JP3459438B2 - ポリビニルアルコール−デンプン誘導体組成物およびその用途 - Google Patents

ポリビニルアルコール−デンプン誘導体組成物およびその用途

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、相溶性が良好で長時間
放置しても相分離しない水溶液が得られるポリビニルア
ルコール系樹脂およびでんぷん系樹脂からなるフィルム
形成性組成物およびその用途、特に、該組成物を用いた
生分解性を有するフィルム、高速塗工性にすぐれた接着
剤組成物、紙用バリヤー剤および紙用の表面サイジング
剤、ならびに塗工紙の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリビニルアルコール系樹脂(以下PV
Aと略記することがある)は、水溶液の安定性が良好な
こと、得られたフィルムの強度が他の水溶性物質に比べ
非常に大きいことなどの特徴を有することから、経糸糊
剤、紙加工剤、接着剤などとして幅広く用いられてい
る。PVAを使用する際には組成物のトータルコストを
下げる目的で、でんぷんとポリビニルアルコール系樹脂
をブレンドすることが既に広く行われているが、数多く
の問題があった。例えば経糸糊剤において、ブレンドす
るでんぷんの種類によっては得られたフィルムの強度が
著しく低下するために、製織時のトラブルが増加した
り、経糸糊剤水溶液を無撹拌あるいは弱い撹拌下で保存
しておくと水溶液がでんぷん主体の相とPVA主体の相
に相分離し、安定な糊づけができないといった問題が発
生することがあった。
【0003】一方、近年、屋外に放置するだけで自然に
生分解されて形態崩壊する生分解性フィルムは自然界を
汚染することが少ないことから、環境にやさしいフィル
ムとして検討が進められつつある。かかるフィルムとし
て、従来、でんぷんが生分解されることによりフィルム
が形態崩壊することを目的として、熱可塑性樹脂に生分
解性を有するでんぷん等を配合したフィルムが検討され
ているが、熱可塑性樹脂とでんぷんの相溶性が悪く、得
られたフィルムの強度が熱可塑性樹脂に比べて著しく低
下し、さらにでんぷんと比べて著しく生分解性が劣る熱
可塑性樹脂の崩壊に時間がかかるという問題があった。
また、でんぷん等の生物に由来する高分子のみで生分解
性フィルムを作る試みも行われているが、生物に由来す
る高分子は一般にもろく、強靭なフィルムを作りにくい
という問題があった。さらに、でんぷん等の生物に由来
する高分子からなるフィルムのもろさを改善するため
に、水溶性合成高分子であるポリビニルアルコール系樹
脂をブレンドすることも試みられてきたが、この両者は
本質的に相溶性が良くないために、製膜原液の水溶液の
安定性が悪く、両者が相分離したり、水溶液の粘度が経
時的に変化するなどの取扱い上の種々の問題を有し、さ
らに、得られたフィルムの機械的物性についても満足で
きるものは見出されていなかつた。
【0004】また、接着剤組成物としては、従来、段ボ
ール用、板紙用、紙管用、その他合紙用などの紙用接着
剤として水性接着剤が広く使われている。これらの接着
剤の主成分は、酢酸ビニル、アクリル酸エステル、エチ
レン−酢酸ビニルなどの単量体の重合体からなる合成エ
マルジョン;スチレン−ブタジエンラバー(SBR)、
アクリロニトリル−ブタジエンラバ−(NBR)、イソ
プレンラバー(IR)、天然ゴム(NR)などのラテッ
クス;PVA、でん粉、変性でん粉、変性セルロース、
カゼイン、ゼラチンなどの合成または天然糊料などであ
る。また合板または合板二次加工用の木材用接着剤とし
ては、尿素樹脂、尿素−メラミン樹脂、フェノール樹脂
などが主として使用されている。これらの木材用接着剤
は安価なものが多く、初期接着力がすぐれており、耐水
性も良好である。 しかしながら、最近は紙用接着剤および木材用接着剤の
塗工速度が大きくなってきている。例えば合紙用接着剤
は、従来は1分間に60〜70mの速度で塗工されてい
たが、最近では1分間に100〜150mの速度で塗工
される場合が多くなっており、その結果すぐれた高速塗
工性と初期接着性が必要とされている。
【0005】さらに、紙用接着剤は安価で初期接着力に
すぐれているものが多いが、高速塗工性および初期接着
性が同時にすぐれているものは少ない。合成エマルジョ
ンやラテックスは、そこそこの塗工性を有してはいる
が、温水または熱水浸漬時の耐歪み性が低く、耐熱クリ
ープ性にも問題があり、また初期接着性も充分とはいえ
ない。また木材用接着剤として一般に使用されている尿
素樹脂、尿素−メラミン樹脂などのホルマリン系接着剤
は、これに残留しているホルムアルデヒド(以下、ホル
マリンと略記する)が原因で、合板製造時の作業環境を
悪くしたり、これを使用した合板で作られた家具や住宅
からホルマリンが放出されることが最近大きな問題にな
っており、これらの樹脂からホルマリンの放出を少なく
する試みが行われている。例えば尿素、メラミンに対す
るホルマリンのモル比を小さくしたり、遊離ホルマリン
の吸収剤を添加するなどの検討がなされてはいるが、本
質的にホルマリンを絶無にすることはできず、完全に安
全とはいえないのが現状である。またこれらのホルマリ
ン系接着剤は耐候性や耐久性に問題があると言われてい
る。一方、PVA系接着剤は接着性が良好であり、ある
程度の耐水性も兼ね備えていることから、接着剤として
広く使用されている。しかしながら、PVA系接着剤
は、高速塗工性に問題があり、ロール塗工時にロールに
すじが発生して塗工むらが生じたり、ロール間での接着
剤の糸引き、糊飛び、発泡などが生じるために、高速塗
工に限界が生じている。でん粉や加工セルロースなどの
天然糊剤は、塗工性は一般に良好であるが初期接着性、
耐水性、耐久性などに問題があり、特殊な場合を除いて
単独では使用されていない。天然糊剤のうち、カゼイン
やゼラチンは高価であり、品質のばらつきや保存性に問
題があることから、接着剤としてはラベル用や墨用など
の特殊な分野に使用されているに過ぎない。PVAとで
ん粉との混合物は、接着剤のコスト低下のためによく使
用されているが、高速塗工性および初期接着性のいずれ
も不充分であり、両者の欠点が残されていることが多
い。
【0006】紙用バリヤー剤に関しては、従来より、P
VAがバリヤー剤として使用されている。PVAは、表
面強度、平滑度、光沢あるいはバリヤー性(空気、油あ
るいは有機溶剤の吸収性や透過性などを低下させる性
質)などの紙の表面特性を改善するためのクリヤーコー
ティング剤や、顔料コーティングにおけるバインダーと
しても広く使用されており、造膜性および皮膜強度にお
いて他の水溶性高分子の追随を許さぬ優れた性質を有す
ることから、バリヤー性を有する紙を生産する際には、
バリヤー剤として広く使用されている。しかしながら近
年バリヤー紙に関して、生産性の向上が要求されてお
り、特にゲートロールコーター(以下GRCと略記する
ことがある)で、バリヤー剤をオンマシン塗工するケー
スが増えている。GRCにてオンマシン塗工する場合に
は、抄紙速度と同等の高速度でのバリヤー剤の塗工が要
求される。従来のPVAの場合には、塗工速度を上げた
り液濃度を高めたりすると、塗工性が悪化し、特にロー
ル上の液膜がスジ状になり、それがそのまま紙上に転写
される結果、塗布むらの発生やロールからの塗工液の飛
び散りが著しくなるという欠点があった。
【0007】紙用の表面サイジング剤は、従来より、紙
の表面強度の向上および印刷適性の向上などの目的で行
う紙の表面サイジングの際に、表面サイジング剤とし
て、でんぷん、ポリアクリルアミドあるいはPVAなど
が用いられている。PVAは他の重合体に比較して、紙
用の表面サイジング剤として表面強度の向上および印刷
適性の向上などの点で優れているが、さらに塗工性の向
上や紙の表面強度の向上を計ろうとする場合には、従来
