JP3622105B2 - 交流面放電型プラズマディスプレイパネルの駆動方法及び駆動回路並びに交流面放電型プラズマディスプレイパネル装置 - Google Patents

交流面放電型プラズマディスプレイパネルの駆動方法及び駆動回路並びに交流面放電型プラズマディスプレイパネル装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、交流面放電型プラズマディスプレイパネル(以下、「AC−PDP」と称する)装置に関するものであり、特にAC−PDPの駆動方法とその駆動回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
PDPは、薄型のテレビジョンまたはディスプレイモニタとして種々の研究がなされている。その中で、メモリ機能を有するAC−PDPの一つとして、面放電型のAC−PDPがあり、以下に、このPDPの構造及び駆動方法を、図7及び図8を用いて説明をする。
【0003】
図7は、従来の面放電型AC−PDPの構造を示す斜視図であり、このような構造の面放電型AC−PDPは、例えば特開平7−140922号公報や特開平7−287548号公報に開示されるものである。同図において、面放電型AC−PDP101は、表示面である前面ガラス基板102と、前面ガラス基板102と放電空間を挟んで対向配置された背面ガラス基板103とを備える。そして、前面ガラス基板102の放電空間側の表面上には、互いに対をなす第1電極104及び第2電極105がそれぞれn本ずつ延長形成されている。但し、図7に示すように、第1,第2電極104,105の表面上の一部に、金属補助電極(バス電極)を有する場合には、当該金属電極をも含めて、それぞれを「第1電極104」、「第2電極105」と呼ぶこともできる。なお、第1,第2電極104,105をそれぞれ行電極104,105とも呼ぶ。AC−PDPは両行電極104,105を被覆するように誘電体層106が形成されている。また、図7に示すように、誘電体層106の表面上に誘電体であるMgO(酸化マグネシウム)から成るMgO膜107が蒸着法などの方法により形成される場合もあり、この場合には、誘電体層106とMgO膜107とを総称して、「誘電体層106A」とも呼ぶ。
【0004】
他方、背面ガラス基板103の放電空間側の表面上には、m本の第3電極108(以下「列電極108」と称す)が行電極104,105と直交するように延長形成されており、隣接する列電極108間には、隔壁110が列電極108と平行に延長形成されている。この隔壁110は、各放電セルを分離する役割を果たすと共に、PDPが大気圧により潰されないように支える支柱の役割も果たす。そして、各列電極108の表面上及び隔壁110の側壁面上には、それぞれ赤,緑,青に発光する蛍光体層109が順序よくストライプ状に設けられている。
【0005】
上述の構造を備える前面ガラス基板102と背面ガラス基板103とは互いに封着され、両ガラス基板102,103の間の空間にはNe−Xe混合ガスやHe−Xe混合ガスなどの放電用ガスが大気圧以下の圧力で封入されている。このような構造を有する面放電型AC−PDPにおいて、互いに対となる行電極104,105と列電極108により区画される放電空間が、当該PDPの1つの放電セル、即ち画素となる。
【0006】
次に、上述の従来のPDPの表示動作の原理について説明する。
【0007】
まず、行電極104,105間に電圧パルスを印加して、放電を起こす。そして、この放電により生じる紫外線が蛍光体層109を励起することにより、放電セルが発光する。この放電の際に、放電空間中に生成された電子やイオンは、それぞれの極性とは逆の極性を有する行電極104,105の方向に移動し、行電極104,105上の誘電体層106Aの表面上に蓄積する。このようにして誘電体層106Aの表面上に蓄積した電子やイオンなどの電荷を「壁電荷」と呼ぶ。なお、壁電荷の量は、外部印加電圧値に依存するため、壁電荷が形成する電位は、外部印加電圧以上の値とはなり得ない。
【0008】
この壁電荷が形成する電界は印加電界を弱める方向に働くため、壁電荷の形成に伴い、放電は急速に消滅する。放電が消滅した後に、先程とは極性を反転した電圧パルスを行電極104,105間に印加すると、この印加電界と壁電荷による電界とが重畳された電界が、実質的に放電空間に印加されるため、再び放電が起こすことができる。このように、一度放電が起きると、放電開始時の電圧に比べて低い印加電圧(以下「維持電圧」と称す)を印加することで、放電を起こすことができるため、両行電極104,105間に順次に極性を反転させた維持電圧(以下「維持パルス」とも呼ぶ)を印加すれば、放電を定常的に維持させることができる。以下、この放電を「維持放電」と呼ぶ。
【0009】
この維持放電は、壁電荷が消滅するまでの間であれば、維持パルスが印加され続ける限り持続される。なお、壁電荷を消滅させることを「消去」と呼び、これに対して、放電開始の初期に誘電体層106A(MgO膜107)上に壁電荷を形成することを「書き込み」と呼ぶ。従って、AC−PDPの画面の任意のセルについて、まず書き込みを行い、その後は維持放電を行うことによって、文字・図形・画像などを表示することができる。また、書き込み、維持放電、消去を高速に行うことによって、動画表示もできる。
【0010】
さて、上述の動作原理によれば、印加パルスの立ち上がり時の放電は、実効的な電圧は外部印加電圧が主体であり、壁電荷はあくまでもその補佐として働いていると言うことができる。そこで、この放電を「外部印加電圧主体の放電」と呼ぶ。
【0011】
他方、外部印加電圧が非常に高電圧の場合、壁電荷は放電開始電圧以上の電位を形成することがある。この場合には、印加パルスの立ち下がり時において、当該壁電荷だけで放電が起こり得る。このように、外部から電圧が印加されていない状態で発生する放電を「自己消去放電」と呼ぶ。このような放電の実効電圧は壁電荷が主体であるため、「壁電荷主体の放電」と呼ぶ。なお、壁電荷主体の放電時に、放電がより大きくなる方向に外部印加電圧を補佐的に印加しても良いため、ここでは、外部電圧が印加されている場合も含めて、「壁電荷主体の放電」を定義することにする。
【0012】
また、「外部印加電圧主体の放電」と「壁電荷主体の放電」とを併用してAC−PDPを駆動する場合、壁電荷主体の放電の終了後においては、壁電荷が少なくなっているので、引き続いて外部印加電圧主体の放電を起こすためには、(i)より高い外部印加電圧を印加する、又は、(ii)先の壁電荷主体の放電時に生成された空間電荷により、放電開始電圧が低くなっている状態の時に外部印加電圧を印加する必要がある。特に、(ii)の場合、即ちパルスメモリ効果を利用する駆動方法によれば、1回あたりの放電の電流密度を下げることができ、又、放電効率の向上、ピーク電流値の低減が可能である。更には、壁電荷主体の放電は、たとえパネル内に電圧分布が存在していても、そのセルの放電特性に応じた量の壁電荷を形成して放電が終了するため、引き続いて外部印加電圧主体の放電を起こした場合には、セルの発光強度をそろえることができる。従って、上記(ii)の駆動方法によれば、パネルの面内輝度のばらつきを防ぐことができる。
【0013】
次に、従来のPDPのより具体的な駆動方法を、図8を用いて説明する。
【0014】
従来のAC−PDP101(図7参照)の駆動方法の一つとしては、例えば特開平7−160218号公報に開示される先行技術▲1▼に係る駆動方法がある。図8は、その駆動方法における1サブフィールド期間内の駆動波形を示すタイミング図である。なお、以下の説明では、図7におけるn本の行電極104を「行電極Xi」(i:1〜n)と呼び、n本の行電極105については、単一の駆動信号により駆動するものとして、n本を一括して「行電極Y」と呼ぶ。また、m本の列電極108は「列電極Wj」(j:1〜m)と呼ぶ。
【0015】
