JP3729673B2 - 緑化基盤およびその造成法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、斜面 (法面) 等を緑化するために用いられる緑化基盤と、植物の生育に有効な微生物の増殖に対して効果のある、環境にやさしく崩落しにくい安定した緑化基盤を造成する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、緑化を必要とする法面や平坦地面が、岩盤や土壌の少ない軟岩、砂地などの植物の生育に悪い土質の場合、植物の生育に可能な厚い層の緑化基盤を造成し、その基盤内で植物を生育させ緑化を図る造成法が採用されている。
たとえば、代表的な緑化基盤の造成工法としては、植生に適した緑化基盤材を水と混練してスラリー状とし、これを吹き付ける方法である。ただし、この方法は、土壌の団粒構造が壊れやすく、造成した法面等の土壌が単粒化する。そのために、例えば雨水にふれたときに、水分の蒸発と共に最密充填状態となって固結し、植物の生育力が低下するだけでなく、亀裂を生じて原地盤と剥離し、緑化基盤の流出を招くという大きな問題点があった。
【0003】
このような従来技術が抱えている問題点に対し、その解決のために、これまでに種々の提案がなされている。
たとえば、客土材を用いた緑化基盤造成方法として、黒土、バーク堆肥、肥料、種子、侵食防止剤等を水と混合して吹き付ける方法や、客土材などに凝集剤等を混合し団粒化反応を起こさせてから吹き付ける方法、さらにこれらを併用すると共に連続繊維を添加する方法などがある。
【0004】
こうした既知提案例として下記のようなものがある。
▲1▼ 特開平6−70634 号公報には、「砂状 (粒状) 無機物材と粗大有機物を主とする骨格成分、および粘土等の微細成分と水溶性高分子化合物を主とするバインダー成分からなる植物生育基盤造成用客土であって、該骨格成分を該バインダー成分によってつなぎ合わせることにより強固な骨格構造を有する構造化された植物生育基盤を造成する方法」が開示されている。
▲2▼ 特開平8−209705号公報には、「粘土、シルトなどの固体粒子を含む緑化基盤材と水とを混合して得た泥状緑化基材に、親水性部分と疎水性部分とからなる耐浸水性侵食防止剤を混合攪拌した後、アニオンタイプのポリアクリルアミド系高分子凝集剤を混合して前記泥状材を団粒反応させつつ施工面へ吹き付ける緑化基盤の造成法」が開示されている。
▲3▼ 特開平9−302668号公報には、「植生基盤材と水との混合スラリーである泥状基材に、高分子凝集剤である団粒剤および接着性連続繊維を混合し、凝集反応させながら、法面に吹き付けることにより前記連続繊維を三次元的に泥状基材中に混入し、前記植生基盤材と前記連続繊維、および、前記連続繊維同士を接着させる植生基盤造成法」が開示されている。
▲4▼ また、特開平9−103192号公報には、「法面緑化工事において、法面への吹き付けに用いる脱水ケーキと、これに撒布する木酢液と、木質微細繊維の炭化物とに、木廃材からなる微細チップを混ぜて混合物に適度の空隙を確保することにより醗酵時の醗酵速度を促進させ、かつ法面緑化用の吹き付け材として法面に吹き付けたときにおいて粒度調整、通気性および保水性を確保することによって植物の緑化効率を向上させることを特徴とする法面緑化工法」が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
法面緑化等で利用されている上記各従来緑化基盤およびその造成方法には、それぞれ次のような問題点が残されている。
▲1▼ 従来の一般的な緑化基盤造成法は、黒土、バーク堆肥、種子、肥料および侵食防止剤の混合物を、水等を加えて客土吹付機で急傾斜地等に吹き付けることにより造成する方法であるから、施工上の要請から、水を多くして低粘性にして施工している。しかし、このような造成方法は、粘性が低いため客土が流出しやすく、斜面に吹き付けた場合、3cm以上厚く吹き付けることは困難であった。そのため、3cm以上の厚さの緑化基盤を造成する場合には、吹き付けた緑化基盤材が乾燥したのち、その上に再度吹き付ける方法で造成していたため、工期が長く、経済性等にも問題があった。また、1:0.8 以上の急斜面で緑化基盤を造成する場合は、5 cm以上の厚さの緑化基盤の造成が必要になるが、泥状客土の流出が顕著になるため、施工上の大きな問題点とされていた。
【0006】
