JP3948259B2 - 斜板式圧縮機用シューおよびその製造方法 - Google Patents

斜板式圧縮機用シューおよびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、斜板式圧縮機において斜板とピストンとの間に配設されるシューおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば車両用エアコンディショナの冷媒圧縮機等として広く利用されている斜板式圧縮機は、(a)回転軸と、(b)その回転軸に傾斜して支持された斜板と、(c)回転軸を回転可能かつ軸方向に移動不能に支持するとともに、回転軸から偏心した位置に回転軸にほぼ平行に形成されたシリンダボアを備えたハウジングと、(d)そのシリンダボアに摺動可能に嵌合される頭部と斜板の外周部を跨ぐ係合部とを備え、斜板の回転により往復運動させられるピストンとを含んで構成される。そして、斜板の両側面とピストンの係合部との間には、斜板およびピストンの両者と摺接する摺動部材としてのシューが配設される。この斜板式圧縮機においては、斜板が高速回転させられ、ピストンが高速往復運動させられることから、シューには、摺動特性が良好であることが要求される。つまり、容易に摩耗しないという耐摩耗性、容易に焼き付かないという耐焼付き性等の種々の特性に優れることが要求される。
【0003】
シューは、比較的安価であり、かつ、比較的高強度であるという理由から、鋼製のものが好んで用いられるに至っている。そして、上記耐摩耗性等の要求に十二分に答えるため、従来、鋼製のシューは、焼入れ、焼戻しといった調質熱処理が施され、さらには窒化処理等の表面処理が施されて製造されていた。
【発明が解決しようとする課題,課題解決手段および効果】
ところが、調質熱処理、窒化処理等は、加熱のためのエネルギを必要とし、また、比較的長い処理時間を要することから、シューの製造コストを引き上げる要因となっている。そこで、本発明は、シューに施される熱処理を制限することで、良好な摺動特性を確保しつつ、かつ、安価な鋼製シューを得ること、および、安価にかつ簡便に鋼製シューを製造することを課題としてなされたものであり、本発明によって、下記各態様の斜板式圧縮機用シューおよびその製造方法が得られる。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも本発明の理解を容易にするためであり、本明細書に記載の技術的特徴およびそれらの組合わせが以下の各項に記載のものに限定されると解釈されるべきではない。また、一つの項に複数の事項が記載されている場合、それら複数の事項を常に一緒に採用しなければならないわけではない。一部の事項のみを選択して採用することも可能である。
【0004】
なお、以下の各項において、(1)項と(2)項とを合わせたものが請求項1に、(1)項と(3)項とを合わせたものが請求項2に相当し、(11)項が請求項3に相当する。
【0005】
(1)斜板式圧縮機において斜板とピストンとの間に配設されるシューの製造方法であって、
鉄鋼素材を成形して製品形状あるいは略製品形状のシュー成形品を得る成形工程と、そのシュー成形品に窒化処理を施す窒化処理工程とを含み、
前記成形工程後に焼入処理を行わないことを特徴とする斜板式圧縮機用シューの製造方法。
シューの摩耗は、斜板式圧縮機の耐久性を左右する。窒化処理は高い硬度が得られる表面処理であり、窒化処理を施した鋼製シューは、良好な耐磨耗性を有するシューとなる。また、耐食性にも優れるため、その点においても斜板式圧縮機は良好な耐久性を有することになる。
シューの耐摩耗性には表面部分の硬度が大きく影響し、表面硬度が高ければ充分なる耐摩耗性が得られる。従来から行っていた焼入処理は、表面部分のみならずシュー内部までも高い硬度を得ることができるが、耐摩耗性という点では、内部の硬度は大きな影響を与えない。したがって、焼入れを省略しても、耐摩耗性が極度に低下することはなく、良好な摺動特性は維持できる。また、焼入れは、例えば変態を伴う処理であり、大きな応力がシューに残留することになる。そして、その後の窒化処理における過熱の影響により応力が除去されると考えられ、焼入れを行ったシューを窒化処理した場合、歪みが発生する。後に詳しく説明するが、シューの形状は摺動特性を左右するため、形状に歪みが発生した場合、シューの形状寸法を調整するために、研削加工等を行うといった付加的な工程が必要となる。その点でも製造工程の複雑化、製造コストの上昇を招くことになる。
