JP3067291B2 - 原子炉燃料集合体 - Google Patents

原子炉燃料集合体

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JP3067291B2 JP3186109A JP18610991A JP3067291B2 JP 3067291 B2 JP3067291 B2 JP 3067291B2 JP 3186109 A JP3186109 A JP 3186109A JP 18610991 A JP18610991 A JP 18610991A JP 3067291 B2 JP3067291 B2 JP 3067291B2
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  • Structure Of Emergency Protection For Nuclear Reactors (AREA)
  • Monitoring And Testing Of Nuclear Reactors (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は原子炉燃料集合体に係わ
り、特に高速増殖炉の炉心特性を改善する上で好適な原
子炉燃料集合体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来のこの種の高速増殖炉の炉心は、六
角断面で長尺の多数本の燃料集合体により構成されてお
り、プルトニウム混合酸化物を燃料としている。燃料は
細径円柱状の燃料ペレットを使用しその多数の燃料ペレ
ットを軸方向に重ねて燃料棒の中に保持されている。ま
た、細径棒状の燃料棒をワイヤスペーサで三角配列状に
多数配列し、その外周をラッパ管で包む構造が燃料集合
体の型式である。燃料集合体は炉心燃料と径方向ブラン
ケット燃料に別れ、炉心燃料には前述のプルトニウム混
合酸化物を装荷し、径方向ブランケット燃料にはプルト
ニウム燃料を増殖するための劣化ウラン酸化物を装荷す
る事が一般的である。
【0003】また、この種の高速増殖炉用の燃料集合体
は六角断面のラッパ管の中に、多数の同一長さの燃料棒
を配置し、燃料棒の中には軸長1m程度の炉心燃料ペレ
ットとその上下部に0.3m 程度のブランケット燃料ペ
レットを配置し、さらにその上下部にはバネ、あるいは
スリーブで空間を確保した燃料から発生したガスを蓄積
させるガスプレナム部を配置することが一般的であっ
た。
【0004】この従来の高速増殖炉用の燃料集合体を用
いた炉心はその出力係数は常に負であるが、より負とす
ることにより炉心の安全性を向上することができる。こ
の出力係数は燃料のドップラー係数,冷却材密度係数等
により構成されており、従来の高速増殖炉ではドップラ
ー係数は負,冷却材密度係数はわずかながら正であっ
た。従って、冷却材密度係数をより負側にできれば出力
係数はより負にできるため炉心の出力制御,炉心の安全
特性がより向上する。従って、冷却材密度係数をより負
側にできる発明が望まれている。
【0005】従来の高速増殖炉用の燃料集合体を用いた
炉心の冷却材密度係数がわずかながら正である理由は、
燃料集合体を通過する冷却材温度の上昇に伴い、冷却材
であるナトリウムの密度が減少するが、ナトリウムの質
量は小さく、中性子に対する減速材としての効果が減少
し、中性子のエネルギーが大きくなり、ウラン238,
プルトニウム等の燃料の高速中性子による核***が増大
するためである。また、冷却材温度の上昇によるナトリ
ウムの密度の減少は中性子の燃料の外側への漏洩を大き
くさせる効果も生むが、これは負の反応度効果をもたら
すが、30万kW電気出力程度以上の大きな炉心の場合
は、高速中性子による核***増大効果のほうが中性子の
漏洩効果より相対的に支配的となり、冷却材密度係数は
正となっていた。従って、30万kW電気出力程度以上
の大きな炉心の場合でも、冷却材密度係数をゼロに近付
けることのできる高速増殖炉用の燃料集合体の発明が望
まれている。
【0006】従来の高速増殖炉では、冷却材密度係数が
正であるため、それを低減させる研究も行われた。例え
ば炉心高さを小さくすれば、冷却材温度上昇時の冷却材
密度低下において、中性子の漏洩が増大するため、冷却
材密度係数を小さくすることが可能である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、炉心出力及び
炉心径を一定としたままで炉心高さを低下させると炉心
の体積が減少し、出力密度,燃料線出力が増大してしま
うので、炉心体積は保存する必要がある。このために、
炉心高さを低下させる場合は炉心径を増大させる必要が
あった。炉心径の増大は炉心建設費の増大をまねくとい
う欠点があった。また、炉心高さを低下させると通常運
転時の中性子漏洩も増大するため、燃料のプルトニウム
富化度の増大,燃焼反応度の増大,増殖比の低下という
炉心核特性の悪化をまねくという欠点があった。
【0008】以上の従来炉心における冷却材密度係数の
低減の工夫上の欠点より、炉心寸法を増大させることな
く、また、プルトニウム富化度の増大,燃焼反応度の増
大,増殖比の低下という炉心核特性の変動をできるだけ
抑制できつつ、冷却材密度係数を低減できる炉心及び燃
料の発明が望まれている。
【0009】本発明の目的は、高速増殖炉の炉心寸法に
