JP3063999B2 - 柔軟構造物のフレキシビリティ制御装置 - Google Patents

柔軟構造物のフレキシビリティ制御装置

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JP3063999B2 JP2257338A JP25733890A JP3063999B2 JP 3063999 B2 JP3063999 B2 JP 3063999B2 JP 2257338 A JP2257338 A JP 2257338A JP 25733890 A JP25733890 A JP 25733890A JP 3063999 B2 JP3063999 B2 JP 3063999B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の目的〕 (産業上の利用分野) 本発明は柔軟構造物のフレキシビリティ制御装置に関
する。
(従来の技術) 産業用ロボットアームは一般にエンド・エフェクタ部
で十分な位置決め精度ができるように設計されている。
ところがワークが柔軟構造物、すなわち金属板金に代表
される様なフレキシブルな弾性体である場合は、ワーク
自身の弾性変形によるたわみや振動が無視できないた
め、所望の位置決め精度や高速制御は望めない。
例えば、折曲げ加工機の金型(パンチ及びダイ)に対
してワーク供給サービスする場合、ワーク先端高さを金
型(ダイ)高さに合わせ加工機本体に対して挿入しなけ
ればならないが、ワーク供給時のワーク自身の弾性変形
によるたわみや振動が無視できないため、ワーク先端が
所望の高さで制御できず、金型上面から唾れ下がり、金
型に突き当ってしまうことがある。
このため作業効率は大幅に低下し、時にはワークを傷
つけてしまう危険性すらある。従来、上記の折曲げ加工
機において、ワーク先端高さが金型(ダイ)面より低く
なる恐れが有る場合は、ワーク先端の唾れ下り量△yを
インプットし、ロボット手首の高さを△yだけ上昇させ
るような手立てを取るが、これがためにワーク毎に唾れ
下り量△yを目測し、あるいは手動操作で測定し、かつ
インプットしてやらねばならず、手間が大で、自動化を
阻害している。また、エンド・エフェクタ部を唾れ下り
量△yだけ持ち上げてワーク供給サービスする場合、エ
ンド・エフェクタ部及びワークの中間位置の高さが予定
のものと異なるため、その部分の機械との干渉問題が生
じるなど、副次的な問題が生ずる。さらに、例えばワー
クの振り回しにおいては、この唾れ下り量△yを考慮し
ての制御は複雑となり、かつ安全性を見て余分な制御量
を与えることになるので、動作時間に無駄が生じる。
一方、近年板金加工等におけるワークは薄型化、大型
化してきており、このような柔軟材の運搬、金属加工機
への挿入等のハンドリング作業をロボット・マニピュレ
ータを用いて自動化し、作業・生産効率を大幅に向上す
ることへの期待が大きくなってきている。
これらの点に鑑みて、本発明者等は、下記の文献1)
〜7)において、フレキシビリティ制御を提案し、柔軟
構造物の機械振動を能動的に制御する方法及び方策や物
理パラメータの同定法について述べてきた。
文献1) 福田・栗林・細貝・矢島、太陽電池パドル
のフレキシビリティ制御(第1報、太陽光センサを用い
た振動抑制・姿勢制御の一考え方)、機論、51−465,C
(昭60)、979。
文献2) 福田・栗林・細貝・矢島、太陽電池パドル
のフレキシビリティ制御(第2報、差動形太陽電池セン
サと状態推定による振動制御・姿勢制御の一方法)、機
論、52−473,C(昭61)、344。
文献3) 福田・細貝・矢島、太陽電池パドルのフレキ
シビリティ制御(第3報、リアクションホイールの動特
性を考慮したパドルの振動・姿勢制御方法)、機論、52
−473,C(昭61)、349。
文献4) 福田・新井・細貝・矢島、太陽電池パドルの
