JP3115672B2 - 電気粘性流体組成物の製法 - Google Patents

電気粘性流体組成物の製法

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JP3115672B2 JP280392A JP280392A JP3115672B2 JP 3115672 B2 JP3115672 B2 JP 3115672B2 JP 280392 A JP280392 A JP 280392A JP 280392 A JP280392 A JP 280392A JP 3115672 B2 JP3115672 B2 JP 3115672B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電気粘性流体組成物の製
に関するものである。更に詳しくは、比較的弱い電場
を印加することによっても大きなせん断応力を発生し、
その際に流れる電流密度が小さく、電場を印加した際に
絶縁破壊を起こしにくいという耐電圧特性に優れ、発生
したせん断応力および電流密度の経時安定性に優れ、か
つ分散安定性に優れた電気粘性流体組成物の製法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】電気粘性流体とは、例えば電気絶縁性分
散媒中に分散相粒子を分散・懸濁して得られる流体であ
って、そのレオロジー的あるいは流れ性質が電場変化を
加えることにより粘塑性型の性質に変わる流体であり、
一般に外部電場を印加した際に粘度が著しく上昇し大き
いせん断応力を誘起するいわゆるウィンズロー効果を示
す流体として知られている。
【0003】このウィンズロー効果は応答性が速いとい
う特徴を有するため、電気粘性流体はクラッチ、ブレー
キ等のトルク伝達用アクチュエータ、エンジンマウン
ト、ダンパー、バルブ等の制御用アクチュエータ、電気
粘性流体インクジェット等への応用が試みられている。
【0004】電気粘性流体は、シリコンオイル、塩化ジ
フェニル、トランス油等の電気絶縁油中にセルロース、
でんぷん、シリカゲル、イオン交換樹脂、ポリ(メタ)
アクリル酸塩架橋体等の誘電体粒子を分散相粒子として
分散させたものが知られているこれらの誘電体粒子を分
散相粒子として用いた電気粘性流体においては、分散相
粒子中に水が存在することによりウィンズロー効果が効
果的に発現することが知られている。しかしながら、分
散相粒子中の水が必要以上に多くなると、電気粘性流体
の絶縁性が減少するため、電場を印加した際に流れる電
流密度が増大し、発生したせん断応力と電流密度の経時
安定性が非常に悪くなる。そのため分散相粒子中の水
は、適切な量(以下、これを最適含水率という)に調整
する必要がある。
【0005】一方、上記の誘電体粒子は、水との親和性
が強いため一般に吸湿性を有しており、誘電体粒子の組
成や形状に応じて特定量の水を含有し周囲の雰囲気と平
衡を保っている。この誘電体粒子が周囲の雰囲気と平衡
を保っている水分量(誘電体粒子の平衡含水率)は、誘
電体粒子を電気粘性流体の分散相粒子として用いる場合
の最適含水率より大きく、誘電体粒子を分散相粒子とし
て用いる場合には、誘電体粒子中の含有水分を除去して
含水率を調整する必要がある。
【0006】しかしながら、水分を除く方法として、誘
電体粒子を加熱する等により水分除去した場合には誘電
体粒子が凝集し、得られた分散相粒子を分散媒へ均一に
分散することができなかった。また、得られた電気粘性
流体は、分散安定性(分散相粒子を沈降または浮上させ
ずに電気粘性流体を長時間均一状態に保持できる性能)
に乏しく、また耐電圧特性にも劣るという問題があっ
た。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の誘電
体粒子を分散相粒子として用いた電気粘性流体の上記問
題点を解決するものである。従って、本発明の目的は、
