JP3514783B2 - イオン検出器及びそれを用いたsim像検出方法 - Google Patents

イオン検出器及びそれを用いたsim像検出方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば半導体LSI、
その製造に供するマスクなどの微細加工に用いられるS
IM像の観察方法とそれを観察するための二次イオン検
出器に係わり、特に集束荷電粒子ビーム走査により対称
性の良好な二次荷電粒子信号を得るに好適なSIM像の
観察方法とそれを観察するための二次イオン検出器に関
する。
【0002】
【従来の技術】半導体LSIなどのプロセス解析や不良
解析のために、一般に集束荷電粒子ビームを使った加工
では、被加工物の表面を観察する際、集束荷電粒子ビー
ムを走査して試料面から放出される二次荷電粒子を、シ
ンチレータと光電子増倍管、あるいはエスピイアイイ
第923巻 エレクトロンビーム、Xレイ、アンド アイ
オンビーム テクノロジー:サブマイクロメータ リソグ
ラフィ 第7回 1988年の第92頁〜第96頁に記載
された「マイクロサーキット モディフィケーション ユ
ージング フォーカスト アイオン ビームズ」〔Microci
rcuit Modification Using Focused Ion Beams, SPIE V
ol.923 Electron-Beam, X-Ray, and Ion-Beam Technolo
gy: Submicrometer Lithographies VII(1988)P92-9
6〕によればMCP(マイクロチャネルプレート:Micro
Channel Plate)などにより検出し、走査ビームに同期
してCRT上を走査している輝点に輝度変調をかけるこ
とにより、SIM像(走査イオン像=Scanning Ion Mic
roscope image)を観察する方法が行われる。
【0003】上記二次荷電粒子を検出する際に、シンチ
レータと光電子増倍管を用いた場合に比べ、MCPは集
束荷電粒子の走査ビーム軸に対して対称的に被観察試料
から放出された荷電粒子を検出できるために、例えば凹
凸パターンの左右傾斜面などを左右対称に捉えることが
できるという特徴があった。
【0004】一方、特開平1−311552号や特開平
2−183960号公報に示されているようなイオン検
出器は、MCPとは異なり、イオンを一度電子に変換し
てから検出するイオン−電子変換型検出器によるもの
で、エッチング等に用いられる反応性ガス雰囲気中でも
イオンを電子に変換する電極表面の二次電子放出率が低
下しないと共に、シンチレータ、光電子増倍管等の他の
構成要素もガスの影響を受けないことから、汚染の影響
を受けずに効率良くイオン検出を行うことができるとい
う特徴があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、二次イオンの
検出における上記従来技術であるMCPによる検出で
は、ビーム加工速度を上げるために反応性ガス雰囲気中
で加工しながら二次荷電粒子像を観察するような場合、
MCPの汚染により荷電粒子増倍率が低下して鮮明な像
を得られなくなるという問題があった。
【0006】従って、反応性ガスによるイオン検出器の
汚染に対しては上記従来技術であるイオン−電子変換型
検出器が有効であるが、従来のイオン−電子変換電極
は、イオンの入射角に対して90度方向にて電子変換を
行う電極であるため、比較的大型であった。また、あく
まで全イオンの発生強度を測定する目的で構成されてお
り、像観察に対する配慮がなされていなかった。その結
果、走査荷電粒子ビーム軸に対して一方向からのみの観
察となり、観察像の対称性を得ることができなかった。
【0007】したがって本発明の目的は、上記従来の問
題点を解消することにあり、その主たる目的は真空中は
勿論のこと、反応性ガス中においても使用可能で、かつ
試料面に対して左右の対称性を保ちながらSIM像を得
ることのできる改良されたSIM像の観察方法を、そし
て他の目的はそれを観察可能とする改良されたイオン−
電子変換電極を有する二次イオン検出器を、それぞれ提
