JP3771794B2 - 遠心ポンプ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は遠心ポンプに関し、特にはその静止流路形状に関する。
【0002】
【従来の技術】
図17は典型的な高圧多段遠心ポンプの全体の断面図である。流体は吸込口から入り、各段の羽根車1を順次通過する毎に、単段羽根車揚程分昇圧され吐出口より高圧状態で流出する。
図18(A)は図17のXVIIIA-XVIIIA 面に沿って見た、ある1つの段のポンプの断面図であって、羽根車1の周りに、基部2aと基部2aから延伸する舌部2bから成る固定案内羽根2が部分的にオーバーラップするように、周方向に3個所(但し固定案内羽根は1乃至複数箇所でも良い)、所定のピッチで配設されている。隣接する2つの固定案内羽根2の内の上流側の固定案内羽根2の、詳細にはその基部2aの、内側面3と、下流側の固定案内羽根2の、詳細にはその舌部2bの外側面4で静止流路5が構成される。羽根車1から流出した流体は、舌部2bの舌端部6の先端の舌端6aで画成される入口8から静止流路5内に入り、静止流路5おいて、減速し、速度エネルギーから圧力エネルギーに変換され次の段の羽根車入口に導かれる。
図18の(B)は、図18の(A)の線XVIIIB-XVIIIB線に沿って見た断面である。
【0003】
なお、特許請求の範囲を含め、本明細書に説明において、舌部、舌端部および舌端という用語を使用するが、舌部2bは固定案内羽根2の基部2aから舌の様に延伸している部材全体を意味し、舌端部6はその先端部分を意味し、舌端6aは、舌端部6の最先端を意味する。
【0004】
上記のような、高圧ポンプのプラント配管系統内において、小流量運転を行った場合に、配管系統内の圧力脈動振幅が増加し、激しい振動が発生することがある。
これは、図19の(A)に示すようなポンプの、いわゆる、Q−H特性(静特性を意味する)の右上がりの不安定域近傍で運転することによるサージング等の不安定現象、もしくは、配管系流体柱の固有振動数と連成した自励振動現象等であることが明らかになってきている。
【0005】
従来は、こうしたトラブルの対策として、ポンプ運転点の下限を上げたり、配管系の変更により流体柱の固有振動数を変える等が行なわれてきたが後者は、系統変更が困難な場合が多く、その効果も不確さが残るため多くの場合前者の対策がなされている。一方、ポンプ運転点の下限(ミニマムフロー)の増加策は、必要以上の流量を送水するため、プラントシステムとしてのエネルギー損失につながったりバイパス流路等余分な配管が必要となる場合がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、ポンプ特性の不安定性そのものを低減することが望まれており、本発明はかかる状況に鑑み、ポンプ特性の安定性を向上することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
さて、本願出願人は、実験によって、定格点流量運転時では図20(A)に示すスムーズな流況を示すものが、図19における低流量の不安定域(右上がり領域)のポンプ運転条件では、図20の(B)に示すように渦を発生していることを確認した。
そして、この渦が拡大・発達して圧損が増加して、抵抗が不安定となり、その結果、ポンプの特性が不安定になるものと考えられる。
そこで、本発明では、上記知見に基づき以下のようにして、ポンプの安定性を向上する。
【0008】
請求項1の発明によれば、回転駆動される羽根車の外側に軸方向に離間して形成された一対の軸方向側壁の間に、舌部を有する1個乃至複数の固定案内羽根を架橋配置し、固定案内羽根の内側面と固定案内羽根の外側面で静止流路を形成して成る遠心ポンプにおいて、
低流量時に固定案内羽根の舌端の近傍の径方向外側の領域に発生する渦を抑制するために、固定案内羽根の舌端の近傍の径方向外側の領域に渦発生抑制手段を設けたことを特徴とする遠心ポンプが提供される。
このように構成した遠心ポンプでは低流量時、渦発生抑制手段により渦発生が抑制されるので、ポンプ特性の安定性が向上する。