極力影響を与えることなく、冷却材密度係数を低減でき
る燃料集合体を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの第1の手段は、炉心燃料の上下部に燃料増殖用のブ
ランケット領域を有する原子炉用燃料集合体において、
燃料集合体を構成する複数の燃料棒の内、一部の燃料棒
を他の燃料棒よりも短尺とし、その短尺とされた短尺燃
料棒を前記燃料集合体の中央部で前記他の燃料棒よりも
上端が低い位置となるように集合配置して前記短尺燃料
棒の上部は他の長尺燃料棒の端部まで冷却材の流路と
し、燃料棒の炉心燃料は軸方向の一部を内部ブランケッ
ト燃料とし、内部ブランケット燃料の位置は炉心軸方向
中央よりも下部とすることを特徴とする原子炉用燃料集
合体である。
【0011】同じく第2の手段は、炉心燃料の上下部に
燃料増殖用のブランケット領域を有する原子炉用燃料集
合体において、燃料集合体を構成する複数の燃料棒の
内、一部の燃料棒を他の燃料棒よりも短尺とし、その短
尺とされた短尺燃料棒を前記燃料集合体の中央部で前記
他の燃料棒よりも上端が低い位置となるように集合配置
して前記短尺燃料棒の上部は他の長尺燃料棒の端部まで
冷却材の流路とし、前記流路の周辺の燃料棒の軸方向上
部ブランケット部に中性子吸収体を含有することを特徴
とする原子炉用燃料集合体である。
【0012】同じく第3の手段は、炉心燃料の上下部に
燃料増殖用のブランケット領域を有する原子炉用燃料集
合体において、燃料集合体を構成する複数の燃料棒の
内、一部の燃料棒を他の燃料棒よりも短尺とし、その短
尺とされた短尺燃料棒を前記燃料集合体の中央部で前記
他の燃料棒よりも上端が低い位置となるように集合配置
して前記短尺燃料棒の上部は他の長尺燃料棒の端部まで
冷却材の流路とし、前記流路の途中に配置した中性子吸
収体を前記燃料集合体の上部遮蔽体に支持した支持棒に
より保持すると共に、前記支持棒は燃料被覆管等の他の
燃料構成材料より熱膨張の大きい材料とすることを特徴
とする原子炉用燃料集合体である。
【0013】同じく第4の手段は、第3手段において、
短尺燃料棒には金属のブランケット燃料とナトリウム
を、他の燃料棒には金属の炉心燃料とナトリウムを入
れ、前記短尺燃料棒のガスプレナムの上下長さを前記他
の燃料棒のガスプレナムの上下長さよりも短くしてある
ことを特徴とする原子炉用燃料集合体である。
【0014】同じく第5の手段は、炉心燃料の上下部に
燃料増殖用のブランケット領域を有する原子炉用燃料集
合体において、燃料集合体を構成する複数の燃料棒の
内、一部の燃料棒を他の燃料棒よりも短尺とし、その短
尺とされた短尺燃料棒を前記燃料集合体の中央部で前記
他の燃料棒よりも上端が低い位置となるように集合配置
して前記短尺燃料棒の上部は他の長尺燃料棒の端部まで
冷却材の流路とし、前記他の燃料棒の上下部に燃料増殖
用のブランケット領域を有し、その上部ブランケット燃
料に隣接するラッパ管に冷却材の連通孔をあけることを
特徴とする原子炉用燃料集合体である。
【0015】
【作用】第1の手段では、燃料集合体を構成する燃料棒
の一部を他の燃料棒より短尺とし、その下流側を冷却材
流路とすることにより、燃料の冷却材下流側の一部を冷
却材の体積率を増大させ、冷却材の温度上昇による密度
低下時に、冷却材体積率増大部から中性子を漏洩させ、
冷却材密度係数を低減する作用が得られる上、燃料棒の
炉心燃料の一部に配置した内部ブランケット燃料の効果
により、中性子束分布を炉心上部で高められ、冷却材の
温度上昇による密度低下時に、冷却材体積率増大部から
中性子を漏洩させる作用が得られるので、各作用の相乗
効果で冷却材密度係数を大幅に低減できる。
【0016】第2の手段では、燃料集合体を構成する燃
料棒の一部を他の燃料棒より短尺とし、その下流側を冷
却材流路とすることにより、燃料の冷却材下流側の一部
を冷却材の体積率を増大させ、冷却材の温度上昇による
密度低下時に、冷却材体積率増大部から中性子を漏洩さ
せ、冷却材密度係数を低減する作用が得られる上、冷却
材の温度上昇による密度低下時に、冷却材体積率増大部
の中性子が漏洩により増大することを利用し、その冷却
材体積率増大部の周辺に中性子吸収体を含有させること
により、冷却材の温度上昇による密度低下時に、冷却材
体積率増大部へ流れ込む中性子を中性子吸収体に吸収さ
せるため、冷却材密度係数を第1の手段の場合よりもさ
らに低減する作用が得られるので、それらの各作用の相
乗効果で冷却材密度係数を大幅に低減できる。
【0017】第3の手段では、燃料集合体を構成する燃
料棒の一部を他の燃料棒より短尺とし、その下流側を冷
却材流路とすることにより、燃料の冷却材下流側の一部
を冷却材の体積率を増大させ、冷却材の温度上昇による
密度低下時に、冷却材体積率増大部から中性子を漏洩さ
せ、冷却材密度係数を低減する作用が得られる上、冷却
材の温度上昇による密度低下時に、冷却材体積率増大部
の中性子が漏洩により増大することを利用し、その冷却
材体積率増大部に中性子吸収体を含有させることによ
り、冷却材の温度上昇による密度低下時により中性子の
吸収を増大させると共に、冷却材の温度上昇時に燃料上
部に支持した中性子吸収体を含有する吸収体棒の熱膨張
により中性子吸収体をより炉心軸方向中央側へ移動させ
るため中性子の吸収を増大させ、冷却材密度係数を低減
