JP3654628B2 - オカラを含む食品原料の加工方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、超臨界条件や亜臨界条件の下でオカラを含む食品を生産する、オカラを含む食品原料の加工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、超臨界水や亜臨界水中での加水分解や酸化反応を利用して、産業廃棄物や家庭の廃棄物を無害化したり、有効利用し得る生成物を得る試みがなされている。例えば、特開平5−31000号公報には、種々の高分子化合物を超臨界水や亜臨界水を用いて加水分解する方法が開示されている。また、オカラを出さない豆腐の製造方法として、高圧ホモジナイザーを用いた方法も開示されている(特公昭62−17509号公報:特許第1423285号)。
【0003】
超臨界状態や亜臨界状態では、水の性質が大きく変化し、水の極性が下がり、水に油が溶けるようになり、水のイオン積(常温常圧下10-14)が10-11〜10-12と100〜1000倍に高まり、高密度の水蒸気状態になる(図3参照)。そのような状態では、高分子の低分子化(加水分解)や、酸素存在下では「水の中で燃える」ような酸化(燃焼、熱分解)反応が起こる。そこで、上記従来公報のような技術が開示され、ダイオキシンや有害廃棄物の安全な処理で注目されている。なお、ゴミ発電や廃棄物処理のような全てを分解・燃焼する方法も注目されている。
【0004】
しかし、これら従来のものは、産業廃棄物や家庭の廃棄物の処理を主目的とするもので、食品原料一般に超臨界水や亜臨界水中での高分子の変性や一部の分解を利用する加工方法は、未だ開示されていない。なお、焼酎搾り粕、魚のあら・内臓、籾殻で加水分解による工業原料分離回収等の研究が試みられている。特に、豆腐の製造過程で多量に生じるオカラのように、食品を製造する過程で生じる可食性の未利用副生成物を食品原料として再利用するために、超臨界水や亜臨界水中での高分子の変性や一部の分解を利用する加工方法は、未だ開示されていない。すなわち、食品材料の加工としては、種々のものがあるが、例えば、ロングライフ牛乳のように、滅菌を目的としても、食品成分へのダメージを考慮し、1MPa、130°Cを超える条件は取られない。大豆等を1.1〜3MPa、120〜200°Cで処理する、2軸エキストルーダーを使う方法(特開平04−58853号公報)もあるが、低圧処理であり、短時間反応を正確に行うには問題がある。超高圧処理の研究では60°C以下1000MPa以下の条件で、大豆タンパク質の変性や耐熱性胞子の殺菌に関する事例があるが、130°Cを越える条件での知見はなく、トリプシンインヒビターはほとんど失活しないという問題がある(さんえい出版「加圧食品」参照)。また、従来の豆腐の製造では、常圧〜0.2MPa、100〜110°Cという条件で加熱加工されている。なお、特開平9−268166号公報には、タンパク質を加水分解してアミノ酸を製造する方法において、加水分解を超臨界状態又は亜臨界状態の水で行うものが開示されている。しかし、タンパク質、繊維質、糖質、脂質などを含む多成分系である、可食性の天然有機原料一般に適用可能な汎用性のあるものではない。単一成分系では、生成物の予想は付きやすいが、多成分系では各成分から由来する生成物間の影響(例えば有機酸生成によるpH変化など)で、予期せぬ成分の生成も起こり得る。多成分系では一成分に加工条件を合わせても、他の成分の加工が、うまく行かないという問題がある。一方、高圧ホモジナイザーを使用した方法では、56MPaで3回通す必要があり、処理液を豆乳に混合し、凝固剤で凝固させても、豆腐の食感はザラザラし、保水性に乏しく、商品価値が低いのが現状である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このように、従来において、超臨界水や亜臨界水中での高分子の変性や一部の分解を利用して、新しい食品原料の加工方法は未だ開発されていない。特に、オカラのような多成分系では、複雑な反応が起こり、分析が難しいことや日持ちが悪いこと等から、食品素材として栄養価も安全性も高いにもかかわらず、多量のオカラの再利用を図る加工方法は開発されていない。
【0006】
なお、今までの超臨界水利用の話題は、酸化反応が先行し、難分解性物やゴミ処理など、環境分野の技術として研究開発が進んできており、一部で実用化されている。
【0007】
しかし、化学原料回収方法については、タンパク質からアミノ酸への加水分解やペプチド(アミノ酸からの再合成)、グルコース等の低分子成分への加水分解に係わる特許出願が行われている(特開平9−268166号公報や特開平5−31000号公報等)。また、タンパク質やセルロースなど単独成分の変化は、基礎的な知見として重要であり、実験や生成液の分析が比較的容易であり研究開発が先行している。しかし、実際の応用面では、多成分系の原料が対象であり、生成液の分析が難しく、研究開発や用途開発が遅れている。なお、食品粕の再利用を高温高圧水で試みている研究機関もないではないが(例えば、籾殻、魚、焼酎粕について)、いずれも分解による低分子の有用成分の成分分離に関して研究し、食品加工に関する技術開発ではない。
【0008】
そこで、この発明の目的は、オカラを含む食品を水の超臨界状態と亜臨界状態で加工するとオカラを含む食品の安全性が確保される等様々な利点があることを見出し、食品素材として栄養価も安全性も高いオカラの有効な再利用を図るため、オカラを含む食品の加工方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、オカラの高温高圧条件での加工処理の研究を長年行い、多量に生じるオカラの安全で有効かつ経済的な加工方法を見い出し、本発明を完成した。すなわち、本発明の請求項1記載のオカラを含む食品原料の加工方法は、オカラ、液状のオカラ、オカラに水を加えたスラリー、又はこれらオカラを含む多成分系の食品原料を、374°C以上かつ22.1MPa以上の水の超臨界条件と、100°C以上374°C未満でその温度における水の飽和蒸気圧以上の亜臨界条件とのいずれかの高温高圧条件又はこれらを組み合わせた条件の下において、0.01秒以上60分以下で、高分子の高次構造の変化を起こす加工処理をすることを特徴とする。加工時間は温度・圧力条件によって異なるが、極短時間(例えば0.01秒)から数十分の範囲が好ましい。ここで、水の超臨界状態と亜臨界条件の高温高圧条件を単独或いは、2以上の条件を組み合わせて処理する工程とを備える。水の超臨界状態と亜臨界条件の高温高圧条件を2以上組み合わせるとは、少なくとも水の超臨界状態と亜臨界条件の下であれば、いずれか一方条件で行った後に他方の条件で行う場合、超臨界条件から亜臨界条件に亘る範囲で行う場合、更に、同じ条件で複数行う場合を含む。なお、本発明は、酸化剤(過酸化水素、酸素など)や薬剤(酸・アルカリなどの薬剤)の添加による酸化又は加水分解や熱分解を主とする加工法ではない。
【0010】