請求項2の発明では、固定案内羽根の舌端位置における静止流路の入口の径をAとしたときに、舌端から上流側に長さAの位置から下流側に長さ2Aの位置までの区間の、固定案内羽根よりも径方向外側の領域に、渦発生抑制手段が設けられる。
【0009】
請求項の発明では、渦発生抑制手段が、軸方向側壁に設けられた、部分流量時の高い静圧領域と低い静圧領域とを結ぶ、1つ以上の再循環流路とされ、再循環流路を通る流れにより渦の発生が抑制される。
請求項の発明では、特に、再循環流路が、軸方向側壁の壁面に形成した溝であって、該溝が部分流量時の強い静圧勾配に沿って形成されており、請求項の発明では、特に、再循環流路が、渦発生領域の軸方向側壁の壁面に入口を有し、該入口より内側の壁面に出口を有する、軸方向側壁の内部に形成されたトンネル状の流路とされる。
【0010】
請求項の発明では、渦発生抑制手段が渦発生領域の上流部分の静止流路内に配設した1つ以上の渦撹乱板とされ、渦撹乱板によって渦の成長が抑制される。
請求項の発明では、特に、渦撹乱板は、長手方向の軸線が定格点流量運転時に渦が発生しないように定格点流量運転時の流れ方向に略沿うように設置されている。
請求項の発明では、渦発生抑制手段が渦発生領域の壁面に設けた1つ以上の突起又は凹凸とされ、突起又は凹凸により渦の発達が抑制される。
【0011】
請求項の発明では、渦発生抑制手段が、後流側が流路断面積が大きくなるように、周方向において略舌端の位置において、静止流路を形成する上流側の固定案内羽根の内側面、および、または、軸方向側壁面に設けた段差とされ、段差により渦の発達が抑制される。
【0012】
請求項10の発明では、複数の固定案内羽根を有していて、渦発生抑制手段が、静止流路を形成する上流側の固定案内羽根を貫通し該上流側の固定案内羽根の外側面に設けた開口と内側面に設けた開口の間を連通する連通穴であって、該連通穴の内側面の開口が周方向において下流側の固定案内羽根の舌端の位置にあるように形成されていて、連通穴の外側面開口から内側面開口へ流体が流れ渦の発達が抑制される。
【0013】
請求項11の発明では、複数の固定案内羽根を有していて、渦発生抑制手段が、静止流路を形成する前記外側面を提供する周方向において下流側の固定案内羽根の舌部の舌端部分の外側面に設けた開口と内側面に設けた開口の間を連通する連通穴とされ、連通穴の内側面開口から外側面開口へ流体が流れ渦の発達が抑制される。
【0014】
請求項12の発明では、遠心ポンプが、前段のポンプの静止流路の外側出口から、後段のポンプの羽根車室に伸びる戻り流路を有する多段遠心ポンプであって、複数の固定案内羽根を有し、
渦発生抑制手段が、前段のポンプの静止流路の後段側の軸方向側壁面の周方向において舌端の近傍の位置に設けた開口と、ポンプの戻り流路を形成する壁面に設けた開口を連通する連通穴とされ、連通穴のポンプの戻り流路を形成する壁面に設けた開口から前段のポンプの静止流路の後段側の軸方向側壁面の周方向において舌端の近傍の位置に設けた開口へ流体が流れ渦の発生が抑制される。
【0015】
請求項13の発明では、複数の固定案内羽根を有し、渦発生抑制手段が、静止流路を流れる流体が静止流路を形成する下流側の固定案内羽根の舌部の外面の舌端の直後流部分で剥離しないようにする剥離防止手段とされ、流体の剥離が防止されて渦の発生が抑制される。
請求項14の発明では、特に、剥離防止手段が、静止流路を形成する前記外側面を提供する周方向において下流側の固定案内羽根の外側面を周方向において下流側の舌部の舌端から所定の区間にわたり滑らかに内側に凹ませた凹部とされ、請求項15の発明では、特に、剥離防止手段が、さらに、前記凹部に対向するように、静止流路を形成する上流側の固定案内羽根の内側面を内側に滑らかに突出させた凸部を含むようにされている。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、添付の図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。初めに第1の実施形態について説明する。第1の実施形態は、静止流路の軸方向の側壁に1つ以上の再循環流路を設けて再循環流路に沿う流体の流れを発生して渦の発生を抑制するものである。