図8に示すサブフィールド(SF)は、画像表示のための1フレーム(F)を複数の期間に分割した内の一つであり、ここでは、サブフィールドを更に「リセット期間」、「アドレス期間」、「維持放電期間(表示期間)」の3つに分割している。
【0016】
まず、「リセット期間」では、直前のサブフィールドの終了時点での表示履歴を消去するとともに、引き続くアドレス期間での放電確率を上げるためのプライミング粒子の供給を行う。具体的には、全ての行電極Xnと行電極Yとの間に、その立下がり時に自己消去放電を起こし得る電圧値の全面書き込みパルスを印加することにより、表示履歴を消去する。
【0017】
次に、「アドレス期間」では、マトリックスの選択により表示すべきセルのみを選択的に放電させて、そのセルに書き込みを行う。具体的には、図8に示すように、まず、行電極Xiに順次スキャンパルスを印加して行き、点灯すべきセルにおいては、列電極Wjと行電極Xiとの間で書き込み放電である「アドレス放電」を発生させる。すると、この放電をトリガとして直ちに行電極Xi,Y間にも放電が発生する。この際、当該セルの誘電体層106A(図7参照)の表面上には、既述のように、後の維持パルスの印加のみで維持放電を行うことが可能な量の正又は負の壁電荷が蓄積される。これに対して、消灯した状態のままのセルでは、アドレス放電を起こさせないため、当該セルの行電極Xi,Y間には放電は生じず、当然として、壁電荷の蓄積も無い。
【0018】
そして、「維持放電期間」では、行電極Xi,Y間に維持パルスを印加することにより、この維持放電期間中、書き込みが行われたセルの維持放電が持続する。
【0019】
上記の先行技術▲1▼では、維持パルスの電圧値をVsとした場合、維持放電期間中は、全列電極Wjの電位をVs/2に設定するという駆動方法が採用されている。これは、アドレス期間から維持放電期間への移行時に、維持放電が安定に開始できるようにするための駆動方法である。以下に、この点について述べる。
【0020】
図8に示す駆動方法では、アドレス期間の終了時点において、列電極Wj側及び行電極Y側には負の壁電荷が蓄積されており、行電極Xi側には正の壁電荷が蓄積されている。この状態において、仮に、維持放電期間中の列電極Wjの電位を0Vに設定した場合、維持放電期間の最初の維持パルスが印加されると、行電極Xi,Y間に維持放電が発生する前に、列電極Wj側及び行電極Xi側の壁電荷が形成する電位に起因した放電が開始してしまう。この場合には、行電極Xi,Y間に維持放電が発生しなくなるという事態が起こり得る。かかる事態を回避するために、先行技術▲1▼では、全列電極Wjの電位をVs/2に設定して、列電極Wj側の壁電荷による電界を打ち消している。
【0021】
更に、先行技術▲1▼において、維持放電期間の最初の維持パルスの印加時にのみ列電極Wjの電位をVs/2に設定し、その後は列電極Wjの駆動回路の出力端をハイインピーダンス状態することが提案されている。この場合、維持放電期間の初期時においては、維持放電を安定的に開始させることができ、その後は、列電極Wjの駆動回路の出力を電位Vs/2に保持するための電力が削減できるので、駆動回路の低消費電力化を図ることができる。また、最初の維持パルスが印加される前に、列電極Wjの駆動回路の出力端をハイインピーダンス状態にして、維持放電中に列電極Wj側に蓄積される壁電荷の量を低減する駆動方法であっても良い。
【0022】
なお、これらの駆動方法によれば、維持放電時に列電極Wj側へ飛来するイオンを少なくできるため、イオン衝突等による蛍光体の劣化を防ぐという効果も有する。
【0023】
さて、AC−PDPの階調表示については、上述のように1フレーム期間を複数のサブフィールドに分割する駆動方法では、各サブフィールドの維持パルス回数を、例えばバイナリに変えることで階調表示を行う方法が知られている。例えば、n個のサブフィールドでバイナリの重み付けをした場合、2の階調を得ることができる。
【0024】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、交流面放電型PDPの従来の駆動方法は、表示品質のより一層の向上という要求に対して、十分に応えきれないという問題点を有している。
【0025】
(問題点1)
まず、表示品質の改善を階調表示という観点から見た場合には、以下のような問題点がある。
【0026】
従来のAC−PDPの駆動方法では、リセット期間における全面消去放電及びアドレス期間におけるアドレス放電(書き込み放電)という微小な発光に起因して、正確な階調表示ができない、即ち、階調表示のリニアリティが正確に取れないという問題点がある。例えば256階調表示を行う従来のサブフィールド階調法では、各サブフィールドでの上記の微小な発光の光量が、維持放電での発光量に上乗せされるために、所望の正確な階調表示からずれた階調しか得られないのである。
【0027】
このような問題点に対して、従来の駆動方法では、1フレーム内のサブフィールドの数を増加させることにより、階調数を増加させて、階調表示の微調整を行うことが考えられる。しかし、例えばTV映像の表示を行う場合には、1フィールド期間(16.6msec)内に1画像の表示を行うようにAC−PDPの駆動を完了しなければならず、限られた時間中で多数のサブフィールドを備えることは現実的には困難であり、自ずと階調数にも限界が生じてしまう。特に、表示ライン数をより多くした高精細化のAC−PDPにおいては、表示ラインの増加に伴い、階調数の増加はより困難なものとなる。従って、従来の駆動方法では、階調表示のリニアリティが正確に取れないため、PDPの表示品質を更に向上させることができないという問題点がある。
【0028】
この問題点を解消するために、階調表示の微調整を行う方法の一つとして、例えば特開平8−314405号公報に提案される先行技術▲2▼がある。この当該先行技術▲2▼には、維持パルスの幅を制御することにより放電回数を制御して、階調表示に幅を持たせるという駆動方法が提案されている。この駆動方法は、具体的には、維持パルスの立下がり時の壁電荷主体の放電の回数を制御しており、維持パルスの幅が短い場合には、印加時間内に十分な壁電荷を蓄積できないため、当該パルスの立ち下がり時における自己消去放電が起きず、逆に、維持パルスの幅が充分に長い場合には、十分な壁電荷を蓄積できるため、自己消去放電を起こすことができるという点に立脚している。しかしながら、パルス幅の制御が仮に可能であったとしても、放電現象における「放電遅れ」という要素を鑑みれば、パルス幅の制御により放電自体を正確に制御することは困難であると言わざるを得ない。
【0029】
なお、ここでは、上記「放電遅れ」とは、パルスが印加されてから放電を開始するまでの時間である「統計放電遅れ」と、放電が発生した後から終了するまでの時間である「形成遅れ」とを含む概念である。
【0030】
また、階調表示の微調整の方法の他の方法の一つとして、例えば特開平7−44127号公報に提案される先行技術▲3▼がある。この先行技術▲3▼では、表示率に応じて維持パルスの電圧値を2値以上持たせるという駆動方法が提案されており、この先行技術▲3▼は、表示率に起因した電圧ドロップ等により、発光輝度が落ちてしまい、正確な階調表示が得られないという問題点を解消するための技術である。具体的には、表示率を検出する手段と、表示率に応じて電位差を調整する手段とを備えることにより、本来実現すべき階調表示を正確に得る駆動方法である。この先行技術▲3▼は、表示ライン数の多い高精細化PDPに対して、有用な技術であると考えられるが、維持電圧用の電源として2つ以上の電源を設ける場合、回路が複雑になり、しかもコストが高くなるという問題点がある。
【0031】
(問題点2)
次に、維持放電の立ち消えに起因する表示品質の低下について述べる。
【0032】
既述のように、外部印加電圧主体の放電のみで維持放電を行う場合であっても、空間電荷が少ない状態である維持期間の初期時には、所望の行電極間の面放電ではなく、行電極と列電極との間で放電が発生してしまうため、維持放電が不安定になり、立ち消えてしまうという問題点がある。