比較的弱い電場を印加することによっても大きなせん断
応力を発生し、その際に流れる電流密度が小さく、強い
電場を印加した際に絶縁破壊を起こしにくいという耐電
圧特性に優れ、発生したせん断応力および電流密度の経
時安定性に優れかつ分散安定性に優れた電気粘性流体組
成物の製法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、大気中におけ
る平衡含水率未満の水分を含有する誘電体粒子(A)か
らなる分散相粒子を電気絶縁性分散媒中に分散させてな
る組成物であって、誘電体粒子(A)が、誘電体粒子を
親水性有機溶媒中に浸漬したのち誘電体粒子中の含有水
分を親水性有機溶媒の留去と共に除去することによって
得られるものである電気粘性流体組成物の製法に関する
ものである。
【0009】
【作用】本発明における誘電体粒子とは、電場を加えた
時に誘電分極する物質の粒子であり、例えば水酸基、ス
ルホン酸基、カルボン酸基、アミノ基、アミド基等の極
性溶媒中で遊離する官能基を有する化合物の粒子を挙げ
ることができる。
【0010】本発明で用いられる分散相粒子は、大気中
における平衡含水率未満のウィンズロー効果発現のため
に適量の水分(最適含水率)を含有している誘電体粒子
(A)でなければならない。なお、本発明でいう大気中
における平衡含水率とは、0.1torr以下の減圧度
で150℃、3時間乾燥させたのち、温度25℃、相対
湿度60%の大気中雰囲気下に24時間放置し平衡を保
たせた時の含水率をいう。
【0011】誘電体粒子(A)としては、例えばデンプ
ン、セルロース、イオン交換樹脂、ポリ(メタ)アクリ
ル酸塩架橋体、スルホン酸基で置換された芳香族環を有
するスルホン化重合体等の遊離基を有する有機誘電体粒
子;シリカゲル、アルミナなどの無機微粒子等が挙げら
れる。中でもスルホン酸基で置換された芳香族環を有す
るスルホン化重合体粒子を分散相粒子として用いること
が、比較的弱い電場の印加で大きなせん断応力を発生し
その際に流れる電流密度が小さいという電流特性に優
れ、かつ発生したせん断応力および電流密度の経時安定
性に優れた電気粘性流体が得られるので好ましい。通
常、上記の誘電体粒子中に存在する水分には、誘電体粒
子中の解離基と相互作用せずに粒子内部や粒子間に存在
する自由水が含まれている。この自由水が存在する場合
には、電気絶縁性分散媒に分散相粒子を分散させたとき
に分散相粒子が凝集し、分散安定性に乏しい電気粘性流
体しか得られず、また電場を印加した際に大きな電流が
流れたり耐電圧特性が低下するという問題点が生じる。
【0012】したがって、本発明では、前記したように
誘電体粒子中の含有水分を大気中における平衡含水率未
満の最適含水率とする必要がある。この誘電体粒子の最
適含水率は、用いる誘電体粒子の組成や形状により異な
るが一般に0.1〜10%である。しかし、誘電体粒子
は、乾燥および乾燥後の保管等の水分管理を行わない限
り、大気中における平衡含水率以上の水を含んでおり、
このまま電気粘性流体の分散相粒子とするのは好ましく
ない。そこで誘電体粒子を分散相粒子として用いる場合
には、過剰な水分を除いて用いる必要がある。
【0013】本発明では、分散相粒子として用いられる
大気中における平衡含水率未満の水分を含有する誘電体
粒子(A)を得るに際し、誘電体粒子から不必要な水分
を除くために誘電体粒子を親水性有機溶媒に浸漬したの
ち誘電体粒子中の含有水分を親水性有機溶媒と共に留去
する。特に留去後の含水率としては0.1〜2%の範囲
とするのが好ましい。
【0014】親水性有機溶媒に浸漬したのち親水性有機
溶媒を留去することで、誘電体粒子中に存在する自由水
が親水性有機溶媒と置換されるため、誘電体粒子間の凝
集力が抑えられる。その結果、得られた誘電体粒子
(A)同士は、その界面において点接合ないしわずかな
面接合をしているだけなので比較的簡単な機構の粉砕機
によって容易に解砕することができ、また解砕後の誘電
