JP3593960B2 - マルチビーム空中線装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はマルチビーム空中線装置に係り、特にディジタルビーム形成(DBF)を利用した全地球測位システム(GPS)信号用のマルチビーム空中線装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
民間の信号を利用しつつ、GPSの精度を向上することができるDGPSは、よく知られている。DGPSは既知の地点におけるGPS信号の誤差を移動局へ伝送し、移動局の精度、信頼性を向上するシステムであるが、このシステムの精度と信頼性は、基準局の性能が支配的であることは明らかである。
【0003】
近年、このDGPSシステムを交通システム等に利用する動きがある。静止衛星を利用して、DGPS信号を移動体へ伝送するシステムが航空分野で検討されている。このようなシステムでは、通常、GPS衛星数を見かけ上、増加させ、衛星配置が劣化した場合でも精度の良い測位演算が可能なように擬似レンジの提供を行う。従って、擬似レンジの提供装置は、GPS衛星に限らず、静止衛星や地上に設置された擬似衛星等が考えられ、その供給源は増加傾向にある。
【0004】
このようなシステムで常にリスクの第一に挙げられ、世界各国で論議されている問題にGPS周波数帯に影響する干渉の存在がある。特に干渉電波によりユーザ受信信号のロックが外れる現象が懸念される。この場合、航法信号が受信できなくなり、システムの継続性が途絶えることになる。航空、輸送分野では、その公共性から常時システムが使用できることが要求されるからである。
【0005】
米国連邦航空局(FAA)においてもシステム開発の当初から干渉電波に対する対策計画を検討しており、干渉電波の問題の報告(The Johns Hopkins University,Applied Physics Laboratory,GPS Risk Assessment Study Final Report,January,1999)がされている。また、他の報告(M.Geyer,DOT Volpe Center,R.Frazier,FAA,FAA GPS Mitigation Program,ION−99,Nashville,TN,September,1999)でも検討されており、国際的な懸念として捉えられている。通常のDGPSでは、干渉電波による妨害が発生した場合、この基準局システムの補正値を使用している移動局すべてにおいて精度劣化、又は使用不可に陥るからである。
【0006】
従来、このような干渉電波の第1の対策方法として、位相器を用いたフェイズド・アレイ・アンテナを用いて干渉波の到来方向にヌル(NULL)を形成する方法がとられている。また、干渉電波の第2の対策方法としてGPS等の送信源の方向が特定できる場合、フェイズド・アレイ・アンテナのビームを送信機に向ける方法が考えられている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかるに、上記の第1の対策方法では、第1の問題点として干渉電波の到来する方向を知らねばならないということがある。通常、干渉波の発生場所は未知であり、到来方向を知ることは難しい。干渉電波の形態も未知であるため、比較的容易なCWやパルス的干渉波の場合は、NULLを走査することで方位認定することが可能であるが、故意にGPS信号に似た信号を干渉させた場合は、その到来方向を正確に知ることは非常に困難である(MUSIC法)。また、第2の問題点は、形成したNULLに近傍の衛星は、受信電波強度が低下してしまうことである。
【0008】
また、上記の第2の対策方法では、装置が大規模になるという問題がある。これは、衛星の数だけビームを形成しようとすると、そのための位相器システムが必要であるからである。例えば、図5に示すように、5×5素子のアンテナ・アレイ110を用いたマルチビーム空中線装置では、5×5素子のアンテナ・アレイ110で受信されたGPS信号が分配器111で第1の位相器アレイ112〜第4の位相器アレイ113の4つの位相器アレイに分配入力される。
【0009】
第1の位相器アレイ112〜第4の位相器アレイ113の各々には25台の位相器が設けられており、各位相器に入力されたアンテナ・アレイ110の各素子からの信号はそれぞれ移相された後、対応する合成器114〜115に供給されて合成され、送信機方向に向けた第1のビーム〜第4のビームを出力する。