する作用が得られるので、それらの各作用の相乗効果で
冷却材密度係数を大幅に低減できる。
【0018】第4の手段では、第3の手段による作用に
加えるに、短尺燃料棒には金属燃料のブランケット燃料
が入れられ、その他の燃料棒には金属の炉心燃料が入れ
られ、ブランケット燃料は炉心燃料よりもガスの発生量
が激しくないから、ブランケット燃料が入れられた短尺
燃料棒のガスプレナムは炉心燃料が入れられた燃料棒よ
りも上下方向において短かくでき、中性子吸収体を燃料
集合体内深くに配備でき、その中性子吸収体を支持する
支持棒の長さを長尺にすることができ、中性子吸収体を
より炉心軸方向中央側に置いて中性子の吸収を増大さ
せ、冷却材密度係数を一層低減する作用が得られる。
【0019】第5の手段では、燃料集合体を構成する燃
料棒の一部を他の燃料棒より短尺とし、その下流側を冷
却材流路とすることにより、燃料の冷却材下流側の一部
を冷却材の体積率を増大させ、冷却材の温度上昇による
密度低下時に、冷却材体積率増大部から中性子を漏洩さ
せ、冷却材密度係数を低減する作用が得られる上、上部
ブランケット燃料に隣接するラッパ管に冷却材の連通孔
をあけることにより、冷却材の温度上昇による密度低下
時に、ラッパ管の外側に温度上昇した冷却材を流すこと
によりラッパ管の外側で軸方向に中性子を漏洩させ、冷
却材密度係数を低減する作用が得られるので、それらの
各作用の相乗効果で冷却材密度係数を大幅に低減でき
る。
【0020】
【実施例】本発明者等は、高速増殖炉における冷却材密
度係数を低減する基本構造として図1,図2に示す燃料
集合体の構成を発案した。
【0021】図1はその基本構造を示す燃料集合体の縦
断面図である。また、図2は図1の炉心燃料集合体の径
方向断面図である。
【0022】図1及び図2の炉心燃料集合体は271本
の燃料棒を有し、その内、周辺部の234本は長尺の燃
料棒1であり、中央部の37本は短尺燃料棒10であ
る。また、燃料棒の周囲にはラッパ管2,上部遮蔽体
3,下部遮蔽体4及び冷却材の入口部であるエントラン
スノズル5により構成されている。なお、図1及び図2
には表示しないが、それぞれの燃料棒の間隔は、燃料棒
に螺旋状に巻かれたワイヤにより保持されており、それ
は従来燃料でワイヤスペーサと呼ばれている。また、燃
料棒の内部にはプルトニウム酸化物とウラン酸化物を混
合焼結させたセラミックである炉心燃料ペレット6とそ
の上下部に劣化ウラン酸化物のブランケット燃料ペレッ
ト7が収納されている。また、燃料棒の下部には燃料か
ら生成されるガスを貯蔵するガスプレナム8があり、燃
料棒の上下端は端栓9を溶接することにより密封構造と
している。
【0023】図1,図2に示すように、本基本構造の例
では燃料中央部の37本の燃料棒が他の燃料棒より短尺
であり、炉心上部では、ナトリウム冷却材の体積率が増
大している。
【0024】図1,図2の基本構造の例の寸法を以下に
説明する。
【0025】燃料棒1の直径は8.0mmであり、ラッパ
管2の内外径はそれぞれ150mm,158.1mm であ
る。また炉心高さは1mであり、その上下に350mmの
軸方向ブランケットがある。燃料中央の37本を除いた
234本の燃料棒1の全長は3mであるが、中央の37
本は軸方向上部を削除し炉心途中に端栓を溶接した短尺
燃料棒10としている。短尺燃料棒10の長さは本基本
構造の例では2.4m である。
【0026】また、燃料棒1と短尺燃料棒10は下部遮
蔽体4の部分で軸方向を固定しており、軸方向上部に向
かって自由に熱膨張する構造となっている。燃料中央の
37本の短尺燃料棒10の外側の燃料棒は燃料中央への
変位が課題となるため、図1に示すように中央の37本
の燃料棒の外側の234本の燃料棒は軸方向上部に向か
って自由に熱膨張する構造としているが、その径方向位
置は上部遮蔽体から下に伸ばす六角形の燃料径方向固定
管11により固定している。
【0027】炉心燃料としては混合酸化物を用いている
がそれ以外の金属燃料,窒化物燃料,炭化物燃料の場合
でも本発明は適用可能である。
【0028】本基本構造の例では短尺燃料棒10の燃料
棒に占める割合は約14%であるが冷却材密度係数を調
整するためにその割合を変更することも可能である。
【0029】図1,図2の本基本構造の例において冷却
材密度係数の低減を可能にする原理を以下に説明する。
【0030】従来の高速増殖炉用の燃料集合体を用いた
炉心の冷却材密度係数がわずかながら正である理由は、
燃料集合体を通過する冷却材温度の上昇に伴い、冷却材
であるナトリウムの密度が減少するが、ナトリウムの質
量は小さく、中性子に対する減速材としての効果が減少
し、中性子のエネルギーが大きくなり、ウラン238,
プルトニウム等の燃料の高速中性子による核***が増大
するためである。ウラン238については冷却材温度上
昇時に炉心内でも核***は増加するが、炉心外側のブラ
ンケット部の高速中性子が相対的により増大するため、
軸,径方向ブランケット部で核***増大が著しい。ま
た、冷却材温度の上昇によるナトリウムの密度の減少に
よる中性子エネルギーの増大は炉心外側への漏洩を大き
くさせる効果も生むが、これは負の反応度効果をもたら
す。30万KW電気出力程度以上の大きな炉心の場合
は、高速中性子による核***増大効果のほうが中性子の
漏洩効果より相対的に支配的となり、冷却材密度係数は
