JP3358907B2 - 配列型の超音波探触子 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は音響レンズを有する配列
型の超音波探触子（以下配列型探触子とする）を利用分
野とし、特に不要な超音波を遮蔽した配列型探触子に関
する。

【０００２】

【発明の背景】配列型探触子は、例えば医用の超音波診
断装置に、超音波の送受波部として有用されている。例
えば短冊状とした微小幅の圧電素子をその幅方向（長軸
方向）に並べ、同方向にリニアあるいはセクタ駆動す
る。このようなものでは、一般に圧電素子の長さ方向
（短軸方向）に音響レンズを設け、分解能を高めるよう
にしている。

【０００３】

【従来技術】第２図はこの種の従来例を説明する配列型
探触子の図で、同図（ａ）は正断面図、同図（ｂ）は側
断面図である。配列型探触子は、バッキング材１上にＰ
ＺＴ（ジルコン酸チタン酸鉛）等からなる短冊状の圧電
素子２を長軸方向に並べてなる。両主面には電極を有
し、各溝間には充填材が埋設する（未図示）。そして、
圧電素子２の前面には、被検出体（生体等）との音響イ
ンピーダンスの整合を計り、超音波の伝搬効率を良好に
する二層の音響整合層３（ａｂ）を設ける。さらに、音
響レンズ４を短軸方向に取着して形成される。但し、被
検出体よりも音速が遅い場合は凸状の、又速い場合は図
示しない凹状となる。

【０００４】音響レンズ４は、基本的には、曲率部分
（レンズ部）４ａの長さＬ_aを圧電素子２のＬ_bに一致さ
せて接着すれば（第３図）、厚みｔを最も小さくして超
音波の伝搬損失を最小にできる。しかし、誤差あるいは
位置決め等の製造上の点から、音響レンズ４と圧電素子
２の中心（Ａ−Ａ’、Ｂ−Ｂ’）がずれた場合は（第４
図）、超音波の実質的な放射面積Ｓが小さくなるととも
に、収束方向Ｕが中心線上から傾き、仕様を達成できな
い。このことから、例えば、圧電素子２の長さＬ_bをレ
ンズ部４ａのＬ_aよりも大きくする。そして、両端側に
平坦部４ｂを介在させ、さらに保持用脚４ｃを設けてい
る「前第２図（ｂ）」。このようにすれば、Ｌ_a＜Ｌ_bに
より、音響レンズ４の中心が圧電素子２のそれからずれ
ても、音響レンズ４の中心線上に超音波を確実に収束す
る。また、保持用脚４ｃにより、使用時の押圧力等に対
して音響レンズ４の離脱や位置ずれを防止する。なお、
レンズ部４ａを同一曲率として圧電素子２より大きくし
た場合は（第５図）、その厚みｔが大きくなる。また、
両者の中心がずれたとき、前述同様に超音波の収束方向
がその中心から傾斜する。

【０００５】このようなものでは、各圧電素子２には、
図示しない遅延回路を通して高圧パルスＰが印加され、
長軸方向に対してセクタ駆動する。そして、短軸方向で
は、音響レンズ４により、超音波を収束させることによ
り、分解能を高めることができる。なお、図中の符号５
は基台、同６はフレキシブル基板、同７は固定用樹脂、
同８はケースである。また、圧電素子２の前面側を共通
接続するリード線は省略してある。

【０００６】

【従来技術の問題点】しかしながら、上記構成のもので
は、上述のとおり、音響レンズ４は、製造上の点から、
レンズ部４ａは圧電素子２の長さより小さくする。した
がって、圧電素子２の中央領域からの超音波はレンズ部
４ａを通過して収束する。しかし、高精度化に伴い、最
近になって、圧電素子２の両端側から放射される超音波
が悪影響を及ぼしていることが判明した。すなわち、両
端側からの超音波は、音響レンズ４の平坦部４ｂを通過
して直進し、同領域内での疾患部等の界面領域で反射
し、受信される。その結果、本来の収束領域での反射波
に対して雑音成分となり、画像を乱し、診断精度を低下
させる問題があった。

