JP3640789B2 - 筒状フィルタ部材及びその製造方法、並びに筒状フィルタ - Google Patents

筒状フィルタ部材及びその製造方法、並びに筒状フィルタ Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、筒状フィルタ部材及びその製造方法、並びに前記の筒状フィルタ部材を含む筒状フィルタに関する。
【0002】
【従来の技術】
液体や気体などの被処理流体に含まれるダスト(塵埃)を捕集して流体を浄化することのできるフィルタの1種として、垂直流式円筒状フィルタが知られている。この垂直流式円筒状フィルタは、一般に、多数の流体通過用細孔を側壁に有する中空パイプを中心部に設け、その中空パイプの周囲に濾材を巻き付けた構造からなり、被処理流体を、円筒状フィルタの外側側面から中空パイプの方向(又は、その逆方向、すなわち、中空パイプの内側から円筒状フィルタの外側側面の方向)へ、濾材層に対して実質的に垂直に通過させて濾過処理を行う。しかしながら、このような垂直流式円筒状フィルタは、一般的に濾過面積に限界があるため、処理流量が少なく、フィルタ寿命が短い。
【0003】
一方、垂直流式平板状フィルタとして、互いに平行に配置された複数の筒状セルの集合体からなるフィルタが知られている。例えば、特開平6−71128号公報には、図8に示すようなハニカム構造体からなるフィルタ100が開示されている。図8に示すフィルタ100は、通気性又は透水性を有する濾材シートから構成された筒状セル400を複数個集合させたハニカム構造体からなる。このフィルタでは、前記筒状セル400のセル濾材壁600が作用面となり、被処理流体は、前記フィルタ100の一方の側面から前記セル濾材壁600に対して垂直な方向(矢印Aで示す方向)で流入し、セル濾材壁600を通過する際に濾過処理を受け、前記フィルタ100のもう一方の反対側側面からセル濾材壁600に対して垂直な方向(矢印Bで示す方向)に流出する。図8に示すフィルタは、ハニカム構造体からなるため、剛性が高く(すなわち、形状保持性に優れ)、しかも、濾過面積が広いなどの優れた種々の特性を示す。
【0004】
このようなハニカム構造体に由来する優れた特性を垂直流式円筒状フィルタに付与することを意図して、前記ハニカム構造体からなる長尺シート(濾材)を作成し、その長尺シート状ハニカム構造体を前記のような中空パイプに巻回することにより、垂直流式円筒状フィルタを構成することが考えられる。しかしながら、こうしたハニカム構造体の円筒状フィルタでは、
(1)巻回した濾材の層間に形成される螺旋状(巻回状)の流路を通る被処理流体のリークが生じやすい;
(2)巻回を維持するための保形材を最外層濾材に接触させて設ける必要があり、濾過面積が減少すると共に、製造工程において保形材の装着工程が余分に必要になり、製造工程が複雑になる;及び
(3)巻回によって加わる力のために個々のハニカム構造が変形し、所望の特性(例えば、形状保持性又は優れた濾過性能)を充分に得ることができない
等の問題点が生じる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の課題は、従来技術の前記の欠点を解消して、被処理流体のリークが起こらず、所望の濾過性能が得られ、しかも、形状保持性に優れ、濾過面積が広い筒状フィルタ部材、及びその製造方法、並びに前記筒状フィルタ部材を含む筒状フィルタを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記の課題は、本発明による、(1)微小筒状セルの複数個を、それらの長さ方向を実質的に平行な状態で集合してなる濾過部と、(2)上面又は下面の少なくとも一方が開口し、全側面を前記濾過部に囲まれて、前記微小筒状セルの内径よりも大きな内径を有する筒状縦孔とからなり、
前記微小筒状セルのセル空間の少なくとも全側面が筒状濾材壁によって覆われ、しかも被処理流体が、前記筒状縦孔に接する前記濾過部の内側側面から前記濾過部の外側側面への方向、又はその逆方向へ、前記微小筒状セルを横切って濾過処理される筒状フィルタ用の部材であって;
前記の被処理流体が、前記微小筒状セルの筒状濾材壁を少なくとも1回は通過しないと、前記濾過部の内側側面から外側側面へ、又は前記濾過部の外側側面から内側側面へ到達することができない構造を有すること、及び
前記濾過部の上面及び下面が封止手段によって閉鎖されていること
を特徴とする、
筒状フィルタ部材によって解決することができる。
また、本発明は、前記筒状フィルタ部材を含む筒状フィルタ、又は前記筒状フィルタ部材の製造方法に関する。
【0007】
本発明の筒状フィルタにより処理することのできる「流体」には、液体と気体の両方が含まれる。本明細書においては、筒状フィルタ部材で濾過処理を行なう前(すなわち、筒状フィルタ部材を構成する濾過体の流入面を通過する前)の未処理の流体、及び濾過処理中(すなわち、前記濾過体を通過中)の流体を「被処理流体」と称し、筒状フィルタ部材で濾過処理を行なった後(すなわち、前記濾過体の流出面を通過した後)の流体を「処理流体」と称する。
【0008】
本明細書において、「筒状縦孔」とは、典型的な機能として、例えば、筒状フィルタ部材の上面及び/又は下面に連結している適当な被処理流体供給手段から供給される被処理流体を通過させ、筒状縦孔の内側壁面から微小筒状セルを経由して筒状フィルタ部材の外側側面へ被処理流体を送るか、あるいは逆に、筒状フィルタ部材の外側側面から供給される被処理流体を、微小筒状セルを経由して筒状縦孔へ送り、筒状フィルタ部材の上面及び/又は下面に連結している適当な処理流体回収手段へ送ることのできる筒状空間を意味する。
