JP3565545B2 - サンプリング周波数変換回路 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はディジタル信号処理によって複数のデータが連続するデジタル信号のサンプリング周波数変換を行う回路に関し、変換前の入力側デジタル信号に同期したクロック信号を基として複数の位相の異なるクロック信号を生成し、生成されたクロック信号により入力側のデータ信号をそれぞれラッチし、さらに、変換後の出力側デジタル信号に同期したクロック信号でラッチした上で、複数のラッチされたデジタル信号のうち確実に入力されたデータの値をラッチした位相のデータ信号を選択することによりデータの転送を確実にうことが可能で、、更にデータの判別に影響のない範囲でデータの内容を位相に合わせて補間することで、サンプリング周波数変換誤差を改善可能なサンプリング周波数変換回路に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図10に、従来例のサンプリング周波数変換回路のブロック構成を表す。この図において、入力側クロック信号Ciの立ち上がり波形あるいは立ち下がり波形のタイミングをラッチ・タイミングとして入力データ信号Diをラッチする同期式フリップフロップ1’と、出力クロック信号Coのそれをラッチ・タイミングとして上記同期式フリップフロップ1’の出力をラッチする同期式フリップフロップ2’とを用いて、上記同期式フリップフロップ2’から出力クロック信号Coをサンプリング周波数とした出力データ信号Doを出力することで、入力側クロック信号Ciのサンプリング周波数のデータが、出力側クロック信号Coのサンプリング周波数のデータとなるようにサンプリング周波数変換される。
【0003】
上述の従来例のサンプリング周波数変換回路におけるフリップフロップ1’および2’に用いられる同期式フリップフロップで確実にデータ信号をラッチするためには、サンプリングのためのクロック信号の、例えば、立ち上がりエッジのタイミング(ラッチ・タイミング)の前後に入力されるデータ信号の内容が安定した期間が必要である。このデータ信号の内容が安定した期間、すなわちラッチ・タイミングの前のデータ内容が安定している必要のある期間のセットアップ期間と、ラッチ・タイミングの後のデータ内容が安定している必要のある期間のホールド期間との二つからなる期間に、ラッチされるデータ信号が変化した場合は、正しいデータが確実にはラッチされず、データ信号の内容がフリップフロップの入力側と出力側とで異なるものとなる場合がある。
【0004】
また従来のサンプリング周波数変換回路では、周波数の違いによるサンプリング点の飛び越しや追い抜きによって、サンプリング周波数変換誤差が直接出力されてしまう。
【0005】
図12は従来のサンプリング周波数変換回路でクロック比が3:2になるようなサンプリング周波数変換を行った場合のタイミングチャートの一例で、入力データ信号Diの複数データの内の4つのデータD0・D1・D2・D3からなるデータ列についての変換例を示している。この変換はサンプリング周波数が低くなる変換の場合のため、サンプリングされなかったデータが飛び越されて、出力データ信号Doでは、例えば、データD2が出力されずに間引かれた、データD0・D1・D3からなるデータ列に変換される。
【0006】
図13はサンプリング周波数変換前と変換後の周波数の比を3:2とした場合のサンプリング周波数変換回路の入出力誤差の一例を示した図である。縦軸がデータの値を表し、横軸がサンプリング・タイミングの位置を表す。図13(a)において実線で示されたデータ列100aは入力データ信号Diのデータ列の一例で、点線で示されたデータ列100bはデータ列100aのデータ信号Diが所要の周波数帯域に帯域制限された場合のデータ列の例を表す。図13(b)において実線で示されたデータ列200aは出力データ信号Doのデータ列の一例で、点線で示されたデータ列200bは、上述のデータ列100bの点線の波形を再現するように出力データ信号Doの値が決められたときのデータ列を表す。このデータ列200bを再現する場合、このデータ列200bに対して実際のデータ列200aの誤差が、サンプリング周波数変換誤差となる。
【0007】
図14は信号出力で要求される周波数帯域内の信号に対して3:2の比で周波数変換した場合の出力誤差の一例である。縦軸がデータの値を表し、横軸が図12におけるデータの位置を表す。101bは帯域制限後の入力データ信号Diの値の例を表す。201cは出力データ信号Doの値で、201bが示す本来あるべき出力データ信号Doの値に対して、サンプリング周波数変換誤差がある。
【0008】
図15は従来のサンプリング周波数変換回路でクロック比が3:4になるようなサンプリング周波数変換を行った場合のタイミングチャートの一例である。、入力データ信号Diの複数データの内の4つのデータD0・D1・D2・D3からなるデータ列についての変換例を示している。この変換はサンプリング周波数が高くなる変換の場合のためサンプリングされるデータの内のいくつかが繰り返しサンプリングされて、例えばD1が重複したデータD0・D1・D1・D2・D3からなるデータ列に変換される。