正となっていた。
【0031】従って、30万KW電気出力程度以上の大
きな炉心であっても、冷却材温度上昇時に中性子の漏洩
効果を相対的に大きくできれば、冷却材密度係数を負側
に移行できることになる。また、定格出力時の冷却材温
度では漏洩効果を小さくでき、より出力が増大した時に
漏洩効果が増大できれば、冷却材密度係数を負側に移行
できると共に、中性子の無駄な漏洩を抑制できることに
なる。
【0032】そこで、本基本構造では、定格出力時の冷
却材は中性子の遮蔽効果も有することに着目し、温度上
昇時に冷却材の密度が低下することを利用し、炉心の冷
却材流路の下流側に炉心の途中から冷却材のみの領域を
設け、定格出力時には軸方向上向きの漏洩を小さく、定
格からの出力増大時には、冷却材の密度低下により軸方
向上向きの漏洩を大きくさせるものとした。この結果、
冷却材密度係数の低減が可能となった。
【0033】以下に本基本構造の例の効果をまとめる。
【0034】表1に本基本構造の例による燃料集合体を
用い100万kW電気出力炉心を構成した場合の炉心部
の冷却材密度係数を従来炉心と比較して示す。炉心には
421体の炉心燃料集合体と78体の径方向ブランケット
燃料を配置している。
【0035】この結果、表1に示すように図1,図2に
示した燃料集合体を用いた炉心では従来の高速炉炉心に
比較し冷却材密度係数を約47%低減できることがわか
った。また、軸ブランケットをやや削除するため、増殖
比に対する影響を確認したが、表1に示すように、その
影響はわずかであり、増殖炉として十分成立することを
確かめた。
【0036】また、本基本構造の例では、従来炉心例と
ラッパ管の内径,燃料棒数が同一であるにもかかわら
ず、燃料棒の外径を7.6mmから8.0mmに増大すること
ができると共に、炉心圧力損失は従来炉心以下とするこ
とができている。これは短尺燃料の下流側では冷却材の
流路を増大させたため、その部分での圧力損失が低下
し、その結果として、同等の圧損とする条件では、燃料
棒の径を増大できるためである。この結果炉心部では燃
料体積を増大させたため、上部ブランケットがやや削減
されたにもかかわらず、増殖比はほとんど変化させない
ことが可能となっている。
【0037】本基本構造の例では炉心の全燃料集合体の
短尺燃料棒本数を37本としているが、径方向2領域の
均質炉心の本基本構造の例の変形例として、外側炉心の
炉心中央寄りの出力の大きい燃料集合体の短尺燃料棒本
数をより増大させることにより、冷却材密度係数をより
低減することが可能である。例えば、前記出力の大きい
燃料集合体の短尺燃料棒本数を61本とした場合、表1
の冷却材密度係数を0.4%Δk/k/Δρ/ρ程度ま
で低減できる。
【0038】また、本基本構造の例の変形例として、燃
料集合体の一部を短尺燃料棒とするのではなく、一部の
燃料集合体では全燃料棒を短尺燃料棒とし、その上部に
ナトリウム領域を設け、その他の燃料集合体では通常の
長尺燃料棒とする場合もある。この場合は通常の長尺燃
料棒の太径化は困難であるが、単純な構造で冷却材密度
係数を低減することが可能である。
【0039】
【表1】
【0040】図3は本基本構造に改良を加えた本発明の
実施例による炉心燃料集合体の実施例を示す燃料集合体
の縦断面図である。
【0041】図3の炉心燃料集合体は図1の炉心燃料集
合体と同一の燃料棒とワイヤスペーサとその周囲を保持
するラッパ管,上下の遮蔽体部分及び冷却材の入口部で
あるエントランスノズル部により構成されている。燃料
径方向固定管11も図1,図2と同様であるが上下方向
の寸法がやや短くなっている。燃料棒内の燃料配置を図
1より変更している。
【0042】本実施例でも燃料中央部の37本の燃料棒
が他の燃料棒より短尺であり、炉心上部では、ナトリウ
ム冷却材の体積率が増大している。短尺燃料棒10の炉
心燃料部分はウラン,プルトニウム混合酸化物燃料とす
るが、その他の長尺燃料棒の炉心燃料はプルトニウム混
合酸化物燃料であるが軸方向の一部を劣化ウラン酸化物
である内部ブランケット燃料としている。
【0043】図3の実施例の寸法を以下に説明する。
【0044】燃料棒の直径,ラッパ管の内外径,炉心高
さ,軸方向ブランケットの寸法は図1の燃料と同一であ
る。また、234本の長尺燃料棒,中央の37本の短尺
燃料棒の長さも図1の燃料と同一である。
【0045】また、燃料中央の37本の短尺燃料棒の外
側の長尺燃料棒を径方向に固定する方式も図1の燃料と
同一である。
【0046】本実施例の冷却材密度係数の低減を可能に
する原理は図1の場合と同一である。
【0047】以下に本発明の実施例の効果をまとめる。
【0048】表2に本発明の実施例燃料を用い100万
kW電気出力炉心を構成した場合の冷却材密度係数を従
来炉心と比較して示す。炉心には421体の炉心燃料集
合体と78体の径方向ブランケット燃料を配置してい
る。
【0049】この結果、表2に示すように図3に示した
燃料集合体を用いた炉心では従来の高速炉炉心に比較
し、表1の場合より効果が大きく、冷却材密度係数を約
82%低減できることがわかった。本実施例では表1の
実施例より冷却材密度係数低減効果が大きいのは、炉心
を軸方向非均質炉心とし、さらに炉心内部ブランケット
を炉心軸方向中央より下部としたため、軸方向上部の中
性子束が増加し、冷却材密度低下時の軸方向上部方向へ