【0009】
また、本明細書において、「微小筒状セル」とは、「筒状濾材壁」(すなわち、セル濾材壁)と、その筒状濾材壁に囲まれた中空の「セル空間」とからなり、筒状の中空セル空間の少なくとも全側面を筒状濾材壁(セル濾材壁)によって囲まれた濾過単位(すなわち、被処理流体を筒状濾材壁に通過させることによって濾過処理を行う最小単位)を意味し、好ましくは、幅方向の断面形状が、上面から下面の長さ方向に実質的に一定である筒状形状を有する。
なお、本明細書における、筒状形状を有する構造体(例えば、微小筒状セル、筒状縦孔、筒状フィルタ部材、又は筒状フィルタなど)においては、「長さ方向」とは、構造体の中心軸に沿った(平行な)方向を意味し、「幅方向」とは、前記「長さ方向」に垂直な方向を意味する。なお、前記中心軸が存在しないか、あるいは、不明瞭な場合には、概ね、上面の中心(中心が存在しないか、あるいは、不明瞭な場合には、中心に相当する点)と下面の中心(中心が存在しないか、あるいは、不明瞭な場合には、中心に相当する点)とを結ぶ方向を意味する。
また、本明細書において、「非セル空間」とは、前記「セル空間」以外の空間を意味し、前記非セル空間には、前記の「筒状縦孔」、又は筒状フィルタ部材の周りの空間(以下、周囲空間と称する)などが含まれる。
【0010】
本明細書において、「セル集合体」とは、微小筒状セルの複数個を、それらの長さ方向が実質的に平行な状態で配列し、その内部に「筒状縦孔」を設けていない集合体である。「セル集合体」は、好ましくは、実質的にほぼ同じ長さの微小筒状セルを、その長さを実質的に揃えて集合させる。
従って「濾過部」は、前記の「セル集合体」の内部(好ましくは中央部)に筒状縦孔を設け、更に場合により外周部の打ち抜き加工を行って製造する。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の筒状フィルタ部材を、その1実施態様を示す図1及び図2に沿って主に説明する。図1は、本発明の筒状フィルタ部材1を上面側から見た斜視図であり、図2は、その筒状フィルタ部材1の一部1a(図1の破線部)を切り取って、上面側から見た拡大部分平面図である。
【0012】
図1及び図2に示す筒状フィルタ部材1は、平面状濾材板61と波形濾材板62とが交互に積層されたコルゲート構造の微小筒状セル群から構成される濾過部2と、その濾過部2の中央部付近に設けられ、筒状フィルタ部材1の上面11から下面12まで貫通する中央貫通孔3からなる。
前記筒状フィルタ部材1では、被処理流体を、濾過部2の外側側面21から中央貫通孔3の方向に向かって(以下、求心方向と称することがある)、あるいは、その逆方向、すなわち、中央貫通孔3から濾過部2の外側側面21の方向に向かって(以下、遠心方向と称することがある)、濾過部2中を通過させる際に濾過処理を行ない、処理流体を得ることができる。被処理流体を求心方向に通過させる場合には、濾過部2の外側側面21が被処理流体流入面となり、濾過部2の中央貫通孔3に露出する面(以下、内側露出面と称する)22が処理流体流出面となる。一方、被処理流体を遠心方向に通過させる場合には、濾過部2の内側露出面22が被処理流体流入面となり、濾過部2の外側側面21が処理流体流出面となる。
【0013】
筒状フィルタ部材1における前記濾過部2のコルゲート構造は、隣接する平面状濾材板61と波形濾材板62との各接触面64を、適当な手段(例えば、接着又は熱融着若しくは超音波融着など)により固定することにより保持されている。コルゲート構造からなる濾過部2においては、平面状濾材板61とそれに隣接する波形濾材板62とにより多数のセル空間5が形成されており、このセル空間5を囲む濾材板(平面状濾材板61及び波形濾材板62)が、本発明の筒状フィルタ部材におけるセル濾材壁6として機能する。
【0014】
例えば、波形濾材板62を介して隣接する2個の微小筒状セル4a,4bでは、図2に示すように、一方の微小筒状セル4aは、平面状濾材板61の領域f、波形濾材板62の領域p、及び波形濾材板62の領域qとからなるセル濾材壁と、それらの3つの濾材板領域に囲まれたセル空間5xとからなり、もう一方の微小筒状セル4bは、平面状濾材板61の領域g、波形濾材板62の領域q、及び波形濾材板62の領域rとからなるセル濾材壁と、それらの3つの濾材板領域に囲まれたセル空間5yとからなる。本発明の筒状フィルタ部材においては、通常、隣接する2つのセル空間(例えば、セル空間5x,5y)に挟まれている濾材板(例えば、波形濾材板62の領域q)は、そのセル空間を含む2個の微小筒状セル(例えば、微小筒状セル4a,4b)それぞれのセル濾材壁として機能することができる。
【0015】
図1及び図2に示す筒状フィルタ部材1においては、前記濾過部2がコルゲート構造からなっており、微小筒状セル4は、筒状フィルタ部材1の上面11から下面12まで貫通し、それぞれの微小筒状セル4は、相互に実質的に平行である。更には、各微小筒状セル4は、中央貫通孔3に対しても実質的に平行である。
【0016】
先に説明したように、図1及び図2に示す筒状フィルタ部材1において、被処理流体を求心方向又は遠心方向へ通過させる。その際、本発明による筒状フィルタ部材においては、被処理流体に、少なくとも1つの筒状濾材壁を通過させる。すなわち、本発明による筒状フィルタ部材は、被処理流体が、前記微小筒状セルの筒状濾材壁を少なくとも1回は通過しないと、前記濾過部の内側側面から外側側面へ、又は前記濾過部の外側側面から内側側面へ到達することができない構造を有する。一方、微小筒状セル群からなる長尺シートを作成し、その長尺シートを巻回して筒状フィルタ部材を製造した場合には、巻回した長尺シートの層間によって螺旋状(巻回状)の流路が形成され、その螺旋状の流路を通過すると、筒状濾材壁を通過せずに、被処理流体を求心方向又は遠心方向へ通過させることができる。これに対して、本発明による筒状フィルタ部材においては、前記のような、螺旋状の流路は存在しないので、被処理流体の濾過方向がいずれの方向であっても、被処理流体流入面と処理流体流出面とは、セル濾材壁によって互いに隔離されている。
