JP3933040B2 - 希土類ボンド磁石の製造方法とそれを有する永久磁石型モータ - Google Patents

希土類ボンド磁石の製造方法とそれを有する永久磁石型モータ Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は希土類磁石粉末、熱硬化性樹脂組成物からなる結合剤、粉末成形と、圧延およびスタンピング、又は圧延もしくはスタンピングにより可撓性を制御したシートから厚さ200μm以下のフィルムに至る希土類ボンド磁石、並びにそれらを利用した効率的な永久磁石型モータの製造方法に関する。
【0002】
例えば、1992年から2000年までの小型モータ生産台数の概算は24億から47億を既に超えた。なかでも直流モータ、ブラシレスモータ、ステッピングモータ、および無鉄心モータの生産台数増加が顕著で1992年から2000年まで約26億台も増加した。その上、将来も年率平均で9%の成長を見積もることができる。
【0003】
しかしながら、小型誘導モータと小型同期モータの生産数は徐々に減少傾向にある。この傾向は、小型モータ産業における高性能磁石による効率的な小型モータの開発と、電気電子機器分野における高性能小型モータの需要が高度であることを示唆する。これら小型モータの生産台数のおよそ70%は直流モータであるが、一般小型直流モータではフェライトゴム磁石、高性能小型直流モータではメルトスピニングによって準備されたNd2Fe14B系フレーク状希土類磁石粉末をエポキシ樹脂のような硬い熱硬化性樹脂で圧縮成形した環状磁石が現在、主として利用されている。
【0004】
一方、経済産業省・資源エネルギー庁の統計では日本における電力総消費は2000年で、およそ9500億kWhであった。その資料から推計すると、モータによる消費電力は総内需の50%を超えると推定される。モータの電力消費は大容量の動力用モータとは限らない。例えば、2.5インチのHDDスピンドルモータの消費電力はアイドルの状態におけるPCの消費電力の50%を超える。(J.G.W.West、Power Engineering J.、April 77、1994)。
【0005】
すなわち、小型モータに関しては、それ自体の電力消費は高々数10W以下が多数である。けれども、電気電子機器など先端デバイス分野における高性能小型モータ需要が高度であることを勘案すれば、効率的な小型モータの提供とその普及が環境保全や省資源の見地からも必要である。本発明は、上記、効率的な小型モータを主体とした各種先端デバイス機器に利用される効率的な小型モータと、それに適応するシートからフィルムに至る希土類ボンド磁石の製造方法に関する。
【0006】
【従来の技術】
各種先端デバイスに利用される小型モータは、当該機器の小型軽量化に伴う更なるモータ体格の減少とともに小型、高出力、或いは高効率化が求められている。1960年代から永久磁石型モータが普及したのも、磁石の応用がモータの損失削減につながり、ひいては効率的な小型モータの作製に効果的であったからである。このような小型モータの発展は磁石粉末を結合剤で固めたボンド磁石の場合には磁石粉末、結合剤システム、成形加工方法が3大要素技術として、それぞれ等しく重要である。
【0007】
上記、小型モータに広く使われているボンド磁石に関して、広沢、富澤らの“Recent Progress in Research and Development Related to Bonded Rare−Erath Permanent Magnets” 日本応用磁気学会誌、Vol.21,No.4〜1,pp.161〜167(1997)(非特許文献1)が端的に解説している。したがって、引用文献に基づく図1を用いてボンド磁石作製における3大要素技術、すなわち磁石粉末、結合剤、成形加工法の連携を説明する。
【0008】
先ず、磁石粉末(1)としてはフェライト系(1)−a、アルニコ系(1)−b、希土類系(1)−c、結合剤(2)としてはフレキシブル系(ゴム、熱可塑性エラストマー)(2)−a、硬い熱可塑性樹脂(2)−b、硬い熱硬化性樹脂(2)−c、加工方法(3)としてはカレンダーリング又は押出成形(3)−a、射出成形(3)−b、圧縮成形(3)−cがある。そして、それらの連携は図中の実線で示すように整理される。
【0009】
例えば、希土類磁石粉末(1)−cは結合剤(2)としてフレキシブル系(ゴム、熱可塑性エラストマー)(2)−a、硬い熱可塑性樹脂(2)−b、硬い熱硬化性樹脂(2)−c、また、成形加工法(3)としてカレンダーリング又は押出成形(3)−a、射出成形(3)−b、圧縮成形(3)−cというように(2)と(3)の全ての要素と連携している。
【0010】
しかし、圧縮成形(3)−cと希土類磁石粉末(1)−cとの連携では、結合剤(2)の要素が、例えばエポキシ樹脂のような硬い熱硬化性樹脂(2)−cとの関係に限られているのが現状である。
【0011】
上記、ボンド磁石作製における3大要素技術、すなわち希土類磁石粉末(1)−c、結合剤(2)、成形加工法(3)との連携とモータの高性能化の関係としては、例えばF.Yamashita,Y.Sasaki,H.Fukunaga,“Isotropic Nd−Fe−B Thin Arc−shaped Bonded Magnets for Small DC Motors Prepared byPowder Compacting Press with Metal Ion−implanted Punches”,日本応用磁気学会誌,Vol.25,No.4−2,pp.683〜686(2001)(非特許文献2)の記載のように、最大厚さ0.9mmの薄肉円弧状磁石の作製において、希土類磁石粉末(1)−cと、硬い熱可塑性樹脂(2)−bと、押出成形(3)−aとの連携から、希土類磁石粉末(1)−cと、硬い熱硬化性樹脂(2)−cと、圧縮成形(3)−cとの連携に変更することで、出力200mW級の永久磁石界磁型小型直流モータの最大効率を8%改善している。このことは、希土類磁石粉末が全く同であっても、連携要素の組換えにより効率的な小型モータが提供できることを示唆している。上記の説明を図1に示す。
【0012】
ところで、本発明が対象とする主に機械出力数10W以下の小型モータの磁石として、従来検討されてきたシート磁石を図1のボンド磁石製造における3大要素技術の連携の観点から整理すると、フェライト系磁石粉末(1)−a又は希土類系磁石粉末(1)−cのいずれかと、フレキシブル系(ゴム、熱可塑性エラストマー)(2)−aと、カレンダーリング又は押出成形(3)−aとの連携で表すことができる。この連携のもとで従来多くの工夫が行われている。
【0013】
例えば、希土類磁石粉末(1)−cと柔軟なゴム、熱可塑性エラストマー(2)−aとで構成したシート磁石を帯状に切断し、環状にカーリングして枠の周壁内面に固着し、電機子鉄心の突極面と対向させた構成の永久磁石型モータが知られている。
【0014】
この磁石およびモータの先行技術として、特許第2766746号公報(特許文献1)では、(1)Nd−Fe−B系、(Ce、La)−Fe−B系希土類磁石粉末、(2)天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、エチレン酢ビゴム、ニトリルゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、(3)クロロプレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、塩化ポリエチレンの各(1)〜(3)の群の1種又は2種以上を選択し、(1)が92〜96wt%、密度4.9〜5.8Mg/m3としたシート磁石。
【0015】
また、特許第2528574号公報(特許文献2)には、(a)R−Fe−B(RはNd/Pr)系希土類磁石粉末とゴム、熱可塑性エラストマーなどの樹脂を混練する工程、(b)前記混練物を粉砕した後、シートにカレンダーリングする工程、(c)前記シート磁石を125〜180℃で60〜180mun熱処理する工程、とからなるシート磁石の製造方法が開示されている。
【0016】
しかし、(1)シート磁石の密度が4.9〜5.8Mg/m3であることからの磁気性能の限界、(2)柔軟な熱可塑性エラストマーやゴムと希土類磁石粉末とは接着力に乏しく、励磁された電機子鉄心の磁気吸引力で希土類磁石粉末が脱落飛散してモータ運転中に回転雑音や回転障害を引き起こすなどの信頼性への課題、(3)ゴムの加硫と切断面の再加熱など工程が瀕雑で、加硫による残存硫黄ガスによるブラシー整流子など電気摺動接点の腐食や磨耗促進など信頼性にも課題があった。
【0017】
なお、特開平5−299221号公報(特許文献3)に、Sm−Fe−N系の希土類磁石粉末と酸変性したスチレン系エラストマーをカレンダーリング(混練、圧延)し、更に切断した短冊をカーリングすることにより小型モータに使用するような密度5.6Mg/m3、最大エネルギー積(BH)max35kJ/m3の環状磁石が開示されている。しかし、磁気的に等方性のR−Fe−B(RはNd又はPr)希土類系磁石粉末と硬いエポキシ樹脂とを圧縮成形した(BH)max〜80kJ/m3の磁石に比べると磁気性能では及ばず、所望する電機子鉄心との空隙に強力な静磁界が得られない。
【0018】
また、Sm−Fe−N磁石粉末は数μmのSm2Fe173磁石相単相から成る微粉体のため一般には化学的に活性で、切断面で希土類−鉄−窒素磁石粉末が大気中に暴露され、酸化腐食による永久減磁に基づく不可逆磁束損失や熱可塑性エラストマーと磁石粉末との密着力低下による磁石の部分崩壊、ひいては磁石粉末が脱落飛散するという重大な課題もあった。
【0019】
一方、厚さ200μm以下のフィルム磁石はマイクロロボット、医療、宇宙開発等において駆動源として利用されるミリメートルサイズの高性能モータ、アクチュエータ、磁気駆動素子等に利用される。言うでもなく、薄膜の希土類磁石はスパッタリング法による作製が一般的である。
【0020】
例えば、特開平05−21865号公報(特許文献4)には薄膜の希土類磁石をスパッタリング法によりガラス基板、石英基板およびシリコンウエハー等の基板等の上に形成する方法において、前記基板等と前記希土類薄膜磁石との間に金属層を形成する方法が開示されている。
【0021】
特開平06−151226号公報(特許文献5)には、薄膜の希土類磁石をスパッタリング法で形成する方法において、膜厚が約1〜40nmの金属層と膜厚方向に異方性を持つ5μm未満のR2Fe14B(RはYを含む希土類元素)合金層とを交互に積層する薄膜の希土類磁石の形成方法、特開平08−83713号公報(特許文献6)にはNd2Fe14Bを主相とする薄膜の希土類磁石のスパッタリング法における最適作製条件として、基板温度530〜570℃、成膜速度0.1〜4μm/hr、ガス圧力0.05〜4Paとすることが開示されている。