供することにある。
【0008】上記主たる目的は、SIM像観察装置にお
いて試料に照射する集束荷電粒子ビームの光軸の周りに
対称に配置されるイオン検出器であって、当該イオン検
出器は、第1の電極(メッシュ電極)と、第2の電極
(メッシュ電極)と、第3の電極(イオン−電子変換電
極)と、シンチレータと光電子増倍管とを有する二次電
子検出器とを備え、前記第1の電極には、一次荷電粒子
ビームを試料に照射することにより当該試料から発生し
た二次荷電粒子のうち二次イオンを選択的に引き出すた
めの電圧を印加する第1の電源が接続され、前記第2の
電極には、前記第1の電極で引き出した二次イオンを加
速するための電圧を印加する第2の電源が接続され、前
記第3の電極には、前記第2の電極よりも高い電位を発
生させるための第3の電源が接続されていることを特徴
とするイオン検出器により、達成される。また、上記目
的は、観察試料面を集束荷電粒子ビームで走査し、前記
試料面から放出された二次イオンの発生強度を電気信号
として捉えるイオン検出器によりSIM像として検出す
る方法であって、一次荷電粒子ビームを試料に照射し、
当該照射により前記試料から発生した二次荷電粒子のう
ち二次イオンを第1の電極で選択的に引き出し、当該第
1の電極(メッシュ電極)で引き出した二次イオンを、
前記第1の電極と当該第1の電極の後段に設けた第2の
電極(メッシュ電極)との間に形成したイオン加速電界
で加速し、当該イオン加速電界で加速された二次イオン
を第3の電極(イオン−電子変換電極)に衝突させて二
次電子を発生させ、当該発生させた二次電子を前記第3
の電極(イオン−電子変換電極)よりも高い電位に設定
したシンチレータと光電子増倍管とを備えた二次電子検
出器で計測することにより、前記二次電子をSIM像と
して検出することを特徴とするSIM像検出方法によ
り、達成される。
【0009】また、上記他の目的は、イオン−電子変換
電極としてメッシュ電極、対向面電極、傾斜面電極、円
錐形電極を用いることによりイオン検出器を小型化し、
また、これら検出器を走査ビーム軸に対して対称的に複
数配置することにより、容易に達成される。これらイオ
ン検出器の具体的な目的達成手段について以下に詳述す
る。
【0010】上記目的は、光電子を増幅する光電子増倍
管と、電子を光に変換するシンチレータと、イオンを電
子に変換するイオン−電子変換電極と、荷電粒子の運動
を制御する電極とを有するイオン検出器において、前記
イオン−電子変換電極をメッシュ電極で構成すると共
に、これを前記光電子増倍管の検出面と平行に、しかも
前記検出面と前記荷電粒子の運動を制御する電極との間
に配設して成るイオン検出器により、達成される。そし
て、好ましくは上記イオン−電子変換メッシュ電極の前
方に荷電粒子の運動を制御する電極として前記イオン−
電子変換メッシュ電極より低電位に設定されたメッシュ
電極からなるイオン加速手段を配設することが望まし
い。
【0011】また、上記目的は、光電子を増幅する光電
子増倍管と、電子を光に変換するシンチレータと、イオ
ンを電子に変換するイオン−電子変換電極と、荷電粒子
の運動を制御する電極とを有するイオン検出器におい
て、前記イオン−電子変換電極を、前記光電子増倍管の
検出面に対向して平行に、しかも前記検出面の中心から
偏心して配設された平板状の変換対向面電極で構成し、
前記荷電粒子の運動を制御する電極をメッシュ電極で構
成し、前記光電子増倍管の軸に対して直交する方向のイ
オンの入射部に配設して成るイオン検出器によっても、
達成される。上記シンチレータと変換対向面電極間に接
地電位に対してバイアス電圧を印加したフロート電源に
より一定加速電圧を供給しながら、入射イオンの運動を
制御する手段を配設することが望ましい。また、上記変
換対向面電極の検出面中心からの偏心の程度は、イオン
の入射部のメッシュ電極から最も離れた位置とすること
が望ましい。
【0012】また、上記目的は、光電子を増幅する光電
子増倍管と、電子を光に変換するシンチレータと、イオ
ンを電子に変換するイオン−電子変換電極と、荷電粒子
の運動を制御する電極とを有するイオン検出器におい