▲2▼ 上記の課題を解決する方法として、凝集剤等を用いて団粒化した緑化基盤を造成する方法もあるが、この方法の場合、団粒化の速度が遅く、基本的な問題解決になっていないのが実情である。しかも、こうした団粒化技術は、化成肥料中の燐酸が、凝集剤として用いた粘土等に含有されるアルミニウムや鉄成分と化学反応をおこし、植物が吸収できない不溶解性物質になり、肥料効果を十分に発揮することができないという問題があった。
【0007】
▲3▼ 基盤材中に添加する菌根菌、根粒菌、放線菌、光合成細菌等の微生物は、植物の生育に有効な働きをするので、これらを利用することにより、恒久的な緑化が可能であるが、従来の緑化工法は、これらの微生物を有効に利用した工法ではなく、むしろ化成肥料を主体にした緑化基盤造成法である。従って、緑化の永続性に問題があるほか、化成肥料の流出による水質の汚染等の問題点を抱えていた。しかも、従来の造成法では、微生物の増殖に有効な空隙等をもつ緑化基盤はできなかった。
【0008】
▲4▼ また、従来の緑化基盤造成法は、上述したとおり、泥状客土を含む緑化基盤材の流出が起こりやすいので、連続繊維類を導入し、緑化基盤の流出を防止しているものの、施工は、作業員が連続繊維を背負って施工するため、作業性および安全性等に問題があった。しかも、流出防止効果もあまり大きくないので、ラス張工等の基礎工事の併用を余儀なくされているのが実情である。
【0009】
以上説明したように、従来の緑化基盤ならびにその造成法は、使用しているバーク堆肥やピートモスなどに凝集反応を阻害する可溶性有機物が含有され、かつ珪酸等の比較的凝集反応の遅い物質を主成分としているため凝集 (団粒化) しにくい性質があった。従って、吹き付け後の脱水性が悪く、緑化基盤材としては粘性が低く流動性が高くなるため、緑化基盤材の流出が起こり、斜面等に厚く付着させることができなかった。
【0010】
そこで、本発明の目的は、施工時に速やかに凝集反応を起こして安定した団粒化が確実かつ容易に実現でき、ひいてはバインダー、高分子凝集剤、長繊維などに頼ることなく、客土材の流出を効果的に防止でき、このことの故に植物の発芽、生育あるいはバランスの良い成長に有効に寄与し、しかも環境保全にも寄与するという観点からも望ましい、緑化基盤とその造成法を提案するところにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上掲の目的の実現に向け鋭意研究を重ねた結果、発明者らは、以下に述べる要旨構成にかかる本発明の緑化基盤に想到した。即ち、本発明は、
(a) 客土材、
(b) ゲータイト、レピドクロサイト、ギブサイト、バイデライト、ノントロナイト、クロライト、イモゴライト、カオリナイト、ハロイサイト、モンモリロナイトおよびバーミキュライトのうちから選ばれるいずれか1以上の、水酸基を有する鉄またはアルミニウムの化合物、またはこれらの化合物を 10wt %以上含有する、粘土、赤土、ラテライト化土壌、白土、ベントナイト、紅土、マサ土、石炭灰、セメント用粘土、焼却灰、陶土、火山灰土、赤黄色土、褐色森林土およびゼオライトのうちから選ばれるいずれか一種以上からなる団粒化促進剤、
(c) 種子、肥料、各種菌からなる緑化資材、
さらに、副資材として、
(d) ポリ塩化アルミニウム、硫酸鉄、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸ソーダ、ポリアミン、アクリルアミド、ポリエチレンイミド、硫酸アルミニウム、CMCナトリウム塩、マレイン酸共重合物、カセイ化デンプン、ポリオキシエチレンおよびポリチオ尿素他のうちから選ばれるいずれか1種以上からなる凝集剤、
(e) 消石灰またはセメントの如き無機系資材、またはアスファルト系乳剤、酢酸ビニール樹脂系乳剤およびアクリル樹脂系乳剤の如き高分子系資材からなる侵食防止剤、
(f) pH緩衝剤、
(g) ポリスチレン、ポリエチレン、アクリル樹脂の如き繊維状物質、および
(h) CMC ( カルボキシメチルセルローズ ) 、デンプン、アンギン酸ソーダの如きを吸水しゲル状になり耐侵食性向上と微生物を増殖させる物質、
を配合添加してなることを特徴とする緑化基盤を提案する。
【0012】
本発明において、上記客土材(a) としては、30〜60 vol%の黒土、20〜50 vol%のバーク堆肥、ピートモス、ヤシ繊維のような土壌改良材、10〜30 vol%のパルプ繊維からなるものを用いることが好ましく、