【0009】
図16は信号出力で要求される周波数帯域に帯域制限する前に3:4の比で周波数変換した場合の出力誤差の一例である。縦軸がデータの値を表し、横軸が図15におけるデータの位置を表す。102aは入力データ信号Diの値の例で、102bは入力データ信号Diを信号出力で要求される周波数帯域に帯域制限した場合の値を表す。202dは出力データ信号Doの値で、202bに表される本来あるべき出力データ信号Doの値に対して、サンプリング周波数変換誤差がある。
【0010】
図17は信号出力で要求される周波数帯域内の信号に対して3:4の比で周波数変換した場合の出力誤差の一例である。縦軸がデータの値を表し、横軸が図15におけるデータの位置を表す。103bは入力データ信号Diの値を表す。203eは出力データ信号Doの値で、203bに表す本来あるべき出力データ信号Doの値に対して、サンプリング周波数変換誤差がある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
図10の従来のサンプリング周波数変換回路では、同期式フリップフロップ1’からサンプリング周波数・位相の異なる同期式フリップフロップ2’へデータを渡すため、入力側クロック信号Ciと出力側クロック信号とCoが、図11に示すタイミングチャートのように出力側クロック信号Coは、タイミングT2がラッチ・タイミングとなって、このときデータ1cが変化(遷移)しており、従ってセットアップ期間及びホールド期間のデータが安定していない。このため出力データ信号Doに不定なデータ(以下、データxと称す)が出力される。
【0012】
そこで、本発明では入力側に複数の位相のデータを用意し、出力側で安全な位のデータを判別することによりデータの転送を確実に行えるようにしたサンプリング周波数変換回路を提供する。
【0013】
また、上述のように従来のサンプリング周波数変換回路では、部分的にデータが欠落したり、あるいは同じデータが繰り返されることで、データ列が生成される。しかしながら、この欠落や繰り返しのためにサンプリング時点のデータが実際の値よりも、1サンプリング間隔程度のタイミング誤差を生じたごとくのサンプリング周波数変換誤差が生じるという問題があった。
【0014】
そこで、本発明ではデータの判別に影響のない範囲でサンプリング周波数変換時の出力データの値を位相に応じた加重平均割合でもって合わせて補間した値とすることで、サンプリング周波数変換誤差を改善できるサンプリング周波数変換回路を提供する。
【0015】
さらに、本発明では出力信号に要求される周波数帯域に対してサンプリング周波数変換回路の前段に帯域制限用ローパスフィルタ、後段にサンプリング周波数変換誤差改善用ローパスフィルタを用意することで、より正確な変換を行うことができるサンプリング周波数変換回路を提供する。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記の課題を解決するために、入力されたデジタルデータ信号(第1のデータ信号)のサンプリング周波数を変換し、該変換されたデジタルデータ信号(第2のデータ信号)を出力するためのサンプリング周波数変換回路において、上記第1のデータ信号のデータの切り替わりタイミング位相に対してそれぞれ所定位相ずれたタイミングで切り替わるとともに、上記所定位相それぞれに応じて上記第1のデータ信号が遅延された値を有する複数データ信号を生成する手段と、上記生成された複数データ信号および第1のデータ信号の内の複数データ信号それぞれを上記第2のデータ信号のデータの切り替わりタイミングを有するクロック信号でラッチする手段と、上記ラッチされた複数データ信号の値どうしが比較され、該比較結果に応じて上記ラッチされた複数データ信号の内の一つが選択され、該選択されたデータ信号を第2のデータ信号として出力する手段とを有するものである。
【0017】
さらに、本発明は、入力されたデジタルデータ信号(第1のデータ信号)のサンプリング周波数を変換し、該変換されたデジタルデータ信号(第2のデータ信号)を出力するためのサンプリング周波数変換回路において、上記第1のデータ信号のデータの切り替わりタイミング位相に対してそれぞれ所定位相ずれたタイミングで切り替わるとともに、上記所定位相それぞれに応じて上記第1のデータ信号が補間された値を有する複数データ信号を生成する手段と、上記生成された複数データ信号および第1のデータ信号の内の複数データ信号それぞれを上記第2のデータ信号のデータの切り替わりタイミングを有するクロック信号でラッチする手段と、上記ラッチされたデータ信号の値に応じて上記ラッチされた複数データ信号の内の一つが選択され、該選択されたデータ信号を第2のデータ信号として出力する手段とを有するものである。
【0018】