【0017】
コルゲート構造とは別の構造の微小筒状セル群からなる濾過部を含む本発明の筒状フィルタ部材を、図3に示す。図3は、本発明の筒状フィルタ部材の一部を上面側から見た拡大部分平面図である。
図3に示す濾過部2は、折り曲げ濾材板(すなわち、山部と谷部とが周期的に繰り返すように平板状濾材板を折り曲げた構造からなる濾材板)63を積層して微小筒状セル群を形成する。
微小筒状セル4の断面形状(幅方向における)は菱形であり、図1に示した筒状フィルタ部材1と同様に、これらの微小筒状セル4は、筒状フィルタ部材の上面から下面まで貫通し、それぞれの微小筒状セル4は、相互に実質的に平行である。更には、各微小筒状セル4は、中央貫通孔に対しても実質的に平行である。微小筒状セル4の断面形状は、隣接する折り曲げ濾材板63の各山部において各接触面64を、適当な手段(例えば、接着又は熱融着若しくは超音波融着など)で固定することにより保持されている。
【0018】
図1及び図2に示す筒状フィルタ部材1の場合と同様に、図3に示す濾過部2においても、被処理流体に、少なくとも1つの筒状濾材壁を通過させる。すなわち、本発明による筒状フィルタ部材は、被処理流体が、前記微小筒状セルの筒状濾材壁を少なくとも1回は通過しないと、前記濾過部の内側側面から外側側面へ、又は前記濾過部の外側側面から内側側面へ到達することができない構造を有する。換言すれば、被処理流体の濾過方向がいずれの方向であっても、被処理流体流入面と処理流体流出面とは、セル濾材壁によって互いに隔離されている。
【0019】
本発明の筒状フィルタ部材においては、微小筒状セルの断面形状(幅方向における)は特に限定されるものではなく、種々の形状であることができる。図1〜図3に示す断面形状以外にも、微小筒状セルの断面形状として、多角形、例えば、三角形、平行四辺形(例えば、正方形、長方形、又は台形)、若しくは六角形、又は円形、楕円形、半円形、半楕円形、若しくは扇形などを例示することができる。
また、本発明の筒状フィルタ部材においては、濾過体に含まれる各微小筒状セルは、すべて同一の形状及び大きさの微小筒状セルであることもできるし、形状及び/又は大きさの異なる2種類以上の微小筒状セルであることもできる。
【0020】
本発明による筒状フィルタ部材の濾過部を構成する個々の微小筒状セルは、それらのセル空間の少なくとも全側面が筒状濾材壁によって覆われている必要があり、上面及び下面が、前記の筒状濾材壁と同様の濾材用材料によって、あるいは適当な封止手段によって閉鎖されている。例えば、前記のように濾過部の長さ方向に上面から下面まで延びる1つの微小筒状セルのセル空間の上面及び下面(濾過部の上面及び下面と一致する)が閉鎖されている。
更に、濾過部の長さ方向の上面から下面までに、2つ以上の微小筒状セルを連続的に配置することもできる。この場合は、長さ方向に隣接する微小筒状セル間に閉鎖面が存在し、濾過部の上面又は下面と一致する上面又は下面を有する微小筒状セルの上面又は下面は、閉鎖面である。
【0021】
本発明による筒状フィルタ部材の濾過部の長さ方向に配置する微小筒状セルの数について、それらを一致させる必要はない。また、個々の微小筒状セルの断面形状(幅方向における)がすべて同一である必要はなく、あるいは、セル濾材壁を構成する濾材用材料についても、それらを一致させる必要はない。すなわち、それらの点が異なる各種の微小筒状セルを組合せて濾過部を構成しても濾過効率の点では実質的な差異はないが、製法上の観点からは、それらの点で全てが同じ態様の微小筒状セルから濾過部を構成するのが好ましい。
【0022】
本発明の筒状フィルタ部材においては、微小筒状セルを形成するために、隣接する濾材シートを相互に固定させる手段は、特に限定されるものではなく、濾過部を形成する濾材用材料の種類に応じて、適宜、公知の固定手段(例えば、接着又は熱融着若しくは超音波融着など)を用いることができる。例えば、濾材シートとして熱可塑性繊維を含むシートを用いる場合には、不純物が濾過部中に残らず、融着面積が小さい(有効濾過面積の減少が少ない)点で、超音波により融着することが好ましい。
【0023】
本発明の筒状フィルタ部材の濾材壁は、従来公知の任意の濾材用材料、例えば、繊維質材料(例えば、編物、織物、不織布、紙、又はこれらの複合体など)、ネット、有孔フィルム、又はメンブレンなどから形成することができる。
【0024】
本発明の筒状フィルタ部材においては、前記の濾材壁を通常の濾材用材料から形成することができるだけでなく、機能性物質を保持する濾材用材料から形成することもできる。前記の機能性物質としては、例えば、ガス浄化物質、色素浄化物質、抗菌剤、防黴剤、帯電防止剤、金属イオン吸着物質、微生物吸着物質、又は脱臭剤などを挙げることができる。このような機能性物質を濾材用材料に、例えば、吸着又は含浸させることによって、機能性物質を保持する濾材用材料を調製することができる。
【0025】