この請求項1の発明によれば、水の超臨界や亜臨界各条件という高温高圧処理によって、オカラは例えば「高圧圧力釜で高温極短時間、調理」された状態になる。オカラの形態はほとんど損なわないか、又は物理的に軟化、微細化された状態になる。オカラ中の各組織・各成分は有為に選択的かつ部分的に、変性・粗分解し、食品原料として再利用しやすくなる。ここで、上記高温高圧処理は栄養成分(タンパク質、アミノ酸、脂質、糖質、食物繊維等)の分解、風味(味、香り、色など)の低下を防ぐため、できるだけ低温短時間処理が好ましい。また、ここでの水には、氷、氷水、温水、高温高圧水、亜臨界水、超臨界水、水蒸気、過熱水蒸気などを含む。なお、本発明では、主として変性・軟化・微細化(コロイド粒子化)などが中心であり、成分の分解はあくまで副反応で起こりうる。一般的に調理加熱は、喫食・消化しやすく物性改良することが主たる目的だが、副次的に甘み旨味や香りの生成(例えば炊飯や石焼いも等)が知られている。本発明でも同様にタンパク質や繊維質を僅かに部分的に分解することによってブドウ糖、グルタミン酸などの甘み等、甘み・旨味成分を官能的に感じるだけ極少量生成させ、風味向上も図る。ただし、このような低分子を大量に生成することを目的とはしていない。タンパク質や食物繊維のように栄養的価値をできるだけ保持した加工方法を目指している。そして、本発明によれば、オカラの一般細菌や耐熱性細菌胞子を死滅させ、日持ちを良くすることのみならず、不溶性繊維成分は軟化・微細化し、滑らかな風味の良い「オカラ乳」になる。このオカラ乳中のタンパク質は適度な変性状態になり、豆腐の副原料として使っても、保水性や凝固反応には悪影響しない。少なくとも豆腐製造用の食品原料や飲料用のものとしては、何ら問題なく、むしろ栄養価も安全性も高い。豆腐製造用に使用すると、豆腐中の可溶性食物繊維量が増え、保水性も高まり、栄養特性が向上する。オカラを廃棄物として排出せず、食品としての加工特性を有する有機食品原料としてほとんど全てを再利用することができる。このような高温高圧水加工において、オカラ等における各成分・各組織や加工後の性状や用途に応じて、2以上の条件を組み合わせることによって、目的に応じて本加工オカラの品質を調整することができる。例えばオカラを低温の200°C前後数十秒で組織の軟化・微細化、タンパク質抽出や食物繊維の可溶化等を行った後、風味向上のため、高温の350〜400°Cで、極短時間(数秒以下)の加工を行うことによって、食品原料としての付加価値を向上させることが可能になる。
【0011】
本発明の請求項2記載のオカラを含む食品原料の加工方法は、請求項1の加工方法の前工程又は後工程で、オカラ又はオカラに水を加えたスラリー状のオカラを、高圧ホモジナイザー処理する。すなわち、水の超臨界状態と亜臨界条件やこれらの組み合わせ条件の高温高圧条件での加工の前か後にオカラを高圧ホモジナイザーで処理する。具体的には、次のような態様が考えられる。(1)最初に、高圧ホモジナイザーで処理し、次いで、高温高圧水加工を行う。(2)最初に、高圧ホモジナイザーで処理し、次いで、高温高圧水加工を行い、再度高圧ホモジナイザーで処理する。(3)最初に、高温高圧水加工を行い、次いで、高圧ホモジナイザーで処理する。(4)これらを、交互に数回繰り返す。その回数は問わない。
【0012】
まず、オカラを含む原料を高圧ホモジナイザーによって前処理すると、原料粒子の微細化やタンパク質や繊維質など高分子の高次構造の変性が起きる。そのため、分子各部位で様々な反応に敏感になり、その後の工程の高温高圧水による部分分解や熱・圧力による変性を、より穏やかな温度・圧力条件、より短時間かつ正確に行うことが可能になる。また、高圧ホモジナイザーによる前処理では、圧力が瞬間に変化するため、動植物や微生物の細胞壁を破壊できる。細胞内成分の抽出が容易になり、直後の工程で固液分離を行えば、豆乳として歩留り向上を図ることが可能である。ただし、固液分離せずに豆乳に混合し、豆腐の製造に再利用するには、保水性やザラツキのある食感から全て利用するには限界があるが、その後の請求項1記載の高温高圧水加工により、ほとんど全て食品原料として再利用が可能となる。
【0013】
他方、高圧ホモジナイザーを高温高圧条件の加工処理の後処理に使うと、軟化した原料スラリーを滑らかな沈殿物のないコロイド分散液に加工することができる。この高温高圧加工と高圧ホモジナイザーの後処理の際には、オカラを含む食品原料の加工度を抑えて、すなわち細胞壁や細胞膜、高分子成分などの軟化に止め、なおかつ、有用低分子成分(遊離糖、遊離アミノ酸など)への分解をできるだけ抑えた条件を設定するのが実用的であるが、その場合、高温高圧加工済みの原料は、加工前に比べて、高圧ホモジナイザーによって容易に舌触りの滑らかな分散液体状(コロイド状)にすることが可能になる。あまり強い高温高圧条件では着色、焦げ臭が発生し、食品原料として好ましくない性状になる。これを回避するため、できるだけ短時間で、できるだけ低温での高温高圧加工に止めて、その後、高圧ホモジナイザーによる加工を行うことが望ましい。後処理に高圧ホモジナイザーを使用する場合、この前工程での高温高圧加工の条件を「一ゆで」程度の加減で、必要最小限の条件にできる。
【0014】
本発明の請求項3記載のオカラを含む食品原料の加工方法は、請求項1又は請求項2記載の発明を前提として、前記水の超臨界条件と亜臨界条件のいずれか又はこれらを組み合わせた加工の際に、前記オカラを含む食品原料に、高温高圧水を注入するか、又は、高圧水蒸気や過熱水蒸気を吹込むことにより、前記水の超臨界条件または亜臨界条件を段階的又は勾配的に温度条件を調節することを特徴とする。
【0015】
この請求項3記載の発明によれば、一気に所定温度まで昇温し、或いは多段階的又は勾配的に昇温を行ない、高圧(系内の最高温度における飽和蒸気圧以上)下、1つ或いは多段階的又は勾配的な温度(高温高圧)条件を設定する。その目的は、不溶性食物繊維やタンパク質、DNA(組み替え遺伝子を含む)、大豆オリゴ糖、イソフラボンなど各成分や大豆の部位(種皮、へそ、子葉、胚軸など)や、目的の風味に応じた加工条件を設定することにある。
【0016】
また、高圧熱水(又は水蒸気、過熱水蒸気)との混合により、原料液温度を急激に上昇させることが可能で、高温高圧加工を短時間の反応で正確に行なえる。この点は請求項2のうち、前処理として高圧ホモジナイザーを使うことによって、相乗的に正確な反応を実現できる。なお、高温高圧水(亜臨界水、超臨界水)を注入する方法、つまり熱水注入法は、スラリーの流動性を増すとともに、伝熱面の焦げ付きもなく、熱伝達が良くなり、均一かつ急速な昇温と正確な温度制御を実現することができる、原料を傷めず、焦げ付きなども少ない、最も有効な方法である。ただし、原料液の数倍の熱水を使う必要があるため、原料液が薄まる欠点がある。しかし、この場合は、本発明の請求項4のように、フラッシングによって濃縮が可能になる。また、高圧水蒸気や高圧過熱水蒸気を用いることによって、蒸気潜熱を利用でき、加水量を抑えることができ、後の濃縮工程を省くことも可能になる。
【0017】
