JP3824905B2 - 制電性繊維用ポリエステル - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は制電性繊維用ポリエステルに関し、さらに詳しくは、特定のチタン化合物及びリン化合物を含むポリエステル製造用触媒を用いた、良好な色調(b値)を有し、かつ優れた制電性を呈したうえ、さらに紡糸口金を通して長時間連続的に紡糸しても口金付着物の発生量が非常に少なく、成形性に優れているポリエステルを提供することができる。
【0002】
【従来の技術】
ポリエステル、特にポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート及びポリテトラメチレンテレフタレートは、その機械的、物理的、化学的性能が優れているため、繊維、フィルム、その他の成形物に広く利用されている。
【0003】
例えばポリエチレンテレフタレートは、通常テレフタル酸とエチレングリコールとを直接エステル化反応させるか、テレフタル酸ジメチルのようなテレフタル酸の低級アルキルエステルとエチレングリコールとをエステル交換反応させるか又はテレフタル酸とエチレンオキサイドとを反応さて、テレフタル酸のエチレングリコールエステル及び/又はその低重合体を生成させ、次いでこの反応生成物を重合触媒の存在下で減圧加熱して所定の重合度になるまで重合反応させることによって製造されている。また、ポリエチレンナフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレートも上記と同様の方法によって製造されている。
【0004】
これらの重合反応段階で使用する触媒の種類によって、反応速度および得られるポリエステルの品質が大きく左右されることはよく知られている。ポリエチレンテレフタレートの重合触媒としては、アンチモン化合物が、優れた重合触媒性能を有し、かつ色調の良好なポリエステルが得られるなどの理由から最も広く使用されている。
【0005】
しかしながら、アンチモン化合物を重合触媒として使用した場合、ポリエステルを長時間にわたって連続的に溶融紡糸すると、口金孔周辺に異物(以下、単に口金異物と称することがある。)が付着堆積し、溶融ポリエステル流れの曲がり現象(ベンディング)が発生し、これが原因となって紡糸・延伸工程において毛羽及び/又は断糸などを発生するという成形性の問題がある。
【0006】
該アンチモン化合物以外の重合触媒として、チタンテトラブトキシドのようなチタン化合物を用いることも提案されているが、このようなチタン化合物を使用した場合、上記のような、口金異物堆積に起因する成形性の問題は解決できるが、得られたポリエステル自身が黄色く着色されており、また溶融熱安定性も不良であるという新たな問題が発生する。
【0007】
上記着色問題を解決するために、コバルト化合物をポリエステルに添加して黄味を抑えることが一般的に行われている。確かにコバルト化合物を添加することによってポリエステルの色調(b値)は改善することができるが、コバルト化合物を添加することによってポリエステルの溶融熱安定性が低下し、ポリエステルの分解も起こりやすくなるという問題がある。
【0008】
また、他のチタン化合物として、特公昭48−2229号公報には水酸化チタンを、また特公昭47−26597号公報にはα−チタン酸を、それぞれポリエステル製造用触媒として使用することが開示されている。しかしながら、前者の方法では水酸化チタンの粉末化が容易でなく、一方後者の方法ではα−チタン酸が変質し易いため、その保存・取り扱いが容易でなく、したがっていずれも工業的に採用するには適当ではなく、さらに良好な色調(b値)のポリエステルを得ることも困難である。
【0009】
また、特公昭59−46258号公報にはチタン化合物とトリメリット酸とを反応させて得られた生成物を、また特開昭58−38722号公報にはチタン化合物と亜リン酸エステルとを反応させて得られた生成物を、それぞれポリエステル製造用触媒として使用することが開示されている。確かに、この方法によれば、ポリエステルの溶融熱安定性はある程度向上しているものの、得られるポリエステルの色調が十分なものではなく、したがってポリエステル色調のさらなる改善が望まれている。
【0010】
さらに、特開平7−138354号公報においては、チタン化合物とリン化合物との錯体をポリエステル製造用触媒とすることが提案されており、この方法によれば溶融熱安定性もある程度は向上するが、得られるポリエステルの色調は十分なものではない。
【0011】
なお、これらのチタン/リン系触媒は、その触媒自身がポリエステルポリエステル中に異物として残留することが多く、その結果紡糸・延伸工程で断糸が発生しやすいという問題があり、この問題についても解決されることが望まれていた。
【0012】