本発明の筒状フィルタ部材においては、筒状縦孔の断面形状(幅方向における)も特に限定されるものではなく、種々の形状であることができ、例えば、円形、楕円形、又は多角形、例えば、三角形、平行四辺形(例えば、正方形、長方形、菱形、又は台形)、若しくは六角形などを挙げることができる。なお、本発明の筒状フィルタ部材には、濾過部それ自体によって筒状縦孔の形状が保持されている筒状フィルタ部材(例えば、図1及び図2に示す筒状フィルタ部材)が含まれることはもちろんのこと、後述するように、濾過部の外側側面の外側、又は濾過部の筒状縦孔の内部の少なくともいずれか一方に設けることのできる形状保持具によって筒状縦孔の形状が保持されている筒状フィルタ部材[例えば、図7(e)に示す筒状フィルタ部材]も含まれる。
【0026】
本発明の筒状フィルタ部材においては、筒状縦孔を設ける位置は、筒状縦孔の全側面が濾過部に囲まれており、筒状フィルタ部材の上面又は下面の少なくとも一方に開口部を有する限り、特に限定されるものではないが、濾過部の中央部に設けることが好ましい。また、濾過部に設けることのできる筒状縦孔の数も、特に限定されるものではなく、1個又は複数個の筒状縦孔を設けることができるが、筒状縦孔1個を(より好ましくは濾過部の中央部に)設けることが好ましい。更に、筒状縦孔の長さ方向と、各微小筒状セルの長さ方向との関係も、特に限定されるものではないが、筒状縦孔の長さ方向が各微小筒状セルの長さ方向と実質的に平行であることが好ましい。
【0027】
本発明による筒状フィルタ部材において、筒状縦孔は、少なくともその全側面が濾過部によって覆われている必要があるが、上面及び下面の両方を開口面とすることもできるし、あるいは、上面又は下面のいずれか一方のみを開口面とし、残る一方を前記の筒状濾材壁と同様又は異なる濾材用材料によって、あるいは適当な封止手段によって閉鎖することができる。例えば、前記の筒状縦孔の上面及び下面の両方が開口面となる場合は、その筒状縦孔は筒状フィルタ部材の長さ方向(上面から下面への方向)に上面から下面まで延びる貫通孔となる。
また、前記のように筒状フィルタ部材の長さ方向に上面から下面まで延びる筒状縦孔の上面又は下面(筒状フィルタ部材の上面又は下面と一致する)のいずれか一方が閉鎖されていることもできる。
更に、筒状フィルタ部材の長さ方向の上面から下面までに、2つ以上の筒状縦孔を連続的に配置することもできる。この場合は、長さ方向に隣接する筒状縦孔間に閉鎖面が存在し、筒状フィルタ部材の上面又は下面と一致する上面又は下面を有する筒状縦孔の上面又は下面の少なくとも一方は、開口面である。
更にまた、筒状縦孔は、筒状フィルタ部材の長さ方向において、開口上面(又は開口下面)から下面(又は上面)まで到達しない凹部状の縦孔であることもできる。
また、場合により、多数の流体通過用細孔を側壁に有する硬質管(中空パイプ)を、筒状フィルタ部材の筒状縦孔に挿入し、筒状フィルタ部材における濾過材の内側壁面と、前記硬質管の外側側面とを接触させて設けることもできる。
【0028】
以上の説明から明らかなように、本発明の筒状フィルタ部材においては、濾過部が、微小筒状セル群層を1層以上有しており、しかも、微小筒状セルの筒状濾材壁を少なくとも1回は被処理流体が通過する構造を有するので、濾過処理中に被処理流体のリーク、すなわち、筒状濾材壁を一度も通過することなく、濾過体の被処理流体流入面から処理流体流出面に到達してしまう被処理流体が生じることはない。本発明の筒状フィルタ部材においては、被処理流体が、濾過部の被処理流体流入面から処理流体流出面へ送出される際の濾過面積が非常に広いため、処理流量が大きく、しかも、筒状濾材壁との接触機会が著しく多いので、使用寿命に優れている。
【0029】
また、本発明の筒状フィルタ部材においては、濾過部が所望の形状の微小筒状セル群(例えば、コルゲート構造セル群又はハニカム構造セル群など)からなるので、形状保持性に優れており、設計形状に応じた所望の濾過性能を得ることができる。更には、保形材を設ける必要もないので、製造工程における保形材装着作業を省略することができるだけでなく、その分だけ濾過面積を増加させることができ、使用寿命に優れている。
【0030】
本発明の筒状フィルタ部材は、それを単独で用いて筒状フィルタとすることもできるし、筒状フィルタ部材を複数個組合せて筒状フィルタとすることもできるし、あるいは、他の公知の筒状フィルタ部材(例えば、折り加工した濾過材)と組合せて筒状フィルタとすることもできる。
本発明の筒状フィルタ部材を複数個組合せて使用する場合には、濾過特性が等しい筒状フィルタ部材のみを組合せることもできるし、濾過特性が異なる2種類以上の筒状フィルタ部材を組合せて用いることもできる。例えば、微小筒状セル群が異なる濾材用材料からなる複数の筒状フィルタ部材、微小筒状セル群が異なる断面形状を有する複数の筒状フィルタ部材、微小筒状セル群が異なる濾過抵抗を有する複数の筒状フィルタ部材、微小筒状セル群が異なる繊維径を有する繊維質材料からなる複数の筒状フィルタ部材、及び/又は微小筒状セル群が異なる孔径を有する濾材用材料からなる複数の筒状フィルタ部材などを適宜組合せることができる。例えば、被処理流体流入面に近い領域に、目の粗い濾材用材料からなる濾過部を含む筒状フィルタ部材を配置し、処理流体流出面に近い領域に、前記濾材用材料よりも目の細かい濾材用材料からなる濾過部を含む筒状フィルタ部材を配置すると、被処理流体を段階的に濾過することができるので、より広範囲の粒径分布を有する被処理流体の濾過が可能となり、更には、筒状フィルタの使用寿命も延びる。
【0031】