本項記載の製造方法によれば、窒化処理を行うことでシューの良好な摺動特性を確保しつつ、焼入処理を省略することで、安価かつ簡便にシューを製造することが可能となる。
【0006】
なお、成形工程は、従来から行われている方法にしたがって行えばよく、後の〔発明の実施の形態〕の項において例示する。ここで、「製品形状」とは、形状寸法等を調整するための研削加工を施さずに、製品として使用できる形状を意味し、「略製品形状」とは、形状寸法を調整するための若干の研削加工を施すことによって製品として使用できる程度の形状を意味する。また、窒化処理工程については、後述する。
【0007】
(2)前記成形工程後に窒化処理以外の熱処理を行わない(1)項に記載の斜板式圧縮機用シューの製造方法。
従来、鋼製シューの製造において、成形後に、焼入処理以外の熱処理を行う場合もあった。例えば、焼入処理の後に行う焼戻処理であるとか、硬度調整等の目的で窒化処理の後に行う焼戻処理であるとかいった熱処理である。本発明のシューは、成形後に焼入処理を行っていないため、それに伴う焼戻処理を必要としない。また、窒化処理条件を適正化等することによりシューの表面硬度の調整は省略が可能である。本項に記載の製造方法では、そういった熱処理が省略されているため、鋼製シューをより安価かつ簡便に製造できる。また、熱処理は、その温度等の処理条件にもよるが、何某かの残留応力、形状変形を生じさせる要因ともなるため、上記熱処理を制限する本項に記載の製造方法によれば、かかる要因を排除でき、その意味においてシューの品質向上が実現される。
【0008】
(3)前記窒化処理工程後に形状寸法調整のための研削加工を行わない(1)項または(2)項に記載の斜板式圧縮機用シューの製造方法。
窒化処理を行った後に研削加工を行う場合、表面に形成された窒化層を除去してしまうことになるため、窒化処理を時間を長くする等によって窒化層を厚く形成する必要がある。焼入処理を省略する本発明の製造方法の場合、窒化処理によるシューの変形は抑制され、窒化処理後において、シューの形状は良好に保たれる。したがって、窒化処理後に研削加工を施さない本項の製造方法によれば、窒化処理の時間短縮等が実現でき、より低コストにシューを製造できる。
【0009】
(4)前記成形工程において製品形状のシュー成形品を得、
その成形工程後に形状寸法調整のための研削加工を行わない(3)項に記載の斜板式圧縮機用シューの製造方法。
焼入処理を省略する本発明の製造方法の場合、上述したように、シューの変形は抑制される。成形工程において、例えばプレス金型形状の調整等によって、製品形状に成形することが可能であり、かかる場合、成形工程後に上記研削加工を行わない態様を採用することが可能である。研削加工は、比較的時間が加工時間が長くかかる加工であるため、成形工程後に研削加工を省略する本項に記載の製造方法では、より安価かつ簡便に鋼製シューを製造できる。
【0010】
(5)斜板に摺接する平面部とピストンに摺接する球面部とを含み、その平面部が若干の凸面に形成される球冠状シューを製造対象とする(1)項ないし(4)項のいずれかに記載の斜板式圧縮機用シューの製造方法。
多くの場合、シューは、球冠状をなしており、平面部において斜板と摺接する。斜板が高速回転させられることから、斜板式圧縮機においては、シューと斜板との摺動特性が特に重要となる。後に詳しく説明するが、シュー平面部は冷媒中に含まれる潤滑剤によって潤滑させられ、この潤滑剤のシュー平面部の中央部分への引き込みを担保する等によって充分な摺動特性が発揮される。かかる目的で、シュー平面部は、周辺部に比較して中央部を若干高くするいわゆる中凸形状に形成されることが望ましい。後に説明する実験からも確認されるように、焼入処理を施した後に窒化処理を行うと、中凸形状に形成された平面部が中凹形状に変形してしまことが、本発明者により確認された。このことは、摺動特性を悪化させることにつながるため、それを回避するために研削加工によって形状調整する場合、研削代が多くなって、窒化層を過剰に除去することになり、また、研削時間が長くなってしまう。したがって、中凸形状の平面部を有するシューを対象とする本項の製造方法の場合、熱処理を制限することのメリットが、特に大きいものとなる。
【0011】
