JP3397169B2 - 固体高分子型燃料電池セパレータ用オーステナイト系ステンレス鋼および固体高分子型燃料電池 - Google Patents

固体高分子型燃料電池セパレータ用オーステナイト系ステンレス鋼および固体高分子型燃料電池

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JP3397169B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、接触電気抵抗の
小さいオーステナイト系ステンレス鋼であって、自動車
搭載用や家庭用等の小型分散型電源として用いられる
体高分子型燃料電池セパレータ用のステンレス鋼、およ
びそのステンレス鋼からなるセパレータ(バイポーラプ
レートと呼ばれることもある)を備えた固体高分子型燃
料電池に関する。
【0002】
【従来の技術】オーステナイト系ステンレス鋼は、その
表面に不働態体皮膜が形成されているため耐食性に優れ
ている。しかし、表面の不働態体皮膜は電気抵抗が大き
いため、小さい接触電気抵抗が要求される通電して使用
される電気部品には適していない。不働態体皮膜の厚さ
が厚くなれば耐食性はより優れたものとなるが、電気抵
抗はより大きくなる傾向にある。
【0003】オーステナイト系ステンレス鋼の接触電気
抵抗を小さくすることができれば、オーステナイト系ス
テンレス鋼を耐食性が要求される通電電気部品として使
用することが可能となる。優れた耐食性と小さい接触電
気抵抗が要求される通電電気部品の一つに固体高分子型
燃料電池のセパレータがある。
【0004】燃料電池は、水素および酸素を利用して直
流電力を発電する電池であり、固体電解質型燃料電池、
溶融炭酸塩型燃料電池、リン酸型燃料電池および固体高
分子型燃料電池などがある。燃料電池の名称は、電池の
根幹をなす『電解質』部分の構成材料に由来している。
【0005】現在、商用段階に達している燃料電池に
は、リン酸型燃料電池、溶融炭酸塩型燃料電池がある。
燃料電池のおおよその運転温度は、固体電解質型燃料電
池で1000℃、溶融炭酸塩型燃料電池で650℃、リ
ン酸型燃料電池で200℃および固体高分子型燃料電池
で80℃である。
【0006】固体高分子型燃料電池は、運転温度が80
℃前後と低く起動−停止が容易であり、エネルギー効率
も40%程度が期待できることから、小事業所、電話局
などの非常用分散電源、都市ガスを燃料とする家庭用小
型分散電源、水素ガス、メタノールあるいはガソリンを
燃料とする低公害電気自動車搭載用電源として、世界的
に実用化が期待されている。
【0007】上記の各種の燃料電池は、『燃料電池』と
言う共通の呼称で呼ばれているものの、それぞれの電池
構成材料を考える場合には、全く別物として捉えること
が必要である。使用される電解質による構成材料の腐食
の有無、380℃付近から顕在化し始める高温酸化の有
無、電解質の昇華と再析出、凝結の有無等により求めら
れる性能、特に耐食性能が、それぞれの燃料電池で全く
異なるためである。実際、使用されている材料も様々で
あり、黒鉛系素材から、Niクラッド材、高合金、ステ
ンレス鋼と多様である。
【0008】商用化されているリン酸型燃料電池、溶融
炭酸塩型燃料電池に使用されている材料を、固体高分子
質型燃料電池の構成材料に適用することは全く考えるこ
とができない。
【0009】図1は、固体高分子型燃料電池の構造を示
す図で、図1(a)は、燃料電池セル(単セル)の分解
図、図1(b)は燃料電池全体の斜視図である。同図に
示すように、燃料電池1は単セルの集合体である。単セ
ルは、図1(a)に示すように固体高分子電解質膜2の
1面に燃料電極膜(アノード)3を、他面には酸化剤電
極膜(カソード)4が積層されており、その両面にセパ
レータ5a、5bが重ねられた構造になっている。
【0010】代表的な固体高分子電解質膜2としては、
水素イオン(プロトン)交換基を有するフッ素系イオン
交換樹脂膜がある。
【0011】燃料電極膜3および酸化剤電極膜4には、
粒子状の白金触媒と黒鉛粉、必要に応じて水素イオン
(プロトン)交換基を有するフッ素樹脂からなる触媒層
が設けられており、燃料ガスまたは酸化性ガスと接触す
るようになっている。
【0012】セパレータ5aに設けられている流路6a
から燃料ガス(水素または水素含有ガス)Aが流されて
燃料電極膜3に水素が供給される。また、セパレータ5
bに設けられている流路6bからは空気のような酸化性
ガスBが流され、酸素が供給される。これらガスの供給
により電気化学反応が生じて直流電力が発生する。