また、一般にポリエステルを繊維とした場合、得られる繊維自体は静電気を帯びやすく制電性に劣る欠点がある。従来ポリエステル繊維に制電性を付与する方法として、製糸以前の段階でポリエステルに、ポリアルキレンエーテル又はポリアルキレンエーテルと有機スルホン酸金属塩とを配合する方法(特公昭44−31828号公報、特公昭60−11944号公報、特開平3−139556号公報等)が提案されている。
【0013】
しかし、これらの方法によって得られるポリエステルのチップを、ルーダーで再溶融して溶融紡糸する場合には、チップがルーダー上で滑って噛み込み不良が発生し安定して溶融紡糸することが難しいという問題があった。
【0014】
このため、溶融紡糸の安定性を改良し、かつ制電性に優れたポリエステルを得る方法として、ポリエステル中の制電剤の分散状態を特定範囲内に規定する方法(特許第3130624号公報)が提案されている。確かに、この方法によれば溶融紡糸の安定性不良の問題点は解消される。しかしながら、このようなポリエチレンテレフタレートを用いた繊維は、その化学的な改質ゆえに繊維自身が柔らかく、溶融紡糸を行う際に前述のアンチモン化合物を触媒に用いた時のように、口金異物の発生により生産性が低下する傾向があるという問題が存在する。
【0015】
口金異物の問題は、上述のようにアンチモン化合物を使用しないで他の触媒系を用いることで解決される。しかしながらアンチモン化合物を使用しない方法では、糸の色調が低下してしまうため実際には使用に供することができない。したがって口金異物が発生しにくく、かつ色調に優れ、かつ吸湿性、吸水性にも優れ、成形性に優れた制電性繊維用ポリエステルが求められていた。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、特定のチタン化合物及びリン化合物を含むポリエステル製造用触媒を用いた、良好な色調(b値)を有し、かつ優れた制電性を呈したうえ、さらに紡糸口金を通して長時間連続的に紡糸しても口金付着物の発生量が非常に少なく、成形性に優れているポリエステル繊維を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記従来技術に鑑み鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
【0018】
すなわち、本発明は、
1.エチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とするポリエステルからなり、
A)ポリエステル重合時の触媒として、下記式(1)
【0019】
【化5】
Figure 0003824905
【0020】
(式中、R11,R12,R13およびR14は同一または異なる炭素数2〜10個のアルキル基を表し、mは1〜3の整数を表す。)
で表されるチタン化合物と下記式(2)
【0021】
【化6】
Figure 0003824905
【0022】
(上記式中、Rは炭素数2〜18のアルキル基、または炭素数6〜20のアリールを表す。)
で表されるリン化合物をチタン元素のモル数に対するリン元素のモル数(P/Ti)が1〜4となる範囲の組成でエチレングリコール中で加熱反応せしめたチタン/リン反応物を用い、且つ該ポリエステルに含まれるチタン元素量が全ジカルボン酸残基成分に対し2〜40ミリモル%の範囲にあり、
B)該ポリエステルの紡糸工程が完了する以前の任意の段階で、制電剤として、下記式(3)
【0023】
【化7】
Figure 0003824905
【0024】
(上記式中、Zは1〜6個の活性水素を有する有機化合物残基を、R3 は炭素原子数6以上のアルキレン基又は置換アルキレン基を、R4 は水素原子、炭素原子数1〜40の1価の炭化水素基、炭素原子数2〜40の1価のヒドロキシ炭化水素基又は炭素原子数2〜40の1価のアシル基を、kは1〜6の整数、sはs≧70/kを満足する整数、tは1以上の整数を示す。)
で表されるポリオキシアルキレン系ポリエーテルを、該ポリエステルの重量を基準として、0.2〜30重量%、および下記式(4)
(R5SO3rM (4)
(R5は炭素数3〜30のアルキルアリール基、またはアルキル基で置換されても良い炭素数6〜30のアリール基を、Mはアルカリ金属またはアルカリ土類金属を示す。rはMがアルカリ金属の時は1、Mがアルカリ土類金属の時は2を表す。)
で表される有機スルホン酸金属塩を、該ポリエステルの重量を基準として、0.05〜10重量%となるように添加し、
C)下記式(5)
X=N×W (5)
(上記式においてN,Wは、それぞれポリエステル20mgを2枚のプレパラートに挟み、10g荷重下285℃で溶融して直径1cmの薄膜状となした時に観察される直径2.5μm以上の粒子の数(個/cm2)、およびポリエステル組成物中の制電剤の量(ポリエステル100重量部に対する重量部)を表す。)
で表される該制電剤の分散性Xが0.1〜1であり、
D)並びに固有粘度が0.65以上である制電性繊維用ポリエステル