【0033】
そして、上記した放電の立ち消えを防止し得ないときには、所望の輝度が得られないため、AC−PDPの画像が正確に表示ができないという問題点を生じさせる。
【0034】
(問題点3)
また、上記の先行技術▲2▼では、1フレームを例えば7分割して、第5〜第7サブフィールド期間のそれぞれの維持放電期間中は、外部印加電圧主体の放電と壁電荷主体の放電を併用する駆動方法が提案されている。しかしながら、この駆動方法においては、外部印加電圧主体の放電と壁電荷主体の放電とを順次に行う場合に放電が途切れてしまうという問題点がある。この理由は、以下のように考えられる。即ち、外部印加電圧主体の放電で増加した多量の壁電荷を用いて、壁電荷主体の放電を起こした場合には、放電が大きくなりすぎて、必要以上に壁電荷量を減少させてしまう。従って、引き続く外部印加電圧主体の放電においては、必要な壁電荷の量が不足してしまい、当該放電を開始できない状態にあると考えられる。更に、維持放電期間の初期時のように、空間電荷量が少ない状態で上記の一連の放電を行う場合には、放電が途切れるという問題点はより顕著なものとなる。
【0035】
以上の放電の途切れを防止できないときには、所望の輝度が得られないため、AC−PDPの画像が正確に表示ができないという問題点を生じさせる。
【0036】
以上に詳述した問題点1〜3は、いずれも従来のAC−PDPの表示品質をより一層向上させるという要求にとっては桎梏となっており、これらの問題点1〜3を克服しなければ、上記の要求に的確に応えられない状態にある。
【0037】
本発明は、上記の問題点1〜3を解消して、表示品質の改善及びより一層の向上を実現しようとするものであり、その主目的を達成すべく、以下のより詳細な副目的を有する。
【0038】
まず、本発明の第1の目的は、維持放電期間中において、発光輝度の微調整を行うことにより、なめらかな階調表示を実現し得る交流面放電型PDPの駆動方法を提供することにある。
【0039】
更に、本発明は、同PDPにおいて、維持放電期間の初期時に確実に放電を開始させて、その後に安定的に所望の面放電へ移行するための、同PDPの駆動方法を提供することを、第2の目的とする。
【0040】
更に、本発明は、維持放電期間中に外部印加電圧主体の放電と壁電荷主体の放電とを併用する駆動方法において、壁電荷主体の放電の大きさを制御して、両放電を安定化するための、同PDPの駆動方法を提供することを、第3の目的とする。
【0041】
更に、本発明は、上記第1乃至第3の目的を実現するための、同PDPの駆動回路を提供することを、第4の目的とする。
【0042】
更に、本発明は、上記第1乃至第3の目的の実現により、表示品質が格段に向上された交流面放電型PDP装置を提供することを、第5の目的とする。
【0045】
【課題を解決するための手段】
)請求項記載の発明に係る交流面放電型プラズマディスプレイパネルの駆動方法は、互いに対をなす第1電極及び第2電極と、前記第1及び第2電極と交差する方向に設けられた第3電極と、前記第1及び第2電極を被覆して壁電荷を蓄積する誘電体層とを備える交流面放電型プラズマディスプレイパネルの駆動方法であって、維持放電期間は、前記第1及び第2電極間に印加される外部印加電圧が主体の第1放電が生ずる第1期間と、前記第1期間に引き続く第2期間と、前記第1放電及び前記壁電荷が主体の第2放電が順次に生ずる、前記第2期間に引き続く第3期間とを備え、前記第2期間において、前記第3電極の電位を第1電位と、前記第1電位よりも低く且つ接地電位よりも高い第2電位との間で切り替えることを特徴とする。
【0046】
)請求項記載の発明に係る交流面放電型プラズマディスプレイパネル用駆動回路は、請求項1に記載の前記交流面放電型プラズマディスプレイパネルの駆動方法により前記第3電極を駆動するための駆動信号を生成して、前記第3電極に出力する第3電極用駆動回路を備えることを特徴とする。
【0047】
)請求項記載の発明に係る交流面放電型プラズマディスプレイパネル用駆動回路は、請求項記載の交流面放電型プラズマディスプレイパネル用駆動回路であって、前記第3電極用駆動回路と並列的に接続された抵抗を更に備えることを特徴とする。
【0048】
)請求項記載の発明に係る交流面放電型プラズマディスプレイパネル装置は、請求項1記載の交流面放電型プラズマディスプレイパネルの駆動方法により駆動される。
【0049】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態1に係る交流面放電形PDP装置50の全体構成を示すブロック図であり、基本的には、特開平7−160218号公報に開示される構成と同様である。但し、後述するように、列電極Wj用駆動回路18が本実施の形態1の中核部分であり、従来の回路には無い機能を有している。また、同図において、交流面放電形PDP1は、図7に示す従来のAC−PDPを利用することができる。
【0050】
図1において、PDP1は、互いに対をなす第1電極4及び第2電極5をそれぞれn本ずつ備え、第1及び第2電極4,5と直交関係にあるm本の第3電極8を備える。なお、以下の説明において、第1,2電極4,5をそれぞれ「行電極4」,「行電極5」とも呼び、第3電極8を「列電極8」とも呼ぶ。更に、必要に応じて、n本の行電極4を「行電極Xi」(i:1〜n)と呼び、同様に、行電極5を「行電極Yk」(k:1〜n)、列電極8を「列電極Wj」(j:1〜m)と呼ぶことによりそれぞれを区別する。また、本PDP装置50では、n本の行電極5については、図1に示すように、その一端部を共通に接続して単一の駆動信号により駆動するものとし、n本の行電極5を一括して「行電極Y」とも呼ぶが、もちろん、n本を別々に駆動しても良い。
【0051】
更に、PDP装置50は、行電極Xiの駆動用回路14と、行電極Yの駆動用回路15と、列電極Wj用の駆動回路18とを備える。そして、各電極4,5,8に印加される各電圧は、映像信号、制御回路40により生成される制御信号等に対応して、電源回路41より各駆動回路14,15,18を介して供給される。
【0052】
以下に、PDP装置50の駆動方法について説明する。
【0053】
図2は、PDP装置50の駆動波形及び発光波形を示すタイミング図であり、サブフィールド(SF)駆動方法における1サブフィールド期間内の駆動波形を示すものである。同図において、(a)〜(c)はそれぞれ列電極Wj、行電極Yi、行電極Xiに印加される電圧波形であり、(d)は列電極Wj、行電極Xiにより選択されるセル、即ち、マトリックス(i,j)の位置のセルの発光波形である。なお、本実施の形態1に係る駆動方法では、図2に示すように、主に正のパルスを用いてPDP装置50を駆動させているが、勿論、図2に示すパルスの極性を全て反転させて駆動しても良い。
【0054】
本駆動方法では、画像表示のための1フレーム(F)を複数の期間に分割し、図2に示すように、1つのサブフィールド期間を更に「リセット期間」、「アドレス期間」、「維持放電期間(表示期間)」の3つに分割している。本実施の形態1に係る駆動方法は、特に、維持放電期間における駆動方法に特徴があり、リセット期間及びアドレス期間の各駆動方法は、図8に示す従来の駆動方法と同様で良い。以下、各期間でのPDP50の駆動方法について説明をすることにより、本実施の形態1に係る駆動方法の本質を明らかにする。
【0055】
(リセット期間、アドレス期間)
まず、「リセット期間」では、全ての列電極Wjと行電極Yとの間に、全面書き込みパルスを印加して、直前のサブフィールドの終了時点での表示履歴を消去するとともに、プライミング粒子の供給を行う。
【0056】
次に、「アドレス期間」では、表示すべきセルのみに選択的にアドレス放電を起こす(書き込み放電)。すると、この放電をトリガとして直ちに行電極Xi,Y間にも放電が発生する。従って、当該セルの行電極Xi、Yi上の誘電体層6又は誘電体層6A(図3の(a)参照。図8の誘電体層106又は誘電体層106Aに相当)の表面上及び列電極Wj上の誘電体層である蛍光体層9(図3の(a)参照。図8の蛍光体層109に相当)の表面上に、それぞれ壁電荷が蓄積される。