体粒子(A)は容易に電気絶縁性分散媒中に分散させる
ことができる。
【0015】本発明において得られる誘電体粒子(A)
は大気中における平衡含水率未満、好ましくは前記した
最適含水率の範囲であれば、必要に応じて吸湿操作を行
ってもよく、吸湿後の誘電体粒子(A)でも容易に電気
絶縁性分散媒に分散させることができる。
【0016】本発明による親水性有機溶媒中への浸漬処
理を行わずに直接乾燥する等により水分除去した場合に
は、誘電体粒子の凝集や融着が起こる。その結果、得ら
れた誘電体粒子同士がその界面において強く面接合して
いるため、粉砕機を用いて解砕を行う場合に非常に大き
なエネルギーが必要となる。こうして解砕して得られた
誘電体粒子は、形状が球状に保持されず凝集物も混在し
てくるために、得られた電気粘性流体は電場を印加した
際に流れる電流密度が大きくなったり、分散安定性に乏
しかったり、また耐電圧性に劣るという問題点が生じ
る。本発明に用いられる親水性有機溶媒としては、水と
任意の割合で混合できるものなら特に制限はなく、例え
ばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパ
ノールなどのアルコール類;テトラヒドロフランなどの
エーテル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン
類等を挙げることができ、これらの中から一種または二
種以上を用いることができる。
【0017】誘電体粒子から含有水分を親水性有機溶媒
と共に留去する方法としては特に制限はなく、例えば熱
風乾燥方法、真空乾燥方法、放射乾燥方法、伝導乾燥方
法など公知の方法を用いることができる。また、この際
に用いることのできる機器としては特に制限はなく公知
の乾燥器を用いることができる。
【0018】さらに、誘電体粒子から水分を除去するに
際し、真空下または不活性ガス雰囲気下で親水性有機溶
媒の留去を行うのが好ましい。
【0019】誘電体粒子(A)は必要に応じて、分級し
て分散相粒子として用いられる。
【0020】本発明で用いられる分散相粒子の形状は球
状であることが好ましい。分散相粒子の形状が球状以外
の形状の場合には、調製された電気粘性流体組成物に電
場を印加した際に大きなせん断応力が得られないという
問題点や電場を印加し続けた状態での経時安定性が乏し
くなるという問題点が起こることがある。
【0021】本発明で用いられる分散相粒子の平均粒子
径は1〜50μmの範囲にあることが好ましい。本発明
の電気粘性流体組成物においては、分散相の粒子径が小
さくなるに従い調製された電気粘性流体組成物に電場を
印加した際に得られるせん断応力が小さくなる傾向にあ
り、分散相粒子の平均粒子径が1μm未満の場合には、
調製された電気粘性流体組成物に電場を印加した際に大
きなせん断応力が得られないという問題点が起こること
がある。また、分散相粒子の平均粒子径が50μmを越
える場合には、調製された電気粘性流体組成物にある一
定の電場を印加した際に得られるせん断応力値が不規則
となり、安定しにくいという問題点が起こることがあ
る。
【0022】得られた誘電体粒子(A)からなる分散相
粒子は、電気絶縁性分散媒中に分散して、本発明の電気
粘性流体組成物が製造される。本発明の電気粘性流体組
成物における分散相粒子と電気絶縁性分散媒との比は、
前者100重量部に対して後者50〜500重量部の範
囲であることが好ましい。分散媒の量が500重量部を
越える場合、調製された電気粘性流体組成物に電場を印
加した際に得られるせん断応力が十分大きくならないこ
とがある。また、分散媒の量が50重量部未満の場合、
調製された組成物自体の流動性が低下して、電気粘性流
体としての使用が難しくなることがある。
【0023】本発明で使用することのできる電気絶縁性
分散媒としては、特に制限はなく、例えばポリジメチル
シロキサン、ポリフェニルメチルシロキサンなどのシリ
