JP3875781B2 - 化粧用あぶら取り紙及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、皮脂の吸収に応じて鋭敏に透明性が発現するとともに、皮脂の吸液性が早い特性に優れた化粧用あぶら取り紙及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
人間の顔面、特に鼻、頬、額、眉毛間等は皮脂の分泌が盛んで油っぽくなり易く、従って、その部分では化粧崩れを起こし易い。一般に皮脂が浮いたまま化粧をすると、皮膚に化粧料が馴染まないため、顔面の皮脂分を化粧用脂取り紙にて取り除いてから化粧し、効果を上げている。これは化粧直しの場合も同様である。従来の化粧用脂取り紙は古くから箔打紙が使われており、名塩紙が有名である。この紙は、西宮市名塩産で、三椏、楮、雁皮に特殊な泥、例えば、金箔打ちには東久保土と呼ぶ白色のもの、銀箔打ちには蛇豆土という茶褐色のものを混入して漉いた紙である。
【0003】
又、箔打紙は箔打ちを15回ほど使用すると、箔を打ちを延ばす働きがなくなり、これを女性の脂取り化粧紙として用いられている。
上記の名塩産の紙(名塩紙)は箔打ち後は、密度が高く、これを脂取り化粧紙として用いると、顔面の皮脂分が除かれ、風呂に浴したようになるので、またの名を風呂屋紙として早くから用いられてきた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来の箔打ちのみで製造した場合の密度、平滑度、不透明度、表面粗さを測定した結果を下記の表1に示す。なお、このときの箔打ち紙の抄造時の製造原料等の諸条件は、後記する実施例2の製造時のものと、スーパーキャレンダー処理を行なわない点を除いて同じである。
(以下、余白)
【0005】
【表1】
なお、特性/条件の欄において、「(A1)生原紙」は、箔打ちを行なっていない場合、すなわち、抄紙しただけのものをいう。又、「(B)1/10」、「(C)1/4 」、「(D)1/2 」、「(E)3/4 」、「(F)1 」、「(G)2 」、「(H)3 」の中の数字は、下記の箔打ちの条件中の「箔打ち時間」にその数字を倍数にした時間で箔打ちを行なった場合のものを示している。又、平滑度の欄で、A面とは、紙の2面の内、面がツルツルの方をいい、B面とは、ザラザラの方をいう。
【0006】
(箔打ちの条件)
紙のサイズ:約21cm角、箔打ち機:ベルトハンマー機、槌の重量:16kg、受け台:石又は鉄、打撃速度:約500回/分、箔打ち時間:105秒
上記の条件で、上記の紙をサイズのものを300〜350枚を重ねた状態で箔打ちを行なう。
【0007】
上記の測定結果から、箔打ち時間を延長した場合、ある程度までで密度が変化しないことが確認できた。そして、箔打ち時間を従来条件(現行条件:105秒)の3倍に変更すると、衝撃の強さにより、和紙が破けてしまい、密度を0.80g/cm3 以上だすことが不可能であることがわかった。
【0008】
化粧用あぶら取り紙は、高密度でかつ、平滑度が低く、表面積が多く(表面が粗い)、不透明度が低いものほど皮脂を取れやすくする機能が高まる。
しかし、従来の箔打ちのみで形成した化粧用あぶら取り紙では、高密度にするには限界があることがわかった。
【0009】
一方、高密度にするには、スーパーキャレンダー、熱キャレンダー又は高圧プレス等の高圧処理で行なうことが考えられる。
ところが、高圧処理を行なうと、紙面の平滑度が高すぎて、皮脂の取れ方が悪くなる問題がある。
【0010】
この発明は、単に箔打ちを行なって形成した化粧用あぶら取り紙よりも、使用後の透明性が高い特性が得られ、しかも平滑度を高圧処理で行なった場合よりも低くでき、かつ密度は箔打ち処理のみを行なった場合よりも大きくなるため、皮脂の取れ方を良くすることができる化粧用あぶら取り紙及びその製造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、この請求項1の発明においては、植物繊維を主成分とする原料からなり、高圧処理された後に、箔打ちされたことを特徴とする化粧用あぶら取り紙を要旨とするものである。
