JP3961150B2 - 炉内計装案内管のシール装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はインコア案内管のシール装置に係り、特に沸騰水型原子炉等の炉心に配設される複数の中性子計測管を引き抜いた後のインコア案内管に挿入されて、その内部を水密にシールするインコア案内管のシール装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、沸騰水型原子炉では、原子炉の安全性監視、燃料の健全性維持およびその効率的燃焼を達成するために、その炉心内に配設された中性子計装系の検出器により炉内の中性子を計測し、その計測データ等に基づいて炉内の出力制御を中央制御室で自動的に行う等により原子炉を運転している。
【0003】
中性子計装系の検出器はインコアモニタとも、中性子計測管とも呼ばれており、本願明細書では中性子計測管と称することにする。また、中性子計測管1を挿入する炉内計装案内管をインコア案内管と称することにする。
【0004】
図6により中性子計測管1を原子炉圧力容器内のインコア案内管2に取付けた状態を説明する。
すなわち、中性子計測管1は、その内部に中性子を計測する中性子検出器(図示せず)を内包する一方、その下半分をインコア案内管2内とインコアハウジング3内とを共に軸方向に貫通させて、原子炉圧力容器の下鏡部4からさらに下方の外方に延出させて、その下端から複数のリード線5を引き出している。
【0005】
また、中性子計測管1はその上部に、ばね6により軸方向に伸縮自在のスピンドル7を同心状に設けており、このスピンドル7の上端部を、上部格子板8同士の交差部8aの下面の支持用凹部9内に嵌入させて支持されている。中性子計測管1はインコア案内管2内とインコアハウジング3内にそれぞれ収容される部分に設けた各ガイドリング10,11により軸心位置を保持している。
【0006】
一方、インコア案内管2はその開口上端部を炉心支持板12の挿通孔内に挿通させて固定しており、その下端にはインコアハウジング3を溶接により同心状に固着している。インコアハウジング3はインコアフランジ13を取付ボルト14により締め付けており、中性子計測管1はインコアフランジ13を貫通して締付ナット15により取付けられ、締付ナット15の中心孔から中性子計測管1のリード線5を外部へ引き出している。
【0007】
このように構成された各中性子計測管1は毎定期検査時に更新するために交換作業が行なわれる。また、この作業中において、中性子計測管1を引き抜いた後のインコア案内管2やインコアハウジング3の健全性も点検して確認する必要がある。さらに、近年定期検査時に炉内構造物の点検や補強工事が増え、上部格子板8から炉心支持板12までの間も作業エリアとして空間を点検装置が使用する頻度が増えている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
このためには、インコア案内管2内に、その開口端からインコア案内管シール装置を挿入して、インコア案内管2内を水密にシールし、炉水がインコア案内管2の開口上端等から、その内部へ漏洩するのを防止し、その止水状態でインコアハウジング3から排水した後、これらの健全性等を点検する必要がある。
【0009】
その際に、最も重要なことは、インコア案内管シール装置のシール機能が高く信頼できるものである上に、インコア案内管2への挿入と引抜が容易であることが要求される課題がある。
【0010】
また、インコア案内管シール装置のインコア案内管2内に挿入される挿入部から上部格子板8までの空間は、できるだけ上部格子板8から下方で使用する検査機器や補強機器等と干渉しないように考慮されていると、平行作業を行うことができるとともに、定期点検工事の短縮につながる。さらに、原子炉内の狭い場所での炉水中の作業であるから、安全確実かつ毎時同にインコア案内管シール装置の取付,取外し作業を行うことが要求される課題がある。
【0011】
近年、原子炉の長寿命化を図るため、原子炉内機器の補修技術も進歩しており、シュラウドや圧力容器の内部点検、補強、補修などの工事も行われるようになっている。しかしながら、従来の上部格子板から炉心支持板までの範囲に起立させるインコア案内管のシール装置では、他の補修工事の装置と干渉するようになり、その際には一時取外しが必要になっており、その対策が要望されるところである。