本発明の請求項4記載のオカラを含む食品原料の加工方法は、前記請求項3記載の発明を前提として、前記水の超臨界条件と亜臨界条件のいずれか又はこれらを組み合わせた加工の後、冷却段階に際してはその減圧前の温度における飽和蒸気圧以下まで減圧することによって加工液をフラッシングすることを特徴とする。
【0018】
この請求項4記載の発明によれば、冷却段階に際して水蒸気をフラッシング(急激な圧力降下)することによって、蒸発潜熱による急冷と、水分蒸発による濃縮(原液濃度に近くなる)と、瞬間的な膨張力による高分子組織の破壊が起きる。したがって、高温高圧加工時にいて、過度の加熱ダメージを最小限に行うとともに、物理的に弱いDNAやタンパク質等高分子を破壊することが可能であり、一連の加工工程の一端を担う。熱交換器による冷却手段が一般的であるが、やや緩慢な冷却になり、濃縮ができないなどの問題もある。ただし熱交換器との併用も可能である。
【0019】
本発明の請求項5記載のオカラを含む食品原料の加工方法は、請求項1乃至請求項4の各工程のオカラを含む食品原料をアルカリ成分又は酸成分により3から9の範囲にpH調整することを特徴とする。
【0020】
請求項1乃至請求項4の各工程とは、原料(液)をあらかじめpH調整しておくこと、熱水のpHを調製しておくこと、冷却段階の注入冷却水のpHを調整しておくこと、系外に出た生成液の中和を含めてpHを調製しておくこと等を含む。従来塩酸などの強酸を大量に用いる加水分解(pH3未満)によってタンパク質原料から調味料液などを製造している。しかし、請求項5記載の発明によれば、主としてクエン酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、酢酸ナトリウム、リン酸三ナトリウムアンモニアなどの弱アルカリ成分や、少量の炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム等の強アルカリ成分を用いることによって原料液pHをアルカリ方向にpH10までの範囲に調整し、又は、主としてクエン酸や酢酸などの弱酸成分やそれらを含む食品素材や少量の塩酸などの強酸成分を利用して、原料液pHを酸性方向にpH3までの範囲に調製することによって、食感や風味・色調等の物性改良や部分分解を有利に行うことができ、高温高圧加工の効果をより高め得る。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照しながら説明する。以下、オカラの加工を例に説明するが、本願発明は、オカラ(生オカラ、乾燥オカラ、発酵オカラ、再生オカラ)は勿論、オカラと同じ成分が含まれる大豆・大豆粉・分離大豆タンパク質・大豆の各部位(脱皮粕等の種皮、へそ、子葉、胚軸など、オカラを分別した場合も含む)など大豆成分を含む有機食品原料の加工にも応用したので、これらについても説明を加える。なお、水の超臨界状態と亜臨界条件については、図4に示す。
【0022】
(本実施の形態の加工システムの基本的構成)本実施の形態のオカラを含む食品原料の加工システムは、図1に示すような各装置を適宜組み合わせたシステムであり、その工程で各加工工程A1,B,A2,C,D,Eが行われる。
【0023】
本実施の形態のオカラを含む食品原料の加工システムは、図1乃至図3に示すように、オカラが貯蔵される貯蔵室2aと、(蒸留)水が貯蔵される貯蔵室2bと、供給ポンプ3を介して接続される高圧ホモジナイザー5Aと、この高圧ホモジナイザー5Aと供給ポンプ6、高圧ポンプ7bを介して接続される高温高圧装置1と、この高温高圧装置1と供給ポンプ3を介して接続される高圧ホモジナイザー5Bとを備える。高圧ホモジナイザー5A,5Bは、0〜200MPaに加圧した原液試料をホモバルブを通過させることによりせん断、破砕、均質化するものである。高温高圧装置1は、超臨界又は亜臨界流体用の加熱装置であり、また飽和水蒸気や過熱水蒸気の発生装置としても利用できる。その種類としては、溶融塩浴装置11、流動砂浴装置15、電気炉装置14等があるが、これらに限定されず、これらを組み合わせて使用することも可能である。原料への加水工程の有無1a,1bは適宜選択する。ただし、酸化剤(酸素、過酸化水素など)や薬剤(酸・アルカリなどの薬剤)の添加による酸化又は加水分解で加工するものではない。
【0024】
また、本実施の形態の加工システムは、高温高圧装置1と連結される高圧ポンプ7bや、加熱装置として高温高圧水を注入する高温高圧注入装置8b、又は、高圧水蒸気を吹き込む高圧水蒸気吹き込み装置8aが備えられると共に、熱交換器12、冷却装置13、減圧装置18(オリフィス、背圧弁、蒸発缶などで構成される工程D)、取出装置17(背圧弁、ポンプ、ロータリーバルブなど)が配設されている(図2中の符号C,D)。熱交換器12としては、多管式、プレート式、掻き取り式等いずれのものでも良くその種類は問われない。また、冷却装置13は、公知の装置が使用されている。また、冷水注入装置20によるものでもよい。
【0025】
このような構成により、前記オカラの流体(固体分散液、コロイド状ペースト状流体)又は固体を、飽和蒸気圧以上の高温高圧条件で1段〜多段階又は連続的に、温度を変化(上昇・下降)させる。減圧装置18(工程D)を介して、減圧前の流体温度における飽和水蒸気圧未満に1段〜多段階に減圧し、水蒸気を放出させ、急速或いは多段階的濃縮工程と冷却工程を同時に行う。多段階的又は連続的温度降下の場合、上記加熱工程と同様な加工(反応)が行なわれる。最終的には、取出装置17を介して取り出すときには、大気圧および大気圧時の水沸点以下の温度になる。これらの段階的加熱工程Bや段階的冷却工程C、Dは各々複数の条件を組み合わせてもよい。高温高圧水の注入8bや高圧水蒸気の吹き付け8aは数回行っても良い。また、減圧装置18(工程D)から得た高圧高温水蒸気や熱交換器12で得た高熱の熱媒は、再び原料の加熱に使うことができるため、エネルギー循環による経済的なシステムを構築しやすい。特に水蒸気は気体であり移送しやすく、直接加熱や間接加熱でその潜熱を利用できるので、効率の良い経済的な加工システムを実現できる。
【0026】
以上の加工システムは、次のような基本的な使用の態様が考えられる。(1)最初に、高圧ホモジナイザー5Aで処理し、次いで、高温高圧水加工Bを行う。(2)最初に、高圧ホモジナイザー5Aで処理し、次いで、高温高圧水加工Bを行い、再度高圧ホモジナイザー5Bで処理する。(3)最初に、高温高圧水加工Bを行い、次いで、高圧ホモジナイザー5Bで処理する。(4)これらを、交互に数回繰り返す。その回数は問わない。なお、C,D,Eの工程は適宜組み合わせる。
【0027】
本実施の形態では、先ず、蒸留水をプランジャー2連式高圧ポンプ(NP−AX−15日本精密科学製)で送液し、出口の背圧弁にて所定の高圧力に調整し、途中、高温高圧装置1を通過させ所定の高温度まで加熱し、高温高圧水、すなわち超臨界水か亜臨界水、または高温高圧水蒸気、すなわち飽和水蒸気、過熱水蒸気を得る。一方、別経路で、原料液を同じく高圧で送液し、前記高温高圧水または高温高圧水と合流させ、原料液を室温から一気に200〜300°Cまで加熱装置で予備加熱し、さらに所定の温度(300°C又は400°C)に調整した流動砂浴式加熱装置15(反応槽)を通過させて温度を安定させ、所定の時間(3秒、5秒、10秒)加熱加工する。この加熱加工は、加熱装置から冷却装置までの配管長やポンプ流速(7a,7b等)を調整しながら行う。その後、冷却装置13を通過させて一気に水温まで冷却し、背圧弁を介して加工液を得る。
