JP3385978B2 - 空気清浄機 - Google Patents
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、紫外線が照射され
ることによって活性酸素を発生し、油、臭気等の汚染物
質を分解したり、殺菌するようになった二酸化チタン等
の光触媒を利用した空気清浄機に関する。 【0002】 【従来の技術】二酸化チタン等の光触媒は、400nm 以下
の光、特に、300 〜400nm の光が照射されると、表面に
電子およびホールが形成されて酸化還元反応が生じ、汚
染物質が酸化されて分解される。このために、空気を清
浄化する空気清浄機等に利用されている。 【0003】空気清浄機等に利用される光触媒は、通
常、平板状のハニカム構造体である光触媒担持体の表面
に担持されて使用される。この場合、平板状になったハ
ニカム構造体である光触媒担持体に対して、棒状の蛍光
ランプから発生する所定波長の光が照射されて、光触媒
担持体に担持された光触媒が活性化されるようになって
いる。ハニカム構造体によって構成された光触媒担持体
では、光触媒が担持される表面積が大きくなっており、
従って、光触媒による反応効率が大きくなるという利点
を有している。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うに、平板状をしたハニカム構造体によって構成された
光触媒担持体では、棒状のランプによって、所定の波長
の光を全体にわたって等しい強度で照射することができ
ないという問題がある。特に、ハニカム構造体の内部空
間に担持された光触媒、およびランプに対して遠くに位
置する光触媒担持体の側縁部に担持された光触媒に対し
て、確実に光を照射することは容易でない。 【0005】このために、複数本のランプから発せられ
る光によって、平板状の光触媒担持体を照射したり、複
数の平板状の光触媒担持体を、ランプを取り囲むように
配置した空気清浄機が開発されている。しかしながら、
いずれの空気清浄機でも、光触媒担持体に担持された光
触媒に対して、光が全体にわたって確実に照射されない
ために、十分な空気清浄能力が発揮されるものではな
い。 【0006】本発明は、このような問題を解決するもの
であり、その目的は、光触媒担持体に担持された光触媒
の全体にわたって確実に光を照射することができ、従っ
て、空気清浄能力に優れている空気清浄機を提供するこ
とにある。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明の空気清浄機は、
表面に光触媒が担持された可撓性を有するハニカム構造
体が半円筒状に湾曲された光触媒担持体と、この光触媒
担持体に対して所定の波長の光が照射されるように光触
媒担持体の軸心部に沿って配置された棒状のランプを有
する光触媒担持部材と、ファンとが、ケーシング内に配
置されているとともに、前記半円筒状の光触媒担持体の
開口が前記ファンからの空気の流れに対向するように配
置されており、前記ファンにてケーシング内に吸引され
た空気が、半円筒状の光触媒担持体の開口から流入し
て、光触媒担持体を通過した後に、ケーシング外に排出
されるように構成されていることを特徴とする。 【0008】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、図
面に基づいて詳細に説明する。 【0009】図1は、本発明の空気清浄機の実施の形態
の一例を示す正面図、図2は、その空気清浄機の側面図
である。この空気清浄機は、前部が垂直な直方体状のフ
ィルター収容部21に形成されるとともに、後部が水平
な円筒状のファン収容部22に形成されたケーシング2
0を有している。 【0010】ケーシング20は、後部の円筒状をしたフ
ァン収容部22の下部に取り付けられた支持台50によ
って支持されている。この支持台50は、ファン収容部
22の直径方向に延びており、その上面は、円弧状に上
方に突出している。 【0011】垂直な直方体状に形成された前部のフィル
ター収容部21は、支持台50によって支持されたファ
ン収容部22に対して上方にずれた状態になっており、
その上部が、ファン収容部22よりも上方に突出してい
る。ファン収容部22の下部前方に位置するフィルター
収容部21の下側の空間部には、各種スイッチ等が設け
られた操作パネル27が設けられている。 【0012】ファン収容部22から上方に突出したフィ
ルター収容部21の上部空間、および、その後方のファ
ン収容部22の上方の空間は、光触媒担持部材10が収
容される光触媒担持部材収容部23になっている。この
光触媒担持部材収容部23は、ファン収容部22の内部