コーンオイル;流動パラフィン、デカン、ドデカン、メ
チルナフタレン、ジメチルナフタレン、エチルナフタレ
ン、ビフェニル、デカリン、部分水添されたトリフェニ
ルなどの炭化水素;ビフェニルエーテルなどのエーテル
化合物;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロ
ロベンゼン、ブロモベンゼン、ジブロモベンゼン、クロ
ロナフタレン、ジクロロナフタレン、ブロモナフタレ
ン、クロロビフェニル、ジクロロビフェニル、トリクロ
ロビフェニル、ブロモビフェニル、クロロジフェニルメ
タン、ジクロロジフェニルメタン、トリクロロジフェニ
ルメタン、ブロモジフェニルメタン、クロロデカン、ジ
クロロデカン、トリクロロデカン、ブロモデカン、クロ
ロドデカン、ジクロロドデカン、ブロモドデカンなどの
ハロゲン化炭化水素;クロロジフェニルエーテル、ジク
ロロジフェニルエーテル、トリクロロジフェニルエーテ
ル、ブロモジフェニルエーテルなどのハロゲン化ジフェ
ニルエーテル化合物;ダイフロイル(ダイキン工業
(株)製)、デムナム(ダイキン工業(株)製)などの
フッ化物;フタル酸ジオクチル、トリメリット酸トリオ
クチル、セバシン酸ジブチルなどのエステル化合物等を
挙げることができ、これらの中から一種または二種以上
用いることができる。
【0024】本発明では、分散相粒子を電気絶縁性分散
媒へ分散させる際、超音波分散機やホモジナイザー等の
公知の分散機を用いて行うことができる。
【0025】また、電気粘性流体組成物の分散安定性を
改良するため、界面活性剤や高分子添加剤等の分散剤を
加えて使用することができる。
【0026】
【実施例】以下、実施例により本発明を説明するが、本
発明の範囲がこれら実施例のみに限定されるものではな
い。
【0027】
【参考例1】シリカゲル粒子であるワコーゲルLC−5
K(和光純薬(株)製、粒子径5μm)50gを150
℃で3時間真空乾燥を行った。このとき含水率は0.2
%であった。乾燥後、この粒子を恒温恒湿器中で25℃
湿度60%RHで24時間放置して平衡含水率を求めた
ところ12%であった。
【0028】
【参考例2】撹拌機、還流冷却機および温度計を備えた
3リットルの四つ口セパラブルフラスコに水1.2リッ
トルを仕込み、クラレポバールPVA−205((株)
クラレ製のポリビニルアルコール)16.0gを添加・
溶解させた後、さらに、アクリル酸エチル280g、工
業用ジビニルベンゼン(和光純薬工業(株)製、ジビニ
ルベンゼン55重量%、エチルスチレン35重量%等の
混合物)20gおよび過酸化ベンゾイル10gからなる
混合物を加えた。その後、5000rpmの撹拌速度で
フラスコ内の内容物を分散させ、75℃で1時間重合し
た。さらに重合温度を95℃まで昇温し4時間加熱し
た。得られた固形物を濾別し、十分に水洗した後、熱風
乾燥器を用いて80℃で12時間乾燥し、球状の重合架
橋体(1)286gを得た。
【0029】撹拌機、温度計および滴下ロートを備えた
2リットルの四つ口セパラブルフラスコに重合架橋体
(1)50gを水酸化ナトリウム60gを溶かしたエタ
ノール1リットル中に分散し均一な分散液とした。反応
混合物を還流し6時間加熱・撹拌し、加水分解反応を行
った。その後、反応混合物を0℃の水中に注ぎ、濾別し
た後、水で洗浄した。次いで、真空乾燥機を用いて、8
0℃で10時間乾燥し、42gの球状のポリアクリル酸
ナトリウム粒子を得た。
【0030】得られたポリアクリル酸ナトリウム粒子の
平均粒子径を粒度分布測定装置((株)島津製作所製、
SALD−1000)を用いて測定したところ、5μm
であった。ポリアクリル酸ナトリウム粒子中のイオン交
換容量を中和滴定法および元素分析法により定量したと
ころ、中和滴定法では9.8mg当量/g元素分析法で
は9.7mg当量/gであった。
【0031】ポリアクリル酸ナトリウム粒子25gを1
50℃で3時間真空乾燥を行った。このとき含水率は