て、前記イオン−電子変換電極を、ロート状の傾斜面電
極で構成すると共に、その大なる開口部をイオンの入射
方向に向け前記シンチレータと荷電粒子の運動を制御す
る電極との間に配設して成るイオン検出器によっても、
達成される。この場合も上記ロート状の傾斜面電極の前
方のイオン入射方向に荷電粒子の運動を制御する電極と
して前記傾斜面電極より低電位に設定された荷電粒子制
御メッシュ電極からなるイオン加速手段を配設すること
が望ましい。このイオン加速手段としては、通常、電極
電位の異なる二枚の荷電粒子制御メッシュ電極で構成す
る。上記シンチレータと傾斜面電極および荷電粒子制御
メッシュ電極間には、接地電位に対してバイアス電圧を
印加したフロート電源により一定加速電圧を供給しなが
ら、入射イオンの運動を制御する手段を配設することが
できる。
【0013】また、上記目的は、光電子を増幅する光電
子増倍管と、電子を光に変換するシンチレータと、イオ
ンを電子に変換するイオン−電子変換電極と、荷電粒子
の運動を制御する電極とを有するイオン検出器におい
て、前記イオン−電子変換電極を、中心軸に走査荷電粒
子ビームの通過孔を有する円錐形電極で構成し、前記荷
電粒子の運動を制御する電極を、前記光電子増倍管の軸
に対して直交する方向のイオンの入射部に配設して成る
イオン検出器によっても、達成される。この場合も上記
シンチレータと円錐形電極間に接地電位に対してバイア
ス電圧を印加したフロート電源により一定加速電圧を供
給しながら、入射イオンの運動を制御する手段を配設す
ることが望ましい。
【0014】上記した何れのイオン検出器も、試料基板
上の走査荷電粒子ビーム軸に対称にその周囲に複数組配
設することができ、また、これらイオン検出器は試料基
板に平行に配設するのみならず、互いに所定の角度傾斜
させて対称的に複数組配設することもできる。
【0015】
【作用】イオン−電子変換により、反応性ガス雰囲気中
では真空中より鮮明にSIM観察像が得られる。イオン
−電子変換電極としてメッシュ電極および傾斜面電極を
用いた場合、光電子増倍管に対して軸方向のイオン検出
ができ、検出器を小型化できる。従って、走査ビーム軸
に対して対称的に複数のイオン検出器を配置することに
より、対称性のあるSIM観察像を得られる。また、二
次イオンをイオン−電子変換電極に対して90度の方向
から入射させる従来方式に類似した場合であっても、変
換電極として対向面電極及び円錐形電極を用いれば、走
査ビーム軸に対して対称的に複数配置することができ、
対称性のあるSIM観察像を得られる。
【0016】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図面を用いて説明
する。 〈実施例1〉図1から図3は、本発明の第1の実施例を
示すもので、図1は本実施例におけるイオン−電子変換
電極をメッシュ電極としたイオン検出器の構成図、図2
はイオン検出器の要部断面図、図3は各部分の接地電位
に対する電位およびイオン−電子変換の原理説明図であ
る。
【0017】まず図1において、1はイオン検出器、2
は走査荷電粒子ビーム、3は被観察試料、4は被観察試
料3から放出される二次イオンである。荷電粒子ビーム
2を被観察試料3に照射し、試料面3から放出される二
次イオン4を試料面上に左右対称に配置された小型化し
たイオン検出器1で検出し、両検出器からの信号を加算
する等の処理を加えることにより、対称性良くSIM像
を得ることが可能となる。
【0018】次に、図2および図3を用いて本実施例の
原理を説明する。なお、これらの図は片側のイオン検出
器1を示している。荷電粒子ビーム2の走査によって試
料3から放出された電子10およびイオン(二次イオン
で+イオンを意味する)4が、荷電粒子制御メッシュ電
極9の前方空間に存在している場合、接地電位に対して
低い電位(この例では−100V)に設定されたメッシ
ュ電極9によって電子10は反発し、イオン4のみがメ
ッシュ電極9に向かって加速される。メッシュ電極9を
通り抜けたイオン4は、メッシュ電極8−9間でさらに
高い電界によって十数KeV程度のエネルギを得る。つ
まり、この例ではメッシュ電極8の電位をメッシュ電極