【0012】
なお、この明細書でいう「箔打ち」とは、金属箔を打ち延ばす目的の有無に関係無しに、紙面を打撃することをいう。
この発明での植物繊維は、マニラ麻(アバカ)、亜麻、黄麻、サイザル麻、ケナフ、雁皮、楮、バナナ繊維、或は三椏からなる靱皮繊維又は木材パルプから選ばれた少なくとも一種をいい、主成分とは、前記植物繊維を50重量部%以上を含むことをいう。
【0013】
抄紙された紙は、高圧処理されていると、紙密度の高いものとなる。紙密度が高いと高吸油し、使用後に透明性が上がる利点がある。一方、高圧処理は平滑度が上がり過ぎるため、高圧処理の後に、箔打ちが行われていると、紙面の平滑度が下がる。紙面の平滑性は高くなり過ぎると、表面積が非常に小さくなるため皮脂の取れ方が悪くなるが、平滑度が下がると、皮脂の取れ方は良好となる。
【0016】
請求項2の発明は、請求項1において、高圧処理は、スーパーキャレンダー、熱キャレンダー又は高圧プレスが用いられてなる化粧用あぶら取り紙を要旨とするものである。
【0017】
高圧処理として、スーパーキャレンダー、熱キャレンダー又は高圧プレスを使用することにより、高密度の紙が得られる。
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2において、紙密度が0.8〜1.2g/cm3である化粧用あぶら取り紙を要旨とするものである。
【0018】
紙密度が、0.8〜1.2g/cm3 の範囲であると、高吸油し、更に使用後非常に透明性が上がる。紙密度が0.8g/cm3 未満の場合は、使用後の透明性が悪くなり、1.2g/cm3 を越えると、生産が困難となるため好ましくない。
【0019】
請求項4の発明は、請求項1乃至請求項3のうちいずれか1項において、植物繊維を主成分とする原料100重量部に対して無機質填料0.5〜40重量部%を含むことを特徴とする化粧用あぶら取り紙を要旨とするものである。
【0020】
無機質填料とは、クレー、タルク、カオリン、炭酸カルシウム、酸化チタン、あるいはホワイトカーボン等の填料をいい、この填料が混在することにより、高吸油(吸液)し、更に使用後透明性が上がるものをいう。
【0021】
無機質填料0.5%未満では、高吸油性(高吸液性)が悪くなる。又、40重量部%を越えると、強度が弱く、耐久性が悪化、すなわち、使用時に破けを生じ易くなる。
【0022】
請求項5の発明は、請求項1乃至請求項4のうちいずれか1項において、紙の片面又は両面に凹凸層を設けたあぶら取り紙を要旨とするものである。
凹凸層がない脂取り紙の場合、紙の厚さ方向のみで吸油するため、紙の厚さにより吸油量が制限される。
【0023】
又、使用時の肌触り・強度(使用時破けにくい)・使い易さより、紙の坪量は15〜25g/m2 の範囲であり、使用時の吸油量には制限があり、特に顔面等の皮脂の多い場合一枚のみの使用では十分に取れないため、2〜3枚使用する場合も生ずる。紙の片面又は両面に凹凸層がある場合には、その凹部に皮脂が吸収され、凹凸層面の表層部並びに紙の厚さ方向にて吸油され高い吸油量が得られるため、特に顔面等の皮脂の多い場合一枚のみの使用でも十分な効果が得られる。さらに、凹凸層を設けると、さらに風合いが柔らかくなり、肌になじみやすい。
【0024】
前記凹凸層は、抄紙の段階で抄紙機のシリンダーワイヤー上に金網又はプラスチックワイヤー又はシリンダーワイヤー上に部分的に目止めを行い、一層又は二層から形成される。
【0025】