0.3%であった。乾燥後、この粒子を恒温恒湿器中で
25℃湿度60%RHで24時間放置して平衡含水率を
求めたところ 19%であった。
【0032】
【参考例3】強酸型カチオン交換樹脂であるMCIゲル
CK08C(三菱化成(株)製、粒子径18μm,Na
型)50gを150℃で3時間真空乾燥を行った。この
とき含水率は、0.5%であった。乾燥後、この粒子を
恒温恒湿器中で25℃湿度60%RHで24時間放置し
て平衡含水率を求めたところ25%であった。
【0033】
【参考例4】撹拌機、還流冷却機および温度計を備えた
3リットルの四つ口セパラブルフラスコに水1.2リッ
トルを仕込み、クラレポバールPVA−205((株)
クラレ製のポリビニルアルコール)16.0gを添加・
溶解させた後、更に、スチレン260g、工業用ジビニ
ルベンゼン(和光純薬工業(株)製、ジビニルベンゼン
55重量%、エチルスチレン35重量%等の混合物)4
0gおよび過酸化ベンゾイル10gからなる混合物を加
えた。その後、8000rpmの撹拌速度でフラスコ内
の内容物を分散させ、75℃で1時間重合した。さらに
重合温度を95℃まで昇温し4時間加熱した。得られた
固形物を濾別し、十分に水洗した後、熱風乾燥器を用い
て80℃で12時間乾燥し、球状の重合架橋体(2)2
86gを得た。
【0034】撹拌機、温度計および滴下ロートを備えた
2リットルの四つ口セパラブルフラスコに重合架橋体
(2)50gを仕込み、98重量%濃硫酸500gを加
え、均一な分散液とした。反応混合物の温度を80℃に
上げた後、同温度で24時間加熱・撹拌し、スルホン化
反応を行った。その後、反応混合物を0℃の水中に注
ぎ、濾別した後、水・アセトンで洗浄した。得られた固
形物を10重量%水酸化ナトリウム水溶液330mlで
中和した後、水で十分に洗浄した。次いで、真空乾燥機
を用いて、80℃で10時間乾燥し、120gの球状の
スルホン化重合体粒子を得た。
【0035】得られたスルホン化重合体粒子の平均粒子
径を粒度分布測定装置((株)島津製作所製、SALD
−1000)を用いて測定したところ、5μmであっ
た。スルホン化重合体粒子中のスルホン酸基の数を中和
滴定法および元素分析法により定量したところ、中和滴
定法ではスルホン化重合体中の芳香族環数100に対し
て155、元素分析法ではスルホン化重合体中の芳香族
環数100に対して156であった。
【0036】スルホン化重合体粒子50gを150℃で
3時間真空乾燥を行った。このとき含水率は1.5%で
あった。乾燥後、この粒子を恒温恒湿器中で25℃湿度
60%RHで24時間放置して平衡含水率を求めたとこ
ろ39%であった。
【0037】
【参考例5】トルエン30g、メトキシポリエチレング
リコールメタクリレート(新中村化学工業(株)製のN
KエステルM−230G、エチレングリコールの単位数
は23個)5g,p−メトキシスチレン13およびラウ
リルメタクリレート12g、開始剤としてアゾビスイソ
ブチロニトリル0.1gを加え室温で30分間撹拌し
た。その後65℃で24時間加熱撹拌した後さらに90
℃で2時間加熱することにより重合を行った。得られた
重合体のトルエン溶液(以下、これを重合体溶液(1)
という。)の固形分含有率を測定したところ51重量%
であった。
【0038】
【実施例1】参考例1で得られた平衡含水率12%のシ
リカゲル粒子10gをテトラヒドロフラン100ミリリ
ットル中に分散させ30分間撹拌したのち濾過した。得
られた固形分を真空乾燥器を用いて150℃で3時間で
テトラヒドロフランおよび水分の除去を行った。水分除
去終了後含水率は0.2%であった。この粒子を恒温恒
湿器中で吸湿させ含水率5.5%にして分散相粒子
(1)を調製した。
【0039】得られた分散相粒子(1)5gを、変性シ
リコーンオイルKF869(信越化学工業(株)製のア
ミノシリコーンオイル)0.2gを信越シリコーンオイ
ルKF96−20CS(信越化学工業(株)製のジメチ