【0022】
さらに、特開平09−162034号公報(特許文献7)には基板上にNd2Fe14B、SmCo5、Sm(Co、Fe、Cu、Zr)7、SmFe11Ti、Sm2Fe172などの所謂希土類磁石からなる硬磁性層とFe、Fe−Ni、Fe−Co、Fe−Si、Fe−N、Fe−Bなどの軟磁性層を交互に積層した多層合金膜を有する膜磁石において、基板温度450〜800℃でのスパッタリング法により基板上に一層あたり2〜4nmの厚さを有し、且つ厚さ方向に異方性をもつ前記硬磁性層と、基板温度150〜650℃でのスパッタリング法により一層あたり6〜12nmの厚さを有し、且つ厚さ方向に磁気的な異方性をもつ前記軟磁性層とが交互に積層された多層構造の薄膜希土類磁石も開示されている。
【0023】
また、特開平09−237714号公報(特許文献8)、特開平11−214219号公報(特許文献9)にも、例えばスパッタリング法により基板温度300〜800℃で、膜面内方向において互いに隣接する軟磁性層と硬磁性層の厚さをnm水準で厳密に制御した厚さ0.01〜300μmの多層構造の薄膜希土類磁石が開示されている。
【0024】
しかしながら、スパッタリング法で薄膜の希土類磁石を作製するには基板を450℃以上に加熱する必要があり、成膜速度が0.1〜4μm/hrと制限される。とくに、Nd2Fe14Bを主相とする薄膜の希土類磁石では酸化による保磁力低下を抑制するため、膜厚が5μm未満に制限される。また、軟磁性層と硬磁性層の厚さをnm水準で厳密に制御した厚さ0.01〜300μmの多層構造の薄膜希土類磁石では、更に磁石作製が瀕雑で経済的な整合性が乏しくなる。
【0025】
そこで、特開平11−288812号公報(特許文献10)では基板を加熱することなくスパッタリング法にて成膜し、かつ成膜後に熱処理した薄膜のR−Fe−B系希土類磁石が開示されている。しかしながら、この方法においても成膜速度が4μm/hr以下であるという課題や磁石の膜厚が十数μm以下に制限されるという課題があった。
【0026】
上記、モータやアクチュエータには小型化への強い要求がある。モータやアクチュエータでの小型化の要点は構成部品を少なくし、組立を単純化することである。このことから小型モータやアクチュエータの可動子を粉末冶金学的手法による希土類焼結磁石やメルトスパン法によるフレーク状の磁石粉末などを樹脂で特定形状に固めた希土類ボンド磁石で構成することが一般的である。なお、磁石と電機子巻線の位置関係から、磁石と電機子巻線が軸方向に空隙をもつ軸方向空隙型と、磁石と電機子巻線が半径方向に空隙をもつ径方向空隙型とが提案されている。
【0027】
ところが、例えば、図2のような直径5mm、高さ1mmというミリメートルサイズのモータやアクチュエータ(この場合は軸方向空隙型)では可動子を構成する希土類磁石も厚さ300μm、或いはそれ以下のフィルム磁石で構成する必要がある。ただし、図2において11はフィルム磁石、12は回転軸、13は軸受、14は電機子巻線である。
【0028】
ところで、Nd2Fe14Bを主相とする希土類焼結磁石は結晶粒子径が一般に6〜9μmと大きく、その結晶粒界にはRリッチ相が存在するため研削加工時に表面から深さ数10μmに至る表層の磁気性能が加工劣化を起こす。また、材料が脆く難加工性であるため、歩留まりを考慮した加工限界は500μm程度と見積もられ、図2に示す用途への対応が困難となる。
【0029】
また、メルトスパン法によるNd2Fe14Bを主相とする希土類ボンド磁石は磁石のNd2Fe14B結晶粒径が20〜100nmと比較的小さいが、磁石の密度の低下による磁気性能の低下が避けられず、磁気性能の維持と歩留まりを考慮した加工限界はやはり、500μm程度と見積もられる。
【0030】
以上のように、ミリメートルサイズのモータやアクチュエータ、磁気駆動素子では従来の粉末冶金学的手法による希土類焼結磁石、或いは希土類磁石粉末を樹脂で固めるボンド磁石を、そのまま採用しても希土類磁石の本来の磁気性能をモータやアクチュエータとして十分に引出して利用することができなかった。
【0031】
また、スパッタリング法で薄膜の希土類磁石を作製には一般に基板を450℃以上に加熱する必要があり、成膜速度が0.1〜4μm/hrと制限される。とくに、Nd2Fe14Bを主相とする薄膜の希土類磁石ではスパッタリング時の酸化による保磁力低下のため膜厚が5μm未満に制限される。また、軟磁性層と硬磁性層の厚さをnm水準で厳密に制御した厚さ0.01〜300μmの多層構造の薄膜希土類磁石では、磁石作製が、とくに瀕雑なため経済的な整合性が乏しくなる欠点がある。
【0032】
なお、モータやアクチュエータを小型化した場合、スケーリング則によれば、電磁力は「L3」(Lは体格)であるため、例えば可動子寸法(磁石)が1/10になった場合、電磁力は1/1000に減少する。したがって膜厚が5μm未満の薄膜の希土類磁石を、そのまま可動子とすると実使用の負荷に対応した出力が得られない本質的な課題もあった。
【0033】
【特許文献1】
特許第2766746号公報
【特許文献2】
特許第2528574号公報
【特許文献3】
特開平5−299221号公報
【特許文献4】
特開平05−21865号公報
【特許文献5】
特開平06−151226号公報
【特許文献6】
特開平08−83713号公報
【特許文献7】
特開平09−162034号公報
【特許文献8】
特開平09−237714号公報
【特許文献9】
特開平11−214219号公報
【特許文献10】
特開平11−288812号公報
【非特許文献1】
広沢、富澤らの“Recent Progress in Researchand Development Related to Bonded Rare−Erath Permanent Magnets” 日本応用磁気学会誌、Vol.21,No.4〜1,pp.161〜167(1997)
【非特許文献2】
F.Yamashita,Y.Sasaki,H.Fukunaga,“Isotropic Nd−Fe−B Thin Arc−shaped BondedMagnets for Small DC Motors Preparedby Powder Compacting Press with MetalIon−implanted Punches”,日本応用磁気学会誌,Vol.25,No.4−2,pp.683〜686(2001)
【0034】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように、図1のボンド磁石製造における3大要素技術の連携の観点から整理すると、希土類磁石粉末(1)−cと、フレキシブル系(ゴム、熱可塑性エラストマー)(2)−aと、カレンダーリング又は押出成形(3)−aの連携とのもとで、従来多くの工夫が行われてきた。
【0035】
しかしながら、この連携のもとで作製された磁石には課題が多く、永久磁石型モータには殆ど利用されなかった。そして、この連携のもとでは、フェライト系磁石粉末(1)−aと、フレキシブル系(ゴム、熱可塑性エラストマー)(2)−aと、カレンダーリング又は押出成形(3)−aとの連携で製造されたフェライト磁石粉末を使用したシート磁石が小型モータに適用されている。しかし、この磁石は(BH)maxが高々〜12kJ/m3と低く、電機子鉄心と界磁との空隙に強力な静磁界を得ることはできない。
【0036】
したがって、近年の電気電子機器にとっては、効率的でない小型モータといっても過言ではない。
【0037】
しからば、機械出力数10W以下における効率的な小型モータにはどのような連携で作製した磁石が主流となっているのか、以下に説明する。
【0038】
希土類ボンド磁石による効率的な小型モータへの代表的な提案の一つとして、本発明者らによる特公平6−87634号公報を引用できる。すなわち、電機子鉄心と対向した空隙に強力な静磁界をつくるため磁気的に等方性のR−Fe−B(RはNd又はPr)希土類磁石粉末(1)−cと硬いエポキシ樹脂(2)−cとを圧縮成形(3)−cした外径25mm以下、密度5Mg/m3以上の環状希土類ボンド磁石を多極着磁した構成の永久磁石型モータである。磁気的に異方性の希土類磁石粉末(1)−cは結合剤として硬い熱可塑性樹脂((2)−b)で射出成形((3)−b)したり、硬い熱硬化性樹脂((2)−c)で圧縮成形((3)−c)する連携に拘らず、ラジアル異方性磁石は小径化(小型化)に伴って配向度が低下するため半径方向の磁気特性が低下する。
【0039】
したがって、ラジアル異方性磁石を使ったモータは環状磁石の小径化に伴って半径方向の磁気特性低下に連動してモータの機械出力低下が避けられなかった。すなわち、ラジアル異方性磁石では小型化(小径化)に伴って次第に効率的でないモータとなってしまう欠点があった。
【0040】
しかしながら、磁気的に等方性の希土類磁石粉末であれば環状磁石の径に依存することなく、例えば磁気的に等方性のNd2Fe14B系希土類磁石粉末を圧縮成形することで(BH)max80kJ/m3に達する。この値は、フェライト系シート磁石の(BH)max12kJ/m3のおよそ6.7倍である。
【0041】
その結果、この種の磁石は小型モータの高出力化、低消費電流化に効果を奏し、電気電子機器分野を主体に、所謂効率的な小型モータとしての認知を獲得した。例えば、フェライト系磁石粉末((1)−a)と、フレキシブル系(ゴム、熱可塑性エラストマー)((2)−a)と、カレンダーリング又は押出成形((3)−a)との連携で製造された厚さ1.55mm、幅7.2mmのシート磁石を帯状に切断し、カーリングして内径22.5mmの回転子枠の周壁内面に固着した小型モータの起動トルク1.5mN‐mに対し、磁気的に等方性の希土類磁石粉末((1)−c)と硬いエポキシ樹脂((2)−c)とを圧縮成形((3)−c)した外径22.5mm、厚さ1.10mm、高さ9.4mm、密度5.8Mg/m3の磁石を使った永久磁石型モータの起動トルクは13倍の20mN‐mに達する。
【0042】
以上、本発明で対象とする代表的な磁石はフェライト系磁石粉末((1)−a)と、フレキシブル系(ゴム、熱可塑性エラストマー)((2)−a)と、カレンダーリング又は押出成形((3)−b)との連携で製造された磁石、および磁気的に等方性の希土類磁石粉末((1)−c)と硬いエポキシ樹脂のような熱硬化性樹脂((2)−c)とともに圧縮成形((3)−c)した磁石の2つを挙げることができる。そして、それらを利用した小型モータ生産台数の70%、年間約30億台を占める小型直流モータなどを主対象として、より効率的なモータと、それに伴う希土類ボンド磁石製造方法の提供が本発明の目的である。