のPVAでは困難な場合が多いのが現状である。近年、
特に木材資源の不足から、良質の針葉樹にかわって広葉
樹の使用が増加しており、広葉樹に大量に含まれる導管
細胞が印刷時に剥離して印刷画に白点を与える導管むけ
が問題となってきている。この不都合な現象を防止する
ために紙の表面強度を向上させるためには、多量のサイ
ジング剤を塗工する必要があった。従来のPVAでは塗
工量を増すために塗工液の濃度を上げると、塗工性、特
に高速塗工性が悪化するという問題があった。また、新
聞紙などのように大量生産される紙の表面サイジング
は、生産性を上げるためにゲートロールコーター(以下
GRCと略記することがある)でオンマシン塗工するケ
ースが増えている。GRCにてオンマシン塗工する場合
には、抄紙速度と同等の高速でサイジング剤を塗工する
ことが要求されるが、従来のPVAでは塗工速度を上げ
ると、濃度が低くても塗工性が悪く、特にロールからの
塗工液の飛び散りが著しくなるという欠点があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】このような事情に鑑
み、本発明は、水溶液の安定性が良好で得られたフィル
ム強度が大きいことなどのPVAの特性をも有するPV
Aとでんぷん系化合物からなる組成物を提供することを
目的とする。また、本発明は、強靭で、屋外に放置する
と速やかに生分解される性質を有するフィルムを提供す
ることをも目的とする。さらに本発明は、高速塗工性と
初期接着性にすぐれた接着剤組成物を提供することをも
目的とする。さらに本発明は、紙の表面にコーティング
することにより、紙にバリヤー性を付与し、従来のバリ
ヤー剤よりも高速塗工性に優れた紙用バリヤー剤を提供
することをも目的とする。さらに本発明は、塗工した紙
の表面強度が大きく、印刷適性が良好であるというPV
Aの特性は損なわず、従来の表面サイジング剤よりも高
速塗工性に優れた紙用の表面サイジング剤を提供するこ
とをも目的とする。さらに本発明は、該紙用の表面サイ
ジング剤を用いた塗工紙の製造方法を提供することをも
目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本願発明者らは水溶液の安定性が良好で得られたフ
ィルムの強度が大きいことなどのPVAの特性をも有す
るPVAとでんぷん系化合物からなる組成物について鋭
意検討した結果、ポリビニルアルコール系樹脂(A)な
らびにでんぷん構造部分100重量部に対してカルボキ
シル基含有単量体、スルホン酸基含有単量体、アミノ基
含有単量体、第4級アンモニウム塩基含有単量体、アミ
ド基含有単量体、ビニルエステルおよびビニルピロリド
ンより選ばれた少なくとも1種の単量体を1〜00重
量部グラフト重合して得られた10重量%の水溶液粘度
が1000cP以下のでんぷん系化合物(B)(以下、
でんぷん系化合物(B)と略記する)からなる組成物を
見いだし、さらにこれが優れた強伸度および生分解性を
有するフィルムとして有用であることを見いだした。
【0010】さらに本発明者らは、上記組成物からなる
接着剤組成物が、従来の紙用接着剤または木材用接着剤
よりも著しく優れた高速塗工性および初期接着性を有す
ることを見いだした。この理由は十分には解明されてい
ないが、ポリビニルアルコール系樹脂(A)とでんぷん
系化合物(B)との相溶性が良好なために、得られた塗
膜が強靭であり、接着直後の接着剤の粘度上昇が早いた
めに、初期接着力が高くなり、さらにでんぷんが本来有
する塗工性の良さが発現するものと推定している。
【0011】さらに本発明者らは、上記組成物からなる
紙用バリヤー剤が、良好なバリヤー性と良好な塗工性を
同時に有していることを見いだした。この理由は十分に
は解明されていないが、ポリビニルアルコール系樹脂
(A)とでんぷん系化合物(B)の水溶液の相溶性が良
好なことに起因するものと推定される。
【0012】さらに本発明者らは、上記組成物からなる
紙用の表面サイジング剤が塗工性に優れていることを見
いだした。この理由は十分には解明されていないが、ポ
リビニルアルコール系樹脂(A)とでんぷん系化合物
(B)のブレンド物の水溶液は、せん断力がかかってい
ない状態では該水溶液は均一な状態を保っているが、高
速塗工時などのように水溶液に高いせん断あるいは伸長
挙動がかかる場合には該水溶液が相分離するため、ロー
ルからの塗工液の飛び散りが減少するものと推定され
る。かくして本発明を完成させるに到った。
【0013】すなわち、本発明は、(1)ポリビニルア
ルコール系樹脂(A)ならびにでんぷん構造部分100
重量部に対してカルボキシル基含有単量体、スルホン酸
基含有単量体、アミノ基含有単量体、第4級アンモニウ
ム塩基含有単量体、アミド基含有単量体、ビニルエステ
ルおよびビニルピロリドンより選ばれた少なくとも1種
の単量体を1〜200重量部グラフト重合して得られた
10重量%の水溶液粘度が1000cP以下のでんぷん
系化合物(B)からなる組成物、(2)上記(1)記載
の組成物からなるフィルム、(3)上記(1)記載の組
成物からなる接着剤組成物、(4)上記(1)記載の組
成物からなる紙用バリヤー剤、(5)上記(1)記載の
組成物からなる紙用の表面サイジング剤、および(6)
上記(5)記載の紙用の表面サイジング剤をロールコー
ターを用いて、300m/分以上の速度で塗工すること
を特徴とする塗工紙の製造方法を提供するものである。
【0014】本発明に使用するポリビニルアルコール系
樹脂(A)は、一般に、酢酸ビニルを塊状、溶液、懸
濁、乳化などの公知の重合方法によって重合または共重
合して得られたポリ酢酸ビニルを公知の方法によりけん
化することにより得られる。ただし、接着剤組成物の場
合は、ポリ酢酸ビニルに限定されず、ギ酸ビニル、プロ
ピオン酸ビニル、酪酸ビニル、バーサティック酸ビニ
ル、ピバリン酸ビニルなどのビニルエステルから上記公
知重合方法により得られるポリビニルエステルを使用し
てもよいが、工業的に安価に製造される酢酸ビニルが好
ましく使用される。
【0015】ポリビニルアルコール系樹脂(A)のけん
化度としては60〜100モル%が好ましく、70〜9
9.9モル%がより好ましく、80〜99.5モル%がさ
らにより好ましい。けん化度が60モル%より低い場合
にはポリビニルアルコール系樹脂(A)の水溶性が低下
したり、ポリビニルアルコール系樹脂(A)とカルボン
酸含有オレフィン系モノマーをグラフト重合したでんぷ
ん系化合物(B)との相溶性が低下する傾向があり好ま
しくない。
【0016】ポリビニルアルコール系樹脂(A)の重合
度は一般に200以上が好ましく、組成物、フィルムの
場合は300〜20000がより好ましく、500〜1
0000がさらにより好ましい。接着剤組成物の場合
は、500〜5000がより好ましい。紙用バリヤー剤
の場合は、200〜5000が好ましく、300〜30
00がより好ましく、700〜2000がさらにより好
ましい。紙用の表面サイジング剤の場合は、200〜5
000が好ましく、300〜3000がより好ましく、
700〜2500がさらにより好ましい。ポリビニルア
ルコール系樹脂(A)の重合度が200未満の場合に
は、組成物やフィルムの場合は得られたフィルムの強度
が低下し、接着剤組成物の場合は初期接着性および平衡
接着性が低下し、紙用バリヤー剤の場合は紙のバリヤー
性向上の度合が小さくなり、紙用の表面サイジング剤の
場合は紙の表面強度がほとんど向上せず好ましくない。
また、紙用バリヤー剤および紙用の表面サイジング剤の
場合、重合度が5000を超えると塗工性が低下し、ロ
ール上にすじが発生したり、ロールから塗工液の飛び散
りが増加する。
【0017】本発明に使用するポリビニルアルコール系
樹脂(A)は異なる2種類以上のポリビニルアルコール
系樹脂をブレンドしても良い。ただし、紙用の表面サイ
ジング剤の場合は、ブレンドするポリビニルアルコール
