JP3811132B2 - 新規な9−オキソ−9−ホスファフルオレン誘導体及びその製造法並びにその用途 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規な9−オキソ−9−ホスファフルオレン誘導体、より具体的には、芳香族基及び9−オキソ−9−ホスファフルオレン−2,7−ジイル基からなる化合物、及びその製造法並びにその発光素子の構成材料としての用途に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
9−オキソ−9−ホスファフルオレン化合物の製造法は公知である。しかしながら、芳香族基及び9−オキソ−9−ホスファフルオレン−2,7−ジイル基からなる化合物、及びその製造法、並びに該化合物の発光材料としての挙動は知られていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、発光素子の構成材料等として利用可能な、新規な9−オキソ−9−ホスファフルオレン誘導体とその簡便且つ効果的な製造法を提供することを課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、一般式[2]
【化7】
(式中のRは水素原子、置換基を有していても良いアルキル基、同シクロアルキル基、同アルケニル基、同シクロアルケニル基、同アルキニル基、同アルコキシ基、同シクロアルキロキシ基、同アルケニロキシ基、同シクロアルケニロキシ基、同アリール基、同アラルキル基、同アリーロキシ基、同アラルキロキシ基、又は同複素環式基を示す。また、Xは脱離基を示す。)で表される、2,7−位に脱離基を有する9−オキソ−9−ホスファフルオレン化合物と、一般式[3]
ArB(OH)2 [3]
(式中のArはアリール基及び芳香族複素環式基を示す。)で表されるボロン酸化合物とを縮合反応させることにより、芳香族基及び9−オキソ−9−ホスファフルオレン−2,7−ジイル基からなる化合物が容易に製造し得ること、並びに、該化合物が発光素子の構成材料として利用し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0005】
即ち、本発明によれば、下記一般式[1]
【化8】
(式中のRは水素原子、置換基を有していても良いアルキル基、同シクロアルキル基、同アルケニル基、同シクロアルケニル基、同アルキニル基、同アルコキシ基、同シクロアルキロキシ基、同アルケニロキシ基、同シクロアルケニロキシ基、同アリール基、同アラルキル基、同アリーロキシ基、同アラルキロキシ基、又は同複素環式基を示し、Arはアリール基及び芳香族複素環式基を示す。)で表される、芳香族基及び9−オキソ−9−ホスファフルオレン−2,7−ジイル基からなる化合物、及びその製造法、並びにその発光素子の構成材料としての用途が提供される。
【0006】
また、本発明によれば、上記一般式[1]で表される9−オキソ−9−ホスファフルオレン誘導体と1種以上の金属化合物とからなる複合体、及びその製造法、並びに該複合体を含んでなる発光素子が提供される。
【0007】
【発明の実施の形態】
前記一般式[1]において、Rが置換基を有していても良いアルキル基の場合のアルキル基としては、例えば、炭素数1〜40、好ましくは1〜30、より好ましくは1〜18の直鎖状又は分岐状のアルキル基が挙げられ、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−、iso−、sec−、又はtert−ブチル基、n−、iso−、sec−、tert−、又はneo−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、2−オクチル基、2ーエチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ドデシル基、セチル基等が挙げられる。
Rが置換基を有していても良いシクロアルキル基の場合のシクロアルキル基としては、例えば、炭素数5〜30、好ましくは5〜20、より好ましくは5〜10の単環又は複合環式のシクロアルキル基が挙げられ、具体的には、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基等が挙げられる。
Rが置換基を有していても良いアルケニル基の場合のアルケニル基としては、例えば、前記した炭素数2以上のアルキル基に1個以上の二重結合を有するものが挙げられ、具体的には、例えば、ビニル基、アリル基、1−プロペニル基、イソプロペニル基、2−ブテニル基、1,3−ブタジエニル基、2−ペンテニル基、2−ヘキセニル基等が挙げられる。
Rが置換基を有していても良いシクロアルケニル基の場合のシクロアルケニル基としては、例えば、前記したシクロアルキル基に1個以上の二重結合等の不飽和結合を有するものが挙げられ、具体的には、例えば、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等が挙げられる。
Rが置換基を有していても良いアルキニル基の場合のアルキニル基としては、例えば、前記した炭素数2以上のアルキル基に1個以上の三重結合等の不飽和結合を有するものが挙げられ、具体的には、例えば、エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基等が挙げられる。