【0012】
本発明は上記課題を解決するとともに、前記要望を満足させるためになされたもので、その目的は、シール機能が高く、インコア案内管への挿入と引抜が容易で、他の炉内機器等と干渉を生じない炉内計装案内管のシール装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
請求項1に対応する発明は、原子炉圧力容器内に設けられた炉心支持板に炉心計装案内管が取付けられ、この炉内案内管内に挿脱自在に挿入されて前記炉内計装案内管を水密にシールする炉内計装管のシール装置において、前記炉内計装案内管内を水密にシールする閉止プラグを備え、この閉止プラグはシールボックスと、このシールボックス内にねじ込まれ前記炉内計装案内管内に挿入して水密にシールするシール部を有するシールシャフトとからなり、前記シール部は前記炉内計装案内管内に挿入した際、拡径して前記炉内計装案内管の内面と水密に接する円筒状弾性シールパッキンを有することを特徴とする。
【0014】
請求項1の発明によれば、インコア案内管シール装置のインコア案内管へ挿入される挿入部で、閉止プラグだけを残して、その他のインコア案内管シール装置を回収できるため、他の炉内検査装置の使用に干渉しなくなり、定期検査の期間短縮が容易になる。また、閉止プラグの先端に先細の袋ナットでシールパッキンを固定することにより、インコア案内管挿入部への挿入性が向上する。
【0015】
さらに、閉止プラグの先端がインコア案内管挿入部に挿入されたときに、炉心支持板上に着座する着座シートを設けることにより、シールシャフトを長くすることで挿入部がインコア案内管内に挿入される挿入量を適量に調整することができ、高線量部から外した位置に弾性シールパッキンを設置できる。
【0016】
請求項2に対応する発明は、前記シールボックスは外面から突出するピンを有し、このピンは当該ピンが挿入される蟻溝が形成されたホルダーにより支持され、前記シールシャフトはその上面から短レンチとねじ込みにより接続され、前記短レンチは前記炉内計装案内管のシール装置の下部シャフトに接続されていることを特徴とする。
【0017】
請求項2の発明によれば、インコア案内管シール装置の挿入部の閉止プラグを燃料交換機上からレンチにより、シールシャフトを回すことで締め付けトルク管理ができる上、圧縮変形度が管理でき、シールの信頼性が向上する。
【0018】
請求項3に対応する発明は、前記下部シャフトは前記原子炉圧力容器内に設けられた上部格子板を貫通する中間シャフトにギヤを介して接続され、前記中間シャフトはオペレーションフロアに突出する上部シャフトにギヤを介して接続されていることを特徴とする。
【0019】
請求項3の発明によれば、インコア案内管シール装置は、そのレンチに上部格子板ガイドが付き、原子炉内に吊り込まれるので、インコア案内管シール装置を所定のインコア案内管内に容易かつ確実に挿入する一方、容易に取外すことができる。
【0020】
請求項4に対応する発明は、原子炉圧力容器内に設けられた炉心支持板に炉心計装案内管が取付けられ、この炉内案内管内に挿脱自在に挿入されて前記炉内計装案内管を水密にシールする炉内計装管のシール装置において、炉内計装案内管の上端部を覆いかぶせる上端が閉塞したキャップと、このキャップの外側を包囲して前記キャップとねじ結合するシールボックスと、このシールボックスの下部内側と前記炉内計装案内管の上部外面との間でかつ前記キャップの下端面で押圧支持されるように設けた筒状弾性シールパッキンとを具備したことを特徴とする。
【0021】
請求項4の発明によれば、インコア案内管外面に密着してシール可能なシール部品としたことで上部格子板や炉心支持板が交換工事により、ない場合でもレンチによりキャップまたはシールボックスを回転させることで、シール部材を圧縮変形させて、インコア案内管外面にシール部材を密着させることができる。
【0022】
請求項5に対応する発明は、前記シールボックスにピンを設け、このピンが挿入される蟻溝を有するホルダーを設け、このホルダーに外レンチを接続し、前記キャップの上部に前記外レンチ内に挿入する内レンチを接続してなることを特徴とする。
【0023】