系樹脂の重合度が接近しているほうが、ロールからの塗
工液の飛び散りに関しては好ましい。
【0018】ここでポリビニルアルコール系樹脂(A)
の重合度は該ポリビニルアルコール系樹脂の完全けん化
物の水溶液の粘度から通常の方法で求めた粘度平均重合
度である。
【0019】本発明に使用するポリビニルアルコール系
樹脂(A)は、他のモノマーと共重合を行っても良く、
また、連鎖移動剤を使用してポリマー末端を修飾したも
のも使用できる。ビニルエステルと共重合するエチレン
性モノマーとしては、ビニルエステルと共重合可能なも
のてあれば特に制限はなく、例えば、エチレン、プロピ
レン、n−ブテン、イソブテン、1−ヘキサデセン等の
α−オレフィン類、(メタ)アクリル酸、フマル酸、イ
タコン酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸等
のカルボン酸含有単量体及びその塩、(メタ)アクリル
酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリ
ル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエ
チル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メ
タ)アクリル酸ステアリル等の(メタ)アクリル酸エス
テル類、フマル酸ジメチル、イタコン酸ジメチル、マレ
イン酸ジメチル、マレイン酸モノメチル、クロトン酸ジ
メチル等のエステル類、メチルビニルエーテル、エチル
ビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、ラウリルビニ
ルエーテル、ステアリルビニルエーテル等のビニルエー
テル類、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、メタア
リルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロ
パンスルホン酸等のスルホン酸基含有単量体及びその
塩、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メ
タ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリル
アミド、N−t−ブトキシ(メタ)アクリルアミド、N
−t−オクチル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルピ
ロリドン等のアミド基含有の単量体、ジメチルアミノエ
チル(メタ)アクリルアミド等のアミノ基含有単量体、
(メタ)アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウ
ムクロリド等の4級アンモニウム塩含有単量体、ビニル
ヒドロキシシラン、(メタ)アクリル酸−3−トリメト
キシシリルプロピル等のシリル基含有単量体、アリルア
ルコール、ジメチルアリルアルコール、イソプロペニル
アルコール等の水酸基含有単量体、アリルアセテート、
ジメチルアリルアセテート、イソプロペニルアセテート
等のアセチル基含有単量体等が挙げられる。
【0020】本願発明に使用するでんぷん系化合物
(B)としては、でんぷん構造部分100重量部に対し
てカルボキシル基含有単量体、スルホン酸基含有単量
体、アミノ基含有単量体、第4級アンモニウム塩基含有
単量体、アミド基含有単量体、ビニルエステルおよびビ
ニルピロリドンより選ばれた少なくとも1種の単量体か
らなるグラフト部分(以下、グラフト部分と略記する)
が1〜200重量部であり、1〜100重量部が好まし
く、5〜50重量部がより好ましく、10〜30重量部
がさらにより好ましい。でんぷん構造部分100重量部
に対してグラフト部分が1重量部よりも少ないものは、
一般に、糊液を無撹拌あるいは弱い撹拌下で保存してお
くと相分離が起こりやすくなり、フィルムにおけるキャ
スト製膜が難しくなる傾向がある。特に紙用バリヤー剤
の場合、サイジング剤水溶液の高速塗工性、特にロール
上の液膜がスジ状になり、それがそのまま紙上に転写さ
れることによる塗布むらや、ロールからのサイジング剤
水溶液の飛び散りが起こりやすくなる。また、サイジン
グ剤水溶液を無撹拌あるいは弱い撹拌下で保存しておく
と相分離が起こりやすくなる傾向がある。でんぷん構造
部分100重量部に対してグラフト部分が00重量部
より大きいものでも本願発明の効果は変わらないが、で
んぷんのグラフト化度が高くなるほどコストアップとな
る。
【0021】本発明に使用するでん粉系化合物(B)の
グラフト部分のグラフト重合用単量体としては、カルボ
キシル基含有単量体、スルホン酸基含有単量体、アミノ
基含有単量体、第4級アンモニウム塩基含有単量体、ア
ミド基含有単量体、ビニルエステルおよびビニルピロリ
ドンより選ばれた少なくとも1種の単量体である。カル
ボキシル基含有単量体としては(メタ)アクリル酸、フ
マル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸またはそ
のエステル類、無水マレイン酸等が挙げられる。スルホ
ン酸基含有単量体としてはビニルスルホン酸、アリルス
ルホン酸、メタアリルスルホン酸、2−アクリルアミド
−2−メチルプロパンスルホン酸等およびその塩などが
挙げられる。アミノ基含有単量体としては(メタ)アク
リルアミドプロピルトリメチルアミンなどのほかに、N
−ビニルアセトアミド、N−ビニルメチルアセトアミ
ド、N−ビニルホルムアミドなどのグラフト重合した後
アミド基をけん化することによりアミノ基に変換しうる
単量体が挙げられる。第4級アンモニウム塩基含有単量
体としては(メタ)アクリルアミドプロピルトリメチル
アンモニウムクロリドなどが挙げられる。アミド基含有
単量体としては(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメ
チル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)
アクリルアミド、N−t−ブトキシ(メタ)アクリルア
ミド、N−t−オクチル(メタ)アクリルアミドなどが
挙げられる。ビニルエステルとしてはギ酸ビニル、酢酸
ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、バーサティ
ック酸ビニル、ピバリン酸ビニルなどが挙げられ、これ
らの単量体をグラフト重合した後けん化して完全けん化
または部分けん化のポリビニルアルコールからなるグラ
フト部分を有するでんぷん系化合物(B)も使用するこ
とができる。ビニルピロリドンとしては、N−ビニルピ
ロリドンが挙げられる。これらの単量体は上記に例示さ
れた単量体に限定されるものではない。また、これらの
単量体は2種以上を混合して使用することもできる。
【0022】また、グラフト重合によりでんぷんに導入
されたカルボン酸またはスルホン酸は、その一部がアル
カリにより中和されていても良い。これらの酸の中和度
は特に制限はないが、0〜90モル%が好ましく、0〜
80モル%がより好ましく、0〜60モル%がさらによ
り好ましい。
【0023】本願発明に使用する上記の単量体をグラフ
ト重合する前の原料でんぷんとしては、生でんぷん、酸
化でんぷん、酸処理でんぷん、エーテル化でんぷん、エ
ステル化でんぷん 等の加工でんぷん等がいずれも使用
できる。
【0024】本発明に使用するでんぷん系化合物(B)
の水溶液の粘度は特に制限はないが、一般に、120
℃、10分の糊化条件で溶解した10重量%の水溶液を
BL型粘度計を用いて90℃、60rpmにて測定した
粘度が1000cP以下が好ましく、500cP以下が
より好ましく、100cP以下がさらにより好ましい。
また、特に紙用バリヤー剤および紙用の表面サイジング