【0057】
(維持放電期間)
そして、「維持放電期間」では、行電極Xi,Yi間に維持パルスを印加することにより、書き込みが行われたセルについて、このサブフィールド内の維持放電を行う。
【0058】
さて、本実施の形態1に係る維持放電期間は、図2に示すように、更に3つの期間、即ち、第1期間であるSUS1期間と、SUS1期間に引き続く第2期間であるSUS2期間と、SUS2期間に引き続く第3期間であるSUS3期間とに分割される。そして、後述するように、各期間において、列電極Wjの電位を切り替えることにより、微妙な輝度調整を行って、なめらかな階調表現を得る。尚、本維持放電期間での維持放電は、外部印加電圧主体の放電のみで行うものとする。
【0059】
(SUS1期間)
図3は、図2に示した維持放電期間の各期間における各電極Xi,Yi,Wjに印加される電圧と各電極の上方に蓄積される壁電荷の状態との関係を示す模式図であり、図3の(a)はSUS1期間における様子を示す。
【0060】
図3の(a)に示すように、行電極Xi,YiのそれぞれにVxi=Vs(維持電圧),Vyi=0V(接地電位)の電圧が印加され、列電極Wjには電圧Vwj=Vw(0<Vw<Vs)が印加されている場合、維持放電後には、それぞれの電極4,5,8の電位に応じた量の壁電荷が蓄積される。即ち、行電極Xi,Yi上の誘電体層6又は6Aの表面上にはそれぞれマイナス電荷,プラス電荷が蓄積され、行電極Xiと対面する列電極Wj上の蛍光体層9上にはプラス電荷が蓄積される。従って、列電極Wjの蛍光体層9の表面上であって、行電極Xiが対面する領域(以下「Xij領域」と呼ぶ)と、行電極Yiが対面する領域(以下「Yij領域」と呼ぶ)との間には、不均一な電荷分布が発生する。
【0061】
引き続いて、Vxi=0,Vyi=Vsの電圧が印加されると、行電極Xi,Yi間は勿論、上記の電荷分布に起因する行電極Xi及び行電極Yiと列電極Wjとの間にも放電が起こる。この際、電位Vwj=Vwに起因して、Xij領域上の電荷は無くなり、今度はYij領域上にはプラス電荷が蓄積される。かかる状態において、次の維持パルスが印加された場合も、同様に行電極Xi及び行電極Yiと列電極Wjとの間にも放電が起こる。
【0062】
この列電極Wjと行電極Xi又はYiとの間で起こる放電の大きさは、列電極Wj上の壁電荷の量、即ち、Xij領域とYij領域との間の不均一な電荷分布に依存する。この電荷分布は、行電極Xi,Yiの電位Vxi,Vyiによって変化することは勿論、電圧Vsと電圧Vwとの電位差にも依存するため、この放電の大きさは列電極Wjの電位Vwj(=Vw)により制御することが可能である。具体的には、維持パルスの電圧Vsを一定値とした場合、電位Vwを0Vから増加するにつれて、行電極Xi,Yiと列電極Wjとの間の放電は小さくなり、Vw=Vs/2のときに最小となる。更に、Vwを増加させると、上記放電は、再び大きくなってしまう。これは、Vw>Vsとなると、列電極Wjがアノードと作用して、行電極Xi,Yiとの間で放電を起こしてしまうからである。
【0063】
そこで、SUS1期間では、列電極Wjの電位に印加する電位をVw=Vs/2に設定して、行電極Xi又はYiとの間の放電の大きさを最小にしている。なお、本実施の形態1では、本SUS1期間における所望の発光強度(輝度)として、Vw=Vs/2の場合の輝度を選択するが、電位Vwとしては他の値でも良い。但し、Vw=Vs/2に設定することにより、既述のように、先行技術▲1▼に記載される効果を得ることができるため、本SUS1期間の駆動方法はより好ましい形態であると言える。
【0064】
また、電位Vwを一定値(=Vs/2)に設定することにより、列電極Wjの上方に蓄積される壁電荷の量を一定量に制御することができる。たとえば、上記アドレス期間の終了時点で余剰のマイナス壁電荷が列電極Wj上の蛍光体層9に蓄積され、維持放電期間での最初の維持パルス、即ち、SUS1期間での最初の維持パルスの印加時に、列電極Wjがカソードとして働くことにより、プラス電荷が大量に形成されたとしても、休止期間(行電極Xi,Yiの電位が共に接地電位にある期間)中に再放電させることができるため、列電極Wj側には必要以上の壁電荷が蓄積し得ない。
【0065】
(SUS2)期間
SUS1期間に引き続くSUS2期間は、行電極Xi,Yiと列電極Wjとの間には放電を全く起こさない形態とし、この場合の発光について述べる。具体的には、本期間では、図1の列電極Wj用の駆動回路18の出力端、即ち、データ用WドライバIC182の出力端をハイインピーダンス状態にすることにより、図1の(a)に示すように、列電極Wjの電位Vwjを行電極Xi,Yiの電位Vxi,Vyiの変動に追従させる。このように、電位Vwjを電位Vxi,Vyiに追従させれば、図3の(b)に示すように、Xij領域,Yij領域に蓄積される壁電荷の量も少なく、壁電荷はほとんど行電極Xi,Yi上の誘電体層上に蓄積される。従って、行電極Xi,Yiと列電極Wjとの間の実質的な電位差は放電開始電圧を越えることが無いため、行電極Xi,Yiと列電極Wjとの間では全く放電は起こらず、行電極Xi,Yi間でのみ放電が起こる。なお、電位Vwjは行電極Xi,Yiに印加される維持パルスの幅、休止期間、維持電圧Vsにも依存する。
【0066】
次に、列電極Wj用駆動回路18の出力端をハイインピーダンス状態にする駆動方法について説明する。
【0067】
図4は、図1中の列電極Wj用駆動回路18の構成の示す図であり、各列電極Wj(j:1〜m)の出力電位Vwj(j:1〜m)を生成する回路であるデータ用WドライバIC182を備える。データ用WドライバIC182は、例えば列電極W1の回路について見ると、電源Vwが、既成ダイオードH1のカソードと接続され(スイッチS1は、後述する回路183に係る要素であるため、ここでは閉状態(短絡)として扱う)、ダイオードH1のアノードがダイオードL1のカソードと接続され、ダイオードL1のアノードは接地されている。スイッチSH1がダイオードH1と並列に接続され、スイッチSL1がダイオードL1と並列に接続されている。出力電位Vwjは、ダイオードH1のアノードの電位として出力される。なお、スイッチSH1〜SHm及びSL1〜SLmは、図1中のWドライバ181により制御される。
【0068】
上記のスイッチSH1〜SHm及びSL1〜SLmを全てOPENにすることにより、列電極Wj用駆動回路18の出力端をハイインピーダンス状態にすることができる。このような状態において、行電極Xi,Yiに維持パルスVsが印加されると、行電極Xi,Yiと列電極Wjとの間は容量結合されているため、行電極Xi,Yiの電位Vxi,Vyiの変動に追従して(ポンピングされて)、列電極Wjの電位Vwjが変位する。この時、電位Vxi,Vyiに追従した結果、仮に電位Vwjが非常に高電位になったとしても、既成ダイオードH1を通って電流が流れるので、電位Vwjは電位Vw以上にはならない。
【0069】
逆に、行電極Xi,Yiに印加される維持パルスの立ち下がり時には、電位Vxi,Vyiの変化に追従して、電位Vwjは下がることになる。この時、電位Vxi,Vyiに追従した結果、仮に電位Vwjが非常に低電位になったとしても、既成ダイオードL1を通って電流が流れるので、電位Vwjは接地電位以下にはならない。
【0070】
データ用WドライバIC182の上述のようなハイインピーダンス状態を生成する機能を有する。しかし、通常は、ICの出力端をハイインピーダンス状態として使用することはほとんど無く、本SUS2期間では、このハイインピーダンス状態を積極的に使用するところに、その本質があり、この場合には、既述のように、列電極Wj用駆動回路18の消費電力が削減できるという効果がある。
【0071】