上記団粒化促進剤(b) しては、上記化合物態様で5〜30 vol%混合して用いることが好ましい。
また、上記緑化資材(c) のうち各種菌としては、菌根菌、放線菌、根粒菌、光合成細菌を用いることが好ましい。
【0014】
また、本発明は、上記の緑化基盤用材料を用い、緑化基盤用材料と水とを吹き付け機に供給して混合することによりスラリーを調整し、このスラリーを被施工面に吹き付けることを特徴とする緑化基盤の造成法を提案する。
【0015】
【発明の実施の形態】
上述したところから明らかなように、本発明の特徴は、凝集反応を短時間に起こさせて団粒化を促進するために、緑化基盤用材料中に、水酸基を含有する鉄およびアルミニウムの化合物からなる団粒化促進剤を添加したことにある。この団粒化促進剤の作用により、本発明においては、主として客土材の凝集反応が短時間に進行して脱水するため、緑化基盤材の粘性が増大し、該緑化基盤材の流出が抑制され、ひいては施工斜面に団粒化した緑化基盤を厚く付着することができるようになる。
【0016】
この理由は、団粒化促進剤である水酸基を有する鉄およびアルミニウムの化合物は、泥水中で不可逆性コロイドを生成し、このコロイドが凝集反応を促進して安定した団粒化を実現するためと考えられる。
さらに、このような配合材料の吹き付けによって造成した緑化基盤は、団粒化によって微生物が速やかに増殖するための構造、特に空隙と粒子構造を形成する。即ち、このような緑化基盤を造成すると、土壌中のアルミニウムおよび鉄成分が多くなるため燐酸とアルミニウムや鉄成分が反応し、植物が吸収できない不溶性の物質となるが、含有させた菌根菌等の微生物の働きにより、植物が吸収できなくなった燐酸等をよく吸収するようになる。また、この緑化基盤は、土壌中の養水分を集め植物に供給する菌根菌や、根に根粒を形成し大気中の窒素を固定することにより土壌を肥沃にする根粒菌、放線菌、あるいは単独で大気中の窒素を固定して植物の生育に有効なアミノ酸, ビタミン等を生成する光合成細菌等を実に効率よく増殖させ、植物の生育を飛躍的に促進させることがわかった。
【0017】
というのは、団粒というのは一般に、小さな土壌粒子が寄り集まってやや大きな疑似粒子をつくり、その疑似粒子のいくつかが集まってさらに大きな疑似粒子をつくる。このようにしてできた疑似粒子群によって団粒をつくり、ミリ単位の大きさになる。このようにしてできた団粒構造の場合、微生物の温床となり、たとえば細菌から生じる粘質物が土の粒子を結び付けるバインダーの働きを担うと共に、菌が土粒を包み込むように付着するので土粒同士の付着力が増し、安定した団粒を維持する。その結果、団粒の間は水と空気と養分のたまり空間となり、保水力, 養分保持力が増し、植物根の根張りをよくする。しかも、雨水は団粒間の隙間を速やかに通り抜けるので、基盤の流出, 崩壊を効果的に防止できる。
【0018】
このような水酸基を有する鉄またはアルミニウムの化合物である団粒化促進剤の例としては、ゲータイト、レピドクロサイト、ギブサイト、バイデライト、ノントロナイト、クロライト、イモゴライト、カオリナイト、ハロイサイト、モンモリロナイト、バーミキュライト等およびこれらの化合物からなるものが用いられる。これらは土壌溶液中では遊離水酸化鉄, 遊離水酸化アルミニウムを形造り、土壌粒子の緊固剤として作用し、また、土粒子の間に含水ゲールとして沈殿し、脱水すると緊固した土粒子を結び付けて土の団粒化を促進する。
【0019】
上記団粒化促進剤は、緑化基盤の5〜30 vol%を配合する。このような配合にする理由は、以下のとおりである。即ち、この団粒化促進剤が5 vol%より少ないと、凝集反応が起こりにくく、一方、30 vol%を超えると、凝集反応が進行しすぎて、却って緑化基盤材中の空隙が極端に減少する。その結果、土壌中の酸素が欠乏し根腐れ等が発生する他、微生物の住みかである空隙がなくなるので微生物も増殖できない。また、緑化基盤材中のアルミニウム成分や鉄成分が多くなり土壌中にリン酸が固定化され植物が直接吸収できない確立が高くなるため、植物が良好に発芽生育しなくなる。
【0020】
なお、本発明においては、上記の団粒化促進剤に代えて、この団粒化促進剤を10wt%以上含有する、例えば粘土, 赤土, ラテライト化土壌, 白土, ベントナイト、紅土、マサ土、石炭灰、セメント用粘土、焼却灰、陶土、火山灰土、赤黄色土、褐色森林土およびゼオライト等にて代用させてもよい。その化合物代用材料における、Fe, Al化合物含有量を表1に示す。
