JP3597692B2 - 撮像装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、撮像素子の解像度よりも高い解像度の画像を得ることができる撮像装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子スチルカメラ等の撮像装置において、該撮像装置で得られる画像の高解像度化が求められている。前記画像を高解像度化する第1の手法としては、前記撮像素子内に備えられる撮像素子の受光領域、いわゆる撮像素子の画素の数を、従来の撮像素子の画素の数よりも多くすることが考えられる。しかしながら、画素の数を多くした撮像素子は、生産性が乏しいために高価になりやすい。
【0003】
前記画像を高解像度化する第2の手法として、前記従来の撮像素子を用い、かつ、いわゆるイメージシフトを行うことが考えられる。前記イメージシフトに関する従来技術は、特開平9−9115号公報と特開平3−139990号公報とに開示される。
【0004】
図26は、特開平9−9115号公報に開示される撮像装置1の被写体からの光の処理に関する部分の構成を示す図である。前記部分は、レンズ群3と、撮像素子4と、イメージシフト部5と、空間フィルタ部6とを含む。イメージシフト部5および空間フィルタ部6は、レンズ群3と撮像素子4との間に、この順で介在される。空間フィルタ部6は、光学ローパスフィルタ7と、光学ローパスフィルタ回転機構部8とを含む。イメージシフト手段は、平行平板ガラス9と、平行平板ガラス駆動部10とを含む。平行平板ガラス9と光学ローパスフィルタ7とが、レンズ群3の光軸11上に、この順で配置される。平行平板ガラス9は、光軸11にそれぞれ直交し、かつ、相互に直交する2本の中心軸線を備える。平行平板ガラス駆動部10は、2本の前記中心軸線をそれぞれ中心として、平行平板ガラス9を角変位させる。これによって、被写体からの光の光路が、光軸11から平行移動される。
【0005】
上述の撮像装置1では、平行平板ガラス9と光学ローパスフィルタ7とが、それぞれ光軸11上に並べられているので、撮像装置1の前記部分の光軸11に平行な方向の長さが、長くなり易い。この結果、撮像装置1の小型化が困難になる。また、イメージシフト部5と空間フィルタ部6とが別々に設けられているので、イメージシフトを行わない従来の撮像装置よりも部品点数が増加する。この結果、撮像装置1の製造コストが増加しやすい。
【0006】
また、特開平3−139990号公報に開示される撮像装置の被写体からの光の処理に関する部分の構成は、以下のとおりである。前記部分は、撮影レンズと、撮像素子と、回転フィルタとを含む。前記回転フィルタは、無色透明で厚みのある平行平板であり、屈折率が空気の屈折率とは異なる。前記回転フィルタは、前記撮影レンズと前記撮像素子との間に介在され、予め定める回転軸を中心に、角変位される。前記回転軸は、前記撮像素子の撮像面に垂直であり、かつ前記回転フィルタの平面と90度未満の角度で交わる。この結果、前記回転フィルタが角変位されることに伴い、被写体からの光の光路が、前記撮影レンズの光軸から平行移動される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
特開平3−139990号公報の前記撮像装置は空間フィルタを含んでいない。前記撮像装置に空間フィルタを付加える場合、特開平9−9115号公報の撮像装置1と同様に、前記撮像装置の小型化が困難になり、また、前記撮像装置の部品点数が増加しやすい。また、前記回転フィルタを角変位させることに伴って、該回転フィルタの空間周波数特性が変化することがあると予想されるが、前記回転フィルタは前記空間周波数特性の変化を考慮していないので、前記回転フィルタの角変位に拘わらず前記撮像装置に最適の空間周波数特性を保つことの実現性は、乏しい。
【0008】
本発明の目的は、従来の撮像装置よりも高解像度の画像を撮像する撮像装置であって、前記高解像度の画像に応じた空間周波数特性をイメージシフトを行う際にも保つことができ、かつ、小型化と薄型化と組立てコストの低減化とが可能な撮像装置を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、被写体からの光を集光する光学系と、
前記光学系によって集光された光が結像される結像面を有する撮像素子と、
前記光学系と前記撮像素子との間に介在される少なくとも1枚の複屈折板を、含む空間フィルタと、
前記撮像素子へ入射される光の光路をずらすために、前記空間フィルタ内の全ての複屈折板のうちの少なくとも1枚の複屈折板と前記光学系の光軸との角変位による位置関係を変化させるイメージシフト手段と、
前記イメージシフト手段が前記位置関係を変化させるたびに、前記撮像素子に、画像を表す画像信号を生成させる撮像制御手段と、
複数の前記画像信号を合成する合成手段とを含み、
前記位置関係は、前記位置関係が変化される前後で、前記空間フィルタを通過した常光線Leoo,Loeoと、異常光線Leoe,Loeeとの分離幅d3と、常光線Leoo,Loeoから異常光線Leoe,Loeeへ向かう方向とを等しく保たせて、変化されることを特徴とする撮像装置である。
【0010】
本発明に従えば、前記撮像装置は、前記空間フィルタの一部と前記イメージシフト手段とが上述のように動作することによって、いわゆるイメージシフトの効果を得る。これによって、被写体からの光の光路のうちの前記光学系と前記撮像素子との間の部分には、前記空間フィルタ内の全ての複屈折板だけが介在され、前記部分に従来介在されていたイメージシフト用の屈折板が、省略される。したがって、前記光学系と前記撮像素子との間の間隔を、前記イメージシフト用の屈折板の分だけ、従来技術の撮像装置内の光学系と撮像素子との間の間隔よりも短くすることができる。ゆえに、いわゆるバックフォーカスが、従来技術の撮像装置よりも短くなるので、本発明の撮像装置は、従来技術の撮像装置よりも、小型化することができる。また、前記イメージシフト用の屈折板が除かれたことによって、本発明の撮像装置の部品点数が従来技術の撮像装置よりも減少する。ゆえに、本発明の前記撮像装置は、従来技術の撮像装置よりも、軽量化することができ、かつ、組立てコストを低減化することができる。
【0012】
また前記撮像装置の前記空間フィルタは、前記位置関係の変化に拘わらず、常に予め定める空間周波数特性を保つことができる。ゆえに、前記予め定める空間周波数特性を、前記撮像装置で生成される画像信号が表す画像の解像度に対して適正な空間周波数特性に予めしておけば、前記撮像素子は、前記位置関係の変化に拘わらず、前記適性な空間周波数特性の空間フィルタを通して、被写体を常に撮像することができる。
イメージシフト手段は、空間フィルタ内の全ての複屈折板のうちの少なくとも1枚の複屈折板と光学系の光軸との角変位による位置関係を変化させる。この位置関係は、前記位置関係が変化される前後で、前記空間フィルタを通過した常光線Leoo,Loeoと、異常光線Leoe,Loeeとの分離幅d3と、常光線Leoo,Loeoから異常光線Leoe,Loeeへ向かう方向とを等しく保たせて、変化される。
【0013】
また本発明は、被写体からの光を集光する光学系と、
前記光学系によって集光された光が結像される結像面を有する撮像素子と、
前記光学系と前記撮像素子との間に介在される少なくとも1枚の複屈折板を、含む空間フィルタと、
前記撮像素子へ入射される光の光路をずらすために、前記空間フィルタ内の全ての複屈折板のうちの少なくとも1枚の複屈折板と前記光学系の光軸との位置関係を変化させるイメージシフト手段と、
前記イメージシフト手段が前記位置関係を変化させるたびに、前記撮像素子に、画像を表す画像信号を生成させる撮像制御手段と、
複数の前記画像信号を合成する合成手段とを含み、
前記少なくとも1枚の複屈折板のうちの少なくとも1枚の複屈折板は、前記光軸に垂直な基準平面に対して傾斜しており、
前記イメージシフト手段は、前記少なくとも1枚の複屈折板を、前記光軸に平行な基準軸線を中心に角変位させることを特徴とする撮像装置である。
【0014】
本発明に従えば、前記撮像装置の前記少なくとも1枚の複屈折板は、前記光路をずらすために、前記基準平面に対して予め傾斜されてあり、前記イメージシフト手段は上述の動作を行う。これによって、傾斜された前記複屈折板と前記光軸との位置関係、たとえば傾斜された前記複屈折板の入射面と光軸との成す角度が変化するので、前記イメージシフトの効果を得ることができる。したがって、前記イメージシフト手段の構成が、屈折板を光軸に垂直な基準軸線を中心に角変位させる従来技術のイメージシフト手段と比較して、簡単になる。また、傾斜された前記複屈折板と前記基準平面とのなす角度は、前記撮像装置の組立て工程で精密に調整することが容易にでき、かつ、傾斜された前記複屈折板は前記基準軸線回りに角変位されるだけなので、前記位置関係を精密に変化させることが容易にできる。したがって、前記撮像装置のイメージシフトの精度を向上させることができる。
【0015】
また本発明は、前記撮像素子の結像面には、複数の矩形の受光領域が、行列状に配置されており、
傾斜された前記複屈折板は、角変位させるべき前記複屈折板が角変位される前の前記空間フィルタを通過した光の光路から、角変位させるべき前記複屈折板が角変位された後の前記空間フィルタを通過した光の光路が、前記受光領域の対角線に平行な方向にずれるように、傾斜されており、
傾斜された前記複屈折板と前記基準平面とのなす角度は、2つの前記光路間の距離が、画素の対角線に平行な方向に並ぶ2つの画素の中心間の距離の半分になるように、設定されることを特徴とする。
【0016】
本発明に従えば、前記撮像装置内の傾斜された前記複屈折板と前記基準平面とのなす角度と、該複屈折板の傾斜する方向とは、上述のように定められる。この結果、前記2つの光路は、前記画素の対角線に平行な方向に前記2つの画素間の距離の半分の距離だけ、相互にずれる。前記合成手段は、角変位させるべき前記複屈折板が角変位される前に前記撮像素子が生成した画像信号と、前記角変位させるべき複屈折板が角変位された後に前記撮像素子が生成した画像信号とを、合成する。この結果、合成された画像信号が表す画像の解像度は、前記撮像素子の解像度よりも高くなる。ゆえに、前記撮像素子の解像度よりも高解像度の画像を得るために必要な画像信号が2つで良いので、撮像素子が被写体を撮像するために要する時間を最短にすることができるため、前記撮像装置の利便性が向上される。