【0013】固体高分子型燃料電池セパレータに求めら
れる機能は、(1)燃料極側で、燃料ガスを面内均一に
供給する“流路”としての機能、(2)カソード側で生
成した水を、燃料電池より反応後の空気、酸素といった
キャリアガスとともに効率的に系外に排出させる“流
路”としての機能、(3)長時間にわたって電極として
低電気抵抗、良電導性を維持する単セル間の電気的“コ
ネクタ”としての機能、および(4)隣り合うセルで一
方のセルのアノード室と隣接するセルのカソード室との
“隔壁”としての機能などである。
【0014】これまで、セパレータ材料としてカーボン
板材の適用が鋭意検討されてきているが、カーボン板材
には“割れやすい”という問題があり、さらに表面を平
坦にするための機械加工コストおよびガス流路形成のた
めの機械加工コストが非常に高くなる問題がある。それ
ぞれが宿命的な問題であり、燃料電池の商用化そのもの
を難しくさせかねない状況がある。
【0015】カーボンの中でも、熱膨張性黒鉛加工品は
格段に安価であることから、固体高分子型燃料電池セパ
レータ用素材として最も注目されている。しかしなが
ら、ガス透過性を低減して前記隔壁としての機能を付与
するためには、“複数回”に及ぶ樹脂含浸と焼成を実施
しなければならない。また、平坦度確保および溝形成の
ための機械加工コスト等今後も解決すべき課題が多く、
実用化に至っていない。
【0016】こうした黒鉛系素材の適用の検討に対峙す
る動きとして、コスト削減を目的に、セパレータにステ
ンレス鋼を適用する試みが開始されている。
【0017】特開平10−228914号公報には、金
属製部材からなり、単位電池の電極との接触面に直接金
めっきを施した燃料電池用セパレータが開示されてい
る。金属製部材として、ステンレス鋼、アルミニウムお
よびNi−鉄合金が挙げられており、ステンレス鋼とし
ては、SUS304が用いられている。この発明では、
セパレータは金めっきが施されているので、セパレータ
と電極との接触抵抗が低下し、セパレータから電極への
電子の導通が良好となるため、燃料電池の出力電圧が大
きくなるとされている。
【0018】特開平8−180883号公報には、表面
に形成される不働態膜が大気により容易に生成される金
属材料からなるセパレータが用いられている固体高分子
電解質型燃料電池が開示されている。金属材料としてス
テンレス鋼とチタン合金が挙げられている。この発明で
は、セパレータに用いられる金属の表面には、必ず不働
態膜が存在しており、金属の表面が化学的に侵され難く
なって燃料電池セルで生成された水がイオン化される度
合いが低減され、燃料電池セルの電気化学反応度の低下
が抑制されるとされている。また、セパレータの電極膜
等に接触する部分の不働体膜を除去し、貴金属層を形成
することにより、電気接触抵抗値が小さくなるとされて
いる。
【0019】しかしながら、上記の公開公報に開示され
ている表面に不働態膜を備えたステンレス鋼のような金
属材料をそのままセパレータに用いても、耐食性が十分
でなく金属の溶出が起こり、溶出金属イオンにより担持
触媒性能が劣化(以下、担持触媒の被毒と記す)する。
また、溶出後に生成するCr-OH、Fe-OHのような腐食生成
物により、セパレータの接触抵抗が増加するという問題
があるので、金属材料からなるセパレータには、コスト
を度外視した金めっき等の貴金属めっきが施されている
のが現状である。
【0020】これまでの金属材料のセパレータへの適用
は、適用したという実績があるにすぎず、実用化にはほ
ど遠い状況にある。
【0021】セパレータとして、高価な表面処理を施さ
ない“無垢”で適用でき、電池環境での接触電気抵抗が
小さいと共に、耐食性に優れたステンレス鋼の開発が極
めて強く望まれており、ステンレス鋼製セパレータの実
用化が固体高分子型燃料電池の商用化、適用拡大の成否
を握っていると言っても過言ではない。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、接触
電気抵抗が小さく、耐食性に優れた、特に固体高分子型
燃料電池のセパレータ環境で、高価な表面処理を施すこ
となく、無垢のままで使用しても、溶出金属イオンの少
ないオーステナイト系ステンレス鋼、およびそのステン
レス鋼からなるセパレータを備えた固体高分子型燃料電
池を提供することにある。
【0023】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、以下の
通りである。
【0024】(1)重量%で、C:0.015〜0.2
%、Si:0.01〜1.5%、Mn:0.01〜2.