図1がこの第1の実施形態における再循環流路を説明する図であって、(A)は回転軸に直角な平面に沿って見た断面図、(B)は図1のIB-IB 面に沿って見た断面図、(C)は図1の(A)のIC-IC 面に沿って見た断面図である。
【0017】
従来技術に関し、図18に示したように、羽根車1の外側に軸方向に離間して形成されている一対の軸方向側壁7a,7bの間に、1乃至複数の固定案内羽根2が架橋配置されていて、固定案内羽根2の内の、上流側の固定案内羽根2の内側面3と下流側の固定案内羽根2の外側面4の間に静止流路5が形成されていて、下流側の固定案内羽根2の舌部2bの舌端6aの付近の軸方向の一対の側壁7a,7bに、それぞれ、上流側の固定案内羽根2の内側面3で規定される外側端部と羽根車1の直外側の内側端部を結ぶように、放射方向とθの角度を成して、矩形断面の溝状の再循環流路10が2本形成されている。
【0018】
ここで、再循環流路10を配設する領域について詳述する。図2は、再循環流路10を設けない場合の渦の発生する領域を示す図であって、静止流路5の入口8のポート直径をAとすると、舌端6aから上流側にA、下流側に2Aの範囲に、外周壁側から梨地表示したような幅で発生する。そこで、再循環流路10は図2に示す渦発生領域を通過するように配設されている。
【0019】
次に、再循環流路10は放射方向とθの角度をなしている理由について説明する。図3には、再循環流路10を設けない場合の当該部分の静圧分布(等静圧線)が示されている。再循環流路10の内周側への流れは図3に示される静圧分布における静圧勾配によって生ずるので、再循環流路10はこの勾配の強い方向に沿うように、等静圧線にほぼ直交する方向に傾斜されている。すなわち、θは等静圧線に直交する方向の放射線からの角度であり、概ね5度以上とされる。なお、図3の静圧流路3内に小さい文字で示されているのは静圧の大きさである。
【0020】
第1の実施形態は上記のように構成され、その結果、図4に白抜きの矢印で示すように渦発生部の流体が再循環流路10に沿って、内周側まで流れ去り、渦の形成が弱められ、安定したポンプ性能が得られる。
図5は、第1の実施形態の再循環流路によるポンプ特性の安定性を再循環流路の無い従来技術と比較したものであって、(A)が従来技術の場合、(B)が本発明の第1の実施形態の場合である。
【0021】
図5の(A),(B)において、
横軸はポンプ流量の無次元値 Q/(D2・u)
縦軸はポンプの揚程の無次元値 gH/u2
ただし、
Q:ポンプ吐出流量(l/s)、
D:羽根車出口径(m)、
u:出口周速(m/s)、
H:ポンプ揚程(m)、
g:重力加速度(m/s2)、
である。
図5の(A)と(B)を比較すると、再循環流路無しの従来技術(A)に対して再循環流路有りの本発明(B)は不安定な右上がり勾配が弱くなり、ポンプ特性の安定性が向上している。
【0022】
図6は再循環流路10の溝断面形状の変形例であって、図6の(A)は断面が円形のもの、図6の(B)は断面が台形のもの、図6の(C)は断面が三角形のものである。
【0023】
次に、第2の実施形態について説明する。第2の実施形態は、第1の実施形態が再循環流路10が矩形断面の溝であるのに対して、穿孔したトンネル状の再循環流路20としたものである。
図7の(A),(B),(C)がこの第2の実施形態における再循環流路を説明する図であって、(A)は回転軸に直角な平面に沿って見た断面図、(B)は図1のVIIB-VIIB 面に沿って見た断面図、(C)は図1の(A)のVIIC-VIIC 面に沿って見た断面図である。
トンネル状再循環流路20の入口21は、図2に示した渦発生領域内に設けられ、出口22は図7の(B)に示されるように羽根車1出口付近の前シュラウド1F側及び後シュラウド1R側それぞれに設けられている。
【0024】
この第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様、円孔のトンネル型の再循環流路20の入口部の渦発生領域の流体は、静圧が高いため再循環流路20を通って内周側へ流出する。この吸い込み作用により不安定性の原因となる渦が減衰し、ポンプ特性が安定化する。そして、第1の実施形態に比して、流路壁に入口穴が存在するだけであり静止流路における定格点流量運転時の流れの乱れが少なく効率低下が抑制できる。