請求項5の発明によれば、インコア案内管内へ挿入するガイドとして、円筒形の外レンチと内レンチを備えたことで、インコア案内管に炉心支持板と干渉することなく筒状シールパッキンを圧縮できる。内レンチと外レンチの長さを変えることで、インコア案内管の下方に設置されているインコアハウジングの閉止具として使用することができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
図1から図4により本発明に係る炉内計装案内管のシール装置の第1の実施の形態を説明する。
図1は第1の実施の形態に係る炉内計装案内管のシール装置を一部切欠して示す縦断面図、図2は図1のA−A矢視方向から見た上面図、図3(a)は図1におけるシールシャフト内にシールボックスを挿着した状態を示す上面図、(b)は(a)において一部側面で示す縦断面図、図4は図1における閉止プラグの使用例を部分的に示す側面図である。
【0025】
本実施の形態の炉内計装管のシール装置、つまりインコア案内管シール装置21は炉心支持板12に取付けられているインコア案内管2の挿入部37に挿入されて図4に示すように内面を水密にシールする閉止プラグ36を主体としている。閉止プラグ36は図3に拡大して示したようにシールボックス41と、このシールボックス41内にねじ込まれるシール部42を有するシールシャフト40とからなっている。
【0026】
シールシャフト40は水平部材40aと垂直部材40bとからなっており、垂直部材40bの外面にテフロンシート43,リング44,Oリング45,円筒状シールパッキン46,テフロンシート47および袋ナット48が上下に順次設けられてシール部42が構成されている。シール部42はインコア案内管2内の挿入部に挿入される。なお、テフロンとは四フッ化エチレン樹脂で、商品名である。
【0027】
上部格子板8にはガイド22を下面に有する上部ギヤハウジング23が設けられている。上部ギヤハウジング23には第1のギヤ29と第2のギヤ30が設けられ、第1のギヤ29には上部シャフト28が取付けられ、第2のギヤ30には中間シャフト31が取付けられている。
【0028】
ガイド22は2股に分岐する一対の脚部22a,22bを有し、これら脚部22a,22bの股間に、上部格子板8の交差部8aを挿入させて懸架されるようになっており、ガイド22の上面の上部ギヤハウジング23と側面の中間パイプ24を固着している。この中間パイプ24は垂直方向下方へ延伸し、その下端面に下部ギヤハウジング25が固着している。
【0029】
上部ギヤハウジング23には、上部にオペレーションフロア上の燃料交換機(以下、燃交と言う。図示せず)ホイストから伸びる燃交ワイヤ26を吊り耳27に嵌合して、インコア案内管シール装置21を吊り下げている。
【0030】
また、上部ギヤハウジング23内には前述した第1および第2のギヤ29,30が収納されており、燃料交換機から上部格子板8同士の交差部8aの中心上に伸ばした上部シャフト28により回転する第1のギヤ29と上部格子板8同士の交差部8aの中心をオフセットした第2のギヤ30を内蔵している。
【0031】
第2のギヤに接続された中間シャフト31は、ガイド22側面の中間パイプ24内を下方に伸び下部ギヤハウジング25内の第3のギヤ32に接続されている。下部ギヤハウジング25内の第3のギヤ32は、第4のギヤ33と噛み合って回転力を伝達するが、この第4のギヤ33は上部格子板8同士の交差部8aの中心部の垂線下方に位置して下部シャフト34に接続されている。
【0032】
つまり、図6に示すように中性子計測管1とインコア案内管2は上部格子板8同士の交差部8aの中心部の垂線下方にあるので、図2で示すように中間パイプ24はガイド22の側面に配置して、上部格子板8の交差部8aで干渉しないようオフセットしている。下部シャフト34の先端にはホルダー35を設けている。このホルダー35に閉止プラグ36を取付け、インコア案内管2内へ吊り降ろす。
【0033】
図1に示したように燃交ワイヤ26により吊り降ろされたインコア案内管シール装置21のガイド22が上部格子板8付近に到達した後、ガイド22を交差部8aに寄せて、さらに吊り降ろすとホルダー35に取付けられた閉止プラグ36の円筒状シールパッキン46と袋ナット48がインコア案内管2の挿入部37へガイドされ、さらに閉止プラグ36のシールボックス41が炉心支持板12に着座する。
【0034】