5%、P:0.035%以下、S:0.01%以下、C
r:17〜30%、Ni:7〜50%、N:0〜0.3
およびAl:0〜0.2%を含有し、かつCr+3M
oが17〜50%であって、残部Feおよび不可避不純
物からなり、Cr系炭化物として析出しているC量およ
び鋼中の全C量が、下記式を満足している接触電気抵抗
の小さい固体高分子型燃料電池のセパレータ用オーステ
ナイト系ステンレス鋼。このステンレス鋼は、さらに3
%以下のCuおよび7%以下のMoの一方または両方を
含むことができる。
【0025】(Cr系炭化物として析出しているC重量%)
×100/(鋼中全C重量%-0.012%)≧85 (2)固体高分子電解質膜を中央にして燃料電極膜と酸
化剤電極膜を重ね合わせた単位電池を複数個、単位電池
間にセパレータを介在させて積層した積層体に、燃料ガ
スと酸化剤ガスを供給して直流電力を発生させる固体高
分子型燃料電池において、セパレータが上記(1)記載
のオーステナイト系ステンレス鋼からなる固体高分子型
燃料電池。
【0026】なお、セパレータとは前述した4つの機能
を有するものである。すなわち、a)燃料極側で、燃料
ガスを面内均一に供給する"流路"としての機能、b)カ
ソード側で生成した水を、燃料電池より反応後の空気、
酸素といったキャリアガスとともに効率的に系外に排出
させる"流路"としての機能、c)長時間にわたって電極
として低電気抵抗、良電導性を維持する単セル間の電気
的"コネクタ"としての機能、およびd)隣り合うセルで
一方のセルのアノード室と隣接するセルのカソード室と
の"隔壁"としての機能を有するものである。これらの機
能を複数枚のプレートで機能分担させる構造にする場合
もある。本発明でいうセパレータとは、少なくとも上記
C)の機能を有するプレートをセパレータと言う。
【0027】また、Cr系炭化物とは、C276に代表
されるCrを含む炭化物をいう。炭化物中にFe、Mo
などのCrと並んでCとの化学的親和力の強い元素を微
量含有している場合もある。
【0028】本発明者らは、接触電気抵抗の小さい通電
電気部品用のオーステナイト系ステンレス鋼、特に固体
電解質型燃料電池セパレータ環境において、鋼表面から
溶出する金属イオンができるだけ少なく、長時間にわた
ってセパレータとして使用しても、電極用黒鉛との接触
電気抵抗が大きくならないステンレス鋼の開発を目指し
て種々の試験を実施した。その結果、以下の知見を得て
本発明を完成するに至った。
【0029】a)セパレータ環境で、オーステナイト系
ステンレス鋼は比較的良好な耐食性を発揮するが、一般
のオーステナイト系ステンレス鋼では金属溶出が起こ
る。
【0030】b)金属溶出が起こると、腐食生成物(F
eを主体とする水酸化物)が生成し、接触電気抵抗の増
大をもたらし、かつ担持触媒性能に著しい悪影響を及
す。起電力に代表される電池性能が短時間で劣化し、水
素イオン(プロトン)交換基を有するフッ素系イオン交
換樹脂膜のプロトン伝導性が劣化する。 c)表面に形成される不働態皮膜の電気抵抗はステンレ
ス鋼固有のものであり、電池性能を確保するのに十分小
さい不働態皮膜電気抵抗を安定して維持させることは容
易でない。
【0031】d)一方で、電池本体内環境におけるセパ
レータとしての耐食性を確保するためには、不働態皮膜
は必要不可欠である。
【0032】e)耐食性確保のために不働態被膜を強固
にしても、被膜厚が厚くなると接触電気抵抗が増大し、
電池効率が著しく低下する。
【0033】f)ステンレス鋼表面のCr系炭化物が、
電気伝導性に優れた接触点として作用しており、ステン
レス鋼をセパレータとして用いた際に問題となる接触電
気抵抗は、接触単位面積当りの接触点数と面積、表面に
形成される不働態皮膜の電気抵抗に依存している。
【0034】g)鋼中にCr系主体の炭化物が析出した
ステンレス鋼は、鋼表面の不働態皮膜の如何によらず、
接触電気抵抗を継時的に低く維持することができる。た
だし、Cr含有炭化物として析出しているC量および鋼
中の全C量が下記式を満足していなければならない。
【0035】(Cr系炭化物として析出しているC重量%)
×100/(鋼中全C重量%-0.012%)≧85 h)不働態被膜を強固にして、セパレータ環境で金属の
溶出を抑制するためには、CrとMoの含有量は(Cr
+3Mo)が17〜50%の範囲内になるようにする必
要がある。
【0036】j)積極的にMoを添加することで、耐食
性が確保されるが、Moは溶出したとしても、アノード
およびカソード部に担持されている触媒の性能に対する
影響は比較的軽微である特徴を有する。
【0037】
【発明の実施の形態】以下、本発明のオーステナイト系