【0008】
Rが置換基を有していても良いアルコキシ基の場合のアルコキシ基としては、例えば、炭素数1〜40、好ましくは1〜30、より好ましくは1〜18の直鎖状又は分岐状のアルコキシ基が挙げられ、具体的には、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−、iso−、sec−、又はtert−ブトキシ基、n−、iso−、sec−、tert−、又はneo−ペンチロキシ基、n−ヘキシロキシ基、n−オクチロキシ基、2−オクチロキシ基、2−エチルヘキシロキシ基、n−ノニロキシ基、n−デシロキシ基、n−ドデシロキシ基、セチロキシ基等が挙げられる。
Rが置換基を有していても良いシクロアルキロキシ基の場合のシクロアルキロキシ基としては、例えば、炭素数5〜30、好ましくは5〜20、より好ましくは5〜10の単環又は複合環式のシクロアルキロキシ基が挙げられ、具体的には、シクロペンチロキシ基、シクロヘキシロキシ基、シクロオクチロキシ基等が挙げられる。
Rが置換基を有していても良いアルケニロキシ基の場合のアルケニロキシ基としては、例えば、炭素数2〜40、好ましくは2〜30、より好ましくは2〜15の直鎖状又は分岐状のアルケニロキシ基が挙げられ、具体的には、例えば、ビニロキシ基、1−プロペニロキシ基、アリロキシ基等が挙げられる。
Rが置換基を有していても良いシクロアルケニロキシ基の場合のシクロアルケニロキシ基としては、例えば、前記したシクロアルキロキシ基に1個以上の二重結合等の不飽和結合を有するものが挙げられ、具体的には、例えば、シクロペンテニロキシ基、シクロヘキセニロキシ基等が挙げられる。
【0009】
Rが置換基を有していても良いアリール基の場合のアリール基としては、例えば、炭素数6〜42、好ましくは6〜26、より好ましくは6〜22の単環、多環又は縮合環式のアリール基が挙げられ、具体的には、例えば、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基等が挙げられる。
Rが置換基を有していても良いアラルキル基の場合のアラルキル基としては、例えば、炭素数7〜30、好ましくは7〜20、より好ましくは7〜15の単環、多環又は縮合環式のアラルキル基が挙げられ、具体的には、例えば、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基等が挙げられる。
Rが置換基を有していても良いアリーロキシ基の場合のアリーロキシ基としては、例えば、炭素数6〜42、好ましくは6〜26、より好ましくは6〜22の単環、多環又は縮合環式のアリーロキシ基が挙げられ、具体的には、例えば、フェノキシ基、ナフチロキシ基、ビフェニロキシ基等が挙げられる。
Rが置換基を有していても良いアラルキロキシ基の場合のアラルキロキシ基としては、例えば、炭素数7〜30、好ましくは7〜20、より好ましくは7〜15の単環、多環又は縮合環式のアラルキロキシ基が挙げられ、具体的には、例えば、ベンジロキシ基、フェネチロキシ基、ナフチルメトキシ基、ナフチルエトキシ基等が挙げられる。
Rが置換基を有していても良い複素環式基の場合の複素環式基としては、例えば、環中に少なくとも1個以上の窒素原子、酸素原子又は硫黄原子を有し、1個の環の大きさが5〜20員、好ましくは5〜10員、より好ましくは5〜7員であって、前記したシクロアルキル基、シクロアルケニル基又はアリール基を縮合していても良い飽和又は不飽和の単環、多環又は縮合環式の複素環式基が挙げられ、具体的には、例えば、ピリジル基、チエニル基、フェニルチエニル基、チアゾリル基、フリル基、ピペリジル基、ピペラジル基、ピロリル基、モルホリノ基、イミダゾリル基、インドリル基、キノリル基、ピリミジニル基等が挙げられる。
【0010】
これらアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、シクロアルキロキシ基、アルケニロキシ基、シクロアルケニロキシ基、アリール基、アラルキル基、アリーロキシ基、アラルキロキシ基、及び複素環式基の置換基としては、本発明化合物の製造法において支障を来さないものであればどのような置換基でも良いが、例えば、アルキルチオ基(例えばメチルチオ基、エチルチオ基等)、ジアルキルアミノ基(例えばジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等)、トリ置換シリル基(例えばトリメチルシリル基、トリエチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基等)、トリ置換シロキシ基(例えばトリメチルシロキシ基、トリエチルシロキシ基、tert−ブチルジメチルシロキシ基、トリフェニルシロキシ基等)、例えば塩素、臭素、フッ素等のハロゲン原子、例えばメチレンジオキシ基、ジメチルメチレンジオキシ基等のアルキレンジオキシ基、シアノ基等が挙げられる。
【0011】