【0043】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本件出願に係る第1の発明は、(1)磁石粉末が、希土類磁石粉末であり、(2)結合剤が、少なくとも室温で固体のエポキシオリゴマーと熱圧着性ポリアミドおよびポリアミドイミド粉末、又は熱圧着性ポリアミドもしくはポリアミドイミド粉末、および必要に応じて適宜加える粉末状の潜在性エポキシ硬化剤から構成される熱硬化性樹脂組成物であり、(3)成形(成型)加工法が、温間圧縮成形と温間圧延と熱処理とから成る希土類ボンド磁石の製造方法において、前記希土類磁石粉末と前記熱硬化性樹脂組成物とを主成分とした粉末状コンパウンドを作製し、前記粉末状コンパウンドを温間圧縮成形してグリーンシートを作製し、前記グリーンシートの結合剤成分を熱硬化してシート磁石を作製し、前記シート磁石を温間圧延したのち熱処理して厚さが2.5mmから0.2mmのシートからフィルムに至る希土類ボンド磁石を製造する希土類ボンド磁石の製造方法である。
【0044】
また、本件出願に係る第2の発明は、(1)磁石粉末が、希土類磁石粉末であり、(2)結合剤が、少なくとも室温で固体のエポキシオリゴマーと熱圧着性ポリアミドおよびポリアミドイミド粉末、又は熱圧着性ポリアミドもしくはポリアミドイミド粉末、および必要に応じて適宜加える粉末状の潜在性エポキシ硬化剤から構成される熱硬化性樹脂組成物であり、(3)成形加工法が、温間圧縮成形と温間スタンピングと熱処理とから成る希土類ボンド磁石の製造方法において、希土類磁石粉末と前記熱硬化性樹脂組成物とを主成分とした粉末状のコンパウンドを作製し、前記コンパウンドを温間圧縮成形してグリーンシートを作製し、前記グリーンシートの結合剤成分を熱硬化してシート磁石を作製し、前記シート磁石を温間スタンピングしたのち熱処理して厚さが2.5mmから0.2mmのシートからフィルムに至るシートからフィルムに至る希土類ボンド磁石を製造する希土類ボンド磁石の製造方法。
【0045】
また、本件出願に係る第の発明は、希土類ボンド磁石の製造方法のおいて、さらに、希土類磁石粉末の平均粒子径と、粉末状コンパウンドの平均粒子径との差が10μm以内である希土類ボンド磁石を製造方法である。
【0046】
また、本件出願に係る第の発明は、希土類ボンド磁石の製造方法において、さらに、粉末状コンパウンドの見掛けの密度が2.6〜3.0Mg/m3であり、かつ前記粉末状コンパウンドの粉末流動度が40sec/50g以下である希土類ボンド磁石の製造方法である。
【0047】
また、本件出願に係る第の発明は、希土類ボンド磁石の製造方法において、さらに、粉末状コンパウンドの滑剤がステアリン酸カルシウム粉末であり、前記粉末状コンパウンドへの前記ステアリン酸カルシウム粉末の添加量が0.2〜0.4重量部である希土類ボンド磁石の製造方法である。
【0048】
また、本件出願に係る第の発明は、本発明のいずれかの希土類ボンド磁石の製造方法により得られるシート状又はフィルム状の希土類ボンド磁石を用いて、前記希土類ボンド磁石と円筒枠とを有する回転子を構成し、前記希土類ボンド磁石は前記円筒枠の内周面に巻きつけられ、前記円筒枠に巻きつけられた前記希土類ボンド磁石がこの円筒枠に対して固定され、前記円筒枠に固定された前記希土類ボンド磁石に多極着磁して環状磁石を構成し、前記回転子の永久磁石界磁が前記希土類ボンド磁石から構成される前記環状磁石を備える永久磁石型モータである。
【0049】
また、本件出願に係る第の発明は、本発明のいずれかの希土類ボンド磁石の製造方法により得られるシート状又はフィルム状の希土類ボンド磁石を用いて、前記希土類ボンド磁石と円筒枠とを有する回転子を構成し、前記希土類ボンド磁石は前記円筒枠の内周面に巻きつけられ、前記円筒枠に巻きつけられた前記希土類ボンド磁石がこの円筒枠に対して固定され、前記円筒枠に固定された前記希土類ボンド磁石に多極着磁して環状磁石を構成し、前記回転子の永久磁石界磁が前記希土類ボンド磁石から構成され、前記回転子の半径方向に空隙を備えさせる半径方向空隙型の永久磁石型モータである。
【0050】
また、本件出願に係る第の発明は、本発明のいずれかの希土類ボンド磁石の製造方法により得られるシート状又はフィルム状の希土類ボンド磁石を用いて、前記希土類ボンド磁石と円筒枠とを有する回転子を構成し、前記希土類ボンド磁石は前記円筒枠の外周面に巻きつけられ、前記円筒枠に巻きつけられた前記希土類ボンド磁石がこの円筒枠に対して固定され、前記円筒枠に固定された前記希土類ボンド磁石に多極着磁して環状磁石を構成し、前記回転子の永久磁石界磁が前記希土類ボンド磁石から構成され、前記回転子の表面に前記環状磁石を備えさせる表面磁石型の永久磁石型モータである。
【0051】
また、本件出願に係る第の発明は、本発明のいずれかの希土類ボンド磁石の製造方法により得られるシート状又はフィルム状の希土類ボンド磁石の形状を円弧状とし、円弧状の前記希土類ボンド磁石が回転子の鉄心の径方向表面に固定され、前記回転子の永久磁石界磁を前記希土類ボンド磁石の界磁から構成させ、前記回転子の表面に永久磁石界磁を備えさせる表面磁石型の永久磁石型モータである。
【0052】
また、本件出願に係る第10の発明は、本発明のいずれかの希土類ボンド磁石の製造方法により得られるシート状又はフィルム状の希土類ボンド磁石の形状を円弧状とし、円弧状の前記希土類ボンド磁石がフレーム枠の内側に固定され、前記フレーム枠の永久磁石界磁を前記希土類ボンド磁石の界磁から構成させ、前記フレーム枠に永久磁石界磁を備えさせる永久磁石型モータである。
【0053】
また、本件出願に係る第11の発明は、本発明のいずれかの希土類ボンド磁石の製造方法により得られるシート状又はフィルム状の希土類ボンド磁石の形状を中空円盤型状とし、中空円盤型状の前記希土類ボンド磁石に多極着磁を施し、多極着磁された中空円盤型状の前記希土類ボンド磁石の軸方向に空隙を備えさせる軸方向空隙型の永久磁石モータである。
【0054】
また、本件出願に係る第12の発明は、本発明のいずれかの希土類ボンド磁石の製造方法により得られるシート状又はフィルム状の希土類ボンド磁石を用いて、前記希土類ボンド磁石と回転子鉄心とから回転子が構成され、前記回転子鉄心の一部分に前記希土類ボンド磁石が埋設される回転子であり、回転子鉄心の一部分に希土類ボンド磁石が埋設された磁石埋設型の回転子を有する永久磁石型モータである。
【0055】
また、本件出願に係る第13の発明は、本発明のいずれかの希土類ボンド磁石の製造方法により得られるシート状又はフィルム状の希土類ボンド磁石を用いて、前記希土類ボンド磁石と回転子鉄心とから回転子が構成され、前記回転子鉄心の一部分に前記希土類ボンド磁石が埋設される回転子であり、回転子鉄心の一部分に希土類ボンド磁石が埋設された磁石埋設型の回転子を有する永久磁石型モータである。
【0056】
また、本件出願に係る第14の発明は、本発明のいずれかの希土類ボンド磁石の製造方法により得られるシート状又はフィルム状の希土類ボンド磁石を用いる永久磁石型モータにおいて、
回転子の回転軸方向に孔部、穴部又はスロット部を有する回転子鉄心を用意し、温間圧延された希土類ボンド磁石の中間工程物又はシート磁石が、回転子鉄心の前記孔部・穴部又はスロット部に挿入されたのちに、希土類ボンド磁石の前記中間工程物又は前記シート磁石と前記回転子鉄心とがともに熱処理されることにより、希土類ボンド磁石が埋設される回転子鉄心を製造し、この希土類ボンド磁石が埋設される回転子鉄心が回転子に備えられる永久磁石型モータである。
【0057】
また、本件出願に係る第15の発明は、本発明のいずれかの希土類ボンド磁石の製造方法により得られるシート状又はフィルム状の希土類ボンド磁石を用いる永久磁石型モータにおいて、
回転子の回転軸方向に孔部、穴部又はスロット部を有する回転子鉄心を用意し、温間スタンピングされた希土類ボンド磁石の中間工程物又はシート磁石が、回転子鉄心の前記孔部、穴部又はスロット部に挿入されたのちに、希土類ボンド磁石の前記中間工程物又は前記シート磁石と前記回転子鉄心とがともに熱処理されることにより、希土類ボンド磁石が埋設される回転子鉄心を製造し、この希土類ボンド磁石が埋設される回転子鉄心が回転子に備えられる永久磁石型モータである。
【0058】
また、本件出願に係る第16の発明は、本発明のいずれかの希土類ボンド磁石の製造方法において、
熱処理温度が温間圧延の加工温度よりも高い温度であることを特徴とするシートからフィルムに至る希土類ボンド磁石の製造方法である。
【0059】
また、本件出願に係る第17の発明は、本発明のいずれかの希土類ボンド磁石の製造方法において、熱処理温度が温間スタンピングの加工温度よりも高い温度であることを特徴とするシートからフィルムに至る希土類ボンド磁石の製造方法である。
【0060】
また、本件出願に係る第18の発明は、本発明のいずれかの希土類ボンド磁石の製造方法において、熱処理温度が永久磁石型モータの耐久温度よりも高い温度であることを特徴とするシートからフィルムに至る希土類ボンド磁石の製造方法である。
【0061】
また、本件出願に係る第19の発明は、本発明のいずれかの希土類ボンド磁石の製造方法において、
希土類磁石粉末の一部又は全部が、スピニングカップアトマイゼーションによって準備された磁気的に等方性のNd2Fe14B系球状粉末であることを特徴とするシートからフィルムに至る希土類ボンド磁石の製造方法である。
【0062】
また、本件出願に係る第20の発明は、本発明のいずれかの希土類ボンド磁石の製造方法において、希土類磁石粉末の一部又は全部が、HDDR処理(水素分解/再結合)によって準備された磁気的に異方性のNd2Fe14B系粉末であることを特徴とするシートからフィルムに至る希土類ボンド磁石の製造方法である。
【0063】
また、本件出願に係る第21の発明は、本発明のいずれかの希土類ボンド磁石の製造方法において、希土類磁石粉末の一部又は全部が、HDDR処理(水素分解/再結合)によって準備された磁気的に異方性のNd2Fe14B系粉末の表面を予め不活性化処理されたものであることを特徴とするシートからフィルムに至る希土類ボンド磁石の製造方法である。
【0064】
また、本件出願に係る第22の発明は、本発明のいずれかの希土類ボンド磁石の製造方法において、希土類磁石粉末の一部又は全部が、RD(酸化還元)処理によって準備された磁気的に異方性のRD−Sm2Fe173系微粉末の表面を予め不活性化処理されたものであることを特徴とするシートからフィルムに至る希土類ボンド磁石の製造方法である。