尚、SUS2期間では、行電極Xi,Yiと列電極Wjとの間には放電を全く起こさない形態を生成する点にその本質があるが、上述のように列電極Wj用駆動回路18の出力端をハイインピーダンス状態にする駆動方法の代わりに、電位Vxi,Vyiの変化に追従して、電位Vwjを変位させることにより同様の形態を生成しても良い。従って、行電極Xi,Yiに印加される維持パルスに同期させたパルスを、列電極Wjに印加する駆動方法が考えられるが、回路構成が複雑になる点に留意を要する。このため、本SUS2期間のように、列電極Wj用駆動回路18の出力端をハイインピーダンス状態にする駆動方法は、好ましい形態であると言える。
【0072】
なお、列電極Wjの電位変動の応答性を高めるために、図4中の回路183を設けても良い。図4に示すように、回路183の構成は、データ用WドライバIC182と並列的に、スイッチS2の一端とダイオードD2の一端とが共通に電源Vw側と接続され、スイッチS2及びダイオードD2の各他端は共通に抵抗Rの一端に接続され、抵抗Rの他端は接地される。また、電源Vwと分岐点(ノード)Nとの間には、スイッチS1と、スイッチS1に並列に接続されたダイオードD1(そのカソードが電源Vw側に接続され、そのアノードが分岐点N側に接続されている)とを備える。
【0073】
データ用WドライバIC182の出力端を上記のハイインピーダンス状態にすると同時に、回路183のスイッチS1を開状態とし、且つ、スイッチS2を閉状態にすることにより、ダイオードH1〜Hmから抵抗Rを介して接地されるため、回路183を有さない場合に比べて、列電極Wjの電位変動の応答性を高めることができる。もちろん、上記効果は抵抗Rに起因するものであるため、回路183において、データ用WドライバIC182、即ち、列電極Wj用駆動回路18と並列的に接続された抵抗Rが必須の構成要素である。
【0074】
なお、上述のようにスイッチS1を開状態としても、回路183は上記のダイオードD1を備えるため、列電極Wjの電位Vwjは電位Vw以上にはならない。
【0075】
(SUS3期間)
SUS2期間に引き続くSUS3期間では、列電極Wjの電位Vwjを電位Vxi,Vyiに追従した電位から、接地電位へと切り替え、以後、電位Vwjを接地電位に維持している。このため、図3の(c)に示すように、Xij領域,Yij領域に蓄積される壁電荷の量は、行電極Xi,Yiの内の接地電位にある行電極側の電荷量と同程度になるので、行電極Xi,Yiに維持パルスが印加されたときには、上記のSUS1期間、SUS2期間と比較して、行電極Xi,Yi間の放電に列電極Wjが関与する形態である。従って、本SUS3期間では、図2の(d)に示すように、上記のSUS1期間、SUS2期間と比較して、強い発光強度を得ることができる。もちろん、列電極Wjをマイナス電位にできる場合には、そうすることにより、更に強い発光強度を得ることができる。
【0076】
なお、SUS3期間に引き続く行程、即ち、次のサブフィールド期間のリセット期間(アドレス期間の場合もある)において、Xij領域上又はYij領域上に大量のプラス電荷を必要とする場合には、SUS3期間を維持放電期間の最後に配置することにより、SUS3期間終了時点でのXij領域上又はYij領域上の壁電荷を利用することができる。
【0077】
なお、上記維持放電期間中の放電は、あくまでも行電極Xi,Yi間の放電が主体であるため、放電で発生するイオンによるスパッタ等によって蛍光体層が劣化することは少ない。
【0078】
(維持放電期間における発光)
さて、上述のSUS1期間〜SUS3期間の駆動方法により得られるPDPの発光について、以下に述べる。
【0079】
まず、発光強度(輝度)について見ると、SUS3期間での輝度が最も大きく、SUS期間、SUS期間の順にその輝度は小さくなる。しかも、これらの輝度の違いは、各期間において、列電極Wjの電位Vwjを切り替えるだけで得られ、この点に、本実施の形態1に係るAC−PDPの駆動方法の本質がある。従って、本実施の形態1に係る駆動方法によれば、維持放電期間中に、列電極Wjの電位Vwを切り替えて輝度の微妙な調整を行い、これらの輝度を組み合わせることにより、PDPの表示階調のリニアリティを正確に実現できるため、従来の駆動方法と比較して、なめらかな階調表現を得ることができる。
【0080】
更に、カラー表示の交流面放電形PDPにおいては、赤(R),緑(G),青(B)の3色毎の専用の列電極Wj用駆動回路を用いれば、それぞれの駆動回路毎に電位Vwを切り替えて、RGB毎に輝度の微調整を行うことができるため、より一層のなめらなか階調表示を得ることができる。
【0081】
次に、本実施の形態1では、上述のように、維持放電期間を3つの期間に分割して3種類の強度の発光を組み合わせたが、2種類の発光強度を用いることも考えうる。しかし、図2に示したSUS1期間とSUS2期間とを組み合わせただけでは、表示階調のリニアリティをより向上させるという点では十分でない。2種類の強度の発光を用いるときには、少なくとも最も高い輝度を生じさせうるSUS3期間での輝度を利用する必要がある。この観点から見ると、SUS3期間よりも輝度が低いSUS1期間又はSUS2期間での輝度を、SUS3期間での輝度に組み合わせることとなり、SUS3期間への移行時(所定のタイミング)において、列電極Wjの電位を、所定の第1電位(>接地電位)から接地電位へと切り替えることになる。例えば、SUS1期間に引き続いて、SUS3期間を組み合わせる場合には、上記第1電位は、(維持パルスの電位Vs)/2に該当する。他方、SUS2期間に引き続いてSUS3期間を組み合わせる場合には、上記第1電位は、SUS2期間での維持パルスの電位Vxi又はVyiに追従した電位であって、列電極Wj用駆動回路18の出力端がハイインピーダンス状態からその電位が接地電位になる直前の電位である。
【0082】
なお、上記のSUS3期間の後に更に引き続いてSUS1期間又はSUS2期間を設けても良く、この場合には、SUS3期間への移行時のみならず、SUS3期間からSUS1期間又はSUS2期間への移行時(所定のタイミング)において、列電極Wjの電位Vwjを接地電位から上記第1電位へと切り替えることになる。この点をも考慮するときには、本実施の形態1における特徴は、放電維持期間中の所定のタイミングで、電位Vwjを接地電位と上記第1電位との間で切り替えることにあると言える。
【0083】
更に、サブフィールドごとに輝度の組合せを変えても良い。例えば、1フレーム(F)期間を複数のサブフィールド期間に分割して、各サブフィールド期間についてバイナリの重み付けをした場合、当該フレーム期間中の初期である最下位ビット(LSB)付近には、比較的輝度の低いSUS2期間の輝度を多用し、最上位ビット(MSB)付近には、輝度の高いSUS3期間の輝度を多用する駆動方法が考えられる。この駆動方法によれば、比較的多くの維持パルス数を必要とするMSB付近において、同等の輝度を得るための維持パルスの数を減らすことができる。従って、1フレーム期間内に、又は、1サブフィールド期間内に生じた時間の余裕を、有効に利用することができる。例えば、この時間の余裕をアドレス期間の増加に割り当てれば、書き込みパルスの幅を大きくすることができ、従来の駆動方法に比較して、放電遅れに起因する書き込み不良等の事態を回避できるという効果をもたらす。
【0084】
また、上記の時間余裕が生じることは、従来の駆動方法と比較して、高速駆動化が図られているに他ならない。従って、この時間余裕をより多くの表示ラインのアドレス期間に割り当てれば、従来のPDPよりも画素数が多い(高精細な)PDP装置の駆動が可能である。
【0085】
更に、1フレーム中の各サブフィールドの輝度の重み付けは256階調(8SF)表示の場合、従来の駆動方法(サブフィールド階調法)では、1:2:4:8:16:32:64:128である。従って、所望の輝度を得るための総パルス数は、255の倍数である、255,510,765,・・・しか許容されず、総パルス数の選択の幅は狭い。仮に、総パルス数を600とする場合には、維持電圧は少なくとも2値用意しなければならず、駆動回路の構成が複雑且つ高価なものとなってしまう。しかも、従来の駆動方法では、パルス数が制限された空き時間を設けることにより、所定の階調表示を得ている。