また、一般式[1]中の前記したアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、シクロアルキロキシ基、アルケニロキシ基、シクロアルケニロキシ基、アリール基、アラルキル基、アリーロキシ基、アラルキロキシ基、及び複素環式基が、相互に置換することができる場合には、これらの基が相互に置換したものであっても良い。そのようなものとしては、例えば、アルキル置換シクロアルキル基、アルキル置換アリール基、アルキル置換シクロアルケニル基、アルキル置換アラルキル基、シクロアルキル置換アルキル基、シクロアルキル置換アルケニル基、シクロアルキル置換アルキニル基、アルケニル置換アリール基、アリール置換アルケニル基、アリール置換アルキニル基、アルコキシ置換シクロアルキル基、アルコキシ置換アリール基、アルコキシ置換シクロアルケニル基、アルコキシ置換アラルキル基、シクロアルコキシ置換アルキル基、シクロアルコキシ置換アルケニル基、シクロアルコキシ置換アルキニル基、アルケニロキシ置換アリール基、アリーロキシ置換アルケニル基等が挙げられる。
【0012】
前記一般式[1]において、Arが置換基を有していても良いアリール基の場合のアリール基としては、例えば、炭素数6〜42、好ましくは6〜26、より好ましくは6〜22の単環、多環又は縮合環式のアリール基が挙げられ、具体的には、例えば、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基等が挙げられる。
Arが置換基を有していても良い芳香族複素環式基の場合の芳香族複素環式基としては、例えば、環中に少なくとも1個以上の窒素原子、酸素原子又は硫黄原子を有し、1個の環の大きさが5〜20員、好ましくは5〜10員、より好ましくは5〜7員であって、前記したシクロアルキル基、シクロアルケニル基又はアリール基を縮合していても良い不飽和単環、多環又は縮合環式の芳香族複素環式基が挙げられ、具体的には、例えば、ピリジル基、ピロリル基、イミダゾリル基、インドリル基、キノリニル基、フリル基、ベンゾフリル基、チエニル基、ベンゾチオフェニル基等が挙げられる。
【0013】
これらのアリール基及び芳香族複素環式基の置換基としては、本発明化合物の製造法において支障を来さないものであればどのような置換基でも良いが、例えば、前述したアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、シクロアルキロキシ基、アルケニロキシ基、シクロアルケニロキシ基、アリール基、アラルキル基、アリーロキシ基、アラルキロキシ基、複素環式基の他、ジアルキルアミノ基(例えばジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等)、トリ置換シリル基(例えばトリメチルシリル基、トリエチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基等)、トリ置換シロキシ基(例えばトリメチルシロキシ基、トリエチルシロキシ基、tert−ブチルジメチルシロキシ基、トリフェニルシロキシ基等)、例えば塩素、臭素、フッ素、ヨウ素等のハロゲン原子、例えばメチレンジオキシ基、ジメチルメチレンジオキシ基等のアルキレンジオキシ基、シアノ基等が挙げられる。
【0014】
前記一般式[1]で表される化合物は、例えば、一般式[2]
【化9】
(式中のRは前記と同じ。Xは脱離基を示す。)で表される2,7位に脱離基を有する9−オキソ−9−ホスファフルオレン化合物に、一般式[3]
ArB(OH)2 [3]
(式中のArは前記と同じ。)で表されるボロン酸化合物を作用させて、一般に鈴木反応として知られる縮合反応を起こさせることにより製造することができる。
【0015】
前記一般式[2]において、Xで示される脱離基としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子の他、アセトキシフェニルヨードニオ基やフェニルトリフルオロメタンスルホキシヨードニオ基等のヨードニオ基、メタンスルホニル基やトリフルオロメタンスルホニル基等のスルホニル基等の各種脱離基が例示される。
前記一般式[2]において、Rは既に述べた前記一般式[1]におけるRと同じである。
また、前記一般式[3]において、Arは前記一般式[1]におけるArと同じである。
【0016】
本発明の縮合反応は、遷移金属化学種、特に鈴木−宮浦反応に一般に用いられる遷移金属化学種の存在下に効率的に進行する。
遷移金属としては、周期律表第8〜10族のいわゆる後周期遷移金属が好ましく、低原子価のもの、特に、ニッケル、パラジウムを含む低原子価のものが効果的である。
低原子価遷移金属化学種は、予め調製して用いても良いが、反応系中で容易に低原子価遷移金属化学種に変換される適当な前駆体を用いることも好ましい態様である。これらの予め調製して用いる態様、前駆体を用いる態様の何れかの態様で用いられる遷移金属化学種としては、金属粉末等の金属単体、活性炭等に担持した金属、各種の配位子を配位した金属塩又は金属錯体が挙げられる。3級ホスフィンや3級ホスファイト、イミン類、ピリジン誘導体を配位子とする錯体や、上記の後周期の金属化学種にこれらの配位子を添加して発生する化学種は特に好ましく用いられる。
【0017】
