JP3856363B2 - 軸受の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、精密機器に内蔵されるスピンドルモータの駆動軸等、比較的高速で回転する軸を高精度で支持する場合に用いて好適な軸受の製造方法に関する。本発明は、素材を圧縮することにより塑性変形を生じさせて所望形状の軸受を得る技術であって、素材としては、主に、圧粉体を焼結させた焼結体あるいは焼結体にサイジング(再圧縮)を施してなる円筒状の多孔質体が用いられる。また、本発明によって製造された軸受は、潤滑油が含浸され、焼結含油軸受として好適に用いられる。
【0002】
【従来の技術】
上記焼結含油軸受は、焼結体に含浸された潤滑油が内径面にしみ出し、内径面と回転軸との間に油膜が形成されることにより、摩擦抵抗が低減して騒音や振動が抑えられるといった特性を有する。また、振動や騒音の抑制効果をさらに高めた焼結含油軸受として、軸方向中央部の内径面に、内径が回転軸の外径より僅かに大きく回転軸と接触しない隙間(以下、中逃げ部と称する)を形成し、回転軸の軸支面を両端部の内径面に限定した2点支持構造として摩擦抵抗の低減効果と回転軸の支持力をより安定化させたものがある。
【0003】
焼結含油軸受は、通常、原料の金属粉末を圧縮成形して得た円筒状の圧粉体を焼結し、焼結体をサイジングして最終形状に仕上げるといった工程を主体として製造されている。ところで、上記中逃げ部を有する軸受を製造する場合、その中逃げ部を焼結体への機械加工で形成すると、内径面に表出している気孔が潰れて潤滑油の循環作用に支障を来すことになる。このため、焼結体のサイジング工程で中逃げ部を同時に形成するか、もしくはサイジング後にもう1度焼結体を圧縮して中逃げ部を独自に形成する方法が好ましい。いずれの場合も、軸方向両端部の内径面が径方向内側に突出したり、軸方向中央部が径方向外側に膨出したりする塑性変形を、素材である焼結体に生じさせることにより、離間する2つの軸支面とこれらの間の中逃げ部が内径面に同時に形成される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記2点支持構造の軸受においては、前述した摩擦抵抗の低減や回転軸の支持力向上といった軸受性能を高める上で、離間する2つの軸支面の内径および同軸度が高い精度で一致していることが要求される。また、軸支面への潤滑油の供給量が十分になされることも重要である。ところが、従来より焼結体の塑性変形のさせ方は様々提案されているものの、比較的簡素で、軸受性能向上のための要求が十分満たされる一定の製造方法は見い出されていないのが現状であった。
【0005】
したがって本発明は、軸方向中央部の内径面に回転軸が接触しない中逃げ部を有し、なおかつその中逃げ部の中逃げ量が比較的大きく、軸方向両端部の内径面が回転軸を支持する軸支面として機能する2点支持構造の軸受を、比較的簡素な方法で効率よく製造することができるとともに、その軸受性能(2つの軸支面の内径の同一性や同軸度に伴う回転軸の支持力、潤滑性、耐摩耗性等)の向上も達成し得る軸受の製造方法を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、円筒状で、軸方向一端部に内径小径部を有するとともに外径均一または外径面の一部に外径大径部を備え、かつ、前記内径小径部の内径がコアロッドの外径よりも大きい形状である焼結された多孔質体からなる素材を、前記コアロッドを挿入させた状態で軸方向に圧縮することにより、前記素材の前記内径小径部を有する軸方向一端部とは反対側の端部の外径を縮小させるとともに中央部および前記内径小径部を有する軸方向一端部の外径を拡大させ、この変形に伴い、両端部内径面を前記コアロッドに圧接させて回転軸を支持する軸支面に形成するとともに、中央部内径面に中逃げ部を形成することを特徴としている。本発明に係る素材は、前述の如く焼結体あるいは焼結体にサイジングを施してなる多孔質体が用いられ、製造後は、潤滑油が含浸され、焼結含油軸受として好適に用いられる。
【0007】