フレキシビリティ制御(第4報、差動形太陽電池センサ
を用いたパドルのねじり振動抑制・姿勢制御)、機論、
53−487,C(昭62)、744。
文献5) 福田・新井・細貝・矢島、柔軟構造物のフレ
キシビリティ制御(第1報、曲げ・ねじり連成振動のモ
デル化と制御方法)、機論、54−499,C(昭63)、630。
文献6) 福田・新井・細貝・矢島、柔軟構造物のフレ
キシビリティ制御(第2報、曲げ・ねじり連成系の制御
方策)、機論、55−510,C(昭64)、365。
文献7) 新井・福田、柔軟構造物のフレキシビリティ
制御(第3報、柔軟構造物ハンドリングのための物理パ
ラメータ同定)、機論(投稿中)(1990)論文No.90−0
335。
このうち、特に文献7)においては、物理パラメータ
が未知である柔軟構造物の位置/姿勢及び振動をロボッ
ト・マニピュレータを用いてアクティブに補償・制御す
ることを念頭に置き、物理モデルの同定方法を提案し、
シミュレーション結果より同定方法の有効性を示してい
る。
(発明が解決しようとする課題) しかし、ロボット・マニピュレータによる柔軟構造物
のハンドリング制御(補償・振動制御)は、主に、 パラメータ同定の必要性 センサ・アクチュエータ選定上の制約 の2点において実現が難しいと考えられ、この実現性に
関する具体的な研究成果が見あたらない。
そこで、本発明は、前報7)の成果を拡張し、物理パ
ラメータの同定結果から柔軟構造物のたわみをアクティ
ブに補償することができる柔軟構造物のフレキシビリテ
ィ制御装置を提供することを目的とする。
〔発明の構成〕
(課題を解決するための手段) 前述のごとき問題に鑑みて、本発明は、ロボットアー
ム先端部に上下方向へ回動自在に備えたワーク把持部に
把持されたワークの先端部を所望の高さ位置へ位置決め
するための柔軟構造物のフレキシビリティ制御装置にお
いて、前記ワーク把持部の把持点から所定距離において
前記ワークの変位を検出する変位センサを前記ワーク把
持部に設け、前記ワーク把持部を静止状態から所定角へ
の回動位置決めを行って弾性振動をワークに励起したと
きの前記変位センサの検出信号を入力して前記ワークの
1次固有振動数を算出する固有振動数算出手段と、上記
固有振動数算出手段で算出された前記ワークの1次固有
振動数と、前記ワーク把持部に把持されているワークの
基点から把持点までの距離と、前記把持点からワークの
先端までの距離と、重力加速度とに基いて前記ワークの
先端部の撓みを求め、この求めた先端部の撓みを補正す
るために前記ワーク把持部を上下方向へ回転させる補償
角を演算する補償角算出手段と、上記補償角算出手段に
よって算出された補償角だけ前記ワーク把持部を上下に
回転させて前記ワークの先端部を所定の高さに位置決め
制御すると共に前記弾性振動を励起するために前記ワー
ク把持部を前記所定角へ回動位置決めするためのロボッ
ト制御装置と、を備えてなるものである。
(実施例) 以下、本発明の実施例を説明する。
まず、本発明の適用されるロボットの一例を示す第1
図において、ロボット1は5軸(S,L,U,B,T)の例で示
され、エンド・エフェクタ部としてのワークWを把持す
るワーク把持部1には、ワークWの一平面位置までの距
離を非接触で検出する非接触変位センサ2が設けられて
いる。S軸は主軸3を水平面内で回転させる主回転軸、
L軸は第1アーム4を唾直面内で回転させる回転軸、U
軸は第1アーム4に対し、第2アームを垂直面内で回転
させる回転軸、B軸は第2アーム5に対し第3アーム6
を垂直面内で回転させる回転軸、T軸は第3アーム6に
対し把持部1を旋回させる旋回軸である。したがって、
把持部1は、B軸の回転により、ワークWを把持した状
態で上下に揺動自在である。
第2図に示すように、前記センサ2の検出信号はアナ
ログ/ディジタル(A/D)変換器7を介して演算装置(C
PU)8へ入力されるようになっている。このCPU8は通常