このような本発明の筒状フィルタの一態様を、図4に模式的に示す。図4は、本発明の筒状フィルタ10をその上面11から見た模式的平面図である。なお、図4は、筒状フィルタ10を構成する各筒状フィルタ部材の配置関係を示すことが目的であるので、濾過部に含まれている微小筒状セルを図示せずに省略した。図4に示す筒状フィルタ10は、濾過特性の異なる2個の筒状フィルタ部材、すなわち、外側に位置する筒状フィルタ部材1aと、内側に位置する筒状フィルタ部材1bとからなる。前記の内側筒状フィルタ部材1bは、濾過部2bと中央貫通孔(筒状縦孔)3とからなり、前記の外側筒状フィルタ部材1aは、濾過部2aとその内側にある中央貫通孔(筒状縦孔)とからなる。前記の外側筒状フィルタ部材1aの濾過部2aの内径と、前記の内側筒状フィルタ部材1bの濾過部2bの外径とは、実質的に一致し、濾過部2aの内側側面22aと、濾過部2bの外側側面21bとが密着するように、筒状フィルタ部材1aの中央貫通孔(筒状縦孔)に、筒状フィルタ部材1bがはめ込まれている。
【0032】
図4に示す筒状フィルタ10において、例えば、目の粗い濾材用材料を用いて外側筒状フィルタ部材1aの濾過部2aを形成し、外側筒状フィルタ部材1aよりも目の細かい濾材用材料を用いて内側筒状フィルタ部材1bの濾過部2bを形成し、求心方向に被処理流体を通過させるように使用する場合には、まず、外側濾過部2aを被処理流体が通過する際に、捕集対象粒子の内、粒径の大きな粒子が捕集され、次に、内側濾過部2bを通過する際に、粒径の小さな粒子が捕集される。内側濾過部2bを通過する被処理流体は、粒径の大きな粒子のほとんどが既に除去されているので、粒径の大きな粒子による内側濾過部2bの目詰まりを顕著に減少させることができ、筒状フィルタ10の寿命を延長させることができる。
遠心方向に被処理流体を通過させる場合には、目の粗い濾材用材料を用いて内側筒状フィルタ部材1bの濾過部2bを形成し、内側筒状フィルタ部材1bよりも目の細かい濾材用材料を用いて外側筒状フィルタ部材1aの濾過部2aを形成することにより、同様の効果を得ることができる。
図4に示す筒状フィルタ10は、本発明の筒状フィルタ部材2個を組合わせて使用する一態様であるが、本発明の筒状フィルタにおいては、本発明の筒状フィルタ部材のみを複数個組合わせて使用することもできるし、あるいは、本発明の筒状フィルタ部材を少なくとも1個含む限り、本発明の筒状フィルタ部材と従来公知の筒状フィルタ部材とを複数個組合わせて使用することもできる。
【0033】
本発明の筒状フィルタ部材を複数個組合せて使用する別の態様として、本発明の筒状フィルタ部材の複数個を長さ方向に重ねた筒状フィルタを挙げることができる。後述する製造方法の説明から明らかなように、筒状フィルタ部材の高さ(長さ方向の長さ)が長くなると、その製造が困難となる場合もあるので、高さの高い筒状フィルタが必要な場合には、高さの低い筒状フィルタ部材の複数個を長さ方向に重ねて使用することにより、同様の効果を得ることができる。なお、筒状フィルタ部材の複数個を長さ方向に重ねて使用する場合には、筒状濾材壁を通過せずに被処理流体が通過することがないように、各筒状フィルタ部材間を完全に密封することが必要である。前記密封手段として種々の公知手段を用いることができ、例えば、各筒状フィルタ部材間を接着させる方法、あるいは、適当なシール部材(例えば、ガスケット、パッキン、又は凹凸部材など)を用いて接合し、密閉する方法などを挙げることができる。
【0034】
本発明の筒状フィルタにおいては、本発明の筒状フィルタ部材に、公知フィルタ(例えば、微小筒状セルを含まない公知フィルタ)を構成することのできる濾過部材及び/又は公知の補助部材を更に組合せることもできる。
例えば、微小筒状セルを含まない公知フィルタを構成することのできる濾過部材であるシート状濾材を、本発明の筒状フィルタ部材に組合わせた態様を図5に示す。図5は、本発明の筒状フィルタ10をその上面11から見た模式的平面図である。なお、図5は、筒状フィルタ10を構成する各筒状フィルタ部材の配置関係を示すことが目的であるので、濾過部に含まれている微小筒状セルを図示せずに省略した。図5に示す筒状フィルタ10では、筒状フィルタ部材1における濾過部2の周囲に、シート状濾材8を巻回して設けている。前記シート状濾材8を設けることにより、保形性を向上させることができると共に、使用寿命を延ばすことができる。
【0035】
本発明の筒状フィルタにおいて組合せることのできる前記の公知の補助部材としては、例えば、筒状縦孔の内部に密着させて設けることのできる、多数の流体通過用細孔を側壁に有する硬質管(中空パイプ)、濾過部の外側側面の外側に密着させて設けることのできる保形材、又は筒状フィルタ部材若しくは筒状フィルタの上面及び/若しくは下面を封止することのできるエンドキャップなどを挙げることができる。
【0036】
本発明の筒状フィルタ部材は、種々の方法によって製造することができるが、例えば、以下に説明する本発明による筒状フィルタ部材の製造方法によって製造することが好ましい。
本発明による第1の製造方法においては、始めに、微小筒状セルの複数個(多数個)を、それらの長さ方向を実質的に平行な状態で実質的に隙間なく(好ましくは、実質的にほぼ同じ長さの微小筒状セルを、その長さを実質的に揃えて)配列したセル集合体を製造する。このセル集合体は、公知の手段、例えば、コルゲート加工機などによって製造することができる。セル集合体は、本発明による所望の筒状フィルタ部材を、穴開け加工(更に必要であれば打ち抜き加工)によって製造することができる大きさを有する必要がある。
【0037】
本発明の1実施態様である図1及び図2に示す筒状フィルタ部材1を製造するのに用いることのできる前記の微小筒状セル集合体を、図6に示す。図6は、前記の微小筒状セル集合体9を上面側から見た斜視図である。図6に示す微小筒状セル集合体9は、平面状濾材板61と波形濾材板62とが交互に積層されたコルゲート構造からなり、微小筒状セル4は、微小筒状セル集合体9の上面91から下面92まで貫通し、それぞれの微小筒状セル4は、長さ方向において相互に実質的に平行である。