本発明では、例えば、外径均一の円筒状素材を、ダイに形成された円筒状成形孔に、コアロッドを挿入した状態を保持しながら、パンチにより圧入するとともに軸方向に圧縮するといった成形方法が採られる。その場合、素材の内径は、内径面とコアロッドとの間に隙間が形成される大きさに設定する。また、成形孔を、入口側および中央部が素材の外径よりも大きく、そこから奥が段部を経て素材の外径よりも小さく縮径された孔とする。
【0008】
このような成形孔に素材が圧入されると、圧入方向先端側の一端部が成形孔の縮径部に圧入されて外径面が内径側に圧縮され、外径が縮小した絞り部が造形される。一方、中央部と、これに続く圧入方向後端側の他端部は、軸方向に圧縮されることにより、その外径面が成形孔の内径面に圧接するまで膨出し、外径が拡大する。また、素材が軸方向に圧縮されることにより、軸方向両端部の内径面が内径側に膨出してコアロッドに圧接し、軸支面に形成されるとともに、これら軸支面間の内径面は、コアロッドとの間の隙間が残存して中逃げ部とされる。本発明は、このような変形態様が適宜になされる素材と成形型の組み合わせを採ることにより、中逃げ量が比較的大きな中逃げ部を有する2点支持構造の軸受を、比較的簡素な方法で効率よく製造することができる。
【0009】
本発明によれば、回転軸を支持する軸支面は、素材の内径面がコアロッドに強く圧接させられることにより形成されるので、その内径および同軸度が高い精度で一致する。また、軸支面の密度を高くすることができるので、耐摩耗性の向上が図られる。一方、中逃げ部が形成される内径面の密度を軸支面よりも低くすることができ、また、中逃げ部の直径を比較的大きく形成することができるので、潤滑油の含有量を多くすることができ、潤滑性の向上が図られる。これらの結果、高レベルの軸受性能を有する軸受を製造することができる。
【0010】
本発明の素材としては、特に次に挙げる形状のものが用いられる。
▲1▼外径均一、かつ、軸方向一端部に内径小径部を有する。
▲2▼軸方向一端部に内径小径部を有し、かつ、他端部に外径大径部を有する。
【0011】
また、本発明では、素材の軸方向両端部の内径面が圧接させられるコアロッドの外径面に、動圧溝形成用の凸部または凹部が形成されていることを特徴としている。これによると、前者の凸部の場合では、軸支面には凸部形状に応じた動圧溝が形成される。また、後者の凹部の場合では、凹部形状に応じて刻設された軸支面と軸支面間の動圧溝とが同時に形成される。軸支面に動圧溝を形成すると、両端部の各軸支面により回転軸を支持する2点支持構造に加え、動圧溝に発生する動圧効果(動圧溝に流入する潤滑油の高圧化に伴う剛性向上)によって回転軸の支持力が相乗的に高まり、回転軸の支持力がより安定する。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
(1)第1実施形態−図1
図1(a)の符合1Aは、焼結体もしくは焼結体にサイジングを施してなる素材である。なお、後に説明する全ての実施形態の素材の材質も、同様の焼結体であることを予め述べておく。素材1Aは、外径均一で、軸方向一端部に内径小径部3が形成された円筒状のものである。
【0013】
図1に示す成形装置は、成形孔20を有するダイ21と、コアロッド22と、上下のパンチ23,24とを備えている。成形孔20は奥部の内径が1段階縮径しており、入口側(上側)の主部20aと、奥部の絞り形成部20bとから構成されている。主部20aから絞り形成部20bへの移行部は、なだらかなテーパ状に形成されている。上パンチ23は開口部20cに挿入され、下パンチ24は絞り形成部20bに挿入されるようになされている。
【0014】
素材1Aの外径は、外径面と成形孔20の主部20aの内径面との間に隙間が形成される大きさであって、かつ、絞り形成部20bの内径よりも大きく設定されている。また、内径小径部3の内径は、その内径面とコアロッド22との間に隙間が形成される大きさに設定されている。この隙間は、微小であることが望ましい。
【0015】