ステンレス鋼の化学組成を規定した理由を詳しく説明す
る。なお、下記の%表示は重量%を示す。
【0038】C:Cは、本発明においてもっとも重要な
元素である。Cr系主体の炭化物として分散析出するこ
とで、不働態皮膜で覆われるステンレス鋼表面の接触電
気抵抗を下げる効果がある。
【0039】一般に、ステンレス鋼におけるクロム系炭
化物の析出は、“鋭敏化”として知られる耐食性低下の
主原因となり少ないほどよいとされている。しかし、本
発明ではクロム系炭化物を積極的に析出させて利用する
ものである。
【0040】ステンレス鋼表面には、数十程度の極々
薄い不働態皮膜が生成しており優れた耐食性を示すが、
母材に比べて電気伝導性が劣り、接触電気抵抗を高め
る。不働態皮膜を薄くすることで、電気抵抗を小さくす
ることも可能ではあるが、特に固体高分子型燃料電池内
部では、安定して不動態皮膜を薄い状態で維持すること
は容易ではない。
【0041】電気伝導性に優れたCr系炭化物が不働態
皮膜に覆われることなく表面に直接露出することが、ス
テンレス鋼表面の電気伝導性を長時間にわたって低く安
定させるのに極めて有効である。すなわち、Cr系炭化
物は耐食的に安定で、かつ表面に不働態皮膜を形成しな
いため、たとえ固体高分子型燃料電池内部で表面の不働
態皮膜が厚くなったとしても、鋼表面に露出しているC
r系炭化物を介して良電導性が確保されることとなり、
鋼表面の接触電気抵抗が高くなるのを抑制することがで
きる。言いかえるならば、不働態皮膜に覆われることな
く露出している微細なクロム系炭化物が『電気の通り道
(迂回路)』として機能することで、接触電気抵抗を低
く維持することができる。
【0042】一般に、オーステナイト系ステンレス鋼に
Cを多量に含有させると、強度および硬度が高くなり、
延性も低下する。また熱間加工性の低下も大きくなる。
固体高分子型燃料電池用セパレータ材としての成形性を
確保するためにも、鋼中のCを炭化物として析出させ
て、固溶C量を下げる必要がある。炭化物として、Cを
析出させることで、鋼の成形性が改善される。すなわ
ち、成形性確保の点からも、鋼中のCを炭化物として析
出させることが必要である。さらに、炭化物を熱処理で
凝集粗大化させることも、加工性を一層改善させるのに
有効である。長時間保持することで、炭化物は凝集、粗
大化する。
【0043】本発明鋼では、積極的に炭化物を析出させ
るためにCを0.015%以上、0.2%以下の量で含
有させる。0.2%を超えて含有させると、固体高分子
型燃料電池セパレータ用としての成形性を確保すること
ができなくなる。
【0044】(Cr系炭化物として析出しているC重量%)
×100/(鋼中全C重量%-0.012%)≧85 :不働態被膜を表面に有するオーステナイト系ステンレ
ス鋼をセパレータとして用いた場合、電極との接触電気
抵抗を小さくするためには、Cr系炭化物として析出して
いるC重量と鋼中全C重量を下記式を満足するように調
整する必要がある。
【0045】(Cr系炭化物として析出しているC重量%)
×100/(鋼中全C重量%-0.012%)≧85以下、この(Cr含系
化物として析出しているC重量%)×100/(鋼中全C重量%
-0.012)をI値という。
【0046】I値が85未満では、鋼表面にCr系炭化物
が析出している効果がなく、通常のオーステナイト系ス
テンレス鋼の接触電気抵抗と同程度になる。
【0047】I値を85以上にするには、最終の熱処理
として500〜950℃の温度域に保持する熱処理を施
せばよい。950℃を超える温度域では、Cr系炭化物
は熱的に不安定となり再固溶する。一方、500℃以下
では鋼中C,Crの拡散速度が遅く、量産での析出処理
時間が長くなり工業的な観点より好ましくない。Cr系
炭化物析出に好適な処理温度域は600℃以上、900
℃以下である。
【0048】Cr系炭化物は鋼中に微細に分散析出する
が、析出しやすい結晶粒界に優先析出する傾向がある。
接触電気抵抗を低くする上で、クロム系炭化物が粒界、
粒内いずれに析出するかはさほどの影響はないが、均一
に分散させるとの観点より考えると、粒内にも分散析出
していることが望ましい。
【0049】粒内に分散させるためには、一旦、Cr系
炭化物を析出させた状態で、Cr系炭化物が再固溶しな
い温度域および時間内に熱間圧延あるいは冷間圧延で加
工歪を付与した後、再度500℃以上、950℃以下の
Cr系炭化物析出温度域に保持すればよい。再固溶した
鋼中Cが、粒界あるいは粒内に固溶せず残留している炭
化物を核として再度析出し、新粒界が形成されることで
粒内にも炭化物が析出することとなる。
【0050】周知のように、Cr系炭化物析出処理で