【0028】
上記加工システムは、豆腐の製造工程に組み込まれるように構成されている。すなわち、通常の豆腐の加工に使う場合、漬け大豆を磨砕するとき本加工液を水の代わりに使用する。本加工液は、不溶性の繊維質や沈殿物をほとんど含まない滑らかな液体であり、豆乳中に2割以上混在しても豆腐の品質に影響しない。本加工液に含まれるタンパク質が豆乳に加わるため、通常と同じ濃度を得る場合、加水量は多くでき、その分(約10〜60%)が歩留まり増加になる。結果的に、ほとんど大豆全てを使って高品質の豆腐を製造でき、おからの有効利用が図られる。
【0029】
(本実施の形態による加工方法)まず、オカラ又はオカラに水を加えたスラリー状又は液状のオカラを高圧ホモジナイザー5Aにより数〜数百MPaで前処理し(図中の符号A1)、微細化、細胞組織破壊、微乳化等する。次いで、オカラに新たな水を加えて膨潤・浸漬・乳化したペースト状のものや分散したスラリー状のものを高圧ポンプ3で圧送し、高温高圧装置1に送る。ここで、高温高圧系内(すなわち、高圧ポンプ7a、7b〜取出装置17までの間)の最高温度における飽和蒸気圧以上、(例えば200°Cのとき1.5538MPa以上、300°Cのとき8.581MPa以上等)で圧送する(図4参照)。また、例えば、400°C30MPaの高温高圧水注入装置8bによる注入や、高圧水蒸気(例えば飽和水蒸気300°C8.5MPaか、或いは、その高圧系の圧力と同等以上、又は過熱水蒸気360°C8.5MPa)の吹込み装置8aによる吹込み等によって直接加熱する。すなわち、水の亜臨界状態が100°C以上かつその温度における飽和蒸気圧以上の圧力(例えば150°Cのとき0.476MPa以上)、又は、水の超臨界条件(374°C以上かつ22.1 MPa以上)を、1または2以上の条件を組み合わせて、各条件で所定時間(例えば0.01秒〜60分)形成する。
【0030】
この工程で、大豆タンパク質を豆乳や豆腐などへの食品加工特性、栄養特性を損なわない、適正な変性状態(高次構造の変化)にし、かつミジン(大豆の細かい欠片、不溶性繊維成分)の柔軟化や薄質化によってざらつく食感を改良し、または、食物繊維としての栄養特性を残しながら、可溶性食物繊維に改良することができる。また、負の栄養成分である大豆オリゴ糖(ラフィノース、スタキオースなど鼓腸成分)の一部を分解し、また、トリプシンインヒビターの一部を変性失活させ消化性を向上させ得る。ただし、大豆オリゴ糖の含有量は、不溶性繊維質に比べて極めて少なく、「加水分解」が本発明において起き得たとしても、主ではなく、副たる反応であり、あくまで付随効果である。また、遺伝子組換大豆を原料としたオカラについては、導入遺伝子由来のDNAやタンパク質を変性させ得る。
【0031】
高圧ホモジナイザー5Aの前処理工程(符号A1)では、オカラの粒子が微細化されて、滑らかなペースト状になる。それは、そのまま食品原料としても利用できる。例えば、豆乳に混合し、通常の凝固剤、すなわち塩化マグネシウム(ニガリ)、硫酸カルシウム(すまし粉)、グルコノ−δ−ラクトン(GDL)、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、トランスグルタミナーゼ、有機酸などを用いて、豆腐に加工することは可能である。しかし、微細化された不溶性繊維質にもかかわらず、豆腐中の異物として保水性を低下させ、ザラツキのある食感を与えるため、豆乳への混入割合は多くはできず、1割程度までであり、オカラを全て利用するには限界がある。また、前処理に高圧ホモジナイザー5Aを使って、0.5〜2mm程度の粒子の大きいオカラのスラリーを、0.1〜0.01mm以下の滑らかなスラリーにすることによって、流動性が高くなり、熱伝達、伝熱の効率が良くなる。さらに、オカラのように大きな粒子があると、高圧ポンプの逆止弁や取り出し装置等に引っ掛かかり、送液ができなくなるおそれがある。また、物理的にもできるだけ細かくした方が、できる限り低い温度圧力条件で、できるだけ短時間の条件によって、原料全体を均一に正確にスムーズに加工することができ、風味や色合い違和感のない食品原料としての特性を維持することができる。さらに、細粒化により流動性が高まるので、原料への加水を最小限にできる効果もある。
【0032】
また、上記加熱加工済みの「大豆や、大豆成分や大豆部位を含む高温高圧流体(又は固体分散液、コロイド状ペースト状流体)又は固体」を、直接又は冷却工程途中又は冷却工程を終えた後、背圧弁又はロータリーバルブ等の取出装置17又は高圧ポンプ6等を介して、高温高圧系から加工済み原料を取出す工程Eが設けられている。
【0033】
また、上記加熱加工済みの「大豆や大豆成分を含む高温高圧流体(又は固体分散液、コロイド状ペースト状流体)又は固体」を、直接又は冷却工程途中又は冷却工程を終えた後、高圧ホモジナイザー5Bを用い、数〜数百MPa(例えば5〜200MPa)で後処理(微細化、細胞組織破壊、微乳化等)する工程A2が設けられている。
【0034】
ここで、大豆や大豆成分や大豆各部位を含むものである有機食品原料の場合は、前処理の高圧ホモジナイザー5Aによって、原料粒子の微細化やタンパク質や繊維質など高分子の高次構造の変性が起きる。そのため、分子各部位で様々な反応に敏感になり、その後の工程Ba〜cの高温高圧水による粗分解や熱・圧力による変性を、より穏やかな温度・圧力条件により、更に短時間かつ正確に行うことが可能になる。また、大豆や大豆成分を含むものである有機食品原料の場合は、大豆組織、即ち「へそ」や種皮等の柔軟化、細胞膜や細胞壁組織等の柔軟化・粗分解、大豆中の構成高分子(セルロース、ペクチン、タンパク質、DNA、例えば遺伝子組換大豆中の微生物由来DNAやタンパク質等)に対する熱・圧力・時間による変性、タンパク質であればSS結合(他イオン結合、静電結合、疎水結合、水素結合)やサブユニット結合の解離や再結合による高分子の高次構造(2次構造〜4次構造)の変化や、大豆中の構成成分、即ち前記高分子や消化酵素阻害成分トリプシンインヒビター(タンパク質)の失活や、スタキオースやラフィノースといった鼓腸性オリゴ糖(嫌われる成分)や、ダイジン、ゲニスチンというイソフラボン配糖体(糖鎖を切ったイソフラボンはより高い女性ホルモン活性がある)等の低分子成分が副反応として部分的に分解し、付随的に栄養価を高め得る。またタンパク質や不溶性繊維質の一部分もわずかに副反応として粗分解し、甘みや旨味成分(低〜中分子)を生成し得る。
【0035】
このような加工システムにより、超臨界条件と亜臨界条件の温度条件を段階的又は勾配的に選択すると、次のような各成分に応じた加工が可能である。
【0036】