ルシリコンオイル)12g中に添加して得られた分散媒
中に均一にバイオミキサーBM−1型((株)日本精機
製作所製)を用いて混合・分散させ、本発明の電気粘性
流体組成物{以下、これを流体(1)という。}を得
た。
【0040】
【実施例2】参考例2で得られた平衡含水率19%のポ
リアクリル酸ナトリウム粒子10gをアセトン100ミ
リリットル中に分散させ30分間撹拌したのち濾過し
た。得られた固形分を真空乾燥器を用いて150℃で3
時間でアセトンおよび水分の除去を行った。水分除去終
了後含水率は0.2%であった。この粒子を恒温恒湿器
中で吸湿させ含水率7%にして分散相粒子(2)を調製
した。
【0041】得られた分散相粒子(2)5gを、参考例
5で得られた重合体溶液(1)0.5gをサームエス9
00(新日鉄化学(株)製の部分水添された水素化トリ
フェニル)12gに添加して得られた分散媒中に均一に
バイオミキサーBM−1型を用いて混合・分散させ、本
発明の電気粘性流体組成物{以下、これを流体(2)と
いう。}を得た。
【0042】
【実施例3】撹拌機、温度計および滴下ロートを備えた
2リットルの四つ口セパラブルフラスコに参考例2で得
られた重合架橋体(1)50gを水酸化ナトリウム60
gを溶かしたエタノール1リットル中に分散し均一な分
散液とした。反応混合物を還流し6時間加熱・撹拌し、
加水分解反応を行った。その後、反応混合物を0℃の水
中に注ぎ、濾別した後、水で洗浄した。洗浄後、濾別し
たポリアクリル酸ナトリウム粒子をアセトン1リットル
中に分散させ30分間撹拌したのち濾別した。この操作
をもう一度繰り返した。次いで、真空乾燥機を用いて、
80℃で10時間乾燥し、42gの球状のポリアクリル
酸ナトリウム粒子を得た。
【0043】得られたポリアクリル酸ナトリウム粒子の
平均粒子径を粒度分布測定装置((株)島津製作所製、
SALD−1000)を用いて測定したところ、5μm
であった。ポリアクリル酸ナトリウム粒子中のイオン交
換容量を中和滴定法および元素分析法により定量したと
ころ、中和滴定法では9.8mg当量/g元素分析法で
は9.7mg当量/gであった。
【0044】得られたポリアクリル酸ナトリウム粒子
を、150℃で3時間真空乾燥を行った。このとき含水
率は0.3%であった。この粒子を恒温恒湿器中で吸湿
させ含水率7%にして分散相粒子(3)を調製した。
【0045】得られた分散相粒子(3)5gを、参考例
5で得られた重合体溶液(1)0.5gをサームエス9
00(新日鉄化学(株)製の部分水添された水素化トリ
フェニル)12gに添加して得られた分散媒中に均一に
バイオミキサーBM−1型を用いて混合・分散させ、本
発明の電気粘性流体組成物(以下、これを流体(3)と
いう。}を得た。
【0046】
【実施例4】参考例3で得られた平衡含水率25%の強
酸型カチオン交換樹脂粒子10gをイソプロピルアルコ
ール100ミリリットルに分散させ30分間撹拌したの
ち濾過した。得られた固形分を真空乾燥器を用いて15
0℃で3時間でイソプロピルアルコールおよび水分の除
去を行った。水分の除去終了後含水率は0.5%であっ
た。この粒子を恒温恒湿器中で吸湿させ含水率2.0%
にして分散相粒子(4)を調製した。
【0047】得られた分散相粒子(4)30gを、参考
例5で得られた重合体溶液(1)0.5gをサームエス
900(新日鉄化学(株)製の部分水添された水素化ト
リフェニル)12gに添加して得られた分散媒中に均一
にバイオミキサーBM−1型を用いて混合・分散させ、
本発明の電気粘性流体組成物{以下、これを流体(4)
という。}を得た。
【0048】
【実施例5】参考例4で得られた平衡含水率39%のス
ルホン化重合体粒子10gをメタノール100ミリリッ
トル中に分散させ30分間撹拌したのち濾過した。得ら
れた固形分を真空乾燥器を用いて150℃で3時間でメ
タノールおよび水分の除去を行った。水分の除去終了後
含水率は1.5%であった。この粒子を恒温恒湿器中で