【０００７】

【発明の目的】本発明は、音響レンズの両端側からの不
要な超音波を排除し、良好な画像を得る超音波探触子を
提供することを目的とする。

【０００８】

【解決手段】本発明は、圧電素子の長さよりも短く設定
された曲率部を有する音響レンズの両端側に超音波遮蔽
体を設けたことを基本的な解決手段とする。以下、本発
明の一実施例を説明する。

【０００９】

【実施例】第１図は本発明の一実施例を説明する超音波
探触子の側断面図である。なお、前従来例図と同一部分
には同番号を付与しその説明は簡略する。配列型探触子
は、前述同様に、バッキング材１上に圧電素子２を長軸
方向に並べて、二層の音響整合層３（ａｂ）を設け、さ
らに、凸状の音響レンズ４を短軸方向に取着して形成さ
れる。そして、音響レンズ４は、レンズ部４ａの長さＬ
_aを圧電素子２のＬ_bよりも小さくし、両端側に平坦部４
ｂを介在させて保持用脚４ｃを設けてなる。そして、平
坦部４ｂに超音波遮蔽体９として機能する、例えば反射
材としての銅箔を設けてなる。

【００１０】このような構成であれば、圧電素子２の両
端側から放射される超音波は、超音波遮蔽体９により反
射され、被検出体へ放射されない。そして、両端側から
の反射波は圧電素子２の表面近傍からの反射なので、被
検出体からの反射波とは明確に区別され、画像処理等に
より分解能に影響を与えることがない。したがって、圧
電素子２の中央領域からのレンズ部４ｂを経ての送受波
される信号のみを処理できるので、雑音成分を少なくし
て、画像を良好にし、診断精度を向上できる。また、付
随的に、レンズ部の長さＬ_aを自在に設定することによ
り、実質的な開口面積を制御でき、生産製を向上でき
る。

【００１１】

【他の事項】上記実施例では、超音波遮蔽体９は反射材
としてその機能を達成したが、例えば超音波の減衰が大
きな音波吸収体としてもよい。また、超音波遮蔽体９は
音響レンズ４の平坦部４ｂ上に塗布したが、下側であっ
ても、また平坦部分に埋設しても、さらには例えばレン
ズ部４ａと平坦部４ｂを含む脚部４ｃとを別体として一
体的に接合してもよい。また、レンズ部４ｃの両端側に
は平坦部４ｂを介在させたが、必ずしも文字通りの平坦
である必要はなく、曲面状あるいは粗面であってもよ
い。また、セクタ駆動として説明したが、リニア駆動で
あってもよく、要は圧電素子（分割をも含む）を並べた
配列型の短軸方向に音響レンズを取着し、実質的な放射
面積となるレンズ部４ａ以外の両端側を遮蔽したもの
は、本発明の技術的範囲に属する。なお、音響レンズは
凸状としたが、前述したように音速との関係から、凹状
であってもよいこと勿論である。

【００１２】

【発明の効果】本発明は、圧電素子の長さよりも短く設
定された曲率部を有する音響レンズの両端側に超音波遮
蔽体を設けたので、レンズ部の両端側からの不要な超音
波を排除し、良好な画像を得る超音波探触子を提供でき
る。

【図面の簡単な説明】

【第１図】本発明の一実施例を説明する超音波探触子の
側断面図である。

【第２図】従来例を説明する超音波探触子の図で、同図
（ａ）は正断面図、同図（ｂ）は側断面図である。

【第３図】従来例を説明する超音波探触子の一部側断面
図である。

【第４図】従来例を説明する超音波探触子の一部側断面
図である。

【第５図】従来例を説明する超音波探触子の一部側断面
図である。

【符号の説明】

１ バッキング材、２ 圧電素子、３ 音響整合層、４
音響レンズ、５ 基台、６ フレキシブル、７ 固定
用樹脂、８ ケース、９ 超音波遮蔽体．

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) H04R 17/00 332 A61B 8/00 G01N 29/24 502

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】複数個の圧電素子を幅方向に並べ、前記圧
   電素子の長さ方向に前記圧電素子の長さよりも短い曲率
   部分を有して両端側に平坦部及び脚部を有する音響レン
   ズを、前記圧電素子群上に設けた配列型の超音波探触子
   において、前記音響レンズの両端側の平坦部に超音波遮
   蔽体を設けたことを特徴とする超音波探触子。