【0065】
また、本件出願に係る第23の発明は、本発明のいずれかの希土類ボンド磁石の製造方法において、希土類磁石粉末が、異方性HDDR−Nd2Fe14B系磁石粉末および異方性RD−Sm2Fe173系微粉末、又は異方性HDDR−Nd2Fe14B系磁石粉末もしくは異方性RD−Sm2Fe173系微粉末と、
スピニングカップアトマイゼーションによって準備された磁気的に等方性のNd2Fe14B系球状粉末との混合系であることを特徴とするシートからフィルムに至る希土類ボンド磁石の製造方法である。
【0066】
また、本件出願に係る第24の発明は、本発明のいずれかの希土類ボンド磁石の製造方法において、4MA/mのパルス磁界で磁化した室温での最大エネルギー積(BH)maxが80kJ/m3以上に調整されることを特徴とするシートからフィルムに至る希土類ボンド磁石の製造方法である。
【0067】
また、本件出願に係る第25の発明は、本発明のいずれかの希土類ボンド磁石の製造方法において、希土類磁石粉末の含有量が92wt%から98wt%の範囲であることを特徴とするシートからフィルムに至る希土類ボンド磁石の製造方法である。
【0068】
また、本件出願に係る第26の発明は、本発明のいずれかの希土類ボンド磁石の製造方法において、非磁性異種材質からなる表面層を形成せずに希土類ボンド磁石の生地がその表面に露出していることを特徴とするシートからフィルムに至る希土類ボンド磁石の製造方法である。
【0069】
また、本件出願に係る第27の発明は、本発明のいずれかの希土類ボンド磁石の製造方法において、希土類ボンド磁石の厚さが1mmから0.2mmであることを特徴とするシートからフィルムに至る希土類ボンド磁石の製造方法である。
【0070】
また、本件出願に係る第28の発明は、本発明のいずれかの希土類ボンド磁石の製造方法により作製される希土類ボンド磁石を有する永久磁石モータである。
【0071】
また、本件出願に係る第29の発明は、本発明のいずれかの永久磁石モータを有する移動体通信携帯機器である。
【0072】
また、本件出願に係る第30の発明は、本発明のいずれかの永久磁石モータを有する情報機器である。
【0073】
また、本件出願に係る第31の発明は、本発明のいずれかの永久磁石モータを有する家電機器である。
【0074】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を説明する。
【0075】
図1の太実線の矢印が本発明に掛かる磁石製造要素の新規な連携である。本発明は、図1のようにボンド磁石製造における3大要素技術のひとつである結合剤(2)において、柔軟な熱硬化性樹脂組成物((2)−d)を登場させることにより、希土類磁石粉末((1)−c)と圧縮成形と圧延又はスタンピング((3)−d)を連携させ、シートからフィルムに至る新形態の希土類ボンド磁石、並びにそれを利用した新規な高性能で小型の永久磁石型モータ(4)の提供を目的とする。とくに、本発明は本発明者らが別に先願した発明の改良および信頼性の向上に関する。
【0076】
例えば、本発明は高性能磁気的に等方性のスピニングカップガスアトマイゼーションのよる球状Nd2Fe14B系希土類磁石粉末を基本とし、異方性HDDR−Nd2Fe14B系希土類磁石粉末およびRD−Sm2Fe173系希土類磁石粉末、又は異方性HDDR−Nd2Fe14B系希土類磁石粉末もしくはRD−Sm2Fe173系希土類磁石粉末、を92〜98wt%と高充填した粉末状コンパウンドを、異方性希土類磁石粉末の存在下では磁界中で高度に配向した高密度グリーンシートとし、これを熱硬化して、圧延およびスタンピング、又は圧延もしくはスタンピングしたのち、熱処理して環状或いは円弧状とする。さすれば、従来の磁気的に等方性の希土類系磁石粉末((1)−c)と硬いエポキシ樹脂のような熱硬化性樹脂((2)−c)とともに圧縮成形((3)−d)した磁石の(BH)max80kJ/m3を上回る高性能磁石が、その径に影響されることなく提供できる。
【0077】
磁気的に等方性のスピニングカップガスアトマイゼーションによる球状Nd2Fe14B系希土類磁石粉末を基本とした(BH)max40kJ/m3程度の磁石を経済的整合性の基に作製することもでき、フェライトゴム磁石を使った効率的でない小型モータの効率改善にも効果を奏する。したがって、新規な形態から準備した磁石を利用した、より効率的な小型モータ(4)を提供することができる。
【0078】
本発明の作用について以下に説明する。
【0079】
本発明は、図1の太実線矢印で示すような柔軟な熱硬化性樹脂結合剤((2)−d)によって希土類磁石粉末((1)−c)、温間圧縮成形と、温間圧延および温間スタンピング、又は温間圧延もしくは温間スタンピング((3)−d)を連携させ、さらに磁石に最適な熱処理を施すことにより高度な性能と信頼性を兼備えたシートからフィルムに至る様々な形態の希土類ボンド磁石、およびそれを用いた高い信頼性を兼備えた高性能永久磁石型モータ(4)を提供することにある。
【0080】
図1の結合剤((2)−d)に関し、更に詳しくは、結合剤として少なくとも熱圧着機能と熱硬化性官能基を有する粉末状樹脂成分を必須とすること。コンパウンドは結合剤成分の粘着力によって希土類磁石粉末を統合し、圧縮成形まえの結合剤と希土類磁石粉末の機械的分離を防ぐ役割を付与すること。そのための具体的手段として、結合剤は少なくとも室温で固体のエポキシオリゴマーと室温で粘着性を付与した熱圧着性ポリアミドおよびポリアミドイミド粉末、又は熱圧着性ポリアミドもしくはポリアミドイミド粉末、および必要に応じて適宜加える粉末状の潜在性エポキシ硬化剤から構成することが好ましい。
【0081】
本発明においてポリアミドおよびポリアミドイミド粉末、又はポリアミドもしくはポリアミドイミド粉末の粘着性と熱圧着性とは、粘着付与剤などを添加して、先ず、圧縮成形するまえの、コンパウンド状態で希土類磁石粉末と結合剤とを、その粘着力によって固定する。
【0082】
次に、コンパウンドを50℃以上のダイを用いて温間圧縮してグリーンシートを成形する際、ポリアミドおよびポリアミドイミド粉末、又はポリアミドもしくはポリアミドイミド粉末の熱軟化による塑性変形の促進、接合面間の濡れ性を改善することによってポリアミドおよびポリアミドイミド粉末、又はポリアミドもしくはポリアミドイミド粉末、或いはエポキシオリゴマーの熱圧着性を高めるものである。
【0083】
また、希土類磁石粉末は結合剤との結合力を強固にするため、予め室温で固体のエポキシオリゴマーで表面被覆する。希土類磁石粉末へのエポキシオリゴマーの被覆方法としては、先ず、当該エポキシオリゴマーを有機溶媒に溶解し、その後、希土類磁石粉末と湿式混合し、溶媒を除去した当該塊状混合物を解砕する。なお、エポキシオリゴマーの架橋密度を高めるためには分子鎖内にもエポキシ基を有するノボラック型エポキシが望ましい。
【0084】
また、前記エポキシオリゴマーと架橋する粉末エポキシ硬化剤とはジシアンジアミドおよびその誘導体、カルボン酸ジヒドラジド、ジアミノマレオニトリルおよびその誘導体のヒドラジドの群より選ばれた1種又は2種以上などを挙げることができる。これ等は一般に有機溶媒に難溶の高融点化合物であるが、粒子径を数ないし数十μmに調整したものが好ましい。
【0085】
なお、ジシアンジアミド誘導体としては、例えばo−トリルビグアニド、α−2・5−ジメチルビクアニド、α−ω−ジフェニルビグアニド、5−ヒドロキシブチル−1−ビグアニド、フェニルビグアニド、α−、ω−ジメチルビクアニドなどがある。更に、カルボン酸ジヒドラジドとしてはコハク酸ヒドラジド、アジピン酸ヒドラジド、イソフタル酸ヒドラジド、p−アキシ安息香酸ヒドラジドなどがある。
【0086】
これらの硬化剤はコンパウンドに乾式混合によって添加することが望ましい。なお、コンパウンドの成形型への移着を防ぐには、成形型の設定温度よりも高融点の高級脂肪酸、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸金属石鹸類から選ばれる1種又は2種以上を0.2〜0.4wt%程度コンパウンドに乾式混合することが望ましい。
【0087】
上記、コンパウンドの希土類磁石粉末の含有量は92wt%〜98wt%とし、当該コンパウンデイングはミキサーにより、希土類磁石粉末とコンパウンドの平均粒子径が10μm以下とほぼ等しい粉末状であることが望ましい。また、前記コンパウンドの見掛けの密度は2.6〜3.0Mg/m3、粉末流動度は40sec/50g以下に調整することが望ましい。
【0088】
なお、前記粉末流動度の調整にはステアリン酸カルシウム粉末の添加が望ましく、例えばコンパウンド100重量部に対して0.2〜0.4重量部とすることによって調整することができる。また、温間圧縮成形圧力は0.4GPa以上とすると高密度グリーンシートが得られる。前記グリーンシートを硬化した当該磁石の温間圧延は圧延率2%以上とすると巻付性のよいシートからフィルムに至る希土類ボンド磁石が得られる。ただし、当該磁石の高温暴露での寸法安定性のために、圧延後の磁石に熱処理を施す必要がある。ただし、熱処理温度は圧延温度およびモータ運転温度より高く設定する必要がある。
【0089】
一方、短冊状のグリーンシートを例えば円弧状キビティを有する成形型に装填して温間スタンピングし、然るのち熱処理するとシートからフィルムに至る円弧状や中空円盤状の本発明にかかる希土類ボンド磁石が準備できる。この場合も温間圧延後の熱処理と同様に、高温暴露における高度な寸法精度を確保するために、熱処理温度は圧延温度およびモータ運転温度より高く設定する必要がある。
【0090】
ただし、磁石埋設型回転子などのような場合には、温間圧延および温間スタンピング後、又は温間圧延もしくは温間スタンピング後に、当該磁石を例えば回転子鉄心の磁石スロットに挿入し、然る後、最終熱処理を施しても良い。すると、挿入した磁石は熱処理によって、磁石スロット中でほぼ等方的に体積膨張し、磁石と鉄心との空隙を消滅させることができる。熱処理時の体積膨張は非可逆的であるから、熱処理後に冷却しても磁石と鉄心とに再び空隙は生ずることはない。もちろん、その後の当該磁石の体積膨張は熱処理温度以下であれば可逆的となる。
【0091】
なお、スタンピングとは一般には熱可塑性シートを加熱、軟化し、プレス成形する方法で、板金プレスと同様のシステムで成形加工するためスタンパブルシート成形とも呼ばれる。(斎藤進六監修、新材料成形加工辞典、p775、産業調査会材料情報センター、1988)。本発明に掛かる結合剤は熱硬化性エポキシ樹脂を成分とするものであるが、成形加工法から言えば、引用のスタンピングが最も類似な方法と考えられるので、スタンピングとしている。