によって達成される。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下本発明についてさらに詳細に説明する。
本発明の制電性繊維用ポリエステルは下記式(1)
【0026】
【化8】
Figure 0003824905
【0027】
(式中、R11,R12,R13およびR14は同一または異なる炭素数2〜10個のアルキル基を表し、mは1〜3の整数を表す。)
で表されるチタン化合物と下記式(2)
【0028】
【化9】
Figure 0003824905
【0029】
(上記式中、Rは炭素数2〜18のアルキル基、または炭素数6〜20のアリールを表す。)
で表されるリン化合物をチタン元素のモル数に対するリン元素のモル数(P/Ti)が1〜4となる範囲の組成で反応せしめたチタン/リン反応物を用いて重合されている必要がある。
【0030】
ここでチタン元素のモル数に対するリン元素のモル数(P/Ti)が1より小さい場合、得られるポリエステルの色調が不良になり、かつその耐熱性が低下することがあり好ましくなく、一方4より大きい場合、ポリエステル重合反応に対する触媒活性が不十分になり好ましくない。チタン元素のモル数に対するリン元素のモル数(P/Ti)は1.2〜3.5の範囲が好ましく、1.5〜3.0の範囲が更に好ましい。
【0031】
また、チタン化合物成分(1)とリン化合物成分(2)を反応させるチタン/リン化合物の触媒調製は、エチレングリコール中で加熱反応されている必要があるが、反応方法としては例えばリン化合物(2)からなる成分とエチレングリコールとを混合して、リン化合物成分の一部又は全部をエチレングリコール中に溶解し、この混合液にチタン化合物成分(1)を滴下し、反応系を0℃〜200℃の温度に30分間以上、好ましくは60〜150℃の温度に40〜90分間、加熱することによって行われる。この反応において、反応圧力については格別の制限はなく、通常常圧下で行われる。
【0032】
ここで上記式(1)で表されるチタン化合物としては例えば、チタンテトラブトキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラプロポキシド、チタンテトラエトキシドなどのチタンテトラアルコキシドや、オクタアルキルトリチタネート、ヘキサアルキルジチタネート等を挙げることができる。
【0034】
また上記式(2)で表されるリン化合物としては、例えば、モノアルキルホスフェート等が挙げられ、具体的にはモノメチルホスフェート、モノエチルホスフェート、モノトリメチルホスフェート、モノ−n−ブチルホスフェート、モノヘプチルホスフェート、モノヘキシルホスフェート、モノヘプチルホスフェート、モノノニルホスフェート、モノデシルホスフェート、モノドデシルホスフェート、モノフェニルホスフェート、モノベンジルホスフェート、モノ(4−ドデシル)フェニルホスフェート、モノ(4−メチルフェニル)ホスフェート、モノ(4−エチルフェニル)ホスフェート、モノ(4−プロピルフェニル)ホスフェート、モノ(4−ドデシルフェニル)ホスフェート、モノトリルホスフェート、モノキシリルホスフェート、モノビフェニルホスフェート、モノナフチルホスフェート、モノアントリルホスフェート等が挙げられる。
上記式(1)で表されるチタン化合物は予め下記式(6)
【0035】
【化10】
Figure 0003824905
【0036】
(上記式中、qは2〜4の整数を表わす。)
の多価カルボン酸及び/又はその酸無水物と反応させて使用する方法も好ましく用いられる。その場合、チタン化合物と多価カルボン酸及び/又はその酸無水物の反応モル比は(2:1)〜(2:5)の範囲が好ましい。特に好ましい範囲は(1:1)〜(1:2)である。
【0037】
本発明の制電性繊維用ポリエステルに含まれるチタン元素量は全ジカルボン酸残基成分に対し2〜40ミリモル%の範囲にあるようにすることが必要である。チタン元素量が2ミリモル%未満の場合は重合反応が遅くなり、40ミリモル%を超える場合は得られるポリエステルの色調が、不良になり、かつその耐熱性が低下することがあり好ましくない。チタン元素量は5〜35ミリモル%の範囲が好ましく、10〜30ミリモル%の範囲が更に好ましい。
【0038】
一般的にエチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とするポリエステルの製造方法としては、テレフタル酸に代表される芳香族ジカルボン酸を用いる製造方法とジメチルテレフタレートに代表される芳香族ジカルボン酸のエステル形成性誘導体を原料として用いる二つの方法が知られている。本発明におけるポリエステルは、その製造方法により特に制限はないが、好ましくは原料物質としてジメチルテレフタレートが全ジカルボン酸成分の80mol%以上である、エステル交換反応を経由する製造方法である。なお本発明においてエチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とするとは全繰り返し単位に対して90モル%以上がエチレンテレフタレートであることを表す。
