JP3748739B2 - 耐圧性ポリエステルボトル及びそれを用いた包装体 - Google Patents

耐圧性ポリエステルボトル及びそれを用いた包装体 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、耐圧性ポリエステルボトル及びそれを用いた包装体に関するもので、より詳細には、ボトル底部が足部と谷部とが交互に配置された自立構造を有すると共に、耐脆性破壊に優れているポリエステルボトル及びそれを用いた包装体に関する。
【0002】
【従来の技術】
延伸ブロー成形プラスチック容器、特にポリエステル容器は今日では一般化しており、その優れた透明性と適度なガスバリヤー性とにより、液体洗剤、シャンプー、化粧品、醤油、ソース等の液体商品の外に、ビール、コーラ、サイダー等の炭酸飲料や、果汁、ミネラルウオータ等の他の飲料容器やデザート類カップ、ミソ用容器、カップ製品等に広く使用されている。
【0003】
ポリエステルボトルの底部構造としては、丸底の底部に別体のベースカップを嵌着したツーピース構造のものと、底部に足部と谷部とを交互に配置したワンピース構造のものとが知られているが、資源の再利用の点や生産性の点で後者のワンピース型のものが主流を占めるに至っている。
【0004】
しかしながら、後者のワンピース構造の底部を有するボトルでは、耐圧性と自立性とを両立させるのが必ずしも容易でないという問題を有するのに加えて、このタイプのボトル底部には、内容物を充填し保存した場合脆性破壊を屡々生じるという問題がある。
【0005】
特開平5−246416号公報には、二軸延伸吹き込み成形された合成樹脂製の自立壜において、底部の中心より所定距離離れた点を底部形状の変化点とし、この変化点より半径方向外向きに斜め下方に延在する傾斜部を経て接地部に至る、前記底部にほぼ等中心角度ごとに設けられた3個以上の脚部を有し、前記中心より前記変化点を越えた長さの所定半径をもつ内側のほぼ円形の領域が、未延伸または低延伸の厚肉部で形成され、少なくとも前記接地部を含む外側領域が延伸された薄肉部で構成され、前記厚肉部と薄肉部とを結ぶ肉厚移行部が前記傾斜部の途中に形成されていることを特徴とする合成樹脂製自立壜が記載されており、この自立壜においては、耐内圧性を確保しながら、ストレスクラッキングの発生を防止しうることも記載されている。
【0006】
特開平11−43127号公報には、二軸延伸ブロー成形により製造されるプラスチックボトルにおいて、その底部が半球状曲面の底面から下方に膨出された多数の脚部を周方向に略等間隔で配置されてなり、(A)ポリエチレンテレフタレートと、(B)ポリエチレンナフタレートを、(A)と(B)の合計に対するエチレンナフタレート成分比率5〜15モル%で含み、エステル交換率が5〜30%であり、且つ固有粘度が0.70(dl/g)以上であるポリエステル樹脂組成物から成ることを特徴とする自立型ボトルが記載されており、この自立型ボトルでは結晶化処理を施すことなしに、加熱殺菌処理による変形を少なくできることも記載されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
二軸延伸ポリエステルボトル、特にワンピース構造の自立型ボトルを高温及び多湿条件下に保存すると脆性破壊することが知られている。この脆性破壊は、本来延性であるポリエステルが、エージングにより破断時伸びが急激に減少するため生じるものであり、この原因としては、溶融平衡状態にあるポリエステルが急冷され、この過冷却状態のポリエステルが室温での平衡状態(疑似結晶化状態)に構造変化するためといわれている。
この構造変化の程度はエンタルピー緩和(ΔE)として求められることも知られており、例えば示差走査熱量計で実際に測定することもできる。
【0008】
この脆性破壊を防止するためには、ポリエステルを高度に二軸配向させることが有効であることが知られており、実際にも二軸延伸ポリエステルボトルの胴部については、このような従来の知見がそのまま当てはまるものと認められる。