【0086】
これに対して、実施の形態1に係る駆動方法によれば、総パルス数をある程度任意に選ぶことができ、且つ、異なる輝度を組み合わせて所望の階調表示を生成するため、従来の駆動方法と比較して、階調性を崩すことなく、利用できる時間長(TV表示の場合、1フィールド=16.6msec)で最大限の輝度を得ることができる。
【0087】
(実施の形態2)
本実施の形態2に係る交流面放電型PDPの駆動方法は、維持放電を外部印加電圧主体の放電のみで行う場合に、維持放電期間の初期時において、列電極Wjにも、行電極Xi,Yiの一方に印加する維持パルスに同期(同一立上がりタイミング、同一立下がりタイミング)したパルス(但し、そのパルス電位は当該初期時以後に列電極Wjに印加するパルス電圧よりも高いことが望まれる)を印加する点に特徴がある。これにより、行電極Xi,Yi間のみならず、行電極Xi,Yiと列電極Wjとの間にも積極的に放電を起こして、維持放電を安定的に開始させ、かかる初期時での放電の立ち消えに起因する点灯不良を除去することによって、PDPの正確な画像表示を得ている(表示品質のより一層の向上)。以下、本駆動方法について詳述する。
【0088】
図5は、本実施の形態2に係るPDPの駆動波形及び発光波形を示すタイミング図であり、図2と同様に、1サブフィールド期間内の駆動波形を示すものである。図5中の(a)〜(c)はそれぞれ列電極Wj、行電極Yi、行電極Xiに印加される電圧波形であり、(d)はマトリックス(i,j)の位置のセルの発光波形である。なお、本実施の形態2に係るPDP装置の駆動方法は、後述するように、図5に示す維持放電期間における駆動方法に特徴があるため、本駆動方法を適用できるPDP装置は、図1のPDP装置50と同様で良く、また、図5中のリセット期間とアドレス期間とは、実施の形態1に係る駆動方法(図1参照)、即ち、従来の駆動方法(図8参照)と同様で良いため、これらの説明を省略する。
【0089】
さて、実施の形態2に係る駆動方法は、図5に示すように、維持放電期間がSUS11期間,SUS12期間の各期間に分割されている。
【0090】
なお、本実施の形態2に係る駆動方法では、図5に示すように、主に正のパルスを用いてPDP装置50を駆動させているが、図5に示すパルスの極性を全て反転させて駆動しても良いことは勿論である。
【0091】
(SUS11期間)
例えば、図8の(a)に示すように、従来の駆動方法によれば、アドレス期間では電位Vwjに正パルスを印加しているため、アドレス期間の終了時点での列電極Wjの上方には、マイナス電荷が蓄積している。この点については、図5の(a)に示す本駆動方法でも同様である。かかる場合に、維持放電期間においてVwj=0V(接地電位)に設定したままでは、図5の(c)に示すように、維持放電期間の最初の維持パルスP1が行電極Xiに印加されると、既述のように、行電極Xi,Yi間に維持放電が発生する前に、列電極Wj側及び行電極Xi側の両壁電荷が形成する電位に起因した放電が開始してしまう。そこで、先行技術▲1▼では、かかる事態を回避すべく、図8の(a)に示すように、全列電極Wjの電位を維持パルス電圧の中間電位Vs/2に設定していたのである。
【0092】
これとは逆に、本駆動方法では、放電維持期間中の初期時にあたる第1期間であるSUS11期間において、直前のアドレス期間終了時の電荷分布状態に対して、列電極Wjと行電極Xi,Yi間にも積極的に放電を起こすように列電極Wjの電位Vwjを制御している。即ち、図5の(a)に示すように、列電極Wjに印加すべきパルスを行電極Yiに印加すべき維持パルスVyiに同期させており、具体的には、第1及び第3維持パルスP1,P3の印加時にはVwj=0V(接地電位)に設定し、第2及び第4維持パルスP2,P4の印加時にはVwj=V11(>Vw)に設定している。なお、上記の場合とは反対に、列電極Wjに印加するパルスは行電極Xiに印加すべき維持パルスに同期させても良い。また、列電極Wjの電位Vwjに上記接地電位の代わりに、負のパルスを印加すれば、より大きな放電を得ることができる。
【0093】
上述のようなパルスを列電極Wjに与えることにより、SUS11期間において、第1維持パルスP1の印加時には、行電極Xi,Yi間の放電と共に、列電極Wjの上方のマイナスの壁電荷に起因した放電も起こる。そして、第1維持パルスP1の印加終了時には、列電極Wjの上方にプラスの壁電荷が蓄積する。続く第2維持パルスP2の印加時には、当該プラス壁電荷による電位と列電極Wjに印加されるパルス電圧V11とが重畳されることになるので、列電極Wjと行電極Xi,Yiとの間の放電を、さらに積極的に起こさせることができる。この際、本駆動方法の場合では、列電極Wj上の壁電荷を積極的に利用して外部印加電圧主体の放電を起こしているので、上記パルス電圧V11の値は維持パルス電圧の中間電位Vs/2よりも高く設定することが望ましい。
【0094】
上述のように、本SUS11期間に係る駆動方法によれば、従来の駆動方法と比較して、維持放電をより安定的に開始することができる。
【0095】
(SUS12期間)
上記SUS11期間では、大きな放電を誘発することができるため、短い期間で多量の壁電荷及び空間電荷を確実に形成することができる。従って、SUS11期間に引き続くSUS12期間(第2期間)では、これらの多量の壁電荷及び空間電荷を利用して、行電極Xi,Yi間のみの面放電状へと安定的に移行させることができ、それ以後、維持放電を安定して持続させることができる。
【0096】
上述のように、SUS11期間では、列電極Wjと行電極Xi,Yiとの間にも放電を積極的に発生させるので、蛍光体層9(図3の(a)参照)が上記放電にさらされている状態となり、SUS11期間での放電が、蛍光体層9の劣化を引き起こす場合が生じ得る。かかる事態を回避すべく、本駆動方法では、SUS11期間において放電が安定的に開始し、且つ、多量の壁電荷及び空間電荷が形成された後は、(i)速やかに列電極Wjの電位Vwjを定電圧(接地電位を含む。好ましくはVwj=Vs/2)に設定する、又は、(ii)速やかに列電極Wj用駆動回路18(図1参照)の出力端をハイインピーダンス状態にすることにより、列電極Wjと行電極Xi,Yiとの間の放電を小さくしている。
【0097】
この際、図5の(a)に示されるパルス電圧V11を有するパルスを、上記SUS11期間中に列電極Wjに印加する場合には、放電により生成される空間電荷は2〜3パルス周期で飽和してしまうことから、このパルス周期を以てSUS11期間を設定するならば、SUS12期間への移行に十分な空間電荷を上記SUS11期間中に確実に生成することができる。従って、この後に、SUS12期間のように、行電極Xi,Yi間の面放電のみへと放電を縮小させても、放電は途切れにくい。
【0098】
(維持放電期間における発光)
本実施の形態2に係るPDPの駆動方法によれば、維持放電期間中の初期時であるSUS11期間において、列電極Wj(第3電極)に所定のパルスを印加することにより、即ち、列電極Wjの電位Vwjを接地電位と所定の第1電位V11との間で切り替えることにより、放電を詳細に制御するため、放電の立ち消え等の事態を防止して、安定的にPDPの発光を開始することができる。
【0099】
その後に、行電極Xi,Yi間の面放電に移行させることにより、SUS12期間において、安定な維持放電、即ち、PDPの発光を得ることができる。この際、列電極Wjの電位Vwjは、上記の所定の第1電位V11よりも低い第2電位に設定する。ここで、第2電位とは、接地電位を含む定電位(好ましくはVwj=Vs/2)、又は、行電極Xi,Yiの電位Vxi,Vyiの変化に追従する電位が該当する。
【0100】
以上のように、本駆動方法によれば、維持放電期間中に亘ってPDPの発光を安定化させることができるため、PDP装置の表示品質の改善及びより一層の向上を実現できる。