(1)例えば100〜300°Cで10MPa以下では、繊維質やタンパク質など大豆の構成高分子が変性し、細胞壁など繊維質が軟化し、タンパク質で生理活性物質(悪影響成分)であるトリプシンインヒビターを失活させ消化性を向上させる。一般にタンパク質であれば、サブユニット集合体(四次構造)から個々のサブユニット(三次構造)への解離、個々のサブユニット(三次構造)の緩みや疎水性領域の露出などの変化、アルファーら旋構造やベータ構造(折りたたみ構造)のランダム構造への変化(二次構造)が起こる。本願発明では、原料はほとんど分解せず、このような変性した状態に加工することができる。
【0037】
(2)例えば300〜350°Cで30MPaでは、高分子は部分的に分解を受け、中程度の分子(例えば、繊維質はポリデキストリンへ、タンパク質はポリペプチドへ)に分解できる。本願発明では、原料はほとんど分解せず、変性した状態からβ−D−グルコースが数個から数百個連なったいわゆる「可溶性食物繊維」、また、グルタミン酸のようなアミノ酸が2個以上つながったペプチドや10個以上つながったポリペプチドのような「甘み旨味、生理活性成分」、さらに、遺伝子組換作物(大豆等)の場合、バクテリア由来のDNA(遺伝子)を含めて、DNAやRNA(遺伝子)を変性させ、一部をオリゴヌクレオシドに分解可能である。完全に分解しなくとも中程度に分解した分子がより多く含まれるよう加工された状態になる。これら説明は、比較的大きな分子が、高圧ホモジナイザー5Bの後処理やフラッシング(急激な圧力降下)によって微細化し、コロイド粒子状になる場合も含む。
【0038】
(3)例えば350〜400°Cで30MPaでは、高分子は大半が分解を受け、低分子にすることができる。例えば、繊維質やポリデキストリンから、例えば単糖であるβ−D−グルコースのような「甘み成分」を生成し、タンパク質やポリペプチドからは、例えばアミノ酸の1種であるグルタミン酸(大豆中最も多いアミノ酸)のような、いわゆる「旨味成分」を生成し、これらを多く含む味を向上させた加工品を得ることができる。バクテリア由来の組み替え遺伝子をヌクレオシドやヌクレオチドやアグリコン(グアニン、シトシン、アデニン、チミン、ウラシルなどの塩基)まで分解し、より安心できる加工品を得ることもできる。また、大豆オリゴ糖(ラフィノース、スタキオースなど鼓腸成分)を単糖に部分分解し、鼓腸作用を低減できる。また、大豆イソフラボンの配糖体(ゲニスチンやダイジン等)の糖質残基を除去し、アグリコン(ゲニステインやダイゼイン等)に分解し、女性ホルモンとしての生理活性効果を高め得る(糖質部分は分解を受けやすく、イソフラボン骨格は比較的安定と見られる)。
【0039】
そして、本実施の形態の加工システムによれば、高圧送液ポンプ3は高価なスラリー対応ポンプである必要がなくなり、コスト軽減が図られる。また、背圧弁など閉塞する心配が少なくなり、安定な稼動とコスト軽減が図られる。この工程においては、高温高圧系において(原料送液ポンプ、加熱工程B、冷却工程C、取出装置工程Eを含む)中で、高温高圧条件から高温高圧系内の最低温度における飽和水蒸気圧以上の範囲で、オリフィス、背圧弁等を介して、1段〜多段階に減圧変更し、各圧力条件を所定時間に設ける。
【0040】
また、前記加熱加工済みのオカラの高温高圧流体(水の亜臨界、超臨界条件で、滑らかな液体の他、固体分散液、コロイド状ペースト状流体、やバッチ式の場合、固体を含む)を、熱交換器12を通して急速或いは多段階的又は連続的な冷却を行う冷却工程Cおよび多段階的又は連続的温度降下の場合、上記加熱工程と同様な加工(反応)を行う。なお、各工程B,C,Dにおいて熱を冷ました状態で各工程B,C,Dをそのまま続けても良い。
【0041】
さらに、本実施の形態の加工システムにおいては、図2に示すように、冷却工程C(減圧工程Dを含む)等は、循環的なシステムとして構成することが好ましい。生オカラのみならず乾燥オカラ等を効率的に加工処理するためである。すなわち、本実施の形態の加工システムに更に、冷却工程で得た飽和水蒸気、又はその飽和水蒸気を加圧し再凝縮させた高圧高温水、又は熱交換器12を経て得た高温高圧水又は飽和水蒸気を、再び、原料流入側に戻し、上記のように熱交換器12による間接加熱、又は、直接加熱によって原料を加熱するための熱回収工程を配することが好ましく(図2中符号F)、省エネルギーであり経済的である。
【0042】
上記A1,B(Ba〜c),A2〜D,Eまでの工程を、その条件を選択的に多段階に、又は連続的に設定すると、繊維質やタンパク質など大豆の構成高分子が変性し、軟化・微細化するだけでなく、副反応として、それらの一部を分解し、低分子成分を適当量含有させることができる。例えばβ−D−グルコース(セルロースの構成成分)のような、いわゆる「甘み成分」、グルタミン酸(大豆中最も多いアミノ酸)のような、いわゆる「旨味成分」、きな粉や煎り豆のような「香ばしい香り成分」など付加価値のある成分を加工生成物中に含ませることができる。その生成量は味覚に感じる程度の少量で良い。例えばグルタミン酸であれば、最終食品中0.03〜0.1%程度あれば十分旨みを感じることができる。すなわち、本実施の形態は、食品添加物を使用しない「風味付け加工」といえるものである。
【0043】
したがって、先行技術のように、付加価値のある成分を高収率で単離・精製する目的とは異なる。また、本願ではβ−D−グルコースが数個から数百個連なったいわゆる「可溶性食物繊維」、また、グルタミン酸のようなアミノ酸が2個以上つながったペプチド・ポリペプチドのような「甘み旨味、生理活性成分」など、完全に分解しなくとも中程度に分解した分子も選択的に適量含有させ得る。
【0044】
次いで、本実施の形態の加工システムの製造規模に応じた使用の仕方を図3を用いて概説する。製造規模が中規模から大規模に使用できる場合は、図3の上段に示すように、高温高圧水連続加工装置として構成し、上記工程Ba〜Dを連続的に行えるようにする。ここでは、各ポンプP1〜P4や高圧ポンプ7a,7b等を使用して連続的な加工システムを構築する。次に、製造規模が小規模に使用できる場合は、図3の下段に示すように、高温高圧水セミバッチ加工装置として構成し、上記工程Bc〜Dを連続的に行えるようにする。次に、製造規模が極小規模に使用できる場合は、図3の中段に示すように、高温高圧水バッチ加工装置として構成し、上記工程Bb〜Dを回分式に行えるようにする。これらの場合(図3中の中段、下段)は、オカラ(生オカラ)と水を所定の容器に充填する充填工程を経て高温高圧加工が行われる。なお、何れの工程(図3中の全て)でも加水工程の有無1a,1bは適宜選択する。このような構築をすると、本実施の形態を製造規模や企業規模に応じた加工システムが実現できる。
【0045】
以上から、本発明の加工システムと加工方法によれば、オカラは勿論、オカラを含む食品原料の加工のみならず、オカラと同じ成分が含まれる大豆・大豆粉・分離大豆タンパクなど大豆成分や大豆各部位を含む有機食品原料の他、その他有機食品原料の加工にも応用し得るものである。したがって、大豆と同じように、無機成分が少なく、炭水化物(繊維質、糖質)やタンパク質、脂肪等栄養成分からなり、加工後に食品原料に成り得る有機性原料(パルプ、木材粉、木綿、とうもろこし芯、蕎麦殻、小麦麩、酒粕、ビール粕、ブドウ酒搾り粕、醤油粕、餡粕、サトウキビ搾り粕、ミカンやリンゴ、ブドウなど果汁搾り粕、茶殻、畜肉残渣・血液廃液等)等にも適用することが可能である。