【0017】
また本発明は、前記イメージシフト手段が角変位させるべき前記複屈折板を角変位させる角度は、180度であることを特徴とする。
【0018】
本発明に従えば、前記イメージシフト手段は、角変位させるべき前記複屈折板を、180度角変位させることが好ましい。これの第1の理由は、前記複屈折板の角変位の角度が180度であるときが、前記複屈折板と前記基準平面とのなす角度を最も小さくすることができるので、前記複屈折板の傾斜に拘わる画像の画質の低下を、最も小さくすることができるからである。第2の理由は、以下のとおりである。前記角変位させるべき複屈折板は前記基準軸線まわりに180度角変位されるので、前記角変位させるべき複屈折板の形状は、前記基準軸線を対称中心として、点対称にすることができる。したがって、現行の撮像装置で用いられている略長方形の複屈折板を、本発明の撮像装置の空間フィルタに流用することができる。ゆえに、複屈折板の角変位の角度が180度であるならば、前記撮像装置の製造コストの増加を、抑えることができるのである。
【0019】
また本発明は、全ての角変位させるべき前記複屈折板のうちの複数の複屈折板が、前記基準平面に対して傾斜している場合、前記複数の複屈折板それぞれと前記基準平面とのなす角度は、相互に等しいことを特徴とする。
【0020】
本発明に従えば、上記場合、前記複数の複屈折板それぞれと前記基準平面がなす角度は、相互に等しい。これによって、前記撮像装置の組立て時の前記傾斜させるべき複数の複屈折板の角度調整が、容易になる。また、同じ角度で傾斜する複屈折板の枚数が増加するほど、傾斜する全ての複屈折板の前記光軸に平行な方向の厚みの和が、増加する。これによって、傾斜するべき複数の複屈折板それぞれと前記基準平面とがなす角度を、前記同じ角度で傾斜する複屈折板の枚数が増加するほど、小さくすることができる。したがって、たとえば収差に起因する前記画像の画質の低下を、小さくすることができる。
【0021】
また本発明は、角変位されるべき前記複屈折板が角変位される前の前記空間フィルタの空間周波数特性と、角変位されるべき前記複屈折板が角変位された後の前記空間フィルタの空間周波数特性とが、等しいことを特徴とする。
【0022】
本発明に従えば、前記空間フィルタは、傾斜された前記複屈折板が角変位されたか否かに拘わらず、常に予め定める空間周波数特性を保つことができる。ゆえに、前記予め定める空間周波数特性を、前記撮像装置で生成される画像信号が表す画像の解像度に対して適正な空間周波数特性に予めしておけば、前記撮像素子は、傾斜された前記複屈折板が角変位されたか否かに拘わらず、前記適性な空間周波数特性の空間フィルタを通して、被写体を常に撮像することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の第1実施形態である撮像装置20の全体の構成を示すブロック図である。撮像装置20は、レンズ群23、第1空間フィルタ24、複屈折板駆動部25、撮像素子26、制御装置27、メモリ装置28、および合成装置29を含む。
【0024】
レンズ群23は1または複数のレンズから構成されて、単一の光軸22を有する。第1空間フィルタ24は、レンズ群23と撮像素子26との間に介在される。第1空間フィルタ24は、予め定める空間周波数特性を有し、被写体21からの光の空間周波数成分の一部を制限する。前記光は、レンズ群23によって集光され、第1空間フィルタ24を通過して、撮像素子26の撮像面41上に結像される。
【0025】
第1空間フィルタ24は、1枚の複屈折板、または光軸22に沿って順次的に配置される複数の複屈折板を有する。本実施形態では、第1空間フィルタ24は、第1〜第3複屈折板33〜35を有する。第1〜第3複屈折板33〜35はいずれも、平行な2つの表面を有する平板である。前記1または複数の複屈折板のうちの少なくとも1枚は、前記光軸に垂直な基準平面37に対して、傾斜されている。本実施形態では、第1および第2複屈折板33,34は、基準平面37に対して平行であり、第3複屈折板35が、その表面と基準平面37とが傾斜角度θ1をなすように、傾斜されている。
【0026】
複屈折板駆動部25は、制御装置27によって制御され、全ての複屈折板のうちの傾斜された前記少なくとも1枚の複屈折板を含む1または複数の複屈折板を、光軸22に平行な基準軸線まわりに、予め定める基準角度だけ、角変位させる。本実施形態では、複屈折板駆動部25は、第1〜第3複屈折板33〜35の全てを角変位させ、前記基準軸線は光軸22と一致しており、前記基準角度は180度である。すなわち、複屈折板駆動部25は、イメージシフトのために、第1空間フィルタ24内の少なくとも1枚の角変位させるべき複屈折板と光軸22との位置関係を変化させるための、イメージシフト部に相当する。また、前記角変位させるべき複屈折板と複屈折板駆動部25とが、従来技術のイメージシフト部と同じ働きをする。
【0027】
撮像素子26は、撮像面に結像された前記光を光電変換して画像信号を生成し、前記画像信号をメモリ装置28に記憶させる。撮像素子26は、いわゆる白黒単板の構造、いわゆるカラー3板の構造、およびいわゆる単板カラーの構造のいずれかの構造を有し、本実施形態では、ベイヤ配列単板カラーの構造であると仮定して説明する。
【0028】
制御装置27は、撮像素子26と複屈折板駆動部25とを制御して、複屈折板駆動部25が角変位させるべき複屈折板、すなわち第1〜第3複屈折板33〜35を角変位させるたびに、撮像素子26に光電変換を行わせ、この結果得られる前記画像信号をメモリ装置28に記憶させる。さらに制御装置27は、メモリ装置28に記憶された複数の画像信号のうちで、撮像素子26で続けて生成された2つの画像信号を、合成装置29に与えさせる。合成装置29は、前記2つの画像信号を合成する。さらに合成装置29は、前記合成の結果得られる単一の合成画像信号に予め定める補間処理を施して、撮像素子26の解像度よりも高い解像度の画像を表す出力画像信号を生成する。前記出力画像信号は、メモリ装置28に記憶されると共に、撮像装置20の外部に出力される。制御装置27と合成装置29とは、たとえばマイクロコンピュータによって実現され、メモリ装置28はたとえばランダムアクセスメモリによって実現される。
【0029】
上述したように、本実施形態の撮像装置20では、また、第1空間フィルタ24内の全ての複屈折板33〜35のうちの少なくとも1枚の傾斜された複屈折板、本実施形態では第3複屈折板35が、イメージシフトのための屈折板を兼ねる。ゆえに、レンズ群23と撮像素子26との間には、第1空間フィルタ24だけが介在され、前記屈折板が介在されない。これによって、イメージシフトを行う従来技術の撮像装置と比較して、レンズ群23と撮像素子6との間の間隔を、短くすることができる。したがって、撮像装置20のバックフォーカスが前記従来技術の撮像装置のそれよりも短くなるので、撮像装置20を前記従来技術の撮像装置よりも小型化しかつ薄型化することができる。また、撮像装置20の部品点数が前記従来技術の撮像装置のそれよりも少なくなるので、撮像装置20の製造コストを前記従来技術の撮像装置のそれよりも減少させることができる。
【0030】
図2は、撮像素子26の撮像面41の正面図である。撮像素子26は、CCD(電荷結合素子)イメージセンサによって実現される。撮像素子26の撮像面41には複数の画素42、すなわち複数の受光領域が、水平方向xに予め定める第1のピッチPxをあけて、かつ、垂直方向yに予め定める第2のピッチPyをあけて、行列状に配置される。図2では、画素を矩形で示す。水平方向xは図1では紙面に垂直な方向であってかつ図2では紙面の左右方向であり、垂直方向yは図1および図2のどちらでも紙面の上下方向であると仮定する。また、光軸22に平行な方向を、Z方向または光軸方向と称することがある。本実施形態では、撮像面41は、いわゆるベイヤ配列の単板カラーの構成を有するものと仮定する。本実施形態では、第1および第2のピッチPx,Pyは等しいと仮定し、第1および第2のピッチPx,PyをピッチPと総称する。また、行列状に画素42が配置された状態において、水平方向xに平行に並ぶ画素の一群を行と称し、垂直方向yに並ぶ画素の一群を列と称する。
【0031】
一般的な単板カラーの構造の撮像素子の各画素は、光の3原色のうちの予め定めるいずれか1つの色の輝度を検出し、かつ各画素が検出するべき色の輝度は各画素毎に異なる。ベイヤ配列は、カラー光の3原色の各色の輝度をそれぞれ検出する3種類の画素の配列の1つであり、全ての画素を、赤の輝度を検出する画素と青の輝度を検出する画素と緑の画素を検出する画素との3種類に区分し、各色の輝度を検出する画素を2行2列の4つの画素単位で並べる配列である。図面では、赤、緑、青の輝度を検出する画素を表す矩形内に、「R」,「G」,「B」をそれぞれ記載して示す。
【0032】
ベイヤ配列における各色の輝度を検出する画素42R,42B,42Gの具体的な配置を、単板カラーの撮像素子の撮像面41内に行列状に並べられた全ての画素のうちの、任意の隣合う一対の行45,46を例に説明する。一対の行のうちの一方の行45内では、緑の輝度を検出する画素42Gと青の輝度を検出する画素42Bとが、交互に並ぶ。一対の行のうちの他方の行46内では、赤の輝度を検出する画素42Rと緑の輝度を検出する画素42Gとが、交互に並ぶ。かつ、一方の行45内の緑の輝度を検出する画素42Gと他方の行46内の緑の輝度を検出する画素42Gとは、水平方向xにピッチPだけずれている。撮像面41全体では、上述の一対の行45,46と同じ構成の行が周期的に配置される。
【0033】
図3は、第1〜第3複屈折板33〜35が角変位される前後の第1空間フィルタ24とを示す図である。以後の説明のために、第1〜第3複屈折板33〜35が角変位させる前の第1空間フィルタの状態を、第1状態、第1〜第3複屈折板33〜35が予め定める基準角度だけ角変位された後の第1空間フィルタの状態を、第2状態と定義する。また、第1および第2状態の第1空間フィルタ24を通過する前の被写体21からの光の光路51,52は、どちらもレンズ群23の光軸22と一致していると仮定する。また、第1〜第3複屈折板33〜35の2つの表面のうちで、前記光が入射する側の表面を、入射面と称する。
【0034】