【0010】
このように、図5の従来のマルチビーム空中線装置では、一つのビームを形成するために必要な位相器は25台であるのに対し、GPSシステムでは最低4衛星以上からのGPS信号を受信する必要がある。従って、これらの衛星を安定的に追尾するためには、4以上のビームを制御する必要がある。このため、25台の位相器からなる位相器アレイを4台準備し、それらとアンテナ・アレイ110を結合する分配器111を使用しなければならない。また、図5に示すように、位相器アレイ112〜113の各出力信号を合成する合成器114〜115も必要である。
【0011】
また、従来のマルチビーム空中線装置として、DBFを用いて広帯域を得るフェイズド・アレイ・アンテナも従来より知られている(特開平10−303634号公報)。この従来装置は、複数のアンテナ素子で囲まれた領域に仮想アンテナを想定し、推定部にてこの仮想アンテナ及び複数のアンテナ素子の位置ベクトルから複数のアンテナ素子各々に対応する係数を求め、その係数と複数のアンテナ素子での受信I/Qデータとから仮想アンテナの受信I/Qデータを推定する。仮想アンテナを推定することにより、仮想アンテナが実在した時と同等の合成出力が得られる。その分だけアンテナのサイズを大きくできるためアンテナ素子の広帯域化が図れる。
【0012】
しかるに、この従来装置では、GPSとの連携が無いため、干渉防止機能が実現できないという問題がある。つまり、DBFとGPS相関器とのサンプリングが非同期であるため、相関結果に時間的な量子誤差を生じるという点、また、同時に、一方向しか指向性を得られないため、測位演算に必要な衛星電波を常時受信することができないという点において問題である。
【0013】
本発明は以上の点に鑑みなされたもので、装置構成を簡略化したGPS衛星等をホーミングするためのマルチビーム空中線装置を提供することを目的とする。
【0014】
また、本発明の他の目的は、個々の衛星に対する受信感度を向上し得、妨害波が存在する環境におけるGPS受信の信頼性を向上し得るマルチビーム空中線装置を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記の目的を達成するため、ディジタル・ビーム形成を有するアレイアンテナを構成するn個(nは2以上の整数)のアンテナ素子と、n個のアンテナ素子のそれぞれで受信された衛星からの高周波信号を、局部信号に基づいてI信号とQ信号に検波及び分離した後、局部信号に同期したディジタル信号に変換する、n個のアンテナ素子毎に設けられたn個の受信モジュールと、受信モジュールから出力された信号をそれぞれ入力として受け、複数の入力信号に対してそれぞれ位相遅延及び重み付けを行った後ベクトル合成して仮想的な指向性のある信号をそれぞれ出力するk個(kは2以上の整数)の信号処理部と、受信すべき衛星に対応する擬似ランダムコードを発生する擬似ランダムコード発生器と、k個の信号処理部に対応して設けられ、信号処理部の出力信号と擬似ランダムコードとの相関を取り、最も相関の大きな時刻を高周波信号の到着時刻として出力するk個の相関器と、k個の相関器からの信号中に含まれる衛星の軌道データに関する情報をそれぞれ解読する解読手段と、解読手段からの軌道データに関する情報に基づいて、k個の信号処理部の各々について、その信号処理部から出力される信号の指向性が対応する衛星を追尾するように、位相遅延量及び重み付けの値それぞれを制御する指向性制御手段と、擬似ランダムコード発生器からの擬似ランダムコードが同期信号として入力され、局部信号を発生する局部信号発生手段とを有する構成としたものである。
【0016】
この発明では、解読手段からの受信すべき衛星の軌道データに関する情報に基づいて衛星の相対的位置を知り、その出力を用いて指向性制御手段が衛星の方角を演算した制御信号により、k個の信号処理部の各々について、その信号処理部から出力される信号の指向性が対応する衛星を追尾するように、位相遅延量及び重み付けの値それぞれを制御すると共に、衛星からの信号受信機とインタフェースを有するディジタル・ビーム形成(DBF)を有するアレイアンテナ(DBF空中線)を使用することで、多数の衛星をトラッキング(追尾)することができる。また、この発明では衛星毎に指向性を持つ仮想ビームを形成することができる。