上記成形装置により素材1Aを圧縮成形するには、図1(a)に示すように、まず、下パンチ24を成形孔20の絞り形成部20bの途中まで挿入して保持し、下パンチ24に挿入したコアロッド22の上端をダイ21の上面と同レベルになる位置に保持して、成形孔20にキャビティを形成する。次いで、内径小径部3を上にして素材1Aをコアロッド22に嵌め込み、キャビティ内に挿入する。この状態から、図1(b)に示すように上パンチ23を降下させ、上パンチ23によって素材1Aをキャビティ内に圧入するとともに、軸方向に圧縮する。
【0016】
この操作により、素材1Aの下端部が成形孔20の絞り形成部20bに圧入してその外径面が内径側に圧縮され、外径が縮小して絞り部11が造形される。また、素材1Aの軸方向中央部と上端部は、軸方向に圧縮されることにより、その外径面が成形孔20の主部20aの内径面に圧接するまで外径側に膨出し、外径が拡大する。一方、素材1Aの軸方向両端部の内径面は、圧縮作用により内径側に膨出し、コアロッド22に圧接して軸支面12に形成される。さらに、これら軸支面12間の内径面においては、コアロッド22との間の隙間が残存し、中逃げ部13とされる。このようにして素材1Aが塑性変形させられ、軸受10Aが成形される。軸受10Aは、上パンチ23を上昇させ、次いで下パンチ24を上昇させることにより脱型される。
【0017】
上記第1実施形態によれば、素材1Aをダイ21の成形孔20に圧入するとともに軸方向に圧縮するといった簡素な方法により、中逃げ量が比較的大きな中逃げ部13を有する2点支持構造の軸受10Aを効率よく製造することができる。
【0018】
軸受10Aの軸支面12は、素材1Aの内径面をコアロッド22に強く圧接させることにより形成されるので、その内径および同軸度が高い精度で一致し、加えて高密度化する故、耐摩耗性に優れる。一方、中逃げ部13はコアロッド22に圧接しないことから軸支面12よりも密度は低く、このため潤滑油の含有量を多くすることができ、潤滑性が向上する。これらの結果、軸受10Aは優れた軸受性能を発揮する。また、両端部の内径側への圧縮度がほぼ等しいことから、両端部の軸支面12の気孔率が均等化され、このため、両端部の軸支面12に生じる油圧も均等となって回転軸をバランスよく支持することができる。
【0019】
(2)第2実施形態−図2
次に、上記第1実施形態と同様の成形装置を用いて、第1実施形態とは形状の異なる素材から軸受を製造する第2実施形態を説明する。図2(a)の符合1Bで示す第2実施形態の素材は、軸方向一端部に外径大径部2が、また、他端部に内径小径部3が形成された円筒状のものである。外径大径部2の外径は、成形孔20の絞り形成部20bの内径よりも大きく、かつ、主部20aの内径面との間に隙間が形成される大きさに設定されている。また、外径大径部2以外の外径も絞り形成部20bの内径よりも大きく設定されている。また、内径小径部3の内径は、その内径面とコアロッド22との間に隙間が形成される大きさに設定されている。
【0020】
素材1Bを圧縮成形するには、図2(a)に示すように、内径小径部3を上にして素材1Bをコアロッド22に嵌め込み、成形孔20のキャビティ内に挿入する。この状態から、図2(b)に示すように、第1実施形態と同様に上パンチ23を降下させ、上パンチ23により素材1Bを成形孔20のキャビティに圧入するとともに、軸方向に圧縮する。素材1Bは、成形孔20の内径面に倣って第1実施形態と同様に塑性変形し、軸受10Bに成形される。この場合、外径大径部2は絞り形成部20bに圧入することにより消滅する。
【0021】
次に、フランジ付きの軸受を製造する第3、第4実施形態を説明する。
(3)第3実施形態−図3
図3(a)の符合1Cは、第3実施形態で用いる素材である。この素材1Cは、軸方向一端部に、第2実施形態の素材1Bが有する外径大径部2よりも大径のフランジ5(外径大径部)および内径小径部3が形成された円筒状のものである。なお、第2実施形態の外径大径部2は、圧縮成形後には圧縮されて消滅するものであったが、フランジ5は圧縮成形後も残存し、例えば、固定手段や位置決め手段として利用される。
【0022】