しかしながら、実際の耐圧性の自立型ポリエステルボトルにおいて、脆性破壊が生じるのはボトル底部であり、ボトル底部の脆性破壊をどのように防止するのかについては余り多くの知見は得られていない。
【0009】
本発明者らは、ボトル底部において生じる脆性破壊は、底部中心より胴部半径の40%相当半径以内の少なくとも谷部における一軸配向結晶化度とエンタルピー緩和量とに密接に関連しており、これらを一定の範囲にコントロールすることにより、ボトル底部における脆性破壊を防止しうることを見出した。
【0010】
即ち、本発明の目的は、底部に足部と谷部とを交互に備えたワンピース構造の自立型ポリエステルボトルにおいて、底部における脆性破壊が防止されたボトルを提供するにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、底部に足部と谷部を交互に備えているポリエステル製の二軸延伸自立型耐圧ボトルにおいて、底部中心より胴部半径の40%相当半径以内の少なくとも谷部における一軸配向結晶化度とエンタルピー緩和量とが下記式(1)及び(2)を満足する関係にあることを特徴とする耐圧性ポリエステルボトルが提供される:
Y≦(2.5×10−4)×(X−10.5) (1)
0≦X<10.5 (2)
式中、Yは試料を示差走査熱量計で測定したTg及至Tg+25℃の範囲で測定した吸熱ピーク(J/g)として求められるエンタルピー緩和量であり、XはX線回折法で2θ=0°及至100°の範囲で測定した配向結晶化度(%)を表す。
本発明によればまた、上記耐圧性ポリエステルボトルに自生圧力を有する内容物を充填し、密封してなることを特徴とする包装体が提供される。
【0012】
【発明の実施形態】
本発明のポリエステルボトルの一例を示す図1において、このボトルは、熱可塑性ポリエステルの二軸延伸ブロー成形で形成された口頚部1、口頚部に接続される肩部2、胴部3及び底部4から成っている。底部4は自立構造を有しており、
交互に配置された足部5と谷部6とからなっている。
【0013】
本発明のポリエステルボトルでは、底部中心より胴部半径の40%相当半径以内の少なくとも谷部における一軸配向結晶化度(X)とエンタルピー緩和量(Y)とが下記式(1)及び(2)、
Y≦(2.5×10−4)×(X−10.5) (1)
0≦X<10.5 (2)
式中、Yは試料を示差走査熱量計で測定したTg及至Tg+25℃の範囲で測定した吸熱ピーク(J/g)として求められるエンタルピー緩和量であり、
XはX線回折法で2θ=0°及至100°の範囲で測定した配向結晶化度(%)を表す、
を満足する関係にあれば、脆性破壊を有効に防止することができる。
【0014】
添付図面の図2を参照されたい。図2は、種々のポリエステル製のシート及びボトルについて、一軸配向結晶化度と、エンタルピー緩和量との関係をプロットしており、ボトルについては底部中心より胴部半径の40%相当半径以内の谷部についての測定値を示している。
図中のマークにおいて、黒く塗りつぶしたものは脆性破壊を示したもの、白抜きのものは脆性破壊を示さないものを示している。
また、図中の曲線は、下記式(1a)
Y=(2.5×10−4)×(X−10.5) (1a)
の曲線を示している。
これらの結果によると、上記曲線(1a)よりも上方の領域では脆性破壊が発生するのに対して、上記曲線及びこれより下方の領域では脆性破壊が防止されていることが明らかである。
【0015】
即ち、既に指摘したとおり、溶融平衡状態から室温平衡状態への構造変化がエンタルピー緩和量として測定されることは既に知られていたのであるが、ボトル底部の脆性破壊防止のためにどの範囲迄のエンタルピー緩和量が許容されるかについては全く知られていなく、況や一軸配向結晶化度との関係においてどの範囲迄のエンタルピー緩和量が許容されるかについては全く不明であったのであるが、本発明では一軸配向結晶化度との関係において、脆性破壊が防止されるエンタルピー緩和量の量域が存在することが見出されたものである。