【0017】
ここで、k個の信号処理部の各々は、n個の受信モジュールから出力された信号をそれぞれ入力として受け、複数の入力信号に対してそれぞれ指向性制御手段からの制御信号に基づいて、入力信号に対して付与する位相遅延量及び重み付け値を可変する位相遅延及び重み付け付加手段と、位相遅延及び重み付け付加手段からの信号をベクトル合成演算して仮想的な指向性のある信号を出力する合成手段とよりなり、ソフトウェア又はファームウェアで構成されていることを特徴とする。この発明では、信号処理部がソフトウェア又はファームウェアで構成されているため、ハードウェアにより構成する場合よりも信号処理部の構成を簡略化することができる。
【0019】
また、本発明は上記の目的を達成するため、k個の相関器に対応して設けられ、相関器から出力された相関結果の分散を測定し、その測定値が予め定めた値よりも大きいかどうか比較し、測定値が予め定めた値よりも大きいときに、干渉を受けていることを示すフラグ信号を測位演算処理へ出力して、該当する信号を測位演算から除外させる信号品質判定手段を有することを特徴とする。この発明では、衛星の擬似レンジ提供装置方向と干渉源の方向が偶然に一致した場合には、信号品質判定手段からフラグ信号が測位演算処理へ出力され、該当する信号を測位演算から除外するようにしたため、干渉源の方向に一致する衛星を使用しないようにできる。
【0020】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について図面と共に説明する。図1は本発明になるマルチビーム空中線装置の一実施の形態のブロック図を示す。同図に示すように、本実施の形態のマルチビーム空中線装置は、n個のアンテナ素子10〜10と、これらアンテナ素子10〜10に1対1に対応して設けられたn個の受信モジュール20〜20と、k個の信号処理部30〜30と、これら信号処理部30〜30の出力側に1対1に対応して設けられた相関器41〜41と、これら相関器の出力側に1対1に対応して設けられた信号品質判定手段42〜42と、メッセージ解読手段43と、擬似ランダムコード発生手段44と、擬似ランダムコード発生手段44からの擬似ランダムコードを入力として受け、受信モジュール20〜20に局部信号を供給する局部信号発生器45と、メッセージ解読手段43の解読結果を入力として受け、信号処理部30〜30に制御信号を供給する指向性制御手段46とより構成されている。
【0021】
受信モジュール20は、一つのベクトル発生手段21と、2つのA/D変換器22及び23とから構成されている。同様に、他の受信モジュール20〜20のそれぞれは、一つのベクトル発生手段21〜21と、2つのA/D変換器22〜22及び23〜23とから構成されている。また、信号処理部301は、m個の入力を持ち、m個の位相遅延手段31〜31と、m個の重み付け付加手段32〜32と、これらm個の重み付け付加手段32〜32の各出力信号を加算合成するベクトル合成手段33とから構成されている。他の信号処理部30〜30も信号処理部30と同様に、m個の位相遅延手段と、m個の重み付け付加手段と、一つのベクトル合成手段とから構成されている。
【0022】
次に、本実施の形態の動作について説明する。アンテナ素子10〜10により受信された高周波信号は、対応して設けられた受信モジュール20〜20にそれぞれ供給される。受信モジュール20〜20では、ベクトル発生手段21〜21において入力高周波信号を局部信号発生器45から出力された局部信号に基づいて、中間周波数(IF)信号に周波数変換する。ここで、ミキサ等を用いて行う周波数変換では、入力の位相情報が保存される。このため、ベクトル発生手段21〜21では、局部信号発生器45の出力局部信号を互いに直交する信号に分離し、各々を入力高周波信号と作用させ、周波数変換することでI信号とQ信号に分離することが可能である。
【0023】
ベクトル発生手段21〜21からそれぞれ出力されるI信号とQ信号は、入力RF信号をベクトル表示した場合の実軸成分と虚軸成分に対応する。これらのI信号とQ信号は、A/D変換器22〜22及び23〜23にそれぞれ供給され、ここで局部信号発生器45からの局部信号に同期したサンプリングクロックに基づいてディジタル信号に変換された後、k個ある信号処理部30〜30に分配される。
【0024】