【0101】
なお、本実施の形態2の駆動方法では、SUS12期間において、列電極Wj用駆動回路18の出力端をハイインピーダンス状態にする代わりに、既述のように、行電極Xi,Yiに印加される維持パルスに同期させたパルスを、列電極Wjに印加する駆動方法でも良い。但し、同様の理由により、列電極Wj用駆動回路18の出力端をハイインピーダンス状態にする方が好ましい。
【0102】
また、上記SUS12期間の途中の所定のタイミングにおいて、図2のSUS3期間のように列電極Wjの電位Vwjを電位Vwと0V(接地電位)との間で切り替えれば、なめらかな階調表示を得ることができる等の実施の形態1と同様の効果を得ることができ、更に一層の表示品質の向上につながり得る。
【0103】
(実施の形態3)
図6は、本実施の形態3に係る交流面放電型PDPの駆動波形及び発光波形を示すタイミング図であり、図2と同様に、1サブフィールド期間内の駆動波形を示すものである。図6中の(a)〜(c)はそれぞれ列電極Wj、行電極Yi、行電極Xiに印加される電圧波形であり、(d)はマトリックス(i,j)の位置のセルの発光波形である。なお、本駆動方法は、後述するように、図6に示す維持放電期間における駆動方法に特徴があるため、本駆動方法を適用できるPDP装置は、図1のPDP装置50と同様で良く、また、図6中のリセット期間とアドレス期間とは、実施の形態1に係る駆動方法(図1参照)、即ち、従来の駆動方法(図8参照)と同様で良いため、これらの説明を省略する。
【0104】
さて、実施の形態3に係る駆動方法は、図6に示すように、維持放電期間がSUS21期間と、SUS22期間と、SUS23期間との各期間に分割されているところに特徴があり、これに応じて各期間での駆動方法が異なっている点に本質がある。以下に、上記の3つの期間のそれぞれについて詳述する。
【0105】
なお、本実施の形態3に係る駆動方法では、図6に示すように、主に正のパルスを用いてPDP装置50を駆動させているが、図6に示すパルスの極性を全て反転させて駆動しても良い。
【0106】
(SUS21期間)
維持放電期間中の第1期間であるSUS21期間において、PDP1(図1参照)は外部印加電圧主体の放電(以下「第1放電」とも呼ぶ)のみによって駆動される。本期間は維持放電期間の初期時であるため、壁電荷及び空間電荷の量が少ない状態なので、直前のアドレス期間で形成された壁電荷を用いた外部印加電圧主体の放電を行うこととしている。即ち、本期間の放電は、壁電荷及び空間電荷を生成する役割を果たす。ただし、自己消去放電が誘発された時に、壁電荷量が多い場合には、過大な自己消去放電が起きやすくなり、このような過大な自己消去放電は壁電荷を必要以上に減少させてしまうので、引き続く外部印加電圧主体の放電につながらず、放電が立ち消えてしまうことがある。特に、空間電荷が少ない状態である本期間では、この傾向が強い。
【0107】
従って、本期間では、上記の過大な自己消去放電が起こらないような駆動方法とする。具体的には、図6に示すように、行電極Xi,Yiに、パルス幅が5.0μsec,維持電圧Vs=180Vの正パルスを交互に印加し、一のパルスの立ち下がり時刻から他のパルスの立上がり時刻までの間の時間、即ち、休止期間は1.0μsecとしている。また、列電極Wjには電位Vwj=90Vの電圧を印加する。このように、Vs=180Vという比較的低い電圧レベルにおいて、パルス幅を4〜5μsec程度に設定した場合には、維持パルスの立下がり時には既に空間電荷は減少してしまっているため、自己消去放電は起こらない。
【0108】
(SUS22期間)
SUS21期間に引き続くSUS22期間(第2期間)での放電は、SUS21期間での放電と後述するSUS23期間での放電へとなめらかに移行させる役割を有し、SUS23期間において利用する壁電荷主体の放電(以下「第2放電」とも呼ぶ)である自己消去放電を徐々に起こすようにするものである。即ち、維持パルスの幅及び休止期間と列電極Wjの電位Vwjとを調整することにより、SUS21期間とSUS23期間とにおけるパルスの中間的なパルスを行電極Xi,Yiに印加して、自己消去放電量を制御し、自己消去放電を徐々に起こす。
【0109】
なお、上述の説明からは、一見、維持パルスの幅及び休止期間を単に制御すれば良いとも考えられるが、実際には、維持パルス幅等の時間的な設定だけで、各セルに印加される電圧のばらつきをそれぞれ制御することは困難である。しかし、本駆動方法では、列電極Wjの電位Vwjをも調整しているので、これにより各セル毎の電圧のばらつきに応じた制御が可能となる。
【0110】
本駆動方法は、具体的には、行電極Xi,Yiに、パルス幅が2.0μsec,維持電圧Vs=180Vの正パルスを交互に印加し、休止期間は0.7μsecとしている。また、列電極Wj用駆動回路18(図1参照)の出力端をハイインピーダンス状態としている。既述のように、列電極Wj用駆動回路18の出力端をハイインピーダンス状態にすることにより、列電極Wjの上方の壁電荷は行電極Xi,Yi間の面放電に関与しないため、SUS21期間と比較して外部電荷主体の放電は若干弱くなり、後述するSUS23期間と比較して自己消去放電は小さいものとなるため、両期間のちょうど中間的なパルスを得ることができる。
【0111】
従って、本SUS2期間での駆動方法は、外部印加電圧主体の放電(SUS21期間)から、外部印加電圧主体の放電と壁電荷主体の放電との両放電(SUS23期間)へ直ちに移行するものとした際の、上述のような過大な自己消去放電による放電の立ち消えという事態が生じてしまうのを有効に防ぐことができる。更に、従来の駆動方法では、過大な自己消去放電により放電が立ち消えた場合には、行電極Xi,Yi間に比較的高電圧の維持パルスを印加する必要があるが、本SUS22期間の駆動方法によれば、放電の立ち消え自体を防ぐことができるため、本期間中の維持電圧Vsを上述のように変化させる必要が無い。従って、放電が立ち消えることなく持続できる維持電圧(維持パルス)のマージン、即ち、安定した放電を得るための維持電圧のマージンを増大することができる。
【0112】
(SUS23期間)
SUS22期間に引き続くSUS23期間(第3期間)では、第1放電及び第2放電が順次に生じる駆動方法、即ち、外部印加電圧主体の放電と壁電荷主体の放電とを併用する駆動方法を用いる。具体的には、行電極Xi,Yiに印加されるパルスはパルス幅1.3μsec、Vs=180Vであり、休止期間は0.7μsecである。また、列電極WjにはVwj=90Vの電圧が印加されている。
【0113】
まず、SUS23期間における行電極Xi,Yiの維持パルスの立下がり時の放電(自己消去放電)について説明する。
【0114】
当該自己消去放電は、行電極Xi,Yiの維持パルスの立ち上がり時の、外部印加電圧主体の放電により生成された空間電荷を利用して起こす。即ち、外部印加電圧主体の放電終了後であって、比較的多く存在する空間電荷により放電開始電圧が低下している状態の時に、速やかに維持パルスを立ち下げれば、行電極Xi,Yiの上方の壁電荷により、容易に自己消去放電を起こすことができる。従って、本期間では、維持パルスの幅等を上記の値に設定している。
【0115】
次に、本期間における行電極Xi,Yiの維持パルスの立上がり時の放電について説明する。
【0116】
外部印加電圧主体の放電と壁電荷主体の放電とを併用する駆動方法の場合、維持パルスが立ち上がる時点では、直前の自己消去放電により壁電荷が少ない状態にある。従って、本期間では、この状態の下においても行電極Xi,Yi間に維持放電を確実に起こすために、維持パルスの休止期間を短くしている。これは、上述の場合とは反対に、直前の壁電荷主体の放電(自己消去放電)で生成された空間電荷を利用するものである。但し、休止期間が壁電荷主体の放電(自己消去放電)の放電遅れ時間より短い場合には、放電は起こらない。従って、本期間の休止期間は、(壁電荷主体の放電の放電遅れ時間)<(本期間の休止期間)<(壁電荷主体の放電により生成された空間電荷の消滅時間)の条件を満たすように設定している。