線径0.1mmから1 .0mmの範囲で、かつ5メッシュ〜40メッシュの範囲の抄網を使用すると、凹凸層による吸油量及び紙層形成の点で好ましい。0.1mm未満の線径では、吸油量が増加しないため好ましくなく、1.0mmを越すと、紙層形成及び強度の点でよくない。又、5メッシュ未満では、吸油量(吸液量)の点で好ましくなく、40メッシュを越えると、凹凸層が形成しにくく好ましくない。
【0026】
請求項6の発明は、植物繊維を主成分とする原料を抄紙機にて抄紙し、その後、高圧処理し後に、箔打ちすることを特徴とする化粧用あぶら取り紙の製造方法を要旨とするものである。
【0028】
請求項7の発明は、請求項6において、高圧処理は、スーパーキャレンダー、熱キャレンダー又は高圧プレスを用いることを特徴とする化粧用あぶら取り紙の製造方法を要旨とするものである。
【0029】
以下に、製造方法の一例を挙げるが、これに限定されるものではない。
(製造方法)
原料は、マニラ麻(アバカ)、亜麻、黄麻、サイザル麻、ケナフ、雁皮、楮、バナナ繊維あるいは三椏から成る靭皮繊維又は木材パルプから選ばれた少なくとも一種を50重量部%以上を用いることが望ましい。50重量部%を下回ると、強度が弱く使用時に破けを生じ易くて好ましくない。
【0030】
ビー夕ー等の叩解機にて所定の叩解度に調成し、更にタルク等の無機質填料を植物繊維等の原料100重量部に対して0.5〜40重量部%混合して均一分散する。そして、そのまま抄紙すると、繊維への填料定着が悪く、排水の問題並びに工程の汚れが発生するため、その後定着剤としてファイレックスRC104及びファイレックスM(ともに、明成化学工業株式会社製)等を用い、繊維への定着性を向上する。その後、丸網抄紙機、短網抄紙機、長網抄紙機等の抄き網で、一層のものを抄紙する。
【0031】
更に二層の場合は抄き漕を2本として一層と同様、表層と裏層に形成する。
又、二層抄き合わせの場合は第一抄き漕は金網60〜120メッシュを使用して凹凸層のない層(平滑層)を形成し、更に第二抄き漕も金網60〜120メッシュを使用して凹凸層のない層(平滑層)を形成し坪量15〜25g/m2 の紙を抄造する。
【0032】
坪量15g/m2 未満の場合、紙の強度がなく、使用時に破けを生じ易く、又、25g/m2 を越えると柔軟性がなくなり、使用時肌との馴染みが悪く違和感があり、さらには、使用時の透明性にもかけるため25g/m2 以下が好ましい。
【0033】
なお、一層であって、凹凸層としたい場合には、丸網抄紙機、短網抄紙機、長網抄紙機等の抄き網であって、線径0.1〜1 .0mmで5〜40メッシュのものを使用して網目模様にて一層の凹凸紙を形成する、又は抄き網に部分的に金網の目を詰めることによりその部分は原料が乗らず一層の凹凸紙を形成できる。
【0034】
更に二層の場合は抄き漕を2本として一層と同様、図1(a)に示すように表層と裏層に凹凸層20を形成する。
又、二層抄き合わせの場合は第一抄き漕は金網60〜120メッシュを使用して凹凸層のない層(平滑層)22を形成し、更に第二抄き漕は線径0.1〜1 .0mmで5〜40メッシュを使用又は部分的に金網の目を詰めることにより凹凸層21を形成し、坪量15〜25g/m2 の紙を抄造する(図1(b)を参照)。
【0035】
なお、使用される無機質填料はクレー、タルク、カオリン、炭酸カルシウム、酸化チタンあるいはホワイトカーボンの中から選ばれたものが使用できるが、皮脂の吸油量を多くするには、マイクロタルクを使用し平均粒子径2.5μ以下で表面積13.0 BETm2 /g以上のものが望ましい。
【0036】
使用後の透明性を上げるには密度を0.8〜1.2g/cm3と高密度化する必要があり、所定の寸法にした後、スーパーキャレンダー、熱キャレンダー又は高圧プレス等の高圧処理を行なう。そして、高圧処理によって、平滑性(平滑度)が高すぎたのを抑えるために、箔打ち工程で数百回〜数千回の処理を行う。
また、高圧処理は、水分量16〜21%が含浸された状態の紙に対して行う。22%以上の水分量であると、高圧処理を行なったとき、紙が完全に乾燥できず、高圧処理後、たるみ並びに皺等のトラブルが発生しやすくなる。又、16%未満の水分量の場合、高密度とすることができなくなる。