【0092】
次に、磁気的に等方性の希土類磁石粉末としてはスピニングカップアトマイゼーションによって準備されたNd−Fe−B系球状粉末(B.H.Rabin,B.M.Ma、“Recent Developments in NdFeB Powder”120th Topical Symposium of the Magnetic Society of Japan 23,2001)を基本とする。
【0093】
また、磁気的に異方性の希土類磁石粉末としてはHDDR処理(水素分解/再結合)によって準備された磁気的に異方性のNd2Fe14B系希土類磁石粉末、すなわち、Nd−Fe(Co)−B系合金のNd2(Fe、Co)14B相の水素化(ydrogenation、Nd2[Fe、Co]14BHx)、650〜1000℃での相分解(ecomposition、NdH2+Fe+Fe2B)、脱水素(esorpsion)、再結合(ecombination)するHDDR処理(T.Takeshita and R.Nakayama:Proc.of the 10thRE Magnets and Their Applications,Kyoto,Vol.1、551 1989)で作製した磁気的に異方性の希土類磁石粉末である。(上記の二重下線の頭文字をとってHDDRと略記している)。
【0094】
前記粉末の表面を予め光分解したZnなど不活性化処理した粉末など(例えば、K.Machida,K.Noguchi,M.Nushimura,Y.Hamaguchi,G.Adachi,Proc.9th Int.Workshopon Rare−Earth Magnets and Ttheir Applications,Sendai,Japan,II、845 2000,或いは、K.Machida,Y.Hamaguchi,K.Noguchi,G.Adachi,Digests of the 25th Annual conference on Magnetcs in Japan,28aC−6 2001)を使用することもできる。
【0095】
なお、それらの磁石粉末の4MA/mパルス着磁後の20℃における保磁力は1.1MA/m以上のものが望ましい。さらに磁気的に異方性の希土類磁石粉末としてはRD(酸化還元)処理によって準備された磁気的に異方性のSm2Fe173系希土類磁石粉末。或いは、前記粉末の表面を予め不活性化処理した粉末を挙げることもでき、前記粉末の4MA/mパルス着磁後の20℃における保磁力は0.6MA/m以上のものが望ましい。
【0096】
上記希土類磁石粉末は単独、又は2種以上の混合系であっても差し支えない。
【0097】
上記のようなフレキシブル磁石を円筒枠の内周面に巻きつけ、固定、および多極着磁した環状の磁石を永久磁石界磁とする永久磁石型直流モータ。円筒枠の内周面に環状の磁石を備え、半径方向空隙型回転子とする永久磁石型モータ。円柱枠の外周面に環状の磁石を備えた表面磁石型回転子を搭載する永久磁石型モータなどを挙げることができる。
【0098】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に詳しく説明する。ただし、本発明は実施例によって限定されるものではない。本実施例に相当する他の実施例も、本実施例から想到できる。
【0099】
(材料)
材料について以下に説明する。
【0100】
本実施例では、4種類の形態の異なる希土類磁石粉末を使用した。すなわち、磁気的に等方性のスピニングカップガスアトマイゼーションによって準備されたNd2Fe14B系球状磁石粉末(Nd13.3Fe62.56.8Ga0.3Zr0.1)パウダーA(Powder−A)、HDDR処理(水素分解/再結合)によって準備された磁気的に異方性のHDDR−Nd2Fe14B系磁石粉末(Nd12.3Dy0.3Fe64.7Co12.36.0Ga0.6Zr0.1)パウダーB(Powder−B)、およびRD(酸化還元)したRD−Sm2Fe173微粉末パウダーC(Powder−C)、および比較例としてのメルトスピニングによって準備されたNd2Fe14B系フレーク状磁石粉末(Nd12Fe77Co56)パウダーD(Powder−D)である。これらの磁石粉末の形態を図3に示す。なお、ここで使用したパウダーA(Powder−A)、−B、−C、および−Dの平均粒子径は、それぞれ50、80、2〜5、75μmであった。
【0101】
また、結合剤システムの構成成分としては室温で固体のノボラック型エポキシオリゴマー、粒子径15μm以下の粉末状潜在性エポキシ硬化剤、粘着剤を含み予め100μm以下に冷凍粉砕したポリアミド粉末、並びに粒子径10μm以下の滑剤が、この実施例で使用された。なお、ノボラック型エポキシオリゴマ(化1)、粉末状潜在性エポキシ硬化剤(化2)の化学構造は以下の通りである。
【0102】
【化1】
【0103】
(NH2NHCOCH2CH22N(CH2)11CONHNH2・・・(化2)
(製造プロセスの概要)
以下に製造プロセスの概要を説明する。
【0104】
本発明は磁気的に等方性のスピニングカップガスアトマイゼーションによって準備されたNd2Fe14B系球状磁石粉末(Nd13.3Fe62.56.8Ga0.3Zr0.1)パウダーA(Powder−A)をベースとして、要求される磁気特性に合わせて磁気的に異方性のHDDR−Nd2Fe14B系磁石粉末パウダーB(Powder−B)、およびRD−Sm2Fe173微粉末パウダーC(Powder−C)のような希土類磁石粉末の1種又は2種以上のシートからフィルムに至る様々な形態の希土類ボンド磁石を作製し、効率的な小型モータを提供するためになされた。とくに、異方性磁石粉末パウダーB(Powder−B)、パウダーC(Powder―C)を含む本発明に掛かるシートからフィルムに至る希土類ボンド磁石は磁化の前後に磁石をフレーム又はマンドレルに巻きつけることによってラジアル磁界配向の小径に伴う配向度の低下、すなわち磁気特性低下という困難を克服する。
【0105】
図4(a)はパウダーA(Powder−A)、ーB、ーCおよび固体のエポキシオリゴマー、そして、粉末状潜在性エポキシ硬化剤、および粘着剤を含むポリアミド粉体からフレキシブルなボンド磁石を準備するための工程を示すブロック図である。また、図4(b)は従来の磁気的に等方性の希土類磁石粉末((1)−c)と硬いエポキシ樹脂のような熱硬化性樹脂((2)−c)とともに圧縮成形((3)−d)した磁石を準備するための工程を示すブロック図である。図4(b)は、例えばF.Yamashita,Y.Sasaki,H.Fukunaga,“Isotropic Nd−Fe−B Thin Arc−shaped Bonded Magnets for Small DC Motors Prepared by PowderCompacting Press with Metal Ion−implanted Punches”J.Magn.Soc.Japan,Vol.25,No.4,pp.683〜686(2001)に記載されている。図4(a)、(b)から明らかなように、本発明例は希土類磁石粉末と結合剤成分のミキシングによってコンパウンドが準備できる。また、コンパウンドの圧縮成形と硬化は従来例と同じであるが、本発明では圧縮成形を温間で行うことが望ましい。さらに本発明ではシート状磁石を最終形態とするための温間圧延および温間スタンピング、又は温間圧延もしくは温間スタンピング並びに熱処理を必須工程とする。
【0106】
(コンパウンドの調整)
以下にコンパウンドの調整について説明する。図4(a)の本発明例の製造工程に従って、先ず、コンパウンドの調整を説明する。60℃に加温したヘンシェル・ミキサーに所定量の希土類磁石粉末パウダーA(Powder−A)を5kg投入し、前記粉末を480r/minで攪拌しながら、室温で固体のエポキシオリゴマーの50%アセトン溶液50gを滴下した。攪拌を続けるとおよそ5minで乾燥したエポキシオリゴマーを被覆した希土類磁石粉末が得られた。続いて、前記エポキシオリゴマーを表面被覆した希土類磁石粉末に対し、3〜7wt%の粘着剤20%含有ポリアミド粒子、粉末状潜在性エポキシ硬化剤、および滑剤(粒子径10μm以下のステアリン酸カルシウム)を添加し、粉末状のコンパウンドとした。
【0107】
その結果、スピニングカップガスアトマイゼーションによって準備されたNd2Fe14B系球状磁石粉末パウダーA(Powder−A)から作製した粉末状コンパウンド(図5の四角形の印)粒度分布を磁石粉末(図5の三角印)、磁石粉末をエポキシオリゴマーで被覆した中間体(図5の印)のそれとともに図5に示す。図のように、それぞれの平均粒子径は50〜55μmであり、その平均粒子径の差は10μm以下であった。パウダーA(Powder−A)と同様な粒度範囲の異方性希土類磁石粉末にキャビティ中で磁界を印加したとき、それぞれの粉末粒子は独立して自由に回転することができる。したがって、異方性磁石粉末を併用した場合には配向度が高く、磁石粉末本来の磁気特性を磁石性能として引出せることを意味している。
【0108】
(滑剤添加量の最適化)
以下に滑剤添加量の最適化について説明する。
【0109】
滑剤としてステアリン酸カルシウムを0.2〜0.4%混合したコンパウンドの粉末流動性は30sec/50g(JIS Z−2511)、見掛密度は2.7〜2.9Mg/m3(JIS Z−2511)であった。後者の見掛けの密度の水準はメルトスピニングによるNd2Fe14B系フレーク状磁石粉末とエポキシ樹脂との顆粒状コンパウンドと同等である。一方、前者の粉末流動性は40〜50sec/50gに対し大幅に改善している。このことは、例えば、薄いスリット状の成形型キャビティなどへの充填性がフレーク状希土類磁石粉末の顆粒状コンパウンドに比べて向上し、薄いシート状磁石の作製が可能なことを意味する。
【0110】
図6はコンパウンドへの滑剤(ステアリン酸カルシウム)添加量に対して幅1.25mm、長さ65mmのスリット状キャビティ4個へのコンパウンド充填量の関係を示す特性図である。図から明らかなように、滑剤添加量とともにスリット状キャビティへの充填性が向上し、0.4重量部で極大を示す。このことから、本発明に係るコンパウンドへの滑剤添加量は0.4未満とすることが望ましい。また、上記本発明に係る粉末状コンパウンドの希土類磁石粉末としてパウダーB(Powder−B)、Cを置換しても、滑剤にて粉末圧縮成形機に供する粉末流動性を調整できる。