さらに、本発明は上記の課題を解決するために、デジタルのデータ信号を入力し、該入力時のサンプリング周波数(第1の周波数)とは異なったサンプリング周波数(第2の周波数)でもって、上記入力されたデータ信号をサンプリングすることで、サンプリング周波数変換を行い、該サンプリング周波数変換されたデータ信号を出力するサンプリング周波数変換回路において、上記データ信号と上記第1の周波数を有するクロック信号(第1のクロック信号)とを入力して、上記第1のクロック信号により上記データ信号をラッチするフリップフロップと、上記第1のクロック信号を入力し、該第1のクロック信号を基に同一周波数のクロック信号で、かつ、第1のクロック信号と所定位相差を有する一つまたは複数のクロック信号(位相差クロック信号)を生成する手段と、上記クロック生成手段で生成された一つまたは複数の位相差クロック信号および第1のクロック信号の内、少なくても複数個のクロック信号(位相差信号等)と、上記フリップフロップの出力データ信号と、上記第2の周波数を有するクロック信号(第2のクロック信号)とが入力され、該入力された複数個の位相差信号等により上記入力されたデータ信号をそれぞれラッチする手段と該それぞれ異なった位相差でラッチされた複数のデータ信号をそれぞれ上記第2のクロック信号によりラッチする手段とからなるラッチ・アレイ手段と、上記ラッチ・アレイ手段から出力された第2のクロック信号によってラッチされた複数のデータ信号間の値の比較を行って、その比較結果に応じて所定のデータの安定度を有するデータ信号を選択して出力する選択出力手段とを有するものである。
【0019】
さらに本発明は、上記フリップフロップの出力データ信号を上記所定位相差に応じた補間演算により補間データを生成する補間演算手段を有し、上記ラッチ・アレイ手段は上記補間データをそれぞれ対応する位相差のクロック信号によりラッチするものである。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態の例について説明する。
図20は、本発明のサンプリング周波数変換回路のブロック構成例を表した図である。この図において、1はフリップフロップ、30はクロック信号発生回路、70はラッチ・アレイ回路、40は選択出力回路、2はフリップフロップである。
【0021】
この動作を説明すると、フリップフロップ1に入力されたデータ信号Diが、同じく入力されたクロック信号Ciのラッチ・タイミングによってラッチされる。クロック信号Ciは、クロック信号発生回路30にも入力され、そのクロック信号Ciを基に、同じ周波数であって、位相がそれぞれ異なった一つまたは複数のクロック信号が生成される。これら生成されたクロック信号間あるいはクロック信号Ciとの間の、それぞれ位相が隣り合った信号同士の位相差(位相間隔)は、ラッチ・アレイ回路70におけるラッチ動作等に使用される同期式フリップフロップの特性の一つであるセットアップ期間とホールド期間とを合わせた期間(以下、不定期間と称す)より長く設定される。そうすることによって、後述する出力クロック信号Coによるラッチ動作時に複数のデータ信号の不定期間に同時にクロック信号Coのラッチ・タイミングが含まれずに、高々一個のデータ信号についてのみとすることができる。
【0022】
これにより、クロック信号発生回路30からは、基となったクロック信号Ciと生成されたクロック信号とからなるか、あるいは生成されたクロック信号のみからなる複数個、すなわちn個(nは正の整数)のクロック信号が後段のラッチ・アレイ回路70へ出力される。
【0023】
ラッチ・アレイ回路70は、フリップフロップ1でラッチされたデータ信号を入力し、その入力されたデータ信号が上述のn個のクロック信号によってそれぞれラッチされることで、n本のラッチされたデータ信号、すなわち、n通りのそれぞれ位相の異なるデータ信号が生成される。さらに、ラッチ・アレイ回路70は、入力クロック信号Ciと周波数の異なる出力クロック信号Coを入力する。そして、上述のn本のラッチされたデータ信号が出力クロック信号Coによってそれぞれラッチされ、それらラッチされたデータ信号Da1〜Danがラッチ・アレイ回路70から後段の選択出力回路40へ出力される。
【0024】
この出力クロック信号Coによってラッチされたn個のデータ信号Da1〜Danは、それらの内の一つのデータ内容が不定な値となっている可能性がある。すなわち、クロック信号Coのラッチ・タイミング時にラッチされるデータ信号の内高々一つのデータ信号のみが不定期間となるためである。
【0025】
そのため、選択出力回路40は、入力された複数のデータ信号Da1〜Danのデータの内容に応じて、それらの内の不定な値でないデータ信号の内の一つを選択し、後段のフリップフロップ2へ出力する。
【0026】
フリップフロップ2は、選択された信号を入力し出力クロック信号Coによってラッチして、後段(図示せず)に出力する。
【0027】
以上により、不定期間にラッチされたデータ信号を除いた、入力データ信号と同等のデータ信号がサンプリング周波数変換されて出力されることが可能となる。