素材1Cを圧縮成形する成形装置は、図3に示すように、成形孔30を有するダイ31と、コアロッド22と、上下のパンチ33,34とを備えている。ダイ31の成形孔30は、入口側(上側)から奥部に向かって内径が2段階縮小する段状に形成されている。すなわち、成形孔30は、軸方向中央部の円筒状の主部30aと、主部30aよりも小径の奥部の絞り形成部30bと、主部30aよりも大径でフランジを成形する部分である入口側の開口部30cとから構成されている。開口部30cから主部30aへの移行部は水平な段部30dに形成され、主部30cから絞り形成部30bへの移行部はなだらかなテーパ状に形成されている。上パンチ33は成形孔30の開口部30cに挿入され、下パンチ34は絞り形成部30bに挿入されるようになされている。
【0023】
素材1Cのフランジ5の外径は、その外径面と成形孔30の開口部30cの内径面との間に隙間が形成される大きさに設定されている。また、フランジ5以外の外径は、その外径面と主部30aの内径面との間に隙間が形成される大きさであって、かつ、絞り形成部30bの内径よりも大きく設定されている。また、内径小径部3の内径は、その内径面とコアロッド22との間に隙間が形成される大きさに設定されている。
【0024】
上記成形装置により素材1Cを圧縮成形するには、まず、図3(a)に示すように、まず、下パンチ34を成形孔30の絞り形成部30bの途中まで挿入して保持し、下パンチ34に挿入したコアロッド22を上端がダイ31の上面より若干突出する位置に保持して、成形孔30にキャビティを形成する。次いで、フランジ5を上にして素材1Cをコアロッド22に嵌め込んでキャビティ内に挿入する。この状態から、図3(b)に示すように、上パンチ33を降下させ、上パンチ33により素材1Cを成形孔30のキャビティに圧入するとともに、軸方向に圧縮する。
【0025】
この操作により、素材1Cの下端部が成形孔30の絞り形成部30bに圧入して外径面が内径側に圧縮され、外径が縮小して絞り部11が造形される。また、軸方向に圧縮されることにより、軸方向中央部は、外径面が成形孔30の主部30aの内径面に圧接するまで外径側に膨出し、外径が拡大する。素材1Cの上端部であるフランジ5は、成形孔30の段部30dに拘束されて上パンチ33により軸方向に圧縮され、その外径面が開口部30cの内径面に圧接するまで外径側に膨出し、外径が拡大したフランジ5Aに形成される。
【0026】
一方、素材1Cの軸方向両端部の内径面は、圧縮作用により内径側に膨出し、コアロッド22に圧接して軸支面12に形成される。さらに、これら軸支面12間の内径面においては、コアロッド22との間の隙間が残存し、中逃げ部13とされる。このようにして素材1Cが塑性変形させられ、軸受10Cが成形される。軸受10Cは、上パンチ23を上昇させ、次いで下パンチ24を上昇させることにより脱型される。
【0027】
(4)第4実施形態−図4
上記第3実施形態は、軸方向一端部にフランジを備えた軸受の製造方法であったが、次の第4実施形態は、軸方向中央部にフランジを備えた軸受を成形する例である。
【0028】
図4に示す成形装置は、第3実施形態の成形装置と同様のダイ31、コアロッド22および下パンチ34と、上パンチ33に代わる上パンチ43とを備えている。この場合のダイ31は、素材1Dの形状に対応して、成形孔30の主部30aが第1実施形態の主部30aよりも短く設定されている。上パンチ43は、外側パンチ44と、外側パンチ44に挿入される内側パンチ45との組み合わせからなるものであり、外側パンチ44の内径は、ダイ31の成形孔30の主部30aの内径と同一に設定されている。
【0029】
図4(a)に示す第4実施形態の素材1Dは、軸方向中央部にフランジ5が形成され、一端部に内径小径部3が形成されたものである。フランジ5の外径は、その外径面と成形孔30の開口部30cの内径面との間に隙間が形成される大きさに設定されている。また、フランジ5以外の外径は、成形孔30の主部30aおよび外側パンチ44の内径よりも小さく、これらの内径面との間に隙間が形成される大きさで、かつ、成形孔30の絞り形成部30bの内径よりも大きく設定されている。素材1Dの内径小径部3の内径は、その内径面とコアロッド22との間に隙間が形成される大きさに設定されている。
【0030】