のNC装置のCPUで良く、またNC装置とは別体の計算装置
であってもよい。
前記CPU8は、センサ2からの信号をディジタル信号で
入力し、前記ワークWの固有振動数を演算するものであ
る。CPU8で演算されたワークWの固有振動数はロボット
9の制御装置10へ出力されるようになっており、これに
て各軸、特にB軸が所定の補償角により回転されて、ワ
ークWのたわみを補正し、ワーク先端を少し上へ持ち上
げた状態で、折曲げ加工のワーク供給サービスなど所定
の作業が為される。なお、第1図のワークWのたわみは
極端に図示されている。
第3図は上記ワークWの形状例を示す説明図である。
図示の通り、ワークWの幅をh、厚みをd、材料密度を
ρ、断面積をA、縦弾性係数をEとする。
第4図は、把持部1のワークWの把持状態を示す説明
図である。ワークWの基点をO、長さをL、基点Oから
把持点までの距離をRh、把持点から変位検出点までの距
離をxsとする。ワーク供給方向をX、これと水平面内で
直交する高さ方向をYとする。第5図は、ワークWの唾
れ下り状態を示す説明図である。
さて、上記の如きロボット9において、まず、本発明
の原理について説明する。
第1図において、ワークWが弾性体であるために先端
が大きくたわみ、そのままでは所望の位置決め精度は得
られないことがわかる。フレキシブルなワークの先端位
置を、重力の影響によるワークの変形を考慮にいれて制
御することを補償制御と呼ぶ。
補償制御のための物理パラメータの同定用モデルとし
ては前報7)と同様、拘束モード法によるモデルを用い
る。
前報7)によると、ロボットによる柔軟構造物のハン
ドリング制御には、柔軟構造物の弾性変位を間接的にセ
ンシングすることが必要である。間接的な変位センシン
グ手法としては、大きく分けて 非接触変位センサを用いる方法 TVカメラを用いる方法 の2通りが考えられる。しかし、ワークの先端変位の計
測が主目的であれば、の方法により直接先端の変位を
計測するのが近道と考えられるが、の方法では計測シ
ステムが大きくなるという欠点を持つ。そこで、本例で
はの方法による簡単な計測システムによる補償制御シ
ステムの実現を目指し、柔軟構造物を保持するロボット
のエンド・エフェクタ先端部である把持部に非接触タイ
プの変位センサ2を設定し、間接的な振動センシングを
可能とする。
第5図のモデルにおいて、柔軟構造物の固定端をx=
0とし、柔軟構造物の弾性変位w(x,t)を図のように
定義する。ここでは柔軟構造物の弾性変位としてX−Y
平面内の曲げ変形によるものだけを考え、 柔軟構造物の弾性変位w(x,t)は微小である。
柔軟構造物の断面形状、断面積A、密度ρ、縦弾性係
数Eはx軸にわたって一定である。
曲げ振動において回転慣性とせん断変形の影響を無視
する。
を仮定すると、系の運動は次の偏微分方程式で記述され
る。
ただし、EIは曲げ剛性、Jrは原点Oまわりのエンド・
エフェクタと柔軟構造物の慣性モーメント、gは重力加
速度を表す。
拘束モード法では、文献7)に示されるように、 (t)≡0 …(3) を展開式として、境界条件及び直交条件を用いて、
(1),(2)式の偏微分方程式から次の集中化系を得
る。
ここで、x=xsでの弾性変形によるたわみをwsと置
き、wsを1次モード成分w1と2次モード以上の残留モー
ド成分wRとに分解する。即ち、wsを と分解し、1次モード成分w1を用いて(5),(6)式
を変形すると次のような運動方程式を得る。
Jr(t)+P0(xs,t)1(t) +Res(xs,t) =u(t)−ρAgL2/2・cosθ(t) …(8) Resは2次モード以上の振動成分からなり となる。
ところが、(8),(9)式を基にして補償角を推定
する場合、(8),(9)式の係数パラメータには積分
が含まれているため物理パラメータの推定演算が複雑に
なる。そこで、ここでは(8),(9)式を静たわみ曲
(x)を用いて簡略化する。