【0028】
図21は、本発明の別の実施の形態のブロック構成例を表した図である。この図において、図20と同一の符号を付したものは説明を省略する。図21の構成例において、図20と大きく異なるのは、フリップフロップ1でラッチされたデータ信号がデータ信号補間回路50に入力され、所定の補間処理によって補間されることで一つまたは複数の補間データ信号が生成されることである。これにより、データ信号補間回路5からは、基となったデータ信号と生成された補間データ信号とからなるか、あるいは生成された補間データ信号のみからなる複数個、すなわちn個(nは正の整数)のデータ信号が後段のラッチ・アレイ回路70へ出力される。さらに、ラッチ・アレイ回路70’では、データ信号補間手段から入力したデータ信号が、各々の補間データ信号の補間処理時の加重平均処理の重み付けの方法に応じた、クロック信号生成手段30からの複数のクロック信号の内の所定のラッチ・タイミングを有するクロック信号でもってラッチされる。そして、それぞれラッチされたデータ信号Db1〜Dbnがラッチ・アレイ回路70’から後段の選択出力回路40’へ出力される。
【0029】
データ信号Db1〜Dbnは、それらの内の一つのデータ内容が不定な値となっている可能性がある。そのため、選択出力回路40’は、入力された複数のデータ信号Db1〜Dbnの内容に応じて、それらの内の不定な値でないデータ信号の内の一つを選択し、後段のフリップフロップ2へ出力する。
【0030】
フリップフロップ2は、選択された信号を入力し出力クロック信号Coによってラッチして、後段(図示せず)に出力する。
【0031】
以上により、不定期間にラッチされたデータ信号を除いた、入力データ信号と同等のデータ信号がサンプリング周波数変換されて出力されることが可能となり、さらに、各入力側の複数の位相のクロック信号ごとに、その位相に合わせた補間データをラッチするようにすることで、サンプリング周波数変換後のデータ信号の波形が、変換前の波形により近似させるようにサンプリング周波数変換を行うことができる、サンプリング周波数変換回路を実現することができる。
【0032】
図1は本発明によるサンプリング周波数変換回路のブロック構成例を示した図である。このサンプリング周波数変換回路では、入力ラッチ手段(フリップフロップ)1と出力ラッチ手段(フリップフロップ)2と、同期式フリップフロップ10・11・12…13、同期式フリップフロップ20・21・22…23により構成されるラッチ・アレイ回路70とを有し、さらに、クロック信号生成手段30、出力選択手段40とからなる。
【0033】
フリップフロップ1には、前段(図示せず)から、例えばディジタル映像信号が入力データ信号Diとして入力され、入力データ信号Diのサンプリング周波数である入力側クロック信号Ciでもってラッチされる。フリップフロップ1からはデータ信号1aが出力される。このデータ信号1aは、フリップフロップ1で、データ切り換わり変化点近傍のデータの不安定領域(不定期間)が、データの安定領域よりも極力短くなるような、所要の信号立ち上がり立ち下がり速度を有するデータ信号とされる。
【0034】
クロック信号生成手段30は、入力側クロック信号Ciを基にして互いに所定量ずつ位相が異なり、かつ、同一周波数のクロック信号30a、30b・・・30cの複数個のクロック信号が生成される。なお、このクロック信号の位相差(位相間隔)はラッチ動作等に使用される同期式フリップフロップの特性の一つである、不定期間より長く設定される。また、図1では同一周波数で互いに位相の異なったラッチ用のクロック数が4個以上の場合について示した図となっているが、これ以外にクロック数が2個または3個の場合であっても、本発明の特徴を有したサンプリング周波数変換回路を実現することができる。
【0035】
同期式フリップフロップ10・11・12…13には、共にデータ信号1aが入力され、それぞれクロック信号Ci・30a・30b…30cでラッチされる。クロック信号Ci・30a・30b…30cは周波数が同じであり、それぞれクロック信号同士の位相差が同期式フリップフロップの不定期間より長く設定されていることで、その不定期間中に、複数のクロック信号のラッチ・タイミングのうち、たかだか一つのクロック信号のラッチ・タイミングのみがその不定期間にはいるか、あるいは一つも入らない。従って、複数の同期式フリップフロップの少なくとも一つ以上のフリップフロップでは確実に安定したデータ信号をラッチできる。そのため、データの切り換わり位相がそれぞれ異なり、かつ、少なくとも一つ以上のデータが確実に入力された信号がサンプリングされた、複数のデータ信号10a・11a・12a…13aが出力される。
【0036】