9よりさらに低い−10.1KVに設定しており、これ
ら両電極でイオン4の加速手段を構成している。
【0019】引き続きメッシュ電極8を通り抜けたイオ
ン4は、イオン−電子変換メッシュ電極7に到達し、イ
オン4の衝撃によって電極7から二次電子10がメッシ
ュ電極8の方向に放出される。つまり、イオン4はこの
電極7で二次電子10に変換される。なお、電極7の電
位は、電極8より高めに設定され、ここでは−10KV
に設定した。イオン4の加速手段を構成する荷電粒子制
御メッシュ電極9及び8のメッシュは、それぞれ略同一
パターンからなり加速されたイオン4が十分に通過でき
る口径を有している。また、イオン−電子変換メッシュ
電極7のパターンは、図示のようにメッシュ電極9及び
8とはメッシュの位置がずれており、加速されたイオン
4がメッシュ電極7の面内に有効に衝突するように構成
されている。
【0020】バルク アンド サーフェイス エレクトロ
ン エミッション インデュウスト バイ アイオン ボン
バードメント:メソッドズ オブ オブザベーション、ジ
ャーナル オブ フィジックス:コンデンスト マター 第
3巻 42号 1991年 第8289頁〜第8296頁
〔Bulk and surface electron emission induced by io
nbombardment:methods of observation, J.Phy.:Conden
s.Matter Vol.3 No.42 (1991)P8289-8296〕による
と、電極7で放出されたほとんどの二次電子10のエネ
ルギは数eVであるので、メッシュ電極7−8間に加え
られた電界によって減速され、減速に十分なメッシュ電
極間隔でメッシュ電極7方向に運動方向を変える。さら
にメッシュ電極7を通り抜けた電子10は、より高い電
位に設定されたシンチレータ6(この例では接地電位に
設定)とメッシュ電極7との間で加速され、シンチレー
タ6に到達する。シンチレータ面6は、この電子の衝撃
により発光し、光電子増倍管5により発光強度を電気信
号として捉えることが出来る。従って、光電子増倍管5
に対して径方向ではなく軸方向から入射したイオン量を
電気信号として検出することができ、従来の90度イオ
ン−電子変換に比べ、より狭い空間で変換及び検出する
ことが可能となる。なお、何れのメッシュ電極7、8、
9も、ここでは開口径10数μmの孔のあいたガラス基
板にアルミを蒸着したものを用いた。イオン−電子変換
メッシュ電極7の材質としては、これに限らず例えばス
テンレス、Cu−Be等周知の二次電子放出機能を有す
る金属板が用いられる。また、試料3としてはSiウェ
ハを、荷電粒子ビーム2としてはGaイオンをそれぞれ
用いた。
【0021】図4には、本実施例の二次イオン検出器1
を用いて、イオン−電子変換の反応性ガスに対する有効
性を確認するため行った実験結果を示す。同図において
縦軸はイオン−電子変換率を、横軸はイオンの入射エネ
ルギをそれぞれ示している。比較のために真空雰囲気中
と、反応性ガスであるXeF2雰囲気中とについて測定
した。図示の通り、反応性ガスであるXeF2雰囲気中
では真空中に比べて高い変換率を示しており、反応性ガ
ス中で十分に使用可能なイオン検出器であることを示し
ている。
【0022】〈実施例2〉次に、図5および図6を用い
て本発明の第2の実施例を説明する。この例は実施例1
のイオン−電子変換メッシュ電極7及び荷電粒子制御メ
ッシュ電極8の代わりに、これら両者の機能を兼ね備え
たイオン−電子変換対向面電極13を用いて構成したイ
オン検出器1で、何れの図面も実施例1の図2、図3と
同様に片側のイオン検出器1を代表して示している。
【0023】図5はイオン−電子変換対向面電極を有す
るイオン検出器1の要部断面図、図6はイオン−電子変
換の原理説明図を示す。図示のようにイオン−電子変換
対向面電極13は、ステンレス平板で構成され、シンチ
レータ6に対向して所定の間隔をおいて配設され、イオ
ン入射口に設けられた荷電粒子制御メッシュ電極9に略
直交して設けられている。各電極の電位の設定は図6に