に連通している。フィルター収容部21の上部には、光
触媒担持部材収容部23を覆う上部カバー24が取り付
けられている。上部カバー24には、それぞれが垂直な
状態になった複数のスリット(図示せず)が、水平方向
に等しい間隔をあけて設けられている。 【0013】ケーシング20におけるフィルター収容部
21の前面は、長方形状のフロントカバー25によって
覆われており、また、ファン収容部22の後面は、背面
カバー26によって覆われている。フロントカバー25
は、空気が通過し得るようになっている。 【0014】図3は、フロントカバー25を取り除いた
状態の空気清浄機の正面図である。図3に示すように、
ケーシング20の長方形状になったフィルター収容部2
1内には、それぞれが平板状に構成された一対のフィル
ター31および32(図2参照)が、それぞれ垂直な状
態で前後方向に積層されて収容されている。前方に位置
するフィルター31は、静電繊維によって構成された不
織布をプリーツ状に折り畳んで20mmの厚さに構成さ
れており、また、後方に位置するフィルター32は、厚
さ10mmの平板状をしたハニカム構造体の表面に活性
炭を付着させて構成されている。なお、フィルター31
を後方、フィルター32を前方に配置するようにしても
よい。 【0015】図4は、背面カバー26を取り除いた状態
の空気清浄機の背面図である。図4に示すように、ケー
シング20の円筒状をしたファン収容部22内には、シ
ロッコファン40が収容されている。シロッコファン4
0は、ファン収容部22内に同心状態で配置された羽根
車41と、この羽根車41におけるフィルター32側の
前面の中心部に配置されたモーター(図示せず)とを有
している。羽根車41は、ファン収容部22の背面側に
垂直状態で配置された円板状の基板41aと、この基板
41aの前面における外周縁部に、それぞれが基板41
aの直径方向に対して同方向に傾斜した複数の羽根体4
1bとを有している。そして、基板41aがモーターに
よって回転されると、各羽根体41bによって、各羽根
体41bにて囲まれた内部に空気が吸引されて、各羽根
体41bの周囲に空気が旋回流となって排出される。 【0016】シロッコファン40の周囲には、各羽根体
41bとは適当な間隔をあけて配置された円筒状のガイ
ド壁22aが設けられており、このガイド壁22aによ
って、シロッコファン40の周囲に排出される空気が、
ファン収容部22の上方にて上部カバー24によって覆
われた光触媒担持部材収容部23内に案内されるように
なっている。光触媒担持部材収容部23内には、光触媒
担持部材10が収容されている。 【0017】図5は、光触媒担持部材10の正面図、図
6は、その一部破断平面図、図7は、その側面図であ
る。この光触媒保持部材10は、光触媒である二酸化チ
タンを担持する光触媒担持体11と、この光触媒担持体
11を半円筒状に湾曲させた状態で保持するホルダー1
2とを有している。 【0018】光触媒担持体11は、断面六角形状をした
筒状空間が連続的に形成されるようになった平板状のハ
ニカム構造体によって構成されている。このような光触
媒担持体11は、ポリエステルおよびポリエチレンの複
合繊維によって、幅 20mm 、長さ 250mmの長方形状に構
成された120 枚の繊維片に対して、ポリアクリル系ラテ
ックスをバインダーとして、汚染物質を吸着する吸着体
として椰子殻活性炭をそれぞれ塗布した後に、隣接する
繊維片同士によって、一辺の長さが 1.5mmの断面六角形
をした筒形状が得られるように、1.5mm のノードライン
で、隣接する繊維片同士を接着して、14mm幅の単位ハニ
カム構造体を製造し、複数の単位ハニカム構造体を相互
に接着することによって平板状に製造されている。 【0019】得られた平板状をしたハニカム構造体の光
触媒担持体11には、光触媒である二酸化チタンが担持
される。光触媒担持体11に対する二酸化チタンの担持
は、まず、二酸化チタン5〜10重量%、メタノール45〜
60%、水25〜35重量%、二酸化ケイ素1〜5重量%、2-
プロパノール5〜20重量%、硝酸0.1 〜1重量%を混合
してコーティング液を調整し、調整されたコーティング
液内に、光触媒担持体11を数秒間にわたって浸漬した
後に引き上げて、室温にて24時間にわたって乾燥させる
ことによって行われる。 【0020】光触媒である二酸化チタンが担持された光
触媒担持体11は、ホルダー12によって、半円筒状に
湾曲されて下方に向かって開口した状態で保持される。
ホルダー12は、半円筒状に湾曲された光触媒担持体1
1の各端面にそれぞれ突き合わされるように、それぞれ
が半円形状に形成された一対の端面部12aを有してい