ただし ψ0=ρAL4/(8EI) …(14) F(x)=2*(x/L) −4/3*(x/L) +1/3*(x/L) …(15) とする。直行条件を満足するようにcを定めると、
(8),(9)式は次のように変形できる。
Jr(t)+P0a1(t) +Res(xs,t) =u(t)−ρAgL2/2・cosθ(t) …(16) 1(t)+Ω1a2w1(t) +P1a(t) =−81/52Fsgcosθ(t) …(17) ただし P0a=13/45・ρAL2/Fs …(18) P1a=9/8・L・Fs …(19) Fs=F(xs) =2*(xs/L) −4/3*(xs/L) +1/3*(xs/L) …(20) Ω1a2=12.36EI/(L4ρA) …(21) 次に、柔軟構造物の物理パラメータは、 形状パラメータ(L,h,d,Jr)と、 材質パラメータ(密度ρ、縦弾性係数E)とに大きく
分類できる。
ここでは、柔軟構造物の物理パラメータが全て未知で
ある場合を想定し、柔軟構造物の補償角の推定方法とし
て次記文献8)に示されたところの拡張カルマンフィル
タを用いた方法を提案する。
文献8) 片山、応用カルマンフィルタ、朝倉書店、
(1983)。
これにより、ワークWの位置情報のみから補償角を推
定することが可能となる。
まず、ワークWの先端での静たわみw(L)は、前述
の仮定、より w(L)=−ρAgL4/(8EI)*cosθ …(22) となる。これにより、第5図においてワークWの先端位
置yが0となるときのエンド・エフェクタの回転角θを
補償角θと呼べば、θは θsin-1{1/(Rh+L)*ρAgL4/(8EI)} …(2
3) となる。
今、ワークWの1次固有振動数Ω1は(21)式で表さ
れるΩ1aで近似できることから、Ω1aを用いて(23)式
を書き換えると、結局、 θ=sin-1{1/(Rh+L)*12.36g/(8Ω1a2)}
…(24) となる。Rhは既知であるため、L及びΩ1aを同定するこ
とにより補償角θを推定することが可能となる。
補償角θを推定するために、本例では静たわみ曲線
を用いて簡略化された運動方程式(16),(17)式をも
とにL及びΩ1aを同定する事を考える。
(16),(17)式より、柔軟構造物の運動方程式はま
とめて次のように書ける。
ただし、 G0=−ρAgL2/2 G1=−81/52Fsg (25)式の慣性項を非干渉化し、変形すると、 +a02w1=b0u+c0cosθ+d0Res …(26) 1+a12w1=b1u+c1cosθ+d1Res …(27) ただし、 a02=P0aΩ1a/β a12=JrΩ1a/β b0=1/β b1=−P1a/β c0=−(G0−P0aG1)/β c1=(P1aG0−JrG1a)/β …(28) d0=−1/β d1=P1a/β β=Jr−P0aP1a となる。多少演算時間はかかるが、(26),(27)式を
モデルとし、前報7)で述べた様に拡張カルマンフィル
タを用いて係数パラメータa0,a1,b0,b1,c0,c1を同定
し、L及びΩ1aを推定することが考えられる。
しかし、ここで改めて(27)式を見ると、(27)式は
固有振動数a1の振動系であり、外力としてエンド・エフ
ェクタからの入力による項(b1u)と重力gと傾き角θ
による項(c1cosθ)と2次以上の残留モードによる項
(d1Res)が存在した形になっている事がわかる。一般
にエンド・エフェクタのO点まわりの慣性モーメント
(Jh)は、ワークWのそれ(Jp)に比べ大きい事や、エ
ンドエフェクタには位置サーボがかかる(=0)こと
を考慮に入れると、エンド・エフェクタからの入力によ
りワークWの弾性振動を故意に励起したときの自由振動
は片持ちばりの自由振動で近似できると考えられる。そ
こで、(17),(27)式を比較し、 a1≒Ω1a …(29) c1≒G1=−81/52Fsg …(30) と近似できると仮定すれば、(27)式を拡張カルマンフ