信号処理部30〜30は、ソフトウェアで構築される処理部であり、k個の分配のソフトウェアにより行われる。信号処理部30〜30はすべて同一構成で同様の処理を行うので、信号処理部30について代表して説明するに、信号処理部30は受信モジュール20〜20から入力されたディジタル信号に対し、m(=2n)個の位相遅延手段31〜31により付与する移相量や、重み付け手段32〜32により乗算する重み付けの値が指向性制御手段46の出力制御信号の指示によりn個の衛星方向にそれぞれの最大利得が向くように互いに独立して制御され、合成手段33でベクトル合成演算して、仮想的な指向性を得る。この処理で各アンテナ素子10〜10に含まれる干渉波成分は相殺され、減衰される。
【0025】
信号処理部30〜30から出力された信号は、相関器41〜41に供給され、ここで擬似ランダムコード発生手段44からの受信すべきGPS衛星に対応する擬似ランダムコードとの相関がとられる。相関器41〜41からは最も相関の大きな出力の時刻をGPS信号の到着時刻として測位演算処理へ出力する。また、この相関器41〜41の出力信号には、航法メッセージと呼ばれるGPS衛星の軌道データに関する情報が含まれている。この情報はメッセージ解読手段43に入力される。
【0026】
メッセージ解読手段43は、入力された軌道データと現在の時刻とからGPS衛星の配置を決定し、指向性制御手段46に出力すると共に、可視衛星に対応する擬似ランダム信号を発生させるため、擬似ランダムコード発生手段44へ衛星配置を伝達する。DGPSの場合、空中線の位相中心座標は既知である。従って、衛星等の擬似距離供給装置の相対的な方角は幾何学的に算出できる。この算出値に基づき、各GPS衛星に向けて指向性ビームを形成するために必要な値が指向性制御手段46から信号処理部30〜30に入力される。
【0027】
一方、擬似ランダムコード発生手段44から同期信号が局部発生器45へ供給される。これにより、受信モジュール20〜20でI、Qベースバンドに検波される信号である、A/D変換器22〜22及び23〜23の出力ディジタル信号がGPSコードとコヒーレントとなり、相関器41〜41の相関処理における量子化誤差を最小限に抑えることができる。
【0028】
信号品質判定手段42〜42は、相関器41〜41の検出結果の分散を測定し、その測定値が予め定めた測定値よりも大きい場合、干渉を受けているとしてフラグ信号を測位演算処理へ出力する。ここで、測位演算処理とは、各GPS衛星からの擬似距離を基にGPS空中線の位相中心の座標を算出する処理である。a番目(a=1〜k)の信号品質判定手段42aからフラグ信号が測位演算処理へ出力された場合は、a番目のビーム方向に位置するGPS衛星からの信号品質が劣化しているとして、そのGPS衛星からの擬似距離を除外する。
【0029】
なお、太陽も一種の干渉源であることが知られており、GPS衛星と太陽の方角とが一致した場合にも、そのGPS衛星からの信号品質が劣化するので、そのGPS衛星からの擬似距離を除外する。ただし、GPS衛星からの擬似距離を除外する場合も、そのGPS衛星に対する仮想ビームの指向性は維持しておく。その後に、干渉が無くなる可能性があるからである。
【0030】
このようにして、本実施の形態によれば、ソフトウェアによりフェイズド・アレイ・アンテナを構築する、いわゆるDBF空中線とGPS受信回路が連携され、仮想的なn本のマルチビームをn個のGPS衛星に指向し、所要の信号対ジャミング比を確保できる。
【0031】
次に、本実施の形態の効果について図2及び図3と共に説明する。図2は本発明のマルチビーム空中線装置とGPS衛星及び干渉源との関係の一例を示すシステム図である。同図において、本発明のマルチビーム空中線装置51では半球53上に配置されたアンテナ素子(図1の10〜10)により、仮想的にn本の指向性のある仮想ビーム53〜53が形成される。仮想ビーム53〜53のそれぞれはGPS衛星SV#1〜SV#nに別々に指向性を有しているため、未知の方向から電波発射されたと考えることができる干渉源56からの干渉電波57や、GPS衛星SV#1からの電波が反射物体54で反射されたマルチパス55による干渉波のレベルを相対的に低減することができる。また、GPS衛星SV#1〜SV#n毎に別々の仮想ビーム53〜53を用いているため、衛星同士の干渉、いわゆるインターナル干渉を低減できる。
【0032】