【0025】
次に、第3の実施形態について説明する。第3の実施形態は渦発生領域の上流部分に渦攪乱板を設けたものである。図8の(A),(B),(C)がこの第3の実施形態における渦攪乱板を説明する図であって、(A)は回転軸に直角な平面に沿って見た断面図、(B)は図8のVIIIB-VIIIB 面に沿って見た断面図である。
渦撹乱板30は、図8の(A)に示されるように舌端6aより若干上流側の位置において、(B)に示されているように一対の軸方向側壁7a,7bを結ぶように架橋配置されている。なお、渦撹乱板30の断面形状は他に図8の(C)、(D)に示すような翼形、菱形等の流線形を呈しておればどのような形状でもよい。
【0026】
第3の実施形態では、上記のように不安定性の原因となる渦発生領域の上流部分に渦撹乱板30が設置され、図9に示されるように高速で羽根車側へ曲がる主流との干渉によって、渦形成領域が大きく乱され、安定した渦の発達が阻害される。これによりポンプ特性が安定化する。
一方、定格点流量運転時は、主流流れが渦撹乱板とほぼ平行であり、(平行になる様に設置する)流れの乱れを生じない。よって効率低下もほとんどない。
【0027】
次に、第4の実施形態について説明する。第4の実施形態は渦発生領域の壁面に渦攪乱突起を設けたものである。図10の(A),(B)がこの第4の実施形態における渦攪乱突起を説明する図であって、(A)は回転軸に直角な平面に沿って見た断面図、(B)は図10のXB-XB 面に沿って見た断面図である。
渦撹乱突起40は、図10の(A)に示されるように、周方向で下流側の固定案内羽根2の舌部2bの舌端6aの位置、および、その直上流、直下流において、(B)に示されるように静止流路5の外周壁面、すなわち上流側の固定案内羽根2の内側面3、軸方向の両側壁7a,7bの壁面のそれぞれに設置されている。
【0028】
不安定性の原因となる渦発生領域の壁面に渦撹乱突起40を設置することにより、渦撹乱突起40の周りの流れに乱れが生じ渦の発達が阻害され、ポンプ特性が安定化する。渦撹乱突起40の大きさを考慮することで定格流量運転時の効率低下を最小限に抑えることができる。
なお、突起の形状は図10の(B)のような四角錐型の他、円錐型、弾頭型、デルタ翼型、さらにはランダムな凹凸でもかまわない。
【0029】
次に、第5の実施形態について説明する。第5の実施形態は静止流路5内、詳細には入口8、すなわち周方向において下流側の固定案内羽根の舌部2bの舌端6aの位置に、段差50を設けたものである。図11の(A),(B),(C)がこの第5の実施形態における段差50を説明する図であって、(A)は静止流路5の外周側壁面、すなわち上流側の固定案内羽根2の内側面3、に段差を設けた場合、(B)は流路の軸方向の側壁7a,7bに段差を設けた場合を示し、(C)は図11の(B)のXIC-XIC 面に沿って見た断面図である。
【0030】
第5の実施形態は上記のように構成され、従来技術では固定案内羽根2の舌端部6に生じていた渦は、段差50の後ろ側で発生するようになる。それと共に、旋回逆流してきた流れ(図中矢印)が段差に衝突して乱れるので、渦の安定した発達が抑制され、ポンプの性能が安定する。
【0031】
次に、第6の実施形態について説明する。第6の実施形態は静止流路5を形成する上流側の固定案内羽根2に連通路を設けたものである。図12の(A),(B)がこの第6の実施形態を説明する図であって、(A)は軸に直角な平面で切った断面図であり、(B)は(A)のXIIB-XIIB面に沿って見た断面図である。図示されるように、静止流路5を形成する上流側の固定案内羽根2の外側面4に設けた外側開口60aと内側面3に設けた内側開口60bを連通する円形断面の連通路60が形成されている。
【0032】
第6の実施形態は上記のように構成されていて、外側開口60aの圧力が、内側開口60bの圧力よりも高いので、外側開口60aから内側開口60bに向かって流体の一部が流れ、静止流路5の入口9の近傍における渦の発生が抑制される。
したがって、内側開口60bは、渦発生領域、好ましくは、流れ方向において、静止流路5を形成する下流側の固定案内羽根2の舌端6aの近傍の位置に配設し、吹出す流体が図2の渦発生領域を通過する必要があるが、外側開口60aは圧力が高いので必ずしも図示の位置にある必要はない。