【0021】
【表1】
Figure 0003729673
【0022】
本発明における緑化基盤材の好ましい配合例は次の通りである。
(a) 客土材:70〜90 vol%
(1) 黒土 (客土材) :30〜60 vol% (通常30〜40 vol%)
(2) バーク堆肥, ピートモス等:20〜50 vol% (通常30〜40 vol%)
(3) パルプ繊維材:10〜30 vol% (通常10〜30 vol%)
(b) 団粒化促進材: 5〜30 vol%
ゲータイトやモンモリロナイトの他、その代用品として、表1に示した赤土, 粘土等
(c) 緑化資材:約 5〜約13 vol%
(1) 微生物含有資材:50〜100 リットル/m3
(2) 種子 :0.1 〜3kg/m3
(3) 肥料 :3〜10kg/m 3
(d) 副資材:約0.4 〜約14 vol%
(1) 凝集剤 :2〜10kg/m3
(2) 侵食防止剤:4 〜100 kg/m3
pH緩衝剤 1〜10kg/m3
(3) 繊維状物質:1〜10kg/m3
(4) CMC、デンプン、アルギン酸ソーダ:1〜 10kg m 3
【0023】
本発明において、基材となる客土材としては、黒土、赤土等の自然土壌および砂類、浄水ケーキ等も用いられる。そして、この客土材にはさらに、土壌改良材を配合することができる。例えば、パーライト、バーミキュライト、ベントナイト等の鉱物質無機系土壌改良材の他、有機質土壌改良材として、バーク堆肥、ピートモス、コンポスト類等を用いることができる。
なお、この場合において、バーク堆肥、ピートモス、ヤシ繊維等の有機質土壌改良材を混合すると、クッション材的な働きを有する他、微生物が有機質土壌改良材を分解して養分等を生成させ微生物や植物の栄養源となるので有利である。
【0024】
本発明においては、上述した骨格成分の他、副資材として、凝集剤、侵食防止剤あるいは繊維状物質を添加配合することができる。即ち、凝集剤としては、硫酸バンド、塩化アルミニウム等の無機凝集剤を用いてもよいが、凝集効果が高いことで高分子凝集剤を用いるのがよく、この例としては、ポリアクリルアミド、アクリル酸塩とアクリルアミドの共重合物などがある。
また、施工時に使用する侵食防止剤としては、珪酸、アルミニウム、鉄成分と固化反応をする消石灰、セメント等の無機系の資材の他、高分子系のものを4〜100 kg/m3添加すると侵食防止作用がよく進行し、緑化基盤材の流出をより一層防止できる。
さらに、副資材としては、過燐酸石灰等のpH緩衝剤を1〜10kg/m3添加すると、pHの上昇を抑制し、植物の発芽生育に及ぼす影響を低減化する。
【0025】
さらに本発明においては、ポリスチレン、ポリエチレン、アクリル樹脂等の熱可塑性樹脂をキシレン等の溶剤に溶解したもの、およびこれらの樹脂を加熱し熱溶融したものをスプレーで噴射すると繊維物質が生成する。かかる繊維物質の他に、CMC、でんぷん、アンギン酸ソーダ等の吸水・接着性がある物質を、この緑化基盤材の吹き付け時に、ノズルの先端で混入することにより、流出しにくい緑化基盤の造成ができる。
【0026】
次に、本発明方法に従う緑化基盤の造成法について説明する。本発明においては、客土材、土壌改良材、団粒化促進剤の他、種子、肥料、菌類からなる混合物を客土吹き付け機に供給し、均一に混合して被施工面に吹き付け施工を行う。
本発明の緑化基盤材においては、菌根菌、根粒菌、放線菌等の植物の生育に有効な微生物が良好に増殖し植物の生育に寄与するため、化成肥料の使用量を従来の緑化方法に比して約1/4程度に低減でき、しかもこれら微生物の働きで永続性の高い緑化が可能である。
【0027】
【実施例】
実施例1
表2の配合の緑化基盤材に、シロクローバの種子が2000本/m2 発芽する数量を添加し、人工的に造成した勾配1:0.7 の斜面に客土吹き付け機で吹き付け、1回の吹き付けで最大の吹き付け厚さおよび吹き付けた緑化基盤材の植物の生育状況等を実験した結果を同表に示した。
なお、この実験は、4月に開始し、生育状況に関しては3ヶ月経過後の植被率 (植物が地面を被覆している比率) により検討した。
また、降雨による侵食性は、目視により判定し、次の表示とした。
△:かなり侵食される。○:ほとんど侵食されない。◎:侵食されない。
この結果からわかるように、水酸基を有する鉄およびアルミニウム化合物資材を混合することにより、1回の吹き付けで施工できる吹き付け厚さが大幅に増大しかつ植物の生育状況も良好になった。