は、鋭敏化により母材耐食性を低下させる可能性があ
る。鋭敏化とは、Cr系炭化物が析出することでその周
囲にCr欠乏層が生成することで起こる耐食性の低下で
ある。Cr系炭化物析出処理で500℃以上、950℃
以下の温度域に長時間保持し、緩冷却することで鋭敏化
を回避、あるいは鋭敏化度を小さくすることができる。
一般的に、冷却速度は遅いほど望ましい。ただし、鋭敏
化抑制の熱処理時間は、鋼中のC量および材料の履歴に
より異なる現象がある。すなわち、鋭敏化抑制の熱処理
は、炭化物析出処理の熱処理前での炭化物での析出状
況、残留加工歪量および保持温度などにより一概に規定
することは困難である。一例としては、830℃×6時
間炉冷などがある。析出熱処理をおこなった直後に冷却
することなく継続して処理をおこなってもよい。また、
いったん冷却した後、再度500℃以上、950℃以下
の温度域に加熱保持し、緩冷却してもよい。
【0051】次に、(Cr系炭化物として析出している
C重量%)値の定量は、例えば試験材を、AA液(10
%アセチルアセトンー1%テトラメチルアンモニウムク
ロライド−残りメタノール)を用いる非水溶媒溶液中で
の定電流電解をおこない、地金を溶解して得られた“抽
出残渣”中のCrの定量分析結果から、CrがすべてC
236であるとして等量計算によりおこなうことがで
きる。
【0052】また、(鋼中全C重量%)の定量について
は、赤外線吸収法を用いて定量することができる。すな
わち、試験片を酸素気流中で加熱、溶解して、鋼中の炭
素を十分に加熱して二酸化炭素とし、これを酸素と共に
赤外線吸収セルに送り、二酸化炭素による赤外線吸収量
で定量分析する。この方法は、現在では最も一般的な鋼
中C定量法である。
【0053】Si:Siは、0.01〜1.5%の範囲
内で含有させる。Siは、量産鋼においてはAlと同様
に有効な脱酸元素である。0.01%未満では脱酸が不
十分となり、一方1.5%を超えると成形性が低下する
ので、Si含有量は0.01〜1.5%とした。
【0054】Mn:Mn含有量は、0.01〜2.5%
の範囲内であることが必要である。通常、Mnは、鋼中
のSをMn系の硫化物として固定する作用があり、熱間
加工性を改善する効果がある。また脱酸元素あるいはN
iバランス調整元素でもある。これらの効果を得るに
は、0.01%以上が必要である。一方、2.5%を超
えると製造時の表面スケール生成量が多くなり鋼板表面
性状がわるくなるため上限は2.5%とした。
【0055】P:鋼中のPは、0.035%以下である
ことが必要である。本発明においては、Sと同様に最も
有害な不純物である。低ければ低い程望ましい。
【0056】S:鋼中のS量は、0.01%以下である
ことが必要である。本発明において、Pと同様に最も有
害な不純物である。低ければ、低いほど望ましい。鋼中
共存元素およびS含有量に応じて、Mn系硫化物、Cr
系硫化物、Fe系硫化物、あるいはこれらの複合硫化物
および酸化物との複合非金属介在物としてほとんどは析
出している。しかしながら、セパレータ環境において
は、いずれの組成の非金属介在物も、程度の差はあるも
のの腐食の起点として作用し、不働態被膜の維持、腐食
溶出抑制に有害である。通常の量産鋼の鋼中S量は、
0.005%超え0.008%前後であるが、上記の有
害な影響を防止するためには0.004%以下に低減す
ることが望ましい。より望ましくは0.002%以下で
あり、最も望ましいのは、0.001%未満であり、低
ければ低い程よい。工業的量産レベルで0.001%未
満とすることは、現状の精錬技術で十分可能である。。
【0057】Cr:Crは、母材の耐食性を確保する上
で極めて重要な基本合金元素である。含有量は高いほど
高耐食となる。30%を超えると、熱間で割れが発生し
やすくなり量産規模での生産が難しくなる。また、17
%未満では、その他の元素を変化させてもセパレータと
して必要な耐食性の確保が困難となる。
【0058】Ni:Niは、本発明鋼を金属組織学的に
オーステナイト系とするために重要な元素である。オー
ステナイト系とすることで、熱間加工性、耐食性、成形
性が確保される。7%未満ではオーステナイト組織とす
ることが困難となり、一方、50%を超えるとコスト的
に極めて高価なものとなる。したがって、下限を7%、
上限を50%とした。
【0059】Cu:Cuは、鋼表面を不働態化する作用
があり、必要に応じて3%以下で含有させる。含有させ
る場合、0.01%以上が好ましく、一方3%を超えて
含有させると、熱間での加工性が劣化して量産が難しく
なる。
【0060】N:Nは、オーステナイト形成元素で、必
要により0.3%以下で含有させる。0.3%を超える