【0111】
次に、粉末圧縮成形機のフィーダーカップに粉末状のコンパウンドを投入し、成形型キャビティに粉末状コンパウンドを充填した。ただし、成形型上下パンチとキャビティ周辺のみ50〜80℃に加熱されている。キャビティに充填した磁気的に異方性の希土類磁石粉末を含むコンパウンドは1.4MA/mのアキシャル磁界の中で上下パンチによって圧縮され、脱磁され、圧粉体(グリーンシート)を得た。このグリーンシートは十分なハンドリング性を備えていた
図7は幅6.1、長さ65mm、厚さ1.25mmのパウダーA(Powder−A)が96wt.%からなるグリーンシートを粉末成形機で繰返し成形したときの成形回数に対するグリーンシートの重量変動を示す特性図である。ただし、圧縮圧力は0.4GPa、キャビティは幅1.25mm、長さ65mmのスリット状である。
【0112】
上記、スリット状キャビティ4個で成形したグリーンシートの重量標準偏差は0.029、当該キャビティ1個での成形したグリーンシートの重量標準偏差は0.017であった。両者の標準偏差値から、キャビティ4個での工業的生産は可能である。さらに、本発明によるコンパウンドの圧縮圧力0.4〜0.5GPaはメルトスピニングによるNd2Fe14B系フレーク状磁石粉末とエポキシ樹脂との顆粒状コンパウンドの一般的な圧縮圧力0.8〜10GPaの半分以下であるから、同じ圧縮能力の成形機ならば2倍の生産性向上となる。
【0115】
(圧延後の磁石の寸法安定性制御)
以下に圧延後の磁石の寸法安定性制御について説明する。
【0113】
次に、上記パウダーA(Powder−A)が96wt%からなるグリーンシートを180℃で20min加熱し、熱硬化した硬い磁石シートとした。図8は厚さ1.27mmのスピニングカップガスアトマイゼーションNd2Fe14B系球状磁石粉末パウダーA(Powder−A)が96wt%からなるシート磁石の厚さ方向の熱硬化による収縮率を滑剤添加量に対してプロットした特性図である。図のように、滑剤添加量が約0.2重量部付近でほぼ無収縮となり、それより添加量が少ないと収縮、多い場合は膨張に転じる。
【0114】
図9は上記シート磁石、および当該磁石を70℃温間圧延(平均圧延率10.1%)し、その後、高温暴露(100℃にて15h)したときのシート磁石の厚さ変化率を示す特性図である。図のように、圧延なしのシート磁石は高温暴露によって0.5%程度収縮、その値は滑剤添加量には依存しない。一方、圧延したシート磁石は高温暴露によって膨張する。膨張の程度は滑剤量が少ない場合に大きく、滑剤添加量が増すと一定となる傾向を示している。このような、シート磁石の厚さ方向は一般に磁化方向であり、永久磁石型モータでは電機子鉄心との空隙距離が変化することを意味し、高温暴露による圧延したシート磁石の厚さ(磁化方向)変化の制御は重要である。
【0115】
図10は上記70℃で圧延したシート磁石(平均圧延率10.1%)の熱処理温度に対する厚さ変化を示す特性図である。ただし、熱処理時間は5min、熱処理温度は暴露温度(100℃)を基準温度として規格化している。図中1のプロットは熱処理後の厚み変化で、圧延温度以上で急激に増加し、基準温度+40℃(140℃)以上で飽和する傾向を示した。図中2のプロットは熱処理したシート磁石を高温暴露(100℃にて15h)した後の厚さ変化を元の規格化した熱処理温度に対して示している。図から明らかなように、暴露温度以下で熱処理したシート磁石は引続き厚さが増すが、暴露温度以上で熱処理した磁石の厚さ変化は観測されなくなる。
【0116】
図11は上記70℃で圧延したシート磁石の圧延率に対する熱処理後、並びに高温暴露後の寸法安定性を示す特性図である。図中1T、1Lは圧延後・熱処理前のシート磁石の厚さと長さ、2T、2Lの破線は熱処理後(120℃、5min)、2T、2Lの実線は高温暴露後(100℃にて120h)のシート磁石の厚さと長さを示している。圧延率に対してシート磁石の厚さと長さはトレードオフの関係にある。また、圧延率に応じて熱処理前後の寸法変化率が増加していることが伺える。
【0117】
しかしながら、一旦熱処理すると高温暴露後のシート磁石の厚さと長さは殆ど変化しなくなる。なお、熱処理を100℃とした場合でも、ここで示した120℃と同じ結果が得られた。したがって、熱処理温度としては、本発明が対象とする永久磁石型モータの運転時の温度上昇を考慮し、少なくとも当該界磁磁石の上昇温度以上を選択することが望ましい。
【0118】
図12(a)は、上記熱処理した本発明に係るスピニングカップガスアトマイゼーションによるNd2Fe14B球状希土類磁石粉末パウダーA(Powder−A)を96%含むシート磁石の代りにメルトスピニングによるNd2Fe14Bフレーク状希土類磁石粉末パウダーD(Powder−D)を96%含むシート磁石を作製し、高温長時間暴露(100℃にて1000h)した後の厚さ、長さ、幅の変化率を比較した結果を示す特性図である。また、図12(b)は前記シート磁石が典型的に適用されている永久磁石界磁型小型直流モータとシート磁石に対応する界磁磁石を示す斜視概観図である。図から明らかなように、本発明に係るパウダーA(Powder−A)を用いて圧延後に熱処理したシート磁石の長時間高温暴露による寸法変化の方向は、電機子鉄心との空隙を狭める方向、すなわち長さや厚さは増加しない。一方、パウダーD(Powder−D)を用いて圧延後に熱処理したシート磁石の長時間高温暴露における寸法変化は長さや厚さが増加し、電機子鉄心との空隙を狭めたり、環状に形成した界磁磁石が鉄フレーム内周側に張出して永久磁石型モータの機能維持に重大な影響を及ぼす危険性がある。
【0119】
図13はグリーンシートを圧縮成形する際の圧縮方向と圧延率に対する熱処理後の厚さ変化を示す特性図である。図から明らかなように、長時間高温暴露におけるシート磁石の寸法変化の方向性はグリーンシートを圧縮成形する際の圧力印加方向には影響されない。したがって、図12のような長時間高温暴露によるシート磁石の寸法変化の方向性は希土類磁石粉末の形態(球状又はフレーク)に起因すると言える。したがって、本発明で言う磁気的に異方性の希土類磁石粉末パウダーB(Powder−B)、ーCもパウダーD(Powder−D)のようなフレーク状ではないからパウダーA(Powder−A)と同様な寸法変化の方向性を示すと言える。
【0120】
図14は圧延率に対する熱処理(120℃、5min)後のシート磁石の機械的性質を示す特性図である。圧延率に対する磁束変化を示す特性図である。ただし、何れも希土類磁石粉末パウダーA(Powder−A)は96wt%含まれている。圧延率によって張力と伸長率はトレードオフの関係を示すが、圧延率約2%以上であれば、何れも鉄フレームに巻付けて環状の永久磁石界磁とすることができる。
【0121】
(その他の信頼性)
上記にて説明した信頼性項目以外の他の信頼性項目について説明する。
【0122】
図15は熱処理した本発明に係るスピニングカップガスアトマイゼーションによるNd2Fe14B球状希土類磁石粉末パウダーA(Powder−A)を96%含むシート磁石の代りにメルトスピニングによるNd2Fe14Bフレーク状希土類磁石粉末パウダーD(Powder−D)を96%含むシート磁石を作製し、高温長時間暴露(100℃にて1000hrs)した後の重量変化率を比較した結果を示す特性図である。図から明らかなように、本発明に係るスピニングカップガスアトマイゼーションによるNd2Fe14B球状希土類磁石粉末パウダーA(Powder−A)を96%含むシート磁石はパウダーD(Powder−D)を96%含むシート磁石に比べて高温暴露における重量増加が少なく、安定している。
【0123】
図16は上記シート磁石2種を4MA/mパルス着磁し、高温長時間暴露(100℃、1000hrs)したときの不可逆磁束損失を比較した特性図である。本発明に係る熱処理したスピニングカップガスアトマイゼーションによるNd2Fe14B球状希土類磁石粉末パウダーA(Powder−A)を96%含むシート磁石は保磁力648kA/mとパウダーD(Powder−D)の748kA/mに比べて低い値に拘らず、初期不可逆磁束損失とともに、長期不可逆磁束損失も少ないことが了解される。これは、図15の同一条件下の長期高温暴露での重量変化が極めて少ないことと関連して、永久磁石型モータの信頼性を向上するうえで有利であると言える。
【0124】
一方、図17は上記シート磁石2種を40℃、97%RHの多湿雰囲気に長時間暴露(1000hrs)したときの重量変化を示す特性図である。本発明に係る熱処理したスピニングカップガスアトマイゼーションによるNd2Fe14B球状希土類磁石粉末パウダーA(Powder−A)を96%含むシート磁石は高温での重量変化の結果と同じく、パウダーD(Powder−D)を用いた磁石に比べて重量変化が極めて少ない。1000hrs後のシート磁石表面はパウダーD(Powder−D)を用いた磁石表面に一様に赤錆発生が認められたが、本発明に係る熱処理したスピニングカップガスアトマイゼーションによるNd2Fe14B球状希土類磁石粉末パウダーA(Powder−A)を96%含むシート磁石表面は肉眼での発錆はなかった。なお、本発明に係る熱処理したパウダーB(Powder−B)、ーCを96%含むシート磁石表面は肉眼での発錆はなかった。すなわち、本発明は高温での寸法変化の方向性以外にも耐錆性など、本発明で対象とする永久磁石型モータの信頼性向上に大きく寄与することが了解される。
【0125】
以上のように、本発明で対象とする永久磁石型モータの運転中の磁石温度は100℃以下である。したがって本発明に掛かる圧延後に熱処理したパウダーA(Powder−A)、−B、およびCを含むシート状希土類ボンド磁石は、メルトスピニングによるNd2Fe14B系希土類磁石粉末を使用したボンド磁石に比べて永久磁石型モータの運転温度領域における安定性や耐錆性などの信頼性を向上することができる。
【0126】
(フィルム磁石の作製)
以下にフィルム磁石の作製について説明する。
【0127】
次に、熱処理した本発明に係るスピニングカップガスアトマイゼーションによるNd2Fe14B球状希土類磁石粉末パウダーA(Powder−A)を96%含むシートからフィルムに至る磁石の実施例を説明する。図18はシートからフィルムに至る磁石の厚さと4MA/mパルス着磁後の磁束の関係を示す特性図である。図中1は本発明にかかるパウダーA(Powder−A)を96%含む圧延後に熱処理した磁石、3、4はそれぞれ本発明にかかる磁気的に異方性のパウダーB(Powder−B)およびパウダーC(Powder−C)をそれぞれ96%含む圧延後に熱処理した磁石。2は比較例として示すメルトスピニングによるNd2Fe14B系フレーク状希土類磁石粉末を97%含むエポキシ樹脂との顆粒状コンパウンドを圧縮成形した硬い板状磁石である。