上記フリップフロップから出力された位相が異なる複数個のデータ信号10a・11a・12a…13aが同期式フリップフロップ20・21・22…23にそれぞれ入力され、出力側クロック信号Coでラッチされる。それぞれデータ信号10a・11a・12a…13aのサンプリング周波数であるクロック信号Ci・30a・30b…30cと出力側クロック信号Coとは非同期なため、同期式フリップフロップ20・21・22…23のラッチした複数個の出力データ信号20a・21a・22a…23aの内どれかは上述したようにデータの不定期間にラッチされたために入力されたデータとは異なったデータを持っている可能性があるが、それ以外のデータは安定した状態のデータ、すなわち、入力されたデータと同じデータがラッチされたものである。
【0037】
選択出力手段40は複数個の出力データ信号20a・21a・22a…23aからデータ信号の変化点のデータ又はデータ信号の変化点の前後となるデータを見つけ、そのデータから約半周期異なって変化する位相、すなわち逆位相に相当するデータ信号またはその逆位相に近い位相のデータ信号を選択することで、最も好ましい位相のクロック信号でラッチされたデータをデータ信号2cとして出力する。
【0038】
同期式フリップフロップ2には、データ信号2cが入力され、サンプリング変換後のサンプリング周波数をもつ出力側クロック信号Coでもって、ラッチされる。同期式フリップフロップ2からは、選択出力手段40での選択処理動作中に生じたタイミングの遅れやばらつきの影響の無い、出力側クロック信号Coをサンプリング周波数とするデータ信号Doが出力される。
【0039】
こうして入力側クロック信号Ciをサンプリング・クロックとする入力データ信号Diが、出力側クロック信号Coをサンプリング・クロックとする出力データ信号Doにサンプリング周波数変換される。
【0040】
以下、図2および図3を用いて、n=4の場合のクロック信号生成手段30と、選択出力手段40の内部構成例およびそれらの動作について説明する。
【0041】
図2はクロック信号生成手段30の一構成例を示している。本例のクロック信号生成手段には、入力側クロック信号Ciと共に、それに同期した2倍の周波数を逆位相にしたクロック信号31aを入力することで、目的とするクロック信号を生成するための回路となっている。本手段は同期式フリップフロップ31を有し、信号反転回路32・33を加えて構成される。
【0042】
同期式フリップフロップ31は、クロック信号31aを用いて入力側クロック信号Ciをラッチすることで、出力データ信号として入力側クロック信号Ciに対して4分の1位相分遅れた位相のクロック信号30aを発生する。
【0043】
信号反転回路32では、入力側クロック信号Ciを反転させることで入力側クロック信号Ciから2分の1位相分遅れた位相のクロック信号30bを発生する。
【0044】
信号反転回路33では、クロック信号30aを反転させることで入力側クロック信号Ciから4分の3位相分遅れた位相のクロック信号30dを発生する。
【0045】
こうして同一周波数で4分の1ずつ位相の異なるクロック信号Ci・30a・30b・30dがそろって生成される。
【0046】
図3は選択出力手段40の一構成例を示している。本例の選択出力手段は、ディジタルコンパレータ41・42・43と、セレクタ44・45・46とで構成される。
【0047】
ディジタルコンパレータ41はデータ信号21aとデータ信号22aの内容を比較する。また、ディジタルコンパレータ42はデータ信号22aとデータ信号23aの内容同士を比較する。また、ディジタルコンパレータ43はデータ信号23aとデータ信号20aの内容を比較する。これらコンパレータ41・42・43は、それぞれ比較された内容同士が一致していればHigh、異なればLowの信号を出力する。
【0048】
セレクタ44はディジタルコンパレータ41の出力がHighのときデータ信号22aを、Lowのときデータ信号23aを選択して出力する。
【0049】
セレクタ45はディジタルコンパレータ42の出力がHighのときセレクタ44の出力を、Lowのときデータ信号20aを選択して出力する。
【0050】
セレクタ46はディジタルコンパレータ43の出力がHighのときセレクタ45の出力を、Lowのときデータ信号21aを選択して、データ信号2cとして後段に出力する。
【0051】
表1に図3の選択出力手段40の動作について、データ信号20a・21a・22a・23aの内容が値「D0」から値「D1」に変化するときのデータ内容に応じた、データ信号2cの関係を示す。「x」は変化点でラッチされたために、入力された値「D0」、「D1」に確定されない不定なデータを表す。
【0052】
【表1】
【0053】
図4は図20におけるサンプリング周波数変換回路の例であって、3つの位相のクロック信号を用いた場合(n=3の場合)の回路の一構成例を示している。この図において、図1、図2、図3と同じ符号が付されたものは、説明を省略する。信号反転回路34は図2の信号反転回路33と同じものであるが、ここから出力される4分の3位相遅れた信号30eはクロック信号として同期式フリップフロップ12に入力され使用される。図1同様に、入力側クロック信号Ciをサンプリング周波数とする入力データ信号Diが、出力側クロック信号Coをサンプリング周波数とする出力データ信号Doにサンプリング周波数変換される。