【0037】
【実施例】
以下、実施例について説明する。
(実施例1)
実施例1では、下記の紙料、無機填料、及び定着剤を使用した。
【0038】
すなわち、マニラ麻をビーターにて所定の叩解度に調成し、マイクロタルクを20.0重量部を混合して均一分散とした。そして、その後、定着剤としてファイレックスRC−104及びファイレックスM(ともに、明成化学工業株式会社製)を用いて、繊維へ定着させ、その後、丸網抄紙機にて、1本バットにて坪量22g/m2 で平滑紙を抄紙した。
【0039】
次工程において、水分量(割合)が14%,16%,18%,21%のものをスーパーキャレンダーにて高圧処理を行なった。その結果を表2に示す。
又、併せて比較対象のために従来品として、「(A2)生原紙」及び「(N)」のものを表2に示す。
【0040】
【表2】
なお、特性/条件の欄において、「(I)14% 」、「(J)16% 」、「(K) 18%」、「(L)21% 」の中の数字は、水分量を表す。
(条件)
高圧処理方法:スーパーキャレンダー
スーパーキャレンダー条件:14段での13ニップ
線圧力:300kg/cm、温度:80℃
スピード:200m/分
上記表2中、「(A2)生原紙」とは、高圧処理、箔打ち処理のいずれの処理も行なっていないものである。又、「(N)」は、スーパーキャレンダー(高圧処理)の代わりに、表1の「(F)」と同様の箔打ち条件で箔打ち処理のみ行なったものである(なお、従来条件のものの水分量は7±0.5%である。)
以上のことから、スーパーキャレンダーのみで高圧処理した場合には、密度は、箔打ち品よりも高くすることができる。一方、スーパーキャレンダーのみ((I)〜(L))では、箔打ち品(F)と異なり、平滑度を100以下にすることは困難である。
【0041】
なお、水分量が22%以上の場合には、紙が完全に乾燥できず、高圧処理後、たるみ並びに皺等のトラブルが発生しやすくなった。又、水分量14%では、0.80g/cm3 以上の密度を得ることができないことがわかった。従って、高圧処理時の抄紙の水分量は、16%〜21%であることが望ましいことが分かった。
【0042】
次に、前記水分量18%のものを上記のようにスーパーキャレンダーで高圧処理を行なった後に、箔打ち処理を行なった。このときの、箔打ち処理条件は、前記従来の箔打ちの条件(従来条件)と同じである。
【0043】
スーパーキャレンダーによる高圧処理、及び箔打ち処理を行なったもの(実施例品)と、「(A2)生原紙」、「箔打ち品」(N)の、密度、平滑度、不透明度、表面粗さを表3に示す。
(以下、 余白)
【0044】
【表3】
上記のことから、実施例1の品では、スーパーキャレンダーにて高圧処理を行なった後、箔打ち処理を行なったために、箔打ち品(従来品である(N))に比較して、0.9g/cm3 以上の高密度とすることができた。又、平滑度(A面B面の平均平滑度)は、スーパーキャレンダー処理後の紙(K)の平滑度が1739(秒)と高くなっていたものが、箔打ち後の実施例1では96(秒)と1/10以下に低くなることが確認できた。
【0045】
この結果、実施例1の品では、平均表面粗さが2.80μmと非常に大きくなったため、非常に皮脂の吸油性がよくなり、又、取り除いた皮脂により、あぶら取り紙の透明性が高くなったことが確認できた。
【0046】
なお、スーパーキャレンダーのみで形成した化粧用あぶら取り紙(K)の場合には、平滑性(度)が高すぎるのに加えて、又、平均表面粗さが1.65μmと非常に小さいため、皮脂の取れ方が悪くなった。
【0047】
又、箔打ち品(N)では、密度は0.8g/cm3 以上のものが得られなかった。(実施例2)
次に、実施例2では、下記の紙料、無機填料、及び定着剤を使用した。
【0048】