【0038】
続いて、前記微小筒状セル集合体9を、微小筒状セル4の長さ方向に沿って、あるいは、微小筒状セルの長さ方向から所望の角度だけ偏向した方向に沿って、2種の打抜具によって、打ち抜き加工する。すなわち、一方の打抜具は、目的とする筒状フィルタ部材1における濾過部2の外側側面21の幅方向断面形状(図6の破線a)に相当する切断刃を有し、もう一方の打抜具は、目的とする筒状フィルタ部材1における濾過部2の内側露出面22の幅方向断面形状(図6の破線b)に相当する切断刃を有する。従って、破線aに沿って打ち抜くことにより形成される面は、筒状フィルタ部材1における濾過部2の外側側面21となり、一方、破線bに従って穴開けにより形成される面は、筒状フィルタ部材1における濾過部2の内側露出面22となる。
前記の打ち抜き及び穴開け工程においては、破線aで示す形状又は破線bで示す形状のいずれか一方を先に打ち抜き、その後に、残る一方を打ち抜くこともできるし、あるいは、破線a及び破線bで示す形状を同時に打ち抜くこともできる。
【0039】
図6に示す微小筒状セル集合体9の代わりに、折り曲げ濾材板が積層された構造からなる微小筒状セル集合体を用いること以外は、前記操作を繰り返すことにより、図3に示す濾過部を有する筒状フィルタ部材を製造することができる。以上の説明から明らかなように、本発明の筒状フィルタ部材の製造方法においては、製造しようとする筒状フィルタ部材を構成する微小筒状セルと同じ形状の微小筒状セルが、目的とする筒状フィルタ部材における各微小筒状セルの配列パターンと同じパターンで配列している微小筒状セル集合体を予め作成しておき、その筒状セル集合体を前記微小筒状セルの長さ方向、あるいは、微小筒状セルの長さ方向から所望の角度だけ偏向した方向に沿って打ち抜くことによって、所望の筒状フィルタ部材を製造することができる。本発明の筒状フィルタ部材の第1の製造方法においては、セル集合体の微小筒状セルの形状がそのまま保持されるので、微小筒状セルの形状に由来する所望の特性(例えば、形状保持性又は優れた濾過性能)を容易に得ることができる。
【0040】
本発明による第2の製造方法を、図7に沿って以下に説明する。
図7は、本発明の製造方法を模式的に示す説明図であり、図7(a)〜(e)の各々は、変形可能セル集合体90、押圧変形セル集合体97、又は筒状フィルタ部材1をその上面11から見た模式的平面図である。なお、図7は、製造工程を示すことが目的であるので、変形可能セル集合体90、押圧変形セル集合体97、又は筒状フィルタ部材1に含まれている微小筒状セルを図示せずに省略した。
【0041】
本発明による第2の製造方法においては、始めに、微小筒状セルの複数個(多数個)を、それらの各セル空間の少なくとも全側面が筒状濾材壁によって覆われ、しかもそれらの長さ方向が実質的に平行な状態で集合してなり、更に前記の長さ方向に対して実質的に垂直な方向に側面から押圧すると変形可能なセル集合体90を製造する。本発明の製造方法に用いることのできる変形可能セル集合体90を、図7(b)に示す。本発明の製造方法においては、公知の手段(例えば、コルゲート加工機など)によって、所望の形状を有する変形可能セル集合体を直接製造することができる。
あるいは、図7(a)に示すように、所望の形状よりも大きな形状を有する変形可能セル集合体90を始めに製造し、続いて、例えば、所望の断面形状[図7(a)の破線c]に相当する切断刃を有する打抜具によって、破線cに沿ってその外周部を切断除去することにより、図7(b)に示すような所望形状の変形可能セル集合体90を得ることもできる。
【0042】
図7(c)に示すように、変形可能セル集合体90の上面11又は下面に、変形可能セル集合体の長さ方向に沿って、あるいは、微小筒状セルの長さ方向から所望の角度だけ偏向した方向に沿って、筒状縦孔形成用スリット93を入れる。変形可能セル集合体90の上面11又は下面に設ける前記の筒状縦孔形成用スリット93は、変形可能セル集合体のいずれの側面94にも到達することなく、しかも、変形可能セル集合体90の側面から前記スリット93の長さ方向に押圧することにより開口可能であることが必要である。
本発明の製造方法においては、前記筒状縦孔形成用スリットは、上面又は下面のいずれか一方にのみ開口していることもできるし、上面から下面まで貫通していることもできるが、貫通していることが好ましい。また、筒状縦孔形成用スリットを設ける位置は、変形可能セル集合体のいずれの側面にも到達していない限り、特に限定されるものではないが、変形可能セル集合体の中央部に設けることが好ましい。
【0043】
図7(d)に示すように、筒状縦孔形成用スリット93を設けた変形可能セル集合体90の側面から前記スリット93の長さ方向(矢印C及び矢印Dで示す方向)に押圧すると、押圧変形したセル集合体97の上面及び/又は下面に、セル集合体の長さ方向に沿って、あるいは、微小筒状セルの長さ方向から所望の角度だけ偏向した方向に沿って、押圧開口孔96が形成される。この押圧開口孔96の内部に、筒状縦孔3の所定形状を付与して保持することができる形状付与保持具95を挿入することにより、図7(e)に示す筒状フィルタ部材1を製造することができる。本発明の製造方法において使用することのできる形状付与保持具は、押圧開口孔96に挿入した場合に濾過部2と筒状縦孔3との間の流体の通過を妨げない限り、特に限定されるものではなく、例えば、側壁に多数の流体通過用細孔を有する硬質管(中空パイプ)、又は保形用リングなどを挙げることができる。
