JP2910259B2 - 交流回路の短絡装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、主に三相誘導電動機
の始動に用いられる交流回路の短絡装置に関し、詳しく
は三相交流回路のスターポイントを電磁接触器によりデ
ルタ短絡方式で短絡する装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】かご形誘導電動機や巻線形誘導電動機な
どの三相誘導電動機の運転制御に用いられる電磁接触器
には交流回路のスターポイントを短絡するものがある
が、その場合の短絡方式にはスター短絡方式とデルタ短
絡方式とがある。以下、これについてスターデルタ始動
器を例にとって説明する。

【０００３】三相かご形誘導電動機の起動を円滑にする
ためにスターデルタ方式の始動器が広く採用されている
が、図４はその接続図を示すものである。図４におい
て、電源Ｒ，Ｓ，Ｔから配線用遮断器ＣＢを介して供給
される三相交流は電源用電磁接触器ＭＣの閉路によりか
ご形電動機Ｍに加えられるが、起動時にはスター用電磁
接触器Ｓを閉路し、デルタ用電磁接触器Ｄを開路して電
動機の固定子巻線をスター接続状態とし、始動電圧を抑
制して起動を円滑にする。その後、電動機Ｍが所定の速
度まで加速されたら、電磁接触器Ｓを開路した後に電磁
接触器Ｄを閉路し、巻線をデルタ接続状態に切り換えて
供給電圧をそのまま巻線に加える。

【０００４】このような始動器において、図のスターポ
イントＳＰを電磁接触器Ｓで短絡する方式として、
（Ａ）のスター短絡方式と（Ｂ）のデルタ短絡方式とが
ある。電磁接触器Ｓの接点を流れる電流は、スター短絡
方式のＩ_S に対してデルタ短絡方式ではＩ_S ／√３とな
るので、デルタ短絡方式の方がスター短絡方式よりも小
形の電磁接触器Ｓを使用できるという利点がある。

【０００５】図５は上記電磁接触器Ｓの端子間の接続を
示す配線図で、（Ａ）はスター短絡方式の場合、また
（Ｂ）はデルタ短絡方式の場合である。図中の数字は端
子番号を示す。図に示すように、（Ａ）のスター短絡方
式においては隣接する端子番号２−４間、及び４−６間
をそれぞれ電線Ａ１及びＡ２で接続すればよい。これに
対して、（Ｂ）のデルタ短絡方式においては接点ｓを跨
いで端子番号２−３間、４−５間及び６−１間をそれぞ
れ渡り電線Ｂ１、Ｂ２及びＢ３で接続する必要がある。
すなわち、デルタ短絡方式はスター短絡方式に比べて配
線が複雑となる。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】上に述べたように、ス
ターポイントを電磁接触器を用いて短絡しようとする場
合、デルタ短絡方式を採用すれば、スター短絡方式に比
べて電磁接触器の電流容量が１／√３になるが、電磁接
触器の端子間の配線が複雑になるという問題が生じる。
この発明は、このような問題を解決しようとするもの
で、スターポイントの短絡にデルタ短絡方式を採用しな
がら、配線を簡単にした交流回路の短絡装置を提供する
ことを目的とするものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】この発明は、三相の主回
路が互いに平行に配置され、各相の前記主回路はそれぞ
れ接点を挟んでその両側に端子を有する電磁接触器を用
い、三相交流回路のスターポイントをデルタ短絡方式で
短絡する交流回路の短絡装置において、前記電磁接触器
の主回路の３つの相間の内のいずれか２つについて、前
記接点の互いに反対側で同側の前記端子間を配線でそれ
ぞれ接続するとともに、残りの１つの相間については、
前記接点を跨いで互いに異なる側の端子間を渡り配線で
接続し、前記接点の一方の側において、相間が前記配線
で接続されていない２つの前記主回路の前記端子をいず
れか２つの前記スターポイントに接続し、前記接点の他
方の側において、相間が前記配線で接続された２つの前
記主回路のいずれか一方の前記端子を残りの前記スター
ポイントに接続するようにすることにより配線を簡単に
するものである。上記短絡装置は、かご形誘導電動機の
スターデルタ始動器やコンドルファ始動器、更に巻線形
誘導電動機の二次抵抗始動器に適用することができる。