すなわち、マニラ麻(アバカ)をビーターにて所定の叩解度に調成し、マイクロタルクを20.0重量部を混合して均一分散とした。そして、その後、定着剤としてファイレックスRC−104及びファイレックスM(ともに、明成化学工業株式会社製)を用いて、繊維へ定着させ、その後、丸網抄紙機にて、抄造した。
【0049】
丸網抄紙機の抄き網は線径0.2mmで16メッシュのものを使用し、1本バットにて坪量22g/m2 で片面側に凹凸層を抄紙した。
次工程において、実施例1と同条件下でスーパーキャレンダーにて高圧処理を行い、その後、下記の箔打ち条件を基本に、箔打ち時間を変えて箔打ちを行なった。
【0050】
(箔打ちの条件)
紙のサイズ:約21cm角、箔打ち機:ベルトハンマー機、槌の重量:16kg、受け台:石又は鉄、打撃速度:約500回/分、箔打ち時間:105秒
上記の条件で、上記の紙をサイズのものを300〜350枚を重ねた状態で箔打ちを行なう。
【0051】
その場合の密度、平滑度、不透明度、表面粗さを測定した結果、及び生原紙(A1)、スーパーキャレンダー加工紙(M)を下記の表4に示す。
(以下、余白)
【0052】
【表4】
なお、特性/条件の欄において、「(A1)生原紙」は、スーパーキャレンダー加工及び箔打ちを行なっていない場合、すなわち、抄紙しただけのものをいい、表1に記載したものと同じものである。スーパーキャレンダー加工紙(M)は、上記の方法で抄造して、スーパーキャレンダー加工は行うが、箔打ちは行なっていないものである。
【0053】
又、「(a)1/10」、「(b)1/4 」、「(c)1/2 」、「(d)3/4 」、「(e)1 」、「(f)2 」、「(g)3 」の中の数字は、上記の箔打ちの条件中の「箔打ち時間」にその数字を倍数にした時間で箔打ちを行なった場合のものを示している。
【0054】
そして、上記表4のものと、表1のものを図2乃至図6にて示す。図2は密度と箔打ち時間との関係を示す特性図、図3は不透明度と箔打ち時間との関係示す特性図、図4はA面における平滑度と箔打ち時間との関係を示す特性図、図5はB面における平滑度と箔打ち時間との関係を示す特性図である。
【0055】
図2のことから、箔打ち時間が従来よりも長い時間(2倍、或いは3倍)であっても、密度が0.9g/cm3 以上のものを得ることができることが理解できる。すなわち、生原紙、或いは箔打ちのみの(A1)〜(H)の比較例よりも(a)〜(g)の方が密度が高いものが得られる。
【0056】
図3においては、縦軸は不透明度(%)を表しているため、低い方が透明度が高いものとなる、このことから、透明度は、実施例2の(a)〜(g)の方が生原紙、或いは箔打ちのみの(A1)〜(H)の比較例よりも高いものが得られる。
【0057】
図4及び図5は、それぞれA面及びB面の平滑度を表している。このことから、スーパーキャレンダー加工後、箔打ちを行なうと、比較的少ない箔打ち時間(1/10の(a)等)であっても、急激に平滑性を失うことが理解できる。又、スーパーキャレンダー加工後、比較的長い時間箔打ちを行なっても平滑度は、ある程度のレベルまでは下がるが、箔打ちだけを行なったものよりは、その平滑度が高いことが理解できる。
【0058】
そして、図6に示すように、平均表面粗さ(A面における)は、スーパーキャレンダー加工を行なわない比較例に比較して、その平均表面粗さは小さいものの、スーパーキャレンダー加工後、箔打ち時間を長くする((f)の場合)と、比較例のものの平均表面粗さに近くなることが理解できる。
【0059】
このように、実施例2では、スーパーキャレンダー加工を行なった後、箔打ちを行なうと、平均表面粗さが、箔打ちのみを行なった場合に近くなるとともに、密度は、明らかに、比較例よりも大きなものとすることができる。
【0060】