【0039】
なお、上記のジメチルテレフタレートには、本発明方法の効果が実質的に損なわれない範囲内において、具体的には全ジカルボン酸成分合計モル量を基準として10モル%以下、好ましくは5モル%以下の範囲で、それと共重合可能な他の二官能性カルボン酸エステル等が追加成分として含まれていてもよい。
【0040】
好ましく用いられる共重合可能な追加成分は、脂肪族および脂環式の二官能性ジカルボン酸類およびこれらのエステル形成性誘導体、ヒドロキシカルボン酸およびこれらのエステル形成性誘導体、並びに脂肪族、脂環式、芳香族のジオール化合物およびポリオキシアルキレングリコール等が挙げられる。例えば、アジピン酸、セバシン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などが脂肪族及び脂環式の二官能性ジカルボン酸およびこれらのエステル形成性誘導体の具体例としてあげられる。またβ−ヒドロキシエトキシ安息香酸、p−オキシ安息香酸などがヒドロキシカルボン酸およびこれらのエステル形成性誘導体の具体例としてあげられる。更に構成炭素数が2個以上のアルキレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールS、ポリエチレングリコール等が脂肪族、脂環式、芳香族のジオール化合物およびポリオキシアルキレングリコールの具体例としてあげられる。上記追加成分は一種を単独で用いてもよく、或は二種以上を併用してもよい。ただし共重合比は上記の範囲内であることが必要である。
本発明において制電剤として用いる下記式(3)
【0041】
【化11】
Figure 0003824905
【0042】
(上記式中、Zは1〜6個の活性水素を有する有機化合物残基を、R3 は炭素原子数6以上のアルキレン基又は置換アルキレン基を、R4 は水素原子、炭素原子数1〜40の1価の炭化水素基、炭素原子数2〜40の1価のヒドロキシ炭化水素基または炭素原子数2〜40の1価のアシル基を、kは1〜6の整数、sはs≧70/kを満足する整数、tは1以上の整数を示す。)
で表されるポリオキシアルキレン系ポリエーテルの具体例としては、分子量が4000以上のポリオキシエチレングリコール、分子量が2000以上のポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール、分子量が2000以上のエチレンオキシド、プロピレンオキシド共重合体、分子量が4000以上のトリメチロ−ルプロパンエチレンオキシド付加物、分子量が3000以上のノニルフェニルエチレンオキシド付加物、並びにこれらの末端水酸基に炭素数が6以上の置換エチレンオキシドが付加した化合物が挙げられる。
【0043】
該ポリオキシアルキレン系ポリエーテルのポリエステルへの添加量は、繊維重量を基準として、0.2〜30重量%の範囲に設定する必要がある。該配合量が0.2重量%より少ないと、溶融紡糸して得られた繊維の制電性を十分に得られない。一方、30重量%より多いと最小制電性の向上効果は認められず、機械的性質が損なわれることとなり好ましくない。
【0044】
本発明の製造方法においては、制電性を向上させるためには、さらに特定の有機スルホン酸金属塩を配合させる必要がある。
ここで使用する有機スルホン酸金属塩は下記一般式(4)
(R5SO3rM (4)
(R5は炭素数3〜30のアルキル基(クレームに同じ)を、Mはアルカリ金属またはアルカリ土類金属を示す。rはMがアルカリ金属の時は1、Mがアルカリ土類金属の時は2を表す。)
で表わされる。上記式(4)においてR5としてアルキル基を用いる場合は、直鎖状であっても、また側鎖を有してもよい。なおポリエステルとの相溶性の観点から、Rがアルキル基、アルキルアリール基以外の有機スルホン酸金属塩は好ましくない。
【0045】
MはNa、K、Li等のアルカリ金属、Mg、Ca等のアルカリ土類金属等が挙げられ、なかでもNa、Kが好ましい。なお、有機スルホン酸金属塩の使用に際しでは、単一の化合物である必要はなく、各種のアルキル基を有する有機スルホン酸金属塩の混合物であってもよい。
【0046】
このような有機スルホン酸金属塩としては具体的には、ステアリルスルホン酸ナトリウム、オクチルスルホン酸ナトリウム、ドデシルスルホン酸ナトリウム、ステアリルベンゼンスルホン酸ナトリウム、オクチルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムまたは炭素数の平均が14個であるアルキルスルホン酸ナトリウムの混合物等が好ましいものとして挙げられる。
【0047】