本発明において、好適に用いることができる配位子を例示すると、トリフェニルホスフィン、ジフェニルメチルホスフィン、フェニルジメチルホスフィン、トリ(2−フリル)ホスフィン、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、トリメチルホスファイト、トリフェニルホスファイト、フェニル亜ホスホン酸ジメチル、ジフェニル亜ホスホン酸メチル、エチレン−1,2−ビスオキサゾリン、ジフェニルホスフィノメチルオキサゾリン、ピリジン、2,2’−ビピリジル、オルトフェナントロリン等が挙げられる。
【0018】
本発明の反応においてこれらの予め調製して用いる態様、前駆体を用いる態様の何れかの態様で用いられる遷移金属化学種として、好適に用いられる遷移金属化学種を具体的に例示すると、パラジウム粉末、活性炭担持パラジウム、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム、塩化パラジウム、酢酸パラジウム、ジクロロビス(ベンゾニトリル)パラジウム、ジクロロ(1,5−シクロオクタジエン)パラジウム(II)、パラジウム(II)ビスヘキサフルオロペンタンジオナート、パラジウム(II)ビスペンタンジオナート、ジメチルビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ジメチルビス(ジフェニルメチルホスフィン)パラジウム、ジメチルビス(ジメチルフェニルホスフィン)パラジウム、ジメチルビス(トリエチルホスフィン)パラジウム、ジメチル[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム、ジメチル[1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン]パラジウム、(エチレン)ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ジクロロ(オルトフェナントロリン)パラジウム、ジクロロ[エチレン−1,2−ビスオキサゾリン]パラジウム、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル、等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0019】
また、低原子価遷移金属化学種を予め調製して用いる代りに、低原子価でない遷移金属化学種に還元剤を加えて低原子価遷移金属化学種を生成させ、それをそのまま反応に用いることも出来る。この場合の還元剤としては、水素化ホウ素ナトリウム、水素化リチウムアルミニウム、金属亜鉛、ヒドラジン等が挙げられる。
【0020】
遷移金属化学種は、前記一般式[2]で表される化合物に対して0.00001〜20当量、好ましくは0.0001〜2当量の割合で用いられる
【0021】
本発明の縮合反応の生起には、前記一般式[3]で表されるボロン酸化合物の用いる量には制限はないが、より高い収率を実現するためには一般的には前記一般式[2]で表される化合物に対して0.5当量以上が好ましく、より好ましくは0.95〜10当量である。
【0022】
本発明の縮合反応においては、塩基を用いることにより好ましい速度が達成される。塩基としては種々の無機又は有機塩基を用いることができるが、その具体例としては、例えば、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化バリウム、リン酸三リチウム、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、フッ化セシウム、炭酸セシウム、酸化アルミニウム、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トルブチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルピペリジン、2,2,6,6−テトラメチル−N−メチルピペリジン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、N−メチルモルホリン、ナトリウムエトキシド、カリウムtert−ブトキシド等が例示される。
用いられる塩基の量は、一般式[2]で表される化合物に対して0.01〜100当量、好ましくは0.1〜20当量の割合で用いられる。また、これらの塩基はそれぞれ単独で用いても、複数の塩基を必要に応じて適宜組み合わせて用いても何れでも良い。
【0023】
本発明の縮合反応は、種々の温度で実施できるが、通常−70〜180℃、より好ましくは0℃〜150℃である。
【0024】
本発明の縮合反応においては、溶媒を用いることが好ましい。
本発明の縮合反応において用いられる溶媒としては種々の炭化水素系溶媒、エーテル系溶媒、プロトン性又は非プロトン性高極性溶媒を用いることができるが、その具体例としては、例えば、ヘキサン、デカン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、ベンゾニトリル、水、ヘキサメチルリン酸トリアミド、ジメチルスルホキシド等が例示される。
用いられる溶媒の量に制限はないが、一般式[2]で表される化合物1mmolに対して通常は0.1〜100mL、好ましくは1〜20mLである。また、これらの溶媒はそれぞれ単独で用いても、複数の溶媒を必要に応じて適宜組み合わせて用いても何れでも良い。更に、用いる塩基が前記の反応温度において液体である場合には、このものを溶媒として用いることも出来る。