図12の(B)は、管通路60が側壁7aと側壁7bの間の全幅にわたる長方形断面を有する変形例を示している。
【0033】
次に、第7の実施形態について説明する。第7の実施形態は静止流路5を形成する下流側の固定案内羽根2の舌端部に連通路を設けたものである。図13の(A),(B)がこの第7の実施形態を説明する図であって、図13の(A)が連通路を通る軸に直角な平面で切った断面図であり、(B)は(A)のXIIIB-XIIIB面に沿って見た断面図である。図示されるように、静止流路5を形成する下流側の固定案内羽根2の舌部2bの舌端部6に、その外側開口70aと内側開口70bを連通する円形断面の連通路70が形成されている。
【0034】
第7の実施形態は上記のように構成されていて、舌部2bの外側の流れよりも羽根車1に近い内側の流れの方が速度が大きく、外側開口70aにおける静圧が、内側開口70bにおける静圧よりも高いので、外側開口70aから内側開口70bに向かって液体の一部が流れ、静止流路5の入口9の近傍における渦の発生が抑制される。外周壁側開口70aの位置は、第1の実施の形態に関して説明したように静止流路5の入口8のポート径をAとすると、舌端部6の先端から2A程度の範囲内にあることが必要である。
図13の(B)は、貫通路70が側壁7aと側壁7bの全幅にわたる長方形断面を有する変形例を示している。
【0035】
次に、第8の実施の形態について説明する。この第8の実施の形態は、遠心ポンプが、前段のポンプの静止流路の外端から、後段のポンプの羽根車室に伸びる戻り流路を有する多段遠心ポンプの場合に適用されるものである。図14の(A),(B)が第8の実施の形態を説明する図であって、図14の(A)が軸に直角な平面で切った断面図であり、(B)は(A)のXIVB-XIVB面に沿って見た断面図である。
【0036】
図14の(A)、(B)に示されるように、舌端部の先端の近傍の前段のポンプの静止流路の後段側の軸方向側壁7bに開口80aを有し、後段のポンプへの戻り流路9を形成する壁面9aに開口80bを有する連通路80を備えている。第8の実施形態は上記のように構成されていて、開口80bにおける静圧は静止流路5の出口の静圧と略同じであって開口80aにおける静圧よりも高いので、連通路80を通って戻り流路9から静止流路7へ向かって流体の一部が流れ、静止流路5の入口8の近傍における渦の発生が抑制される。
【0037】
次に、第9の実施の形態について説明する。この第9の実施の形態は、静止流路に流入した流体が舌部の外側表面から剥離するのを防止するようにしたものである。図15が第9の実施の形態を説明する図であって、静止流路5を形成する下流側の固定案内羽根2の舌部2bの外側面4の舌端部6の直下流の部分に内側に向けて滑らかに凹ませた凹部90を形成ものである。第9の実施の形態はこのように構成されているので入口ポート9から静止流路5に流入した流体は舌部2bの外側面4に押し付けられるように流れ、外側面4から剥離せずに流れることができ、渦の発生が抑制される。
なお、凹部90は、第1の実施の形態に関して説明したように静止流路5の入口ポートの径をAとすると、舌端部6の先端から3A程度の範囲内にあることが好ましい。
【0038】
次に、第9の実施の形態の変形例について説明する。図16が、この第9の実施の形態の変形例を説明する図であって、同図に示されるように、この第9の実施の形態の変形例は、第9の実施の形態における凹部90に加えて、これに対向する上流側の固定案内羽根2の基部2aの内側面3に、内側に滑らかに突出する凸部91を形成したものである。第9の実施の形態の変形例はこのように構成されているので入口ポート9から静止流路5に流入した流体は、さらに強く舌部2aの外面4に押し付けられ、より確実に渦の発生が抑制される。
【0039】
【発明の効果】