吸湿させ含水率2.0%にして分散相粒子(5)を調製
した。
【0049】得られた分散相粒子(5)5gを、参考例
5で得られた重合体溶液(1)0.5gをサームエス9
00(新日鉄化学(株)製の部分水添された水素化トリ
フェニル)12gに添加して得られた分散媒中に均一に
バイオミキサーBM−1型を用いて混合・分散させ、本
発明の電気粘性流体組成物{以下、これを流体(5)と
いう。}を得た。
【0050】
【実施例6】参考例4において150℃で3時間真空乾
燥して得られた含水率1.5%のスルホン化重合体粒子
10gをメタノール100ミリリットル中に分散させ3
0分間撹拌したのち濾過した。得られた固形分を真空乾
燥器を用いて150℃で3時間でメタノールおよび水の
除去を行った。水分除去後の含水率は1.1%であっ
た。この粒子を恒温恒湿器中で吸湿させ含水率2.0%
にして分散相粒子(6)を調製した。
【0051】得られた分散相粒子(6)5gを、参考例
5で得られた重合体溶液(1)0.5gをサームエス9
00(新日鉄化学(株)製の部分水添された水素化トリ
フェニル)12gに添加して得られた分散媒中に均一に
バイオミキサーBM−1型を用いて混合・分散させ、本
発明の電気粘性流体組成物{以下、これを流体(6)と
いう。}を得た。
【0052】
【比較例1】参考例1で得られた平衡含水率12%のシ
リカゲル粒子10gをそのまま150℃で3時間真空乾
燥を行った。乾燥終了後含水率は0.3%であった。こ
の粒子を恒温恒湿器中で吸湿させ含水率5.5%にして
比較分散相粒子(1)を調製した。
【0053】得られた比較分散相粒子(1)5gを、変
性シリコーンオイルKF869(信越化学工業(株)製
のアミノシリコーンオイル)0.2gを信越シリコーン
オイルKF96−20CS(信越化学工業(株)製のジ
メチルシリコンオイル)12g中に均一にバイオミキサ
ーBM−1型を用いて混合・分散させ、比較用の電気粘
性流体組成物{以下、これを比較流体(1)という。}
を得た。
【0054】
【比較例2】参考例2で得られた平衡含水率19%のポ
リアクリル酸ナトリウム粒子10gをそのまま150℃
で3時間真空乾燥を行った。乾燥終了後含水率は0.2
%であった。この粒子を恒温恒湿器中で吸湿させ含水率
7.0%にして比較分散相粒子(2)を調製した。
【0055】得られた比較分散相粒子(2)5gを、参
考例5で得られた重合体溶液(1)0.5gをサームエ
ス900(新日鉄化学(株)製の部分水添された水素化
トリフェニル)12gに添加して得られた分散媒中に均
一にバイオミキサーBM−1型を用いて混合・分散さ
せ、比較用の電気粘性流体組成物{以下、これを比較流
体(2)という。}を得た。
【0056】
【比較例3】参考例3で得られた平衡含水率25%の強
酸性カチオン交換樹脂粒子10gをそのまま150℃で
3時間真空乾燥を行った。乾燥終了後含水率は0.8%
であった。この粒子を恒温恒湿器中で吸湿させ含水率
2.0%にして比較分散相粒子(3)を調製した。
【0057】得られた比較分散相粒子(3)5gを、参
考例5で得られた重合体溶液(1)0.5gをサームエ
ス900(新日鉄化学(株)製の部分水添された水素化
トリフェニル)12gに添加して得られた分散媒中に均
一にバイオミキサーBM−1型を用いて混合・分散さ
せ、比較用の電気粘性流体組成物{以下、これを比較流
体(3)という。}を得た。
【0058】
【比較例4】参考例4で得られた平衡含水率39%のス
ルホン化重合体粒子10gをそのまま150℃で3時間
真空乾燥を行った。乾燥終了後含水率は1.5%であっ
た。この粒子を恒温恒湿器中で吸湿させ含水率2.0%
にして比較分散相粒子(4)を調製した。
【0059】得られた比較分散相粒子(4)5gを、参
考例5で得られた重合体溶液(1)0.5gをサームエ
ス900(新日鉄化学(株)製の部分水添された水素化
トリフェニル)12gに添加して得られた分散媒中に均