【0054】
図5に図4のサンプリング周波数変換回路のタイミングチャートの一例を示す。
【0055】
表2に図4の選択出力手段の動作について、入力データ信号Diの内容が「D0」から「D1」へ変化するときのデータ内容に応じた、出力側のデータ信号20a・21a・22aの内容がとりうる状態と、データ信号2cの関係を示す。
【0056】
【表2】
【0057】
図6は図21におけるサンプリング周波数変換回路の例であって、3つの位相のクロック信号を用い、さらに、中点を補間する場合の一構成例を示している。図4と同じ符号を持つものは同様の働きをするものなので説明を省略する。補間演算手段54は、この場合中点を補間するためにデータ信号1aとデータ信号10aの平均を求める演算を行う。補間演算手段54から出力される補間データ信号54aは平均値を求める演算の結果である値となって、同期式フリップフロップ11・12に入力される。
【0058】
図7に図6のサンプリング周波数変換回路のタイミングチャートの一例を示す。
【0059】
表3に図21に示された選択出力回路40’に相当する図6の選択出力手段の動作について、入力データ信号Diの内容が値「D0」から「D1」、さらに「D2」へ変化することに対する、出力側のデータ信号20a・21a・22aの内容がとりうる状態と、データ信号2cとの関係を示す。表3の中で「D01」は「D0」と「D1」の比率が1対1で加算平均された補間されたデータの値、「D12」は「D1」と「D2」の比率が1対1で加算平均された補間されたデータの値を表す。
【0060】
【表3】
【0061】
図8は図21におけるサンプリング周波数変換回路の例であって、4つの位相のクロック信号を用いて3点補間する場合の一構成例を示している。図1、図2、図3、図4と同じ符号を持つものは同様の働きをするものなので説明を省略する。
【0062】
補間演算手段51は、データ信号1aとデータ信号10aからクロック信号30aの位相に対する補間値を求める演算器である。ここで直線補間を例とする場合について説明すると、データ信号1aとデータ信号10aを1対3の比率で加重平均して補間データ信号51aを出力する。
【0063】
補間演算手段52は、データ信号1aとデータ信号10aからクロック信号30bの位相に対する補間値を求める演算器である。直線補間の場合は、データ信号1aとデータ信号10aを1対1の比率で加重平均して補間データ信号52aを出力する。
【0064】
補間演算手段53は、データ信号1aとデータ信号10aからクロック信号30cの位相に対する補間値を求める演算器である。直線補間の場合は、データ信号1aとデータ信号10aを3対1の比率で加重平均して補間データ信号53aを出力する。
【0065】
ラッチ手段11はクロック信号30aで補間データ信号51aをラッチし、ラッチ手段12はクロック信号30bで補間データ信号52aをラッチし、ラッチ手段14はクロック信号30cで補間データ信号53aをラッチし、その結果4つのラッチ手段10・11・12・13はクロック信号Ci・30a・30b・30cの4つの位相について望ましい4つのデータ信号10a・11a・12a・13aを出力する。
【0066】
この4つの位相のデータ信号10a・11a・12a・13aはラッチ手段20・21・22・23によりクロック信号Coでそれぞれラッチされ、データ信号20a・21a・22a・23aをそれぞれ出力するが、それぞれの位相について望ましい補間データ信号になっているので安定したデータを持つ場合でも隣の位相のデータとお互いに内容が異なる。
【0067】
そのため、ディジタルコンパレータ41・42・43で安定な出力信号を判定し選択するためには、安定したデータを持つ場合に隣の位相のデータと内容が等しくなる必要がある。そこで出力を判定するため、入力クロック信号側にラッチ手段110・120・130、出力クロック信号側にラッチ手段210・220・230を各位相間に1つずつ追加する。
【0068】
ラッチ手段110はクロック信号30aでクロック信号30bの位相に望ましい補間データ信号52aをラッチしてデータ信号110aを出力する。ラッチ手段210はクロック信号Coでデータ信号110aをラッチしてデータ信号210aを出力する。ディジタルコンパレータ410では共に補間データ信号52aからラッチして出力したデータ信号22aとデータ信号210aの内容を比較し、一致している場合はデータ信号22aが安全と判定しHighを、異なればLowを出力する。
【0069】
ラッチ手段120はクロック信号30bでクロック信号30cの位相に望ましい補間データ信号53aをラッチしてデータ信号120aを出力する。ラッチ手段220はクロック信号Coでデータ信号120aをラッチしてデータ信号220aを出力する。ディジタルコンパレータ411では共に補間データ信号53aからラッチして出力したデータ信号23aとデータ信号220aの内容を比較し、一致している場合はデータ信号23aが安全と判定しHighを、異なればLowを出力する。