【0025】
生成物の単離及び精製は再結晶、カラムクロマトグラフィー等、常法により容易に行うことができる。
【0026】
本発明の、芳香族基及び9−オキソ−9−ホスファフルオレン−2,7−ジイル基からなる化合物は、スピンコーティングやキャスト法等の簡便な成形加工手法により、薄膜化が可能であり、有機発光素子の構成材料とすることができる。
【0027】
本発明の、一般式[1]で表される9−オキソ−9−ホスファフルオレン誘導体(即ち、芳香族基及び9−オキソ−9−ホスファフルオレン−2,7−ジイル基からなる化合物。以下、化合物[1]と略記する。)と1種以上の金属化合物とからなる複合体は、該化合物[1]と該金属化合物とを溶媒中で混合することによって製造することができる。また、該化合物[1]を含む溶液と該金属化合物を含む溶液との混合によっても製造することができる。
【0028】
本発明の複合体の製造に用いられる金属化合物としては、ルイス酸性を有し、前記一般式[1]で示される化合物を酸化も還元もしないものが好ましい。
具体例としては、例えば、塩化リチウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウム、過塩素酸リチウム、テトラフルオロホウ酸リチウム、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、フッ化ホウ素、臭化ホウ素、テトラフルオロホウ酸トリフェニルメチル、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、ヨウ化マグネシウム、過塩素酸マグネシウム、塩化アルミニウム、臭化アルミニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリル、塩化スカンジウム、臭化スカンジウム、ヨウ化スカンジウム、トリフルオロメタンスルホン酸スカンジウム、過塩素酸スカンジウム、トリフルオロメタンスルホン酸チタン(IV)、塩化亜鉛、臭化亜鉛、ヨウ化亜鉛、トリフルオロメタンスルホン酸亜鉛、塩化ガリウム、臭化ガリウム、ヨウ化ガリウム、トリフルオロメタンスルホン酸ガリウム、塩化スズ(IV)、臭化スズ(IV)、ヨウ化スズ(IV)、トリフルオロメタンスルホン酸スズ(IV)、塩化バリウム、臭化バリウム、ヨウ化バリウム、塩化イットリウム、臭化イットリウム、ヨウ化イットリウム、トリフルオロメタンスルホン酸イットリウム、過塩素酸イットリウム、塩化ジルコニウム(IV)、臭化ジルコニウム(IV)、ヨウ化ジルコニウム(IV)、トリフルオロメタンスルホン酸ジルコニウム(IV)、過塩素酸ジルコニウム(IV)、塩化ビスマス、臭化ビスマス、ヨウ化ビスマス、トリフルオロメタンスルホン酸ビスマス、塩化ランタノイド(III)、臭化ランタノイド(III)、ヨウ化ランタノイド(III)、トリフルオロメタンスルホン酸ランタノイド(III)、過塩素酸ランタノイド(III)、塩化ハフニウム(IV)、臭化ハフニウム(IV)、ヨウ化ハフニウム(IV)、トリフルオロメタンスルホン酸ハフニウム(IV)、過塩素酸ハフニウム(IV)等が例示される。
これらの金属化合物はそれぞれ単独で用いても良いし、また、2種以上適宜組み合わせて用いても良い。
【0029】
本発明の複合体の製造法において用いられる溶媒に特に制限はないが、容易に入手することができ、溶解性が大きいという点でクロロホルム、ジクロロメタン、クロロベンゼン、テトラヒドロフランのような極性溶媒が好ましい。これら本発明の複合体の製造法において用いられる溶媒は、それぞれ単独で用いても2種以上適宜組み合わせて用いても何れでもよい。
【0030】
本発明の複合体の製造法において用いられる、化合物[1]及び前記の金属化合物の濃度に特に制限はないが、化合物[1]及び/又は前記の金属化合物の濃度がこれらの飽和濃度未満であることが好ましい。
【0031】
本発明の複合体の製造法において用いられる金属化合物の、化合物[1]に対する当量比に特に制限はないが、通常は、化合物[1]1に対して金属化合物0.001〜100、好ましくは0.05〜10である。
【0032】
本発明の複合体の製造法において、化合物[1]と金属化合物を混合する温度は、通常は−116〜200℃、好ましくは−78〜125℃である。
【0033】
本発明の複合体は、そのまま、又はスピンコーティングやキャスト法等の簡便な成形加工手法による薄膜化により、発光体とすることができる。
【0034】
【実施例】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
【0035】
実施例1
窒素雰囲気下で、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)0.0058g(0.005mmol)と2,7−ジブロモ−9−ノニル−9−オキソ−9−ホスファフルオレン(一般式[2]において、R=ノニル基、X=臭素原子)0.242g(0.5mmol)、4−メチルフェニルボロン酸(一般式[3]において、Ar=4−メチルフェニル基)0.170g(1.25mmol)、リン酸カリウム1.0g及びN,N−ジメチルホルムアミド5mLの混合物を125℃に加熱し、この温度で24時間攪拌した。反応混合物を水100mLに注ぎ、得られた粉末を濾取した。この粉末を水50mLで洗浄した後、テトラヒドロフラン50mLに溶解して低沸点物を減圧留去し、メタノール5mLから再結晶することにより、2,7−ビス(4−メチルフェニル)−9−ノニル−9−オキソ−9−ホスファフルオレン(一般式[1]において、R=ノニル基、Ar=4−メチルフェニル基)0.215gを単離した。