【0117】
なお、本期間における自己消去放電は、壁電荷だけで放電する場合について述べたが、壁電荷が主体の放電であれば、当該自己消去放電時に、放電がより大きくなる方向に外部印加電圧を補佐的にかけても良い。このため、外部電圧が印加される場合も含めて、「壁電荷主体の放電」を定義するができる。
【0118】
(維持放電期間における発光)
さて、上述のSUS21期間〜SUS23期間の駆動方法により得られるPDPの発光について、以下に述べる。
【0119】
上述のように、実施の形態3に係る駆動方法によれば、維持放電期間のSUS22期間の放電を制御することにより、その前後のSUS21期間での発光を途切れさせること無く、SUS23期間での発光へと移行することができる。
【0120】
この点に関して、異なる2つ以上の維持電圧値を有する駆動回路を用いれば、自己消去放電が生ずる期間において、その初期時には、維持パルスの電圧値を低く設定することにより、比較的小さな自己消去放電を発生させ、引き続く維持パルスに従って、その電圧値をしだいに高く設定することにより、安定的に外部印加電圧主体の放電と壁電荷主体の放電とを併用する放電へと移行できる。しかしながら、安定な移行を図ろうとする場合、一般的には、維持電圧値の数は多く準備する必要が生ずるが、そのような場合には、維持パルスを生成する回路構成が複雑となり、しかも高価なものとならざるを得ない。
【0121】
しかし、このような一般的に考えられる駆動方法と比較して、本実施の形態3に係る駆動方法では、維持放電期間中の第2期間であるSUS22期間において、維持パルスの幅及び休止時間の制御に加えて、図6に示すように、列電極Wjの電位Vwjを、維持パルス印加時に対応した第1電位と、維持パルスの休止期間に対応した第2電位との間で切り替えるだけで、第1放電(外部印加電圧主体の放電)が生ずるSUS21期間から、第1放電と第2放電(壁電荷主体の放電)とが順次に生じるSUS23期間へと安定的に移行することができる。なお、図6の(a)に示すように、第2電位は、上記の第1電位よりも低く且つ接地電位よりも高いが、図6に示す駆動波形のパルスの極性を全て反転させた駆動方法の場合も含めて考えるならば、その絶対値を以て、第1電位と第2電位との高低関係を規定する。
【0122】
本駆動方法によれば、上述の列電極Wjの電位の切り替えにより、放電の立ち消え等に起因するセルの点灯不良を防止して、PDP装置の表示品質の改善及びより一層の向上を実現できる。
【0123】
なお、本実施の形態3の駆動方法では、上記列電極Wjの電位Vwjの上記の切り替えを、列電極Wj用駆動回路18の出力端をハイインピーダンス状態にすることにより実現したが、既述のように、行電極Xi,Yiに印加される維持パルスに同期させたパルスを、列電極Wjに印加する駆動方法でも良い。但し、同様の理由により、本実施の形態に係るSUS22期間の駆動方法の方が好ましい。
【0124】
また、図2のSUS3期間のように、上記SUS23期間の途中の所定のタイミングで、列電極Wjの電位Vwjを、SUS23期間中の電位から0V(接地電位)へと切り替えるならば、なめらかな階調表示を得ることができる等の実施の形態1と同様の効果を得ることができ、更に一層の表示品質の向上を図ることが可能となる。
【0131】
【発明の効果】
)請求項に係る発明によれば、第2期間において、第3電極の電位を第1電位と第2電位との間で切り替えるため、第1放電と第2放電とを併用する駆動方法の場合の、第2放電(壁電荷主体の放電)時の自己消去放電の量を制御することができる。従って、第1期間から第2期間への移行時に過大な自己消去放電を起こすことが無く、かかる放電に起因する放電の立ち消えを防止して、安定な放電を実現することができる。従って、請求項に係る発明によれば、PDP装置の表示品質を向上させることができる。
【0132】
また、過大な自己消去放電による放電の立ち消えを防止することが可能となったので、第1及び第2電極間に比較的高電圧の維持電圧を加える必要が無くなり、維持電圧の安定したマージンを得ることができるという派生的効果をも、本発明は包含している。
【0133】
)請求項に係る発明によれば、上記(1)同様の表示品質の向上という効果を実現し得る駆動回路を提供することができる。
【0134】
)請求項に係る発明によれば、上記()の効果と共に、第3電極の電荷を抵抗を介して放電することにより、第3電極の電位の切り替え時の応答性を高めることができる。
【0135】
)請求項に係る発明によれば、上記(1)同様の効果を奏し交流面放電型プラズマディスプレイパネル装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1に係る交流面放電型プラズマディスプレイパネル装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】実施の形態1に係る交流面放電型プラズマディスプレイパネルの駆動波形及び発光波形を示すタイミング図である。
【図3】実施の形態1に係る駆動方法における維持放電期間内での電荷分布の状態を示した模式図である。
【図4】実施の形態1に係る列電極用駆動回路を示す回路図である。
【図5】実施の形態2に係る交流面放電型プラズマディスプレイパネルの駆動波形及び発光波形を示すタイミング図である。
【図6】実施の形態3に係る交流面放電型プラズマディスプレイパネルの駆動波形及び発光波形を示すタイミング図である。
【図7】従来の交流面放電型プラズマディスプレイパネルの構造を示す斜視図である。
【図8】従来の交流面放電型プラズマディスプレイパネルの駆動波形を示すタイミング図である。
【符号の説明】
1 交流面放電型プラズマディスプレイパネル、4 第1電極(行電極Xi)、5 第2電極(行電極Yk)、6 誘電体層、6A 誘電体層、8 第3電極(列電極Wj)、9 蛍光体層、18 第3電極用駆動回路、50 交流面放電型プラズマディスプレイパネル装置、181 Wドライバ、182 データ用WドライバIC、R 抵抗、Vwj 第3電極の電位。

Claims (4)

  1. 互いに対をなす第1電極及び第2電極と、
    前記第1及び第2電極と交差する方向に設けられた第3電極と、
    前記第1及び第2電極を被覆して壁電荷を蓄積する誘電体層とを備える交流面放電型プラズマディスプレイパネルの駆動方法であって、
    維持放電期間は、
    前記第1及び第2電極間に印加される外部印加電圧が主体の第1放電が生ずる第1期間と、
    前記第1期間に引き続く第2期間と、
    前記第1放電及び前記壁電荷が主体の第2放電が順次に生ずる、前記第2期間に引き続く第3期間とを備え、
    前記第2期間において、前記第3電極の電位を第1電位と、前記第1電位よりも低く且つ接地電位よりも高い第2電位との間で切り替えることを特徴とする、
    交流面放電型プラズマディスプレイパネルの駆動方法。
  2. 交流面放電型プラズマディスプレイパネル用駆動回路であって、
    請求項1記載の前記交流面放電型プラズマディスプレイパネルの駆動方法により前記第3電極を駆動するための駆動信号を生成して、前記第3電極に出力する第3電極用駆動回路を備えることを特徴とする、
    交流面放電型プラズマディスプレイパネル用駆動回路。
  3. 請求項記載の交流面放電型プラズマディスプレイパネル用駆動回路であって、
    前記第3電極用駆動回路と並列的に接続された抵抗を更に備えることを特徴とする、
    交流面放電型プラズマディスプレイパネル用駆動回路。
  4. 請求項1記載の交流面放電型プラズマディスプレイパネルの駆動方法により駆動される、
    交流面放電型プラズマディスプレイパネル装置。
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