と常温での薄板成形性が劣化するため、上限は0.3%
とした。
【0061】Mo:Moは、必要に応じ含有させる。C
rに比べて少量で耐食性を改善する効果がある。しか
し、7%を超えて含有させると、シグマ相等の金属間化
合物の析出回避が困難であり、鋼の脆化の問題から生産
が困難となるので上限を7%とした。
【0062】また、Moの特徴として、たとえMoが溶
出したとしても、アノードおよびカソード部に担持され
ている触媒の性能に対する影響は比較的軽微である特徴
がある。水素イオン(プロトン)交換基を有するフッ素
系イオン交換樹脂膜の陽イオン伝導度に対する影響も小
さいことが挙げられる。
【0063】(Cr+3Mo):セパレータ用ステンレ
ス鋼としては、固体高分子型燃料電池の作動温度である
70℃から高々100℃の環境において不働態化の状態
にあり、かつ、継時的にも接触電気抵抗値が低いことが
必要である。不働態皮膜厚さ増加と腐食生成物生成を実
用的な範囲で抑制する必要がある。そのための必要条件
として、少なくとも、CrおよびMoの含有量は、腐食
指数である(Cr+3Mo)が17〜50%の範囲内に
あることが必要である。
【0064】削除
【0065】なお、上記のように本発明のオーステナイ
ト系ステンレス鋼は、固体高分子型燃料電池のセパレー
タ用として好適であるが、通電する電気部品で小さい接
触電気抵抗が要求されるような部品に用いることができ
る。例えば、電線と、電線または電気機械器具とを接続
するためのコネクター等の電気部品である。
【0066】
【実施例】以下、実施例により本発明の効果について説
明する。
【0067】表1に示した21種の化学組成のオーステ
ナイト系ステンレス鋼を高周波誘導加熱方式の150kg
真空溶解炉で溶解した。溶解原料としては、市販の溶解
原料を使用し、鋼中の不純物量を調整した。
【0068】
【表1】
【0069】造塊した横断面が丸形のインゴットは、大
気中で1280℃に3時間加熱した後、プレス方式鍛造
機で熱間鍛造し、各インゴットを下記2種の寸法の試験
用スラブに仕上げた。
【0070】 厚さ30mm、幅100mm、長さ120mm 厚さ70mm、幅380mm、長さ550mm のスラブは、熱間圧延して厚さ6mmの熱延鋼板と
し、次いで実生産での熱延終了直後の温度履歴を模擬し
た断熱材巻き付け条件で徐冷した。次いで、この熱延鋼
板に、大気雰囲気の800℃に恒温保持された加熱炉中
で16時間保持した後、48時間をかけて炉冷する焼鈍
を施し供試材(以下、素材Aと記す)とした。
【0071】上記のスラブは、機械加工でスラブ表面
を切削加工して、表面の酸化スケールを除去し、厚さ6
2mmのスラブに仕上げた。このスラブを大気中で12
00℃に加熱し、熱間圧延して厚さ4mmに仕上げた
後、と同様、実生産での熱延終了直後の温度履歴を模
擬した断熱材巻き付け条件で徐冷した。次いで、この熱
延鋼板に、大気雰囲気の800℃に恒温保持された加熱
炉中で16時間保持した後、48時間をかけて炉冷する
焼鈍を施した。次いで、酸洗した後冷間圧延機を用いて
圧下率80%の冷間圧延をおこない厚さ0.3mm(+
−0.02)の冷延鋼板(以下、素材Bと記す)とし
た。
【0072】上記の熱延鋼板の素材Aおよび冷延鋼板の
素材Bから、接触電気抵抗測定試験片、固体高分子
型燃料電池用セルにセパレータ、および粒界腐食試験
片を作製した。これらの各試験片に、表2および表3の
最終熱処理欄に示す条件でCr炭化物析出処理を施し、
各試験に供した。試験片および試験条件は以下に示す通
りとした。なお、素材Bから作製したセパレータは、セ
パレータの形状に冷間成形する前にCr炭化物析出処理
を施した。
【0073】接触電気抵抗測定試験 試験片の寸法:厚さ:3mmまたは0.3mm、幅:4
0mm、長さ:40mm 接触電気抵抗は、電極として厚さ0.6mmの市販のグ
ラッシーカーボン板を用い、そのカーボン板に、接触面
積1cm2として上記試験片を接触させた。接触電気抵
抗の測定は、4端子法とした。なお、評価用試験片表面
は、評価直前に湿式600番エメリー研磨し、表面を洗
浄後評価に供試した。負荷荷重は12kg/cm2とし
た。負荷荷重により接触電気抵抗は変化するが、12k
g/cm2ではほぼ一定値が得られる。
【0074】固体高分子型燃料電池セルにセパレータ
を装填した状態での特性評価 固体高分子型燃料電池セル装填による性能評価は、厚さ
0.3mmの素材Bを用いておこなった。コルゲート形
状の詳細は下記の通りである。
【0075】a)セパレータ形状: 素材A 厚さ5mm、縦80mm、横80mm ガス流路:高さ0.8mm、山と山との間隔1.2mm