【0036】
実施例1で得られた化合物のスペクトルデータ及び元素分析の結果は以下の通りである。
1H−NMR(CDCl3):δ0.83(3H,t,J=6.7Hz),1.17−1.26(10H,m),1.29−1.31(2H,m),1.55−1.60(2H,m),2.08−2.15(2H,m),2.42(6H,s),7.27(4H,d,J=7.9Hz),7.55(4H,d,J=7.9Hz),7.78−7.86(4H,m),8.05(2H,d,J=9.2Hz)ppm。
13C−NMR(CDCl3):δ14.1,21.2,22.1(d,J=3.5Hz),22.6,29.0,29.3,30.5(d,J=69.4Hz),30.8(d,J=15.3Hz),31.8,112.5(d,J=10.0Hz),126.8,127.8(d,J−9.8Hz),129.8,131.7(d,J=2.0Hz),132.4(d,J=100.6Hz),136.9,138.0,139.6(d,J=20.7Hz),142.0(d,J=10.7Hz)ppm。
31P−NMR(CDCl3):δ43.9ppm。
元素分析:C35H39OPとしての計算値(%):C,82.97;H,7.76。実測値(%):C,82.77;H,7.76。
【0037】
実施例2
4−メチルフェニルボロン酸の代わりに4−メトキシフェニルボロン酸(一般式[3]において、Ar=4−メトキシフェニル基)0.196g(1.25mmol)を使用した以外は実施例1と同様にして、2,7−ビス(4−メトキシフェニル)−9−ノニル−9−オキソ−9−ホスファフルオレン(一般式[1]において、R=ノニル基、Ar=4−メトキシフェニル基)0.241gを単離した。
【0038】
実施例2で得られた化合物のスペクトルデータ及び元素分析の結果は以下の通りである。
1H−NMR(CDCl3):δ0.81(3H,t,J=9.0Hz),1.16(10H,brs),1.16−1.21(2H,m),1.54−1.57(2H,m),2.09−2.15(2H,m),3.86(6H,s),7.00(4H,d,J=8.5Hz),7.57(4H,d,J=8.5Hz),7.75(2H,d,J=8.0Hz),7.80(2H,dd,J=3.0,8.0Hz),8.01(2H,dd,J=1.9,9.7Hz)ppm。
13C−NMR(CDCl3):δ14.2,22.2(d,J=3.1Hz),22.7,29.1,29.3,30.3(d,J=70.4Hz),31.1(d,J=15.5Hz),31.9,55.6,114.6,121.7(d,J=10.3Hz),127.4(d,J=10.3Hz),128.2,131.6,132.3,132.5(d,J=101.7Hz),139.5(d,J=20.7Hz),141.8(d,J=11.1Hz)ppm。
31P−NMR(CDCl3):δ45.9ppm。
元素分析:C35H39OPとしての計算値(%):C,78.04;H,7.30。実測値(%):C,78.13;H,7.28。
【0039】
実施例3
4−メチルフェニルボロン酸の代わりにフェニルボロン酸(一般式[3]において、Ar=フェニル基)0.159g(1.25mmol)を使用した以外は実施例1と同様にして、2,7−ジフェニル−9−ノニル−9−オキソ−9−ホスファフルオレン(一般式[1]において、R=ノニル基、Ar=フェニル基)0.226gを単離した。
【0040】
実施例3で得られた化合物のスペクトルデータ及び元素分析の結果は以下の通りである。
1H−NMR(CDCl3):δ0.83(3H,t,J=7.0Hz),1.18(10H,brs),1.29−1.32(2H,m),1.55−1.63(2H,m),2.10−2.20(2H,m),7.43(2H,t,J=7.8Hz),7.49(4H,t,J=7.8Hz),7.50(4H,d,J=7.8Hz),7.83−7.87(4H,m),8.98(2H,dd,J=1.3,9.6Hz)ppm。
13C−NMR(CDCl3):δ14.1,22.1(d,J=4.1Hz),22.6,28.9,29.1,29.3,30.0(d,J=69.3Hz),31.8,121.7(d,J=10.3Hz),127.0,128.03,128.04(d,J=9.4Hz),129.1,132.0,132.8(d,J=100.3Hz),139.7,139.8(d,J=10.7Hz),142.1(d,J=10.3Hz)ppm。
31P−NMR(CDCl3):δ44.0ppm。
元素分析:C35H39OPとしての計算値(%):C,82.81;H,7.37。実測値(%):C,82.77;H,7.24。
【0041】
実施例4
