JP3949147B2 - 混合希土類酸化物、混合希土類フッ素化物及びそれらを用いたセリウム系研磨材、並びにそれらの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、液晶パネル、ハードディスク、特定周波数カット用フィルター等に使用されるガラス基板、光学レンズ等のガラス質基板の研磨に用いられるセリウム系研磨材及びその原料、並びにそれらの製造方法に関する。また本発明は特に、ハードディスク用基板や液晶パネル用ガラス基板等の高精度ガラス基板の仕上げ研磨に用いられるセリウム系研磨材及びその原料、並びにそれらの製造方法に関する。
近年、ガラス材料は様々な用途に用いられており、これらの用途のうちのいくらかでは表面研磨が必要とされることがある。例えば光学レンズにおいては、鏡面となるような表面精度が要求される。また、光ディスクや磁気ディスク用のガラス基板、薄膜トランジスタ(TFT)型LCDや超ねじれネマティック(STN)型LCD等の液晶用のガラス基板、液晶TV用カラーフィルター、LSIフォトマスク用ガラス基板等においては、平坦性や小さい表面粗さ及び無欠陥が要求されるため、より高精度な表面研磨が求められている。
液晶用ガラス基板は、後工程での熱処理温度が高いために高い耐熱性が求められ、また軽量化のために薄型化が進んでいる。更には最近では液晶テレビの需要が急速に拡大するとともに、その大型化も加速の一途である。磁気ディスク用ガラス基板においても軽量化に伴う薄型化や高回転時のディスクのうねりに耐えうる機械特性、特に剛性が高いことなど、要求が年々厳しくなっている。
一方で、大型のプロジェクションテレビでは、画素数が大型液晶テレビと同様であるにも関わらず基板面積が比較的小さいため、高温ポリシリコンTFT等の手法が用いられ、また硬質の石英硝子などが基板として使用されている。
これらの薄型化や機械特性を満足するためにガラスの化学組成や製法が改良され、より硬質となっており、従って加工性が悪くなってきている。
ガラス基板の表面研磨に用いられる研磨材としては、二酸化ケイ素、酸化鉄、酸化ジルコニウム、又は希土類酸化物を主成分とする研磨材が使用されている。希土類酸化物、特に酸化セリウムを主成分とする研磨材は、二酸化ケイ素に比べて研磨速度が数倍優れているという理由から好ましいとされている。これらの研磨材は、砥粒を水等の液体に分散させて使用するのが一般的である。
しかしながら、従来のセリウム系研磨材を従来の研磨条件で使用する場合、加工速度が低い上に研磨パッドの目詰まりによる研磨速度の低下が著しく、研磨パッドのドレッシングや研磨スラリーの交換を頻繁に行う必要があり、極端に生産性が悪化するという問題点がある。従って、高精度な表面研磨性能、高い研磨速度を提供すると共に、目詰まりが起こりにくく、且つ長期にわたって安定して使用できる研磨材及びそのスラリーが要求されている。
セリウム系研磨材の研磨機構については充分解明されているわけではないが、現象論的には、酸化セリウムの持つガラスに対するケミカル効果と、酸化セリウム粒子そのものの硬さに起因するメカニカル効果の複合効果により研磨加工が進行することが確認されている。
しかしながら、アルミノシリケートを主成分とするガラス基板やリチウムシリケートを主成分とする結晶化ガラス基板は、耐薬品性に優れているため、セリウム系研磨材によるケミカル効果が充分発揮されない。また、これらのガラス基板(被加工物)は硬質であるため、研磨材粒子の破砕が容易に起こり、ガラスに対するメカニカル効果が充分に維持できずに加工速度がすぐに低下してしまう。特に最近急速に増えている大型基板ではこの傾向が顕著である。従ってセリウム系研磨材は、長期に渡って加工速度を高く維持することが求められている。
メカニカル効果を長期に渡って維持するために、研磨材組成物中にフッ素化カルシウム、アルミナ、ダイヤモンド等の被加工物と同等以上の硬度を有する砥粒を添加することが考えられている(特許文献1)。しかしながらこの場合、酸化セリウム粒子の濃度が相対的に低下することになり、従ってそのケミカル効果が不足してしまう。また、被加工物と同等以上の硬度を有する粉末粒子により、ガラス表面(被加工物表面)にピットやスクラッチ(傷)等の欠陥が発生してしまう。