示す通りであり、電極9は接地電位に対して−100
V、電極13は−10KV、シンチレータ6は接地電位
に設定されている。
【0024】図6の各部分の電位関係から、メッシュ電
極9によりシンチレータ面6に対し径方向(光電子増倍
管の軸に直交)から入射したイオン4は、シンチレータ
6がメッシュ電極9に対して高い電位を持つので、イオ
ン−電子変換面13に向かって運動する。さらに、イオ
ン4はシンチレータ6と対向する変換面13の空間に到
達するとこの空間の高電界により、変換面13に向かっ
て加速され、変換面13へのイオンの衝撃により二次電
子10が放出される。さらに電子10はシンチレータ6
と変換面13間の電界により加速され、シンチレータ6
を発光させる。従って、光電子増倍管5に対して径方向
から入射した二次イオン量を電気信号として検出するこ
とが可能となる。イオンの入射方向は、従来の90度変
換と同一となるが、走査イオンビーム軸の周囲に左右対
称に少なくとも1組の二次イオン検出器1が配設されて
いるため、SIM象の対称性が良好である。また、実施
例1の場合に比べて、イオン4が変換電極13に漏れな
く入射するのでイオン−電子変換効率がより高くなる。
【0025】〈実施例3〉次に、図7および図8を用い
て本発明の第3の実施例を説明する。この例は実施例1
のイオン−電子変換メッシュ電極7を、ロート状に傾斜
した斜面電極(以下、変換傾斜面電極と呼ぶ)14で構
成したイオン検出器1で、何れの図面も実施例1の図
2、図3と同様に片側のイオン検出器1を代表して示し
ている。すなわち、図7はイオン−電子変換傾斜面電極
14を有するイオン検出器1の要部断面図を、図8はイ
オン−電子変換の原理説明図をそれぞれ示す。イオン−
電子変換傾斜面電極14は、Cu−Be系合金で形成
し、図示のように大きな口径側をイオン4の入射方向に
向けてシンチレータ6と電極8との間に配設されてい
る。
【0026】図8の電位関係から、メッシュ電極9によ
り入射したイオン4は、実施例1と同様の原理でメッシ
ュ電極8−9間で加速される。変換傾斜面電極14に対
してシンチレータ6は高い電位を持つので、イオン4は
主に変換傾斜面電極14に向かい、二次電子10を放出
させる。電子10は変換傾斜面電極14とシンチレータ
6間の電界によりシンチレータ6に向かって運動し、こ
れを発光させる。従って、実施例1と同様に光電子増倍
管5に対して軸方向からのイオン量を電気信号として検
出することが可能となる。この実施例は、軸方向からの
イオンを面で変換できるという特徴を持つが、先の実施
例1、2に比べ、変換傾斜面電極14の径がシンチレー
タ6の径より大きくなるために、検出器の径が大きくな
る。
【0027】〈実施例4〉次に、図9および図10を用
いて本発明の第4の実施例を説明する。この例は実施例
1のイオン−電子変換メッシュ電極7の代わりに、表面
形状を円錐形とし、その中心に走査荷電粒子ビーム2を
通す絶縁管16、シールド管17が装着された円錐形イ
オン−電子変換電極15としたものである。図9は円錐
形イオン−電子変換電極を用いたイオン検出器の要部断
面図を、図10はイオン−電子変換の原理説明図をそれ
ぞれ示す。
【0028】図9において、メッシュ電極9の前方に存
在する荷電粒子ビーム2により発生した二次イオン4
は、図10の各部の電位関係から、メッシュ電極9に向
かって加速され、これを通過する。さらに、通過したイ
オン4はシンチレータ6とメッシュ電極9間の電界を緩
和するためのメッシュ電極8により、アルミ合金製の円
錐形イオン−電子変換電極15に向かって運動し到達す
る。到達したイオンの衝撃により二次電子10が放出さ
れ、放出された電子10は主にシンチレータ6に向かっ
て進み、光電子増倍管5で検出される。従って、光電子
増倍管5に対して径方向からのイオン量を電気信号とし
て検出することが可能となる。実施例2と同様にイオン
4の入射方向が、従来の90度イオン−電子変換の検出
器に比較的近い構成であるが、走査ビーム2を円錐形変
換電極15の中心軸に通したSIM像に対する配慮がな
されているので、対称性良く像を得ることが可能とな
る。
【0029】以上、代表的な実施例を挙げて本発明の詳