ィルタのモデルとして係数パラメータa1,1cを同定し、
(29),(30)式にもとづいてFs即ちLとΩ1aを推定す
ることが可能となる。故に、(24)式から補償角θ
推定することが可能である事がわかる。本例では演算時
間をなるべく短縮し補償制御の可能性を検討するという
意味合いから、上記仮定のもとで(27)式を拡張カルマ
ンフィルタのモデルとして補償角θを推定する。
状態ベクトル 及び観測値yをそれぞれ と置くと、状態方程式及び観測方程式は次のようにな
る。
ただし、 f=[u cosθ] (33),(34)式を離散化し、未知パラメータ を含む以下の線形システムを考える。
ここで、W(i),v(i)は平均値0,共分散行列 なる互いに独立なガウス白色雑音と仮定する。また、初
期値 (0)は平均値0],共分散行列Σ0のガウス確率ベク
トルで、 (0)はW(i)v(i)とは独立であると仮定する。
このモデルを対象にして拡張カルマンフィルタを用いれ
ば、柔軟構造物の弾性振動を励起する事により補償角を
推定することが可能である。
第5図に示すモデルを対象にワークWの補償角の推定
シミュレーションを行う。シミュレーションに用いるシ
ステムモデルは厳密性を重視し、非拘束モード法による
ものとし、3次の弾性モードまで考慮する。また、系に
働く粘性抵抗は各モード独立に扱えると仮定して考慮す
る。一方、同定用のモデルは(27)式で示した拘束モー
ド法をベースにしたモデルとし、(29),(30)式から
L及びΩ1aを推定し、(24)式から補償角を推定するも
のとする。
ワークWの物理パラメータは全て未知でも、理論的に
は補償角の推定は可能である。しかし、一般の金属加工
を考えると材質パラメータは既知である場合が多いた
め、ここでは形状パラメータが未知な場合を取り上げ
る。即ち、ワークWの長さLがL=300,400,500,600[m
m]、厚みdがd=0.42,0.80[mm]、幅hがh=50[m
m]の組合せより8通りのサンプルを考え、ワークWの
長さと断面積が未知であるとする。材質パラメータは全
て既知とし、モデルのパラメータを以下のように定め
る。
ρ=7870[kg/m3] E=2.06x1011[N/m2] Jh=1 [kg・m2] Rh=269 [mm] シミュレーションではサンプルを0゜の静止状態から
10゜へ位置決め制御を行い弾性振動を励起し、a1,c1を
同定し、3章に示した手順により、ワークWの補償角の
推定を行う。ただし、制御入力は各サンプルで統一し、
柔軟構造物の弾性振動を励起するのに十分な大きさとし
た。また拡張カルマルフィルタにおいて共分散行列Q,R
は一律に Q=0 R={w(0)/10} …(38) ただし w(0)は初期たわみ量 とした。Q=0は(27)式においてResの影響が無視で
きる程小さいと考えたためであり、Rはここでの入力に
より励起される振動のwR成分を一種の雑音としてとら
え、サンプルごとに異なる初期たわみ量を用いて仮想的
に上記のように仮定した。これは、一般に柔軟なはり程
初期たわみ量が大きく、柔らかさが異なる複数のはりを
同一入力で振動させるとき励起される残留モード成分の
分散は、柔軟なはり程大きいと考えられるためである。
第6図(a)(b)、第7図(a)(b)にa1,c1の
固定結果を示す。ただし、第6図では、厚み0.80mm、長
さ600mmとし、第7図では、厚み0.42mm、長さ600mmとし
ている。図よりa1,c1の同定値がそれぞれΩ1a,G1にほぼ
一致することがわかる。これにより、(29),(30)式
の近似は理論上問題ないことがわかる。
また、8種のサンプルに対し補償角の推定を行い、補
償制御を行った結果を表1,2に示す。表1,2より、補償誤
差yは0mm〜−10mmの範囲に収まっていることがわか
る。
以上の如くして推定した補償角を用いて補償制御を行
うとき、振動制御を併用して弾性振動をアクティブに制