剤の場合、該粘度は1〜1000cPが好ましく、1〜
500cPがより好ましく、2〜100cPがさらによ
り好ましい。
【0025】本発明におけるポリビニルアルコール系樹
脂(A)とでんぷん系化合物(B)の配合比率は、一般
に、ポリビニルアルコール系樹脂(A)100重量部に
対して、でんぷん系化合物(B)1〜200重量部が好
ましく、2〜100重量部がより好ましく、5〜50重
量部がさらにより好ましい。特にフィルムの場合は、5
〜150重量部がより好ましく、10〜100重量部が
さらにより好ましい。ポリビニルアルコール系樹脂
(A)100重量部に対して、でんぷん系化合物(B)
が200重量部より大きくなると、得られたフィルム強
度が低下し、接着剤組成物の初期接着力が低下し、紙の
バリヤー性が低下し、塗工した紙の表面強度が低下して
くる。ポリビニルアルコール系樹脂(A)100重量部
に対して、でんぷん系化合物(B)が1重量部より小さ
くなると、コストダウン効果などのブレンドの効果が低
下し、フィルムの生分解性が低下する。また、紙用バリ
ヤー剤および紙用の表面サイジング剤の場合は、高速塗
工時における塗工液の流動性、特にロール上の液膜がス
ジ状になり、それがそのまま紙上に転写されることによ
る塗布のむらや、ロールからの塗工液の飛び散りが増加
する。
【0026】本発明の紙用バリヤー剤の塗工液の濃度は
0.1〜30重量%が好ましく、0.2〜20重量%がよ
り好ましく、0.5〜15重量%がさらにより好まし
い。塗工液の濃度が0.1重量%未満の場合には、紙の
バリヤー性の発現が小さい。塗工液の濃度が30重量%
より高い場合には、塗工性が悪く、特にロールからの塗
工液の飛び散りが増加し、また通常の塗工時においては
紙に対するバリヤー剤の付着量が多くなりすぎ経済的で
ない。
【0027】本発明の紙用の表面サイジング剤の濃度
は、0.1〜30重量%が好ましく、0.5〜20重量%
がより好ましい。濃度が0.1重量%未満の場合には、
紙の表面強度がほとんど向上しない。濃度が30重量%
より高い場合には、塗工性が悪く、特にロールからの塗
工液の飛び散りが著しくなる。また、濃度が30重量%
より高い場合には通常の塗工の際に紙に対するサイジン
グ剤の付着量が多くなりすぎ経済的でない。
【0028】本発明はポリビニルアルコール系樹脂
(A)とでんぷん系化合物(B)からなるものである
が、本発明の効果を損なわない範囲で、他のでんぷん、
CMC、無機顔料、有機顔料、他の助剤(例、消泡剤、
帯電防止剤、防カビ剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑
剤、着色剤、熱安定剤、可塑剤など)のほか、その他の
高分子化合物や無機物を加えてもよい。
【0029】特に接着剤組成物の場合は、主成分である
ポリビニルアルコール系樹脂(A)およびでんぷん系化
合物(B)に加え、さらに第3成分として水性エマルジ
ョン(C)を配合しても良く、さらに第4成分として架
橋剤(D)を配合しても良い。
【0030】本発明の接着剤組成物に使用される水性エ
マルジョン(C)としては、スチレン−ブタジエン共重
合体ラテックス、アクリロニトリル−ブタジエン共重合
体ラテックス、クロロプレンラテックス、ポリ(メタ)
アクリル酸エステルエマルジョン、ブチルゴムラテック
ス、ポリ塩化ビニリデンエマルジョン、ポリ塩化ビニル
エマルジョン、ポリブタジエンラテックス、メチルメタ
アクリレート−ブタジエン共重合体ラテックス、エチレ
ン−酢酸ビニル共重合体エマルジョン、ポリ酢酸ビニル
エマルジョンなどが挙げられる。これらのラテックスあ
るいはエマルジョンは、カルボキシル基変性したもの、
一級アルコール基含有変性したものでもよい。ポリビニ
ルアルコール系樹脂(A)と水性エマルジョン(C)の
配合比率は特に制限はないが、ポリビニルアルコール系
樹脂(A)100重量部に対して、水性エマルジョン
(C)は固形分換算で10〜600重量部が好ましく、
50〜300重量部がより好ましい。
【0031】本発明の接着剤組成物に使用される架橋剤
(D)としては、本発明に用いられるポリビニルアルコ
ール系樹脂(A)の水酸基あるいはでんぷん系化合物
(B)、水性エマルジョン(C)に含有されるカルボキ
シル基やその他の官能基と反応して架橋構造をつくり、
水不溶性の接着剤層を形成するものを言う。たとえば2
価以上の多価イソシアネート化合物が挙げられ、その具
体例としては、トリレンジイソシアネート(TDI)、
水素化TDI、トリメチロールプロパン−TDIアダク
ト、トリフェニルメタントリイソシアネート(TT
I)、メチレンビス−ジフェニルイソシアネ−ト(MD
I)、水素化MDI、ヘキサメチレンジイソシアネー
ト、キシレンジイソシアネート、4,4'−ジシクロヘキ
シルメタンジイソシアネートなどがある。これらのイソ
シアネート化合物は、水と反応するために、水とはほと
んど相互溶解性がなく、かつイソシアネート化合物を溶
解する溶剤に溶解して使用することが好ましい。さらに
イソシアネート化合物−溶剤系に界面活性剤を添加する
ことにより、可使用時間が長くなり、架橋効率が向上す
る。その他の架橋剤としては、グリオキザール、グルタ
ルアルデヒドなどの多価アルデヒド化合物、多価エポキ
シ化合物、硼酸、硼酸塩などの硼素化合物などが使用で
きる。架橋剤(D)の配合比率は特に制限はないが、ポ
リビニルアルコール系樹脂(A)100重量部に対し
て、固形分換算で0.5〜100重量部が好ましく、5
〜50重量部がより好ましい。
【0032】また必要に応じて、充填剤、防腐剤、防黴
剤、消泡剤、増粘剤、濡れ性改良剤、香料、着色剤など
を添加しても良い。また、糊液の流動性、接着性を改良
する目的で、でん粉類、ガム類、CMC、MC、アルギ
ン酸ソーダを添加することができる。充填剤としては、
クレー、タルク、炭酸カルシウムなどの無機質充填剤の
ほかに、木粉、くるみ殻粉、尿素樹脂、メラミン樹脂な
どの有機質充填剤も使用することができる。本発明の接
着剤組成物を用いて、水性接着剤を製造するには、ポリ
ビニルアルコール系樹脂(A)、でんぷん系化合物
(B)、充填剤等を、撹拌下の水中に投入し、昇温して
溶解する。さらに水性エマルジョン(C)を配合する場
合には、上記の接着剤溶液を冷却した後、水性エマルジ
ョン(C)を撹拌しながら混合する。また架橋剤(D)
は組成物によっても異なるが、通常は接着剤を使用する
直前に添加する。
【0033】本発明の接着剤組成物を水に溶解する場
合、でんぷん系化合物(B)の種類によっては、100
℃以下の水に溶解しないことがあり、その場合にはオー
トクレーブなどの加圧容器中で高温溶解する。本発明の
接着剤組成物は、特に紙用および木材用に適している。
その具体例としては、合板用またはその二次加工用木工
用、パーティクルボード用などの木材用、段ボール用紙
/木用、布用、繊維加工用、陶磁器用、無機板用、鉱物
質無機板用、プラスチックシート用、ガラス用等の接着
剤が挙げられる。本発明の接着剤組成物を用いて接着す
る場合には、常温での接着でも充分な接着力が得られる
が、接着力とくに耐水接着力を向上させる必要がある場
合あるいは被着体の種類によっては熱圧着してもよい。
【0034】本発明の紙用バリヤー剤および紙用の表面
サイジング剤を塗布する紙としては特に制限はないが、
例えばマニラボール、白ボール、ライナー等の板紙、一
般上質紙、中質紙、グラビア紙等の印刷用紙、剥離紙、
情報処理用紙等が好適な例として挙げられる。紙用の表
面サイジング剤の場合は、特に、新聞紙用の原紙が好ま
しい。
【0035】本発明の紙用バリヤー剤の塗工量は特に制
限はないが、通常0.01〜30g/m↑2、好ましく
は0.05〜20g/m↑2、さらにより好ましくは0.
1〜10g/m↑2である。本発明の紙用の表面サイジ
ング剤の塗工量としては、0.01〜10g/m↑2が
好ましく、0.03〜5g/m↑2がより好ましく、0.