細を説明したが、これらの実施例は何れも走査荷電粒子
ビーム軸を中心にして一組のイオン検出器を左右対称
に、しかも試料面に対して平行に配設したものである
が、さらに多数の組を隣接して同一面上に配設すること
も可能であり、対称性良くSIM像を得ることができ
る。また、これらイオン検出器は、試料面に対して必ず
しも平行に配設する必要はなく、所定の角度傾斜させて
もよい。
【0030】
【発明の効果】本発明により、所期の目的を達成するこ
とができた。すなわち、反応性の高いエッチングガス等
の雰囲気中でもイオンを効率良く電子に変換し、対称性
の良い被観察試料面の走査二次荷電粒子信号を得ること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例となるイオン−電子変換メッ
シュ電極を用いた二次イオン検出器の断面図。
【図2】同じくイオン−電子変換メッシュ電極を用いた
イオン検出器の要部断面図。
【図3】同じくイオン−電子変換メッシュ電極を用いた
イオン検出器の原理説明図。
【図4】同じく測定結果の一例を示すイオン−電子変換
率の特性曲線図。
【図5】同じく他の実施例となるイオン−電子変換対向
面電極を用いたイオン検出器の要部断面図。
【図6】同じくイオン−電子変換対向面電極を用いたイ
オン検出器の原理説明図。
【図7】同じくさらに異なる実施例となるイオン−電子
変換傾斜面電極を用いたイオン検出器の要部断面図。
【図8】同じくイオン−電子変換傾斜面電極を用いたイ
オン検出器の原理説明図。
【図9】同じくさらに異なる実施例となる円錐形イオン
−電子変換電極を用いたイオン検出器の要部断面図。
【図10】同じく円錐形イオン−電子変換電極を用いた
イオン検出器の原理説明図。
【符号の説明】
1…イオン検出器、 2…荷電粒
子ビーム、3…被観察試料、
4…二次イオン、5…光電子増倍管、
6…シンチレータ、7…イオン−電子変換メッシ
ュ電極、 8、9…荷電粒子制御メッシュ電極、10…
二次電子、 11、16…絶縁管、1
2、17…シールド管、 13…イオン−
電子変換対向面電極、14…イオン−電子変換傾斜面電
極、 15…円錐形イオン−電子変換電極。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 嶋瀬 朗 神奈川県横浜市戸塚区吉田町292番地 株式会社日立製作所生産技術研究所内 (72)発明者 伊藤 文和 神奈川県横浜市戸塚区吉田町292番地 株式会社日立製作所生産技術研究所内 (56)参考文献 特開 昭62−190641(JP,A) 特開 平2−301949(JP,A) 特開 昭58−35854(JP,A) 特開 昭48−75290(JP,A) 特開 昭48−104596(JP,A) 特開 昭51−35388(JP,A) 特開 平3−81938(JP,A) 特開 昭48−95294(JP,A) 特開 平4−276509(JP,A) 特開 昭49−66395(JP,A) 実開 昭63−108156(JP,U) 特公 昭51−44433(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01J 37/244 H01J 37/252

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】SIM像観察装置において試料に照射する
    集束荷電粒子ビームの光軸の周りに対称に配置されるイ
    オン検出器であって、当該イオン検出器は、第1の電極
    と、第2の電極と、イオン−電子変換電極を構成する
    3の電極と、シンチレータと光電子増倍管とを有する二
    次電子検出器とを備え、前記第1の電極には、一次荷電
    粒子ビームを試料に照射することにより当該試料から発
    生した二次荷電粒子のうち二次イオンを選択的に引き出
    すための電圧を印加する第1の電源が接続され、前記第
    2の電極には、前記第1の電極で引き出した二次イオン
    を加速するための電圧を印加する第2の電源が接続さ
    れ、前記イオン−電子変換電極を構成する第3の電極に