最近では、セリウム系研磨材の原料として、混合希土類炭酸塩(特許文献2)、或いは混合希土類炭酸塩を焼成して混合希土類酸化物としたもの(特許文献3)が用いられるようになっている。混合希土類酸化物を用いる場合、高研磨速度を達成するために不可欠なフッ素との反応を均一にするために、過焼成された混合希土類酸化物粒子を生成させないように一部の炭酸塩を酸化させずに残留させること、混合希土類炭酸塩を混合すること等が考えられている。しかしながら、これらの原料を用いた方法では、セリウム系研磨材の製造工程中の最終的な焼成の際に炭酸ガスが焼失するため、必ずしも原料コストが低く焼成効率が高い方法とはいえない。また、骨格となる希土類酸化物の焼成度合いが低いと、最終的にできたセリウム系研磨材の粒子の硬さが不均一になり、研磨したガラス表面にスクラッチが発生することや研磨速度が早く低下すること等の問題の原因となる。特に、硬質のガラス基板では、研磨速度の低下が顕著になることは致命的である。
これらの問題を解決するために、特許文献4では、混合希土類酸化物に混合希土類フッ素化物を添加して、湿式粉砕、乾燥、焼成、解砕及び分級することによりセリウム系研磨材を得ている。また特許文献5及び6では、X線回折を用いて、フッ素成分を含有するセリウム系研磨材を評価する方法を開示している。
特開平8−253763 特開2004−2870 特開2002−309236 特開2002−224949 特開2002−97457 特開2002−97458
本発明では、特許文献1〜3の従来技術の課題を解決し、また特許文献4のセリウム系研磨材を更に改良する。従って本発明の一つの目的は、安価で且つ良好な生産効率を有するセリウム系研磨材の原料を提供することである。また、もう一つの目的は、その原料を用いて、硬質ガラス基板のような速い研磨速度が得にくいガラス基板、或いは大型ガラス基板のような平坦な研磨面が得にくいガラス基板に対し、当初の研磨速度を長期に渡って維持することができ、好ましくはガラス等の被加工物にピット、スクラッチ等の表面欠陥を生じさせず、研磨後の基板品質を向上することのできるセリウム系研磨材を製造する方法を提供することである。
本発明は下記のようなものである。
(1)1000℃の温度で1時間加熱した場合の灼熱減量が乾燥質量基準で0.5質量%以下であり、且つCu−Kα1線を用いたX線回折の2θ=10deg〜70degにおける最大ピークの半値幅を用いてScherrerの式により算出される結晶子径が、200Å以上400Å以下である、セリウム系研磨材製造のための混合希土類酸化物。
(2)上記結晶子径が200Å以上300Å以下である、上記第(1)項に記載の混合希土類酸化物。
(3)混合希土類炭酸塩を850℃〜1100℃の温度で1〜10時間焼成することを含む、上記第(1)又は(2)項に記載の混合希土類酸化物の製造方法。
(4)1000℃の温度で1時間加熱した場合の灼熱減量が乾燥質量基準で3〜15%である、セリウム系研磨材製造のための混合希土類フッ素化物。
(5)レーザー回折/散乱法によって測定される最大粒子径が100μm以下である、上記第(4)項に記載の混合希土類フッ素化物。
(6)混合希土類化合物のスラリーをフッ素化合物によってフッ素化処理して混合希土類フッ素化物の沈殿を生じさせ、この沈殿を400℃以下の温度で乾燥することを含む、上記第(4)又は(5)項に記載の混合希土類フッ素化物の製造方法。
上記(1)又は(2)項に記載の混合希土類酸化物と、混合希土類フッ素化物とを混合し、そして粉砕、乾燥、焼成、解砕及び分級することを含む、セリウム系研磨材の製造方法。
(8)混合希土類酸化物と、上記(4)又は(5)項に記載の混合希土類フッ素化物とを混合し、そして粉砕、乾燥、焼成、解砕及び分級することを含む、セリウム系研磨材の製造方法。
(9)上記第(1)又は(2)項に記載の混合希土類酸化物と、上記第(4)又は(5)項に記載の混合希土類フッ素化物とを混合し、そして粉砕、乾燥、焼成、解砕及び分級することを含む、セリウム系研磨材の製造方法。
(10)上記混合希土類酸化物と上記混合希土類フッ素化物とを、質量比で90:10〜65:35の割合で混合する、上記第(7)〜(9)項のいずれかに記載のセリウム系研磨材の製造方法。
(11)上記混合及び粉砕の少なくとも一方の際に分散剤を添加する、上記第(7)〜(10)項のいずれかに記載のセリウム系研磨材の製造方法。
(12)上記焼成を750℃〜1100℃の温度及び10〜20%の酸素濃度で行う、上記第(7)〜(11)項のいずれかに記載のセリウム系研磨材の製造方法。
(13)上記第(1)又は(2)項に記載の混合希土類酸化物と上記第(4)又は(5)項に記載の混合希土類フッ素化物とを用いて製造したセリウム系研磨材。
(14)上記第(7)〜(12)項のいずれかに記載の方法により製造された、セリウム系研磨材。
(15)上記(13)又は(14)項に記載のセリウム系研磨材を用いてガラス基板を研磨する、ガラス基板の研磨方法。
(16)上記(15)項に記載の方法でガラス基板を研磨する工程を含む、ガラス基板の製造方法。