05〜1g/m↑2がさらにより好ましい。
【0036】本発明の紙用の表面サイジング剤はあらゆ
る塗工方法にも適用可能であるが、ロールコーターを用
いて、300m/分以上(1000m/分以上、さらに
1500m/分以上)の速度で塗工する場合であって
も、良好な塗工性を示し、表面強度の良好な塗工紙が得
られる。
【0037】
【実施例】以下、実施例および比較例により本発明をよ
り具体的に説明するが、本発明はこれらにより、なんら
限定されるものではない。なお以下で、「部」および
「%」は特に断らないかぎり、それぞれ「重量部」およ
び「重量%」を意味する。
【0038】以下の実施例1〜11および比較例1〜2
では、本発明の組成物について具体的に説明する。これ
らの実施例および比較例において、単にポリビニルアル
コールの重合度とあるのは、本文中に示したように該ポ
リビニルアルコールの水溶液の粘度から通常の方法で求
めた粘度平均重合度である。水溶液の相溶性は、PVA
(A)とでんぷん系化合物(B)からなる濃度10%の
水溶液を作成し、得られた水溶液を70℃の条件下で静
置して、目視により相分離状態を観察する方法で判定し
た。フィルムの引張強伸度は、PVA(A)とでんぷん
系化合物(B)からなる濃度10%の水溶液を作成し、
表面温度を70℃にしたポリエステルフィルムでおおっ
た回転ドラム上にキャストし、乾燥して得られた厚さ約
50μのフィルムを20℃、65%RH下で10日間調
湿した後、チャック間距離50mm、製膜方向に対して
垂直な方向に引張速度500mm/minにて引張る方
法で測定した。
【0039】実施例1 重合度1720、けん化度88.1モル%のポリビニル
アルコール(A)と酸化でんぷん100部に対してアク
リル酸15部をグラフト重合したグラフト化でんぷん
(B)(10%水溶液の90℃粘度:30cP)を、重
量比で100:100の割合でブレンドした組成物を水
に溶解して水溶液を作成し、70℃で静置して相分離状
態を目視観察することにより、相溶性が良好であること
を確認した。さらに得られた水溶液を表面温度を70℃
にしたポリエステルフィルムでおおった回転ドラム上に
キャストし、乾燥することにより得られた厚さ50μの
フィルムの引張テストを行い、良好な引張強伸度を有す
ることを確認した。水溶液の相溶性と得られたフィルム
の引張強伸度を表1に示す。
【0040】実施例2 実施例1で使用したPVA(A)を、重合度1720、
けん化度98.5モル%のポリビニルアルコール(A)
に変更した以外は、実施例1と同じ方法で評価した。水
溶液の相溶性と得られたフィルムの引張強伸度は良好で
あった。その結果を表1に示す。
【0041】実施例3 実施例1で使用したPVA(A)を、重合度580、け
ん化度88.モル%のポリビニルアルコール(A)に
変更した以外は、実施例1と同じ方法で評価した。水溶
液の相溶性と得られたフィルムの引張強伸度は良好であ
った。その結果を表1に示す。
【0042】実施例4 実施例1で使用したPVA(A)をイタコン酸1モル%
を共重合した重合度1700、けん化度97モル%のポ
リビニルアルコール(A)に変更した以外は、実施例1
と同じ方法で評価した。水溶液の相溶性と得られたフィ
ルムの引張強伸度は良好であった。その結果を表1に示
す。
【0043】実施例5 実施例2で使用したグラフト化でんぷん(B)を、酸化
でんぷん100部に対してメタクリル酸15部をグラフ
ト重合したグラフト化でんぷん(B)(10%水溶液の
90℃粘度:18cP)に変更した以外は、実施例2と
同じ方法で評価した。水溶液の相溶性と得られたフィル
ムの引張強伸度は良好であった。その結果を表2に示
す。
【0044】実施例6 実施例2で使用したグラフト化でんぷん(B)を、酸化
でんぷん100部に対してアクリル酸5部をグラフト重
合したグラフト化でんぷん(B)(10%水溶液の90
℃粘度:4cP)に変更した以外は、実施例2と同じ方
法で評価した。水溶液の相溶性と得られたフィルムの引
張強伸度は良好であった。その結果を表2に示す。
【0045】比較例1 実施例1で使用したグラフト化でんぷん(B)を、市販
の酸化でんぷん(日本食品加工(株)製、MS−380
0)に変更した以外は、実施例1と同じ方法で評価し
た。水溶液の相溶性と得られたフィルムの引張強伸度は
いずれも大きく低下した。その結果を表2に示す。
【0046】比較例2 実施例1で使用したグラフト化でんぷん(B)を、市販
のコーンスターチに変更した以外は、実施例1と同じ方
法で評価した。水溶液の相溶性と得られたフィルムの引
張強伸度はいずれも大きく低下した。その結果を表2に
示す。
【0047】実施例7〜11 実施例1で使用したグラフト化でんぷん(B)を、表3
に示すグラフト化でんぷん(B)に変更した以外は、実
施例1と同じ方法で評価した。水溶液の相溶性と得られ
たフィルムの引張強度は良好であった。その結果を表3
に示す。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】
【表3】
【0051】以下の実施例12〜20および比較例3〜
7では、本発明のフィルムについてより具体的に説明す
る。これらの実施例および比較例において、フィルムの
引張強伸度は、ポリビニルアルコール系樹脂(A)とで
んぷん系化合物(B)のブレンド水溶液を、表面温度を
70℃にしたのポリビニルエステルフィルムでおおった
回転ドラム上にキャストし、乾燥することにより得られ
た厚さ約50μのフィルムを20℃、65%RHにて1
0日間調湿し、チャック間距離50mmで、製膜方向に対
して垂直な方向に引張速度500mm/minで引張る方
法により測定した。
【0052】実施例12 重合度1720、けん化度88.1モル%のポリビニル
アルコール(A)と酸化でんぷん100重量部に対して
アクリル酸15重量部をグラフト重合して得られたでん
ぷん系化合物(B)を、重量比100:100の割合で
ブレンドした組成物を水に溶解して得られた水溶液を表
面温度を70℃にしたのポリエステルフィルムでおおっ
た回転ドラム上にキャストし、乾燥することにより得ら
れた厚さ50μのフィルムの引張テストを行ない、良好
な引張強伸度を有することを確認した。フィルムの引張
テスト結果と、フィルムを地下30cmに6カ月間埋没し
た後の形態変化を表4に示す。
【0053】実施例13 実施例12で使用したPVA(A)とでんぷん系化合物
(B)の配合比率を重量比100:50の割合に変更し
た以外は実施例12と同じ方法で評価した。フィルムの
引張テストを行なったところ、フィルムの引張強伸度は
良好であった。フィルムの引張テスト結果と、フィルム
を地下30cmに6カ月間埋没した後の形態変化を表4に
示す。
【0054】実施例14 実施例12で使用したPVA(A)を重合度1720、
けん化度98.5モル%のポリビニルアルコール(A)
に変更した以外は実施例12と同じ方法で評価した。フ
ィルムの引張テストを行なったところ、フィルムの引張
強伸度は良好であった。フィルムの引張テスト結果と、
フィルムを地下30cmに6カ月間埋没した後の形態変化
を表4に示す。
【0055】実施例15 重合度1700、けん化度97モル%、イタコン酸3モ
ル%を共重合したポリビニルアルコール(A)と酸化で
んぷん100重量部に対してアクリル酸5重量部をグラ
フト重合して得られたでんぷん系化合物(B)を重量比
100:100の割合でブレンドして得られた水溶液
を、表面温度を70℃にしたのポリエステルフィルムで
おおった回転ドラム上にキャストし、乾燥することによ
り得られた厚さ50μのフィルムの引張テストを行な
い、良好な引張強伸度を有することを確認した。フィル
ムの引張テスト結果と、フィルムを地下30cmに6カ月
間埋没した後の形態変化を表4に示す。
【0056】
【表4】
【0057】比較例3 実施例12で使用したでんぷん系化合物(B)に代え
て、市販の酸化でんぷん(日本食品加工(株)製、MS
−3800)を使用した以外は実施例12と同じ方法で
評価した。フィルムの引張テストを行なったところ、フ
ィルムの引張強伸度は大きく低下していた。フィルムの
引張テスト結果と、フィルムを地下30cmに6カ月間埋
没した後の形態変化を表5に示す。
【0058】比較例4 実施例12で使用したでんぷん系化合物(B)に代え
て、市販のコーンスターチを使用した以外は実施例12
と同じ方法で評価した。フィルムの引張テストを行なっ
たところ、フィルムの引張強伸度は大きく低下してい
た。フィルムの引張テスト結果と、フィルムを地下30