【0044】
図7に示す態様は、筒状フィルタ部材1における濾過部2の外側側面21を予め形成した後に、筒状縦孔形成用スリット93及び筒状縦孔3を形成する態様であるが、本発明の第2の製造方法においては、これ以外にも、筒状縦孔形成用スリット又は筒状縦孔を予め形成した後に、前記所定形状の筒状縦孔の外径よりも大きい内径を有する打抜具によって、筒状フィルタ部材における所定の外側側面を形成することもできるし、あるいは、筒状フィルタ部材における外側側面と、筒状縦孔形成用スリットとを同時に形成することもできる。
【0045】
本発明による第3の製造方法においては、始めに、微小筒状セルの複数個(多数個)を、それらの各セル空間の少なくとも全側面が筒状濾材壁によって覆われ、しかもそれらの長さ方向が実質的に平行な状態で集合してなり、更に前記の長さ方向に対して実質的に垂直な方向に側面から押圧すると変形可能なセル集合体を製造する。この変形可能セル集合体は、例えば、本発明による第2の製造方法において説明した方法によって製造することができる。
この変形可能セル集合体の上面又は下面に、変形可能セル集合体の長さ方向に沿って、あるいは、微小筒状セルの長さ方向から所望の角度だけ偏向した方向に沿って、適当なスリットを入れる。前記スリットは、変形可能セル集合体のいずれの側面にも到達することなく、しかも、変形可能セル集合体の側面から前記スリットの長さ方向に押圧することにより、所定形状の筒状縦孔に変形可能であることが必要である。
本発明の製造方法においては、前記スリットは、上面又は下面のいずれか一面にのみ開口していることもできるし、上面から下面まで貫通していることもできるが、貫通していることが好ましい。また、スリットを設ける位置は、変形可能セル集合体のいずれの側面にも到達していない限り、特に限定されるものではないが、変形可能セル集合体の中央部に設けることが好ましい。
【0046】
次に、スリットを設けた変形可能セル集合体の側面からスリットの長さ方向に押圧すると、押圧変形したセル集合体の上面及び/又は下面に、セル集合体の長さ方向に沿って、あるいは、微小筒状セルの長さ方向から所望の角度だけ偏向した方向に沿って、所定形状の筒状縦孔が形成されると共に、所定形状の押圧変形セル集合体が形成される。得られた所定形状の押圧変形セル集合体の外側側面に、セル集合体及び筒状縦孔の各所定形状を保持することのできる形状保持具を設けることにより、本発明の筒状フィルタ部材を製造することができる。本発明の製造方法において使用することのできる形状保持具は、セル集合体の外側側面に設けた場合に、濾過部と周囲空間との間の流体の通過を妨げない限り、特に限定されるものではなく、例えば、側壁に多数の流体通過用細孔を有する硬質管、又は保形用リングなどを挙げることができる。
【0047】
図4に示す筒状フィルタ10も、種々の方法によって製造することができるが、例えば、以下の製造方法によって製造することが好ましい。すなわち、互いに異なる濾過特性を有する濾材用材料からなる2種類のセル集合体を予め作成しておき、一方のセル集合体を打ち抜くことにより筒状フィルタ部材1aを形成し、もう一方のセル集合体を打ち抜くことにより筒状フィルタ部材1bを形成する。別々に得られた筒状フィルタ部材1aと筒状フィルタ部材1bとを、筒状フィルタ部材1aの濾過部2aの内側側面22aと、筒状フィルタ部材1bの濾過部2bの外側側面21bとが接触するように組み合わせることにより、図4に示す筒状フィルタ10を製造することができる。
【0048】
【発明の効果】
本発明の筒状フィルタ部材を用いると、濾過処理中に被処理流体のリークが生じることがないので、濾材層を一度も通過することなく、濾過体の被処理流体流入面から処理流体流出面に到達してしまう被処理流体が生じることを回避することができる。
また、本発明の筒状フィルタ部材の製造方法によれば、微小筒状セルの形状がそのまま保持されるので、微小筒状セルの形状に由来する特性を有する筒状フィルタ(例えば、形状保持性及び/又は濾過性能に優れた筒状フィルタ)を製造することができる。また、濾過材の種類及び/又は筒状フィルタ部材の種類を適宜組合せることにより、高精度で長寿命の筒状フィルタを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1態様の筒状フィルタ部材を上面側から見た斜視図である。
【図2】図1の筒状フィルタ部材の一部を上面側から見た拡大部分平面図である。
【図3】本発明の別の態様の濾過部の一部を上面側から見た拡大部分平面図である。
【図4】本発明による更に別の態様の筒状フィルタを上面側から見た模式的平面図である。
【図5】本発明による更に別の態様の筒状フィルタを上面側から見た模式的平面図である。
【図6】本発明の筒状フィルタ部材の製造方法に用いることのできるセル集合体を上面側から見た斜視図である。
【図7】本発明の筒状フィルタ部材の製造方法を模式的に示す説明図である。
【図8】従来公知のフィルタを上面側から見た斜視図である。
【符号の説明】
1・・筒状フィルタ部材;2・・濾過部;3・・中央貫通孔;
4・・微小筒状セル;5・・セル空間;6・・セル濾材壁;
8・・シート状濾材;9・・セル集合体;10・・筒状フィルタ;
11・・上面;12・・下面;21・・外側側面;22・・内側露出面;
61・・平面状濾材板;62・・波形濾材板;63・・折り曲げ濾材板;
64・・接触面;
90・・変形可能セル集合体;91・・上面;92・・下面;
93・・筒状縦孔形成用スリット;94・・側面;95・・形状付与保持具;
96・・押圧開口孔;97・・押圧変形セル集合体;