(17)上記(15)項に記載の方法でガラス基板を研磨する工程を含む、液晶パネル、ハードディスク、特定周波数カット用フィルター又は光学レンズの製造方法。
本発明の混合希土類酸化物と混合希土類フッ素化物とを用いることによって、セリウム系研磨材の骨格を強固なものにすることができ、また混合希土類酸フッ素化物を生成するための混合希土類酸化物と混合希土類フッ素化物との反応を効果的に行うことができる。従って本発明の製造方法によって得られるセリウム系研磨材を使用することによって、高い研磨速度を長期に渡って維持することができると共に、スクラッチの発生が少なく、表面粗さの小さい、品質良好な研磨面を得ることができる。
また本発明の混合希土類酸化物と混合希土類フッ素化物とを用いることによって、単純な固相反応で良質のセリウム系研磨材を得ることができる。従ってセリウム系研磨材を、生産効率がよく、安い製造コストで得ることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
[混合希土類酸化物]
セリウム系研磨材製造のための本発明の混合希土類酸化物、特に粒子状の混合希土類酸化物は、希土類、特に主としてセリウム(Ce)、ランタン(La)、プラセオジム(Pr)及びネオジム(Nd)の混合酸化物であり、これらの希土類元素を多く含む天然鉱石(希土類精鉱)から製造することができる。
本発明の混合希土類酸化物は、酸化物換算で、希土類の含有率が合計で95質量%超、特に98質量%程度であることが望ましい。また、含有される全希土類を基準として酸化物換算で、40質量%以上、より好ましくは60質量%以上がセリウムであることが望ましい。
希土類鉱石から本発明の混合希土類酸化物を製造する場合、このような鉱石を、硫酸と共に焙焼して硫酸塩を生成し、この硫酸塩を水に溶解して、アルカリ金属、アルカリ土類金属、放射性物質等の希土類以外の成分を不溶物として除去する。その後、水酸化ナトリウム等のアルカリにより混合希土類水酸化物とし、塩酸で溶解して混合希土類塩化物溶液とし、炭酸ナトリウム、重炭酸アンモニウム等を添加して炭酸塩とするか、あるいはシュウ酸を添加してシュウ酸塩としたものを、本発明の混合希土類酸化物の原料として用いることができる。
また更に、混合希土類塩化物溶液から溶媒抽出法によって、希土類成分のうちの中重希土類とNdとを化学的に分離除去し、炭酸ナトリウム、重炭酸アンモニウム、シュウ酸などで炭酸塩又はシュウ酸塩とした混合軽希土類塩を、本発明の混合希土類酸化物の原料として用いることもできる。ここで、中重希土類とは、Pm(プロメチウム)より大きい原子番号の希土類をいうものとする。
中重希土類を溶媒抽出法によって除去した混合軽希土類化合物は例えば、全希土類の含有率が酸化物換算で45〜55質量%、全希土類中のセリウムの含有率が酸化物換算で45〜75質量%、炭酸を除く非希土類成分含量が1.5質量%以下であり、残りは炭酸である。
バストネサイトとモナザイトの複雑混合鉱石を用いる場合、上記のような希土類精鉱の硫酸焙焼による方法によって、アルカリ金属、アルカリ土類金属、放射性物質等の希土類以外の成分を化学的に分離除去することが一般的である。また、バストネサイト単独鉱石を用いる場合、組成が比較的単純なため、硫酸や濃塩酸への希土類成分の溶解による分離法によってこの分離除去を達成することが一般的である。中重希土類とNdの希土成分の化学的な分離除去の方法としては、溶媒抽出法が一般的である。
これらの混合軽希土類化合物を850〜1,100℃の温度で焼成して、本発明の混合希土類酸化物を得るようにすることができる。但し、具体的な焼成条件は、使用する混合希土類化合物に依存して、本発明の混合希土類酸化物を得るように決定されるものである。
本発明における原料は、一般に粒子が非常に小さいため、粒子そのものの硬さを測定することが困難であり、定量的にあらわすことができない。そこで、間接的な粒子の硬さを表す尺度として、灼熱減量と結晶子径を用いている。
セリウム系研磨材製造のための本発明の混合希土類酸化物は、1000℃の温度で1時間加熱した場合の灼熱減量を0.5質量%以下となるようにした混合希土類酸化物である。灼熱減量を0.5質量%以下とすることにより、最終的に製造されるセリウム系研磨材の骨格を成す粒子を硬くすることができる。灼熱減量が0.5質量%より多いと、最終的に製造されるセリウム系研磨材の骨格が柔らかいために研磨中に研磨パッドと被加工物であるガラスとの間で擦れたときに容易に破砕が起こってしまう。この現象は、特にガラス基板の面積が大きくなるほど顕著になる。