御することが望ましいと言える。第8図〜第10図は振動
制御を併用した場合の補償制御結果を示す。このときの
ワークWのサンプルは、長さLがL=600[mm]、厚さ
dがd=0.80[mm]、幅hがh=50[mm]である。入力
に付け加えた振動制御項はそれぞれ である。第8図は1次モードを減衰しようとして、逆に
2次モードにポジティブ・ダンピングがかかり不安定と
なる例である。第9図は拡張カルマンフィルタによる推
定値 をフィードバックすることにより2次モードの不安定化
を防いだ例である(HAC:High Authority Control)。こ
れにより拡張カルマンフィルタが高周波カットフィルタ
としての役割を持つことがわかる。
第10図はwsを用いて2次モードを安定化し(一種のLA
C:Low Authority Control), を用いて1次モードを十分に安定化した例である(一種
のLAC+HAC)。第10図を見ると、次記文献9)に示され
るような階層的なフィードバック制御を行うことによ
り、弾性振動を抑えて補償制御が可能となる事がわか
る。
9)Aubrun,J.,N.,Theory of the Control of Structur
es by Low Authority Controllers,J of Guidance and
Control,3−5(1980),444/451 非接触変位センサとしては、測定レンジ0mm〜10mm渦
電流センサを用いることができる。ここでは補償制御が
目的であるため、第1図のB軸のみを動かして柔軟構造
物の補償制御実験を行う。柔軟構造物のサンプルは4章
と同様に8サンプル用意し、ロボットにより0゜の静止
状態から10゜への位置決め制御を行い弾性振動を励起
し、補償角を推定するものとする。ただし、制御入力は
柔軟構造物の弾性振動を十分励起できるよう各サンプル
で統一し、また拡張カルマンフィルタにおいて共分散行
列Q,Rはシミュレーションと同様に(38)式とした。
第11図、第12図にa1,c1を同定した実験結果を示す。
ただし、第11図では、厚さ0.80mm、長さ600mm、第12図
では、厚さ0.42mm、長さ600mmのワークWを用いる。図
よりa1,c1の同定値がそれぞれΩ1a,G1にほぼ一致するこ
とがわかる。ただし、第12図でc1とG1との差が目立つの
は、このときの曲げ変形が微小たわみの域を越えてお
り、実際のたわみ量が理論上のたわみ量より少なくなっ
ているためと考えられる。
また、8種のサンプルに対し補償角の推定実験を行
い、補償制御実験を行った結果を表3,4に示す。
表3より、厚さが0.80mmのサンプルではLをかえても
補償誤差yは0mm〜−5mmの範囲に収まっているが、厚さ
が0.42mmのサンプルでは長さが500mm、600mmのサンプル
で補償誤差が大きくなっていることがわかる。表1〜4
までの結果を柔軟構造物としてのワークWの厚さごとに
わけて、長さと補償誤差との関係を図示すると第13図、
第14図の様になる。またθ=0゜として静たわみ量を理
論と実験とで比較すると第15図、第16図の様になる。第
14図、第16図より、実験において補償誤差が大きかった
サンプルは、大変形のために静たわみ量が理論と実際で
大きく異なっており、(22)式の誤差が大きくなり結果
的に補償誤差が大きくなったと考えられる。以上より、
微小たわみの範囲では(29),(39)式の近似は実用上
問題なく、本発明の補償角の推定方法が有効であると結
論できる。
本発明では、ワークWの物理パラメータが全て未知で
ある場合に、簡単な計測システムにより物理パラメータ
を同定し、その同定結果から柔軟構造物のわたみをアク
ティブに補償するための補償角を推定するシステムを提
案した。また、シミュレーション及び実験を通して本発
明で提案する補償制御システムの有効性とその限界を示
した。
同定に用いるモデルとしては簡略化したモデルで十分