(6)前記鉄鋼素材が、高炭素クロム軸受鋼かならる(1)項ないし(5)項のいずれかに記載の斜板式圧縮機用シューの製造方法。
本発明の製造方法が対象とする鋼製シューの材料は、その種類が特に限定されるものではない。それ自体充分な強度を有し、窒化処理によって適正な窒化層が得られるものであればよい。例えば、本項に記載の高炭素クロム軸受鋼(SUJ)は、軟窒化処理によっても、Hv500を超える高い表面硬度が得られるため、より耐摩耗性に優れたシューとなる。高炭素クロム軸受鋼を用いる場合、シューが比較的小さな部品であることに鑑み、SUJ2であることが望ましい。
軟窒化処理を行う場合、シュー素材となる材料の選択の範囲は広い。例えば、軟鋼,低炭素鋼,中炭素鋼,高炭素鋼,低合金鋼,ステンレス鋼等の合金鋼,鋳鉄等の各種鉄系材料を選択できる。含有する炭素量の多い鋼ほど軟窒化処理して得られる表面硬度が高く、耐摩耗性に優れるシューとなる。S45C,S50C,S55C等の中炭素鋼あるいは高炭素鋼、SCM415等の低炭素低合金鋼等を母材とするシューは、軟窒化処理により、ビッカース硬度においてHv400以上の表面硬度が得られ、耐摩耗性に優れたシューとなる。また、かかる鋼は、他の合金元素を多く含まず、鋼材価格が安価であることから、中炭素鋼あるいは高炭素鋼、低炭素低合金鋼を母材とするシューは、比較的安価なシューとなる。また、ステンレス鋼を採用する場合、添加合金元素の種類およびその添加量によって、耐熱性が良好なもの,耐食性が良好なもの等、特性が異なる様々なものが存在する。したがって、ステンレス鋼を母材とするシューは、要求に応じた種々の特性を持たせることができるというメリットがある。
【0012】
(7)前記窒化処理が、ガス軟窒化処理である(1)項ないし(6)項のいずれかに記載の斜板式圧縮機用シューの製造方法。
窒化処理は、処理される母材の表面に硬化層である窒化層を形成することができ、その窒化層は、耐摩耗性に優れ、また耐食性も良好である。窒化処理は、主に、NH3ガス雰囲気中でNを拡散させて窒化物を形成させるガス窒化処理(本窒化処理)と、塩浴窒化法、ガス軟窒化法、イオン窒化法等による軟窒化処理とに分類できる。これらいずれの窒化処理を採用することができ、また、広くは、浸炭窒化、浸硫窒化等の窒化処理をも採用できる。いずれの、窒化処理を採用する場合であっても、公知の方法に従い、シューに必要とされる特性に応じた適正な処理条件のもので窒化処理を行えばよい。
軟窒化処理は、前述したようにシュー素材となる材料の選択の幅が広いこと、処理時間が短いこと等のメリットを有する。また、ガス窒化処理によれば、窒化層の最表部の硬度が高すぎるため、その最表部を除去するための工程、あるいはその最表部を軟化させるための熱処理工程等を行うことが望ましいというデメリットがある。その点を考慮すれば、本発明の製造方法においては、軟窒化処理を行うことが望ましい。
軟窒化処理の中でも、本項に記載の態様のように、ガス軟窒化法を採用することがより望ましい。ガス軟窒化法は、RXガスとNH3ガスとの混合ガス雰囲気中で、NおよびCを鋼中に拡散させるものであり、Hv500以上の高硬度な用面硬度のシューを得ることができる。低公害であるというメリットがあり、作業環境の向上が図れる。また、量産品に適した処理方法であり、シューの表面処理に好適である。
【0013】
(11)斜板式圧縮機において斜板とピストンとの間に配設されるシューであって、(1)項ないし(4)項のいずれかに記載の製造方法によって製造された斜板式圧縮機用シュー。
上記本発明の製造方法によって製造された本発明のシューは、耐焼付性、耐摩耗性等に優れて良好な摺動特性を有し、かつ、安価なシューとなる。なお、上記(5)項ないし(6)項に記載の技術的特徴を、本項に記載のシューに適用することも可能である。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を、車両用エアコンディショナに用いられる斜板式圧縮機の構成部品となる斜板式圧縮機用シューを例に取り、図面に基づいて詳細に説明する。なお、説明の便宜上、斜板式圧縮機の構成、シューの形状および構成、シューの製造方法の項目に分けて、順次説明する。
【0015】
<斜板式圧縮機の構成>