【0128】
この比較例2では厚さ700μm程度のシート磁石が成形限界で、勿論可撓性もない。これに対し、1は厚さ200μmのフィルム磁石も容易に作製することができる。確かに、同じ厚さでの磁束を比較例と比べる場合は少ないが、パウダーB(Powder−B)のような磁気的に異方性のHDDRーNd2Fe14B系希土類磁石粉末を用いた3であれば、2より多くの磁束が得られる。
【0129】
なお、パウダーB(Powder−B)は平均粉末粒子径が80μmと大きいため、200μm程度のフィルム磁石の領域では厚さに対する磁束の低下がやや大きくなる傾向を示している。このような場合には4のような平均粒子径2〜5μmのパウダーC(Powder−C)を含む圧延後に熱処理した磁石とすることが、より強い静磁界を得るうえでは好ましい。
【0130】
(永久磁石型モータの特性)
以下に本発明の永久磁石型モータの実施例の特性について説明する。
【0131】
本実施例におけるスピニングカップガスアトマイゼーションによる球状希土類磁石粉末パウダーA(Powder−A)の(BH)maxは85kJ/m3、一方のメルトスピニング法によるフレーク(合金組成Nd12Fe77Co56)を用いたパウダーD(Powder−D)の(BH)maxは130kJ/m3である。また、本実施例で示したパウダーA(Powder−A)を用いたシート磁石の4MA/mバルス着磁後の磁気特性は残留磁化550mT、保磁力648kA/m、(BH)max40kJ/m3であった。
【0132】
この値はフレークを用いたシート磁石の(BH)max61kJ/m3と比較すると(BH)maxは約2/3となる。電機子鉄心との空隙に発生する磁束の比を(BH)maxの比の平方根で見積もると、本発明に係るパウダーA(Powder−A)を用いたシート磁石の磁束はパウダーD(Powder−D)を用いた磁石の約81%と見積もられる。しかしながら、図13(b)に示した直径23.8mm、高さ12.5mmの永久磁石界磁型小型直流モータの電流、トルクー速度特性で比較すると、図19のようにパウダーA(Powder−A)を使ったシート磁石の始動トルクはメルトスピニングによるNd2Fe14B系希土類磁石粉末を用いたボンド磁石モータの5.6%減、トルク定数6.2%減であり、モータ特性としては5〜10%減に抑制できる。
【0133】
これは、本発明にかかるシート磁石がほぼ飽和磁化状態となるのに対し、比較のパウダーB(Powder−B)では不飽和磁化状態であることに由来する。図16に示した両者の不可逆磁束損失の差を考慮すると長時間高温暴露後のモータ特性差は殆ど消滅することが予想される。
【0134】
ところで、一般に、メルトスピニングによるNd2Fe14B系希土類磁石粉末を用いたボンド磁石は耐錆性のために表面に非磁性異種材質からなる表面層を設ける。通常はスプレー塗装、或いは電着塗装で15〜20μm厚のエポキシ樹脂とする。しかし、本発明に係るシート磁石は図17に示したように高信頼性を有する。したがって、非磁性保護膜を設ける必要がなく、電機子鉄心との空隙を30〜40μm狭めることができる。この差は起動トルクの差5〜6%を補える水準でもある。
【0135】
次に、磁気的に異方性のHDDR−Nd2Fe14B系希土類磁石粉末パウダーB(Powder−B)を97%含む厚さ0.82mmのシート磁石を120℃でスタンピングし、円弧状としたのち、120℃にて5minの熱処理を行って本発明にかかる薄肉円弧状磁石とした。一方、F.Yamashita,Y.Sasaki,H.Fukunaga,“Isotropic Nd−Fe−B ThinArc−shaped Bonded Magnets for Small DCMotors Prepared by Powder CompactingPress with Metal Ion−implanted Punches”,日本応用磁気学会誌,Vol.25,No.4−2,pp.683〜686(2001)に記載の最大厚さが0.9mmの薄肉円弧状磁石、すなわち、希土類磁石粉末(1)−c(パウダーD(Powder−D))と、硬い熱硬化性樹脂(2)−cと、圧縮成形(3)−cとの連携で作製した薄肉円弧状磁石を従来例として、図20のような永久磁石界磁型小型直流モータの特性を比較した。
【0136】
図21は円弧状磁石の比較結果を示す特性図である。ただし、図中1は本発明にかかる円弧状磁石を用いたモータ特性、2は比較例を示す。また1、および2それぞれの添え字aは機械出力、bは効率、cはトルク、dは電流を示している。図から明らかなように、本発明にかかる薄肉円弧状磁石は概ね10%の薄肉化でありながら、機械出力の改善による高効率化4〜5%の高効率化を実現している。
【0137】
以上、本発明にかかる温間圧縮した高密度グリーンシートを熱硬化し、圧延およびスタンピング後、又は圧延もしくはスタンピング後に熱処理したパウダーA(Powder−A)、ーBおよびCを含むシートからフィルムに至る希土類ボンド磁石であれば、従来の等方性のメルトスピニングによるNd2Fe14B系ボンド磁石を搭載した従来の永久磁石型モータを上回る性能と信頼性とを兼備えた高性能永久磁石型モータを提供することができる。
【0138】
【発明の効果】
以上のように、本発明にかかる製造方法の概念は本発明者らが本発明よりも先に発明した別の発明の内容をもとに、性能、特性をより向上させる効果を発揮できる。永久磁石型モータとして広く一般に普及しているNd2Fe14B系ボンド磁石の希土類磁石粉末の形態をフレーク状から球状、又はそれに近い形状に転換し、この粉末状コンパウンドを圧縮成形したグリーンシートを熱硬化し、得られたシート磁石を圧延およびスタンピング、又は圧延もしくはスタンピングするシートからフィルムに至る希土類ボンド磁石に特定の熱処理を施すと永久磁石型モータの信頼性が大幅に向上できる。
【0139】
とくに、本発明のシートからフィルムに至る希土類ボンド磁石は、最終工程となる熱処理を含め、従来の成形加工方法(カレンダーリング、押出成形)などのように200℃を越える高温域での加工が不要で、不可逆磁束損失などの熱安定性を兼備えた希土類磁石粉末本来の高い磁気性能をモータ性能に反映させることができる。
【0140】
したがって、フェライト磁石や磁気的に等方性のメルトスピニングによるNd2Fe14B系ボンド磁石を搭載した従来の永久磁石型モータを上回る効率的な小型モータを高い信頼性のもとに提供することができる。よって、電気電子機器への寄与ばかりか、幅広い普及によって電力消費削減や省資源化に効果を奏すると期待される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ボンド磁石作製における3大要素技術、すなわち磁石粉末、結合剤、成形加工法の連携を示す概念図
【図2】 小型モータの断面構成図
【図3】 磁石粉末の形態を示す外観図
【図4】 磁石を準備するための工程図
【図5】 コンパウンド、中間体、磁石粉末の粒度分布を示す特性図
【図6】 コンパウンド充填量の関係を示す特性図
【図7】 グリーンシートの重量変動を示す特性図
【図8】 滑剤添加量と熱硬化による収縮率の関係を示す特性図
【図9】 磁石、および高温暴露した圧延磁石の厚さ変化率を示す特性図
【図10】 圧延磁石の熱処理温度に対する厚さ変化を示す特性図
【図11】 圧延磁石の圧延率に対する熱処理後、並びに高温暴露後の寸法安定性を示す特性図
【図12】 (a)は圧延磁石の高温長時間暴露の寸法変化示す特性図
(b)は永久磁石型モータと対応する界磁磁石を示す斜視概観図
【図13】 圧延率に対する熱処理後の厚さ変化を示す特性図
【図14】 圧延率に対する熱処理後のシート磁石の機械的性質を示す特性図
【図15】 高温長時間暴露の重量変化率を示す特性図
【図16】 高温長時間暴露の不可逆磁束損失を示す特性図
【図17】 多湿環境における長時間暴露の重量変化を示す特性図
【図18】 フィルム磁石の破断面を示す特性図
【図19】 環状磁石界磁モータの電流、並びにトルク−速度の関係を示す特性図
【図20】 円弧状磁石を用いた永久磁石界磁型小型直流モータの外観図
【図21】 円弧状磁石界磁モータの電流、並びにトルク−速度の関係を示す特性図
【符号の説明】
(1) 磁石粉末
(1)−a フェライト系磁石粉末
(1)−b アルニコ系磁石粉末
(1)−c 希土類磁石粉末(本発明に掛かる)
(2) 結合剤
(2)−a 柔軟な結合剤(フレキシブル系)(ゴム、熱可塑性エラストマー)
(2)−b 硬い熱可塑性樹脂結合剤
(2)−c 硬い熱硬化性樹脂結合剤(エポキシ樹脂)
(2)−d 本発明に掛かる柔軟な熱硬化性樹脂組成物の結合剤
(3) 成形加工方法
(3)−a カレンダーリング又は/および押出成形
(3)−b 射出成形
(3)−c 圧縮成形
(3)−d 圧縮成形と圧延又は/およびスタンピングと熱処理
(4) 効率的な小型モータ(高性能で小型の永久磁石モータ)

Claims (31)

  1. (1)磁石粉末が、希土類磁石粉末であり、
    (2)結合剤が、少なくとも室温で固体のエポキシオリゴマーと室温で粘着性を付与した熱圧着性ポリアミド粉末、又は、少なくとも室温で固体のエポキシオリゴマーと室温で粘着性を付与した熱圧着性ポリアミドイミド粉末、および必要に応じて適宜加える粉末状の潜在性エポキシ硬化剤から構成される熱硬化性樹脂組成物であり、
    (3)成形(成型)加工法が、温間圧縮成形と温間圧延と熱処理とから成る希土類ボンド磁石の製造方法において、
    前記希土類磁石粉末と前記熱硬化性樹脂組成物とを主成分とした粉末状コンパウンドを作製し、前記粉末状コンパウンドを温間圧縮成形してグリーンシートを作製し、前記グリーンシートの結合剤成分を熱硬化してシート磁石を作製し、前記シート磁石を温間圧延したのち熱処理して厚さが2.5mmから0.2mmのシートからフィルムに至る希土類ボンド磁石を製造する希土類ボンド磁石の製造方法。
  2. (1)磁石粉末が、希土類磁石粉末であり、
    (2)結合剤が、少なくとも室温で固体のエポキシオリゴマーと室温で粘着性を付与した熱圧着性ポリアミド粉末、又は、少なくとも室温で固体のエポキシオリゴマーと室温で粘着性を付与した熱圧着性ポリアミドイミド粉末、および必要に応じて適宜加える粉末状の潜在性エポキシ硬化剤から構成される熱硬化性樹脂組成物であり、
    (3)成形加工法が、温間圧縮成形と温間スタンピングと熱処理とから成る希土類ボンド磁石の製造方法において、