【0046】
【実施例】
(実施例1)上記実施の形態において、オカラ0.5gを10ml高温耐圧容器(SUS316L製肉厚圧管)19にとり、所定の温度で所定の圧力になるよう貯蔵室2bの水(蒸留水)を所定量加え密栓した。耐圧管19を所定温度(250°C,300°C,350°C、400°C)に調整した溶融塩浴装置(溶融した硝酸塩を熱媒に使用)11に漬け込み、所定時間(1分、5分、60分)経過後、直ちに取り出し、水槽に漬け込み急冷した。高温高圧装置1により加工は(図中符号B)、30MPaと40MPaで、時間は60秒〜3,600秒(60分)の範囲内で行った。すなわち、表1の左欄に示す1〜11の各条件の下で実験し、高温高圧水加工後、耐圧管19を開き、加工液を取り出し、性状評価を行った。その結果を表1に示す。性状評価は、オカラ残渣、残渣 沈降、着色程度、風味等について行った(実施例1の水の飽和蒸気線図は、図4の星印を参照)。
【0047】
【表1】
【0048】
表1から明らかなように、高温高圧装置1により、30MPa、350°C、5分の条件(No6)や、30MPa、400°C、5分の条件(No8)では、オカラの残渣がなく、褐色の液体となった。また、30MPa、400°Cで、60分の条件(No9、No10)になると、強い焦げ臭い臭いがした。ただし、着色は逆に淡くなってきた。これらの条件はかなりの成分変化が起き、官能的には食品原材料としては利用しがたい点もあるが、30MPa、300°C以下の条件(No1,2,3,4)では、オカラ残渣は認められるが、チキンスープやコーヒー風味が生じ、食品原料としての利用価値が認められた。なお、若干の着色は起こしている。これらからオカラを含む原料成分の過度のダメージを防ぐためには、高温高圧水加工は短時間処理が好ましいことが分かる。そして、水の超臨界や亜臨界各条件という高温高圧水による短時間処理によって、オカラ中の各成分は有為に選択的かつ部分的に、変性・分解し、食品原料として再利用の途が開かれる。例えば、豆腐の副原料として使うと、オカラを廃棄物として排出せず、安全に再利用することができ、豆腐中の可溶性食物繊維量が増え、保水性も高まり、栄養特性を向上させることができる。
【0049】
(実施例2)オカラ1kgに2.5倍量の水を加えスラリー状とし、高圧ホモジナイザー(NS206L PONY、Niro Soavi社製)5Aを35MPaで3回処理し、滑らかなオカラスラリーを調製した。このオカラスラリーを5倍に希釈し、150メッシュ以上の粗い粒子を除き、高圧ポンプ(NP−AX−15日本精密科学製)7aで1.5ml/minの割合で送液した。別に純水を高圧ポンプ6で3ml/minの割合で送液し、予め400°Cまで加熱した。オカラスラリーに加熱装置で高熱水を連続的に注入・混合し、約200°Cまで急速に昇温し予備加熱を行なった。次に所定の温度(300°C、400°C)に調整した流動砂浴装置15(反応槽)を通過させ、約10秒間反応を行ない、直ちに冷却装置13にて冷却し、背圧弁を介して、生成液を得た(超臨界処理、No1)。背圧弁の調整で、30MPa、10MPaの条件を採った(亜臨界処理、No2)。このようにして得た生成液の条件及び分析結果を表2に示した(実施例2の水の飽和蒸気線図は、図4の三角印を参照)。
【0050】
【表2】
【0051】
表2のA欄において、No3((3))が超臨界水の処理であり、No2((2))が亜臨界水の処理であり、No1((1))がコントロール(未処理)である。未処理とは、超臨界処理も亜臨界処理も行われず、これらNo1,2とオカラと水の調製等の条件を同じにしたことを示す(ただし、前2条件で熱水が混合されており、同じ割合で蒸留水を添加した。)。これらの各試料について、ガラス電極法によるpH測定、105°C乾燥法による固形分、ケルダール法とアミノ酸自動分析計によるタンパク質、溶剤抽出による脂質、550°C灰化による灰分、差し引き計算により炭水化物を測定した(A欄参照)。炭水化物には可溶性の糖質(全糖)と不溶性食物繊維(食物繊維)を含む。タンパク質(アミノ酸態)は、酸分解後、アミノ酸自動分析計による28種のアミノ酸の定量分析より求めた。アミノ酸自動分析計は、タンパク質の分解物や遊離アミノ酸をイオン交換クロマトグラフィーで分離定量する方法である。なお、ケルダール法は、有機試料中の窒素をアンモニアとして測定し、換算乗数5.71を乗じて、タンパク質を求める方法で、アミノ酸以外のアミノ態窒素も測り得る。
【0052】
未処理(No1)、亜臨界処理(No2)、超臨界処理(No3)の順に、炭水化物、固形分、タンパク質(アミノ酸態)が減った。明らかに、オカラ中の各成分が分解し、消失していることが分かる。食物繊維を含む炭水化物は劇的に減少している。脂質も超臨界処理(No3)で減少しているが分かる。
【0053】
タンパク質はケルダール法によってアミノ体窒素等を測定しているため、見かけのタンパク質全量の変化は認められなかった。しかし、アミノ酸分析の結果から、明らかにタンパク構成アミノ酸として存在する量は減少しており、タンパク質の変性および粗分解を示している。なお、タンパク質の変性、すなわち、高次構造の変化が本条件ではかなり進んでしまっているが、アミノ酸への分解の手前で起きうる。
【0054】
超臨界処理(No3)では食物繊維など炭水化物はほとんど消失しているにもかかわらず、アミノ酸が存在し、タンパク質としての存在も示唆しており、ケルタール法とアミノ酸自動分析計によるタンパク質食品加工特性(例えば、塩凝固性等)を残している可能性を暗示している。
【0055】
また、外観を目視により観察した結果を表2のB欄に示した。
【0056】
亜臨界水の加工処理(No2)、超臨界水の加工処理(No3)にはオカラのように直ぐに分離する沈殿は見られず、ほとんど微細化、可溶化した。未処理(No1)、亜臨界水の加工処理(No2)、超臨界水の加工処理(No3)の順に、褐色の着色や臭いが強くなったが、反応時間10秒間というやや過酷な条件であり、分解が進み過ぎ、重合物が生成していた。以上の結果から、水の超臨界や亜臨界各条件を適当に設定することによって、オカラの組織が有為に変化し、各成分は有為に選択的かつ部分的に、分解し、食品の原料として再利用しやすく、付加価値が高め得ることが分かった。
【0057】