一方であまりに強固な骨格を形成しすぎてしまうと、後の製造工程でのフッ素化反応が進行しづらくなり、高い研磨速度を得ることができなくなる。従って本発明の混合希土類酸化物は、Cu−Kα1線を用いたX線回折の2θ=10deg〜70degにおける最大ピークの半値幅を用いてScherrerの式により算出される結晶子径が200Å以上である。また、後の製造工程でのフッ素化反応を均一に且つ完全に行うためには、上記結晶子径は400Å以下であることが好ましく、300Å以下であるとより好ましい。
尚、「灼熱減量」は、材料を規定の温度条件に加熱したときの質量減少百分率をいうものとして一般的に知られている。本発明における灼熱減量は、1000℃の温度で1時間加熱した場合の強熱減量をいうものとし、JIS−K−0067(1992年)に準拠して測定される。尚、このJIS基準は日本工業規格(日本国東京都港区赤坂4−1−24)から、その英訳とともに容易に入手可能である。ここで、1000℃という温度条件は、混合希土類炭酸塩の熱質量分析結果を考慮したものである。すなわち、混合希土類炭酸塩について熱質量分析を行うと、500℃を越えたあたりから減量が少なくなり、900℃を超えるとほとんど減量しなくなるので、1000℃の温度であれば実質的に全ての炭酸塩が分解されると考えたためである。
灼熱減量は具体的には次のようにして測定される。まず、質量を恒量としたるつぼの質量を測定する。そして、乾燥した試料をるつぼに入れて質量を測定した後、1000℃に保持した電気炉中で1時間強熱する。強熱後、るつぼを速やかにデシケーターに移して放冷する。放冷後、デシケーターから取り出し、その質量を測定する。この測定結果に基いて、灼熱減量を次式に基いて算出する。
B=(W1−W2)/(W1−W3)×100
[B:灼熱減量(%)、W1:強熱前の試料とるつぼの質量(g)、W2:強熱後の試料とるつぼの質量(g)、W3:るつぼの質量(g)]
また、「結晶子径」は次のようにして、測定及び算出される。
まず、Cu−Kα1線を用いたX線回折解析を行う。その後、2θ=10deg〜70degにおける最大ピークの半値幅を測定し、下記のSherrerの式により、結晶子径を算出する:
hkl=K×λ/(β×cosθ) … Scherrerの式
[Dhkl:結晶子径(Å、hklに垂直方向の結晶子の大きさ)、λ:測定X線波長(Å)、β:結晶の大きさによる回折線の広がり(ラジアン)、θ:回折線のブラッグ角(ラジアン)、K:定数(βとDの定数で異なる)]
一般に、βに半値幅β1/2を用いる場合、K=0.9となることが知られている。またCu−Kα1線の波長は、1.54050Åであるので、本発明における結晶子径Dは次式に基づいて計算される:
D=0.9×1.54050/(β1/2×cosθ)
[混合希土類フッ素化物]
セリウム系研磨材製造のための本発明の混合希土類フッ素化物は、希土類、特に主としてセリウム(Ce)、ランタン(La)、プラセオジム(Pr)及びネオジム(Nd)の混合フッ素化物であり、これらの希土類元素を多く含む天然鉱石(希土類精鉱)から製造することができる。
本発明の混合希土類フッ素化物は、酸化物換算で、希土類の含有率が合計で約60質量%超、特に60〜90質量%程度であることが望ましい。また、含有される全希土類を基準として酸化物換算で、40質量%以上、より好ましくは60質量%以上がセリウムであることが望ましい。また本発明の混合希土類フッ素化物は、フッ素含有率が20〜30質量%であることが望ましい。
希土類精鉱から本発明の混合希土類フッ素化物を製造する場合、本発明の混合希土類酸化物に関して説明したようにして、希土類精鉱からアルカリ金属、アルカリ土類金属、放射性物質等の希土類以外の成分を除去した混合希土類化合物、特に中重希土類とNdとを更に化学的に分離除去した混合軽希土類化合物、例えば炭酸塩、水酸化物を原料として用いることができる。
これらの混合希土類化合物のスラリーをフッ素化合物によってフッ素化処理して混合希土類フッ素化物の沈殿を生じさせ、この沈殿を濾過し、400℃以下の乾燥温度で乾燥して、本発明の混合希土類フッ素化物を得るようにすることができる。ここで、フッ素化合物としては、フッ化水素酸、フッ化ナトリウム、酸性フッ化アンモニウム等を挙げることができる。但し、乾燥温度、フッ素化合物等の具体的な製造条件は、使用する混合希土類化合物に依存して、本発明の混合希土類酸化物を得るように決定されるものである。
混合希土類フッ素化物の沈殿を乾燥する際の乾燥温度が400℃より高いと、セリウム研磨材を製造する工程において、混合希土類酸化物のフッ素化反応が不均一となる。この不均一なフッ素化反応は、焼成時に混合希土類フッ素化物粒子の硬い塊を形成し、また未反応の希土類酸化物粒子を残留させることがある。この混合希土類フッ素化物粒子の硬い塊は、スクラッチの原因となる。また未反応の希土類酸化物粒子が残留すると、高い研磨速度を長期にわたって維持することができない。従って、熱処理温度は400℃以下であることが好ましい。