該有機スルホン酸金属塩のポリエステルへの添加量は、繊維重量を基準として、0.05〜10重量%の範囲にある必要がある。該配合量が0.05重量%より少ないと、溶融紡糸して得られたポリエステル繊維の制電性が充分でなく、10重量%より多いと混合操作、紡糸等が困難となるので好ましくない。
【0048】
このようなポリオキシアルキレン系ポリエーテル、および有機スルホン酸金属塩の制電剤は紡糸工程完了以前の任意の段階でポリエステルに添加配合される。例えば、ポリエステル製造の原料に予め添加しても、ポリエステル重合の第1段重合反応時またはこれに続く第2段の重合反応時に添加することも可能であり、また重縮合反応後に得られるポリエステルと制電剤とを、例えば溶融押出機を用いて溶融混合する方法、溶融成形機の出口以前の段階でポリエステルに添加し混合する方法等を採用することも可能である。またポリオキシアルキレン系ポリエーテルと有機スルホン酸金属塩を別の工程で添加しても構わない。
また本発明で下記式(5)
X=N×W (5)
(上記式においてN,Wは、それぞれポリエステル20mgを2枚のプレパラートに挟み、10g荷重下285℃で溶融して直径1cmの薄膜状となした時に観察される直径2.5μm以上の粒子の数(個/cm2)、およびポリエステル組成物中の制電剤の量(ポリエステル100重量部に対する重量部)を表す。)
で表される該制電剤の分散性Xが0.1〜1である。好ましくは0.2以上0.5以下である。
【0049】
上記式で定義される分散性Xが0.1未満である場合には、制電剤が極度に微分散化されており、かかる組成物から得られる繊維の制電性能は不十分となり好ましくない。一方、分散性が1.0を超える場合には、制電剤の分散が不十分となり、制電剤がチップ表面や繊維表面に滲み出しやすくなる。このため、チップをエクストルーダーで溶融紡糸する際には、チップの噛み込み不良を引き起こし、また繊維に対しては制電性能の低下を引き起こす。
【0050】
制電剤を配合したポリエステルを紡糸するに当たっては、特別な条件を採用する必要はなく、任意の溶融紡糸条件を採用することが可能である。なお、本発明の製造方法において、繊維の断面形態は、本発明の目的とする効果を奏する限り任意に選択することができ、丸形、異形など、適宜選択すればよく、また断面の大きさ(繊度)にも制限はない。
【0051】
また、本発明の製造方法において得られるポリエステル繊維には必要に応じて触媒、着色防止剤、耐熱剤、蛍光剤、難燃剤、染料、顔料、不活性微粒子等が含まれていてもよい。
【0052】
さらに、得られるポリエステルの色調を微調整するために、反応系にポリエステルの製造段階において、アゾ系、トリフェニルメタン系、キノリン系、アントラキノン系、フタロシアニン系等の有機青色顔料及び無機青色顔料の一種以上からなる整色剤を添加することができる。なお、本発明の製造方法においては、当然のことながらポリエステルの溶融熱安定性を低下させるコバルト等を含む無機青色顔料を整色剤としては用いる必要はなく、したがって得られるポリエステルには実質的にコバルトを含まないことが好ましい。
【0053】
本発明方法によって得られるポリエステルは、通常、ハンター型色差計より得られるL値が80.0以上、b値が−2.0〜5.0の範囲にあるものである。ポリエステルのL値が80.0未満であると、白色度が低くなるため実用に供し得る高白色度成形物を得ることができないことがある。また、b値が−2.0未満であると、このポリエステルの青味が増し、一方、b値が5.0を越えると、得られるポリエステルの黄味が強くなるため、実用上有用な成形物の製造に供することができないことがある。本発明方法により得られるポリエステルのL値は好ましくは82以上、特に好ましくは83以上であり、b値の好ましい範囲は−1.0〜4.5であり、特に好ましくは0.0〜4.0である。
【0054】
なお、本発明方法により得られるポリエステルのL値及びb値は、下記の方法により測定される。すなわち、ポリエステルの試料を290℃、真空下で10分間溶融し、これをアルミニウム板上において、厚さ3.0±1.0mmのプレートに成形し、このプレートをただちに氷水中で急冷し、このプレートを160℃、1時間乾燥し、次に結晶化処理を施し、その後、プレートを色差計調整用の白色標準プレート上に置き、供試プレート表面の色調を、ミノルタ社製ハンター型色差計CR−200を用いて測定した。
【0055】
本発明のポリエステルは、実質的に、整色用コバルト化合物に由来するコバルト原子を含まないものである。コバルト原子を含むポリエステルには、溶融熱安定性が低く、分解が起こりやすくなるという欠点がある。なお、ここで“実質的に含まない”とは、整色剤若しくは重縮合触媒としてコバルト化合物を使用せず、したがって、得られるポリエステルが、上記コバルト化合物に由来するコバルト原子を含まないことを意味する。したがって、本発明のポリエステルは、整色剤及び触媒以外の目的をもって添加されたコバルト化合物に由来するコバルト原子を含むことがあってもよい。