第1状態の第1空間フィルタ24内の第1および第2複屈折板33,34の入射面は光軸22に垂直なので、第1および第2複屈折板33,34を角変位させた後も、前記入射面は光軸22に垂直である。すなわち、前記第1状態の第1空間フィルタ24内の第1および第2複屈折板33,34の入射面と前記光路51とが成す角度は、前記第2状態の第1空間フィルタ24内の第1および第2複屈折板33,34の入射面と前記光路52とが成す角度と、等しい。
【0035】
第1状態の第1空間フィルタ24の第3複屈折板35は基準平面37に対して傾斜角度θ1で傾斜している。ゆえに、たとえば、前記光路51,52と第3複屈折板35の入射面との成す角度を前記光路51,52と前記入射面との交点を中心に時計まわりに計測する場合、第1状態の第1空間フィルタ24内の第3複屈折板35の入射面と前記光路51との成す角度θa1は、第2状態の第1空間フィルタ24内の第3複屈折板35の入射面と前記光路52との成す角度θa2と、異なる。前記角度θa2は、たとえば、180度から角度θa1を減算した角度である。
【0036】
このように、傾斜された複屈折板が角変位されることに応じて、前記傾斜された複屈折板の入射面と第1空間フィルタ24通過前の前記光の光路との成す角度が変化するので、前記角度の変化に伴い、第1空間フィルタ24を通過した後の被写体21からの光の光路の位置が、変化する。前記第1状態の第1空間フィルタ24通過後の前記光の光路、すなわち第1光路53と、前記第2状態の第1空間フィルタ24通過後の前記光の光路、すなわち第2光路54の位置関係は、具体的には、以下のとおりである。
【0037】
第1光路53は、光軸22から、予め定める第1の方向a1に、予め定める第1の距離D1だけ、光軸22と平行にずれる。第2光路54は、光軸22から、第1の方向a1と反対の第2の方向a2に、第1の距離D1だけ、光軸22と平行にずれる。第1の方向a1は光軸22と垂直であるので、第1および第2の方向a1,a2は、どちらも、基準平面37に平行である。さらに、第2の方向a2は垂直方向yと予め定める角度φを成す。この結果、第2光路54は、第1光路53から、第2の方向a2に、第1の距離D1の2倍の距離D3だけ離れる。
【0038】
2つの前記光路53,54間の距離D3は、角変位するべき全ての複屈折板のうちの傾斜した複屈折板の傾斜角度と、前記傾斜した複屈折板の厚みとに応じて定まる。第3複屈折板35の傾斜角度θ1は、前記傾斜した複屈折板の厚みを考慮し、距離D3が、前述したピッチPの√2分の1(P/√2)倍の長さになるように、設定されている。前記長さは、撮像面41の画素42の対角線に平行な方向Uに並ぶ2つの画素42の中心間の距離の半分に相当する。また、第1光路53から第2光路54へ向かう方向、すなわち第2の方向a2は、前記傾斜した複屈折板の傾斜方向によって定まる。前記傾斜方向は、前記傾斜した複屈折板の表面の法線と光軸22とを含む前記仮想平面に平行な方向であり、前記傾斜方向は垂直方向yと前記角度φを成す。第3複屈折板35の前記傾斜方向は、第2の方向a2が、前述した撮像面41の画素42の対角線に平行な方向Uになるように、調整されている。
【0039】
図4は、複屈折板駆動部25の具体的構成を示す図である。複屈折板駆動部25は、円筒状の保持部材61と、ウォーム62と、モータ63と、複数の回転ローラ64と、カウンタ65とを含む。
【0040】
保持部材61には、その中心軸線68に平行な方向に貫通する保持孔66が設けられる。保持孔66には、第1空間フィルタ24内の角変位させるべき複屈折板、本実施形態では第1〜第3複屈折板33〜35が、嵌め込まれる。複屈折板駆動部25が撮像装置20に組込まれた場合、光軸22は保持孔66を貫通する。保持部材61は、たとえば、保持部材61の外周端の円の中心軸線68が光軸22と一致しており、光軸22を中心に角変位することができる。第1〜第3複屈折板33〜35は、複屈折板駆動部25が撮像装置20に組込まれた時点で、第1および第2複屈折板33,34が光軸22に垂直であり、かつ、第3複屈折板35が基準平面37に対して傾斜角度θ1だけ傾斜され、さらに、第1〜第3複屈折板の光学軸方向が第1または第2状態における後述する位置関係を保つように、保持部材61に嵌め込まれる。
【0041】
保持部材61の外周部67には歯車の歯が形成されて、保持部材61がウォーム歯車、すなわちウォームホイールになっている。外周部67の歯車の歯は、ウォーム62に噛み合わされる。ウォーム62はモータ63の回転軸に取付けられる。複数の回転ローラ64は、少なくとも3つあり、保持部材61の周囲に配置される。前記各回転ローラ64は、外周部67の歯車の歯にそれぞれ噛み合わされる。これによって保持部材61の外周部67の少なくとも3点が、支持される。モータ63が駆動されると、モータ63の回転力がウォーム62に伝達され、ウォーム62の回転に伴って、保持部材61は光軸22を中心に角変位する。カウンタ65はモータ63の回転数を計数しており、計数した回転数を制御装置27に与える。
【0042】
制御装置27は、モータ63の回転数と第1〜第3複屈折板33〜35の角変位量との関係、すなわち、たとえばモータ63の予め定める回転数あたりに保持部材61が角変位する角度を、予め備えている。制御装置27は、前記関係とカウンタ65から与えられたモータ63の回転数とに基づいて、モータ63が回転し始めた時点からカウンタ65が前記回転数を計数した時点までに第1〜第3複屈折板33〜35が角変位した角度を求めることができる。したがって、制御装置27は、求められた前記角度に基づいて、モータ63をさらに駆動させまたは停止させて、第1〜第3複屈折板33〜35の角度を、所望の角度にすることができる。
【0043】
このように、複屈折板駆動部25は極めて簡単な構成の機構なので、小型化が容易である。また、極めて簡単な構成の複屈折板駆動部25によって、前記角変位させるべき複屈折板を、確実に所望の角度だけ角変位させることができる。また、傾斜させるべき複屈折板、本実施形態では第3複屈折板35の傾斜角度θ1は、第3複屈折板35を保持部材61に取付ける際に定められるので、傾斜角度を精密に調整することができる。かつ、実際に撮像素子26が被写体を撮像する際には、第3複屈折板35の角変位する角度を定めるだけで、第1空間フィルタ24通過後の光の光路を、上述のように平行移動させることができる。したがって、簡単な構成の複屈折板駆動部25を用いる場合でも、イメージシフトの精度を良くすることができる。
【0044】
以下に、撮像装置20が被写体21を撮像して前記出力画像信号を出力するまでの挙動を、概略的に説明する。
【0045】
撮像素子26は、予め定める周期で光電変換を2回行い、各回の光電変換終了後に、それぞれ画像信号を出力する。複屈折板駆動部25は、撮像素子26が1回目の光電変換を行なう間、角変位させるべき複屈折板、本実施形態では第1〜第3複屈折板33〜35を固定して、第1空間フィルタ24に前記第1状態を保たせる。第1〜第3複屈折板33〜35は、1回目の光電変換が終了した時点から2回目の光電変換が始まる時点までの間に、前記基準角度だけ角変位され、この結果、第1空間フィルタ24は前記第1状態から前記第2状態へ移る。第2状態の第1空間フィルタ24の空間周波数特性と、第1状態の第1空間フィルタ24の空間周波数特性とは、等しい。複屈折板駆動部25は、撮像素子26が2回目の光電変換を行なう間、第1〜第3複屈折板33〜35を固定して、第1空間フィルタ24に前記第2状態を保たせる。また、第1空間フィルタ24は、1回目の光電変換の間に前記第2状態を保ち、2回目の光電変換の間に前記第1状態を保っても良い。
【0046】
これによって、2回目の光電変換の間にレンズ群23および第1空間フィルタ24を通過した光の光路は、1回目の光電変換の間にレンズ群23および第1空間フィルタ24を通過した光の光路から、撮像面41の画素42の対角線に平行な方向Uに、画素42の配列のピッチPの√2分の1倍の長さだけ、ずれる。このため、図5に示すように、撮像面41上に結像される被写体像のうちの、1回目の光電変換の間に各画素42上に結像されていた部分は、2回目の光電変換の間には、それぞれ、点線の矩形で示す位置42aに結像される。図5では、画素42の行列内のn行m列に属する画素に付加される参照符「42」に、符号「(n,m)」がさらに付加される。また、1回目の光電変換の間にn行m列の画素42(n,m)に結像されていた前記部分が2回目の光電変換の間に結像される位置に付加される参照符「42a」にも、符号「(n,m)」がさらに付加されている。nおよびmは、それぞれ、任意の自然数である。図5から、複屈折板駆動部25と第3複屈折板35によって行われたイメージシフトのシフト量が、水平方向xに第1のピッチPxの半分であり、かつ、垂直方向yに第2のピッチPyの半分であることが分かる。すなわち前記シフト量は、画素42の対角線に平行な方向Uに、画素の配列のピッチPの√2分の1倍の長さである。
【0047】
この結果、撮像素子26は、2つの画像信号を出力する。各画像信号が表す画像は、撮像面41の画素42と同数の画素が、撮像面41の画素42の配列と相似の配列で、並べられて構成される。前記画像を構成する複数の画素は、撮像面41の複数の画素42と、1対1で対応している。前記画像の各画素の色相や明度等を示す画素データは、前記被写体像内の該各画素に対応する画素42に結像された部分の色相や明度等に応じて、定められる。合成装置29は、1回目および2回目の光電変換によって生成された2つの画像信号を合成して、合成画像信号を生成する。合成装置29は、さらに、前記合成画像信号に予め定める補間処理を施す。この結果、前記出力画像信号が得られる。
【0048】
図6は、前記出力画像信号を仮想的に目視表示した出力画像の一部分を示す図である。黒枠の矩形それぞれが、前記出力画像の画素を示す。前記出力画像の画素のうちで、参照符「a(n,m)」が描かれた画素は、1回目の光電変換によって生成された画像信号が表す画像のn行m列の画素に相当し、該n行m列の画素の画素データが当て嵌められる。前記出力画像の画素のうちで、参照符「b(n,m)」が描かれた画素は、2回目の光電変換によって生成された画像信号が表す画像のn行m列の画素に相当し、該n行m列の画素の画素データが当て嵌められる。前記出力画像の画素のうちで、「○」が描かれた画素は、前記2つの画像信号が表す画像内のいずれの画素にも相当しない仮想画素であり、画素データは、補間処理によって決定される。前述したように、第2光路54は、第1光路53から、前記対角線に平行な方向Uに、ピッチPの√2分の1倍の長さだけ平行移動しているので、参照符b(n,m)が付された画素は、参照符a(n,m),a(n+1,m+1)が付された画素の間に挿入されている。前記仮想画素は、前記出力画像内に、市松状に配置されている。