セリウム系研磨材製造のための本発明の混合希土類フッ素化物は、1000℃の温度で1時間加熱した場合の灼熱減量が乾燥質量基準で3〜15%である。この灼熱減量が3質量%より低いと、希土類酸化物との反応性が悪くなることがあり、また灼熱減量が15質量%より高いと、揮発成分が多くなるため経済的ではないことがある。
レーザー回折/散乱法によって測定される本発明の混合希土類フッ素化物の最大粒子径が100μm以上であると、粉砕工程での粒子径のコントロールが困難となり、希土類酸化物との不均一な反応の原因になることがある。
[セリウム系研磨材]
「セリウム系研磨材」は、金属成分として、希土類、特に主としてセリウム(Ce)、ランタン(La)、プラセオジム(Pr)及びネオジム(Nd)の混合物を含有する研磨材を意味し、特に酸化物換算で、希土類の含有率が合計で90質量%超、特に95質量%程度であることが望ましい。また特に、含有される全希土類を基準として酸化物換算で、セリウム含有率が45質量%超、より特に60質量%超であることが望ましい。
本発明では、このセリウム系研磨材を製造するために、混合希土類酸化物と混合希土類フッ素化物とを混合し粉砕する。その際、使用される混合希土類酸化物又は混合希土類フッ素化物の少なくともどちらかが、本発明の混合希土類酸化物又は本発明の混合希土類フッ素化物である。また好ましくはこれら両方が、本発明の混合希土類酸化物及び本発明の混合希土類フッ素化物である。
上記の混合希土類酸化物と混合希土類フッ素化物を質量比で90:10〜65:35の割合で、より好ましくは85:15〜75:25の割合で混合し、粉砕する。混合希土類酸化物の割合が質量比で90部より高くなると、最終的に生産されるセリウム系研磨材のフッ素含有率が少なすぎることとなり、高い研磨性能が発揮されないことがある。また、混合希土類酸化物の割合が質量比で65部より少ないと、最終的に生産されるセリウム系研磨材に未反応の混合希土類フッ素化物が残留してしまい、硬い粒子となってスクラッチの原因となることがある。ここで、最適なフッ素含有率は5〜10質量%である。
また、本発明では、混合希土類酸化物と混合希土類フッ素化物とを混合し粉砕する際、特にスラリーの状態で粉砕する際、分散剤を添加することができる。混合希土類フッ素化物は特に凝集性が強く、分散剤を添加しない場合には再凝集が起こることがある。混合希土類フッ素化物の再凝集が起こると、細かい混合希土類酸化物粒子に対するフッ素化が十分に均一に進行せず、研磨パッドの目詰まりの原因となり、高い研磨性能を発揮させることができないことがある。ここで使用できる分散剤は、縮合燐酸、アルカリ金属の無機系の塩、アルカリ金属の有機系の塩など、粉砕スラリーに分散効果を付与することができる一般的な分散剤であれば特に制約は無い。
例えば、縮合燐酸としては、ピロ燐酸が挙げられ、またアルカリ金属の無機系の塩としては、縮合燐酸塩(ピロ燐酸ナトリウム、トリポリ燐酸ナトリウム、ヘキサメタ燐酸ナトリウム等)が挙げられる。アルカリ金属の有機系の塩としては、ポリスチレンスルホン酸塩(ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、ポリスチレンスルホン酸カリウム等)、ポリカルボン酸塩(ポリアクリル酸ナトリウム、ポリマレイン酸ナトリウム等)、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物(β−ナフタレンスルホン酸ナトリウムホルマリン縮合物、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウムホルマリン縮合物等)などが挙げられる。
本発明では、粉砕後の平均粒子径(D50)は、0.5〜3μmであることが望ましい。ただし、ここで言う平均粒径(D50)とは、コールターマルチサイザー(コールター(株)製)を用いて30μmアパチャーチューブで測定された、体積分布の累積値50%に相当する粒子径である。
更に、好ましくは本発明では、上記のように粉砕及び乾燥した後、750℃〜1100℃の温度で焼成する。この際、酸素濃度を10〜20%とすることが好ましい。焼成温度は被加工物や研磨に用いる部材、研磨条件などによって最適値は異なるが、一般に焼成時の酸素濃度を10〜20%とすることは重要である。これは、希土類酸フッ素化物(ROF、R;希土類元素)を生成する混合希土類フッ素化物と混合希土類酸化物との反応のためには、酸素の存在が不可欠であることによる。焼成時の酸素濃度が10%以下であると、希土類酸フッ素化物の生成が不十分となり、良好な研磨性能を得にくくなることがある。酸素濃度を20%以上にすることも可能であるが、大気以上の酸素濃度は、希土類酸フッ素化物生成反応促進には寄与しないため経済的ではない。