ガイド22によりガイドされ挿入部37の炉心支持板12に閉止プラグ36が着座すると、インコア案内管21上部のシャフト28を燃料交換機上の作業員が締め方向に回転させる。上部シャフト28の回転が第1のギヤ29に回転を伝え、上部ギヤハウジング23の上下に設けられたベアリング38に保持されている第1のギヤ29が第2のギヤ30に回転を伝える。
【0035】
第2のギヤ30に固定され、上部ギヤハウジング23と下部ギヤハウジング25のベアリング38に保持された中間シャフト31が回転し、さらに下部ギヤハウジング25とホルダー35のベアリングに保持された下部シャフト34上に設置された下部ギヤハウジング25内の第4のギヤ33が回転すると、先端が六角に整形された下部シャフト34が回転する。
【0036】
そして、下部シャフト34の先端の六角部分16は、短レンチ39のメスの六角形状穴に形成された六角ソケット17に嵌合して短レンチ39が回転する。短レンチ39の先端は上記と同様に六角に形成された六角部分18は閉止プラグ36のシールシャフト40の六角ソケット19と嵌合している。
【0037】
短レンチ39が右回転すると、炉心支持板12に着座した閉止プラグ36のシールシャフト40を左回転させる。このオスネジを持つシールシャフト40の外周にあるメスネジを持つシールホルダー41にねじ込まれている。
【0038】
図3により、閉止プラグ36の構造を説明する。
閉止プラグ36は、シールシャフト40とシールボックス41とシール部42からなり、袋ナット48の袋部分を下にして中心に穴を明けた形状のシールボックス41の穴にシールシャフト40先端を差込み、オスネジを持つシールシャフト40を右回転でメスネジを持つシールボックス41にねじ込まれている。
【0039】
シールボックス41の穴に差込まれ、下方に突き出たシールシャフト40先端に下からまず、テフロンシート43をはめ込み、次にリング44を入れ、このリング44の内側にOリング45をはめ込み、次に円筒状シールパッキン46を入れる。またその次にテフロンシール47を入れ、最後に先細の袋ナット48を締込みパッキンを固定している。
【0040】
シールボックス41は、外周面に2個所ピン49を持ち、図4に示したようにインコア案内管2に挿入されるまで、ホルダー35の蟻溝20にホールドされているが、閉止プラグ36が炉心支持板12に着座すると、さらにインコア案内管シール装置を下げることでピンは相対的に蟻溝20の上方へ移動することになる。
【0041】
ピン49が相対的に蟻溝20の上方へ移動したことをテレビカメラ(図示せず)で確認して、上部シャフト28を左に回すと短レンチ39も左に回り出し、短レンチ39を差込んだシールシャフト40も回転することになる。また、シールシャフト40とネジで嵌合したシールボックス41はネジの摩擦力でシールシャフト40について回転する。
【0042】
インコア案内管シール装置21を下げることで、相対的に蟻溝20の上方へ移動したピン49が回転を始めたシールボックス41についてホルダー35の蟻溝20を左に移動していく。そして45度ほど移動したところで、下向きに開放された蟻溝20に到達したところで蟻溝20の縁に接触して停止する。
【0043】
ピン49が、ホルダー35の蟻溝20で停止すると、シールシャフト40とネジで嵌合したシールボックス41とのネジの摩擦力がピン49に負け、シールボックス41が停止した状態でシールシャフト40のみ左回転する。
【0044】
シールシャフト40のみ左回転すると、シールシャフト40がネジに沿ってシールボックス41内を上昇するとシールシャフト40先端の袋ナット48も上昇する。
この時、シールボックス41と袋ナット48間のゴム製円筒状シールパッキン46に圧縮力が働き、図4の様に変形して局部的に拡径した膨大部46aが形成されてインコア案内管2の内面と密着する。
【0045】
円筒状シールパッキン46は、天然ゴムや合成ゴム、その他の弾性体により、下方に向けて先細の袋ナットで押され圧縮変形され、その外周面がインコア案内管2の内周面に水密に密着して炉水をシールするようになっている。
【0046】
したがって、本実施の形態によれば、燃料交換機から吊り降ろしたインコア案内管シール装置21をガイド22でインコア案内管2へガイドすることで容易にインコア案内管2の挿入部37へ閉止プラグ36を挿入でき、上部シャフト28を左回転することでパッキン46を直径方向に拡径するように圧縮変形させ、インコア案内管2の内周面への密着度が増大するので、シール効果が向上する。
【0047】