【0049】
この結果、前記出力画像は、前記画像信号が表す画像と比較して、画素の数が4倍であり、画素の行および列の数が、それぞれ2倍になっている。この結果、前記出力画像の水平方向xおよび垂直方向yの解像度は、撮像素子26の水平方向xおよび垂直方向yの解像度の2倍にそれぞれなっている。すなわち、1回目および2回目の光電変換の間に第1空間フィルタ24を通過した光の光路53,54を、画素42の対角線に平行な方向にピッチPの√2分の1倍の長さだけずらす場合、前記光路53,54の位置が、前記出力画像の解像度を撮像素子26の解像度よりも向上させるための適正なシフトポジションになる。
【0050】
また前記場合には、上述したように、2つの画像信号を用いて、前記出力画像の水平方向xおよび垂直方向yの解像度を、両方とも向上させることができる。第1および第2光路53,54のずれる方向やずれる間隔を、上述のように設定しない場合、前記出力画像の水平方向xおよび垂直方向yの解像度を両方とも向上させるには、3つ以上の画像信号が必要になると予想される。これらのことから、第1および第2光路53,54の関係を上述した関係にした場合が、1枚の前記出力画像を得るために撮像素子26が生成するべき画像信号の数を、最も少なくすることができる。ゆえに、1枚の前記出力画像を得るために撮像素子26が被写体を撮像するために要する時間を、最も短くすることができる。したがって、撮像装置20の利便性を向上させることができる。
【0051】
図7(A)〜(C)は、前記第1状態の第1空間フィルタ24の第1〜第3複屈折板33〜35の光学軸方向q1〜q3の方向を示す図である。第1〜第3複屈折板33〜35の光学軸方向q1〜q3は、光軸22に対して約45度にそれぞれ切出されており、かつ投影方向がそれぞれ異なる。投影方向とは、光学軸方向q1〜q3をxy平面、すなわち基準平面37に投影した場合の投影像の方向であり、水平方向xに平行な座標軸と平行な該投影像の方向を基準の0度と定義する。第1複屈折板33の光学軸方向q1の前記投影方向は、水平方向xから反時計まわりに90度である。第2複屈折板34の光学軸方向q2の前記投影方向は、水平方向xから時計まわりに0度である。第3複屈折板35の光学軸方向q3の前記投影方向は、水平方向xから反時計まわりに45度である。
【0052】
以下に、第1および第2状態の第1空間フィルタ24の空間周波数特性を説明する。前記空間周波数特性は、第1空間フィルタ24通過後の光の分離状態に応じて、定まる。一般的に、単一枚の複屈折板に入射した光は、前記複屈折板内部を通過する間に、常光線と異常光線とに分離され、常光線は前記入射した光の入射前の光路の延長線上に出射され、異常光線は前記入射前の光路から、該複屈折板の厚みに応じて定まる分離幅だけ、該複屈折板の光学軸方向の投影方向に、平行移動して出射する。常光線の振動面は、前記複屈折板の光学軸方向に垂直であり、異常光線の振動面は前記複屈折板の光学軸方向に平行である。第1〜第3複屈折板33〜35の厚さは、その分離幅d1〜d3が、それぞれ、前述したピッチPの半分(P/2)、ピッチPの半分、ピッチPの√2分の1になるように、調整されている。
【0053】
図8(A)〜(C)は、前記第1状態の第1空間フィルタ24における第1〜第3複屈折板33〜35の分離光像を説明するための図である。
【0054】
レンズ群23を通過した光は、まず第1複屈折板33に入射する。前記光は、第1複屈折板33を通過する間に、図8(A)に示すように、常光線Loと異常光線Leとに分離されて出射する。第1複屈折板33の常光線Loから第1複屈折板33の異常光線Leへ向かう方向は、前記第1状態の第1複屈折板33の光学軸方向q1の投影方向、すなわち垂直方向yと、等しい。第1複屈折板33の常光線Loと第1複屈折板33の異常光線Leとは分離幅d1だけ離れている。
【0055】
次に、第2複屈折板34に、第1複屈折板33の常光線Loおよび異常光線Leが入射する。図8(B)に示すように、第1複屈折板33の常光線Loは、第2複屈折板の異常光線Loeとして、第2複屈折板34を通過する間に、元の位置から分離幅d2だけ、前記第1状態の第2複屈折板34の光学軸方向q2の投影方向、すなわち水平方向xにシフトして出射される。また第1複屈折板33の異常光線Leは、図8(B)に示すように、第2複屈折板24の常光線Leoとして、第2複屈折板34を通過する間も位置を変えずにそのまま出射される。第2複屈折板33の常光線Loの振動面は光学軸方向q2に平行なので、第1複屈折板33の常光線Loに対応する第2複屈折板34の常光線は存在しない。第1複屈折板33の異常光線Leの振動面は光学軸方向q2に垂直なので、第1複屈折板34の異常光線Leに対応する第2複屈折板24の異常光線は存在しない。
【0056】
続いて、第3複屈折板35に、第2複屈折板34の常光線Leoおよび異常光線Loeが入射する。第2複屈折板34の異常光線Loeは、第3複屈折板35を通過する間に、図8(C)に示すように、第3複屈折板35の常光線Loeoと第3複屈折板の異常光線Loeeとに分離されて、出射する。第2複屈折板34の常光線Leoは、第3複屈折板35を通過する間に、図8(C)に示すように、第3複屈折板35の常光線Leooと第3複屈折板の異常光線Leoeとに分離されて、出射する。第3複屈折板35の常光線Loeoから第3複屈折板の異常光線Loeeへ向かう方向、および第3複屈折板35の常光線Leooから第3複屈折板の異常光線Leoeへ向かう方向は、前記第1状態の第3複屈折板35の光学軸方向q3の投影方向、すなわち水平方向xから反時計まわりに45度の方向と、それぞれ等しい。第3複屈折板35の常光線Loeoと第3複屈折板の異常光線Loeeとは分離幅d3だけ離れ、かつ第3複屈折板35の常光線Leooと第3複屈折板の異常光線Leoeとは分離幅d3だけ離れている。
【0057】
したがって、前記第1状態の第1空間フィルタ24において最終的に得られる光の分離状態は、図8(C)の分離状態、すなわち図9で示す分離状態になる。前記分離状態は、具体的には、第3複屈折板35の常光線Leooと第3複屈折板35の異常光線Loeeとが、水平方向xに平行に、前述のピッチPと同じ間隔を空けて並び、かつ、第3複屈折板35の常光線Loeoと第3複屈折板35の異常光線Leoeとが、垂直方向yに平行に、前述のピッチPと同じ間隔を空けて並んでいる。
【0058】
図10(A)〜(C)は、前記第2状態の第1空間フィルタ24の第1〜第3複屈折板33〜35の光学軸方向q1〜q3の投影方向を示す図である。前記第2状態の第1空間フィルタ24の第1〜第3複屈折板33〜35の光学軸方向q1〜q3の投影方向は、前記第1状態の第1空間フィルタ24の第1〜第3複屈折板33〜35の光学軸方向q1〜q3の投影方向を、光軸22と平行な軸線まわりに180度角変位させた方向になっている。具体的には、第1複屈折板33の光学軸方向q1の前記投影方向は、水平方向xから時計まわりに90度である。第2複屈折板34の光学軸方向q2の前記投影方向は、水平方向xから時計まわりに180度である。第3複屈折板35の光学軸方向q3の前記投影方向は、水平方向xから時計まわりに135度である。
【0059】
図11(A)〜(C)は、前記第2状態の第1空間フィルタ24における第1〜第3複屈折板33〜35の分離光像を説明するための図である。図11は、図8と比較して、常光線の位置と異常光線の位置とがそれぞれ入代わっている点が異なり、他は等しい。以下に、詳しく説明する。
【0060】
レンズ群23を通過した光は、まず第1複屈折板33に入射する。前記光は、第1複屈折板33を通過する間に、図11(A)に示すように、常光線Loと異常光線Leとに分離されて出射する。第1複屈折板33の常光線Loから第1複屈折板33の異常光線Leへ向かう方向は、前記第2状態の第1複屈折板33の光学軸方向q1の投影方向、すなわち水平方向xから時計まわりに90度の方向と等しい。第1複屈折板33の常光線Loと第1複屈折板33の異常光線Leとは、分離幅d1だけ離れている。
【0061】
次に、第2複屈折板34に、第1複屈折板33の常光線Loおよび異常光線Leが入射する。図11(B)に示すように、第1複屈折板33の常光線Loは、第2複屈折板の異常光線Loeとして、第2複屈折板34を通過する間に、元の位置から分離幅d2だけ、前記第2状態の第2複屈折板34の光学軸方向q2の投影方向、すなわち水平方向xから時計まわりに180度の方向にシフトして出射される。また第1複屈折板33の異常光線Leは、図11(B)に示すように、第2複屈折板24の常光線Leoとして、第2複屈折板34を通過する間も位置を変えずにそのまま出射される。第1複屈折板33の常光線Loに対応する第2複屈折板34の常光線と、第1複屈折板34の異常光線Leに対応する第2複屈折板24の異常光線とは、図8と同じ理由から、存在しない。
【0062】
続いて、第3複屈折板35に第2複屈折板34の常光線Leoおよび異常光線Loeが入射する。図11(C)に示すように、第2複屈折板34の常光線Leoおよび異常光線Loeは、第3複屈折板35を通過する間に、第3複屈折板35の常光線Leoo,Loeoと第3複屈折板の異常光線Leoe,Loeeとにそれぞれ分離されて、出射する。第3複屈折板35の常光線Leoo,Loeoと第3複屈折板の異常光線Leoe,Loeeとは、それぞれ分離幅d3だけ離れている。第3複屈折板35の常光線Leoo,Loeoから第3複屈折板の異常光線Leoe,Loeeへ向かう方向は、前記第2状態の第3複屈折板35の光学軸方向q3の投影方向、すなわち、水平方向xから反時計まわりに135度の方向と、それぞれ等しい。したがって、前記第2状態の第1空間フィルタ24において最終的に得られる常光線と異常光線との分離状態は、図11(C)の分離状態、すなわち図9で示す分離状態になる。
【0063】
以上のことから、前記第1および第2状態の第1空間フィルタ24において最終的に得られる光の分離状態は、等しいことが分かる。したがって、前記第1状態の第1空間フィルタ24の空間周波数特性と、前記第2状態の第1空間フィルタ24の空間周波数特性とは、等しくなる。したがって、前記空間周波数特性を、前記出力画像の解像度に適した空間周波数特性に予めしておけば、撮像素子26は、被写体21を、適正な空間周波数特性の第1空間フィルタ24を介して撮像することができる。すなわち、イメージシフトのために第1空間フィルタ24内の少なくとも1枚の複屈折板を角変位させたことに拘わらず、撮像素子26は、被写体21を、適正な空間周波数特性の第1空間フィルタ24を介して常に撮像することができる。