る。各端面部12aは、直径方向に沿った直線部分が水
平な下端縁になるように、相互に対向した垂直状態に配
置されており、外周縁部は、それぞれの上端部を除い
て、半円筒状に湾曲された光触媒担持体11の外周面に
沿った円弧状に形成されている。各端面部12aの上端
部は、それぞれ水平になっている。 【0021】各端面部12aは、半円筒状に湾曲された
光触媒担持体11の各端面に突き合わされた際に、光触
媒担持体11の内周面をそれぞれ支持するように、段差
部12bがそれぞれ設けられている。各段差部12b
は、各端面部12aの外周縁と同心状態になった半円形
状にそれぞれ形成されている。各段差部12bの中央部
には、垂直方向に長くなった長方形状の開口部12c
が、それぞれ設けられている。 【0022】一方の端面部12aにおける下端縁の両側
の各側部と、他方の端面部12aの下端縁の両側の各側
部とは、水平な連結板12dによって、それぞれ一体的
に連結されている。各連結板12dは、半円筒状に湾曲
された光触媒担持体11の下端面がそれぞれ突き合わさ
れるようになっており、各連結板12dには、半円筒状
に湾曲された光触媒担持体11の端部における下側の外
周面に沿うように上方に向かって垂直に延びるフランジ
部12eがそれぞれ設けられている。 【0023】各連結板12dにおける相互に近接した各
側縁部間には、各端面部12a間を三等分する位置に、
それぞれが断面半円形状の線材を倒立U字状に湾曲させ
た一対の支持部材12fの下端部がそれぞれ取り付けら
れている。各支持部材12fは、半円筒状に湾曲した光
触媒担持体11の内周面をそれぞれ支持している。 【0024】各端面部12aには、ホルダー12の軸心
部に沿って配置される棒状のランプ13の各端部を支持
するランプ支持部12gがそれぞれ設けられている。各
ランプ支持部12gは、各端面部12aの段差部12b
の内面に沿ってそれぞれ垂直に配置されており、上方に
向かって開放されたU字状の開口部がそれぞれ設けられ
ている。各ランプ支持部12gの開口部内には、ランプ
13の各端部が挿入されて支持されるようになってい
る。各ランプ支持部12gの上端部には、相互に接近す
る方向に突出する係合部12hがそれぞれ設けられてお
り、開口部内に挿入されたランプ13の各端部が各係合
部12hによって係合されて抜け止めされるようになっ
ている。 【0025】ホルダー12の軸心部に沿って配置された
棒状のランプ13としては、例えば、波長300 〜400nm
の光を出力する5Wの冷陰極蛍光ランプが使用される。 【0026】このような構成の空気清浄機では、ケーシ
ング20のファン収容部22内に収容されたシロッコフ
ァン40が駆動されると、フロントカバー25からフィ
ルター収容部21内に空気が吸引されて、フィルター収
容部21内に収容された各フィルター31および32に
よって空気が清浄化された後に、ファン収容部22内に
収容されたシロッコファン40の羽根車41内に進入
し、羽根車41によって、シロッコファン40の周囲に
吐出される。シロッコファン40の周囲に吐出された空
気は、ガイド壁22aに沿って流動して、ファン収容部
22の上方に設けられた光触媒担持部材収容部23内に
流入する。 【0027】光触媒担持部材収容部23に配置された光
触媒担持部材10は、水平状態に配置されたホルダー1
2にて、半円筒状に湾曲された光触媒担持体11が下方
に開口した状態で保持されており、半円筒状に保持され
た光触媒担持体11には、その軸心部に配置されたラン
プ13によって、波長300 〜400nm の光が照射されてい
る。そして、光触媒担持部材収容部23内に流入した空
気は、半円筒状の光触媒担持体11の下方の開口から内
部に流動して、光触媒担持体11を通過して上方の上部
カバー25の各スリットを通って上方に排出される。こ
のとき、光触媒担持体11に担持された光触媒は、ラン
プ13から照射される光によって、活性酸素を発生して
おり、光触媒担持体11を通過する空気が殺菌されると
ともに、空気内の汚染物質が酸化されて分解される。 【0028】光触媒担持体11は、ハニカム構造体によ
って構成されているために、光触媒担持体11を通過す
る空気は、光触媒担持体11に担持された光触媒に対し
て効率よく接触する。しかも、ホルダー12に保持され
たランプ13は、半円筒状に湾曲された光触媒担持体1
1の軸心部に配置されているために、光触媒担持体11
に対して、等しい強度の光を全体にわたって照射するこ
とができる。その結果、光触媒担持体11に担持された
光触媒である二酸化チタンは、全体にわたって確実に活
性化される。 【0029】この場合、光触媒担持体11には、汚染物