この点について説明すると、一軸配向結晶化度がゼロ%である場合、許容されるエンタルピー緩和量は最も大きく、その上限は約3J/gであるのに対して、一軸配向結晶化度が大きくなるにつれて許容されるエンタルピー緩和量は4次関数的に減少し、一軸配向結晶化度が10.5%以上ではエンタルピー緩和量に無関係に脆性破壊を生じるのである。
【0016】
本発明において、底部中心より胴部半径の40%相当半径以内における谷部のエンタルピー緩和量や一軸配向結晶化度を問題としているのは、足部と谷部とが交互に配置された自立型構造の耐圧性ポリエステルボトルにおいて、内容物充填後に脆性破壊が発生する部位は、底部中心より胴部半径の40%相当半径以内における谷部であり、この部位におけるエンタルピー緩和量と一軸配向結晶化度とが前記式(1)及び(2)を満足する場合には、この脆性破壊が有効に回避されるからである。
尚、特許請求の範囲において、底部中心より胴部半径の40%相当半径以内の部分を少なくとも谷部としたのは、この谷部が前記式(1)及び(2)を満足することが必須不可欠であるが、上記半径以内の足部も前記式(1)及び(2)を満足していてもよいからである。
【0017】
本発明で問題としているエンタルピー緩和量は示差走査熱量計におけるTg(ガラス転移点)乃至Tg+25℃の範囲の吸熱ピーク面積として求められる。
図3はエンタルピー緩和量が1.028J/gのポリエステルの示差走査熱量分析曲線を示している。
【0018】
一方、谷部における一軸配向結晶化度は、周方向への配向中間相(oriemted mesophase )として、X線回折学的に検出することができる。
【0019】
ポリエチレンテレフタレート(PET)に代表される熱可塑性ポリエステルには、非晶相及び結晶相に加えて配向中間相(oriented mesophase) が存在することが知られている(繊維学会誌 第40巻第6号(1984)p49〜56)。
すなわち、PETの結晶相では、分子中のベンゼン環の配置にも規則性が認められるのであるが、この配向中間層では、ベンゼン環の配置には規則性はないが、非晶相とは異なり、繊維軸方向での配向において、一定の周期性のある構造が認められるというものである。この周期性のある構造は、配向繊維の場合、X線回折において、非晶質のX線散漫散乱のピークに重畳して一軸配向に特有のピークが現れ、しかもこの非晶質のピークと一軸配向によるピークとは分離して検出されるものである。
【0020】
本発明のポリエステルボトルでも、透過型X線回折装置を用い、谷部の試料に垂直にX線を入射させると共に、円周方向に対して直角方向にBragg角(2θ)を0〜100゜の範囲で変化させて、回折強度を測定し、下記式(2)から配向結晶化度(Doc)を求めることができる。
Doc=[(I−I)/I]×100 ‥(2)
式中、Iは谷部試料の2θ=0〜100゜の回折ピーク面積であり、Iは谷部試料を溶融、急冷により完全に非晶質化したものの2θ=0〜100゜の回折ピーク面積である。
【0021】
添付図面の図4は一軸配向を有するポリエステルボトル谷部のX線回折像であり、図5は無配向ポリエステルのX線回折像である。
【0022】
本発明によれば、以上説明したとおり、底部中心より胴部半径の40%相当半径以内の少なくとも谷部における一軸配向結晶化度とエンタルピー緩和量とが前記式(1)及び(2)を満足する関係にある自立型耐圧ポリエステルボトルに、自生圧力を有する内容物を充填することにより、底部の脆性破壊を防止し、耐圧性を向上させると共に、内容物の保存性を向上させることができる。
【0023】
[ポリエステル]
本発明において、延伸ブロー成形及び結晶化可能なポリエステル材料であれば、任意のものを使用し得るが、特にエチレンテレフタレート系熱可塑性ポリエステルが有利に使用されるが、勿論、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどの他のポリエステル、或いはポリカーボネートやアリレート樹脂等とのブレンド物を用いることもできる。