【0064】
第1〜第3複屈折板33〜35は、前記第1状態および第2状態において、光学軸方向方向q1〜q3の相互の位置関係が上述のようになっているならば、並び順を変更しても、最終的な分離状態は図9で示す状態になるので、空間周波数特性は上述したものと等しい。ゆえに、第1〜第3複屈折板33〜35の並び順は、上述した並び順から変更してもよい。また、上述の撮像装置20において、基準平面37に対して傾斜する複屈折板は、角変位される複屈折板のうちのいずれか1枚であればよいので、第3複屈折板35の代わりに、第1または第2複屈折板33,34が、基準平面37に対して傾斜されていてもよい。
【0065】
以下に、本発明の第2実施形態の撮像装置について、説明する。第2実施形態の撮像装置は、第1実施形態の撮像装置20と比較して、第1空間フィルタ24が第2空間フィルタ81に置換えられた点だけが異なり、他は等しい。第2実施形態の撮像装置の構成のうちの、第1実施形態の撮像装置20と同じ部分に関する説明は、省略する。また、第2実施形態の撮像装置を構成する部品のうちの第1実施形態の撮像装置20と同じ構成の部品には、同じ参照符を付す。
【0066】
図12は、第1状態の第2空間フィルタ81と、第2状態の第2空間フィルタ81とを示す図である。第2空間フィルタ81は、第1複屈折板33だけが基準平面37に平行であり、第2および第3複屈折板34,35が、基準平面37に対して予め定める傾斜角度θ2で傾斜している。複屈折板駆動部25は、イメージシフトのために、実線で示す前記第1状態の第2空間フィルタ81の第1〜第3複屈折板33〜35を、光軸22に平行な軸線を中心に180度、角変位させる。この結果、第2空間フィルタ81は前記第2状態になる。前記第2状態の空間フィルタの第2および第3複屈折板34,35は、基準平面37に対して、2点破線で示すように、傾斜する。
【0067】
第2実施形態では、図3で説明したことから類推して、傾斜された複屈折板、第2実施形態では第2および第3複屈折板35が前記軸線を中心に角変位されることに応じて、第2空間フィルタ81を通過した後の被写体21からの光の光路の位置が、変化する。第1および第2状態の第2空間フィルタ81を通過する前の被写体21からの光の光路51,52は、どちらもレンズ群23の光軸22と一致していると仮定する。この場合、前記第2状態の第2空間フィルタ81通過後の前記光の光路54が、前記第1状態の第2空間フィルタ81通過後の前記光の光路53から、撮像面41の画素42の対角線に平行な方向Uに、画素42の配列のピッチPの√2分の1倍の長さだけずれるように、第2および第3複屈折板34,35の傾斜方向と第2および第3複屈折板34,35の傾斜角度とが、調整されている。
【0068】
第2および第3複屈折板34,35は、図12で示すように、第2および第3複屈折板34,35の間に間隔を空けて配置されてもよく、第2および第3複屈折板34,35を隙間なく接触させて配置されてもよい。また、第1実施形態で説明した理由と同じ理由から、第1〜第3複屈折板33〜35の並び順は、上述した並び順から変更してもよい。また、基準平面37に対して傾斜する複屈折板は、角変位される複屈折板のうちのいずれか2枚であればよいので、第2および第3複屈折板35の代わりに、第1および第2複屈折板33,34が基準平面37に対して傾斜されていてもよく、第1および第3複屈折板33,35が基準平面37に対して傾斜されていてもよい。
【0069】
以下に、本発明の第3実施形態の撮像装置について、説明する。第3実施形態の撮像装置は、第1実施形態の撮像装置20と比較して、第1空間フィルタ24が第3空間フィルタ83に置換えられた点だけが異なり、他は等しい。第3実施形態の撮像装置の構成のうちの、第1実施形態の撮像装置20と同じ部分に関する説明は、省略する。また、第3実施形態の撮像装置を構成する部品のうちの第1実施形態の撮像装置20と同じ構成の部品には、同じ参照符を付す。
【0070】
図13は、第1状態の第3空間フィルタ83と、第2状態の第3空間フィルタ83とを示す図である。第3空間フィルタ83は、第1〜第3複屈折板34,35が、基準平面37に対して予め定める傾斜角度θ3で傾斜している。複屈折板駆動部25は、イメージシフトのために、実線で示す前記第1状態の第3空間フィルタ83の第1〜第3複屈折板33〜35を、光軸22に平行な軸線を中心に180度、角変位させる。この結果、第3空間フィルタ83は2点鎖線で示す前記第2状態になる。第1〜第3複屈折板33〜35は、図13で示すように、第1および第2複屈折板33,34の間と第2および第3複屈折板34,35の間とうちの少なくとも一方に間隔を空けて配置されてもよく、第1〜第3複屈折板34,35を隙間なく接触させて配置されてもよい。
【0071】
第3実施形態では、図3で説明したことから類推して、傾斜された複屈折板、第3実施形態では第1〜第3複屈折板33〜35が前記軸線を中心に角変位されることに応じて、第3空間フィルタ83を通過した後の被写体21からの光の光路の位置が、変化する。第1および第2状態の第3空間フィルタ83を通過する前の被写体21からの光の光路51,52は、どちらもレンズ群23の光軸22と一致していると仮定する。この場合、前記第2状態の第3空間フィルタ83通過後の前記光の光路54が、前記第1状態の第3空間フィルタ83通過後の前記光の光路53から、撮像面41の画素42の対角線に平行な方向Uに、画素42の配列のピッチPの√2分の1倍の長さだけずれるように、第1〜第3複屈折板33〜35の傾斜方向と第1〜第3複屈折板33〜35の傾斜角度θ3が、調整されている。
【0072】
第1〜第3実施形態において、前記第2状態の第1〜第3空間フィルタ24,81,83通過後の光の光路54は、どれも、前記第1状態の第1〜第3空間フィルタ24,81,83通過後の光の光路53から、画素42の対角線に平行な方向Uに、ピッチPの√2分の1倍の長さだけずれる。ゆえに、第2空間フィルタ81の第2および第3複屈折板34,35の傾斜角度θ2は、第1空間フィルタ24の第3フィルタ35の傾斜角度θ1よりも、小さくて良い。また、第3空間フィルタ83の第1〜第3複屈折板33〜35の傾斜角度θ3は、前記傾斜角度θ1,θ2よりも、小さくて良い。これは、傾斜された複屈折板が増える程、前記光の光路のうちの前記傾斜された複屈折板の内部を通る部分の長さが伸びるので、光路のずれの長さが伸びるからである。また、傾斜された複屈折板の傾斜角度が小さくなるほど、空間フィルタを通過する際に光が収差等の影響を受けにくくなるので、撮像素子26が生成する画像信号が表す画像の画質の劣化を、抑えることができる。
【0073】
以下に、本発明の第4実施形態の撮像装置について、説明する。第4実施形態の撮像装置は、第1実施形態の撮像装置20と比較して、第1空間フィルタ24が第4空間フィルタに置換えられた点だけが異なり、他は等しい。第4実施形態の撮像装置の構成のうちの、第1実施形態の撮像装置20と同じ部分に関する説明は、省略する。また、第4実施形態の撮像装置を構成する部品のうちの第1実施形態の撮像装置20と同じ構成の部品には、同じ参照符を付す。
【0074】
前記第4空間フィルタは、第1〜第3複屈折板33〜35を有し、第1および第2複屈折板33,34のうちの少なくとも1枚が、基準平面37に対して傾斜している。すなわち、第1複屈折板33、あるいは第2複屈折板34、または、第1および第2複屈折板33,34の両方が、基準平面37に対して傾斜している。第1状態の前記第4空間フィルタにおける第1〜第3複屈折板33〜35の光学軸方向q1〜q3の相互の位置関係は、前記第1状態の第1空間フィルタ24のそれと等しい。複屈折板駆動部25は、第1および第2複屈折板33,34だけを180度角変位させる。第3複屈折板35は常に固定されている。このために、たとえば、保持部材61には、第1および第2複屈折板33,34だけが嵌め込まれ、第3複屈折板35は、別の保持部材に固定されている。この場合、前記第2状態の第4空間フィルタ通過後の前記光の光路が、前記第1状態の第4空間フィルタ通過後の前記光の光路から、撮像面41の画素42の対角線に平行な方向Uに、画素42の配列のピッチPの√2分の1倍の長さだけずれるように、第1および第3複屈折板33,35のうちの傾斜されている複屈折板の傾斜方向および傾斜角度が、調整されている。
【0075】
図14(A)〜(C)は、前記第2状態の前記第4空間フィルタの第1〜第3複屈折板33〜35の光学軸方向q1〜q3の投影方向を示す図である。第1〜第3複屈折板33〜35の光学軸方向q1〜q3は、光軸22に対して約45度にそれぞれ切出されている。第1複屈折板33の光学軸方向q1の前記投影方向は、水平方向xから時計まわりに90度である。第2複屈折板34の光学軸方向q2の前記投影方向は、水平方向xから時計まわりに180度である。第3複屈折板35の光学軸方向q3の前記投影方向は、図7(C)に示す方向と等しく、水平方向xから反時計まわりに45度である。
【0076】
図15(A)〜(C)は、前記第2状態の前記第4空間フィルタにおける第1〜第3複屈折板33〜35の分離光像を説明するための図である。図15を用いて、前記第2状態の前記第4空間フィルタの空間周波数特性を説明する。
【0077】
レンズ群23を通過した光は、まず第1複屈折板33に入射する。第1および第2複屈折板33,34を通過する間の前記光の分離状態は、図15(A)および図15(B)に示すように、図11(A)および図11(B)で説明した光の分離状態とそれぞれ等しいので、説明は省略する。
【0078】
第2複屈折板34の常光線Leoおよび異常光線Loeは、第3複屈折板35に入射する。図15(C)に示すように、第2複屈折板34の常光線Leoおよび異常光線Loeは、第3複屈折板35を通過する間に、第3複屈折板35の常光線Leoo,Loeoと第3複屈折板の異常光線Leoe,Loeeとにそれぞれ分離されて、出射する。第3複屈折板35の常光線Leoo,Loeoと第3複屈折板の異常光線Leoe,Loeeとは、分離幅d3だけそれぞれ離れている。第3複屈折板35の常光線Leoo,Loeoから第3複屈折板の異常光線Leoe,Loeeへ向かう方向は、前記第2状態の第3複屈折板35の光学軸方向q3の投影方向、すなわち水平方向xから反時計まわりに45度の方向と、それぞれ等しい。