(実施例3)オカラ1kgに2.5倍量の水を加えスラリー状とし、高圧ホモジナイザー(NS2006L PONY、Niro Soavi社製)5Aにより140MPaで1回処理し、滑らかなオカラスラリーを調製した。このオカラスラリーを5倍に希釈し、高圧ポンプ(NP−AX−15日本精密科学製)7aで3.0乃至4.5ml/minの割合で送液した。別に純水を高圧ポンプ(同上)で6.0乃至9.0ml/minの割合で送液し、予め450°Cまで加熱した。オカラスラリーに高熱水を連続的に注入・混合し、約200°Cまで急速に昇温し予備加熱を行なった。次に所定の温度(200°C、250°C、300°C)に調整した流動砂浴装置15(反応槽)を通過させ、1あるいは3秒間反応を行ない、直ちに冷却装置13にて冷却し、背圧弁を介して、生成液を得た。背圧弁の調整で、30MPaに固定した。そして、高温高圧水加工後に、高圧ホモジナイザー5Bで後処理を行った。このようにして得た加工液の性状評価を表3に示した。性状評価は、オカラ残渣、残渣 沈降、着色程度、風味等について行った(実施例3の水の飽和蒸気線図は、図4の菱形印を参照)。
【0058】
【表3】
【0059】
まず、高温高圧装置1による高温高圧水加工の前後における高圧ホモジナイザー5A,5Bの加工の効果について検討した。表4の(1)のコントロール(未処理)に比べて、(2)のオカラを高圧ホモジナイザー5Aで140MPaで処理するだけでも、0.5〜2mm程度の粒子の大きいオカラのスラリーが0.1〜0.01mm以下の滑らかなスラリーになった。しかし、食感はわずかにざらついていた(性状評価参照)。また、(3)の高温高圧加工のみに比べて、(4)の高温高圧加工のみならず高圧ホモジナイザー5Aの前処理によってオカラ残渣粒子が小さく、滑らかになった。さらに、(4)の高温高圧装置1による加工時間を1秒と短くすると、同様な滑らかさで、着色も食品材料としてほとんど影響のない程度の状態になった。ここで、高温高圧装置1による加工時間は、温度にもよるが、例えば0.01秒から60秒というような短時間処理が好ましい。
【0060】
次に、(5)が高温高圧装置1による1秒間の加工後、高圧ホモジナイザー5Bにかけた場合であるが、100°C以上の高温高圧加工による加工液は無菌であるために、貯蔵は可能である。ただし、希に、貯蔵中に成分の分離、凝集・沈殿を起こす。これを防止するため、高温高圧加工の後、高圧ホモジナイザー5Bを用いて均質化処理(5〜200MPa)を行うと、安定化な加工液を得ることができる。また、比較的温和な高温高圧加工(例えば250°C30MPaで1秒)では、着色や異臭もなく食品原料として好ましい。しかし、完全に不溶性繊維質は可溶化せず、最初から沈殿を生成する。そこで高温高圧加工後、高圧ホモジナイザー5Aを用いて均質化処理(5〜200MPa)を行うと、細かな分散液を得ることができる。また、(6)は、(5)の条件の工程で高圧ホモジナイザー5Aで処理を行ったものであるが、均質・分散効果によってオカラ残渣がほとんど沈降しない加工液を得た。
【0061】
このように、高温高圧水加工の前後における高圧ホモジナイザー5A・5Bによる加工によって沈降性残渣もなく、食感や臭いなどの点においても違和感なく、食品原材料として利用することが可能であることが分かる。ここでは、沈殿物の消失は食品原料として必要条件ではなく、もっと緩い条件でも不溶性繊維質が軟化、微細化による、ザラツキ感の改善には十分可能である。
【0062】
(実施例4)オカラ1kgに2.5Lの水を加えスラリー状とし、高圧ホモジナイザー(NS2006L PONY、Niro Soavi社製)5Aを140MPaで1回処理し、滑らかなオカラスラリーを調製した。このオカラスラリーを5倍に希釈し、攪拌しながら、高圧ポンプ(NP−AX−15日本精密科学製)7bで3.0ml/minの割合で送液した。別に純水を高圧ポンプ(7a)で6.0ml/minの割合で送液し、予め400°Cまで加熱した。オカラスラリーに高熱水を連続的に注入・混合し、約200°Cまで急速に昇温し予備加熱を行なった。次に所定の温度(200°C、250°C、300°C)に調整した流動砂浴装置15(高温高圧装置1内)を通過させ、(2)の200°Cの一定温度3.0秒の加工、又、(3)300°Cの一定温度3.0秒の加工を行ない、更に、(4)の200°C〜300°Cで、6.0秒間昇温加工を行い、直ちに熱交換器12で冷却した。また、熱交換器12で冷却する前に、1MPaまで減圧し、フラッシング(急激な圧力降下)による急冷を行った。これを(5)として示す。それぞれ背圧弁を介して生成液を得た。その高温高圧条件と性状評価の結果を表5に示した。性状評価は、オカラ残渣、残渣 沈降、着色程度、風味等について行った。なお、この表4は、亜臨界条件の高温高圧水処理によるものである(実施例3の水の飽和蒸気線図は、図4の楕円印を参照)。
【0063】
【表4】
【0064】
いずれの条件でもオカラ残渣は認められたが、その残渣の沈降性に差があった。すなわち、(2)の200°Cで3秒に比べて、(3)300°Cで3秒の方がオカラ残渣の沈降性は小さいが、着色や焦げ臭が認められた。(4)の200°Cから300°Cへ昇温させると、オカラ残渣の沈降性も小さく、着色や香りも遜色のない状態になった。200°Cではオカラスラリーの状態はあまり変化が見られなかった。250°C以上では、温度、時間に比例して褐色を帯びていた。沈殿物の状態は、250°Cで5.0秒以上の条件でかなり、少なくなる傾向が見られた。着色以外、粘質物など重合物の生成は認められなかった。このように水の亜臨界条件を短時間に行うことによっても、オカラ中の繊維成分を有為に変化させることが分かる。フラッシング(急激な圧力降下)により、蒸発潜熱による急冷と、水分蒸発による濃縮(原液濃度に近くなる)と、過度の加熱ダメージを最小限に行うことが分かる。
【0065】
(実施例5)次に、高温高圧条件下、弱酸、弱アルカリ等の添加によるpH調整を行った。その結果を表5に示す。
【0066】
【表5】
【0067】
ここで、pH調整に用いられる原材料としては次のものが挙げられる。(1)食品添加物(化学合成以外の食品添加物:いわゆる天然添加物も含む)では、主としてクエン酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、酢酸ナトリウム、リン酸三ナトリウムアンモニアなどの弱アルカリや少量の炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウムやかんすい等の強アルカリ成分や主としてクエン酸や酢酸などの弱酸成分や少量の塩酸などの強酸成分、(2)食品素材では例えばヨーグルトなどの乳酸発酵食品、柑橘系の酸性果汁、(3)、水では酸性・アルカリイオン水、温泉水、地下水、海水やこれらの氷や氷水等の食品水適合水等である。
【0068】
表5から明らかなように、クエン酸の添加(1%添加)によってグルコースの生成量が260°Cという低温の条件においても認められた。pH無調整(中性)では、400°Cでセルロースの分解が認められた。pHの変化も少なく、高温条件でも酸の生成が抑制された。したがって、事後、中和する場合、アルカリ量も少量でよい。一方、弱アルカリ(重曹)の1%添加では、亜臨界から超臨界条件において焦げ臭等が少なく、逆にコントロールや弱酸に比べて好ましい風味であった。また、凝固性タンパク質量も亜臨界条件下(260°C、340°C)では280nmの吸収がコントロールに比べて高くなっており、タンパク質の変性度合いが進んでいることが分る。超臨界状態での処理によってもpHをほぼ中性に維持できた。逆に酸添加では亜臨界条件(特に260°C)において、白さを表すL値がより高く、着色が抑制されていたことが分る。グルコースの生成などの目的によっては圧力や温度条件を低く設定することも可能であり、装置コストや運転コストを大幅に軽減することが可能になる。なお、グルコースの生成を指標にしたが、本願ではグルコースの成分は主たる目的ではなく、分析手法上、グルコースの生成を実際にはセルロース高分子の部分的な崩壊が本来の目的である。