【0056】
本発明におけるポリエステルの固有粘度は適宜選択すればよいが、0.55〜1.0の範囲にあることが好ましい。該固有粘度がこの範囲内にあると、溶融成形が容易でかつ成形物の強度も高いものとなる。該固有粘度のさらに好ましい範囲は、0.60〜0.90であり、特に好ましくは0.62〜0.80である。
【0057】
【実施例】
本発明をさらに下記実施例により具体的に説明するが、本発明の範囲はこれら実施例により限定されるものではない。ただし上述の通り、固有粘度、色相、チタン含有量、分散性、紡糸口金に発生する付着物の層及び制電耐久性については、下記記載の方法により測定された。
【0058】
1)固有粘度:
ポリエステルの固有粘度は、オルソクロロフェノール溶液について、35℃において測定した粘度の値から求めた。
【0059】
2)色調(L値及びb値):
ポリエステル試料を290℃、真空下で10分間溶融し、これをアルミニウム板上で厚さ3.0±1.0mmのプレートに成形後ただちに氷水中で急冷し、該プレートを160℃、1時間乾燥結晶化処理後、色差計調整用の白色標準プレート上に置き、プレート表面のハンターL値及びb値を、ミノルタ社製ハンター型色差計CR−200を用いて測定した。L値は明度を示し、その数値が大きいほど明度が高いことを示し、b値はその値が大きいほど黄着色の度合いが大きいことを示す。
【0060】
3)触媒のチタン含有量:
触媒化合物中のチタン濃度は、リガク社製蛍光X線測定装置3270を用いて測定した。
【0061】
4)紡糸口金に発生する付着物の層:
ポリエステルをチップとなし、これを290℃で溶融し、孔径0.15mmφ、孔数12個の紡糸口金から吐出し、600m/分で2日間紡糸し、口金の吐出口外縁に発生する付着物の層の高さを測定した。この付着物層の高さが大きいほど吐出されたポリエステルメルトのフィラメント状流にベンディングが発生しやすく、このポリエステルの成形性は低くなる。すなわち、紡糸口金に発生する付着物層の高さは、当該ポリエステルの成形性の指標である。
【0062】
5)制電耐久性:
得られたポリエステル繊維を用いて作製した編物を、アニオン性洗剤(花王石鹸(株)製「ザブ」)の0.3%水溶液を用いて家庭用電気洗濯機にて40℃、30分間洗濯した後、編物を乾燥させた。
【0063】
乾燥後の試料を水中に30分間以上浸漬させた後、家庭用電気洗濯機の脱水機で5分間脱水した。上記洗濯前後のサンプルを25℃、相対湿度65%で一昼夜放置した後の比抵抗値を測定した。
【0064】
6)制電剤の分散性X
得られたポリエステル20mgを2枚のプレパラートに挟み、10g荷重下285℃で溶融して直径1cmの薄膜状となした時に観察される直径2.5μm以上の粒子の数(個/cm2)、およびポリエステル組成物中の制電剤の量(ポリエステル100重量部に対する重量部)を表す。
【0065】
参考例1]
1)触媒(A)の調製:
エチレングリコール2.5重量部に無水トリメリット酸0.8重量部を溶解し、この溶液にチタンテトラブトキシド0.7重量部(無水トリメリット酸のモル量を基準として0.5mol%)を滴下し、この反応系を空気中、常圧下、80℃に60分間保持してチタンテトラブトキシドと無水トリメリット酸とを反応させ、反応生成物を熟成させた。その後反応系を常温に冷却し、これにアセトン15重量部を加え、析出物をNo.5ろ紙で濾過し、採取し、これを100℃の温度で2時間乾燥した。得られた反応生成物(チタン化合物(2))のチタン含有量は11.2重量%であった。
【0066】
次に、エチレングリコール131重量部中にフェニルホスホン酸3.6重量部を120℃に10分間加熱して溶解した。このエチレングリコール溶液134.5重量部に、さらにエチレングリコール40重量部を加えた後、これに上記チタン化合物(2)5.0重量部を溶解させた。得られた反応系を120℃で60分間撹拌し、チタン化合物(2)とフェニルホスホン酸とを反応させ、反応生成物を含む触媒(A)の白色スラリーを得た。この触媒(A)スラリーのチタン含量は0.3重量%であった。
【0067】
2)ポリエステルの製造:
テレフタル酸166重量部とエチレングリコール75重量部とを240℃においてエステル化反応させ、次いで得られた反応生成物を精留塔付き重縮合用フラスコへ入れ、重縮合触媒として上記触媒(A)スラリー0.95重量部(テレフタル酸のモル量を基準として、チタン原子のモル量換算で20×10-3モル%)及び整色剤としてテラゾールブルー0.0002重量部を加えた。
【0068】
温度285℃、常圧で30分間加熱し、温度280℃、大気圧下で30分間反応させ、次いで4.0kPa(30mmHg)の減圧下で15分間反応させた後、一旦大気圧下に戻し、下記化学式(7)
【0069】
【化12】
Figure 0003824905
【0070】
(但し、jは18〜28の整数で平均21、Pは平均値として100、mは平均値として5である。)