(機械加工) 素材B 厚さ0.3mm、縦80mm、横80mm ガス流路:高さ0.8mm、山と山との間隔1.2mm
(コルケ゛ート加工) b)セパレータ表面仕上げ:表面をショット加工用Si
C砥粒を用いて機械的にショット研磨仕上げし、5%H
NO3+3%HF、40℃中で15分間の超音波洗浄を
行い、さらに、試験直前に6%水酸化ナトリウム水溶液
を用いたアルカリ噴霧脱脂処理をおこない、流水で簡易
水洗後、バッチ型水槽で蒸留水浸漬洗浄を3回行い、さ
らに蒸留水噴霧洗浄を4分間行って冷風ドライアー乾燥
させた後、各試験に供した。
【0076】固体高分子型単セル電池内部にセパレータ
として装填した状態での特性評価は、電池内に燃料ガス
を流してから1時間経過後に単セル電池の電圧を測定
し、初期の電圧と比較することにより電圧の低下率を調
べて行った。なお、低下率は、1−(1時間経過後の電
圧V/初期電圧v)により求めた。
【0077】評価に用いた固体高分子型燃料単セル電池
は、米国Electrochem社製市販電池セルFC50を改造して
用いた。
【0078】アノード極側燃料用ガスとしては99.9
999%水素ガスを用い、カソード極側ガスとしては空
気を用いた。電池本体は全体を78±2℃に保温すると
共に、電池内部の湿度制御を、セル出側の排ガス水分濃
度測定をもとに入り側で調整した。電池内部の圧力は、
1気圧である。水素ガス、空気の電池への導入ガス圧は
0.04〜0.20barで調整した。セル性能評価
は、単セル電圧で500(+−100)mA/cm2−0.
62(+−0.03)Vが確認できた状態より継時的に
測定をおこなった。
【0079】単セル性能測定用システムとしては、米国
スクリブナー社製890シリーズを基本とした燃料電池計
測システムを改造して用いた。電池運転状態により、特
性に変化があると予想されるが、同一条件で比較評価し
た。
【0080】粒界腐食試験片 ストラウス試験にて耐粒界腐食性を調べた。IJS G
0575の規定に従って、硫酸−硫酸銅腐食試験を実施
した。
【0081】以上の試験結果を表2および表3に示す。
【0082】
【表2】
【0083】
【表3】
【0084】各熱処理を施してCr炭化物を析出させ接
触電気抵抗測定試験片の一部から分析試験片を切り出
し、下記の方法でCr含有炭化物として析出しているC
量および鋼中全C量を求めた。その分析結果から求めた
I値を表2および表3に示す。
【0085】(Cr含有炭化物として析出しているC重
量%)値の定量は、試験材を、AA液(10%アセチル
アセトン−1%テトラメチルアンモニウムクロライド−
残りメタノール)を用いる非水溶媒溶液中での定電流電
解を行うことで得られる“抽出残渣”中Cr定量分析結
果に基づいて求めた。すなわち、AA非水溶媒液中に
て、20mA/cm2の電流密度にて約3時間の定電流電
解をおこなうことで約0.4g相当を溶解し、電解後す
みやかに電解試験片を超音波洗浄した際に用いたAA非
水溶媒液と電解に用いたAA非水溶媒溶液をフィルター
径0.2μmのCoster Scientific Corporation社製
“商品名Nuclepore”で濾し取り、フィルター上の残渣
を硫りん酸(特級りん酸:特級硫酸:蒸留水=1:1:
1)中で溶解し、これを島津製作所製誘導結合プラズマ
発光分光分析装置“商品名ICPV-1014”にて金属成分を
分析し、Cr濃度を定量した。CrがすべてCr236
であるとして等量計算にてC量を定量した。
【0086】また、(鋼中全C重量%)の定量について
は、一般に用いられている赤外線吸収法にて定量した。
【0087】熱延条件、熱延後の冷却条件、Cr炭化物
析出のための熱処理条件によって化学組成が同じ鋼板で
あっても炭化物の析出状態が異なり、クロム欠乏層形成
度により耐食性、接触電気抵抗値および固体高分子型燃
料電池内部での性能に差異がある。
【0088】本発明例では、全て接触電気抵抗が0.2
Ω・cm2以下と低いが、比較例では0.41〜0.96
Ω・cm2と極めて高い。鋼中C量が0.01%未満と低
い鋼番13、14および15は、炭化物析出量が少ない
ため接触抵抗値が特に大きい。
【0089】I値は、高い程鋼中CはCr系の炭化物と
して析出している割合が高いが、85未満では、カーボ
ン板との接触電気抵抗、固体高分子型燃料電池セルでの
性能ともに十分でない。この傾向は、鋼中C量が低い程
I値の影響を大きく受け、低い場合には性能が劣ってい
る。
【0090】固体高分子型燃料電池セルにセパレータを
装填した状態での特性は、本発明例では電圧低下率は全
て0.05未満であるのに対し、本発明で規定した化学
組成を外れた比較例では、電圧低下率が0.2〜>0.