の中性子漏洩をより増大できたことによる。
【0050】
【表2】
【0051】図4は本発明の炉心燃料集合体の他の実施
例を示す燃料集合体の縦断面図である。
【0052】また、図5は図4の炉心燃料集合体の径方
向断面図である。
【0053】図4の炉心燃料集合体は図1の炉心燃料集
合体と同一の燃料棒とワイヤスペーサとその周囲を保持
するラッパ管,上下の遮蔽体部分及び冷却材の入口部で
あるエントランスノズル部により構成されている。燃料
棒内の燃料配置を図1より変更している。また、本実施
例では、短尺燃料の上部遮蔽体部分、及び短尺燃料の上
部の燃料径方向固定管に隣接する燃料棒の最上部に中性
子吸収体を配置する構造としている。上部遮蔽体部分で
は中性子吸収体は円管に中性子吸収体を収納しており、
中性子吸収体は炭化ほう素のペレットである。また、燃
料棒の最上部の中性子吸収体も炭化ほう素のペレットで
あり、燃料ペレットの上部に配置している。
【0054】本実施例では燃料中央部の61本の燃料棒
が他の燃料棒より短尺であり、炉心上部では、ナトリウ
ム冷却材の体積率が増大している。短尺燃料棒10の炉
心燃料部分はウラン,プルトニウム混合酸化物燃料とす
るが、その他の長尺燃料棒の炉心燃料はプルトニウム混
合酸化物燃料である。
【0055】図4の実施例の寸法を以下に説明する。
【0056】燃料棒の直径,ラッパ管の内外径,炉心高
さ,軸方向ブランケットの寸法は図1の燃料と同一であ
る。また、210本の長尺燃料棒,中央の61本の短尺
燃料棒の長さも図1の燃料と同一である。
【0057】また、燃料中央の61本の短尺燃料棒の外
側の長尺燃料棒を径方向に固定する方式も図1の燃料と
同一である。
【0058】本実施例の冷却材密度係数の低減を可能に
する原理は図1の場合と同一であるが、本実施例では、
冷却材密度低減時の軸方向上部への中性子漏洩を増大す
ると共に、軸方向上部へ流れた中性子を、その部分に配
置した中性子吸収体で積極的に吸収することにより、よ
り効果的に冷却材密度係数の低減を実行できる。
【0059】以下に本発明の実施例の効果をまとめる。
【0060】表3に本発明の実施例燃料を用い100万
kW電気出力炉心を構成した場合の冷却材密度係数を従
来炉心と比較して示す。炉心には421体の炉心燃料集
合体と78体の径方向ブランケット燃料を配置してい
る。
【0061】この結果、表3に示すように図4,図5に
示した燃料集合体を用いた炉心では従来の高速炉炉心に
比較し、冷却材密度係数を約94%低減できることがわ
かった。
【0062】
【表3】
【0063】図6は本発明の炉心燃料集合体の他の実施
例を示す燃料集合体の縦断面図である。
【0064】図6の炉心燃料集合体は図1の炉心燃料集
合体と同一の燃料棒とワイヤスペーサとその周囲を保持
するラッパ管,上下の遮蔽体部分及び冷却材の入口部で
あるエントランスノズル部により構成されている。燃料
集合体上部構造を図1より変更し、本実施例では、短尺
燃料の上部に上部遮蔽体に支持棒により固定した中性子
吸収体を配置する構造としている。支持棒により固定し
た中性子吸収体は円管内に保持した炭化ほう素のペレッ
トである。また、支持棒は他のラッパ管,燃料被覆管に
比較し熱膨張率の大きい金属を用いている。本実施例の
燃料集合体の各部の材質は炉心燃料ペレット6がウラン
・プルトニウム混合酸化物燃料であり、ブランケット燃
料ペレット7が劣化ウラン酸化物である。また、燃料棒
1,ラッパ管2,短尺燃料棒10がフェライト系のステ
ンレス鋼であり、支持棒13がオーステナイト系のステ
ンレス鋼である。高速増殖炉の炉心出口ナトリウム温度
は500℃程度であるが、この温度での熱膨張係数はフ
ェライト系のステンレス鋼が約13×10-6/℃であ
り、オーステナイト系のステンレス鋼が約21×10-6
℃である。
【0065】本実施例では燃料中央部の61本の燃料棒
が他の燃料棒より短尺であり、炉心上部では、ナトリウ
ム冷却材の体積率が増大している。
【0066】図6の実施例の寸法を以下に説明する。
【0067】燃料棒の直径,ラッパ管の内外径,炉心高
さ,軸方向ブランケットの寸法は図1の燃料と同一であ
る。また、210本の長尺燃料棒,中央の61本の短尺
燃料棒の長さも図1の燃料と同一である。
【0068】また、燃料中央の61本の短尺燃料棒の外
側の長尺燃料棒を径方向に固定する方式も図1の燃料と
同一である。
【0069】本実施例の冷却材密度係数の低減を可能に
する原理は図1の場合と同一であるが、本実施例では、
冷却材密度低減時の軸方向上部への中性子漏洩を増大す
ると共に、軸方向上部へ流れた中性子を、その部分に配
置した中性子吸収体で積極的に吸収することにより、よ
り効果的に冷却材密度係数の低減を実行できる。
【0070】さらに、本実施例では、支持棒を熱膨張の
大きい金属としているため、冷却材の温度上昇時に支持
棒が膨張し、中性子吸収体が炉心側に移動するため、制
御棒が挿入されることと等価となり、上記効果以外に、
支持棒の熱膨張による中性子吸収体の挿入効果により、
炉心に負の反応度を挿入することができる。
【0071】以下に本発明の実施例の効果をまとめる。
【0072】表4に本発明の実施例燃料を用い100万
kW電気出力炉心を構成した場合の炉心部の冷却材温度
係数を従来炉心と比較して示す。炉心には421体の炉
心燃料集合体と78体の径方向ブランケット燃料を配置