【0024】
本発明に用いるエチレンテレフタレート系熱可塑性ポリエステルは、エステル反復単位の大部分、一般に70モル%以上、特に80モル%以上をエチレンテレフタレート単位を占めるものであり、ガラス転移点(Tg)が50乃至90℃、特に55乃至80℃で、融点(Tm)が200乃至275℃、特に220乃至270℃にある熱可塑性ポリエステルが好適である。
【0025】
ホモポリエチレンテレフタレートが耐圧性の点で好適であるが、エチレンテレフタレート単位以外のエステル単位の少量を含む共重合ポリエステルも使用し得る。
【0026】
テレフタル酸以外の二塩基酸としては、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸;コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、ドデカンジオン酸等の脂肪族ジカルボン酸;の1種又は2種以上の組合せが挙げられ、エチレングリコール以外のジオール成分としては、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、1,6−ヘキシレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物等の1種又は2種以上が挙げられる。
【0027】
また、エチレンテレフタレート系熱可塑性ポリエステルにガラス転移点の比較的高い例えばポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート或いはポリアリレート等を5%〜25%程度をブレンドした複合材を用いることができ、それにより比較的高温時の材料強度を高めることができる。
さらに、ポリエチレンテレフタレートと上記のガラス転移点の比較的高い材料とを積層化して用いることもできる。
【0028】
用いるエチレンテレフタレート系熱可塑性ポリエステルは、少なくともフィルムを形成するに足る分子量を有するべきであり、用途に応じて、射出グレード或いは押出グレードのものが使用される。その固有粘度(I.V.)は一般的に0.6乃至1.4dL/g、特に0.63乃至1.3dL/gの範囲にあるものが望ましい。
【0029】
[ボトル及びその製造]
本発明の耐圧性ポリエステルボトルは、底部に谷部と足部とを交互に備えており、しかも谷部は前述した特徴を有している。
谷部は、垂直断面において全体として球面乃至球面に近い曲面であればよいが、高さ方向に実質上単一の曲率半径(R)の曲面となっていることが好ましい。この曲率半径(R)は、ボトル胴部半径(Rd)によっても相違するが、一般にRdの0.9〜1.2倍、特に0.95〜1.05倍の範囲にあることが好ましい。
【0030】
この谷部の曲率半径(R)が上記範囲よりも大きいと、ボトルの耐圧強度が不満足となり、また谷部と底中心部や胴部とを、曲率半径の異なる部分をかなりの高さにわたって設けない限り、円滑に接続することが困難となる傾向がある。
一方、谷部の曲率半径(R)が上記範囲よりも小さいと、ボトルの自立性が低下したり、また、足部の成形性が低下する傾向があり、更に谷部と底中心部や胴部とを、曲率半径の異なる谷部をかなりの高さにわたって設けない限り、円滑に接続することが困難となる傾向がある。
【0031】
また、本発明のポリエステルボトルにおいては、谷部の表面積(S)が底部の表面積(S)に対し16乃至25%、特に18乃至23%であることが、自立性と耐圧性とのバランスの点で好ましい。
即ち、谷部の表面積比率が上記範囲を下回ると、耐圧強度が低下したり、充填保存時の底割れなどが発生しやすくなる傾向があり、一方谷部の表面積比率が上記範囲を上回ると、自立性が低下したり、足部の成形性が低下する傾向がある。
【0032】