一にバイオミキサーBM−1型を用いて混合・分散さ
せ、比較用の電気粘性流体組成物{以下、これを比較流
体(4)という。}を得た。
【0060】
【実施例5】実施例1〜6および比較例1〜4で得られ
た本発明の電気粘性流体(1)〜(6)および比較流体
(1)〜(4)の各々を高さ150mm、直径15mmの試
験管の底から100mmのところまで充填して密閉した。
その後3日間静置して、分散相粒子の沈降の程度を観察
し、電気粘性流体の分散安定性を調べた。その結果を表
1に示す。
【0061】また、電気粘性流体組成物の各々を共軸電
場付二重円筒型回転粘度計に入れ、内/外筒間隙1.0
mm、せん断速度400s~1、温度25℃の条件で交流外
部電場4kV/mm(周波数:50Hz)を印加したとき
のせん断応力値(初期値)およびその際に流れる電流密
度(初期値)を測定した。さらに4kV/mm(周波数:
50Hz)の外部電場を印加した状態で粘度計を25℃
にて3日間連続運転した後のせん断応力値(3日後の
値)および電流密度(3日後の値)を測定し、電気粘性
流体の経時安定性を調べた。結果を表1に示す。また、
内/外筒間隙1.0mm、せん断速度400s~1、温度2
5℃の条件で交流外部電場0〜10kV/mm(周波数:
50Hz)の範囲内で印加安定性試験を行った。印加安
定性の維持できる最大印加電圧を表1に示す。
【0062】
【表1】
【0063】表1から明らかなように、本発明の電気粘
性流体(1)〜(6)は、分散安定性に優れた流体であ
った。また、印加安定性においても本発明の電気粘性流
体(1)〜(6)は最大印加電圧が高かった。特に本発
明の電気粘性流体(4)〜(6)は10kV/mmにおい
ても印加可能であり優れた印加安定性を示した。
【0064】一方、比較流体(1)〜(4)は、分散安
定性において本発明の電気粘性流体に比べて劣ってい
た。また、印加安定性においても、本発明の電気粘性流
体に比べて劣っていた。
【0065】
【発明の効果】本発明は、比較的弱い電場を印加した時
にでも大きなせん断応力が得られ且つ発生したせん断応
力を長期にわたって維持するという経時安定性、さらに
耐電圧特性、分散安定性に優れた電気粘性流体を容易に
製造する方法を提供するものであり、こうして製造され
た電気粘性流体は、クラッチ、ダンパー、ブレーキ、シ
ョックアブソーバー等へ有効に利用できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C10N 40:14 70:00 (72)発明者 小林 稔 茨城県つくば市観音台1丁目25番地12 株式会社日本触媒 筑波研究所内 (56)参考文献 特開 平4−164996(JP,A) 特開 平4−266996(JP,A) 特開 平4−164997(JP,A) 特開 平2−235994(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C10M 177/00 B01J 13/00 F16D 35/00 C10N 20:00 C10N 20:06 C10N 40:14 C10N 70:00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 大気中における平衡含水率未満の水分を
    含有する誘電体粒子(A)からなる分散相粒子を電気絶
    縁性分散媒中に分散させてなる組成物であって、誘電体
    粒子(A)が、誘電体粒子を親水性有機溶媒中に浸漬し
    たのち誘電体粒子中の含有水分を親水性有機溶媒の留去
    と共に除去することによって得られるものである電気粘
    性流体組成物の製法
  2. 【請求項2】 誘電体粒子(A)がスルホン酸基で置換
    された芳香族環を有するスルホン化重合体粒子である請
    求項1記載の電気粘性流体組成物の製法
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