上記成形装置により素材1Dを圧縮成形するには、まず、下パンチ34を成形孔30の絞り形成部30bの途中まで挿入して保持し、下パンチ34に挿入したコアロッド22を上端がダイ31の上面から所定量突出する位置に保持して、成形孔30にキャビティを形成する。次いで、内径小径部3を上にして素材1Dをコアロッド22に嵌め込んでキャビティ内に挿入する。この状態から、図4(b)に示すように、内側パンチ45を外側パンチ44内に所定量後退させた状態とした上パンチ43を降下させ、上パンチ43により素材1Dを成形孔30のキャビティに圧入するとともに、軸方向に圧縮する。
【0031】
この操作により、素材1Dの下端部が成形孔30の絞り形成部30bに圧入して外径が縮小し、絞り部11に造形される。この絞り部11からフランジ5までの間の部分の外径面は、主部30aの内径面に圧接するまで外径側に膨出し、外径が拡大する。また、軸方向中央部のフランジ5は、成形孔30の段部30dに拘束されて上パンチ43の外側パンチ44により軸方向に圧縮され、その外径面が開口部30cの内径面に圧接するまで外径側に膨出し、外径が拡大したフランジ5Aに形成される。さらに、フランジ5の上側である素材1Dの上端部は、軸方向に圧縮されることにより、外径面が外側パンチ44の内径面に圧接するまで外径側に膨出し、外径が拡大する。一方、素材1Dの内径面には、上記第3実施形態と同様に、軸方向両端部の軸支面12ならびにこれらの間の中逃げ部13が形成される。このようにして素材1Dは塑性変形させられ、軸受10Dが成形される。軸受10Dは、上パンチ43を上昇させ、次いで下パンチ24を上昇させることにより脱型される。
【0032】
次に、軸支面に動圧溝が形成された軸受を製造する第5、第6実施形態を説明する。
(5)第5実施形態−図5,図6
第5実施形態は、図5に示すように、上記コアロッド22に代えた動圧溝形成用のコアロッド22Aを上記第1実施形態に適用して素材1Aを圧縮成形し、軸支面12に動圧溝が形成された軸受を成形する例である。そのコアロッド22Aは、図6(a)に示すように、素材1Aの両端部内径面の圧接を受ける外径面に、複数のV字状の凸部22aが周方向に等間隔をおいてヘリングボーン状に形成されたものである。凸部22aは、コアロッド22Aの切削やメッキ等の手段によって形成することができるものであり、その高さは、数μm程度である。
【0033】
素材1Aを圧縮成形するには、図5(a)に示すように、素材1Aの両端部内径面をコアロッド22Aの凸部22aが形成された部分に対応させた状態から、図5(b)に示すようにコアロッド22Aとともに上パンチ23を降下させ、上パンチ23により素材1Aをダイ21の成形孔20のキャビティ内に圧入するとともに、軸方向に圧縮する。
【0034】
素材1Aは、第1実施形態と同様に塑性変形し、軸受10Eに成形される。軸受10Eの軸支面12には、図6(b)に示すように、コアロッド22Aの凸部22aによってヘリングボーン状の動圧溝14が刻設される。軸受10Eは、上パンチ23を上昇させ、次いでコアロッド22Aとともに下パンチ24を上昇させてダイ21から脱型することにより得られる。脱型された軸受10Eには、ダイ21による外径面の拘束が開放されて全体が僅かに拡径するスプリングバックが生じるので、動圧溝14間の凸部を摩滅することなくコアロッド22Aから軸受10Eを抜くことができる。
【0035】
第5実施形態によって製造された軸受10Eによれば、軸支面12で回転軸を支持する2点支持構造に加え、動圧溝14に発生する動圧効果(動圧溝に流入する潤滑油の高圧化に伴う剛性向上)によって回転軸の支持力が相乗的に高まり、回転軸の支持力がより安定する。なお、潤滑油が動圧溝14の一部に集中して動圧が上昇する効果が十分に期待される観点から、軸受10Eは、回転軸の回転方向が動圧溝14のV字の先端方向(図6(b)で矢印R方向)に向くようにセットされることが好ましい。
【0036】
(6)第6実施形態−図7,図8
第6実施形態は、図7に示すように、上記第3実施形態に上記コアロッド22Aを適用して素材1Cを圧縮成形し、軸支面12に動圧溝を形成する例である。素材1Cを圧縮成形するには、図7(a)に示すように、素材1Cの両端部内径面をコアロッド22Aの凸部22aが形成された部分に対応させた状態から、図7(b)に示すようにコアロッド22Aとともに上パンチ33を降下させ、上パンチ33により素材1Cをダイ31の成形孔30のキャビティ内に圧入するとともに、軸方向に圧縮する。