一方、円筒状シールパッキン46を圧縮変形させた後は、燃交ワイヤ26により巻き上げるとホルダー35の下向きに開放された蟻溝20からシールボックス41のピン49が抜けるため、閉止プラグ36は、炉心支持板12上に置かれたまま、ホルダー35から上のインコア案内管シール装置21を撤去することができる。
【0048】
次に、取外しを説明する。
燃交ワイヤ26で吊り降ろしたインコア案内管シール装置21はガイド22によりホルダー35を閉止プラグ36にガイドする。ホルダー35の下向きに開放された蟻溝20へピン49が入ったら、上部シャフト28を右に回転させる。各ギヤが上部シャフト28に追従して回転し、シールシャフト40右回転するとシールシャフト40がネジに沿って、シールボックス41内を下降し、シールボックス41の底面に到達し、パッキン46への圧縮力がなくなり元の形に復帰する。
【0049】
シールシャフト40がシールボックス41の底面に到達しても、さらに右回転するとシールシャフト40がシールボックス41を伴って右回転する。この時ピン49は、ホルダー35の蟻溝20を右へ移動し、最後は下向きで開放されていない蟻溝20の縁に接触し停止する。ここで、インコア案内管シール装置21を燃交ワイヤで引き上げると全てのインコア案内管シール装置部品を回収することができる。
【0050】
つぎに図5により本発明の第2の実施の形態を説明する。
図5は本発明の第2の実施の形態に係るインコア案内管シール装置50の閉止キャップ51の一部切欠部分縦断面図である。本実施の形態は図1に示したインコア案内管シール装置21の閉止プラグ36に代えて、閉止キャップ51をインコア案内管2に取付ける例であり、近年の原子炉内強化工事の範囲拡大とともに炉心支持板12や上部格子板8が取外された状態で、インコア案内管を閉止するためのシール装置である。
【0051】
すなわち、閉止キャップ51は、第1の実施の形態におけるインコア案内管シール装置21の閉止プラグ36がインコア案内管2の内面にゴム製円筒状シールパッキン46を密着させ炉水をシールするのに対し、閉止キャップ51は、インコア案内管2外面に筒状パッキン53を密着させ炉水をシールすることにあり、シールボックス52と、このシールボックス52内にねじ込むキャップ58とからなっている。
【0052】
シールボックス52は、上部、中間部および下部が縮径した筒状の形状をしており、上部内面には、前記閉止プラグ36と同様にメスネジを切っている。中間部は一段直径が小さくなり、ここへ筒状シールパッキン53をはめ込む。さらに下部の先端にはインコア案内管2が入り易いようラッパ状のガイド63を付けている。
【0053】
また、上部は取外し時にホルダー59に設けた蟻溝64を移動するピン54が取付けられており、閉止プラグと同様に使用する。ホルダー59の上部には外レンチ61が接続されている。外レンチ61内には内レンチ60が挿入されている。
【0054】
シールボックス52に第1のテフロンシート55を入れ、その下面に筒状シール外側パッキン53をはめ込み、次に筒状シールパッキン53の下面に第2のテフロンシート55を入れる。そして、上部に六角ソケット56を有し、下部にOリング57を有するオスネジ付きのキャップ58をシールボックス52にねじ込んで組立てられている。
【0055】
取付けは、第1の実施の形態と同様にインコア案内管シール装置50下端のホルダー59の蟻溝64にシールボックス52のピン54を入れ、ピン54を右に90度回し、下向きで開放されていない蟻溝64にはめることで、閉止キャップ51の移送中に落下させないようにする。
【0056】
第2の実施の形態の最初に説明したように、炉内補強工事のため、炉心支持板12と上部格子板8がないため、インコア案内管シール装置50は、途中でオフセットする必要がないため、直線形状のレンチで良い。
【0057】
燃交ワイヤ26により炉内へ吊り降ろしたインコア案内管シール装置50は、シールボックス52の先端のラッパ状のガイド63に、インコア案内管2を挿入する。インコア案内管2の上端はシールボックス52内のパッキン55,53,55部分を通過して、キャップ58内の係止部65まで挿入して着座する。
【0058】
インコア案内管2がキャップ58に着座したならば、内レンチ60を燃料交換機上で固定して、外レンチ61を左に回転するとキャップ58がネジに沿って下降して行くため、筒状シールパッキン53に圧縮力が加わり、筒状シールパッキン53が圧縮変形し、インコア案内管2の外面に密着し、炉水をシールできることになる。