4−メチルフェニルボロン酸の代わりに4−クロロフェニルボロン酸(一般式[3]において、Ar=4−クロロフェニル基)0.202g(1.25mmol)を使用した以外は実施例1と同様にして、2,7−ビス(4−クロロフェニル)−9−ノニル−9−オキソ−9−ホスファフルオレン(一般式[1]において、R=ノニル基、Ar=4−クロロフェニル基)0.187gを単離した。
【0042】
実施例4で得られた化合物のスペクトルデータ及び元素分析の結果は以下の通りである。
1H−NMR(CDCl3):δ00.83(3H,t,J=6.7Hz),1.17(10H,brs),1.30−1.33(2H,m),1.50−1.57(2H,m),2.08−2.16(2H,m),7.45(4H,d,J=6.6Hz),7.57(4H,d,J=6.6Hz),7.77(2H,d,J=8.6Hz),7.85(2H,d,J=2.6,8.0Hz),8.02(2H,dd,J=1.4,9.6Hz)ppm。
13C−NMR(CDCl3):δ14.0,22.0(d,J=4.1Hz),22.6,28.9,29.1,29.2,30.1(d,J=70.4Hz),30.7(d,J=15.5Hz),31.7,121.8(d,J=10.4Hz),127.8(d,J=9.3Hz),128.2,128.6(d,J=99.4Hz),129.2,131.9,134.3,138.0,139.9(d,J=20.7Hz),141.0(d,J=10.3Hz)ppm。
31P−NMR(CDCl3):δ44.0ppm。
元素分析:C33H33OPCl2としての計算値(%):C,72.39;H,6.08。実測値(%):C,72.63;H,5.87。
【0043】
実施例5
4−メチルフェニルボロン酸の代わりにチオフェン−2−ボロン酸(一般式[3]において、Ar=2−チエニル基)0.202g(1.25mmol)を使用した以外は実施例1と同様にして、2,7−ビス(2−チエニル)−9−ノニル−9−オキソ−9−ホスファフルオレン(一般式[1]において、R=ノニル基、Ar=2−チエニル基)0.209gを単離した。
【0044】
実施例5で得られた化合物のスペクトルデータ及び元素分析の結果は以下の通りである。
1H−NMR(CDCl3):δ0.82(3H,t,J=6.9Hz),1.18(8H,brs),1.26−1.35(2H,m),1.51−1.57(2H,m),2.13−2.20(2H,m),7.12(2H,dd,J=3.7,5.1Hz),7.34(2H,dd,J=3.0,5.1Hz),7.40(2H,dd,J=3.0,3.7Hz),7.34(2H,dd,J=2.8,8,1Hz),7.75(2H,dd,J=1.4,8.1Hz),8.07(2H,dd,J=1.4,9.7Hz)ppm。
13C−NMR(CDCl3):δ14.1,22.1(d,J=4.1Hz),22.6,28.9,29.1,29.3,30.3(d,J=69.3Hz),30.8(d,J−14.5Hz),31.8,121.7(d,J=9.3Hz),124.0,125.8,126.5(d,J=10.2Hz),128.4,130.5(d,J=2.1Hz),132.9(d,J=100.3Hz),135.4(d,J=11.4Hz),139.6(d,J=21.7Hz),142.9ppm。
31P−NMR(CDCl3):δ43.8ppm。
元素分析:C29H31OPS2としての計算値(%):C,70.99;H,6.37。実測値(%):C,70.81;H,6.50。
【0045】
実施例6
2,7−ジブロモ−9−ノニル−9−オキソ−9−ホスファフルオレンの代わりに2,7−ジブロモ−9−(2−エチルヘキシル)−9−オキソ−9−ホスファフルオレン(R=2−エチルヘキシル基、X=臭素原子)0.242g(0.5mmol)を使用した以外は実施例1と同様にして、2,7−ビス(4−メチルフェニル)−9−(2ーエチルヘキシル)−9−オキソ−9−ホスファフルオレン(一般式[1]において、R=2−エチルヘキシル基、Ar=4ーメチルフェニル基)0.242gを単離した。
【0046】
実施例6で得られた化合物のスペクトルデータ及び元素分析の結果は以下の通りである。
1H−NMR(CDCl3):δ0.72−0.77(6H,m),1.08−1.10(4H,m),1.25−1.30(2H,m),1.60−1.75(1H,m),2.09−2.16(2H,m),7.26(4H,d,J=7.8Hz),7.54(4H,d,J=7.8Hz),8.06(2H,dd,J=1.2,9.7Hz)ppm。
13C−NMR(CDCl3):δ10.5,14.1,21.3,22.8,27.5(d,J=8.3Hz),28.6,34.3(d,J=7.2Hz),34.5,34.8(d,J=63.1Hz),121.6(d,J=10.3Hz),126.9,128.0(d,J=9.3Hz),131.7(d,J=2.1Hz),133.5(dd,J=16.6,100.4Hz),137.1,138.0,139.7(dd,J=4.1,20.6Hz),142.1(dd,J=7.3,10.3Hz)ppm。
31P−NMR(CDCl3):δ44.4ppm。
元素分析;C34H37OPとしての計算値(%):C,82.89;H,7.57。実測値(%):C,82.66;H,7.77。
【0047】
実施例7(光学的特性)