また、GPS衛星は見かけ上一日で地球上を約一周するため、その角速度は太陽と同程度のゆっくりした変化である。本発明では、GPS衛星が見える間は時分割ではなく、常に衛星方向を仮想ビームが追尾するため、個々のGPS衛星に対する受信感度が向上する。
【0033】
図3は2500mm〜300mmの開口面を持つ空中線アレイのパターン計算結果を示す。同図に示すように、ビーム幅は約5度程度であり、GPS衛星が約20分間で通過する角度である。この指向性では、ビーム外の信号を約30度減衰させることが可能である。言い換えると、耐干渉性能を30dB改善することが可能である。
【0034】
また、本実施の形態のマルチビーム空中線装置では、マルチビーム形成に必要な信号処理部30〜30をソフトウェア又はファームウェアで実現しているため、マルチビーム空中線装置全体を比較的簡易なハードウェアで実現することができる。また、受信感度が向上し個々のGPS衛星からのS/Nが改善されるため、擬似距離に含まれる揺らぎ成分が低減し、また、衛星が見える間はビームが衛星方向を追尾するため、各衛星の同一時刻の擬似距離を測位演算に使用でき、更に信号品質判定手段42〜42により信号品質が劣化した衛星からの擬似距離を除外できるため、精度を向上できる。
【0035】
更に、本実施の形態では、太陽とGPS衛星との方角が一致した場合、そのGPS衛星を使用しないことができるため、太陽干渉にも対処できる。なお、上記の実施の形態では、n本の仮想ビームをn個のGPS衛星に指向させるように説明したが、そのうちの1又は複数本を地上設置の擬似衛星へ指向させることもできる。その場合は、地上に設置された擬似衛星からの信号のレベル変化がGPS衛星からのGPS信号のレベル変化に比べて極めて大きいが、本実施の形態では、地上に設置された擬似衛星に対する指向性利得をGPS衛星に対するそれよりも小さくすることがメッセージ解読手段43及び指向性制御手段46によりできるので、擬似衛星の遠近問題を解決できる。
【0036】
次に、本発明におけるアンテナ系の各実施の形態について説明する。図4(A)は半球面に素子を配置する例であり、この半球面に図2に52で示したようにアンテナ素子を複数配置することにより、ペンシルビームを自由に形成でき、全周にわたり利得変化が小さいという理想的な性質を持つ。
【0037】
また、図4(B)に示すアンテナ系は、平面をつなぎ合わせた簡単な構成例で、平面61、62等に多素子のアンテナ・エレメントが配置される。このアンテナ・アレイでは曲面補正演算が不要である。図4(C)は更に簡便なアンテナ・アレイである。同図(C)において、垂直方向のアレイ63は複数のアンテナ・アレイを有しており、垂直方向のみに指向性を持たせた空中線システムを構成しており、これに頂点からの電波を受信する一つのアンテナ素子64を組み合わせた構成である。このアンテナ・アレイでは、妨害除去能力が落ちるが、簡便にアンテナを構築することができる。
【0038】
なお、アンテナ素子の配置については、図4以外の構成も可能であり、環境等の最適なシステムが選択されても本発明の手段に使用することが可能である。また、信号処理部30〜30はソフトウェアにより構成されるように説明したが、ディジタルシグナルプロセッサ(DSP)等のファームウェアで実現することもできる。
【0039】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、以下のような数々の特長を有する。
(1)個々の衛星方向に指向性を持たせることができるため、干渉波のレベルを相対的に低減させることができる。
(2)個々の衛星方向に指向性を持たせ、マルチビームを追尾させることができるため、個々の衛星に対する受信感度を向上できる。
(3)衛星毎に別々のビームを用いるようにしたため、衛星同士の干渉、いわゆるインターナル干渉を低減できる。
(4)マルチビーム形成に必要な、分配器、位相遅延手段、重み付け手段、合成手段等をソフトウェア又はファームウェアで実現しているため、これらのマルチビーム空中線を比較的簡単なハードウェアで実現することができる。
(5)(4)の理由により受信感度が向上し、個々の衛星からのS/Nが改善されるため、擬似距離に含まれる揺らぎ成分が低減し、また、衛星が見える間は時分割でなく常にマルチビームを衛星方向に追尾させるため、各衛星の同一時刻の擬似距離を測位演算に使用でき、更に信号品質判定手段により、信号品質が劣化した衛星からの擬似距離を除外できるため、精度を向上できる。