cmに6カ月間埋没した後の形態変化を表5に示す。
【0059】比較例5 実施例12で使用したでんぷん系化合物(B)のみを使
用して実施例12と同様にして、キャストにより作成し
たフィルムの引張強伸度は非常に弱かった。フィルムの
引張テスト結果と、得られたフィルムを地下30cmに6
カ月間埋没した後の形態変化を表5に示す。
【0060】比較例6 実施例12で使用したPVA(A)のみを使用して実施
例12と同様にして、キャストにより作成したフィルム
の引張強伸度は良好であった。フィルムの引張テスト結
果と、フィルムを地下30cmに6カ月間埋没した後の形
態変化を表5に示す。
【0061】比較例7 市販の低密度ポリエチレンのみを使用して160℃で溶
融押出製膜して、厚さ50μのフィルムを得た。フィル
ムの引張強伸度と、地下30cmに6カ月間埋没した後の
形態変化を表5に示す。
【0062】
【表5】
【0063】実施例16〜20 実施例12で使用したでんぷん系化合物(B)を、表6
に示すでんぷん系化合物(B)に変更した以外は実施例
12と同じ方法で評価した。フィルムの引張テストを行
なったところ、フィルムの引張強伸度は良好であった。
フィルムの引張テスト結果と、フィルムを地下30cmに
6カ月間埋没した後の形態変化を表6に示す。
【0064】
【表6】
【0065】以下の実施例21〜28および比較例8〜
9では、本発明の接着剤組成物についてより具体的に説
明する。 実施例21 重合度1720、けん化度96モル%のPVA(A)と
酸化でん粉100重量部に対してアクリル酸15重量部
をグラフト重合して得られたグラフト化でん粉(B)
(10%水溶液の90℃の粘度:30cp)を主成分と
する接着剤組成物を用いて接着試験を行った。上記のP
VA(A)40部、上記のグラフト化でん粉(B)12
部、カオリンクレー58部、カルボキシメチルセルロー
ス1.2部および消泡剤0.1部を、水400部に撹拌し
ながら投入し、加熱溶解して接着剤を得た。この接着剤
は、固形分21.6%、pH4.3、30℃におけるB型
粘度2060cpであった。紙管用原紙(坪量412g
/m2、コブサイズ度34秒、大きさ20×100m
m)に本発明の接着剤を50g/m2(wet)塗布し
た後、直ちに塗布していない別の原紙を重ねて200g
/cm2の圧力で30秒間圧締した後、各接着時間毎の
剥離接着力を測定した。次にアプリケーターロールへ該
接着剤を仕込み、ロール速度80m/minおよび12
0m/minで塗工を行い、ロール間での糊飛び性、転
写ロールへ均一に糊液が乗るかどうかのロール転写性、
ロール間の糊液の糸引き性をテストしたところ、ロール
速度80m/minおよび120m/minの速度とも
糊飛びは全くなく、ロール転写性および糸引き性につい
ても良好であった。その結果を表7に示す。
【0066】比較例8 実施例21において、グラフト化でん粉(B)を用い
ず、カルボキシメチルセルロースの使用量を1.8部に
したほかは実施例21と同様にして、初期接着力、ロー
ル塗工性および糸引き性をテストした。この接着剤は、
固形分20.0%、pH6.2、30℃におけるB型粘度
1930cpであった。この接着剤は初期接着力が不充
分であり、ロール塗工性とくに120m/minの塗工
速度では、糊飛び、糸引きが激しく、不良であった。そ
の結果を表7に示す。
【0067】
【表7】
【0068】実施例22 実施例21で用いたPVA(A)とグラフト化でん粉
(B)を用いて、木工用接着剤を作成した。上記のPV
A(A)28部、グラフト化でん粉(B)12部を撹拌
機つきオートクレーブで、120℃、1時間溶解して2
2.9%の水溶液を調製した。得られた水溶液175部
に、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(C)
(日本合成ゴム(株)製、JSR0692)120部、
カオリンクレー80部を添加し、さらに架橋剤(D)と
してメチレンビス−ジフェニルイソシアネート(MD
I)8部を添加し、良く撹拌して本発明の接着剤を得
た。この接着剤を用いて0.8/1.4/0.8mm単板
構成の3mm合板を、塗布量30g/m2、冷圧着(冷
圧10kg/cm2、10分)、熱圧着(熱圧120
℃、10kg/cm2、1分)の条件で作製し、JAS
法に準じて接着力測定を行った。その結果を表8に示
す。スプレッターロールを用いて85m/minの速度
で塗工したが、糊飛びもほとんどなく、ロールへの接着
剤のスジもなく、良好であった。
【0069】比較例9 実施例22で用いたグラフト化でん粉(B)の代わり
に、市販の酸化でん粉(10%水溶液の90℃粘度:6
0cp)を用いたほかは実施例22と同様にして接着剤
を作成し、接着力を測定した。その結果を表8に示す。
ロール塗工性は糊飛びがかなり激しく、またロール上に
糊のスジが発生し、塗布むらが生じた。
【0070】
【表8】
【0071】実施例23〜28 使用するPVA(A)とグラフト化でん粉(B)を変え
て、合紙用接着剤を作成し、実施例21と同様にして、
接着性能およびロール塗工性をテストした。その結果を
表9および表10に示す。なお、実施例24、27につ
いては、それぞれビニルアセトアミド、酢酸ビニルをグ
ラフトする単量体として用い、グラフト重合後、メタノ
ール溶媒中で水酸化ナトリウムを触媒として加アルコー
ル分解を行い、それぞれポリビニルアミン、ポリビニル
アルコール基を有するグラフト重合体からなるグラフト
化でん粉(B)を用いて本発明の接着剤を作成して、テ
ストした。
【0072】
【表9】
【0073】
【表10】
【0074】以下の実施例29〜41および比較例10
〜14では、本発明の紙用バリヤー剤についてより具体
的に説明する。なお、これらの実施例および比較例で、
単にポリビニルアルコールの重合度とあるのは、本文中
に示したように該ポリビニルアルコールの水溶液の粘度
から通常の方法で求めた粘度平均重合度である。ゲート
ロールコーターは、アウターロールとして直径200m
mのゴムロール、インナーロールとして直径200mm
の金属ロール、アプリケーターロールとして直径360
mmのゴムロール、バックアップロールとして直径34
9mmのゴムロールからなるテスト機を使用し、各ロー
ルの周速は300m/分に統一した。ゲートロールコー
ター塗工時におけるロール上の液膜がスジ状になり、そ
れがそのまま紙上に転写されることによる塗布むらの程
度は、インナーロール上の液膜のすじ発生により評価
し、ロールからの塗工液の飛び散りの程度は、インナー
ロールとアプリケーター間から発生するミストを目視観
察することにより評価した。バリヤー性は、上記ゲート
ロールコーターを用いて坪量73g/m↑2、透気度1
5秒の上質紙に塗工し、直ちにロータリードライヤーを
用いて100℃、1分間乾燥した塗工紙を20℃、65
%RHの恒温恒湿室内にて1週間調湿した後、20℃、
65%RHの恒温恒湿室内にてJIS P−8130に
示された方法で測定した。塗工液の粘度は、東京計器製
のB型粘度計を用いて、25℃、回転数60rpmで測
定した。
【0075】実施例29 重合度580、けん化度88.1モル%のポリビニルア
ルコール(A)と酸化でんぷん100部に対してアクリ
ル酸15部をグラフト重合したでんぷん系化合物(B)
(10%水溶液の90℃粘度:30cP)を、重量比で
100:25の割合でブレンドした組成物を水に溶解し
て塗工液(以下の実施例および比較例においても溶媒は
水を使用した)を作成し、得られた塗工液の粘度を25
℃で200cPとした。この塗工液のゲートロールコー
ター塗工時における塗工液の飛び散りは認められなかっ
た。ゲートロールコーターを用いて、坪量73g/m↑
2、透気度15秒の上質紙に、固形分塗布量が約3g/
m↑2となるように塗工液を塗工し、直ちにロータリー
ドライヤーを用いて100℃、1分間乾燥した塗工紙を
20℃、65%RHの恒温恒湿室内にて1週間調湿した
後、20℃、65%RHの恒温恒湿室内にてJIS P
−8130に示された方法でバリヤー性を測定したとこ
ろ、10万秒以上の値が確認され、良好なバリヤー性を
有することが確認された。バリヤー剤(塗工液)の組成
および塗布量、バリヤー性、塗工性を表11に示す。
【0076】実施例30 実施例29で使用したポリビニルアルコール(A)とで
んぷん系化合物(B)の配合比率を重量比で100:5
0に変更したほかは実施例29と同様にして、塗工性と
バリヤー性を評価した。バリヤー剤の組成および塗布