次いで、放冷、解砕、分級の操作を行い、セリウム系研磨材を得ることができる。この研磨材の平均粒子径(D50)は0.5〜3μmであることが好ましい。
[セリウム系研磨材の使用]
本発明のセリウム系研磨材は、通常、粉末形態で取り扱われる。研磨材として使用するに際しては、一般に水性分散液の形態で用いて、光学レンズ用ガラス基板、光ディスクや磁気ディスク用ガラス基板、液晶用ガラス基板等の、各種ガラス材料やガラス製品等の仕上げ研磨を達成する。
本発明のセリウム系研磨材は、例えば、水等の分散媒に分散させて、5〜30質量%程度のスラリーの状態で使用される。本発明に好ましく用いられる分散媒としては、水や水溶性有機溶媒が挙げられる。有機溶媒としては、アルコール、多価アルコール、アセトン、テトラヒドロフラン等が例示される。一般的には、水が使用されることが多い。
本発明のセリウム系研磨材を用いて研磨されたガラス基材等は、ピット、スクラッチ等の表面欠陥を生じることなく、品質的に優れた研磨表面が得られる。
以下に、実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔実施例1〕
全希土類含有率が酸化物換算で49質量%であり、全希土類含有物中のセリウム含有率が酸化物換算で60質量%、ランタン含有率が酸化物換算で30質量%、プラセオジム含有率が酸化物換算で7質量%、ネオジム含有率が酸化物換算で1.5質量%、希土類以外の不純物が1.0質量%以下である混合希土類炭酸塩を用意した。この混合希土類炭酸塩2kgを、電気炉を用いて850℃の温度で2時間焼成し、混合希土類酸化物とした。
この混合希土類酸化物を120℃の温度で2時間乾燥した後、恒量となった磁性るつぼに入れ1000℃の温度で1時間加熱することにより灼熱減量を測定したところ、0.38質量%であった。また、X線回折測定を用いて結晶子径を算出したところ、結晶子径は218Åであった。尚、このX線回折測定は、(株)リガク製「MiniFlex」を用い、銅ターゲットを使用してCu−Kα1線を用い、X線発生電圧が30kV、X線発生電流が15mA、サンプリング幅が0.02deg、走査速度が2deg/minの条件で行った。
これとは別に、上記の混合希土類炭酸塩のスラリーに、得られる混合希土類フッ素化物中のフッ素含有率が27質量%となるようにフッ酸を加え、これを放置し、得られた沈殿物をデカンテーション法によりイオン交換水で3回洗浄した後、ろ過、乾燥し、350℃の温度で2時間熱処理した後でハンマーミルによって粉砕して、混合希土類フッ素化物を用意した。ここでこの混合希土類フッ素化物は、全希土類含有率が酸化物換算で85質量%であり、全希土類含有率中のセリウムの含有率が酸化物換算で59質量%、フッ素含有率27質量%であった。レーザー回折/散乱法によって測定される最大粒子径を測定したところ、89μmであった。また、120℃の温度で2時間乾燥した後、恒量となった磁性るつぼに入れ1000℃の温度で1時間加熱することにより灼熱減量を測定したところ、8.5質量%であった。
上記混合希土類酸化物762gに上記混合希土類フッ素化物238gを加え、分散剤として試薬1級の燐酸ナトリウムを10g加え、600gのイオン交換水と共にボールミルで粉砕し、平均粒径(D50)が1.5μmの粉体を含むスラリーとした。このスラリーを乾燥させ、電気炉を用いて酸素濃度20%の大気中で900℃の温度で2時間焼成した後、放冷、解砕、分級の操作を行うことにより、セリウム系研磨材を製造した。
次に、得られたセリウム系研磨材250gをイオン交換水2250gに分散して濃度10質量%のスラリーとした。このスラリー状研磨液を用いて、薄膜トランジスタ(TFT)パネル用無アルカリガラスを研磨し、研磨状態の評価を行った。ただし、研磨条件は以下の通りである。
研磨条件
研磨機 : 4ウエイタイプ両面研磨機
加工物 : 5cm×5cm無アルカリガラス(面積25cm2
加工枚数 : 4枚×6バッチ
研磨パッド : 発泡ポリウレタンパッド(LP−77、ローデス製)
下定盤回転数 : 60rpm
スラリー供給量 : 60ml/分
加工圧力 : 130g/cm2
研磨時間 : 20分
尚、各バッチ毎に4枚のTFTパネル用無アルカリガラスについて、1枚当たり4点(箇所)づつ、研磨前後の厚みをマイクロメーターで測定し、更に4枚全ての研磨前後の質量を電子天秤で測定し、厚み換算の計算値として研磨速度(μm/分)を求めた。また、20万ルクスのハロゲンランプを光源として用い、ガラス表面を目視にて観察し、研磨面当たりのスクラッチの数を求めた。ガラス表面の中心線平均粗さは、ランクテーラーホブソン社製タリステップで測定した。