図1に、本発明の対象となるシューを備えた斜板式圧縮機を示す。図1において、10はシリンダブロックであり、シリンダブロック10の中心軸線周りの一円周上には、軸方向に延びる複数のシリンダボア12が形成されている。シリンダボア12の各々には、片頭ピストン14(以下、ピストン14と略称する)が往復運動可能に配設されている。シリンダブロック10の軸方向の一端面(図1の左側の端面であり、前端面と称する)には、フロントハウジング16が取り付けられ、他方の端面(図1の右側の端面であり、後端面と称する)には、リヤハウジング18がバルブプレート20を介して取り付けられている。フロントハウジング16,リヤハウジング18,シリンダブロック10等により斜板式圧縮機のハウジングが構成されている。リヤハウジング18とバルブプレート20との間には、吸入室22,吐出室24が形成され、それぞれ、吸入ポート26,供給ポート28を経て、図示しない冷凍回路に接続される。バルブプレート20には、吸入孔32,吸入バルブ34,吐出孔36,吐出バルブ38等が設けられている。
【0016】
上記ハウジング内には、回転軸50が、シリンダブロック10の中心軸線を回転軸線として回転可能に設けられている。回転軸50は、その両端部においてそれぞれフロントハウジング16,シリンダブロック10にベアリングを介して回転可能に支持されている。シリンダブロック10の中心部には、支持穴56が形成されており、その支持穴56において上記ベアリングを介して支持されているのである。回転軸50のフロントハウジング16側の端部は、図示しない駆動源としての車両エンジンに、電磁クラッチ等のクラッチ装置を介して連結されている。したがって、車両エンジンの作動時に、クラッチ装置によって回転軸50が車両エンジンに接続されれば、回転軸50が自身の軸線まわりに回転させられる。
【0017】
回転軸50には、斜板60が軸方向に相対移動可能かつ傾動可能に取り付けられている。斜板60には、中心線を通る貫通穴61が形成され、この貫通穴61を回転軸50が貫通している。貫通穴61は、両端開口側ほど図1における上下方向に内のり寸法が漸増させられ、それら両端部の横断面形状が長穴をなしている。回転軸50にはまた、回転板62が固定され、スラストベアリング64を介してフロントハウジング16に受けられている。斜板60は、ヒンジ機構66により、回転軸50と一体的に回転させられるとともに、軸方向の移動を伴う傾動を許される。ヒンジ機構66は、回転板62に固定的に設けられた支持アーム67と、斜板60に固定的に設けられ、支持アーム67のガイド穴68にスライド可能に嵌合されたガイドピン69と、斜板60の貫通穴61と、回転軸50の外周面とを含むものである。
【0018】
前記ピストン14は、斜板60の外周部を跨ぐ状態で係合させられる係合部70と、係合部70と一体に設けられ、シリンダボア12に嵌合される頭部72とを備えている。本実施形態における頭部72は、中空頭部とされて軽量化が図られている。頭部72,シリンダボア12およびバルブプレート20が共同して圧縮室を形成している。また、係合部70は一対の球冠状のシュー76を介して斜板60の外周部と係合させられている。シュー76については後に詳しく説明する。
【0019】
斜板60の回転運動は、シュー76を介してピストン14の往復直線運動に変換される。ピストン14が上死点から下死点へ移動する吸入行程において、吸入室22内の冷媒ガスが吸入孔32,吸入バルブ34を経てシリンダボア12内の圧縮室に吸入される。ピストン14が下死点から上死点へ移動する圧縮行程において、シリンダボア12内の圧縮室の冷媒ガスが圧縮され、吐出穴36,吐出バルブ38を経て吐出室24に吐出される。冷媒ガスの圧縮に伴ってピストン14には、軸方向の圧縮反力が作用する。圧縮反力は、ピストン14,斜板60,回転板62およびスラストベアリング64を介してフロントハウジング16に受けられる。
【0020】
シリンダブロック10を貫通して給気通路80が設けられている。この給気通路80により、吐出室24と、フロントハウジング16とシリンダブロック10との間に形成された斜板室86とが接続されている。給気通路80の途中には、電磁制御弁90が設けられている。この電磁制御弁90のソレノイド92への電流供給が、コンピュータを主体とする制御装置(図示省略)により、冷房負荷等の情報に応じて制御される。
【0021】
回転軸50の内部には、排出通路100が設けられている。排出通路100は、一端において前記支持穴56に開口させられるとともに、他端において斜板室86に開口させられている。支持穴56は排出ポート104を経て吸入室22に連通させられている。