質を吸着する吸着体としての椰子殻活性炭が付着してい
るために、空気内の汚染物質は、椰子殻活性炭に吸着さ
れる。従って、反応速度が遅い二酸化チタンであって
も、椰子殻活性炭に吸着された汚染物質を、確実に酸化
および分解することができる。 【0030】なお、汚染物質を吸着する吸着体として
は、椰子殻活性炭に限らず、ゼオライト等であってもよ
く、また、繊維に付着させる構成に限らず、活性炭繊維
を使用するようにしてもよい。 【0031】本実施の形態の空気清浄機によって空気を
清浄化した際のアンモニア、アセトアルデヒド、酢酸の
除去率を測定したところ、図8の(a)〜(c)のグラ
フに示すように、アンモニア、アセトアルデヒド、酢酸
は、それぞれ、15分の間に、100 %にわたって完全に除
去することができた。 【0032】比較のために、90×300 ×15mmの平板状を
したアルミニウム製のハニカム構造体によって構成され
た光触媒担持体に、ゼオライトおよび二酸化チタンを担
持させたもの(比較例1)、280 ×310 ×10mmの平板状
をした段ボール紙製のハニカム構造体によって構成され
た光触媒担持体に、ゼオライトおよび二酸化チタンを担
持させたもの(比較例2)、100 ×200 ×10mmの平板状
をした段ボール紙製のハニカム構造体によって構成され
た光触媒担持体に、二酸化チタンを担持させたもの(比
較例3)が、それぞれケーシング内に設けられて、1本
の棒状ランプによって、波長300 〜400nm の光をそれぞ
れに照射するようになった空気清浄機において、アンモ
ニア、アセトアルデヒド、酢酸の除去率をそれぞれ測定
したところ、図8(a)〜(c)のグラフにそれぞれ併
記した結果が得られた。 【0033】すなわち、比較例1では、アンモニアを10
0 %にわたって完全に除去するためには30分の時間を要
し、アセトアルデヒドは、30分にて50%程度しか除去す
ることができず、さらに、酢酸を100 %にわたって完全
に除去するためには30分の時間を要した。 【0034】比較例2では、アンモニアは、30分の間に
60%程度しか除去することができず、アセトアルデヒド
は、15分の間には全く除去することができず、さらに、
酢酸は、30分の間に60%程度しか除去することができな
かった。 【0035】比較例3では、アンモニアは、30分の間に
50%程度しか除去することができず、アセトアルデヒド
は、30分の間には全く除去することができず、さらに、
酢酸は、30分の間に80%程度しか除去することができな
かった。 【0036】 【発明の効果】本発明の空気清浄機は、このように、可
撓性を有する平板状のハニカム構造体を半円筒状に形成
した光触媒担持体と、その軸心部に設けられた棒状のラ
ンプを有する光触媒担持部材によって、ケーシング内に
吸引された空気が清浄化されるようになっているため
に、半円筒状の光触媒担持体に担持された光触媒が全体
にわたって確実に活性化されており、汚染物質を効率よ
く酸化して分解することができる。
ることによって活性酸素を発生し、油、臭気等の汚染物
質を分解したり、殺菌するようになった二酸化チタン等
の光触媒を利用した空気清浄機に関する。 【0002】 【従来の技術】二酸化チタン等の光触媒は、400nm 以下
の光、特に、300 〜400nm の光が照射されると、表面に
電子およびホールが形成されて酸化還元反応が生じ、汚
染物質が酸化されて分解される。このために、空気を清
浄化する空気清浄機等に利用されている。 【0003】空気清浄機等に利用される光触媒は、通
常、平板状のハニカム構造体である光触媒担持体の表面
に担持されて使用される。この場合、平板状になったハ
ニカム構造体である光触媒担持体に対して、棒状の蛍光
ランプから発生する所定波長の光が照射されて、光触媒
担持体に担持された光触媒が活性化されるようになって
いる。ハニカム構造体によって構成された光触媒担持体
では、光触媒が担持される表面積が大きくなっており、
従って、光触媒による反応効率が大きくなるという利点
を有している。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うに、平板状をしたハニカム構造体によって構成された
光触媒担持体では、棒状のランプによって、所定の波長
の光を全体にわたって等しい強度で照射することができ
ないという問題がある。特に、ハニカム構造体の内部空
間に担持された光触媒、およびランプに対して遠くに位
置する光触媒担持体の側縁部に担持された光触媒に対し
て、確実に光を照射することは容易でない。 【0005】このために、複数本のランプから発せられ
る光によって、平板状の光触媒担持体を照射したり、複