混合希土類炭酸塩の焼成温度及び焼成時間、混合希土類酸化物の灼熱減量及び結晶子径、混合希土類フッ素化物の乾燥温度、乾燥時間、最大粒子径及び灼熱減量、並びに研磨材製造時の混合希土類酸化物と混合希土類フッ素化物との混合質量を表1に示している。また、研磨材の平均粒径(D50)、6バッチの研磨速度、スクラッチ及び表面粗さRaを表2に示している。
〔実施例2〕
混合希土類炭酸塩の焼成温度を1000℃としたことを除いて実施例1と同様にして、混合希土類酸化物を得た。得られた混合希土類酸化物の灼熱減量は0.12質量%、結晶子径は348Åであった。この混合希土類酸化物を用いて、実施例1と同様にしてセリウム系研磨材を得た。
得られたセリウム系研磨材を用いて実施例1と同様にして研磨を行い、研磨状態の評価を行った。製造条件及び結果はそれぞれ表1及び表2に示している。
〔実施例3〕
混合希土類フッ素化物の熱処理温度を400℃としたことを除いて実施例1と同様にして、混合希土類フッ素化物を得た。得られた混合希土類フッ素化物の最大粒子径は96μm、灼熱減量は3.45質量%であった。この混合希土類フッ素化物を用いて、実施例1と同様にしてセリウム系研磨材を得た。
得られたセリウム系研磨材を用いて実施例1と同様にして研磨を行い、研磨状態の評価を行った。製造条件及び結果はそれぞれ表1及び表2に示している。
〔実施例4〕
混合希土類酸化物と混合希土類フッ素化物の使用量をそれぞれ850g及び150gとしたことを除いて実施例1と同様にして、セリウム系研磨材を得た。
得られたセリウム系研磨材を用いて実施例1と同様にして研磨を行い、研磨状態の評価を行った。製造条件及び結果はそれぞれ表1及び表2に示している。
〔実施例5〕
全希土類含有率が酸化物換算で49質量%であり、全希土類含有物中のセリウム含有率が酸化物換算で45質量%、同ランタン含有率が酸化物換算で28質量%、同プラセオジム含有率が酸化物換算で4質量%、同ネオジム含有率が酸化物換算で16質量%、その他の希土類元素の含有率が酸化物換算で3質量%、希土類以外の不純物が1.5質量%以下である混合希土類炭酸塩を用意した。この混合希土類炭酸塩2kgを、電気炉を用いて850℃の温度で2時間焼成し、混合希土類酸化物とした。得られた混合希土類酸化物の灼熱減量は0.45質量%、結晶子径は232Åであった。この混合希土類酸化物を用いて、実施例1と同様にしてセリウム系研磨材を得た。
得られたセリウム系研磨材を用いて実施例1と同様にして研磨を行い、研磨状態の評価を行った。製造条件及び結果はそれぞれ表1及び表2に示している。
〔実施例6〕
混合希土類炭酸塩の焼成温度を700℃に変更したことを除いて実施例1と同様にして、混合希土類酸化物を得た。得られた混合希土類酸化物の灼熱減量は2.35質量%、結晶子径は124Åであった。この混合希土類酸化物を用いて、実施例1と同様にしてセリウム系研磨材を得た。
得られたセリウム系研磨材を用いて実施例1と同様にして研磨を行い、研磨状態の評価を行った。製造条件及び結果はそれぞれ表1及び表2に示している。
〔実施例7〕
混合希土類炭酸塩の焼成温度を1300℃に変更したことを除いて実施例1と同様にして、混合希土類酸化物を得た。得られた混合希土類酸化物の灼熱減量は0.01質量%、結晶子径は535Åであった。この混合希土類酸化物を用いて、実施例1と同様にしてセリウム系研磨材を得た。
得られたセリウム系研磨材を用いて実施例1と同様にして研磨を行い、研磨状態の評価を行った。製造条件及び結果はそれぞれ表1及び表2に示している。
〔実施例8〕
混合希土類フッ素化物の熱処理温度を800℃に変更したことを除いて実施例1と同様にして、混合希土類フッ素化物を得た。得られた混合希土類フッ素化物の最大粒子径は125μm、灼熱減量は1.87質量%であった。この混合希土類フッ素化物を用いて、実施例1と同様にしてセリウム系研磨材を得た。
得られたセリウム系研磨材を用いて実施例1と同様にして研磨を行い、研磨状態の評価を行った。製造条件及び結果はそれぞれ表1及び表2に示している。
〔実施例9〕
混合希土類酸化物と混合希土類フッ素化物を粉砕及び乾燥した後の電気炉を用いた焼成の際に、雰囲気の酸素濃度を8%に変更したことを除いて実施例1と同様にして、セリウム系研磨材を得た。
得られたセリウム系研磨材を用いて実施例1と同様にして研磨を行い、研磨状態の評価を行った。製造条件及び結果はそれぞれ表1及び表2に示している。
〔比較例1〜3〕