一方、足部は最下方に接地部を有しているが、この接地部の水平方向の曲率半径(Rg)は、ボトル胴部半径(Rd)によっても相違するが、一般にRdの0.69〜0.74倍、特に0.71〜0.735倍の範囲にあることが好ましい。
接地部の半径(Rg)が上記範囲を下回ると、自立安定性が損なわれる傾向が大きくなり、一方この半径(Rg)が上記範囲を上回ると、足部が過延伸状態となって白化やクラックが発生して、耐圧強度が低下する傾向がある。
【0033】
足部の内、接地部よりも内側の下方部分は、上に凸な曲面となっていることが耐圧性や自立性の点で好ましく、この曲面の曲率半径(Rl)は、ボトル胴部半径(Rd)の1.3〜1.8倍、特に1.4〜1.65倍の範囲にあることが好ましい。
【0034】
足部及び谷部よりも内側には、ほぼフラットで足部及び谷部に滑らかに接続される底中心部を設けることができ、この底中心部の半径(Rc)は、ボトル胴部半径(Rd)の0.14〜0.16倍、特に0.145〜0.155倍の範囲にあることが好ましい。
【0035】
また、接地部から底中心部への高さは、一般に4乃至5mm、特に4.3乃至4.7mmの高さを有することが、内容物充填状態での自立安定性の点で好ましい。
また、底部に設ける足部の本数は、自立安定性の点から、一般に4乃至6本、特に5乃至6本が適当である。
【0036】
本発明の耐圧性ボトルの胴部は、高度に二軸配向されていることが望ましい。一般に、胴部の密度は、1.355乃至1.39g/cm、特に1.36乃至1.39g/cmの範囲にあることが耐圧強度の点で好ましい。
尚、ポリエステルの密度は、n−ヘプタン−四塩化炭素系密度勾配管(池田理化株式会社)を作成し、20℃の条件下でサンプルの密度を求めることができる。この密度は、ポリエステルの配向結晶化及び熱結晶化に伴い増大する。ポリエチレンテレフタレートの場合、非晶密度(ρam)が1.335g/cm、結晶密度(ρc )が1.455g/cmであることが知られており、試料の密度(ρ)と密度法結晶化度(Xc )との関係は、下記式(3)
結晶化度Xc =(ρc /ρ)×[(ρ−ρam)/(ρc −ρam)]×100‥‥(3)
で与えられる。
【0037】
本発明の耐圧性ボトルの口頸部は、キャップを締結するためのネジ、ボトルを支持するためのサポートリング、キャップのタンパーエビデントバンドを係止するためのあご部乃至ラチェット等のそれ自体公知の機構を備えている。この口頸部は、成形されたままの未結晶の状態であってもよいし、また加熱により球晶化されていてもよい。
【0038】
本発明の耐圧性ボトルは、前述した口頸部を除いて、一般に0.2乃至3.5mm、特に0.25乃至3.4mmの厚みを有している。底部中心より胴部半径の40%相当半径以内における谷部では、周方向への一軸配向が抑制されているため、比較的肉厚であり、その厚みは一般に1.1乃至3.2mmである。
【0039】
本発明の耐圧性ボトルは、実質上非晶質状態のポリエステルの有底プリフォームを製造し、この有底プリフォームを延伸温度に加熱した後、特定の型内で延伸ブロー成形することにより製造される。
用いる型(キャビテイ型)は谷部と足部に対応する内面を有していることは当然である。
また、底部中心より胴部半径の40%相当半径以内における谷部では、周方向への一軸配向が抑制される条件下、即ち、一軸配向結晶化度が10.5%未満、特に6%以下となるように延伸ブロー成形を行う必要がある。
【0040】
ポリエステルのプリフォームへの成形には、射出成形を用いることができる。即ち、ポリエステルを冷却された射出型中に溶融射出して、過冷却された非晶質のポリエステルプリフォームに成形する。
【0041】
射出機としては、射出プランジャーまたはスクリューを備えたそれ自体公知のものが使用され、ノズル、スプルー、ゲートを通して前記ポリエステルを射出型中に射出する。これにより、ポリエステルは射出型キャビティ内に流入し、固化されて延伸ブロー成形用のプリフォームとなる。