量、バリヤー性、塗工性を表11に示す。
【0077】実施例31 実施例29で使用したポリビニルアルコール(A)とで
んぷん系化合物(B)の配合比率を重量比で100:1
00に変更したほかは実施例29と同様にして、塗工性
とバリヤー性を評価した。バリヤー剤の組成および塗布
量、バリヤー性、塗工性を表11に示す。
【0078】実施例32 実施例29で使用したポリビニルアルコール(A)とで
んぷん系化合物(B)の配合比率を重量比で100:2
00に変更したほかは実施例29と同様にして、塗工性
とバリヤー性を評価した。バリヤー剤の組成および塗布
量、バリヤー性、塗工性を表11示す。
【0079】実施例33 実施例29で使用したでんぷん系化合物(B)に代え
て、酸化でんぷん100部に対してメタクリル酸15部
をグラフト重合したでんぷん系化合物(B)(10%水
溶液の90℃粘度:18cP)を使用したほかは実施例
29と同様にして、塗工性とバリヤー性を評価した。バ
リヤー剤の組成および塗布量、バリヤー性、塗工性を表
11に示す。
【0080】実施例34 実施例29で使用したでんぷん系化合物(B)に代え
て、酸化でんぷん100部に対してアクリル酸5部をグ
ラフト重合したでんぷん系化合物(B)(10%水溶液
の90℃粘度:4cP)を使用し、PVA(A)とでん
ぷん系化合物(B)を重量比で100:2の割合でブ
レンドしたほかは実施例29と同様にして、塗工性とバ
リヤー性を評価した。バリヤー剤の組成および塗布量、
バリヤー性、塗工性を表11に示す。
【0081】
【表11】
【0082】実施例35 重合度700、けん化度95.0モル%のポリビニルア
ルコール(A)と実施例29で使用したでんぷん系化合
物(B)を重量比で100:25の割合でブレンドした
塗工液を作成し、実施例29と同様にして、塗工性とバ
リヤー性を評価した。バリヤー剤の組成および塗布量、
バリヤー性、塗工性を表12に示す。
【0083】実施例36 イタコン酸1モル%を共重合した重合度1000、けん
化度97モル%のポリビニルアルコール(A)と実施例
29で使用したでんぷん系化合物(B)を重量比で10
0:25の割合でブレンドした塗工液を作成し、実施例
29と同様にして、塗工性とバリヤー性を評価した。バ
リヤー剤の組成および塗布量、バリヤー性、塗工性を表
12に示す。
【0084】比較例10 重合度580、けん化度88.1モル%のポリビニルア
ルコール(A)のみの塗工液を作成し、実施例29と同
様にして、塗工性とバリヤー性を評価したところ、塗工
紙のバリヤー性は良好であったが、塗工液のゲートロー
ルコーター塗工時に、すじの発生が著しく、さらに塗工
液の飛び散りが認められた。バリヤー剤の組成および塗
布量、バリヤー性、塗工性を表12に示す。
【0085】比較例11 イタコン酸1モル%を共重合した重合度1000、けん
化度97モル%のポリビニルアルコール(A)のみの塗
工液を作成し、実施例29と同様にして、塗工性とバリ
ヤー性を評価したところ、塗工紙のバリヤー性が低下
し、塗工液のゲートロールコーター塗工時に、すじの発
生が著しく、塗工液の飛び散りが認められた。また、塗
工紙のPVAの存在状態をヨウ素染色法により確認した
ところ、著しい塗工むらが確認された。バリヤー剤の組
成および塗布量、バリヤー性、塗工性を表12に示す。
【0086】比較例12 実施例29で使用したでんぷん系化合物(B)のみの塗
工液を作成し、実施例29と同様にして、塗工性とバリ
ヤー性を評価したところ、塗工紙のバリヤー性が低下
し、塗工液のゲートロールコーター塗工時にすじの発生
が著しく、塗工液の飛び散りが認められた。また、塗工
紙のPVAの存在状態をヨウ素染色法により確認したと
ころ、著しい塗工むらが確認された。バリヤー剤の組成
および塗布量、バリヤー性、塗工性を表12に示す。
【0087】
【表12】
【0088】比較例13 実施例29で使用したでんぷん系化合物(B)に代え
て、市販の酸化でんぷん(日本食品加工(株)製、MS
−3800)を使用したほかは実施例29と同様にし
て、塗工性とバリヤー性を評価したところ、塗工紙のバ
リヤー性が低下し、塗工液のゲートロールコーター塗工
時に、すじの発生が著しく、塗工液の飛び散りが認めら
れた。また、塗工紙のPVAの存在状態をヨウ素染色法
により確認したところ、著しい塗工むらが確認された。
バリヤー剤の組成および塗布量、バリヤー性、塗工性を
表13に示す。
【0089】比較例14 比較例13で使用した市販の酸化でんぷんのみの塗工液
を作成し、実施例29と同様にして、塗工性とバリヤー
性を評価したところ、塗工性は良好であったが、塗工紙
のバリヤー性が良くなかった。バリヤー剤の組成および
塗布量、バリヤー性、塗工性を表13に示す。
【0090】
【表13】
【0091】実施例37〜41 実施例29で使用したでんぷん系化合物(B)を表1
に示すでんぷん系化合物(B)に変更した以外は実施例
29と同様の方法で塗工液を作成し、実施例29と同様
にして、塗工性とバリヤー性を評価した。バリヤー剤の
組成および塗布量、バリヤー性、塗工性を表14に示
す。
【0092】
【表14】
【0093】以下の実施例42〜64および比較例15
〜18では、本発明の紙用の表面サイジング剤について
より具体的に説明する。なお、これらの実施例および比
較例において、単にポリビニルアルコールの重合度とあ
るのは、本文中に示したように該ポリビニルアルコール
の水溶液の粘度から通常の方法で求めた粘度平均重合度
である。ゲートロールコーターは、アウターロールとし
て直径200mmのゴムロール、インナーロールとして
直径200mmの金属ロール、アプリケーターロールと
して直径360mmのゴムロール、バックアップロール
として直径349mmのゴムロールからなるテスト機で
あり、各ロールの周速は300m/分に統一した。この
ゲートロールコーターを用いて、43g/m↑2の新聞
紙用の原紙に塗工液を塗工し、直ちにロータリードライ
ヤーを用いて100℃、1分間乾燥したものを20℃、
65%RHの恒温恒湿の室内にて1週間調湿した後、2
0℃、65%RHの恒温恒湿室内にて、IGT印刷適性
試験機により、ピッキングオイルM、印圧35kg/c
m、スプリングドライブMにより、IGTピックを測定
した。なお、IGTピックの値は、値の大きいほど表面
強度が高いことを示す。テストに用いた新聞紙用の原紙
は何も塗布しない状態では、IGTピック70cm/s
ecであった。ゲートロールコーター塗工時における塗
工液の飛び散りは、インナーロールとアプリケーターロ
ールとの間から発生するミストを目視観察することによ
り評価した。塗工液の粘度は、東京計器製のB型粘度計
を用いて25℃、回転数60rpmで測定した。
【0094】実施例42 重合度1720、けん化度99.5モル%のポリビニル
アルコール(A)と酸化でんぷん100重量部に対して
アクリル酸15重量部をグラフト重合したグラフト化で
んぷん(B)(10%水溶液の90℃粘度:30cP)
を、重量比で100:20の割合でブレンドした組成物
を水に溶解して塗工液(以下の実施例および比較例にお
いても溶媒は水を使用した)を作成し、得られた塗工液
の粘度を25℃で50cPとした。この塗工液のゲート
ロールコーター塗工時に塗工液の飛び散りは認められな
かった。得られた塗工紙の表面強度を表15に示す。
【0095】実施例43 重合度1720、けん化度99.5モル%のポリビニル
アルコール(A)と実施例42で使用したグラフト化で
んぷん(B)を重量比で100:10の割合でブレンド
したものの塗工液を作成し、得られた塗工液の粘度を2
5℃で50cPとした。この塗工液のゲートロールコー
ター塗工時に塗工液の飛び散りは認められなかった。得
られた塗工紙の表面強度を表15に示す。
【0096】比較例15 重合度1720、けん化度99.5モル%のポリビニル
アルコール(A)のみの塗工液を作成し、得られた塗工
液の粘度を25℃で50cPとした。この塗工液のゲー
トロールコーター塗工時に塗工液の著しい飛び散りが認
められた。得られた塗工紙の表面強度を表16に示す。
【0097】実施例44 重合度1490、けん化度99.5モル%のポリビニル
アルコール(A)と実施例42で使用したグラフト化で
んぷん(B)を重量比で100:5の割合でブレンドし
たものの塗工液を作成し、得られた塗工液の粘度を25
℃で50cPとした。この塗工液のゲートロールコータ
ー塗工時に塗工液の飛び散りは認めらなかった。得られ
た塗工紙の表面強度を表15に示す。