混合希土類炭酸塩の焼成温度及び混合希土類フッ素化物の熱処理温度を表1に示したように変更したことを除いて実施例1と同様にして、混合希土類酸化物及び混合希土類フッ素化物を得た。得られた混合希土類酸化物の灼熱減量及び結晶子径、並びに得られた混合希土類フッ素化物の最大粒子径及び灼熱減量は、表1に示している。これら混合希土類酸化物及び混合希土類フッ素化物を用いて、実施例1と同様にしてセリウム系研磨材を得た。
得られたセリウム系研磨材を用いて実施例1と同様にして研磨を行い、研磨状態の評価を行った。製造条件及び結果はそれぞれ表1及び表2に示している。
〔比較例4〕
混合希土類酸化物と混合希土類フッ素化物を粉砕及び乾燥した後の電気炉を用いた焼成の際に、雰囲気の酸素濃度を8%に変更したことを除いて比較例1と同様にして、セリウム系研磨材を得た。
得られたセリウム系研磨材を用いて実施例1と同様にして研磨を行い、研磨状態の評価を行った。製造条件及び結果はそれぞれ表1及び表2示している。
Figure 0003949147
Figure 0003949147
表2から明らかなように、実施例1〜9のセリウム系研磨材では、研磨速度は速く、長期に渡って維持される。特に実施例1〜5では、ほとんど研磨速度の低下がない。また、特に実施例1〜6では、被研磨体である無アルカリガラス表面にスクラッチが発生せず、表面粗さが小さく、品質良好な研磨面が得られる。
一方、比較例1のセリウム系研磨材では、初期の研磨速度は速いものの、高い研磨速度が長続きしていない。また、比較例2〜4のセリウム系研磨材では、初期の研磨速度から遅くなっている。特に比較例4のセリウム系研磨材では、研磨速度の低下が著しい。

Claims (17)

  1. 1000℃の温度で1時間加熱した場合の灼熱減量が乾燥質量基準で0.5質量%以下であり、且つCu−Kα1線を用いたX線回折の2θ=10deg〜70degにおける最大ピークの半値幅を用いてScherrerの式により算出される結晶子径が、200Å以上400Å以下である、セリウム系研磨材製造のための混合希土類酸化物。
  2. 前記結晶子径が200Å以上300Å以下である、請求項1に記載の混合希土類酸化物。
  3. 混合希土類炭酸塩を850℃〜1100℃の温度で1〜10時間焼成することを含む、請求項1又は2に記載の混合希土類酸化物の製造方法。
  4. 1000℃の温度で1時間加熱した場合の灼熱減量が乾燥質量基準で3〜15%である、セリウム系研磨材製造のための混合希土類フッ素化物。
  5. レーザー回折/散乱法によって測定される最大粒子径が100μm以下である、請求項4に記載の混合希土類フッ素化物。
  6. 混合希土類化合物のスラリーをフッ素化合物によってフッ素化処理して混合希土類フッ素化物の沈殿を生じさせ、この沈殿を400℃以下の温度で乾燥することを含む、請求項4又は5に記載の混合希土類フッ素化物の製造方法。
  7. 請求項1又は2に記載の混合希土類酸化物と、混合希土類フッ素化物とを混合し、そして粉砕、乾燥、焼成、解砕及び分級することを含む、セリウム系研磨材の製造方法。
  8. 混合希土類酸化物と、請求項4又は5に記載の混合希土類フッ素化物とを混合し、そして粉砕、乾燥、焼成、解砕及び分級することを含む、セリウム系研磨材の製造方法。
  9. 請求項1又は2に記載の混合希土類酸化物と、請求項4又は5に記載の混合希土類フッ素化物とを混合し、そして粉砕、乾燥、焼成、解砕及び分級することを含む、セリウム系研磨材の製造方法。
  10. 前記混合希土類酸化物と前記混合希土類フッ素化物とを、質量比で90:10〜65:35の割合で混合する、請求項7〜9のいずれかに記載のセリウム系研磨材の製造方法。
  11. 前記混合及び粉砕の少なくとも一方の際に分散剤を添加する、請求項7〜10のいずれかに記載のセリウム系研磨材の製造方法。
  12. 前記焼成を750℃〜1100℃の温度及び10〜20%の酸素濃度で行う、請求項7〜11のいずれかに記載のセリウム系研磨材の製造方法。
  13. 請求項1又は2に記載の混合希土類酸化物と請求項4又は5に記載の混合希土類フッ素化物とを用いて製造したセリウム系研磨材。
  14. 請求項7〜12のいずれかに記載の方法により製造された、セリウム系研磨材。
  15. 請求項13又は14に記載のセリウム系研磨材を用いてガラス基板を研磨する、ガラス基板の研磨方法。
  16. 請求項15に記載の方法でガラス基板を研磨する工程を含む、ガラス基板の製造方法。
  17. 請求項15に記載の方法でガラス基板を研磨する工程を含む、液晶パネル、ハードディスク、特定周波数カット用フィルター又は光学レンズの製造方法。
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