【0079】
したがって、前記第2状態の前記第4空間フィルタにおいて最終的に得られる光の分離状態は、図15(C)の分離状態、すなわち図9で示す分離状態になる。以上のことから、前記第1および第2状態の前記第4空間フィルタにおいて最終的に得られる光の分離状態は、等しいことが分かる。ゆえに、前記第1状態の前記第4空間フィルタの空間周波数特性と、前記第2状態の第4空間フィルタの空間周波数特性とは、等しくなる。
【0080】
以下に、本発明の第5実施形態の撮像装置について、説明する。第5実施形態の撮像装置は、第1実施形態の撮像装置20と比較して、第1空間フィルタ24が第5空間フィルタに置換えられた点だけが異なり、他は等しい。第5実施形態の撮像装置の構成のうちの、第1実施形態の撮像装置20と同じ部分に関する説明は、省略する。また、第5実施形態の撮像装置を構成する部品のうちの第1実施形態の撮像装置20と同じ構成の部品には、同じ参照符を付す。
【0081】
前記第5空間フィルタは、第1〜第3複屈折板33〜35を有し、第3複屈折板35だけが、基準平面37に対して傾斜している。第1状態の前記第5空間フィルタにおける第1〜第3複屈折板33〜35の光学軸方向q1〜q3の相互の位置関係は、前記第1状態の第1空間フィルタ24のそれと等しい。複屈折板駆動部25は、第3複屈折板35だけを、光軸22に平行な軸線を中心に180度角変位させる。第1および第2複屈折板33,34は常に固定されている。このために、たとえば、保持部材61には第3複屈折板35だけが嵌め込まれ、第1および第2複屈折板33,34は、別の保持部材に固定されている。この場合、前記第2状態の第5空間フィルタ通過後の前記光の光路が、前記第1状態の第5空間フィルタ通過後の前記光の光路から、撮像面41の画素42の対角線に平行な方向Uに、画素42の配列のピッチPの√2分の1倍の長さだけずれるように、第3複屈折板35の傾斜方向および傾斜角度が、調整されている。
【0082】
図16(A)〜(C)は、前記第2状態の前記第5空間フィルタの第1〜第3複屈折板33〜35の光学軸方向q1〜q3の投影方向を示す図である。第1〜第3複屈折板33〜35の光学軸方向q1〜q3は、光軸22に対して約45度にそれぞれ切出されている。第1複屈折板33の光学軸方向q1の前記投影方向は、図7(A)に示す方向と等しく、水平方向xから反時計まわりに90度である。第2複屈折板34の光学軸方向q2の前記投影方向は、水平方向xから時計まわりに0度である。第3複屈折板35の光学軸方向q3の前記投影方向は、図7(C)に示す方向と等しく、水平方向xから時計まわりに135度である。
【0083】
図17(A)〜(C)は、前記第2状態の前記第5空間フィルタにおける第1〜第3複屈折板33〜35の分離光像を説明するための図である。図17を用いて、前記第2状態の前記第5空間フィルタの空間周波数特性を説明する。
【0084】
レンズ群23を通過した光は、まず第1複屈折板33に入射する。第1および第2複屈折板33,34を通過する間の前記光の分離状態は、図17(A)および図17(B)に示すように、図8(A)および図8(B)で説明した光の分離状態とそれぞれ等しいので、説明は省略する。
【0085】
第2複屈折板34の常光線Leoおよび異常光線Loeは、第3複屈折板35に入射する。図17(C)に示すように、第2複屈折板34の常光線Leoおよび異常光線Loeは、第3複屈折板35を通過する間に、第3複屈折板35の常光線Leoo,Loeoと第3複屈折板の異常光線Leoe,Loeeとにそれぞれ分離されて、出射する。第3複屈折板35の常光線Leoo,Loeoと第3複屈折板の異常光線Leoe,Loeeとは、それぞれ分離幅d3だけ離れている。第3複屈折板35の常光線Leoo,Loeoから第3複屈折板の異常光線Leoe,Loeeへ向かう方向は、前記第2状態の第3複屈折板35の光学軸方向q3の投影方向、すなわち水平方向xから反時計まわりに135度の方向と、それぞれ等しい。
【0086】
したがって、前記第2状態の前記第5空間フィルタにおいて最終的に得られる光線の分離状態は、図17(C)の分離状態、すなわち図9で示す分離状態になる。以上のことから、前記第1および第2状態の前記第5空間フィルタにおいて最終的に得られる光の分離状態は、等しいことが分かる。ゆえに、前記第1状態の前記第5空間フィルタの空間周波数特性と、前記第2状態の第5空間フィルタの空間周波数特性とは、等しくなる。
【0087】
以下に、本発明の第6実施形態の撮像装置について、説明する。第6実施形態の撮像装置は、第1実施形態の撮像装置20と比較して、第1空間フィルタ24が第6空間フィルタに置換えられた点だけが異なり、他は等しい。第6実施形態の撮像装置の構成のうちの、第1実施形態の撮像装置20と同じ部分に関する説明は、省略する。また、第6実施形態の撮像装置を構成する部品のうちの第1実施形態の撮像装置20と同じ構成の部品には、同じ参照符を付す。
【0088】
前記第6空間フィルタは、第1〜第3複屈折板33〜35を有し、第1および第3複屈折板33,35のうちの少なくとも1枚が、基準平面37に対して傾斜している。すなわち、第1複屈折板33あるいは第3複屈折板35が単体で、または第1および第3複屈折板33,35の両方が、基準平面37に対して傾斜している。第1状態の前記第6空間フィルタにおける第1〜第3複屈折板33〜35の光学軸方向q1〜q3の相互の位置関係は、前記第1状態の第1空間フィルタ24のそれと等しい。
【0089】
複屈折板駆動部25は、第1複屈折板33を光軸22に平行な軸線を中心に180度角変位させ、かつ、第3複屈折板35を前記軸線を中心に反時計まわりに90度角変位させる。第2複屈折板34は常に固定されている。このために、たとえば、図4で示す構成の機構が2組備えられて、各機構の保持部材61に第1および第3複屈折板33,35がそれぞれ嵌め込まれ、第2複屈折板34は、さらに別の保持部材に固定される。この場合、前記第2状態の第6空間フィルタ通過後の前記光の光路が、前記第1状態の第6空間フィルタ通過後の前記光の光路から、撮像面41の画素42の対角線に平行な方向Uに、画素42の配列のピッチPの√2分の1倍の長さだけずれるように、第1および第3複屈折板33,35のうちの傾斜されている複屈折板の傾斜方向と第1および第3複屈折板33,35の傾斜角度が、調整されている。
【0090】
図18(A)〜(C)は、前記第2状態の前記第6空間フィルタの第1〜第3複屈折板33〜35の光学軸方向q1〜q3の投影方向を示す図である。第1〜第3複屈折板33〜35の光学軸方向q1〜q3は、光軸22に対して約45度にそれぞれ切出されている。第1複屈折板33の光学軸方向q1の前記投影方向は、水平方向xから時計まわりに90度である。第2複屈折板34の光学軸方向q2の前記投影方向は、図7(B)に示す方向と等しく、水平方向xから時計まわりに0度である。第3複屈折板35の光学軸方向q3の前記投影方向は、水平方向xから反時計まわりに135度である。
【0091】
図19(A)〜(C)は、前記第2状態の前記第6空間フィルタにおける第1〜第3複屈折板33〜35の分離光像を説明するための図である。図19を用いて、前記第2状態の前記第6空間フィルタの空間周波数特性を説明する。
【0092】
レンズ群23を通過した光は、まず第1複屈折板33に入射する。第1複屈折板33を通過する間の前記光の分離状態は、図19(A)に示すように、図11(A)で説明した光の分離状態と等しいので、説明は省略する。
【0093】
第1複屈折板33の常光線Loおよび異常光線Leは、第2複屈折板34に入射する。図19(B)に示すように、第1複屈折板33の常光線Loは、第2複屈折板の異常光線Loeとして、第2複屈折板34を通過する間に、元の位置から分離幅d2だけ、前記第1状態の第2複屈折板34の光学軸方向q2の投影方向、すなわち水平方向xから時計まわりに180度の方向にシフトして出射される。また第1複屈折板33の異常光線Leは、図19(B)に示すように、第2複屈折板24の常光線Leoとして、第2複屈折板34を通過する間も位置を変えずそのまま出射される。第1複屈折板33の常光線Loに対応する第2複屈折板34の常光線と、第1複屈折板34の異常光線Leに対応する第2複屈折板24の異常光線とは、第1実施形態で説明した理由から、存在しない。
【0094】
第2複屈折板34の常光線Leoおよび異常光線Loeは、第3複屈折板35に入射する。図19(C)に示すように、第2複屈折板34の常光線Leoおよび異常光線Loeは、第3複屈折板35を通過する間に、第3複屈折板35の常光線Leoo,Loeoと第3複屈折板の異常光線Leoe,Loeeとにそれぞれ分離されて、出射する。第3複屈折板35の常光線Leoo,Loeoと第3複屈折板の異常光線Leoe,Loeeとは、それぞれ分離幅d3だけ離れている。第3複屈折板35の常光線Leoo,Loeoから第3複屈折板の異常光線Leoe,Loeeへ向かう方向は、前記第2状態の第3複屈折板35の光学軸方向q3の投影方向、すなわち水平方向xから反時計まわりに135度の方向と、それぞれ等しい。
【0095】
したがって、前記第2状態の前記第6空間フィルタにおいて最終的に得られる光の分離状態は、図19(C)の分離状態、すなわち図9で示す分離状態になる。以上のことから、前記第1および第2状態の前記第6空間フィルタにおいて最終的に得られる光との分離状態は、等しいことが分かる。ゆえに、前記第1状態の前記第6空間フィルタの空間周波数特性と、前記第2状態の第6空間フィルタの空間周波数特性とは、等しくなる。
【0096】
以下に、本発明の第7実施形態の撮像装置について、説明する。第7実施形態の撮像装置は、第1実施形態の撮像装置20と比較して、第1空間フィルタ24が第7空間フィルタに置換えられた点だけが異なり、他は等しい。第7実施形態の撮像装置の構成のうちの、第1実施形態の撮像装置20と同じ部分に関する説明は、省略する。また、第7実施形態の撮像装置を構成する部品のうちの第1実施形態の撮像装置20と同じ構成の部品には、同じ参照符を付す。
【0097】