各請求項に記載の発明によれば、回転駆動される羽根車の外側に軸方向に離間して形成された一対の軸方向側壁の間に、舌部を有する1個乃至複数の固定案内羽根を架橋配置し、固定案内羽根の内側面と固定案内羽根の外側面で静止流路を形成して成る遠心ポンプにおいて、静止流路の実験的に確認された低流量時の渦発生領域、またはその近傍に、渦の発生を抑制する渦発生抑制手段が設けられ、渦発生抑制手段によって低流量時の渦の発生が抑制されてポンプは低流量でも安定して作動しポンプの安定性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態の再循環流路を説明する図であって、
(A)は回転軸に直角な平面に沿って見た断面図、
(B)は図1の(A)のIB-IB 面に沿って見た断面図、
(C)は図1の(A)のIC-IC 面に沿って見た断面図、である。
【図2】低流量時の静止流路内の渦の発生領域を説明する図である。
【図3】低流量時の静止流路内の静圧分布を示す図である。
【図4】第1の実施形態における再循環流路の作用、効果を説明する図である。
【図5】第1の実施形態によるポンプ特性の安定性の向上を比較説明する図で、
(A)は従来技術の場合を示し、
(B)は第1の実施形態の場合を示している。
【図6】再循環流路の溝の形状の他の例を示す図であって、
(A)は断面が円形のもの、
(B)は断面が台形のもの、
(C)は断面が三角形のもの、である。
【図7】第2の実施形態のトンネル状の再循環流路を説明する図であって、
(A)は回転軸に直角な平面に沿って見た断面図、
(B)は図7の(A)のVIIB-VIIB 面に沿って見た断面図、
(C)は図7の(A)のVIIC-VIIC 面に沿って見た断面図、である。
【図8】第3の実施形態の渦撹乱板を説明する図であって、
(A)は回転軸に直角な平面に沿って見た断面図、
(B)は図8の(A)のVIII-VIII 面に沿って見た断面図、
(C)は別の渦攪乱板の断面図、
(D)は別の渦攪乱板の断面図、である。
【図9】渦撹乱板による作用、効果を説明する図である。
【図10】第4の実施形態の渦撹乱突起を説明する図であって、
(A)は回転軸に直角な平面に沿って見た断面図、
(B)は図10の(A)のXB-XB 面に沿って見た断面図、である。
【図11】第5の実施形態の段差を説明する図であって、
(A)は段差を外周壁に設けた場合の回転軸に直角な平面に沿って見た断面図、
(B)は段差を軸方向の両側の壁に設けた場合の回転軸に直角な平面に沿って見た断面図、
(C)は図11の(B)のXIC-XIC 面に沿って見た断面図、である。
【図12】第6の実施形態の連通路を説明する図であって、
(A)は回転軸に直角な平面に沿って見た断面図、
(B)は図13の(A)のXIIB-XIIB 面に沿って見た断面図、
(C)は別の断面形状の連通路の断面図、である。
【図13】第7の実施形態の連通路を説明する図であって、
(A)は回転軸に直角な平面に沿って見た断面図、
(B)は図13の(A)のXIIIB-XIIIB 面に沿って見た断面図である。
【図14】第8の実施形態の連通路を説明する図であって、
(A)は回転軸に直角な平面に沿って見た断面図、
(B)は図14の(A)のXIVB-XIVB 面に沿って見た断面図である。
【図15】第9の実施形態の凹部を説明する図である。
【図16】第9の実施の形態の変形例における凹部および凸部を説明する図である。
【図17】本発明が適用される多段遠心ポンプの断面図である。
【図18】(A)図17のXVIIIA-XVIIIA 面に沿って見た断面図である。
(B)図17の(A)のXVIIIB-XVIIIB 面に沿って見た断面図である。
【図19】ポンプ特性を説明する図である。
【図20】(A)従来技術において渦の発生していない時の流れを説明する図である。
(B)従来技術において渦の発生している時の流れを説明する図である。
【符号の説明】
1…羽根車
2…固定案内羽根
2a…基部
2b…舌部
3…(固定案内羽根の)内側面
4…(固定案内羽根の)外側面
5…静止流路
6…舌端部
6a…舌端
7a,7b…側壁
8…(静止流路の)入口
9…戻り流路
10…(溝型)再循環流路
20…(トンネル型)再循環流路
30…渦攪乱板
40…渦攪乱突起
50…段差
60…連通路
70…連通路
80…連通路
90…凹部
91…凸部

Claims (15)

