表示を行う液晶表示装置であって、
前記複数の画素電極の内の任意の行に属する画素電極は、それぞれ対応するスイッチング素子を介して、一定本数だけ離れた異なる走査線に接続された画素電極を所定数毎に含み、
前記複数の信号線に供給される表示信号電圧の極性は、前記一定本数の走査線に走査信号電圧が順次供給されるたびに反転され、
前記任意の行に属する画素電極は、対応する表示信号電圧が先に供給される画素電極と、対応する表示信号電圧が後に供給される画素電極とを含み、これらの画素電極は、互いに隣接し、且つ、表示信号電圧の極性が隣接する画素電極と異なる画素電極を含み、
後で対応する表示信号電圧が供給される画素電極に、前記隣接する画素電極に対応する表示信号電圧が供給される前に、当該画素電極に対応する表示信号電圧と同じ極性の予備電圧が供給され、
前記一定本数だけ離れた走査線は、前記任意の行に隣接する一対の走査線であり、前記任意の行に属する画素電極は、前記一対の走査線の内の一方に接続された画素電極と他方に接続された画素電極とを所定数毎に交互に含んでおり、
前記複数の信号線に供給される表示信号電圧の極性は、前記複数の走査線に走査信号電圧が順次供給されるのに同期して反転され、
前記予備電圧は、前記任意の行の1行前の行に属する画素電極に対応する表示信号電圧を当該画素電極に印加するための期間において、前記表示信号電圧よりも先に供給される、液晶表示装置。 - 前記予備電圧は、前記任意の行以外の行に属する画素電極に対応する表示信号電圧である、請求項1に記載の液晶表示装置。
- 前記予備電圧は、前記任意の行の2行前の行に属する画素電極に対応する表示信号電圧である、請求項1に記載の液晶表示装置。
- 前記予備電圧は、前記任意の行の3行前の行に属する画素電極に対応する表示信号電圧を当該画素電極に印加するための期間において、前記表示信号電圧よりも先に供給される、請求項1に記載の液晶表示装置。
- 複数の行および複数の列を有するマトリクス状に配列された複数の画素電極と、
行方向に延びる走査線と、
列方向に延びる信号線と、
それぞれが、前記複数の画素電極のそれぞれに対応して設けられ、前記複数の画素電極のそれぞれと前記複数の走査線および前記複数の信号線とに接続された、複数のスイッチング素子を有し、
前記複数の走査線に走査信号電圧を順次供給することによって、前記複数の画素電極の中から同じ走査線に接続されているスイッチング素子を選択し、前記選択されたスイッチング素子に接続されている画素電極に対応する表示信号電圧を前記複数の信号線を介して供給することによって、表示を行う液晶表示装置であって、
前記複数の画素電極の内の任意の行に属する画素電極は、それぞれ対応するスイッチン グ素子を介して、一定本数だけ離れた異なる走査線に接続された画素電極を所定数毎に含み、
前記複数の信号線に供給される表示信号電圧の極性は、前記一定本数の走査線に走査信号電圧が順次供給されるたびに反転され、
前記任意の行に属する画素電極は、対応する表示信号電圧が先に供給される画素電極と、対応する表示信号電圧が後に供給される画素電極とを含み、これらの画素電極は、互いに隣接し、且つ、表示信号電圧の極性が隣接する画素電極と異なる画素電極を含み、
後で対応する表示信号電圧が供給される画素電極に、前記隣接する画素電極に対応する表示信号電圧が供給される前に、当該画素電極に対応する表示信号電圧と同じ極性の予備電圧が供給され、
前記一定本数だけ離れた走査線は、3本離れた一対の走査線であり、前記任意の行に属する画素電極は、前記一対の走査線の内の一方に接続された画素電極と他方に接続された画素電極とを連続した3画素ごとに交互に含んでおり、
前記複数の信号線に供給される表示信号電圧の極性は、3本の走査線に走査信号電圧が順次供給されるたびに反転される、液晶表示装置。 - 前記予備電圧は、前記任意の行以外の行に属する画素電極に対応する表示信号電圧である、請求項5に記載の液晶表示装置。
- 前記予備電圧は、前記任意の行の6行前の行に属する画素電極に対応する表示信号電圧である、請求項6に記載の液晶表示装置。
- 任意の行に属する複数の画素電極に対応する画素は、連続したR画素、G画素およびB画素を含む、請求項1から7のいずれかに記載の液晶表示装置。
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