実施例1〜6で得られた各化合物の光学的特性について評価した。測定項目としては、紫外線領域における吸収極大波長(λUV)とモル吸光係数の常用対数値(log ε)、紫外光照射による蛍光スペクトルの極大波長(λEM)、溶液状態における量子効率を求めた。結果を表1に示す。
【0048】
【表1】
【0049】
実施例8
実施例1で得られた化合物0.0051gをテトラヒドロフラン100mLに溶解し、得られた溶液の光学的特性について評価した。測定項目としては、紫外線領域における吸収極大波長(λUV)とモル吸光係数の常用対数値(log ε)、紫外光照射による蛍光スペクトルの極大波長(λEM)を求めた。
【0050】
実施例9〜16
実施例1で得られた化合物0.0013gをテトラヒドロフラン25mLに溶解し、この溶液1.0mLと所定量(AmL)のトリフルオロメタンスルホン酸イットリウム(III)/テトラヒドロフラン溶液(5.0×10−5mol/L)を混合すると、該化合物と該金属化合物の複合体が得られた。得られた複合体の溶液をテトラヒドロフランで10mLに希釈して、複合体の光学的特性について評価した。測定項目としては、紫外線領域における吸収極大波長(λUV)とモル吸光係数の常用対数値(log ε)、紫外光照射による蛍光スペクトルの極大波長(λEM)を求めた。結果を実施例8の結果と併せて表2に示す。
【0051】
【表2】
【0052】
実施例17〜31
実施例1で得られた化合物0.0013gをテトラヒドロフラン25mLに溶解し、この溶液1.0mLと2.0×10−5mol/Lのトリフルオロメタンスルホン酸希土類(III)[Ln(OTf)3]のテトラヒドロフラン溶液1.0mLを混合すると、該化合物と該金属化合物の複合体が得られた。得られた複合体の溶液をテトラヒドロフランで10mLに希釈して複合体の光学的特性について評価した。測定項目としては、紫外線領域における吸収極大波長(λUV)とモル吸光係数の常用対数値(log ε)、紫外光照射による蛍光スペクトルの極大波長(λEM)を求めた。結果を表3に示す。また、比較のため実施例8の結果も表3に併せて示す。
【0053】
【表3】
【0054】
実施例32
実施例1で得られた化合物0.0051gとトリフルオロメタンスルホン酸スカンジウム0.0049gをクロロホルム100mL中で混合して、25℃で24時間静置すると、該化合物と該金属化合物の複合体の溶液が得られた。この溶液中の複合体の紫外線領域における吸収極大波長は325nm、モル吸光係数の常用対数値は4.58、紫外光照射による蛍光スペクトルの極大波長は438nmであった。該化合物のみのクロロホルム溶液中での蛍光スペクトルの極大波長は413nmであり、該複合体の形成により、該化合物の蛍光波長が25nm長くなっていることがわかった。
【0055】
実施例33
実施例1で得られた化合物0.0011gをテトラヒドロフラン4mLとクロロベンゼン2mLの混合溶媒中に溶解し、この溶液を石英板上に展開して溶媒を蒸発させると、該化合物の薄膜が得られた。得られた該化合物の薄膜の光学的特性について評価した。測定項目としては、紫外線領域における吸収極大波長(λUV)と紫外光照射による蛍光スペクトルの極大波長(λEM)を求めた。結果を表4に示す。
【0056】
実施例34〜37
実施例1で得られた化合物0.0011gとトリフルオロメタンスルホン酸希土類(III)[Ln(OTf)3]0.002mmolをテトラヒドロフラン4mL中で混合して25℃で30分間静置すると、該化合物と該金属化合物の複合体の溶液が得られた。得られた溶液にクロロベンゼン2mLを加え、この溶液を石英板上に展開して溶媒を蒸発させると、該複合体の薄膜が得られた。得られた該複合体の薄膜の光学的特性について評価した。測定項目としては、紫外線領域における吸収極大波長(λUV)と紫外光照射による蛍光スペクトルの極大波長(λEM)を求めた。結果を表4に示す。
【0057】
【表4】
【0058】
【発明の効果】
以上述べた如く、本発明によれば、発光素子の有用な構成材料として使用し得る、2,7−芳香族基置換9−オキソ−9−ホスファフルオレン化合物及び該化合物と金属化合物との複合体、並びに、これら化合物の簡便且つ効果的な製造方法を提供することが出来る点に顕著な効果を奏する。
Claims (13)
- 遷移金属化学種の存在下に縮合反応を行う請求項2に記載の製造法。
- 遷移金属化学種が低原子価遷移金属化学種である請求項3に記載の製造法。
- 低原子価遷移金属化学種が、低原子価でない遷移金属化学種に還元剤を加えて生成させた低原子価遷移金属化学種である請求項4に記載の製造法。
- 遷移金属がパラジウムである請求項3〜5の何れかに記載の製造法。
- パラジウム触媒が、3級ホスフィン又は3級ホスファイトを配位子とする2価の錯体である請求項6に記載の製造法。
- パラジウム触媒が、反応系中で容易に低原子価錯体に変換し得る前駆体錯体である請求項6に記載の製造法。
- 金属化合物がルイス酸性を有し、且つ一般式[1]で表される9−オキソ−9−ホスファフルオレン誘導体を酸化も還元もしないものである、請求項10に記載の複合体。
- 請求項10又は11に記載の複合体を含んでなる発光素子。
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