【0022】
本斜板式圧縮機は可変容量型であり、高圧側である吐出室24と低圧側である吸入室22との圧力差を利用して斜板室86内の圧力が制御されることにより、ピストン14の前後に作用するシリンダボア12内の圧縮室の圧力と斜板室86の圧力との差が調節され、斜板60の傾斜角度が変更されてピストン14のストロークが変更され、圧縮機の吐出容量が調節される。具体的には、電磁制御弁90の励磁,消磁の制御により、斜板室86が吐出室24に連通させられたり、遮断されたりすることによって、斜板室86の圧力が制御される。
【0023】
シリンダブロック10およびピストン14は、金属の一種であるアルミニウム合金製のものとされ、ピストン14の外周面には、フッ素樹脂のコーティングが施されている。フッ素樹脂でコーティングすれば、同種金属との直接接触を回避して焼付きを防止しつつシリンダボア12との嵌合隙間を可及的に小さくすることができる。ただし、シリンダブロック10やピストン14の材料、コーティング層の材質等は、上述の材料等に限らず、他の材料等であってもよい。
【0024】
ピストン14の係合部70は、概してU字形をなし、頭部72の中心軸線と直交する方向に互いに平行に延びる一対のアーム部120,122と、これらアーム部120,122の基端同士を連結する連結部124とを備えている。アーム部120,122の互いに対向する側面には、それぞれシュー保持面となる凹球面128が形成されている。これら2つの凹球面128は同一球面上に位置している。
【0025】
次に、シュー76が摺動する斜板60は、その母材がダクタイル鋳鉄(FCD700,FCD600等)からなる。シュー76が摺接する摺接面132,134には、図示していないが、母材の表面にアルミニウム溶射膜が形成され、さらにその表面に潤滑被膜が形成されている。この潤滑被膜は、ポリアミドイミド等の合成樹脂にMoS2およびグラファイトを分散させたものであり、摺接面における摩擦を充分に減じてシュー76と斜板60との摺動特性を良好なものとしている。なお、アルミニウム溶射膜は、潤滑被膜が何らかの要因で、磨耗、剥離等して除去された場合であっても、母材が直接摺接することを防止しつつ、摺動特性を良好に保つように機能する。
【0026】
<シューの形状および構成>
前記一対のシュー76は、図2に示すように、外表面の一方が概して凸球面をなす球面部136と、概して平面をなす平面部138とを有する球冠状である。平面部138は、厳密には僅かに中高とされており、その中央に、冷媒の中に含まれる潤滑剤としての潤滑油を貯留させて摺動特性をより良好なものとすための凹所140が形成されている。したがって、平面部138は、斜板60との摺接面として、環状の平面を有するものとなっている。そして、平面部138の平面,球面部136の凸球面との境界には比較的曲率半径の小さなコーナR142が付けられている。この中高の平面部138とコーナR142は、シュー76が斜板60と摺動するときに、斜板60の摺接面132,134とシュー76の平面部138との間にゴミ、異物等を引き込むことを排除しつつ潤滑油を導くように機能する。一対のシュー76は、球面部136においてピストン14の凹球面128に摺動可能に保持され、平面部138において斜板60の外周部の両側面である両摺接面132,134に接触し、斜板60の外周部を両側から挟持する。言い換えれば、シュー76は、平面部138が斜板60と摺動し、球面部136がピストン14と摺動するものとなっている。なお、一対のシュー76はその状態で球面部136の凸球面が同一球面上に位置するように設計されている。つまり、シュー76は、半球より斜板60の厚さのほぼ半分だけ小さい球冠に近い形状をなしている。なお、シューの形状は、上記形状に限定されるものではない。例えば、固定容量型圧縮機においては、シューの平面部が摩耗した場合でも、摺動面の面積が減少しないようにする等の理由で、半球よりやや大きな球冠状とされることが望ましい。
【0027】
上述したように、平面部138の中凸量(中高量)およびコーナR142の存在は、シュー76の摺動特性を左右する。図3に、シュー76の平面部138の断面を縦横比を異ならせて模式的に示す。この図を参照にさらに説明すれば、中凸量hは、1μm以上10μm以下とするのが望ましい。この範囲において、シュー76と斜板60との摺動面間に、異物等を引き込まず、かつ、潤滑油を良好に導入でき、摺動特性はより良好なものとなる。後の〔実施例〕の項においても説明するが、焼入れを行った後窒化処理をすれば、平面部138の形状は、中凸の状態から中凹の状態に変化する。なお、コーナR142が小さすぎる場合は、例えばバレル研磨等の工程において、シューどうしがぶつかりあって、シューに打痕が発生する原因ともなるため、注意を要する。