100・・フィルタ;400・・筒状セル;600・・セル濾材壁。

Claims (10)

  1. (1)微小筒状セルの複数個を、それらの長さ方向を実質的に平行な状態で集合してなる濾過部と、(2)上面又は下面の少なくとも一方が開口し、全側面を前記濾過部に囲まれて、前記微小筒状セルの内径よりも大きな内径を有する筒状縦孔とからなり、
    前記微小筒状セルのセル空間の少なくとも全側面が筒状濾材壁によって覆われ、しかも被処理流体が、前記筒状縦孔に接する前記濾過部の内側側面から前記濾過部の外側側面への方向、又はその逆方向へ、前記微小筒状セルを横切って濾過処理される筒状フィルタ用の部材であって;
    前記の被処理流体が、前記微小筒状セルの筒状濾材壁を少なくとも1回は通過しないと、前記濾過部の内側側面から外側側面へ、又は前記濾過部の外側側面から内側側面へ到達することができない構造を有すること、及び
    前記濾過部の上面及び下面が封止手段によって閉鎖されていること
    を特徴とする、筒状フィルタ部材。
  2. 請求項1に記載の筒状フィルタ部材を含む筒状フィルタ。
  3. (1)微小筒状セルの複数個を、それらの長さ方向を実質的に平行な状態で集合してなる濾過部と、(2)上面又は下面の少なくとも一方が開口し、全側面を前記濾過部に囲まれて、前記微小筒状セルの内径よりも大きな内径を有する筒状縦孔とからなり、前記微小筒状セルのセル空間の少なくとも全側面が筒状濾材壁によって覆われ、しかも被処理流体が、前記筒状縦孔に接する前記濾過部の内側側面から前記濾過部の外側側面への方向、又はその逆方向へ、前記微小筒状セルを横切って濾過処理される筒状フィルタ用の部材の複数個を、それらの各筒状フィルタ部材のそれぞれの中心軸を実質的に共通にする態様で配置してなり、
    相互に隣接する各筒状フィルタ部材において、前記の中心軸側に配置する筒状フィルタ部材における濾過部の外側側面と、その中心軸側筒状フィルタ部材の外層側に配置する筒状フィルタ部材における筒状縦孔に接する前記濾過部の内側側面とが実質的に接触する構造を有する筒状フィルタであって、
    前記複数個の筒状フィルタ部材の少なくとも1個が、請求項1に記載の筒状フィルタ部材である、請求項2に記載の筒状フィルタ。
  4. 最外層の濾過部の外側側面の周囲に、更にシート状濾材が巻回されている、請求項2又は3に記載の筒状フィルタ。
  5. 微小筒状セルの複数個を、それらの各セル空間の少なくとも全側面が筒状濾材壁によって覆われ、しかもそれらの長さ方向を実質的に平行な状態で集合してなるセル集合体を用意し、
    前記微小筒状セルの内径よりも大きな内径を有する所定の筒状縦孔を穴開け加工することのできる穴開け具によって、前記のセル集合体の一部を切断除去することにより、上面又は下面の少なくとも一方が開口し、全側面を前記微小筒状セルに囲まれ、前記微小筒状セルの内径よりも大きな内径を有する所定の筒状縦孔を、前記のセル集合体に設ける
    ことを特徴とする、請求項1に記載の筒状フィルタ部材の製造方法。
  6. 請求項5に記載の穴開け具の内径よりも大きい内径を有し、前記のセル集合体を打ち抜き加工することのできる打抜具によって、前記のセル集合体の外周部を切断除去することにより、筒状フィルタ部材の所定の外側側面を更に形成する、請求項5に記載の方法。
  7. 微小筒状セルの複数個を、それらの各セル空間の少なくとも全側面が筒状濾材壁によって覆われ、しかもそれらの長さ方向を実質的に平行な状態で集合してなり、更に前記の長さ方向に対して実質的に垂直な方向に側面から押圧すると変形可能なセル集合体を用意し、
    前記の変形可能セル集合体の側面からの押圧により開口可能な、筒状縦孔形成用のスリットを、前記の変形可能セル集合体の上面又は下面から設け、
    変形可能セル集合体を側面から押圧して、前記の筒状縦孔形成用スリットから押圧開口孔を形成し、そして
    その押圧開口孔の内部に、筒状縦孔の所定形状を付与して保持することができる形状付与保持具を設ける
    ことを特徴とする、請求項1に記載の筒状フィルタ部材の製造方法。
  8. 請求項7に記載の押圧工程の前に、変形可能セル集合体の外周部を打抜具によって打ち抜き加工して切断除去し、更に前記の押圧工程において、所定形状の押圧開口孔を形成するのと同時に、筒状フィルタ部材の所定形状の外側側面を形成する、請求項7に記載の方法。
  9. 請求項7に記載の押圧工程の後に、請求項7に記載の押圧開口孔の外径よりも大きい内径を有し、前記の押圧変形したセル集合体を打ち抜き加工することのできる打抜具によって、前記の押圧変形したセル集合体の外周部を切断除去することにより、筒状フィルタ部材の所定の外側側面を更に形成する、請求項7に記載の方法。
  10. 微小筒状セルの複数個を、それらの各セル空間の少なくとも全側面が筒状濾材壁によって覆われ、しかもそれらの長さ方向を実質的に平行な状態で集合してなり、更に前記の長さ方向に対して実質的に垂直な方向に側面から押圧すると変形可能なセル集合体を用意し、
    前記の変形可能セル集合体の側面からの押圧により開口可能な、筒状縦孔形成用のスリットを、前記の変形可能セル集合体の上面又は下面から設け、
    変形可能セル集合体を側面から押圧して、前記の筒状縦孔形成用スリットから押圧開口孔を形成し、そして
    得られた所定形状のセル集合体の外側側面の外側に、セル集合体及び筒状縦孔の前記の各所定形状を保持することのできる形状保持具を設けること
    を特徴とする、請求項1に記載の筒状フィルタ部材の製造方法。
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