【0037】
素材1Cは、第1実施形態と同様に塑性変形し、軸受10Fに成形される。軸受10Fの軸支面12には、図8に示すように、コアロッド22Aの凸部22aによってヘリングボーン状の動圧溝14が刻設される。軸受10Fは、上パンチ33を上昇させ、次いでコアロッド22Aとともに下パンチ34を上昇させてダイ31から脱型することにより得られる。なお、図8の矢印Rは、前述した回転軸の好ましい回転方向である。
【0038】
上記第5、第6実施形態のように、動圧溝形成用のコアロッド22Aを用いて軸支面に動圧溝を形成する形態は、第2、第4実施形態にも勿論適用することができる。
【0039】
(7)他の形態
本発明は、上記第1〜第6実施形態に限定されるものではなく、例えば、素材や製造後の軸受の形状、あるいは動圧溝の形状等は、様々な形態に変更可能である。以下に、他の形態例を示す。なお、各図面において上記実施形態と同一の構成要素には同一の符合を付してある。
【0040】
A.素材の形状
図9(a)は、軸方向一端部にフランジ5を有し、他端部に内径小径部3が形成された素材を示している。フランジ5の位置は任意であり、例えば第3実施形態の素材1C(図3(a)参照)のように、軸方向中央部に形成されていてもよい。さらに、フランジ以外の部分の外径が異なるような円筒状の素材を用いることもできる。
【0041】
図9(b),(c)は、軸孔の開口周縁に、座ぐり状のテーパ面6が形成された素材を示している。各素材には、外径大径部2あるいは内径小径部3が適宜形成されている。図9(d)に示す素材は、軸方向一端部に内径小径部3が形成され、同端部の外径面が、端部に向かってしだいに縮径するテーパ状小径部8に形成されている。
【0042】
なお、上記各実施形態を含めて、いずれの場合も内径面における内径小径部3と他の部分との境界部分は画然としている(直角で移行している)が、両者の境界部分を斜面に形成してもよい。図9(e)は、図9(b)の素材をそのようにアレンジした素材であり、さらに、図9(f)に示すように、外径面の周縁を面取りした形状であってもよい。
【0043】
B.軸受の形状
次に、軸受の変更例を説明する。
図10(a)は外径均一の軸受、図10(b)は軸方向両端部に絞り部11が形成された軸受をそれぞれ示しており、図10(c),(d)は、これら軸受の軸孔の開口周縁にテーパ面16が形成されたものである。図10(e)に示す軸受は、第1、第2実施形態で示した軸受10A,10Bの軸孔の開口周縁にテーパ面16が形成され、さらに、外径面の周縁が面取りされたものである。図10(f)に示す軸受は、一端部にフランジ5Aが形成されたものである。なお、軸孔の開口周縁にテーパ面を形成する態様は、フランジを備えた軸受にも勿論適用することができる。図10(g)に示す軸受は、全体的に球状で、軸方向端面が平坦に、かつ、側面が円筒状に形成されている。図10(h)の軸受は、図10(g)の軸受の一端部に絞り部11が形成されたものである。
【0044】
C.動圧溝の形状
第5、第6実施形態で示した動圧溝の形状は任意であり、その数も適宜に選択されるが、回転軸をより安定して支持する観点から、複数が軸支面の周方向に沿って等間隔をおいて配置されると好ましい。上記各実施形態では、ヘリングボーン状として、つまり形状によって、動圧上昇が生じる効果を得るようにしているが、深さの断面形状によってもその効果を得ることができる。
【0045】
それには、概略形状を軸方向に沿って延びる溝とし、回転軸が一方向のみに回転する場合には、回転軸の回転方向の逆方向側の端部を最深部とし、この最深部から回転軸の回転方向に向かってしだいに浅くなるよう傾斜させる。また、回転軸が正逆双方向に回転する場合には、周方向の中間部を最深部とし、この最深部から周方向両端部に向かってしだいに浅くなるよう傾斜させる。このように形成された動圧溝は、横断面(輪切りにした場合の断面)形状が回転軸の回転方向に向かって浅くなるくさび状の隙間となり、溝の浅い先端部に潤滑油が集中するくさび効果を得ることができる。