この結果、実施例2の品では、平均表面粗さが1.9〜2.7μmと大きくなり、かつ密度が箔打ちのみの処理を行なった場合よりも大きくなったため、皮脂の吸油性がよくなり、又、取り除いた皮脂により、あぶら取り紙の透明性が高くなったことが確認できた。特に、スーパーキャレンダー加工後、箔打ち時間を長くした方がより良い結果が得られた。すなわち、(a)のものよりも(b)のものの方が、(b)よりも(c)のものの方が、というように箔打ち時間が長くなると、より良好な皮脂吸収効果が得られることが分かった。なお、(f)と(g)のものとでは、(f)のものの方が皮脂の吸収性は良い傾向を示すが、(g)は(e)と平均表面粗さがそれほど大きな変わりがないため、その皮脂吸収性は、(e)と同じ程度であった。
【0061】
なお、この発明は、前記実施例に限定されるものではなく、この発明から逸脱しない範囲で任意に変更可能である。
【0062】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1の発明は、単に箔打ちを行なって形成した化粧用あぶら取り紙よりも、使用後の透明性が高い特性が得られ、しかも平滑度を高圧処理で行なった場合よりも低くでき、かつ密度は箔打ち処理のみを行なった場合よりも大きくなるため、皮脂の取れ方を良くすることができる。
【0064】
請求項2の発明は、スーパーキャレンダー、熱キャレンダー又は高圧プレスを使用することにより、高密度の紙とすることができる。
請求項3の発明によれば、高吸液の化粧用あぶら取り紙となり、更に使用後非常に透明性を上げることができ、しかも、生産をしやすくすることができる。
【0065】
請求項4の発明によれば、無機質填料が混在することにより、高吸油し、更に使用後透明性を上げることができる。
請求項5の発明によれば、凹凸層があるため、吸油量を多くすることができる。又、凹凸層が設けられているため、さらに風合いが柔らかくなり、肌になじみやすくすることができる。
【0066】
請求項6の発明によれば、請求項1の化粧用あぶら取り紙を効率良く得ることができる。
【0067】
請求項7の発明によれば、請求項2の化粧用あぶら取り紙を効率良く得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は両面に凹凸層を設けた化粧用脂取り上の断面図、(b)は片面に凹凸層を設けた化粧用脂取り紙の断面図。
【図2】密度と箔打ち時間との関係を示す特性図。
【図3】不透明度と箔打ち時間との関係示す特性図。
【図4】A面における平滑度と箔打ち時間との関係を示す特性図。
【図5】B面における平滑度と箔打ち時間との関係を示す特性図。
【図6】平均表面粗さ(CD方向)と箔打ち時間との関係を示す特性図。
【符号の説明】
20…凹凸層、21…凹凸層、22…平滑層。
Claims (7)
- 植物繊維を主成分とする原料からなり、高圧処理された後に、箔打ちされたことを特徴とする化粧用あぶら取り紙。
- 前記高圧処理は、スーパーキャレンダー、熱キャレンダー又は高圧プレスが用いられてなる請求項1に記載の化粧用あぶら取り紙。
- 紙密度が0.8〜1.2g/cm3である請求項1又は請求項2に記載の化粧用あぶら取り紙。
- 植物繊維を主成分とする原料100重量部に対して無機質填料0.5〜40重量部%を含むことを特徴とする請求項1乃至請求項3のうちいずれか1項に記載の化粧用あぶら取り紙。
- 紙の片面又は両面に凹凸層を設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項4のうちいずれか1項に記載の化粧用あぶら取り紙。
- 植物繊維を主成分とする原料を抄紙機にて抄紙し、その後、高圧処理し、後に、箔打ちすることを特徴とする化粧用あぶら取り紙の製造方法。
- 前記高圧処理は、スーパーキャレンダー、熱キャレンダー又は高圧プレスを用いることを特徴とする請求項6に記載の化粧用あぶら取り紙の製造方法。
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