【0059】
締め終わると、ホルダー59に下向きで開放されている蟻溝64にピン54を合わせて内レンチ60と外レンチ61を燃交ワイヤで引き上げることで、閉止キャップ51をインコア案内管2に残してその他を回収できる。なお、キャップ58内の空間62は、検査装置をインコア案内管2の最上部まで上げたときにキャップ58の下面と干渉しないよう配慮したものである。
【0060】
取外す場合は、内レンチ60と外レンチ61を燃交ワイヤ26で吊り降ろし、ホルダー59の下向きで開放されている蟻溝64にピン54を合わせて入れ、内レンチ60を燃料交換機上で固定して、外レンチ61を右に回転するとキャップ58上に移動し筒状シールパッキン53の圧縮力が解除され、元の形状に復旧する。外レンチ61を回し、下向きで開放されていない蟻溝64にピン54を合わせホルダー59で保持しながら閉止キャップ51と内外レンチを60,61を一緒に引き上げる。
【0061】
上述したように、この第2の実施の形態によれば、上部格子板が存在しない場合でも直接インコア案内管2に閉止キャップ51を取付けることができる。また、インコア案内管2が取外されている場合には、インコアハウジングにも、レンチを長くするだけで取付けることができるなど、原子炉内の構造物の補強工事に有効な閉止具を提供することができる。
【0062】
【発明の効果】
本発明によればつぎに述べる効果がある。
(1) インコア案内管シール装置のインコア案内管へ挿入される挿入部で、閉止プラグだけを残して、その他のインコア案内管シール装置を回収できるため、他の炉内検査装置の使用に干渉しなくなり、定期検査の期間短縮が容易になり、原子力発電所稼働率が向上するとその発電エネルギー分、石油によるエネルギーを抑制でき、地球規模の環境破壊を防止できる。
【0063】
(2) インコア案内管シール装置の挿入部の閉止プラグを燃料交換機上からレンチによりシールシャフト回すことで、締め付けトルク管理ができるだけでなく、圧縮変形度が管理でき、シールの信頼性が向上する。
【0064】
(3) 閉止プラグの先端に先細の袋ナットでシールパッキンを固定するこにより、インコア案内管挿入部への挿入性が向上し、20個所以上あるインコア案内管の作業が短縮できる。
【0065】
(4) 閉止プラグの先端がインコア案内管挿入部に挿入されたときに、炉心支持板上に着座する着座シートを設けているので、シールシャフトを長くすることにより挿入部がインコア案内管内に挿入される挿入量を適量に調整することができる。また高線量部から外した位置に弾性体を設置でき、定期検査期間が長い場合でも弾性シールパッキンを交換する必要がなくなるため、作業員の放射線被曝低減と定期検査の期間短縮が可能となる。
【0066】
(5) インコア案内管シール装置は、そのレンチに上部格子板ガイドが付き、原子炉内に吊り込まれるので、インコア案内管シール装置を所定のインコア案内管内に容易かつ確実に挿入する一方、容易に取外すことができ、作業員の放射線被曝低減と定期検査の期間短縮が可能となる。
【0067】
(6) 下部シャフトの下端部に短レンチを設け、この短レンチの下端部にシールシャフトを設けたことにより、上部格子板の交差部の直下で炉心支持板に設けたインコア案内管に上部格子板と干渉することなくシールパッキンを圧縮でき、締め付けトルク管理ができる上、圧縮変形度が管理でき、シールの信頼性が向上する。
【0068】
(7) インコア案内管の内面に密着してシール可能な円筒状シールパッキンを設けたことで交換工事により、上部格子板や炉心支持板が存在しない場合でも、短レンチによりキャップまたはシールボックスを回転させることで前記シールパッキンを圧縮変形させて、インコア案内管の内面にシールパッキンを密着させることができる。また他の炉内検査装置の使用に干渉しなくなり、定期検査の期間短縮が容易になって、原子力発電所稼働率が向上すると、その発電エネルギー分、石油によるエネルギーを抑制でき地球規模の環境破壊を防止できる。
【0069】
(8) 内レンチと外レンチの長さを変えることにより、インコア案内管の下方にあるインコアハウジングの閉止具として使えるため、他の炉内検査装置の使用による干渉しない範囲が広くなり、さらに定期検査の期間短縮が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るインコア案内管シール装置の第1の実施の形態を一部切欠して示す縦断面図。