【0046】
D.動圧溝形成用のコアロッド
第5、第6実施形態で示した動圧溝14は、コアロッド22Aに形成した凸部22aにより形成されているが、このような凸部に代え、凹部によって動圧溝を形成することができる。すなわち、第5、第6実施形態と刻設のパターンが逆であって、素材の内径小径部の内径面がコアロッドに圧接させられるとコアロッドに形成した凹部に導入されて凸部が突設され、この凸部の内径面が軸支面に、また、凸部間の溝が動圧溝として機能する。この場合、凸部がさらに突設されることにより、その高さだけ中逃げ量が大きい軸受が得られる。なお、コアロッドに形成する凹部は、放電加工や電解腐食といった手段により形成することができる。
【0047】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、比較的大きな中逃げ部を有する2点支持構造の軸受を、比較的簡素な方法で効率よく製造することができる。
また、本発明によって製造された軸受は、軸方向両端部の軸支面においては、内径および同軸度が高い精度で一致するとともに高密度化されて耐摩耗性の向上が図られ、一方、中逃げ部が形成された軸方向中央部においては、密度が低いことから潤滑油の含有量が十分に確保される。これらの結果、優れた軸受性能を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施形態に係る軸受の製造方法の工程を(a),(b)の順に示す縦断面図である。
【図2】 本発明の第2実施形態に係る軸受の製造方法の工程を(a),(b)の順に示す縦断面図である。
【図3】 本発明の第3実施形態に係る軸受の製造方法の工程を(a),(b)の順に示す縦断面図である。
【図4】 本発明の第4実施形態に係る軸受の製造方法の工程を(a),(b)の順に示す縦断面図である。
【図5】 本発明の第5実施形態に係る軸受の製造方法の工程を(a),(b)の順に示す縦断面図である。
【図6】 (a)は本発明の第5実施形態で用いるコアロッドの一部斜視図、(b)は本発明の第5実施形態で製造された軸受の一部を示す縦割り斜視図である。
【図7】 本発明の第6実施形態に係る軸受の製造方法の工程を(a),(b)の順に示す縦断面図である。
【図8】 本発明の第6実施形態で製造された軸受の一部を示す縦割り斜視図である。
【図9】 本発明で用いる軸受素材の他の形態例を示す縦断面図である。
【図10】本発明で製造される軸受の他の形態例を示す縦断面図である。
【符号の説明】
1A〜1D…素材、2…外径大径部、3…内径小径部、
5…素材のフランジ(外径大径部)、10A〜10F…軸受、
12…軸支面、13…中逃げ部、14…動圧溝、22,22A…コアロッド、
22a…動圧溝形成用の凸部。

Claims (4)

  1. 円筒状で、軸方向一端部に内径小径部を有するとともに外径均一または外径面の一部に外径大径部を備え、かつ、前記内径小径部の内径がコアロッドの外径よりも大きい形状である焼結された多孔質体からなる素材を、前記コアロッドを挿入させた状態で軸方向に圧縮することにより、前記素材の前記内径小径部を有する軸方向一端部とは反対側の端部の外径を縮小させるとともに中央部および前記内径小径部を有する軸方向一端部の外径を拡大させ、
    この変形に伴い、両端部内径面を前記コアロッドに圧接させて回転軸を支持する軸支面に形成するとともに、中央部内径面に中逃げ部を形成することを特徴とする軸受の製造方法。
  2. 前記素材は、外径均一、かつ、軸方向一端部に内径小径部を有する形状であることを特徴とする請求項1に記載の軸受の製造方法。
  3. 前記素材は、軸方向一端部に内径小径部を有し、かつ、軸方向他端部に外径大径部を有する形状であることを特徴とする請求項1に記載の軸受の製造方法。
  4. 前記素材の軸方向両端部の内径面が圧接させられる前記コアロッドの外径面に、動圧溝形成用の凸部または凹部が形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の軸受の製造方法。
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