【0042】
射出型としては、容器形状に対応するキャビティを有するものが使用されるが、ワンゲート型或いはマルチゲート型の射出型を用いるのがよい。
射出温度は270乃至310℃、圧力は28乃至110kg/cm程度が好ましい。
【0043】
プリフォームの延伸温度は、一般に85乃至135℃、特に90乃至130℃の温度が適当であり、その加熱は、赤外線加熱、熱風加熱炉、誘電加熱等のそれ自体公知の手段により行うことができる。
【0044】
尚、プリフォームからの延伸ブロー成形には、成形されるプリフォーム成形品に与えられた熱、即ち余熱を利用して、プリフォーム成形に続いて延伸ブロー成形を行う方法も使用できるが、一般には、一旦過冷却状態のプリフォーム成形品を製造し、このプリフォームを前述した延伸温度に加熱して延伸ブロー成形を行う方法が好ましい。
【0045】
延伸温度に予備加熱されたプリフォームを、それ自体公知の延伸ブロー成形機中に供給し、前述した金型内にセットして、延伸棒の押し込みにより軸方向に引張延伸すると共に、流体の吹き込みにより周方向へブロー延伸成形する。
【0046】
最終ボトルにおける延伸倍率は、面積倍率で5乃至18倍が適当であり、この内でも、軸方向延伸倍率を2乃至4倍とし、周方向延伸倍率を2.5乃至4.5倍とするのがよい。
【0047】
[包装体]
本発明では、底部中心より胴部半径の40%相当半径以内の少なくとも谷部における一軸配向結晶化度とエンタルピー緩和量とが前記式(1)及び(2)を満足する関係にある自立型耐圧ポリエステルボトルに、自生圧力を有する内容物を充填し、密封して包装体とする。
上記谷部の一軸配向結晶化度は、ボトルに固有のものであるが、エンタルピー緩和量は、成形後のボトルの経時及び保存条件によっても大きく左右され、一般に保存時間が長くなればなるほど、また保存時の温度が高温になればなるほど、更に保存時の湿度が大きくなればなるほど、大きな値となる傾向がある。
本発明では、成形後の空ボトルの保存時間を短くする、保存時の雰囲気を温度の可及的に低い乾燥雰囲気とする等の手段を採用することにより、一軸配向結晶化度とエンタルピー緩和量とが前記式(1)及び(2)を満足する関係に維持し、これに内容物を充填することにより、ボトル底部での脆性破壊を防止するものである。
【0048】
自生圧力を有する内容物としては、ビール、発泡酒等の炭酸入りアルコール飲料や、コーラ、サイダー、炭酸入り合成飲料等の炭酸飲料等が挙げられる。
内容物を約5℃でコールド充填し、キャップを打栓して密封した後、必要により、ボトル結露防止のための熱水散布処理を行って製品とする。一般にこの処理は、30乃至45℃の温度で、10乃至20分間程度行うのがよい。
【0049】
【実施例】
本発明を次の例により具体的に説明するが、本発明はこれら例により何等限定されるものではない。
【0050】
以下の要領で試料を作成し、実験に供した。
・押し出しシート
小型押出機(ラボプラストミル;東洋精機(株)製)にて厚さ200〜350μmのポリエチレンテレフタレートシートを作成した。押し出し温度設定は270℃とした。
・延伸シート
厚さ2mmの射出シートを作成し、これを二軸延伸機にて延伸し、試料とした。延伸温度は100℃、延伸倍率は、2×1.4、3×1.3、3.7×1.2である。
【0051】
測定は以下の要領で行った。
1)エンタルピー緩和量
示差熱分析機を用いて、20℃より10℃/min.の速度で昇温させたときの、ガラス転移点(Tg)〜(Tg+25)℃の吸熱ピーク面積を算出しエンタルピー緩和量とした。
2)配向結晶化度
透過型X線回折装置により、2θ=0〜100°の範囲における結晶ピークの割合を求め配向結晶化度とした。
3)引張り試験
シートをダンベル型に切りだし、引張り速度30mm/min.で試験を行った。n=7〜10の測定より脆性破壊する割合を求めた。
4)充填試験