【0070】
ラッチ手段130はクロック信号30cでクロック信号Ciの位相に望ましいデータ信号1aをラッチしてデータ信号130aを出力する。ラッチ手段230はクロック信号Coでデータ信号130aをラッチしてデータ信号230aを出力する。ディジタルコンパレータ412では共にデータ信号1aからラッチして出力したデータ信号20aとデータ信号230aの内容を比較し、一致している場合はデータ信号20aが安全と判定しHighを、異なればLowを出力する。
【0071】
こうして入力側クロック信号Ciをサンプリング周波数とする入力データ信号Diが、出力側クロック信号Coをサンプリング周波数とする出力データ信号Doにサンプリング周波数変換しながら3点の位相を補間することができる。
【0072】
図9に図8のサンプリング周波数変換回路のタイミングチャートの一例を示す。
【0073】
表4に図8の選択出力手段の動作について、入力データ信号Diの内容が値「D0」から「D1」、「D2」へ変化することに対する、出力側のデータ信号20a・210a・21a・220a・22a・230a・23aの内容がとりうる状態と、データ信号2cの関係を示す。表4の中で「D11」は「D0」と「D1」の比率を3対1として加重平均したデータ信号の値を、「D12」は「D0」と「D1」の比率を1対1として加算平均したデータ信号の値を、「D13」は「D0」と「D1」の比率を1対3として加重平均したデータ信号の値を、「D21」は「D1」と「D2」の比率を3対1として加重平均したデータ信号の値を、「D22」は「D1」と「D2」の比率を1対1として加算平均したデータ信号の値を、「D23」は「D1」と「D2」の比率を1対3として加重平均したデータ信号の値を表す。
【0074】
【表4】
【0075】
図18はサンプリング周波数変換回路の前後にローパスフィルタを加えた場合の構成の一例である。この場合サンプリング周波数変換回路60、帯域制限用ローパスフィルタ61、サンプリング周波数変換誤差改善用ローパスフィルタ62で構成されている。
【0076】
フィルタ61と62のそれぞれの周波数特性を合成してなる周波数特性は、全回路の出力200fで要求する周波数特性を満足するように設定する。例えば出力200fで要求される周波数特性が1.5MHz以下までは−3dB以上で3.5MHz以上は−20dB以下である場合、帯域制限用ローパスフィルタ61は、1.5MHz以下までは−2dB以上で3.5MHz以上は−20dB以下という特性にして十分な帯域制限を行い、サンプリング周波数変換誤差改善用ローパスフィルタ62は、1.5MHz以下まで−1dB以上の特性を持つフィルタにして、合計での特性が1.5MHz以下までは−3dB以上で3.5MHz以上は−20dB以下になるようにする データ信号のサンプリング周波数となる入力側クロック信号Ciと出力側クロック信号Coの周波数の組合せが変わる場合は、出力200fで要求する周波数特性になるように、帯域制限用ローパスフィルタ61とサンプリング周波数変換誤差改善用ローパスフィルタ62のフィルタ係数をその組合せの変化に応じて変える。
【0077】
図19は図18の構成のサンプリング周波数変換回路でクロック比が3:4になるようにサンプリング周波数変換を行った場合の出力誤差の一例である。縦軸がデータの値を表し、横軸がデータの相対時間を表す。入力側Diのグラフの104aは回路全体の入力データ信号、104bは出力200fで要求される周波数特性に合わせて帯域制限用ローパスフィルタ61で帯域制限された入力データ信号を表す。出力側Doのグラフの204eはサンプリング周波数変換回路60の出力データ信号、204fは回路全体の出力データ信号、204bは本来あるべき出力データ信号、204dは104aのデータ信号を直接サンプリング周波数変換した場合の出力データ信号を表す。204dより204e、更に204fが204bの本来あるべき出力データ信号に近い波形となる。
【0078】
【発明の効果】
本発明によれば、入力側に複数の位相のデータ信号を用意するためのクロック信号生成手段およびラッチ手段を用いて、出力側でデータが安定している位相のデータ信号を選択し出力することができるため、安定した正しいデータ信号の転送を確実に行える。
【0079】
また、本発明ではデータ信号の判別に影響のない範囲でデータ信号の内容を位相に合わせて補間するために補間演算手段を用いることで、サンプリング周波数変換誤差を改善できる。
【0080】
さらに、本発明では出力信号に要求される周波数帯域に対してサンプリング周波数変換回路の前段に帯域制限用ローパスフィルタ、後段にサンプリング周波数変換誤差改善用ローパスフィルタを用意することで、より正確なサンプリング周波数変換を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のサンプリング周波数変換回路のブロック構成例を表した図。