で表されるポリオキシエチレン系ポリエーテルを8部、炭素数8〜20で平均炭素数が14であるアルキルスルホン酸ナトリウムの混合物を10部添加した後、系内を徐々に減圧し、撹拌下80分間反応させた。最終内温は280℃、最終内圧は42.7Pa(0.32mmHg)であり、得られたポリエステルの固有粘度は0.650であった。
【0071】
反応終了後ポリエステルを常法に従いチップ化し、乾燥した。なおポリエステル中のポリオキシエチレン系ポリエーテルとアルキルスルホン酸ナトリウムの添加量はそれぞれ2.5重量%、3重量%であり、分散性Xは0.83であった。次にこの乾操したチップを用い、常法にしたがって333dtex/36filの原糸を作り、4.0倍に延伸して83.25dtex/36filのマルチフィラメントを得た。このフィラメントからメリヤス編地を得た。結果を表1、表2に示す。
【0072】
参考例2]
1)ポリエステルの製造:
テレフタル酸ジメチル194重量部、エチレングリコール124重量部及び酢酸カルシウム0.12重量部を精留塔付き反応槽に投入し、220℃においてエステル交換反応を行い、生成した理論量のメタノールを留出除去した後、この反応混合物にリン酸0.09重量部を加えて第1段階の反応を終了した。次いで前記反応混合物を精留塔付き重縮合用フラスコへ入れ、この反応混合物に、重縮合触媒として、参考例1と同じ方法により得られた触媒(A)スラリー3.2重量部(テレフタル酸ジメチルのモル量を基準として、チタン化合物(2)の含有量はチタン原子モル量換算で20×10−3モル%)、及び整色剤としてテラゾールブルー0.0002重量部を加えた。
【0073】
この反応系を温度280℃、大気圧下で30分間反応させ、次いで4.0kPa(30mmHg)の減圧下で15分間反応させた後、一旦大気圧下に戻し、上記式(6)で表されるポリオキシエチレン系ポリエーテルを8部、炭素数8〜20で平均炭素数が14であるアルキルスルホン酸ソーダの混合物を10部添加した後、系内を徐々に減圧し、撹拌下80分間反応させた。最終内温は280℃、最終内圧は42.7Pa(0.32mmHg)であり、得られたポリエステルの固有粘度は0.651であった。なお、反応終了後ポリエステルを常法に従いチップ化し、乾燥した。なおポリエステル中のポリオキシエチレン系ポリエーテルとアルキルスルホン酸ナトリウムの添加量はそれぞれ2.5重量%、3重量%であり、分散性Xは0.74であった。次にこの乾操したチップを用い、常法にしたがって333dtex/36filの原糸を作り、4.0倍に延伸して83.25dtex/36filのマルチフィラメントを得た。結果を表1、表2に示す。
【0074】
参考例3]
1)ポリエステルの製造:
参考例2において、ポリオキシアルキレングリコール系ポリエーテルを分子量4000のポリオキシエチレングリコール8部、有機スルホン酸金属塩を炭素数8〜20で平均炭素数が12であるアルキルスルホン酸ソーダ9部に変更する以外は同様にして重縮合反応を行いポリエステル及び繊維を得た。結果を表1、表2に示す。なおポリエステル中のポリオキシエチレン系ポリエーテルとアルキルスルホン酸ナトリウムの添加量はそれぞれ2.5重量%、3重量%であった。
【0075】
[実施例1〜3
1)ポリエステルの製造:
参考例1において、リン化合物を表1示す化合物及び値に変更する以外は同様にして重縮合反応を行いポリエステル及び繊維を得た。結果を表1、表2に示す。なおこれらの実施例においてポリエステル中のポリオキシエチレン系ポリエーテルとアルキルスルホン酸ナトリウムの添加量はそれぞれ2.5重量%、3重量%であった。
【0076】
[比較例1]
参考例2のポリエステルの製造法と同様にしてポリエステルを製造した。ただし、重縮合触媒として、チタンテトラブトキシドのみを用い、この触媒の添加量を、テレフタル酸ジメチルのモル量を基準として、チタン原子モル量換算で20×10−3%となるように、触媒スラリーの濃度及び添加量を調整した。結果を表1、表2に示す。
【0077】
[比較例2]
1)触媒(B)の調製:
無水トリメリット酸0.80重量部をエタノールに溶解し、この溶液にチタンテトラブトキシド0.64重量部を滴下し、得られた反応系を空気中、常圧の下、80℃の温度に60分間保持して、チタンテトラブトキシドとトリメリット酸無水物とを反応させ、熟成した。反応熟成後、反応系を常温に冷却し、これにアセトン15重量部を加え、生成した沈殿を濾取した。このようにして得られた触媒(B)のチタン含量は11.3重量%であった。
【0078】
2)ポリエステルの製造:
参考例2のポリエステルの製造法と同様にしてポリエステルを製造した。ただし、重縮合触媒として、上記触媒(B)を用い、この触媒(B)の添加量が、テレフタル酸ジメチルのモル量を基準としてチタン原子モル量換算で20×10−3モル%となるようスラリーの触媒濃度及び添加量を調整した。結果を表1、表2に示す。