  1. 回転駆動される羽根車の外側に軸方向に離間して形成された一対の軸方向側壁の間に、舌部を有する1個乃至複数の固定案内羽根を架橋配置し、固定案内羽根の内側面と固定案内羽根の外側面で静止流路を形成して成る遠心ポンプにおいて、
    低流量時に固定案内羽根の舌端の近傍の径方向外側の領域に発生する渦を抑制するために、固定案内羽根の舌端の近傍の径方向外側の領域に渦発生抑制手段を設けたことを特徴とする遠心ポンプ。
  2. 固定案内羽根の舌端位置における静止流路の入口の径をAとしたときに、舌端から上流側に長さAの位置から下流側に長さ2Aの位置までの区間の、固定案内羽根よりも径方向外側の領域に、渦発生抑制手段を設けたことを特徴とする請求項1に記載の遠心ポンプ。
  3. 渦発生抑制手段が、軸方向側壁に設けられた、部分流量時の高い静圧領域と低い静圧領域とを結ぶ、1つ以上の再循環流路であることを特徴とする請求項1または2に記載の遠心ポンプ。
  4. 再循環流路が、軸方向側壁の壁面に形成した溝であって、該溝が部分流量時の強い静圧勾配に沿って形成されている、ことを特徴とする請求項に記載の遠心ポンプ。
  5. 再循環流路が、渦発生領域の軸方向側壁の壁面に入口を有し、該入口より内側の壁面に出口を有する、軸方向側壁の内部に形成されたトンネル状の流路であることを特徴とする請求項に記載の遠心ポンプ。
  6. 渦発生抑制手段が、渦発生領域の上流部分の静止流路内に配設した1つ以上の渦撹乱板であることを特徴とする請求項1または2に記載の遠心ポンプ。
  7. 渦撹乱板は、長手方向の軸線が定格点流量運転時に渦が発生しないように定格点流量運転時の流れ方向に略沿うように設置されていることを特徴とする請求項に記載の遠心ポンプ。
  8. 渦発生抑制手段が渦発生領域の壁面に設けた1つ以上の突起又は凹凸であることを特徴とする請求項1または2に記載の遠心ポンプ。
  9. 渦発生抑制手段が、後流側が流路断面積が大きくなるように、周方向において略舌端の位置において、静止流路を形成する上流側の固定案内羽根の内側面、および、または、軸方向側壁面に設けた段差である、ことを特徴とする請求項1または2に記載の遠心ポンプ。
  10. 複数の固定案内羽根を有し、渦発生抑制手段が、静止流路を形成する上流側の固定案内羽根を貫通し該上流側の固定案内羽根の外側面に設けた開口と内側面に設けた開口の間を連通する連通穴であって、該連通穴の内側面の開口が、静止流路を形成する前記外側面を提供する周方向において下流側の固定案内羽根の舌端の位置にあるように形成されている、ことを特徴とする請求項1または2に記載の遠心ポンプ。
  11. 複数の固定案内羽根を有し、渦発生抑制手段が、静止流路を形成する前記外側面を提供する周方向において下流側の固定案内羽根の舌部の舌端部分の外側面に設けた開口と内側面に設けた開口の間を連通する連通穴である、ことを特徴とする請求項1または2に記載の遠心ポンプ。
  12. 遠心ポンプが、前段のポンプの静止流路の外側出口から、後段のポンプの羽根車室に伸びる戻り流路を有する多段遠心ポンプであって、複数の固定案内羽根を有し、
    渦発生抑制手段が、前段のポンプの静止流路の後段側の軸方向側壁面の周方向において舌端の近傍の位置に設けた開口と、ポンプの戻り流路を形成する壁面に設けた開口を連通する連通穴であることを特徴とする、ことを特徴とする請求項1または2に記載の遠心ポンプ。
  13. 複数の固定案内羽根を有し、渦発生抑制手段が、静止流路を流れる流体が、静止流路を形成する前記外側面を提供する周方向において下流側の固定案内羽根の舌部の外面の舌端の直後流部分で剥離しないようにする剥離防止手段であることを特徴とする請求項1または2に記載の遠心ポンプ。
  14. 剥離防止手段が静止流路を形成する前記外側面を提供する周方向において下流側の固定案内羽根の外側面を周方向で舌部の舌端から所定の区間にわたり滑らかに内側に凹ませた凹部であることを特徴とする請求項13に記載の遠心ポンプ。
  15. 剥離防止手段が、さらに、前記凹部に対向するように、静止流路を形成する上流側の固定案内羽根の内側面を内側に滑らかに突出させた凸部を含むことを特徴とする請求項14に記載の遠心ポンプ。
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