数の平板状の光触媒担持体を、ランプを取り囲むように
配置した空気清浄機が開発されている。しかしながら、
いずれの空気清浄機でも、光触媒担持体に担持された光
触媒に対して、光が全体にわたって確実に照射されない
ために、十分な空気清浄能力が発揮されるものではな
い。 【0006】本発明は、このような問題を解決するもの
であり、その目的は、光触媒担持体に担持された光触媒
の全体にわたって確実に光を照射することができ、従っ
て、空気清浄能力に優れている空気清浄機を提供するこ
とにある。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明の空気清浄機は、
表面に光触媒が担持された可撓性を有するハニカム構造
体が半円筒状に湾曲された光触媒担持体と、この光触媒
担持体に対して所定の波長の光が照射されるように光触
媒担持体の軸心部に沿って配置された棒状のランプを有
する光触媒担持部材と、ファンとが、ケーシング内に配
置されているとともに、前記半円筒状の光触媒担持体の
開口が前記ファンからの空気の流れに対向するように配
置されており、前記ファンにてケーシング内に吸引され
た空気が、半円筒状の光触媒担持体の開口から流入し
て、光触媒担持体を通過した後に、ケーシング外に排出
されるように構成されていることを特徴とする。 【0008】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、図
面に基づいて詳細に説明する。 【0009】図1は、本発明の空気清浄機の実施の形態
の一例を示す正面図、図2は、その空気清浄機の側面図
である。この空気清浄機は、前部が垂直な直方体状のフ
ィルター収容部21に形成されるとともに、後部が水平
な円筒状のファン収容部22に形成されたケーシング2
0を有している。 【0010】ケーシング20は、後部の円筒状をしたフ
ァン収容部22の下部に取り付けられた支持台50によ
って支持されている。この支持台50は、ファン収容部
22の直径方向に延びており、その上面は、円弧状に上
方に突出している。 【0011】垂直な直方体状に形成された前部のフィル
ター収容部21は、支持台50によって支持されたファ
ン収容部22に対して上方にずれた状態になっており、
その上部が、ファン収容部22よりも上方に突出してい
る。ファン収容部22の下部前方に位置するフィルター
収容部21の下側の空間部には、各種スイッチ等が設け
られた操作パネル27が設けられている。 【0012】ファン収容部22から上方に突出したフィ
ルター収容部21の上部空間、および、その後方のファ
ン収容部22の上方の空間は、光触媒担持部材10が収
容される光触媒担持部材収容部23になっている。この
光触媒担持部材収容部23は、ファン収容部22の内部
に連通している。フィルター収容部21の上部には、光
触媒担持部材収容部23を覆う上部カバー24が取り付
けられている。上部カバー24には、それぞれが垂直な
状態になった複数のスリット(図示せず)が、水平方向
に等しい間隔をあけて設けられている。 【0013】ケーシング20におけるフィルター収容部
21の前面は、長方形状のフロントカバー25によって
覆われており、また、ファン収容部22の後面は、背面
カバー26によって覆われている。フロントカバー25
は、空気が通過し得るようになっている。 【0014】図3は、フロントカバー25を取り除いた
状態の空気清浄機の正面図である。図3に示すように、
ケーシング20の長方形状になったフィルター収容部2
1内には、それぞれが平板状に構成された一対のフィル
ター31および32(図2参照)が、それぞれ垂直な状
態で前後方向に積層されて収容されている。前方に位置
するフィルター31は、静電繊維によって構成された不
織布をプリーツ状に折り畳んで20mmの厚さに構成さ
れており、また、後方に位置するフィルター32は、厚
さ10mmの平板状をしたハニカム構造体の表面に活性
炭を付着させて構成されている。なお、フィルター31
を後方、フィルター32を前方に配置するようにしても
よい。 【0015】図4は、背面カバー26を取り除いた状態
の空気清浄機の背面図である。図4に示すように、ケー
シング20の円筒状をしたファン収容部22内には、シ
ロッコファン40が収容されている。シロッコファン4
0は、ファン収容部22内に同心状態で配置された羽根
車41と、この羽根車41におけるフィルター32側の
前面の中心部に配置されたモーター(図示せず)とを有
している。羽根車41は、ファン収容部22の背面側に
垂直状態で配置された円板状の基板41aと、この基板
41aの前面における外周縁部に、それぞれが基板41