前記第7空間フィルタは、第1〜第3複屈折板33〜35を有し、第2および第3複屈折板34,35のうちの少なくとも1枚が、基準平面37に対して傾斜している。すなわち、第2複屈折板34あるいは第3複屈折板35が単独で、または第2および第3複屈折板34,35の両方が、基準平面37に対して傾斜している。第1状態の前記第7空間フィルタにおける第1〜第3複屈折板33〜35の光学軸方向q1〜q3の相互の位置関係は、前記第1状態の第1空間フィルタ24のそれと等しい。
【0098】
複屈折板駆動部25は、第2複屈折板34を光軸22に平行な軸線を中心として180度角変位させ、かつ、第3複屈折板35を前記軸線を中心として時計まわりに90度角変位させる。第1複屈折板34は常に固定されている。このために、たとえば、図4で示す構成の機構が2組備えられて、各機構の保持部材61に第2および第3複屈折板34,35がそれぞれ嵌め込まれ、第1複屈折板33は、さらに別の保持部材に固定される。この場合、前記第2状態の第7空間フィルタ通過後の前記光の光路が、前記第1状態の第7空間フィルタ通過後の前記光の光路から、撮像面41の画素42の対角線に平行な方向Uに、画素42の配列のピッチPの√2分の1倍の長さだけずれるように、第2および第3複屈折板34,35のうちの傾斜された複屈折板の傾斜方向および傾斜角度が、調整されている。
【0099】
図20(A)〜(C)は、前記第2状態の前記第7空間フィルタの第1〜第3複屈折板33〜35の光学軸方向q1〜q3の投影方向を示す図である。第1〜第3複屈折板33の光学軸方向q1〜q3は、光軸22に対して約45度にそれぞれ切出されている。第1複屈折板33の光学軸方向q1の前記投影方向は、図7(A)に示す方向と等しく、水平方向xから反時計まわりに90度である。第2複屈折板34の光学軸方向q2の前記投影方向は、水平方向xから時計まわりに180度である。第3複屈折板35の光学軸方向q3の前記投影方向は、水平方向xから時計まわりに45度である。
【0100】
図21(A)〜(C)は、前記第2状態の前記第7空間フィルタにおける第1〜第3複屈折板33〜35の分離光像を説明するための図である。図21を用いて、前記第2状態の前記第7空間フィルタの空間周波数特性を説明する。
【0101】
レンズ群23を通過した光は、まず第1複屈折板33に入射する。第1複屈折板33を通過する間の前記光の分離状態は、図21(A)に示すように、図8(A)で説明した光の分離状態と等しいので、説明は省略する。
【0102】
第1複屈折板33の常光線Loおよび異常光線Leは、第2複屈折板34に入射する。図21(B)に示すように、第1複屈折板33の常光線Loは、第2複屈折板の異常光線Loeとして、第2複屈折板34を通過する間に、元の位置から分離幅d2だけ、前記第2状態の第2複屈折板34の光学軸方向q2の投影方向、すなわち水平方向xから時計回りに180度の方向にシフトして出射される。また第1複屈折板33の異常光線Leは、図21(B)に示すように、第2複屈折板24の常光線Leoとして、第2複屈折板34を通過する間も位置を変えずにそのまま出射される。第1複屈折板33の常光線Loに対応する第2複屈折板34の常光線と、第1複屈折板34の異常光線Leに対応する第2複屈折板24の異常光線とは、第1実施形態で説明した理由から、存在しない。
【0103】
第2複屈折板34の常光線Leoおよび異常光線Loeは、第3複屈折板35に入射する。図21(C)に示すように、第2複屈折板34の常光線Leoおよび異常光線Loeは、第3複屈折板35を通過する間に、第3複屈折板35の常光線Leoo,Loeoと第3複屈折板の異常光線Leoe,Loeeとにそれぞれ分離されて、出射する。第3複屈折板35の常光線Leoo,Loeoと第3複屈折板の異常光線Leoe,Loeeとは、それぞれ分離幅d3だけ離れている。第3複屈折板35の常光線Leoo,Loeoから第3複屈折板の異常光線Leoe,Loeeへ向かう方向は、前記第2状態の第3複屈折板35の光学軸方向q3の投影方向、すなわち水平方向xから反時計まわりに45度の方向と、それぞれ等しい。したがって、前記第2状態の前記第7空間フィルタにおいて最終的に得られる常光線と異常光線との分離状態は、図21(C)の分離状態、すなわち図9で示す分離状態になる。
【0104】
以上のことから、前記第1および第2状態の前記第7空間フィルタにおいて最終的に得られる常光線と異常光線との分離状態は、等しいことが分かる。したがって、前記第1状態の前記第7空間フィルタの空間周波数特性と、前記第2状態の第7空間フィルタの空間周波数特性とは、等しくなる。
【0105】
以上のように、第4〜第7実施形態の撮像装置の第4〜第7空間フィルタは、前記第1状態の空間周波数特性と前記第2状態の空間周波数特性とが、等しい。ゆえに、第4〜第7実施形態の撮像装置のいずれにおいても、第1実施形態で説明したように、イメージシフトのために第4〜第7空間フィルタ内の少なくとも1枚の複屈折板を角変位させたことに拘わらず、撮像素子26は、被写体21を、適正な空間周波数特性の第4〜第7空間フィルタを介して、常に撮像することができる。
【0106】
また、空間フィルタは、第1〜第3複屈折板の光学軸方向が図7,10,14,16,18,20でそれぞれ示す位置関係を保つ状態ならば、最終的な光の分離状態がどれも同じである。ゆえに、上述の複数の位置関係のうちから2つの位置関係を選び、第1および第2状態の空間フィルタが保つべき第1〜第3複屈折板33〜35の光学軸方向の位置関係を、選ばれた2つの位置関係にしてもよい。たとえば、第1状態の空間フィルタに図10で示す位置関係を保たせ、第2状態の空間フィルタに図14で示す位置関係を保たせても良い。また、第1〜第3複屈折板の光学軸方向が上述した複数の位置関係をそれぞれ保つ場合、どの状態でも、第1〜第3複屈折板33〜35の順番を入換えても最終的な光の分離状態は等しいので、第1〜第3複屈折板33〜35を上述の図で示す順から変更してもよい。
【0107】
第1〜第7実施形態の撮像装置は本発明の撮像装置の例示であり、主要な動作が等しければ、他の様々な形で実施することができる。特に各装置の詳細な動作は、同じ出力が得られれば、これに限らず他の動作によって実現されてもよい。また、本発明の撮像装置の空間フィルタは、1または複数の複屈折板を有し、全ての複屈折板のうちの少なくとも1枚が基準軸線を中心に角変位され、かつ、角変位される複屈折板のうちの少なくとも1枚が基準軸線に垂直な基準平面に対して傾斜しているならば、上述の第1〜第7空間フィルタに限らず、他の構成であってもよい。また、2枚以上の複屈折板を前記基準平面に対して傾斜させる場合、各複屈折板と前記基準平面との成す角度は、各複屈折板毎に変えても良いが、傾斜させる全ての複屈折板それぞれと前記基準平面とのなす角度を等しくしておくことが好ましい。これは、傾斜される全ての複屈折板の撮像装置への取付けが容易になるからである。またこれは、各複屈折板と前記基準平面との成す角度が、前記角度を等しくしない場合と比較して、最も小さくすることができるので、複屈折板の傾斜に起因する画像の劣化等を、抑えることができるからである。
【0108】
また、本発明の撮像装置では、複屈折板を角変位させる角度、すなわち基準角度は、180度であることが好ましい。これは、以下の2つの理由からである。
【0109】
第1の理由は以下のとおりである。CCDイメージセンサが搭載された撮像装置に用いられる複屈折板は、一般的に、水晶を用いている。水晶を用いた複屈折板は高価になり易いので、現在市販されている前記複屈折板の形状は、図22に示すように、両端が半径rの円弧になった略長方形になっている。本発明の撮像装置において複屈折板を90度角変位させる場合、前記複屈折板の形状は、円形、または、図23に示すような略十字形にする必要があると考えられる。本発明の撮像装置において複屈折板を180度角変位させる場合、前記複屈折板の形状を光軸22を基準とする左右対称の形状にすることができるので、前記複屈折板の形状は図22に示す略長方形でも良いと考えられる。したがって、前記基準角度が180度である場合、本発明の撮像装置の複屈折板に、前記市販されている複屈折板を流用することができる。また、図22の複屈折板は、円形の複屈折板および図23の複屈折板と半径rを等しくするならば、前記円形の複屈折板および図23の複屈折板よりも面積を小さくすることができる。これらのことから、本発明の撮像装置の製造コストの増加を抑えることができるので、前記基準角度は180度であることが好ましいのである。
【0110】
第2の理由は以下のとおりである。図24(A),図25(A)は、複屈折板が角変位される角度、すなわち前記基準角度が180度および90度であり、かつ、角変位される複屈折板の傾斜角度が0度である場合の、複屈折板が角変位される前の空間フィルタ通過後の被写体からの光の光路100,101の位置を、それぞれ示す。前記場合には、複屈折板が角変位された後の空間フィルタ通過後の被写体からの光の光路は、前記光路100,101と等しい。2点鎖線で示す仮想矩形102は、1辺の長さが、撮像面41の画素42の配列のピッチPの半分(P/2)である正方形である。図24(A),(B)では、仮想矩形102の中心が光路100と一致させてあり、図25(A),(B)では、仮想矩形102の右上の頂点が光路101と一致させてある。
【0111】
前記空間フィルタ内の角変位される複屈折板のうちの少なくとも1枚が、前記基準角度に応じて、複屈折板が角変位される前の空間フィルタ通過後の被写体からの光の光路と、複屈折板が角変位された後の空間フィルタ通過後の被写体からの光の光路との距離が、ピッチPの√2分の1になるように、傾斜されたと仮定する。基準角度が180度である場合、複屈折板が角変位される前の空間フィルタ通過後の被写体からの光の光路103と、複屈折板が角変位された後の空間フィルタ通過後の被写体からの光の光路104とは、図24(B)に示すように、仮想矩形102の隣合わない2つの頂点に、位置する。この場合、前記光路100と光路103,104との距離は、それぞれピッチPの4分の√2倍(P√2/4)である。基準角度が90度である場合、複屈折板が角変位される前の空間フィルタ通過後の被写体からの光の光路105と、複屈折板が角変位された後の空間フィルタ通過後の被写体からの光の光路106とは、図25(B)に示すように、仮想矩形102の隣合わない2つの頂点に、位置する。この場合、前記光路101と光路105,106との距離は、それぞれピッチPの半分である。
【0112】