【0028】
シュー76は、窒化処理された鋼製シューであり、本実施形態においては、その母材146がSUJ2(高炭素クロム軸受鋼)からなり、シュー76の全表面(厳密には母材146の全表面)には、ガス軟窒化法による軟窒化処理が施されれて硬質層である窒化層152が形成されている。図2では、窒化層152厚みが、理解を容易にするために誇大に示されている。厳密には、窒化層152は、最表面に存在する高硬度の化合物層とそれに続いてシュー内部に向かって形成される拡散層とを含んでいる。境界は明確ではないため大まかな値でしか示すことはできないが、化合物層を約5μm〜20μm程度とすることが望ましい。なお、シュー76の母材146の材質はSUJ2に限るものではなく、また、軟窒化処理の方法,その化合物層の厚さについても、上記記載内容のものに限定されるわけではなく、〔発明が解決しようとする課題,課題解決手段および効果〕の項で述べた種々の態様のものとすることができる。
【0029】
<シューの製造方法>
上記シュー76は、以下に説明する製造方法によって製造される。その製造方法は、成形工程と窒化処理工程を含んでなり、詳しくは、成形工程と、成形されたシューを研削する研削工程と、研磨するバフ研磨工程と、窒化処理工程と、窒化処理されたシューの表面を研磨するバレル研磨工程と、表面を洗浄する洗浄工程とを含んでなる。焼入処理を始め、窒化処理以外の熱処理は行っていない。図4に、本製造方法のフローチャートを示す。以下、このフローチャートに従って説明を行う。
【0030】
まず、S1の成形工程により、鉄鋼素材(本実施形態ではSUJ2の線材)から、略製品形状のシュー成形品を成形する。成形工程は、図5のフローチャートに示すように、いくつかの工程が合わさったものである。成形工程において、まず、S11の切断工程が行われる。切断工程は、SUJ2の丸棒を、設定した長さに切断する。この長さは、切断片の体積が後に説明する成形鍛造における素材となる鋼球の体積より若干大きくなるような長さである。切断は、ノコ盤、シャーリング等によって行えばよい。次に、S12の素材鍛造工程において、切断片を冷間にて型鍛造して鋼球形状に成形する。鋼球の体積が略一定となるように、余剰材料がバリとして形成されるように、金型が設計されている。素材鍛造後、S13のフラッシング工程において、形成されたバリが除去され、体積の略一定な鋼球が得られる。フラッシングは、例えば、バリがついている鋼球を、2枚の溝付特殊イモノ盤に挟み、圧力をかけて転動させて行えばよい。次に、S14の球研削工程おいて、バリが除去された鋼球が研削される。この球研削は、寸法精度、表面粗さの向上を目的に行うもので、例えば、イモノ盤、砥石等を使用して行えばよい。次いで、S15の焼鈍工程において、その鋼球を焼鈍する。焼鈍は、後の成形鍛造を容易ならしめることを目的とするもので、硬度を低下させるべく焼きなまされる。例えば、真空炉中において、適正な温度条件、冷却速度条件等の下、焼鈍すればよい。
【0031】
焼鈍された鋼球は、成形鍛造用の素材として用いられ、S16の第1成形鍛造工程において、中間形状にまで成形され、そして、S17の第2成形鍛造工程において、略製品形状にまで成形される。これらの成形鍛造は、金型を用いて行う冷間プレス鍛造である。本実施形態において、成形鍛造は2つの工程に分けて行っているが、成形鍛造における加工度が低い場合は、1工程で行うものであってもよく、加工度が高いような場合、あるいは、極めて高精度な鍛造成形を行うような場合は、3工程以上に分けて行うものであってもよい。また、鍛造成形の合間に、焼鈍処理を行ってもよい。
【0032】
略製品形状にまで成形されたシューは、S2の平面研削工程において、平面部が研削される。シューの形状寸法のうち特にシューの高さは、摺動特性に大きな影響を与えるため、正確さを要求される。ここでの平面研削加工は、シューの高さ寸法を調整することを主目的として行われる。そして、本実施形態において、本平面研削加工が、形状寸法調整のための研削加工に該当する。平面研削は、平面研削機等によって、また、遊離砥粒を用いて行えばよい。この平面研削加工を経ることで、シューは製品形状にまで成形される。次に、シューは、S3のバフ研磨工程で、球面部の研磨、平面部の中凸量の調整、コーナRの調整が行われる。いわゆる仕上げの工程である。バフ研磨加工は、例えば、遊離砥粒を用いてバフ研磨機によって行えばよい。