【0079】
[比較例3]
参考例2のポリエステルの製造法と同様にして、ポリエステルを製造した。ただし、重縮合触媒として、三酸化アンチモンを用い、この触媒の添加量を、テレフタル酸ジメチルのモル量を基準として、アンチモン原子モル量換算で25×10−3%となるようスラリーの濃度及び添加量を調整した。結果を表1、表2に示す。
【0080】
[比較例4〜6]
比較例1〜3において、ポリオキシアルキレングリコール系ポリエーテルを分子量4000のポリオキシエチレングリコール8部、有機スルホン酸金属塩を炭素数8〜20で平均炭素数が12であるアルキルスルホン酸ソーダ9部に変更する以外は同様にして重縮合反応を行いポリエステル及び繊維を得た。結果を表1、表2に示す。
【0081】
【表1】
Figure 0003824905
【0082】
【表2】
Figure 0003824905
【0083】
【発明の効果】
本発明の制電性繊維用ポリエステルによれば、良好な色調(b値)を有し、かつ優れた制電性を呈するポリエステルを提供することができ、さらに本発明方法により得られたポリエステルは、紡糸口金を通して長時間連続的に紡糸しても口金付着物の発生量が非常に少なく、成形性に優れているという優れた性能を有するものである。

Claims (4)

  1. エチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とするポリエステルからなり、
    A)ポリエステル重合時の触媒として、下記式(1)
    Figure 0003824905
    (上記式中、R11,R12,R13およびR14は同一または異なる炭素数2〜10個のアルキル基を表し、mは1〜3の整数を表す。)
    で表されるチタン化合物と下記式(2)
    Figure 0003824905
    (上記式中、Rは炭素数2〜18のアルキル基、または炭素数6〜20のアリール基を表す。)
    で表されるリン化合物をチタン元素のモル数に対するリン元素のモル数(P/Ti)が1〜4となる範囲の組成でエチレングリコール中で加熱反応せしめたチタン/リン反応物を用い、且つ該ポリエステルに含まれるチタン元素量が全ジカルボン酸残基成分に対し2〜40ミリモル%の範囲にあり、
    B)該ポリエステルの紡糸工程完了以前の任意の段階で、制電剤として、下記式(3)
    Figure 0003824905
    (上記式中、Zは1〜6個の活性水素を有する有機化合物残基を、Rは炭素原子数6以上のアルキレン基又は置換アルキレン基を、Rは水素原子、炭素原子数1〜40の1価の炭化水素基、炭素原子数2〜40の1価のヒドロキシ炭化水素基または炭素原子数2〜40の1価のアシル基を、kは1〜6の整数、sはs≧70/kを満足する整数、tは1以上の整数を表す。)
    で表されるポリオキシアルキレン系ポリエーテルを、該ポリエステルの重量を基準として、0.2〜30重量%、および下記式(4)
    (RSOM (4)
    (上記式中、Rは炭素数3〜30のアルキル基、またはアルキル基で置換されても良い炭素数6〜30のアリール基を、Mはアルカリ金属またはアルカリ土類金属を示す。rはMがアルカリ金属の時は1、Mがアルカリ土類金属の時は2を表す。)
    で表される有機スルホン酸金属塩を、該ポリエステルの重量を基準として、0.05〜10%重量となるように添加されており、
    C)下記式(5)
    X=N×W (5)
    (上記式においてN,Wは、それぞれポリエステル20mgを2枚のプレパラートに挟み、10g荷重下285℃で溶融して直径1cmの薄膜状となした時に観察される直径2.5μm以上の粒子の数(個/cm)、およびポリエステル組成物中の制電剤の量(ポリエステル100重量部に対する重量部)を表す。)
    で表される該制電剤の分散性Xが0.1〜1であり、
    D)並びに固有粘度が0.55以上である制電性繊維用ポリエステル。
  2. 上記式(2)のリン化合物がモノアルキルホスフェートである請求項記載の制電性繊維用ポリエステル。
  3. 上記式(1)のチタン化合物が、チタンテトラアルコキシド類、オクタアルキルトリチタネート類、及びヘキサアルキルジチタネート類から選ばれるポリエステル製造用触媒を用いた請求項1または2記載の制電性繊維用ポリエステル。
  4. 上記式(1)のチタン化合物を予め下記式(6)
    Figure 0003824905
    (上記式中、qは2〜4の整数を表わす。)
    の多価カルボン酸及び/又はその酸無水物と反応モル比(2:1)〜(2:5)の範囲の組成で反応せしめた後、上記式(2)のリン化合物と反応させることを特徴とする請求項1〜のいずれか記載の制電性繊維用ポリエステル。
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