している。
【0073】この結果、表4に示すように図6に示した
燃料集合体を用いた炉心では従来の高速炉炉心に比較
し、冷却材密度係数を約117%低減できる。
【0074】
【表4】
【0075】図7は本発明の炉心燃料集合体の他の実施
例を示す燃料集合体の縦断面図である。
【0076】図7の炉心燃料集合体は331本の燃料棒
を有し、その内、周辺部の270本は長尺の燃料棒1で
あり、中央部の61本は短尺燃料棒10である。また、
燃料棒の周囲にはラッパ管2,上部遮蔽体3,下部遮蔽
体4及び冷却材の入口部であるエントランスノズル5に
より構成されている。なお、図7には表示しないが、そ
れぞれの燃料棒の間隔は、燃料棒に螺旋状に巻かれたワ
イヤにより保持されている。また、燃料棒の内部にはウ
ランとプルトニウムとジルコニウムの合金である金属炉
心燃料が収納されている。また、金属炉心燃料の上下部
にはウランとジルコニウムの合金である金属ブランケッ
ト燃料が収納されている。また、燃料棒の内部には金属
燃料と被覆管の間にナトリウムが充填されている。ま
た、燃料棒の上部には燃料から生成されるガスを貯蔵す
るガスプレナム8があり、燃料棒の上下端は端栓9を溶
接することにより密封構造としている。
【0077】本実施例では、図6の実施例と同様に短尺
燃料の上部に上部遮蔽体に支持棒により固定した中性子
吸収体を配置する構造としている。支持棒により固定し
た中性子吸収体は円管内に保持した炭化ほう素のペレッ
トである。また、支持棒は他のラッパ管,燃料被覆管に
比較し熱膨張率の大きい金属を用いている。図6の実施
例と本実施例の違いは、本実施例が燃料として金属燃料
を用いること及び短尺燃料棒内の燃料としては金属のブ
ランケット燃料を用いる点にある。金属燃料の燃料と被
覆管の間には熱伝導度を良好にするために金属ナトリウ
ムを充填する。その結果、金属ナトリウムは原子炉運転
時には周囲の熱で液体状になっていて核***で発生する
ガスは上方に浮上して蓄積される。そのガスの蓄積を場
所であるガスプレナムは燃料上部に設置する。
【0078】図6のように酸化物燃料を採用した場合に
は、炉心上部のブランケット燃料に対応する位置に中性
子吸収体を支持棒により配置し、この場合には、支持棒
の長さは約0.4m である。一方、図7のように金属燃
料を採用した場合には、短尺燃料棒の金属燃料がブラン
ケット燃料であって、ブランケット燃料は炉心燃料に比
べて核***が少なくてガスの発生も少ないから、ガスプ
レナム長さが炉心燃料を詰めた燃料棒のガスプレナムよ
りも短くされている。そのため、中性子吸収体は燃料集
合体の奥深く軸方向中央部に配備することができて、そ
の中性子吸収体を支える支持棒の長さも長くなって、約
1.2mの長さとなる。
【0079】本実施例では燃料中央部の61本の燃料棒
が他の燃料棒より短尺であり、炉心上部では、ナトリウ
ム冷却材の体積率が増大している。
【0080】図7の実施例の寸法を以下に説明する。
【0081】燃料棒1の直径は7.1mmであり、ラッパ
管2の内外径はそれぞれ150mm,158.1mmであ
る。また炉心高さは0.6mである。また、軸方向ブラ
ンケットは設置しない。燃料中央の61本を除いた27
0本の燃料棒1の全長は2.0mであるが、中央の61
本は軸方向上部を削除し炉心途中に端栓を溶接した短尺
燃料棒10としている。短尺燃料棒10の長さは本実施
例では1.2mである。
【0082】本実施例の燃料集合体の各部の材質は炉心
燃料ペレット6がウラン,プルトニウム,ジルコニウム
合金の金属燃料であり、また、燃料棒1,ラッパ管2,
短尺燃料棒10がフェライト系のステンレス鋼であり、
支持棒13がオーステナイト系のステンレス鋼である。
【0083】また、燃料棒1と短尺燃料棒10は下部遮
蔽体4の部分で軸方向を固定しており、軸方向上部に向
かって自由に熱膨張する構造となっている。燃料中央の
61本の短尺燃料棒10の外側の燃料棒は燃料中央への
変位が課題となるため、図7に示すように中央の61本
の燃料棒の外側の270本の燃料棒は軸方向上部に向か
って自由に熱膨張する構造としているが、その径方向位
置は上部遮蔽体から下に伸ばす六角形の燃料径方向固定
管11により固定している。
【0084】本実施例の冷却材密度係数の低減を可能に
する原理は図1の場合と同一であるが、本実施例では、
冷却材密度低減時の軸方向上部への中性子漏洩を増大す
ると共に、軸方向上部へ流れた中性子を、その部分に配
置した中性子吸収体で積極的に吸収することにより、よ
り効果的に冷却材密度係数の低減を実行できる。
【0085】さらに、本実施例では、図6の実施例と同
様に支持棒を熱膨張の大きい金属としているため、冷却
材の温度上昇時に支持棒が膨張し、中性子吸収体が炉心
側に移動するため、制御棒が挿入されることと等価とな
り、上記効果以外に、支持棒の熱膨張による中性子吸収
体の挿入効果により、炉心に負の反応度を挿入すること
ができる。
【0086】以下に本発明の実施例の効果をまとめる。
【0087】表5に本発明の実施例燃料を用い100万
kW電気出力炉心を構成した場合の冷却材密度係数を従
来の金属燃料炉心と比較して示す。炉心には421体の
炉心燃料集合体と78体の径方向ブランケット燃料を配
置している。
【0088】この結果、表5に示すように図7に示した
燃料集合体を用いた炉心では従来の高速炉金属燃料炉心