(6)GPS衛星と太陽の方角が一致したとき、そのGPS衛星から受信したGPS信号の信号品質が劣化するため、擬似距離を除外することでそのGPS衛星を使用しないことができ、また太陽も一種の干渉源であり、指向性ビームの外に位置する場合は、十分な減衰が得られるため、太陽干渉の問題を解決できる。
(7)地上に設置された擬似衛星への指向性利得を他のGPS衛星への指向性利得と独立して設定することができるため、擬似衛星の遠近問題を解決することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態のブロック図である。
【図2】本発明のマルチビーム空中線装置とGPS衛星及び干渉源との関係の一例を示すシステム図である。
【図3】空中線アレイのパターン計算結果の一例を示す図である。
【図4】アンテナ・アレイの各例を示す図である。
【図5】従来の一例のブロック図である。
【符号の説明】
10〜10 アンテナ
20〜20 受信モジュール
21〜21 ベクトル発生手段
22〜22、23〜23 A/D変換器
30〜30 信号処理部
31〜31 位相遅延手段
32〜32 重み付け手段
33 合成手段
41〜41 相関器
42〜42 信号品質判定手段
43 メッセージ解読手段
44 擬似ランダムコード発生手段
45 局部信号発生器
46 指向性制御手段
51 マルチビーム空中線装置
52 半球上に配置されたアンテナ・アレイ
531〜53n 仮想ビーム
54 反射物体
55 マルチパス
56 干渉源
57 干渉電波
SV#1〜SV#n GPS衛星

Claims (3)

  1. ディジタル・ビーム形成を有するアレイアンテナを構成するn個(nは2以上の整数)のアンテナ素子と、
    前記n個のアンテナ素子のそれぞれで受信された衛星からの高周波信号を、局部信号に基づいてI信号とQ信号に検波及び分離した後、前記局部信号に同期したディジタル信号に変換する、前記n個のアンテナ素子毎に設けられたn個の受信モジュールと、
    前記受信モジュールから出力された信号をそれぞれ入力として受け、複数の入力信号に対してそれぞれ位相遅延及び重み付けを行った後ベクトル合成して仮想的な指向性のある信号をそれぞれ出力するk個(kは2以上の整数)の信号処理部と、
    受信すべき衛星に対応する擬似ランダムコードを発生する擬似ランダムコード発生器と、
    前記k個の信号処理部に対応して設けられ、前記信号処理部の出力信号と前記擬似ランダムコードとの相関を取り、最も相関の大きな時刻を前記高周波信号の到着時刻として出力するk個の相関器と、
    前記k個の相関器からの信号中に含まれる前記衛星の軌道データに関する情報をそれぞれ解読する解読手段と、
    前記解読手段からの前記軌道データに関する情報に基づいて、前記k個の信号処理部の各々について、その信号処理部から出力される信号の指向性が対応する衛星を追尾するように、前記位相遅延量及び重み付けの値それぞれを制御する指向性制御手段と、
    前記擬似ランダムコード発生器からの前記擬似ランダムコードが同期信号として入力され、前記局部信号を発生する局部信号発生手段と、
    前記k個の相関器に対応して設けられ、前記相関器から出力された相関結果の分散を測定し、その測定値が予め定めた値よりも大きいかどうか比較し、前記測定値が予め定めた値よりも大きいときに、干渉を受けていることを示すフラグ信号を測位演算処理へ出力して、該当する信号を測位演算から除外させる信号品質判定手段と
    を有することを特徴とするマルチビーム空中線装置。
  2. 前記k個の信号処理部の各々は、前記n個の受信モジュールから出力された信号をそれぞれ入力として受け、複数の入力信号に対してそれぞれ前記指向性制御手段からの制御信号に基づいて、入力信号に対して付与する位相遅延量及び重み付け値を可変する位相遅延及び重み付け付加手段と、前記位相遅延及び重み付け付加手段からの信号をベクトル合成演算して仮想的な指向性のある信号を出力する合成手段とよりなり、ソフトウェア又はファームウェアで構成されていることを特徴とする請求項1記載のマルチビーム空中線装置。
  3. 前記衛星は、少なくともGPS衛星を含んでいることを特徴とする請求項1又は2記載のマルチビーム空中線装置。
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