    は、前記第2の電極よりも高い電位を発生させるための
    第3の電源が接続されていることを特徴とするイオン検
    出器。
  2. 【請求項2】SIM像観察装置において集束荷電粒子ビ
    ームを試料に照射することにより前記試料から発生する
    二次イオンを検出するイオン検出器であって、当該イオ
    ン検出器は、第1の電極と、当該第1の電極を前記試料
    に対して負の電位に設定する第1の電位設定手段と、前
    記集束荷電粒子ビームに対して前記第1の電極の後段に
    配置された第2の電極と、当該第2の電極を前記第1の
    電極よりも低い負の電位に設定する第2の電位設定手段
    と、前記集束荷電粒子ビームに対して前記第2の電極よ
    りも後段に設置されたイオン−電子変換電極を構成する
    第3の電極と、当該第3の電極を前記第2の電極よりも
    高い負の電位に設定する第3の電位設定手段と、シンチ
    レータと光電子増倍管とを有する二次電子検出器とを備
    えていることを特徴とするイオン検出器。
  3. 【請求項3】前記第1の電極と前記第2の電極とは、メ
    ッシュ電極で構成されていることを特徴とする請求項1
    もしくは2に記載のイオン検出器。
  4. 【請求項4】前記第1の電極と前記第2の電極と前記第
    3の電極とは、メッシュ電極で構成されていることを特
    徴とする請求項1もしくは2に記載のイオン検出器。
  5. 【請求項5】観察試料面を集束荷電粒子ビームで走査
    し、前記試料面から放出された二次イオンの発生強度を
    電気信号として捉えるイオン検出器によりSIM像とし
    て検出する方法であって、一次荷電粒子ビームを試料に
    照射し、当該照射により前記試料から発生した二次荷電
    粒子のうち二次イオンを第1の電極で選択的に引き出
    し、当該第1の電極で引き出した二次イオンを、前記第
    1の電極と当該第1の電極の後段に設けた第2の電極と
    の間に形成したイオン加速電界で加速し、当該イオン加
    速電界で加速された二次イオンを第3の電極に衝突させ
    て二次電子を発生させ、当該発生させた二次電子を前記
    第3の電極よりも高い電位に設定したシンチレータと光
    電子増倍管とを備えた二次電子検出器で計測することに
    より、前記二次電子をSIM像として検出することを特
    徴とするSIM像検出方法。
  6. 【請求項6】観察試料面を集束荷電粒子ビームで走査
    し、前記試料面から放出された二次イオンを前記集束荷
    電粒子ビームの光軸に対して対称に配置されたイオン検
    出器によりSIM像として検出する方法であって、前記
    光軸に対して対称に配置されたイオン検出器は、第1の
    電極と、第2の電極と、第3の電極と、シンチレータと
    光電子増倍管とを有する二次電子検出器とを備え、一次
    荷電粒子ビームを試料に照射することにより当該試料か
    ら発生した二次荷電粒子のうち二次イオンを前記第1の
    電極で選択的に引き出し、当該第1の電極で引き出した
    二次イオンを前記第1の電極と前記第2の電極との間に
    形成したイオン加速電界で加速し、当該イオン加速電界
    で加速された二次イオンを前記第3の電極に衝突させて
    二次電子を発生させ、当該発生させた二次電子を前記第
    3の電極よりも高い電位に設定した前記二次電子検出器
    のシンチレータに入射させることによりSIM像を検出
    することを特徴とするSIM像検出方法。
  7. 【請求項7】前記第1の電極と前記第2の電極とは、メ
    ッシュ電極で構成されていることを特徴とする請求項5
    もしくは6に記載のSIM像検出方法。
  8. 【請求項8】前記第1の電極と前記第2の電極と前記第
    3の電極とは、メッシュ電極で構成されていることを特
    徴とする請求項5もしくは6に記載のSIM像検出方
    法。
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