【図2】クロック信号生成手段の一構成例を示す図。
【図3】選択出力手段の一構成例を示す図。
【図4】サンプリング周波数変換回路の実施例のプロック構成を示す図。
【図5】図4のサンプリング周波数変換回路のタイミングチャートの一例を示す図。
【図6】サンプリング周波数変換回路の実施例のプロック構成を示す図。
【図7】図6のサンプリング周波数変換回路のタイミングチャートの一例を示す図。
【図8】サンプリング周波数変換回路の実施例のプロック構成を示す図。
【図9】図8のサンプリング周波数変換回路のタイミングチャートの一例を示す図。
【図10】従来のサンプリング周波数変換回路のブロック構成例を示す図。
【図11】従来のサンプリング周波数変換回路のタイミングチャートの一例を表す図。
【図12】従来のサンプリング周波数変換回路でサンプリング周波数変換を行った場合のタイミングチャートの一例を示す図。
【図13】従来のサンプリング周波数変換回路でサンプリング周波数変換した場合の出力誤差の一例を示す図。
【図14】従来のサンプリング周波数変換回路でサンプリング周波数変換した場合の出力誤差の一例を示す図。
【図15】従来のサンプリング周波数変換回路でサンプリング周波数変換を行った場合のタイミングチャートの一例を示す図。
【図16】従来のサンプリング周波数変換回路でサンプリング周波数変換した場合の出力誤差の一例を示す図。
【図17】従来のサンプリング周波数変換回路でサンプリング周波数変換した場合の出力誤差の一例を示す図。
【図18】サンプリング周波数変換回路の前後にローパスフィルタを加えた構成の例を示す図。
【図19】図18に構成例を示す回路でサンプリング周波数変換した場合の出力誤差の一例を示す図。
【図20】本発明のサンプリング周波数変換回路のブロック構成例を表した図。
【図21】本発明のサンプリング周波数変換回路のブロック構成例を表した図。
【符号の説明】
1:同期式フリップフロップ、2:同期式フリップフロップ、
10,11,12,・・・,13:同期式フリップフロップ、
14:同期式フリップフロップ、
20,21,22,・・・,23:同期式フリップフロップ、
24:同期式フリップフロップ、
30:クロック信号生成手段、
31:同期式フリップフロップ、32,33,34:信号反転回路、
40:選択出力手段、
41,42,43:ディジタルコンパレータ、44,45,46:セレクタ、
50,50’:補間演算手段、
51,52,53:補間演算手段、
110,120,140,210,220,230:同期式フリップフロップ、
60:サンプリング周波数変換回路、
61:帯域制限用ローパスフィルタ、
62:サンプリング周波数変換誤差改善用ローパスフィルタ、
70,70’:ラッチ・アレイ回路
Claims (4)
- 入力された第1デジタルデータ信号の第1サンプリング周波数を第2サンプリング周波数に変換して、該変換された第2デジタルデータ信号を出力するサンプリング周波数変換回路において、
前記第1サンプリング周波数のそれぞれ位相の異なる複数タイミングで、前記第1デジタルデータ信号をそれぞれラッチする第1ラッチ回路と、前記第2サンプリング周波数の所定位相タイミングで、前記第1ラッチ回路によりラッチされた複数第3データ信号をそれぞれラッチする第2ラッチ回路と、前記第2ラッチ回路によりラッチされた複数第4データ信号をそれぞれ入力する選択回路とを有し、前記選択回路は入力された前記複数第4データ信号どうしを比較した結果に応じて前記複数第4データ信号のうち一つを選択し、該選択されたデータ信号を第2デジタルデータ信号として出力する事を特徴とするサンプリング周波数変換回路。 - 請求項1に記載のサンプリング周波数変換回路において、
さらに、前記入力された第1デジタルデータ信号から補間データ信号を生成する補間回路を有し、前記補間回路で生成された補間データ信号にそれぞれ応じた位相タイミングで該補間データ信号を前記第1ラッチ回路でラッチし、該ラッチされた信号を前記第3データ信号とすることを特徴とするサンプリング周波数変換回路。 - 請求項1または請求項2に記載のサンプリング周波数変換回路において、
さらに、前記第1ラッチ回路の前段に前記第1デジタルデータ信号の周波数帯域を制限するための第1ローパスフイルタと、前記選択回路の後段に前記第2デジタルデータ信号の周波数帯域を制限するための第2ローパスフィルタとを有することを特徴とするサンプリング周波数変換回路。 - 請求項1乃至3に記載のサンプリング周波数変換回路において、
さらに、前記選択回路は、前記複数第4データ信号の内の位相の隣り合った位相差クロック信号によりラッチされたデータ信号どうしの値がそれぞれ比較され、前記複数第4データ信号のうち少なくとも該比較により値どうしが一致しないデータ信号を除いた複数第4データ信号の中から一つのデータ信号を選択し出力することを特徴とするサンプリング周波数変換回路。
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