【0028】
なお、この実験において、凝集剤としては、ポリ塩化アルミニウム:4kg/m3、ポリアクリルアミド系凝集剤:0.2 kg/m3、微生物資材として 100リットル/m3 (VA菌根菌 100ケ/リットル、根粒菌、放線菌、光合成細菌等を含有) を使用した。これらの添加量を種々増減させて実験した結果によれば、ポリ塩化アルミニウムは2〜8kg/m3、ポリアクリルアミド等の高分子系凝集剤は0.1 〜1kg/m3の範囲で、生育性ならびに吹き付け厚さで特に大きな効果が認められた。
【0029】
【表2】
Figure 0003729673
【0030】
【表3】
Figure 0003729673
【0031】
実施例2
高分子系侵食防止剤の代用品として、セメント、消石灰を使用し実験を行った。その結果を表4に示した。
この結果、侵食防止効果はかなり高い結果が得られたが、混合直後にpHが10〜11程度に上昇するため、発芽生育性が遅れる傾向があることが判明した。しかし、数カ月経過するとpHが低下し、生育性はほぼ同等になる。
【0032】
【表4】
Figure 0003729673
【0033】
実施例3
実施例1の配合を吹き付ける場合、熱溶融させて噴射して生成させた糸状繊維を吹き付け機のノズルの先端で緑化資材に混合し斜面に吹き付けを行ったところ、糸状繊維の絡みで緑化基盤材の流出がさらに抑制され吹き付け厚さも実施例1の厚さよりも10〜30%程度アップし侵食性も向上した。
【0034】
実施例4
実施例1の配合にかかる緑化基盤材を吹き付ける場合、吹き付け機のノズルの先端でCMC、デンプン、アルギン酸ソーダ等を1〜10kg/m3混入し吹き付けを行ったところ、実施例1の吹き付け厚さよりも5〜20%吹き付け厚さがアップし、放線菌数は約20〜50%増加し、根粒数は約1〜20%増加した。
【0035】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の緑化基盤によれば、客土材の他に水酸基を有する鉄またはアルミニウムの化合物からなる団粒化促進剤を用いたことから、客土団粒化が促進され、保水性、通気性が向上して侵食が防止でき、ひいては長期に亘って安定した植生基盤を維持すると共に、植物の発芽、生育性を大幅に改善できる。

Claims (2)

  1. (a) 客土材、
    (b) ゲータイト、レピドクロサイト、ギブサイト、バイデライト、ノントロナイト、クロライト、イモゴライト、カオリナイト、ハロイサイト、モンモリロナイトおよびバーミキュライトのうちから選ばれるいずれか1以上の、水酸基を有する鉄またはアルミニウムの化合物、またはこれらの化合物を 10wt %以上含有する、粘土、赤土、ラテライト化土壌、白土、ベントナイト、紅土、マサ土、石炭灰、セメント用粘土、焼却灰、陶土、火山灰土、赤黄色土、褐色森林土およびゼオライトのうちから選ばれるいずれか一種以上からなる団粒化促進剤、
    (c) 種子、肥料、各種菌からなる緑化資材、
    さらに、副資材として、
    (d) ポリ塩化アルミニウム、硫酸鉄、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸ソーダ、ポリアミン、アクリルアミド、ポリエチレンイミド、硫酸アルミニウム、CMCナトリウム塩、マレイン酸共重合物、カセイ化デンプン、ポリオキシエチレンおよびポリチオ尿素他のうちから選ばれるいずれか1種以上からなる凝集剤、
    (e) 消石灰またはセメントの如き無機系資材、またはアスファルト系乳剤、酢酸ビニール樹脂系乳剤およびアクリル樹脂系乳剤の如き高分子系資材からなる侵食防止剤、
    (f) pH緩衝剤、
    (g) ポリスチレン、ポリエチレン、アクリル樹脂の如き繊維状物質、および
    (h) CMC ( カルボキシメチルセルローズ ) 、デンプン、アンギン酸ソーダの如きを吸水しゲル状になり耐侵食性向上と微生物を増殖させる物質、
    を配合添加してなることを特徴とする緑化基盤。
  2. 請求項1に記載の緑化基盤用材料と水を吹き付け機に供給して混合することによりスラリーを調整し、このスラリーを被施工面に吹き付けることを特徴とする緑化基盤の造成法。
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