【0033】
次に、S4の窒化処理工程において、研磨されたシューに対して窒化処理を行う。本実施形態の製造方法では、ガス軟窒化法による窒化処理が行われる。この窒化処理工程は、図6のフローチャートに示すように、いくつかの工程が合わさったものである。窒化処理工程では、まず、S41の脱脂工程で、それまでの加工において付着されている油分の洗浄が行われる。次に、S42の前酸化工程で、シューに含まれている水分を除去する。したがって、この前酸化工程は脱水工程と称することもできる。これら2つの前処理工程によって、クーラント、防錆剤等の付着物が除去され、窒化層表面の平面度が良好なものとなる。次いで、S43の窒化工程を行う。本実施形態では、ガス軟窒化処理が行われる。ガス軟窒化の条件は、シュー母材の材質、形成する窒化層の厚み等に応じて適切のものとすればよく、概ね560〜580℃の処理温度で、1〜3時間処理する。これにより、窒化層、厳密には化合物層は、約10〜20μmの厚みで形成される。また、窒化層の硬度は、Hv600〜1000程度となる。窒化後、S44の後洗浄工程によって、シュー表面の油分が除去される。
【0034】
窒化処理後のシューは、S5のバレル研磨工程において、バレル研磨される。このバレル研磨は、シュー表面を平滑にするために行われるものである。次いで、S6の表面洗浄工程において、表面の洗浄が行われる。本実施形態では、以上の工程を経て、シューの製造が完了し、製品シューが得られることになる。
【0035】
上記実施形態の製造方法では、成形工程後に、焼入処理等、窒化処理以外の熱処理を行っていない。したがって、製造工程自体が、簡便であり、迅速にシューの製造ができる。また、焼入処理を行っていないため、窒化処理によるシューの変形がなく、窒化処理後において研削加工を行う必要がなく、窒化処理による窒化層を充分なる厚みで残存させることが可能となる。
【0036】
上記実施形態に代わる製造方法、つまり、変形態様としての製造方法を以下に説明する。その変形態様の製造方法は、上記実施形態において行っていたS2の平面研削工程を省略するというものであり、S1の成形工程において、シューを製品形状にまで仕上げる態様の製造方法である。つまり、成形工程によって、シュー高さを精度よく成形し、平面研削工程を省略する製造方法である。図7に変形態様の製造方法のフローチャートを要部のみ示す。その1つは、図7(a)に示すような製造方法であり、成形工程で行うS17の第2成形鍛造工程において、シュー高さ、コーナR142の大きさ等を規定した金型により、製品形状にまでの成形鍛造を行うことによって実現できる。成形工程において製品形状にまで成形されたシューは、平面研削加工を行うことなく、S3のバフ研磨工程に供され、バフ研磨によって、中凸量の調整等が行われる。このような変形態様の製造方法によれば、より簡便かつ迅速にシューを製造することもできる。かかる製造方法が採用できるのは、焼入処理を行わないことにより、窒化処理においてシューの変形が抑制されているからである。さらにもう1つの変形態様の製造方法として、例えば、図7(b)示すような製造方法を採用することができる。この変形態様は、S17の第2成形鍛造工程の後に、S18の仕上成形鍛造工程を追加するものである。S17の第2成形鍛造工程において略製品形状に成形されたシューは、S18の仕上成形鍛造工程において、製品形状にまで成形され、平面研削工程を行わずにS3のバフ研磨工程に供される。上述した各態様の成形工程の他、目的とするシューに応じた種々の態様の成形工程を採用することも可能である。
【0037】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、斜板との係合部の両側に頭部を有する両頭ピストンを備える斜板式圧縮機、ないしは、固定容量型斜板式圧縮機等に用いられるシューに適用することも可能である。そのように、斜板式圧縮機の構成を始めとして、シューの形状、構成、製造方法の細部にわたる具体的な構成等の態様については、上記実施形態の他、前記〔発明が解決しようとする課題,課題解決手段および効果〕の項に記載された態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した形態で実施することができる。