この結果、基準角度が180度である場合の前記光路101と光路103,104との距離は、基準角度が90度である場合の前記光路101と光路105,106との距離よりも、短くなる。すなわち、基準角度が180度である場合のほうが、基準角度が90度である場合よりも、複屈折板の傾斜に起因する光路のずれが小さい。したがって、基準角度が180度である場合の複屈折板の傾斜角度は、基準角度が90度である場合の複屈折板の傾斜角度よりも小さいと考えられる。以上のことから、複屈折板の角変位の前後の空間フィルタ通過後の光路のずれが予め定められるならば、基準角度が180度である場合、複屈折板の傾斜角度を最も小さくすることができると予想される。これによって、基準角度が180度である場合、本発明の撮像装置で生成される出力画像信号が表す出力画像において、複屈折板の傾斜に起因する画質の低下を、最も小さくすることができるのである。
【0113】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、撮像装置は、空間フィルタ内の少なくとも1枚に複屈折板と光学系の光軸との位置関係が、イメージシフト手段によって変化される。これによって、前記少なくとも1枚の複屈折板は、イメージシフトのための屈折板を兼ねる。これによって、本発明の撮像装置は、従来技術の撮像装置よりも小型化および軽量化することができ、かつ、従来技術の撮像装置よりも組立てコストを低減化することができる。
【0114】
また前記空間フィルタは、前記少なくとも1枚の複屈折板と前記光軸との位置関係の変化に拘わらず、常に予め定める空間周波数特性を保つ。ゆえに、前記撮像装置の撮像素子は、常に適性な空間周波数特性の空間フィルタを通して、被写体を撮像することができる。
【0115】
さらにまた本発明によれば、前記少なくとも1枚の複屈折板は前記光軸に垂直な基準平面に対して予め傾斜されており、前記イメージシフト手段は、前記少なくとも1枚の複屈折板を光軸に平行な軸線まわりに角変位させる。これによって撮像装置におけるイメージシフトの精度を向上させることができる。
【0116】
また本発明によれば、傾斜された前記少なくとも1枚の複屈折板と前記基準平面とのなす角度および方向は、該複屈折板の角変位に伴って、空間フィルタ通過後の光の光路が、撮像素子の画素の配列ピッチの√2分の1だけ、前記画素の対角線に平行な方向にずれるように、定められる。これによって、前記撮像装置の利便性が向上される。
【0117】
さらにまた本発明によれば、前記イメージシフト手段は、前記全ての複屈折板のうちの角変位させるべき前記1または複数の複屈折板を、180度角変位させる。これによって、前記複屈折板の傾斜に拘わる画像の画質の低下を、最も小さくすることができる。またこれによって、前記撮像装置の製造コストの増加を、抑えることができる。
【0118】
また本発明によれば、前記全ての角変位させるべき複屈折板のうちの複数の複屈折板が前記基準平面に対して傾斜している場合、前記複数の複屈折板それぞれと前記基準平面がなす角度は、相互に等しい。これによって、前記撮像装置の組立て時の前記傾斜させるべき複数の複屈折板の角度調整が、容易になる。また、収差に起因する前記画像の画質の低下を、小さくすることができる。
【0119】
さらにまた本発明によれば、前記空間フィルタは、傾斜された前記1または複数の複屈折板が角変位されたか否かに拘わらず、常に予め定める空間周波数特性を保つことができる。ゆえに、前記撮像素子は、常に適性な空間周波数特性の空間フィルタを通して、被写体を撮像することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態である撮像装置20の構成を示すブロック図である。
【図2】撮像装置20の撮像素子26の撮像面41の構成を示す図である。
【図3】撮像装置20の第1空間フィルタ24の第1および第2状態を示す図である。
【図4】撮像装置20の複屈折板駆動部25の具体的な構成を示す図である。
【図5】撮像面41に結像される被写体像の位置を示す図である。
【図6】撮像装置20で生成される出力画像信号が表す出力画像を示す図である。
【図7】第1状態の第1空間フィルタ24内の第1〜第3複屈折板33〜35の光学軸方向q1〜q3のxy平面への投影像の方向の位置関係を示す図である。
【図8】第1状態の第1空間フィルタ24の光の分離状態を示す図である。
【図9】第1状態の第1空間フィルタ24の最終的な光の分離状態を示す図である。
【図10】第2状態の第1空間フィルタ24内の第1〜第3複屈折板33〜35の光学軸方向q1〜q3のxy平面への投影像の方向の位置関係を示す図である。
【図11】第2状態の第1空間フィルタ24の光の分離状態を示す図である。
【図12】本発明の第2実施形態である撮像装置内の第2空間フィルタ81の第1および第2状態を示す図である。
【図13】本発明の第3実施形態である撮像装置内の第3空間フィルタ83の第1および第2状態を示す図である。
【図14】本発明の第4実施形態である撮像装置内の第2状態の第4空間フィルタ内の第1〜第3複屈折板33〜35の光学軸方向q1〜q3のxy平面への投影像の方向の位置関係を示す図である。
【図15】第2状態の第4空間フィルタの光の分離状態を示す図である。
【図16】本発明の第5実施形態である撮像装置内の第2状態の第5空間フィルタ内の第1〜第3複屈折板33〜35の光学軸方向q1〜q3のxy平面への投影像の方向の位置関係を示す図である。
【図17】第2状態の第5空間フィルタの光の分離状態を示す図である。
【図18】本発明の第6実施形態である撮像装置内の第2状態の第6空間フィルタ内の第1〜第3複屈折板33〜35の光学軸方向q1〜q3のxy平面への投影像の方向の位置関係を示す図である。
【図19】第2状態の第6空間フィルタの光の分離状態を示す図である。
【図20】本発明の第7実施形態である撮像装置内の第2状態の第7空間フィルタ内の第1〜第3複屈折板33〜35の光学軸方向q1〜q3のxy平面への投影像の方向の位置関係を示す図である。
【図21】第2状態の第7空間フィルタの光の分離状態を示す図である。
【図22】本発明の第1〜第7実施形態の撮像装置において、複屈折板を角変位する基準角度が180度である場合に使用可能な、現在市販されている複屈折板の形状を示す図である。
【図23】本発明の第1〜第7実施形態の撮像装置において、複屈折板を角変位する基準角度が90度である場合に使用される複屈折板の形状を示す図である。
【図24】本発明の第1〜第7実施形態の撮像装置において、空間フィルタ通過後の光の光路の、複屈折板の傾斜角度に起因するずれを説明するための図である。
【図25】本発明の第1〜第7実施形態の撮像装置において、空間フィルタ通過後の光の光路の、複屈折板の傾斜角度に起因するずれを説明するための図である。
【図26】従来技術の撮像装置の構造を説明するための図である。
【符号の説明】
20 撮像装置
22 光軸
23 レンズ
24 第1空間フィルタ
25 複屈折板駆動部
26 撮像素子
33 第1複屈折板
34 第2複屈折板
35 第3複屈折板
37 基準平面
81 第2空間フィルタ
83 第3空間フィルタ

Claims (6)

  1. 被写体からの光を集光する光学系と、
    前記光学系によって集光された光が結像される結像面を有する撮像素子と、
    前記光学系と前記撮像素子との間に介在される少なくとも1枚の複屈折板を、含む空間フィルタと、
    前記撮像素子へ入射される光の光路をずらすために、前記空間フィルタ内の全ての複屈折板のうちの少なくとも1枚の複屈折板と前記光学系の光軸との角変位による位置関係を変化させるイメージシフト手段と、
    前記イメージシフト手段が前記位置関係を変化させるたびに、前記撮像素子に、画像を表す画像信号を生成させる撮像制御手段と、
    複数の前記画像信号を合成する合成手段とを含み、
    前記位置関係は、前記位置関係が変化される前後で、前記空間フィルタを通過した常光線Leoo,Loeoと、異常光線Leoe,Loeeとの分離幅d3と、常光線Leoo,Loeoから異常光線Leoe,Loeeへ向かう方向とを等しく保たせて、変化されることを特徴とする撮像装置。
  2. 被写体からの光を集光する光学系と、
    前記光学系によって集光された光が結像される結像面を有する撮像素子と、
    前記光学系と前記撮像素子との間に介在される少なくとも1枚の複屈折板を、含む空間フィルタと、
    前記撮像素子へ入射される光の光路をずらすために、前記空間フィルタ内の全ての複屈折板のうちの少なくとも1枚の複屈折板と前記光学系の光軸との位置関係を変化させるイメージシフト手段と、
    前記イメージシフト手段が前記位置関係を変化させるたびに、前記撮像素子に、画像を表す画像信号を生成させる撮像制御手段と、
    複数の前記画像信号を合成する合成手段とを含み、
    前記少なくとも1枚の複屈折板のうちの少なくとも1枚の複屈折板は、前記光軸に垂直な基準平面に対して傾斜しており、
    前記イメージシフト手段は、前記少なくとも1枚の複屈折板を、前記光軸に平行な基準軸線を中心に角変位させることを特徴とする撮像装置。
  3. 前記撮像素子の結像面には、複数の矩形の受光領域が、行列状に配置されており、
    傾斜された前記複屈折板は、角変位させるべき前記複屈折板が角変位される前の前記空間フィルタを通過した光の光路から、角変位させるべき前記複屈折板が角変位された後の前記空間フィルタを通過した光の光路が、前記受光領域の対角線に平行な方向にずれるように、傾斜されており、
    傾斜された前記複屈折板と前記基準平面とのなす角度は、2つの前記光路間の距離が、画素の対角線に平行な方向に並ぶ2つの画素の中心間の距離の半分になるように、設定されることを特徴とする請求項2記載の撮像装置。
  4. 前記イメージシフト手段が角変位させるべき前記複屈折板を角変位させる角度は、180度であることを特徴とする請求項2記載の撮像装置。
  5. 全ての角変位させるべき前記複屈折板のうちの複数の複屈折板が、前記基準平面に対して傾斜している場合、前記複数の複屈折板それぞれと前記基準平面とのなす角度は、相互に等しいことを特徴とする請求項2記載の撮像装置。
  6. 角変位されるべき前記複屈折板が角変位される前の前記空間フィルタの空間周波数特性と、角変位されるべき前記複屈折板が角変位された後の前記空間フィルタの空間周波数特性とが、等しいことを特徴とする請求項2記載の撮像装置。
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