aの直径方向に対して同方向に傾斜した複数の羽根体4
1bとを有している。そして、基板41aがモーターに
よって回転されると、各羽根体41bによって、各羽根
体41bにて囲まれた内部に空気が吸引されて、各羽根
体41bの周囲に空気が旋回流となって排出される。 【0016】シロッコファン40の周囲には、各羽根体
41bとは適当な間隔をあけて配置された円筒状のガイ
ド壁22aが設けられており、このガイド壁22aによ
って、シロッコファン40の周囲に排出される空気が、
ファン収容部22の上方にて上部カバー24によって覆
われた光触媒担持部材収容部23内に案内されるように
なっている。光触媒担持部材収容部23内には、光触媒
担持部材10が収容されている。 【0017】図5は、光触媒担持部材10の正面図、図
6は、その一部破断平面図、図7は、その側面図であ
る。この光触媒保持部材10は、光触媒である二酸化チ
タンを担持する光触媒担持体11と、この光触媒担持体
11を半円筒状に湾曲させた状態で保持するホルダー1
2とを有している。 【0018】光触媒担持体11は、断面六角形状をした
筒状空間が連続的に形成されるようになった平板状のハ
ニカム構造体によって構成されている。このような光触
媒担持体11は、ポリエステルおよびポリエチレンの複
合繊維によって、幅 20mm 、長さ 250mmの長方形状に構
成された120 枚の繊維片に対して、ポリアクリル系ラテ
ックスをバインダーとして、汚染物質を吸着する吸着体
として椰子殻活性炭をそれぞれ塗布した後に、隣接する
繊維片同士によって、一辺の長さが 1.5mmの断面六角形
をした筒形状が得られるように、1.5mm のノードライン
で、隣接する繊維片同士を接着して、14mm幅の単位ハニ
カム構造体を製造し、複数の単位ハニカム構造体を相互
に接着することによって平板状に製造されている。 【0019】得られた平板状をしたハニカム構造体の光
触媒担持体11には、光触媒である二酸化チタンが担持
される。光触媒担持体11に対する二酸化チタンの担持
は、まず、二酸化チタン5〜10重量%、メタノール45〜
60%、水25〜35重量%、二酸化ケイ素1〜5重量%、2-
プロパノール5〜20重量%、硝酸0.1 〜1重量%を混合
してコーティング液を調整し、調整されたコーティング
液内に、光触媒担持体11を数秒間にわたって浸漬した
後に引き上げて、室温にて24時間にわたって乾燥させる
ことによって行われる。 【0020】光触媒である二酸化チタンが担持された光
触媒担持体11は、ホルダー12によって、半円筒状に
湾曲されて下方に向かって開口した状態で保持される。
ホルダー12は、半円筒状に湾曲された光触媒担持体1
1の各端面にそれぞれ突き合わされるように、それぞれ
が半円形状に形成された一対の端面部12aを有してい
る。各端面部12aは、直径方向に沿った直線部分が水
平な下端縁になるように、相互に対向した垂直状態に配
置されており、外周縁部は、それぞれの上端部を除い
て、半円筒状に湾曲された光触媒担持体11の外周面に
沿った円弧状に形成されている。各端面部12aの上端
部は、それぞれ水平になっている。 【0021】各端面部12aは、半円筒状に湾曲された
光触媒担持体11の各端面に突き合わされた際に、光触
媒担持体11の内周面をそれぞれ支持するように、段差
部12bがそれぞれ設けられている。各段差部12b
は、各端面部12aの外周縁と同心状態になった半円形
状にそれぞれ形成されている。各段差部12bの中央部
には、垂直方向に長くなった長方形状の開口部12c
が、それぞれ設けられている。 【0022】一方の端面部12aにおける下端縁の両側
の各側部と、他方の端面部12aの下端縁の両側の各側
部とは、水平な連結板12dによって、それぞれ一体的
に連結されている。各連結板12dは、半円筒状に湾曲
された光触媒担持体11の下端面がそれぞれ突き合わさ
れるようになっており、各連結板12dには、半円筒状
に湾曲された光触媒担持体11の端部における下側の外
周面に沿うように上方に向かって垂直に延びるフランジ
部12eがそれぞれ設けられている。 【0023】各連結板12dにおける相互に近接した各
側縁部間には、各端面部12a間を三等分する位置に、
それぞれが断面半円形状の線材を倒立U字状に湾曲させ
た一対の支持部材12fの下端部がそれぞれ取り付けら
れている。各支持部材12fは、半円筒状に湾曲した光
触媒担持体11の内周面をそれぞれ支持している。 【0024】各端面部12aには、ホルダー12の軸心
部に沿って配置される棒状のランプ13の各端部を支持
するランプ支持部12gがそれぞれ設けられている。各
ランプ支持部12gは、各端面部12aの段差部12b