【0098】実施例45 重合度1720、けん化度99.5モル%のポリビニル
アルコール(A)と酸化でんぷん100重量部に対して
メタクリル酸15部をグラフト重合したグラフト化でん
ぷん(B)(10%水溶液の90℃粘度:18cP)を
重量比で100:0の割合でブレンドしたものの塗工
液を作成し、得られた塗工液の粘度を25℃で50cP
とした。この塗工液のゲートロールコーター塗工時に塗
工液の飛び散りは認められなかった。得られた塗工紙の
表面強度を表15に示す。
【0099】実施例46 重合度1720、けん化度99.5モル%のポリビニル
アルコール(A)と酸化でんぷん100重量部に対して
アクリル酸5部をグラフト重合したグラフト化でんぷん
(B)(10%水溶液の90℃粘度:4cP)を重量比
で100:20の割合でブレンドしたものの塗工液を作
成し、得られた塗工液の粘度を25℃で50cPとし
た。この塗工液のゲートロールコーター塗工時に塗工液
の飛び散りは認められなかった。得られた塗工紙の表面
強度を表15に示す。
【0100】実施例47 重合度1720、けん化度88.2モル%のポリビニル
アルコール(A)と実施例42で使用したグラフト化で
んぷん(B)を重量比で100:20の割合でブレンド
したものの塗工液を作成し、得られた塗工液の粘度を2
5℃で50cPとした。この塗工液のゲートロールコー
ター塗工時に塗工液の飛び散りは認められなかった。得
られた塗工紙の表面強度を表15に示す。
【0101】実施例48 重合度580、けん化度88.1モル%のポリビニルア
ルコール(A)と実施例42で使用したグラフト化でん
ぷん(B)を重量比で100:5の割合でブレンドした
ものの塗工液を作成し、得られた塗工液の粘度を25℃
で50cPとした。この塗工液のゲートロールコーター
塗工時に塗工液の飛び散りは認められなかった。得られ
た塗工紙の表面強度を表16に示す。
【0102】実施例49 イタコン酸1モル%を共重合した重合度1700、けん
化度97モル%のポリビニルアルコール(A)と実施例
42で使用したグラフト化でんぷん(B)を重量比で1
00:20の割合でブレンドしたものの塗工液を作成
し、得られた塗工液の粘度を25℃で50cPとした。
この塗工液のゲートロールコーター塗工時に塗工液の飛
び散りは認められなかった。得られた塗工紙の表面強度
を表16に示す。
【0103】比較例16 重合度580、けん化度88.1モル%のポリビニルア
ルコール(A)のみの塗工液を作成し、得られた塗工液
の粘度を25℃で50cPとした。この塗工液のゲート
ロールコーター塗工時に、比較例15よりは少ないもの
の、塗工液の著しい飛び散りが認められた。得られた塗
工紙の表面強度を表16に示す。
【0104】比較例17 イタコン酸1モル%を共重合した重合度1700、けん
化度97モル%のポリビニルアルコール(A)のみの塗
工液を作成し、得られた塗工液の粘度を25℃で50c
Pとした。この塗工液のゲートロールコーター塗工時
に、塗工液の著しい飛び散りが認められた。得られた塗
工紙の表面強度を表16に示す。
【0105】比較例18 実施例42で使用したグラフト化でんぷん(B)のみの
塗工液を作成し、得られた塗工液の粘度を25℃で50
cPとした。この塗工液のゲートロールコーター塗工時
に塗工液の飛び散りは認められなかったが、塗工紙の表
面強度は大きく低下した。得られた塗工紙の表面強度を
表16に示す。
【0106】実施例50〜54 実施例42で使用したグラフト化でんぷん(B)を表1
7に示すグラフト化でんぷんに変更した以外は実施例4
2と同じ方法で塗工液を作成した。この塗工液のゲート
ロールコーター塗工時に塗工液の飛び散りは認められな
かった。得られた塗工紙の表面強度を表17に示す。
【0107】
【表15】
【0108】
【表16】
【0109】
【表17】
【0110】
【発明の効果】本発明の組成物は、相溶性が良好で長時
間放置しても相分離しない水溶液が得られ、得られたフ
ィルムの強度および伸度が良好であることから、工業的
がきわめて高いものである。本発明のフィルムは、強靭
で、屋外に放置すると速やかに生分解される性能を有す
ることから、農業用マルチフィルム等の農業用資材、使
い捨て買物袋等として、工業的価値がきわめて高いもの
である。本発明の接着剤組成物は高速塗工性に優れ、塗
工むらや糊液の飛び散りなどのトラブルがなく、初期接
着力についても優れている。したがって、本発明の接着
剤組成物はあらゆる物の接着剤に有用であるが、そのな
かでも特に紙用接着剤および木材用接着剤として有用で
ある。本発明の紙用バリヤー剤は、優れたバリヤー性を
有し、かつ従来のバリヤー剤よりも高速塗工性に優れ
る。すなわち本発明の紙用バリヤー剤は、高速で塗工す
る場合においても塗工時における塗布むらやロールから
の塗工液の飛び散り等のトラブルが起きにくいことか
ら、工業的価値がきわめて高いものである。本発明の紙
用の表面サイジング剤は従来の表面サイジング剤よりも
塗工性に優れ、高速で塗工する場合においても塗工液の
飛び散り等のトラブルが起きにくく、かつ得られた塗工
紙の表面強度が大きく、印刷適性が良好であるなどの点
で工業的価値がきわめて高いものである。さらに本発明
の塗工紙の製造方法はロールコーターを用いて高速で塗
工する場合においても塗工性が良好で、かつ得られた紙
の表面強度が大きく、印刷適性が良好である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C09J 129/04 C09J 129/04 (31)優先権主張番号 特願平4−143179 (32)優先日 平成4年5月7日(1992.5.7) (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平4−148325 (32)優先日 平成4年5月13日(1992.5.13) (33)優先権主張国 日本(JP) 前置審査 (72)発明者 白神 貞彦 岡山県倉敷市酒津1621番地 株式会社ク ラレ内 (72)発明者 丸山 均 岡山県倉敷市酒津1621番地 株式会社ク ラレ内 (72)発明者 日紫喜 紀雄 大阪府吹田市山田西1−31 D−504 (72)発明者 中島 徹 大阪府堺市東湊町1丁49番地 (72)発明者 渡辺 美広 大阪府高槻市大字出灰小字垣内21番地 (56)参考文献 特開 昭56−149461(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 29/04 C08L 51/02 C09J 129/04

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 けん化度が60〜100モル%であり、
    かつ重合度が300〜20000である水溶性のポリビ
    ニルアルコール系樹脂(A)ならびにでんぷん構造部分
    100重量部に対してカルボキシル基含有単量体、スル
    ホン酸基含有単量体、アミノ基含有単量体、第4級アン
    モニウム塩基含有単量体、ビニルエステルおよびビニル
    ピロリドンより選ばれた少なくとも1種の単量体を1〜
    200重量部グラフト重合して得られた10重量%の水
    溶液をBL型粘度計を用いて90℃、60rpmにて測
    定したときの粘度が1000cP以下の水溶性のでんぷ
    ん系化合物(B)からなり、ポリビニルアルコール系樹
    脂(A)100重量部に対するでんぷん系化合物(B)
    の配合比率が1〜200重量部である水溶性組成物。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の組成物からなるフィル
    ム。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の組成物からなる接着剤組
    成物。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の組成物からなる紙用バリ
    ヤー剤。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の組成物からなる紙用の表
    面サイジング剤。
  6. 【請求項6】 請求項5記載の紙用の表面サイジング剤
    をロールコーターを用いて、300m/分以上の速度で
    塗工することを特徴とする塗工紙の製造方法。
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