に比較し,冷却材密度係数を約94%低減できる。ま
た、本実施例では、ガスプレナム部の冷却材の圧力損失
を大きく低減できる効果があるため、同一の圧力損失と
すると燃料ピン径を大きく太径化できる。従来の燃料の
外径6.4mmに対して、本実施例は7.1mmである。この
結果、炉心内に燃料親物質であるウラン238を多く装
荷できるため表5に示すように、増殖比を増大すること
が可能となる。すなわち、本発明の実施例では、冷却材
密度係数を低減できると共に増殖比を増大できることが
可能となる。
【0089】
【表5】
【0090】図8は本発明の炉心燃料集合体の他の実施
例を示す燃料集合体の縦断面図である。
【0091】図8の炉心燃料集合体は図1の炉心燃料集
合体と同一の燃料棒とワイヤスペーサとその周囲を保持
するラッパ管,上下の遮蔽体部分及び冷却材の入口部で
あるエントランスノズル部により構成されている。ま
た、短尺燃料の使用は図1と同様であるが、本実施例で
は、さらに軸方向上部ブランケットに隣接するラッパ管
に冷却材の連通孔を設けている点が図1と異なる。ま
た、連通孔を開ける部分はラッパ管の強度を確保するた
めにその厚さを増大させている。
【0092】図8の実施例の寸法を以下に説明する。
【0093】燃料棒の直径,ラッパ管の内外径,炉心高
さ,軸方向ブランケットの寸法は図1の燃料と同一であ
る。また、234本の長尺燃料棒及び37本の短尺燃料
棒の長さも図1の燃料と同一である。
【0094】本実施例の冷却材密度係数の低減を可能に
する原理は図1の場合と同一であるが、本実施例ではさ
らに冷却材密度低下時に中性子の軸方向漏洩の増大はラ
ッパ管にあけた冷却材の連通孔によりラッパ管間のナト
リウム密度が低下する効果によりその効果を増大でき
る。
【0095】以下に本発明の実施例の効果をまとめる。
【0096】表6に本発明の実施例燃料を用い100万
kW電気出力炉心を構成した場合の冷却材密度係数を従
来炉心と比較して示す。炉心には421体の炉心燃料集
合体と78体の径方向ブランケット燃料を配置してい
る。
【0097】この結果、表6に示すように図8に示した
燃料集合体を用いた炉心では従来の高速炉炉心に比較
し、冷却材密度係数を約70%低減できることがわかっ
た。
【0098】本実施例では、短尺燃料を用いると共に、
軸方向上部ブランケットに隣接するラッパ管に冷却材の
連通孔をあけるという単純な方法により冷却材密度係数
を大きく低減できる。
【0099】
【表6】
【0100】
【発明の効果】請求項1の発明によれば、炉心に多数本
配置される燃料集合体の一部あるいは全部について燃料
集合体を構成する燃料棒の一部を他の燃料棒より短尺と
し、その下流側を冷却材流路とすることにより、燃料の
冷却材下流側の一部を冷却材の体積率を増大させ、冷却
材の温度上昇による密度低下時に、冷却材体積率増大部
から中性子を漏洩させ、さらには、燃料棒の炉心燃料の
一部に配置した内部ブランケット燃料の効果により、中
性子束分布を炉心上部で高められ、冷却材の温度上昇に
よる密度低下時に、冷却材体積率増大部から中性子を漏
洩させるので、冷却材密度係数を大幅に低減できる効果
が得られる。
【0101】請求項2の発明によれば、炉心に多数本配
置される燃料集合体の一部あるいは全部について燃料集
合体を構成する燃料棒の一部を他の燃料棒より短尺と
し、その下流側を冷却材流路とすることにより、燃料の
冷却材下流側の一部を冷却材の体積率を増大させ、冷却
材の温度上昇による密度低下時に、冷却材体積率増大部
から中性子を漏洩させ、さらには、冷却材の温度上昇に
よる密度低下時に、冷却材体積率増大部の中性子が漏洩
により増大することを利用し、その冷却材体積率増大部
の周辺に中性子吸収体を含有させることにより、冷却材
の温度上昇による密度低下時に、冷却材体積率増大部へ
流れ込む中性子を中性子吸収体に吸収させるため、冷却
材密度係数を大幅に低減できる効果が得られる。
【0102】請求項3の発明によれば、炉心に多数本配
置される燃料集合体の一部あるいは全部について燃料集
合体を構成する燃料棒の一部を他の燃料棒より短尺と
し、その下流側を冷却材流路とすることにより、燃料の
冷却材下流側の一部を冷却材の体積率を増大させ、冷却
材の温度上昇による密度低下時に、冷却材体積率増大部
から中性子を漏洩させ、さらには、冷却材の温度上昇時
に燃料上部に支持した中性子吸収体を含有する吸収体棒
の熱膨張により中性子吸収体をより炉心軸方向中央側へ
移動させるため中性子の吸収を増大させ、冷却材密度係
数を大幅に低減できる効果が得られる。
【0103】請求項4の発明によれば、請求項3の発明
の効果に加えて、中性子吸収体をより炉心軸方向中央側
に置くことができるため、中性子の吸収を増大させ、冷
却材密度係数を請求項3の場合よりもさらに低減でき
る。
【0104】請求項5の発明によれば、炉心に多数本配
置される燃料集合体の一部あるいは全部について燃料集
合体を構成する燃料棒の一部を他の燃料棒より短尺と
し、その下流側を冷却材流路とすることにより、燃料の
冷却材下流側の一部を冷却材の体積率を増大させ、冷却
材の温度上昇による密度低下時に、冷却材体積率増大部
から中性子を漏洩させ、さらには、上部ブランケット燃
料に隣接するラッパ管に冷却材の連通孔をあけることに
より、冷却材の温度上昇による密度低下時に、ラッパ管