の内面に沿ってそれぞれ垂直に配置されており、上方に
向かって開放されたU字状の開口部がそれぞれ設けられ
ている。各ランプ支持部12gの開口部内には、ランプ
13の各端部が挿入されて支持されるようになってい
る。各ランプ支持部12gの上端部には、相互に接近す
る方向に突出する係合部12hがそれぞれ設けられてお
り、開口部内に挿入されたランプ13の各端部が各係合
部12hによって係合されて抜け止めされるようになっ
ている。 【0025】ホルダー12の軸心部に沿って配置された
棒状のランプ13としては、例えば、波長300 〜400nm
の光を出力する5Wの冷陰極蛍光ランプが使用される。 【0026】このような構成の空気清浄機では、ケーシ
ング20のファン収容部22内に収容されたシロッコフ
ァン40が駆動されると、フロントカバー25からフィ
ルター収容部21内に空気が吸引されて、フィルター収
容部21内に収容された各フィルター31および32に
よって空気が清浄化された後に、ファン収容部22内に
収容されたシロッコファン40の羽根車41内に進入
し、羽根車41によって、シロッコファン40の周囲に
吐出される。シロッコファン40の周囲に吐出された空
気は、ガイド壁22aに沿って流動して、ファン収容部
22の上方に設けられた光触媒担持部材収容部23内に
流入する。 【0027】光触媒担持部材収容部23に配置された光
触媒担持部材10は、水平状態に配置されたホルダー1
2にて、半円筒状に湾曲された光触媒担持体11が下方
に開口した状態で保持されており、半円筒状に保持され
た光触媒担持体11には、その軸心部に配置されたラン
プ13によって、波長300 〜400nm の光が照射されてい
る。そして、光触媒担持部材収容部23内に流入した空
気は、半円筒状の光触媒担持体11の下方の開口から内
部に流動して、光触媒担持体11を通過して上方の上部
カバー25の各スリットを通って上方に排出される。こ
のとき、光触媒担持体11に担持された光触媒は、ラン
プ13から照射される光によって、活性酸素を発生して
おり、光触媒担持体11を通過する空気が殺菌されると
ともに、空気内の汚染物質が酸化されて分解される。 【0028】光触媒担持体11は、ハニカム構造体によ
って構成されているために、光触媒担持体11を通過す
る空気は、光触媒担持体11に担持された光触媒に対し
て効率よく接触する。しかも、ホルダー12に保持され
たランプ13は、半円筒状に湾曲された光触媒担持体1
1の軸心部に配置されているために、光触媒担持体11
に対して、等しい強度の光を全体にわたって照射するこ
とができる。その結果、光触媒担持体11に担持された
光触媒である二酸化チタンは、全体にわたって確実に活
性化される。 【0029】この場合、光触媒担持体11には、汚染物
質を吸着する吸着体としての椰子殻活性炭が付着してい
るために、空気内の汚染物質は、椰子殻活性炭に吸着さ
れる。従って、反応速度が遅い二酸化チタンであって
も、椰子殻活性炭に吸着された汚染物質を、確実に酸化
および分解することができる。 【0030】なお、汚染物質を吸着する吸着体として
は、椰子殻活性炭に限らず、ゼオライト等であってもよ
く、また、繊維に付着させる構成に限らず、活性炭繊維
を使用するようにしてもよい。 【0031】本実施の形態の空気清浄機によって空気を
清浄化した際のアンモニア、アセトアルデヒド、酢酸の
除去率を測定したところ、図8の(a)〜(c)のグラ
フに示すように、アンモニア、アセトアルデヒド、酢酸
は、それぞれ、15分の間に、100 %にわたって完全に除
去することができた。 【0032】比較のために、90×300 ×15mmの平板状を
したアルミニウム製のハニカム構造体によって構成され
た光触媒担持体に、ゼオライトおよび二酸化チタンを担
持させたもの(比較例1)、280 ×310 ×10mmの平板状
をした段ボール紙製のハニカム構造体によって構成され
た光触媒担持体に、ゼオライトおよび二酸化チタンを担
持させたもの(比較例2)、100 ×200 ×10mmの平板状
をした段ボール紙製のハニカム構造体によって構成され
た光触媒担持体に、二酸化チタンを担持させたもの(比
較例3)が、それぞれケーシング内に設けられて、1本
の棒状ランプによって、波長300 〜400nm の光をそれぞ
れに照射するようになった空気清浄機において、アンモ
ニア、アセトアルデヒド、酢酸の除去率をそれぞれ測定
したところ、図8(a)〜(c)のグラフにそれぞれ併
記した結果が得られた。 【0033】すなわち、比較例1では、アンモニアを10
0 %にわたって完全に除去するためには30分の時間を要