実用可能であり、物理パラメータが未知であっても微小
たわみの範囲内で補償制御が可能となる。
簡略化モデルの使用により演算時間の短縮化が期待で
きる。
〔発明の効果〕
以上のごとき実施例の説明より理解されるように、要
するに本発明は、ロボットアーム先端部に上下方向へ回
動自在に備えたワーク把持部(1)に把持されたワーク
(W)の先端部を所望の高さ位置へ位置決めするための
柔軟構造物のフレキシビリティ制御装置において、前記
ワーク把持部(1)の把持点から所定距離(XS)におい
て前記ワーク(W)の変位を検出する変位センサ(2)
を前記ワーク把持部(1)に設け、前記ワーク把持部
(1)を静止状態から所定角への回動位置決めを行って
弾性振動をワーク(W)に励起したときの前記変位セン
サ(2)の検出信号を入力して前記ワーク(W)の1次
固有振動数を算出する固有振動数算出手段と、上記固有
振動数算出手段で算出された前記ワーク(W)の1次固
有振動数と、前記ワーク把持部(1)に把持されている
ワーク(W)の基点(O)から把持点までの距離(Rh)
と、前記把持点からワーク(W)の先端までの距離
(L)と、重力加速度(g)とに基いて前記ワーク
(W)の先端部の撓みを求め、この求めた先端部の撓み
を補正するために前記ワーク把持部(1)を上下方向へ
回転させる補償角を演算する補償角算出手段と、上記補
償角算出手段によって算出された補償角だけ前記ワーク
把持部(1)を上下に回転させて前記ワーク(W)の先
端部を所定の高さに位置決め制御すると共に前記弾性振
動を励起するために前記ワーク把持部(1)を前記所定
角へ回動位置決めするためのロボット制御装置と、を備
えた構成である。
上記構成より明らかなように、本発明は、ロボットア
ームの先端部に備えたワーク把持部1に把持されたワー
クWの先端部を所望の高さ位置に位置決めするためのフ
レキシビリティ制御装置であって、ロボット制御装置は
前記ワーク把持部1を所定角へ回動位置決めしてワーク
Wに弾性振動を励起せしめる機能を有するものである。
そして、ワークWに弾性振動が励起されると、ワーク
把持部1に備えた変位センサ2によって振動が検出さ
れ、この変位センサ2の検出信号に基いてワークWの1
次固有振動数が固有振動数算出手段によって算出され、
この1次固有振動数と、ワーク把持部1に把持されてい
るワークWの基点Oから把持点までの距離Rhと、把持点
からワークWの先端までの距離Lと、重力加速度gとに
基いてワークWの先端部の撓みが求められ、かつ先端部
の撓みを補正するためにワーク把持部1を上下方向へ回
転させる補償角が補償角算出手段によって演算されるも
のである。
そして、ロボット制御装置によってワーク把持部1が
算出された補償角だけ上下方向に回転され、ワークWの
先端部が所定の高さ位置に位置決め制御されるものであ
る。
したがって、本発明によれば、ロボットアームの先端
部に備えたワーク把持部に把持されたワークWに振動が
生じる場合であってもワークの先端部を所定位置へ正確
に位置決めすることができるものである。この際、予め
前記ワーク把持部を所定角回転せしめてワークWに弾性
振動を励起せしめて1次固有振動数を求めるものである
から、例えば種々の寸法のワークが混在しているような
場合であってもワークWの1次固有振動数を予め求める
ことが容易であり、例えば折曲げ加工機のパンチ,ダイ
の間へ種々の寸法のワークを位置決めして折曲げ加工を
連続的に行うようなとき、能率の良い加工を行い得るも
のである。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明を実施した5軸ロボットの一例を示す説
明図、第2図は上記ロボットの制御系の説明図、第3図
はワーク形状の説明図、第4図は把持部の詳細を示す説
明図、第5図はモデルを示す説明図、第6図及び第7図
は係数パラメータの同定結果を示す説明図、第8図及び