    希土類磁石粉末と前記熱硬化性樹脂組成物とを主成分とした粉末状のコンパウンドを作製し、前記コンパウンドを温間圧縮成形してグリーンシートを作製し、前記グリーンシートの結合剤成分を熱硬化してシート磁石を作製し、前記シート磁石を温間スタンピングしたのち熱処理して厚さが2.5mmから0.2mmのシートからフィルムに至る希土類ンド磁石を製造する希土類ボンド磁石の製造方法。
  3. 請求項1から請求項2のいずれかに記載の希土類ボンド磁石の製造方法において、
    希土類磁石粉末の平均粒子径と、粉末状コンパウンドの平均粒子径との差が10μm以内である希土類ボンド磁石の製造方法。
  4. 請求項1から請求項2のいずれかに記載の希土類ボンド磁石の製造方法において、粉末状コンパウンドの見掛けの密度が2.6〜3.0Mg/m3であり、かつ前記粉末状コンパウンドの粉末流動度が40sec/50g以下である希土類ボンド磁石の製造方法。
  5. 請求項1から請求項2のいずれかに記載の希土類ボンド磁石の製造方法において、
    粉末状コンパウンドの滑剤がステアリン酸カルシウム粉末であり、前記粉末状コンパウンドへの前記ステアリン酸カルシウム粉末の添加量が0.2〜0.4重量部である希土類ボンド磁石の製造方法。
  6. 請求項1に記載の希土類ボンド磁石の製造方法により得られるシート状又はフィルム状の希土類ボンド磁石を用いて、前記希土類ボンド磁石と円筒枠とを有する回転子を構成し、前記希土類ボンド磁石は前記円筒枠の内周面に巻きつけられ、前記円筒枠に巻きつけられた前記希土類ボンド磁石がこの円筒枠に対して固定され、前記円筒枠に固定された前記希土類ボンド磁石に多極着磁して環状磁石を構成し、前記回転子の永久磁石界磁が前記希土類ボンド磁石から構成される前記環状磁石を備える永久磁石型モータ。
  7. 請求項1に記載の希土類ボンド磁石の製造方法により得られるシート状又はフィルム状の希土類ボンド磁石を用いて、前記希土類ボンド磁石と円筒枠とを有する回転子を構成し、前記希土類ボンド磁石は前記円筒枠の内周面に巻きつけられ、前記円筒枠に巻きつけられた前記希土類ボンド磁石がこの円筒枠に対して固定され、前記円筒枠に固定された前記希土類ボンド磁石に多極着磁して環状磁石を構成し、前記回転子の永久磁石界磁が前記希土類ボンド磁石から構成され、前記回転子の半径方向に空隙を備えさせる半径方向空隙型の永久磁石型モータ。
  8. 請求項1に記載の希土類ボンド磁石の製造方法により得られるシート状又はフィルム状の希土類ボンド磁石を用いて、前記希土類ボンド磁石と円筒枠とを有する回転子を構成し、前記希土類ボンド磁石は前記円筒枠の外周面に巻きつけられ、前記円筒枠に巻きつけられた前記希土類ボンド磁石がこの円筒枠に対して固定され、前記円筒枠に固定された前記希土類ボンド磁石に多極着磁して環状磁石を構成し、前記回転子の永久磁石界磁が前記希土類ボンド磁石から構成され、前記回転子の表面に前記環状磁石を備えさせる表面磁石型の永久磁石型モータ。
  9. 請求項2に記載の希土類ボンド磁石の製造方法により得られるシート状又はフィルム状の希土類ボンド磁石の形状を円弧状とし、円弧状の前記希土類ボンド磁石が回転子の鉄心の径方向表面に固定され、前記回転子の永久磁石界磁を前記希土類ボンド磁石の界磁から構成させ、前記回転子の表面に永久磁石界磁を備えさせる表面磁石型の永久磁石型モータ。
  10. 請求項2に記載の希土類ボンド磁石の製造方法により得られるシート状又はフィルム状の希土類ボンド磁石の形状を円弧状とし、円弧状の前記希土類ボンド磁石がフレーム枠の内側に固定され、前記フレーム枠の永久磁石界磁を前記希土類ボンド磁石の界磁から構成させ、前記フレーム枠に永久磁石界磁を備えさせる永久磁石型モータ。
  11. 請求項2に記載の希土類ボンド磁石の製造方法により得られるシート状又はフィルム状の希土類ボンド磁石の形状を中空円盤型状とし、中空円盤型状の前記希土類ボンド磁石に多極着磁を施し、多極着磁された中空円盤型状の前記希土類ボンド磁石の軸方向に空隙を備えさせる軸方向空隙型の永久磁石モータ。
  12. 請求項1に記載の希土類ボンド磁石の製造方法により得られるシート状又はフィルム状の希土類ボンド磁石を用いて、前記希土類ボンド磁石と回転子鉄心とから回転子が構成され、前記回転子鉄心の一部分に前記希土類ボンド磁石が埋設される回転子であり、回転子鉄心の一部分に希土類ボンド磁石が埋設された磁石埋設型の回転子を有する永久磁石型モータ。
  13. 請求項2に記載の希土類ボンド磁石の製造方法により得られるシート状又はフィルム状の希土類ボンド磁石を用いて、前記希土類ボンド磁石と回転子鉄心とから回転子が構成され、前記回転子鉄心の一部分に前記希土類ボンド磁石が埋設される回転子であり、回転子鉄心の一部分に希土類ボンド磁石が埋設された磁石埋設型の回転子を有する永久磁石型モータ。
  14. 請求項1に記載の希土類ボンド磁石の製造方法により得られるシート状又はフィルム状の希土類ボンド磁石を用いる永久磁石型モータにおいて、回転子の回転軸方向に孔部、穴部又はスロット部を有する回転子鉄心を用意し、温間圧延された希土類ボンド磁石の中間工程物又はシート磁石が、回転子鉄心の前記孔部・穴部又はスロット部に挿入されたのちに、希土類ボンド磁石の前記中間工程物又は前記シート磁石と前記回転子鉄心とがともに熱処理されることにより、希土類ボンド磁石が埋設される回転子鉄心を製造し、この希土類ボンド磁石が埋設される回転子鉄心が回転子に備えられる永久磁石型モータ。
  15. 請求項2に記載の希土類ボンド磁石の製造方法により得られるシート状又はフィルム状の希土類ボンド磁石を用いる永久磁石型モータにおいて、
    回転子の回転軸方向に孔部、穴部又はスロット部を有する回転子鉄心を用意し、温間スタンピングされた希土類ボンド磁石の中間工程物又はシート磁石が、回転子鉄心の前記孔部・穴部又はスロット部に挿入されたのちに、希土類ボンド磁石の前記中間工程物又は前記シート磁石と前記回転子鉄心とがともに熱処理されることにより、希土類ボンド磁石が埋設される回転子鉄心を製造し、この希土類ボンド磁石が埋設される回転子鉄心が回転子に備えられる永久磁石型モータ。
  16. 請求項1に記載の希土類ボンド磁石の製造方法において、
    熱処理温度が温間圧延の加工温度よりも高い温度であることを特徴とするシートからフィルムに至る希土類ボンド磁石の製造方法。
  17. 請求項2に記載の希土類ボンド磁石の製造方法において、
    熱処理温度が温間スタンピングの加工温度よりも高い温度であることを特徴とするシートからフィルムに至る希土類ボンド磁石の製造方法。
  18. 請求項1から請求項2のいずれかに記載の希土類ボンド磁石の製造方法において、
    熱処理温度が永久磁石型モータの耐久温度よりも高い温度であることを特徴とするシートからフィルムに至る希土類ボンド磁石の製造方法。
  19. 請求項1から請求項2のいずれかに記載の希土類ボンド磁石の製造方法において、
    希土類磁石粉末の一部又は全部が、スピニングカップアトマイゼーションによって準備された磁気的に等方性のNd2Fe14B系球状粉末であることを特徴とするシートからフィルムに至る希土類ボンド磁石の製造方法。
  20. 請求項1から請求項2のいずれかに記載の希土類ボンド磁石の製造方法において、
    希土類磁石粉末の一部又は全部が、HDDR処理(水素分解/再結合)によって準備された磁気的に異方性のNd2Fe14B系粉末であることを特徴とするシートからフィルムに至る希土類ボンド磁石の製造方法。
  21. 請求項16又は請求項17のいずれかに記載のシートからフィルムに至る希土類ボンド磁石の製造方法において、
    希土類磁石粉末の一部又は全部が、HDDR処理(水素分解/再結合)によって準備された磁気的に異方性のNd2Fe14B系粉末の表面を予め不活性化処理されたものであることを特徴とするシートからフィルムに至る希土類ボンド磁石の製造方法。
  22. 請求項1から請求項2のいずれかに記載の希土類ボンド磁石の製造方法において、
    希土類磁石粉末の一部又は全部が、RD(酸化還元)処理によって準備された磁気的に異方性のRD−Sm2Fe17N3系微粉末の表面を予め不活性化処理されたものであることを特徴とするシートからフィルムに至る希土類ボンド磁石の製造方法。
  23. 請求項1から請求項2のいずれかに記載の希土類ボンド磁石の製造方法において、
    希土類磁石粉末が、異方性HDDR−Nd2Fe14B系磁石粉末および異方性RD−Sm2Fe17N3系微粉末、又は異方性HDDR−Nd2Fe14B系磁石粉末もしくは異方性RD−Sm2Fe17N3系微粉末と、スピニングカップアトマイゼーションによって準備された磁気的に等方性のNd2Fe14B系球状粉末との混合系であることを特徴とするシートからフィルムに至る希土類ボンド磁石の製造方法。
  24. 請求項20記載のシートからフィルムに至る希土類ボンド磁石の製造方法において、
    4MA/mのパルス磁界で磁化した室温での最大エネルギー積(BH)maxが80kJ/m3以上に調整されることを特徴とするシートからフィルムに至る希土類ボンド磁石の製造方法。
  25. 請求項1から請求項2のいずれかに記載の希土類ボンド磁石の製造方法において、
    希土類磁石粉末の含有量が92wt%から98wt%の範囲であることを特徴とするシートからフィルムに至る希土類ボンド磁石の製造方法。
  26. 請求項1から請求項2のいずれかに記載の希土類ボンド磁石の製造方法において、
    非磁性異種材質からなる表面層を形成せずに希土類ボンド磁石の生地がその表面に露出していることを特徴とするシートからフィルムに至る希土類ボンド磁石の製造方法。
  27. 請求項23記載のシートからフィルムに至る希土類ボンド磁石の製造方法において、
    希土類ボンド磁石の厚さが1mmから0.2mmであることを特徴とするシートからフィルムに至る希土類ボンド磁石の製造方法。
  28. 請求項16から請求項27のいずれかに記載のシートからフィルムに至る希土類ボンド磁石の製造方法により作製される希土類ボンド磁石を有する永久磁石モータ。
  29. 請求項6から請求項15、請求項28のいずれかに記載の永久磁石モータを有する移動体通信携帯機器。
  30. 請求項6から請求項15、請求項28のいずれかに記載の永久磁石モータを有する情報機器。
  31. 請求項6から請求項15、請求項28のいずれかに記載の永久磁石モータを有する家電機器。
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