し、アセトアルデヒドは、30分にて50%程度しか除去す
ることができず、さらに、酢酸を100 %にわたって完全
に除去するためには30分の時間を要した。 【0034】比較例2では、アンモニアは、30分の間に
60%程度しか除去することができず、アセトアルデヒド
は、15分の間には全く除去することができず、さらに、
酢酸は、30分の間に60%程度しか除去することができな
かった。 【0035】比較例3では、アンモニアは、30分の間に
50%程度しか除去することができず、アセトアルデヒド
は、30分の間には全く除去することができず、さらに、
酢酸は、30分の間に80%程度しか除去することができな
かった。 【0036】 【発明の効果】本発明の空気清浄機は、このように、可
撓性を有する平板状のハニカム構造体を半円筒状に形成
した光触媒担持体と、その軸心部に設けられた棒状のラ
ンプを有する光触媒担持部材によって、ケーシング内に
吸引された空気が清浄化されるようになっているため
に、半円筒状の光触媒担持体に担持された光触媒が全体
にわたって確実に活性化されており、汚染物質を効率よ
く酸化して分解することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の空気清浄機の実施の形態の一例を示す
正面図である。 【図2】その空気清浄機の側面図である。 【図3】その空気清浄機のフロントカバーを取り除いた
状態の正面図である。 【図4】その空気清浄機の背面カバーを取り除いた状態
の背面図である。 【図5】その空気清浄機に使用される光触媒担持体の一
部破断正面図である。 【図6】その光触媒担持体の一部破断平面図である。 【図7】その光触媒担持体の側面図である。 【図8】(a)、(b)、(c)は、それぞれ光触媒が
担持された光触媒担持体を使用した空気清浄機によるア
ンモニア、アセトアルデヒド、酢酸の除去率をそれぞれ
示すグラフである。 【符号の説明】 10 光触媒保持部材 11 光触媒担持体 12 ホルダー 12a 端面部 12b 段差部 12c 開口部 12d 連結板 12e フランジ部 12f 支持部材 12g ランプ支持部 12h 係合部 20 ケーシング 21 フィルター収容部 22 ファン収容部 23 光触媒担持部材収容部 24 上部カバー 25 フロントカバー 31 フィルター 32 フィルター 40 シロッコファン 41 羽根車 41a 基板 41b 羽根体
正面図である。 【図2】その空気清浄機の側面図である。 【図3】その空気清浄機のフロントカバーを取り除いた
状態の正面図である。 【図4】その空気清浄機の背面カバーを取り除いた状態
の背面図である。 【図5】その空気清浄機に使用される光触媒担持体の一
部破断正面図である。 【図6】その光触媒担持体の一部破断平面図である。 【図7】その光触媒担持体の側面図である。 【図8】(a)、(b)、(c)は、それぞれ光触媒が
担持された光触媒担持体を使用した空気清浄機によるア
ンモニア、アセトアルデヒド、酢酸の除去率をそれぞれ
示すグラフである。 【符号の説明】 10 光触媒保持部材 11 光触媒担持体 12 ホルダー 12a 端面部 12b 段差部 12c 開口部 12d 連結板 12e フランジ部 12f 支持部材 12g ランプ支持部 12h 係合部 20 ケーシング 21 フィルター収容部 22 ファン収容部 23 光触媒担持部材収容部 24 上部カバー 25 フロントカバー 31 フィルター 32 フィルター 40 シロッコファン 41 羽根車 41a 基板 41b 羽根体
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名)
A61L 9/00 - 9/22
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 表面に光触媒が担持された可撓性を有す
るハニカム構造体が半円筒状に湾曲された光触媒担持体
と、この光触媒担持体に対して所定の波長の光が照射さ
れるように光触媒担持体の軸心部に沿って配置された棒
状のランプを有する光触媒担持部材と、ファンとが、ケ
ーシング内に配置されているとともに、前記円筒状の光
触媒担持体の開口が前記ファンからの空気の流れに対向
するように配置されており、前記ファンにてケーシング
内に吸引された空気が、前記半円筒状の光触媒担持体の
開口から流入して、光触媒担持体を通過した後に、ケー
シング外に排出されるように構成されていることを特徴
とする空気清浄機。
Priority Applications (1)
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