【図2】図1のA−A矢視方向から見た上面図。
【図3】(a)は図1におけるシールシャフト内にシールボックスを挿着した状態を示す上面図、(b)は(a)において一部側面で示す縦断面図。
【図4】図1における閉止プラグの使用例を部分的に断面で示す側面図。
【図5】本発明に係るインコア案内管シール装置の第2の実施の形態を一部側面で示す縦断面図。
【図6】従来例を説明するための中性子計測管を炉心のインコア案内管に取付けた状態を一部切欠して示す縦断面図。
【符号の説明】
1…中性子計測管、2…インコア案内管、3…インコアハウジング、4…原子炉圧力容器の下鏡部、5…リード線、6…ばね、7…スピンドル、8…上部格子板、8a…上部格子板の交差部、9…支持用凹部、10,11…リング、12…炉心支持板、13…インコアフランジ、14…取付ボルト、15…締付ナット、16,18…六角部分、17,19…六角ソケット、20…蟻溝、21…インコア案内管シール装置(第1の実施の形態)、22…ガイド、23…上部ギヤハウジング、24…中間パイプ、25…下部ギヤハウジング、26…燃交ワイヤ、27…吊り耳、28…上部シャフト、29…第1のギヤ、30…第2のギヤ、31…中間シャフト、32…第3のギヤ、33…第4のギヤ、34…下部シャフト、35…ホルダー、36…閉止プラグ、37…挿入部、38…ベアリング、39…短レンチ、40…シールシャフト、41…シールボックス、42…シール部、43…テフロンシート、44…リング、45…Oリング、46…円筒状シールパッキン、47…テフロンシート、48…袋ナット、49…ピン、50…インコア案内管シール装置(第2の実施の形態)、51…閉止キャップ、52…シールボックス、53…筒状シールパッキン、54…ピン、55…テフロンシート、56…六角ソケット、57…Oリング、58…キャップ、59…ホルダー、60…内レンチ、61…外レンチ、62…キャップ内空間、63…ガイド、64…蟻溝。
Claims (5)
- 原子炉圧力容器内に設けられた炉心支持板に炉心計装案内管が取付けられ、この炉内案内管内に挿脱自在に挿入されて前記炉内計装案内管を水密にシールする炉内計装管のシール装置において、前記炉内計装案内管内を水密にシールする閉止プラグを備え、この閉止プラグはシールボックスと、このシールボックス内にねじ込まれ前記炉内計装案内管内に挿入して水密にシールするシール部を有するシールシャフトとからなり、前記シール部は前記炉内計装案内管内に挿入した際、拡径して前記炉内計装案内管の内面と水密に接する円筒状弾性シールパッキンを有することを特徴とする炉内計装案内管のシール装置。
- 前記シールボックスは外面から突出するピンを有し、このピンは当該ピンが挿入される蟻溝が形成されたホルダーにより支持され、前記シールシャフトはその上面から短レンチとねじ込みにより接続され、前記短レンチは前記炉内計装案内管のシール装置の下部シャフトに接続されていることを特徴とする請求項1記載の炉内計装案内管のシール装置。
- 前記下部シャフトは前記原子炉圧力容器内に設けられた上部格子板を貫通する中間シャフトにギヤを介して接続され、前記中間シャフトはオペレーションフロアに突出する上部シャフトにギヤを介して接続されていることを特徴とする請求項2記載の炉内計装案内管のシール装置。
- 原子炉圧力容器内に設けられた炉心支持板に炉心計装案内管が取付けられ、この炉内案内管内に挿脱自在に挿入されて前記炉内計装案内管を水密にシールする炉内計装管のシール装置において、炉内計装案内管の上端部を覆いかぶせる上端が閉塞したキャップと、このキャップの外側を包囲して前記キャップとねじ結合するシールボックスと、このシールボックスの下部内側と前記炉内計装案内管の上部外面との間でかつ前記キャップの下端面で押圧支持されるように設けた筒状弾性シールパッキンとを具備したことを特徴とする炉内計装案内管のシール装置。
- 前記シールボックスにピンを設け、このピンが挿入される蟻溝を有するホルダーを設け、このホルダーに外レンチを接続し、前記キャップの上部に前記外レンチ内に挿入する内レンチを接続してなることを特徴とする請求項4記載の炉内計装案内管のシール装置。
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