【0038】
【実施例】
上記実施形態の製造方法におけるバフ研磨工程と窒化処理工程との間に真空焼入れを行い、その場合の窒化処理によるシューの変形を調査した。また、上記実施形態のように、焼入処理を行わずに窒化処理を行って、その場合のシューの変形についても調査した。これらの比較により、焼入処理を行わない製造方法の優秀性を確認した。これらについて、本〔実施例〕の項において説明する。
【0039】
シュー素材は、SUJ2であり、真空焼入れの条件は、焼入れ温度500〜750℃で、45〜60分間保持した後、さらに800〜840℃で60〜90分間保持し、急冷するものとした。こうして焼入れしたシュー5個を、バフ研磨により、その中凸量hを1〜2μmに調整した。そして、それらにガス軟窒化処理を施した。この結果、中凸量hは、平均で約−2μmに変化した。つまり、窒化処理により、シューの形状は、図8に示すように、シュー平面部が中央において平均で約4μm後退して中凹形状になった。
【0040】
これに対し、バフ研磨で、中凸量hを約1〜2μmに調整したシュー5個を、焼入処理を行わずに、窒化処理した。この結果、それらのシューは、中凸形状を維持し、中凸量hは、平均で約1.6μmになり、平均0.2μm大きくなった。つまり、平面部の中央がより盛り上がるか、窒化処理前の中凸量を維持する形状となった。
【0041】
以上の結果から、焼入れを行わずに窒化処理することによりシューの変形を防止できることが確認された。窒化処理された平面部が中凹のシューを中凸形状に整形する場合、シュー平面部の周囲の部分を大きな取り代で研削あるいは研磨しなけばならず、研削または研磨加工のに長い時間を必要とする。また、その部分に形成された窒化層がかなり除去されることから、シューの耐摩耗性等が低下する。これを回避するためには、窒化処理の時間を長くする等して、相当に厚い窒化層を形成しなければならず、研削あるいは研磨に要する時間のみならず、窒化処理の時間もが長時間化して、効率の悪い製造が強いられることになる。逆に、焼入れを省略して窒化処理を行う製造方法では、摺動特性の良好なシューを、簡便かつ迅速に製造できることが確認された。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の対象となるシューを備えた斜板式圧縮機の正面断面図を示す。
【図2】本発明の対象となるシューの正面断面図を示す。
【図3】上記シューの平面部の断面を縦横比を異ならせて模式的に示す。
【図4】本発明の一実施形態であるシューの製造方法のフローチャートを示す。
【図5】上記製造方法における成形工程のさらに詳しいフローチャートを示す。
【図6】上記製造方法における窒化処理工程のさらに詳しいフローチャートを示す。
【図7】変形態様の製造方法のフローチャートを要部のみ示す。
【図8】焼入処理を行ったシューが窒化処理によって変形した様子を模式的に示す。
【符号の説明】
14:片頭ピストン 60:斜板 76:シュー 136:球面部
138:平面部 140:凹所 146:母材(シューの) 152:窒化層

Claims (3)

  1. 斜板式圧縮機において斜板とピストンとの間に配設されるシューの製造方法であって、
    鉄鋼素材を成形して製品形状あるいは略製品形状のシュー成形品を得る成形工程と、そのシュー成形品に窒化処理を施す窒化処理工程とを含み、
    前記成形工程後に窒化処理以外の熱処理を行わないことを特徴とする斜板式圧縮機用シューの製造方法。
  2. 斜板式圧縮機において斜板とピストンとの間に配設されるシューの製造方法であって、
    鉄鋼素材を成形して製品形状あるいは略製品形状のシュー成形品を得る成形工程と、そのシュー成形品に窒化処理を施す窒化処理工程とを含み、
    前記成形工程後に焼入処理を行わず、かつ、前記窒化処理工程後に形状寸法調整のための研削加工を行わないことを特徴とする斜板式圧縮機用シューの製造方法。
  3. 斜板式圧縮機において斜板とピストンとの間に配設されるシューであって、請求項1または請求項2に記載の製造方法によって製造された斜板式圧縮機用シュー。
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