二軸延伸ブローにより二軸延伸自立型耐圧ポリエステルボトルを作成し、重曹およびクエン酸をもちいて4.5GVになるように炭酸水を充填した。その後、底部を4.5vol%スライダー(エコラボ社サニクレンズPET)水溶液に含浸し、温度25℃あるいは37℃で一カ月間保管し、底部を観察した。底割れ発生ボトルをC、長さ2cm以上のクレーズが発生したものをB、それ以外をAとランク分けした。
【0052】
[実験例1]
押し出しフイルムを作成し、エンタルピー緩和量、配向結晶化度、脆性破壊の割合を測定した。その結果を表1に示す。
【表1】
Figure 0003748739
【0053】
[実験例2]
延伸シートを作成し、エンタルピー緩和量、配向結晶化度、脆性破壊の割合を測定した。その結果を表2に示す。
【表2】
Figure 0003748739
【0054】
[実験例3]
二軸延伸ブローにより二軸延伸自立型耐圧ポリエステルボトルを作成し、底中心より胴部半径の35%相当半径の底谷部のエンタルピー緩和量、配向結晶化度の測定および充填試験を行った。その結果を表3に示す。
【表3】
Figure 0003748739
【0055】
[実験例4]
押し出しフィルムを作成し、温度・湿度履歴により種々のエンタルピー緩和量を持たせた。これらフィルムの引張り試験(n=7〜10)により脆性破壊を示した試料の割合を求めた。その結果を表4に示す。
【表4】
Figure 0003748739
【0056】
[実験例5]
延伸シートを作成し、温度・湿度履歴により種々のエンタルピー緩和量を持たせた。これらフィルムの引張り試験(n=7〜10)により脆性破壊を示した試料の割合と、配向結晶化度を求めた。その結果を表5に示す。
【表5】
Figure 0003748739
【0057】
[実験例6]
二軸延伸ブローにより二軸延伸自立型耐圧ポリエステルボトルを作成したのち、温度・湿度履歴により種々のエンタルピー緩和量を持たせ、底中心より胴部半径の35%相当半径の底谷部のエンタルピー緩和量、配向結晶化度の測定および充填試験を行った。その結果を表6に示す。
【表6】
Figure 0003748739
【0058】
【発明の効果】
本発明によれば、底部に足部と谷部とを交互に有する耐圧性ポリエステルボトルにおいて、底部中心より胴部半径の40%相当半径以内の少なくとも谷部における一軸配向結晶化度とエンタルピー緩和量とを特定の範囲に設定することにより、自生圧力を有する内容物を充填した際の脆性破壊を有効に防止でき、耐圧性を向上させると共に、内容物の保存性をも向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の耐圧性ポリエステルボトルの側面図である。
【図2】一軸配向結晶化度及びエンタルピー緩和量と脆性破壊との関係を示すグラフである。
【図3】示差走査熱量計によるエンタルピー緩和量の求め方を示すグラフである。
【図4】一軸配向を有するポリエステルのX線回折像を示すグラフである。
【図5】無配向のポリエステルのX線回折像を示すグラフである。

Claims (2)

  1. 底部に足部と谷部を交互に備えているポリエステル製の二軸延伸自立型耐圧ボトルにおいて、底部中心より胴部半径の40%相当半径以内の少なくとも谷部における一軸配向結晶化度とエンタルピー緩和量とが下記式(1)及び(2)を満足する関係にあることを特徴とする耐圧性ポリエステルボトル:
    Y≦(2.5×10−4)×(X−10.5) (1)
    0≦X<10.5 (2)
    式中、Yは試料を示差走査熱量計で測定したTg及至Tg+25℃の範囲で測定した吸熱ピーク(J/g)として求められるエンタルピー緩和量であり、XはX線回折法で2θ=0°及至100°の範囲で測定した配向結晶化度(%)を表す。
  2. 請求項1に記載の耐圧性ポリエステルボトルに自生圧力を有する内容物を充填し、密封してなることを特徴とする包装体。
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