の外側に温度上昇した冷却材を流すことによりラッパ管
の外側でも軸方向に中性子を漏洩させ、冷却材密度係数
を大幅に低減できる効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明者等が発案した基本構造の例による炉心
燃料集合体の縦断面図である。
【図2】図1の燃料集合体の径方向断面図である。
【図3】本発明の実施例の炉心燃料集合体の縦断面図で
ある。
【図4】本発明の他の実施例の炉心燃料集合体の縦断面
図である。
【図5】図4の燃料集合体の径方向断面図である。
【図6】本発明のさらに他の実施例の炉心燃料集合体の
縦断面図である。
【図7】本発明のより一層他の実施例の炉心燃料集合体
の縦断面図である。
【図8】本発明のさらにより一層他の実施例の炉心燃料
集合体の縦断面図である。
【符号の説明】
1…燃料棒、2…ラッパ管、3…上部遮蔽体、4…下部
遮蔽体、5…エントランスノズル、6…炉心燃料ペレッ
ト、7…ブランケット燃料ペレット、8…ガスプレナ
ム、9…端栓、10…短尺燃料棒、11…燃料径方向固
定管、12…中性子吸収体、13…支持棒、14…冷却
材連通孔。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI G21C 3/30 Y 3/32 G (72)発明者 金戸 邦和 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式 会社 日立製作所 日立工場内 (72)発明者 渡 孔男 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式 会社 日立製作所 日立工場内 (56)参考文献 特開 平4−252994(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G21C 3/30 G21C 3/32 G21C 5/18

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】炉心燃料の上下部に燃料増殖用のブランケ
    ット領域を有する原子炉用燃料集合体において、燃料集
    合体を構成する複数の燃料棒の内、一部の燃料棒を他の
    燃料棒よりも短尺とし、その短尺とされた短尺燃料棒を
    前記燃料集合体の中央部で前記他の燃料棒よりも上端が
    低い位置となるように集合配置して前記短尺燃料棒の上
    部は他の長尺燃料棒の端部まで冷却材の流路とし、燃料
    棒の炉心燃料は軸方向の一部を内部ブランケット燃料と
    し、内部ブランケット燃料の位置は炉心軸方向中央より
    も下部とすることを特徴とする原子炉用燃料集合体。
  2. 【請求項2】炉心燃料の上下部に燃料増殖用のブランケ
    ット領域を有する原子炉用燃料集合体において、燃料集
    合体を構成する複数の燃料棒の内、一部の燃料棒を他の
    燃料棒よりも短尺とし、その短尺とされた短尺燃料棒を
    前記燃料集合体の中央部で前記他の燃料棒よりも上端が
    低い位置となるように集合配置して前記短尺燃料棒の上
    部は他の長尺燃料棒の端部まで冷却材の流路とし、前記
    流路の周辺の燃料棒の軸方向上部ブランケット部に中性
    子吸収体を含有することを特徴とする原子炉用燃料集合
    体。
  3. 【請求項3】炉心燃料の上下部に燃料増殖用のブランケ
    ット領域を有する原子炉用燃料集合体において、燃料集
    合体を構成する複数の燃料棒の内、一部の燃料棒を他の
    燃料棒よりも短尺とし、その短尺とされた短尺燃料棒を
    前記燃料集合体の中央部で前記他の燃料棒よりも上端が
    低い位置となるように集合配置して前記短尺燃料棒の上
    部は他の長尺燃料棒の端部まで冷却材の流路とし、前記
    流路の途中に配置した中性子吸収体を前記燃料集合体の
    上部遮蔽体に支持した支持棒により保持すると共に、
    支持棒は燃料被覆管等の他の燃料構成材料より熱膨張
    の大きい材料とすることを特徴とする原子炉用燃料集合
    体。
  4. 【請求項4】請求項3の原子炉用燃料集合体において、
    短尺燃料棒には金属のブランケット燃料とナトリウム
    を、他の燃料棒には金属の炉心燃料とナトリウムを入
    れ、前記短尺燃料棒のガスプレナムの上下長さを前記他
    の燃料棒のガスプレナムの上下長さよりも短くしてある
    ことを特徴とする原子炉用燃料集合体。
  5. 【請求項5】炉心燃料の上下部に燃料増殖用のブランケ
    ット領域を有する原子炉用燃料集合体において、燃料集
    合体を構成する複数の燃料棒の内、一部の燃料棒を他の
    燃料棒よりも短尺とし、その短尺とされた短尺燃料棒を
    前記燃料集合体の中央部で前記他の燃料棒よりも上端が
    低い位置となるように集合配置して前記短尺燃料棒の上
    部は他の長尺燃料棒の端部まで冷却材の流路とし、前記
    他の燃料棒の上下部に燃料増殖用のブランケット領域を
    有し、その上部ブランケット燃料に隣接するラッパ管に
    冷却材の連通孔をあけることを特徴とする原子炉用燃料
    集合体。
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