【0069】
過去、超臨界条件において酸やアルカリ添加によって、加水分解反応が促進される知見は得られている(特公平03−3671号:化学工学会徳島大会講演要旨集P161、1999年)。従来塩酸などの強酸を大量に用いる加水分解(pH3未満)によってタンパク質原料から調味料液などを製造している。また、塩酸等は食品加工助剤として使用許可を受けた食品添加物であるが、劇薬であり、作業環境、後工程の精製工程、装置の腐食、中和に逆液性の強アルカリや弱酸などを使用すると、コストアップと危険を伴う。
【0070】
しかし、本発明によれば、食品原材料を高温高圧加工においてpH調整すると、食感や風味・色調や物性を有効に制御する手段であることがわかる。温度、圧力、時間の要素とともに調節の幅が増え、生成物(液)の品質調整、差別化を多彩に行うことが可能となる。このように、生成物(液)の性質・性状が大きく左右され、目的によって有利な方向に品質をコントロールすることができる。高温高圧条件下、弱酸、弱アルカリ等の添加によるpH調整によって、無調製時に比べて高温高圧加工の効果をより高め得る。
【0071】
以上、上記各実施例は、オカラを含む食品原料によるものであるが、上記各実施の形態からも明らかなように、大豆や大豆成分を含む多成分系にも汎用的に適用可能であり、食品原料にも広く適用可能である。
【0072】
(実施例6)オカラ3kgに3Lの水を加えスラリー状とし、高圧ホモジナイザー(NS2006L PONY、Niro Soavi社製)5Aを140MPaで1回処理し、滑らかなオカラスラリーを調製した。このオカラスラリーを補助ポンプ(自作)を用いて、高圧ポンプ(NP−AX−15日本精密科学製)7bで14.0ml/minの割合で送液した。別に純水を高圧ポンプ(7a)で3.0ml/minの割合で送液し、予め2.0MPa下、222°Cまで加熱し、高温高圧水蒸気を得た。また同様に予め2.1MPa下、370°Cまで加熱し、高温高圧過熱水蒸気を得た。オカラスラリーにその水蒸気を連続的に注入・混合し、約200°Cまで急速に昇温し加熱を行なった。約2.5秒後、熱交換器12で冷却し、背圧弁を介して生成液(オカラ乳、固形分約10%wt)を得た。オカラ乳と常法によって得た豆乳(固形分約11%wt)を1:2で混合し、計算上ほぼ大豆全粒を利用した全粒豆乳を得た。冷却した全粒豆乳に、GDL(グルコノ−δ−ラクトン)0.15%、塩化マグネシウム(MgCl2・6H2O)0.15%、トランスグルタミナーゼ製剤(味の素社製「アクティバ」スーパーカード、有効成分0.2%)0.2%を水に溶いて添加・混合した。次に豆腐用包装容器(ポリプロピレン製)に充填包装し、60°C30分に続いて80°C30分加熱凝固した。豆乳、豆腐は一夜冷蔵後、品質測定を行った。その結果を表6に示した。
【0073】
【表6】
【0074】
高温高圧水蒸気を用いても、オカラ乳との混合後には高温高圧水と同様な高温高圧状態(亜臨界条件)が得られた。オカラのざらつき感のあるコントロールに比べても、十分滑らかな食感に改善することができた。更に本結果では、飽和水蒸気よりも過熱水蒸気を用いた方が僅かながら、滑らかな食感になった。その他の品質は、コントロール1と比較しても大差はなかった。
【0075】
【発明の効果】
本発明では、水の超臨界状態と亜臨界条件の高温高圧水処理によって、オカラ中の各成分は有為に選択的かつ部分的に、変性・粗分解し、食品原料として再利用しやすく、安全で、しかも、付加価値を高め得る。また、高圧ホモジナイザーでの加工を前処理として行うと、その後の工程の高温高圧水による部分分解や熱・圧力による変性を、より穏やかな温度・圧力条件により、更に短時間かつ正確に行うことが可能になる。他方、高圧ホモジナイザーでの加工を後処理で行うと、この前工程となる高温高圧加工の条件を「一ゆで」程度の加減で、必要最小限の条件にすることが可能である。
【0076】
さらに、高温高圧水を注入したり、高温高圧水蒸気を吹込むこと等すると、不溶性食物繊維やタンパク質、DNA、大豆オリゴ糖、イソフラボンなど各成分に応じた加工条件を設定することが可能である。したがって、本発明によれば、オカラを再利用するための加工に最適であり、汎用性に優れ、他の食品原料にも適用することが期待される。
【0077】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態のオカラの加工処理システムを示す図である。
【図2】上記一実施の形態のシステムの循環システムを示す図である。
【図3】上記一実施の形態のオカラの加工処理システムの応用例を示す図である。
【図4】水の超臨界条件と水の亜臨界条件を説明する図である。
【符号の説明】
1 高温高圧装置、
5A 前処理としての高圧ホモジナイザー、
5B 後処理としての高圧ホモジナイザー、
7a,7b 高圧ポンプ、
8a 高温高圧水注入装置、
8b 高圧水蒸気吹き付け装置、
11 溶融塩浴装置、
12 熱交換器、
13 冷却装置、
14 電気炉装置、
15 流動砂浴装置、
P1〜P4 ポンプ
Claims (5)
- オカラ、液状のオカラ、オカラに水を加えたスラリー、又はこれらオカラを含む多成分系の食品原料を、水の超臨界条件と、水の亜臨界条件とのいずれかの高温高圧条件又はこれらを組み合わせた条件の下において、0.01秒以上60分以下で、高分子の高次構造の変化を起こす加工処理をすることを特徴とするオカラを含む食品原料の加工方法。
- 請求項1の加工方法の前工程又は後工程で、前記オカラを含む食品原料を高圧ホモジナイザーで処理することを特徴とするオカラを含む食品原料の加工方法。
- 前記水の超臨界条件と亜臨界条件のいずれか又はこれらを組み合わせた加工の際に、前記オカラを含む食品原料に、高温高圧水を注入するか、又は、高圧水蒸気や過熱水蒸気を吹込むことにより、前記水の超臨界条件または亜臨界条件を段階的又は勾配的に温度条件を調節することを特徴とする請求項1又は請求項2記載のオカラを含む食品原料の加工方法。
- 前記水の超臨界条件と亜臨界条件のいずれか又はこれらを組み合わせた加工の後、冷却段階に際してはその減圧前の温度における飽和蒸気圧以下まで減圧することによって加工液をフラッシングすることを特徴とする請求項3記載のオカラを含む食品原料の加工方法。
- 請求項1乃至請求項4の各工程のオカラを含む食品原料をアルカリ成分又は酸成分により3から10の範囲にpH調整することを特徴とするオカラを含む食品原料の加工方法。
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