第9図並びに第10図は振動制御併用による補償制御例の
説明図、第11図及び第12図は実験による係数パラメータ
の同定結果の説明図、第13図及び第14図は補償制御結果
の比較を示す説明図、第15図及び第16図は静たわみ量の
変化を示す説明図である。 1……把持部 2……非接触変位センサ 9……ロボット B……エンド・エフェクタ部の回転軸 W……柔軟構造物(ワーク)
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−173117(JP,A) 特開 昭62−181889(JP,A) CHRISTIAN A D SEE RING W P,Design co nsideration for an earth based flexi ble robotic syste m,Ploc IEEE Int Co nf Rob Autom,(アメリカ 合衆国),1989,Vol.3,pag e.1396−1401 新井史人(外2名),柔軟材ハンドリ ングロボットの研究,第8回日本ロボッ ト学会学会学術講演会余稿集,1990年11 月1日,No.3,p945−946 新井史人(外2名),柔軟材ハンドリ ングロボットの研究,第29回計測自動制 御学会学会学術講演会余稿集,1990年7 月24日,Vol.1,p271−272 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B25J 13/00 B25J 9/10 JICSTファイル(JOIS)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ロボットアーム先端部に上下方向へ回動自
    在に備えたワーク把持部(1)に把持されたワーク
    (W)の先端部を所望の高さ位置へ位置決めするための
    柔軟構造物のフレキシビリティ制御装置において、 前記ワーク把持部(1)の把持点から所定距離(ΧS)
    において前記ワーク(W)の変位を検出する変位センサ
    (2)を前記ワーク把持部(1)に設け、 前記ワーク把持部(1)を静止状態から所定角への回動
    位置決めを行って弾性振動をワーク(W)に励起したと
    きの前記変位センサ(2)の検出信号を入力して前記ワ
    ーク(W)の1次固有振動数を算出する固有振動数算出
    手段と、 上記固有振動数算出手段で算出された前記ワーク(W)
    の1次固有振動数と、前記ワーク把持部(1)に把持さ
    れているワーク(W)の基点(O)から把持点までの距
    離(Rh)と、前記把持点からワーク(W)の先端までの
    距離(L)と、重力加速度(g)とに基いて前記ワーク
    (W)の先端部の撓みを求め、この求めた先端部の撓み
    を補正するために前記ワーク把持部(1)を上下方向へ
    回転させる補償角を演算する補償角算出手段と、 上記補償角算出手段によって算出された補償角だけ前記
    ワーク把持部(1)を上下に回転させて前記ワーク
    (W)の先端部を所定の高さに位置決め制御すると共に
    前記弾性振動を励起するために前記ワーク把持部(1)
    を前記所定角へ回動位置決めするためのロボット制御装
    置と、 を備えたことを特徴とする柔軟構造物のフレキシビリテ
    ィ制御装置。
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新井史人(外2名),柔軟材ハンドリングロボットの研究,第29回計測自動制御学会学会学術講演会余稿集,1990年7月24日,Vol.1,p271−272
新井史人(外2名),柔軟材ハンドリングロボットの研究,第8回日本ロボット学会学会学術講演会余稿集,1990年11月1日,No.3,p945−946

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