8と極めて大きかった。
【0091】表3中、鋼番20、21は、熱間圧延に際
して耳割れと称している端面からの割れが発生した。熱
間での耳割れ対策としては、鋼中のS量を低く押さえる
ことが有効であることが知られているが、鋼番20、2
1ともに鋼中S量は0.001%程度であり、工業的に
は極めて低いレベルである。したがって、鋼中Pあるい
はSi量が高いことが熱間での割れに起因している。
【0092】鋼番19は、フェライトとオーステナイト
両組織からなる二相ステンレス鋼である。二相ステンレ
ス組織では、耐食性は比較的良好であるが、常温での加
工性に方向性が強く、薄板での成形性が要求されるセパ
レータへの加工は難しい。また、表3に示した830℃
で24時間保持後空冷の熱処理をおこなった鋼は、耐食
性は確保されたもののσ相析出による脆化が顕著であっ
た。硬度も高く、切断、切削加工は極めて困難であっ
た。
【0093】
【発明の効果】本発明のオーステナイト系ステンレス鋼
は、接触電気抵抗が小さく、特に固体高分子型燃料電池
のセパレータ用として、極めて優れた電気特性を発揮す
る。また、このセパレータを用いた固体高分子型燃料電
池は安価で電気特性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】固体高分子型燃料電池の構造を示す図である。
【符号の説明】
1 燃料電池 2 固体分子電解質膜 3 燃料電極膜 4 酸化剤電極膜 5a、5b セパレータ
フロントページの続き (56)参考文献 特開2000−239806(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01M 8/02 C22C 38/00 302 C22C 38/44 C22C 38/58 H01M 8/10

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量%で、C:0.015〜0.2%、S
    i:0.01〜1.5%、Mn:0.01〜2.5%、
    P:0.035%以下、S:0.01%以下、Cr:1
    7〜30%、Ni:7〜50%、N:0.3%以下およ
    Al:0〜0.2%を含有し、かつCr+3Moが1
    7〜50%であって、残部Feおよび不可避不純物から
    なり、Cr系炭化物として析出しているC量および鋼中
    の全C量が、下記式を満足していることを特徴とする接
    触電気抵抗の小さい固体高分子型燃料電池のセパレータ
    オーステナイト系ステンレス鋼。 (Cr系炭化物として析出しているC重量%)×100/(鋼中
    全C重量%−0.012%)≧85
  2. 【請求項2】重量%で、C:0.015〜0.2%、S
    i:0.01〜1.5%、Mn:0.01〜2.5%、
    P:0.035%以下、S:0.01%以下、Cr:1
    7〜30%、Ni:7〜50%、N:0.3%以下、A
    l:0〜0.2%、ならびにCu:3%以下とMo:7
    %以下の一方または両方を含有し、かつCr+3Moが
    17〜50%であって、残部Feおよび不可避不純物か
    らなり、Cr系炭化物として析出しているC量および鋼
    中の全C量が、下記式を満足していることを特徴とする
    接触電気抵抗の小さい固体高分子型燃料電池のセパレー
    タ用オーステナイト系ステンレス鋼。 (Cr系炭化物として析出しているC重量%)×100/(鋼中
    全C重量%−0.012%)≧85
  3. 【請求項3】固体高分子電解質膜を中央にして燃料電極
    膜と酸化剤電極膜を重ね合わせた単位電池を複数個、単
    位電池間にセパレータを介在させて積層した積層体に、
    燃料ガスと酸化剤ガスを供給して直流電力を発生させる
    固体高分子型燃料電池であって、セパレータが請求項1
    または請求項2に記載のオーステナイト系ステンレス鋼
    からなることを特徴とする固体高分子型燃料電池。
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