【０００８】

【作用】３つの相間の内の２つについては隣接する端子
同士で配線すればよいので配線が簡単になる。

【０００９】

【実施例】図１はスターデルタ始動器におけるこの発明
の実施例を示すもので、（Ａ）は要部の接続図、（Ｂ）
はその電磁接触器部分の配線図である。図１（Ｂ）にお
いて、電磁接触器Ｓの主回路Ｒ，Ｓ，Ｔにおける３つの
相間Ｒ−Ｓ，Ｓ−Ｔ，Ｔ−Ｒの内、Ｒ−Ｓ間については
端子番号２−４間が配線Ａ１で接続され、Ｓ−Ｔ間につ
いては配線Ａ１に対して接点ｓの反対側で端子番号３−
５間が配線Ａ２により接続され、残りのＴ−Ｒ間につい
ては接点ｓを跨いで端子番号６−１間が渡り配線Ｂによ
り接続されている。そして、端子番号１，２及び３がそ
れぞれ電動機Ｍの固定子巻線端子Ｘ，Ｙ及びＺに接続さ
れている。

【００１０】このような接続によっても、図１（Ａ）に
示すように、スターポイントＳＰにおける各相間に接点
ｓが挿入されたデルタ短絡方式の短絡が実現されてい
る。そして、このような接続によれば電磁接触器Ｓの各
端子間を接続する３本の配線Ａ１，Ａ２，Ｂの内、２本
の配線Ａ１，Ａ２は隣接する端子間に接続され、、接点
ｓを跨ぐ渡り配線Ｂは１本のみとなるので図５（Ｂ）の
従来例に比べて配線が簡単となる。

【００１１】図２及び図３はこの発明の短絡装置を三相
誘導電動機の他の始動器に適用した実施例を示すもので
ある。図２はコンドルファ始動器の例で、かご形誘導電
動機Ｍを始動する単巻変圧器Ｔを電磁接触器Ｓを用いて
短絡するようにしたものである。また、図３は２次抵抗
短絡始動器の例で、巻線形誘導電動機の２次側に挿入し
た始動抵抗Ｒ１，Ｒ２を電磁接触器Ｓ１，Ｓ２を用いて
順次短絡するようにしたものである。

【００１２】

【発明の効果】この発明によれば、デルタ短絡方式でも
渡り配線が１本で済むので、電磁接触器の電流容量が小
さくなるという利点を活かしながら簡単な配線でデルタ
短絡方式の短絡装置を構成することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】（Ａ）はこの発明の実施例を示す要部接続図、
（Ｂ）はその電磁接触器部分の配線図である。

【図２】この発明の別の実施例を示す接続図である。

【図３】この発明の更に別の実施例を示す接続図であ
る。

【図４】（Ａ）はスター短絡方式を説明する接続図、
（Ｂ）はデルタ短絡方式説明する要部接続図である。

【図５】（Ａ）はスター短絡方式の短絡装置の配線図、
（Ｂ）は従来のデルタ短絡方式の短絡装置の配線図であ
る。

【符号の説明】

Ｍ 三相誘導電動機 Ｓ 電磁接触器 ＳＰ スターポイント

Claims (4)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】三相の主回路が互いに平行に配置され、各
   相の前記主回路はそれぞれ接点を挟んでその両側に端子
   を有する電磁接触器を用い、三相交流回路のスターポイ
   ントをデルタ短絡方式で短絡する交流回路の短絡装置に
   おいて、前記 電磁接触器の主回路の３つの相間の内のいずれか２
   つについて、前記接点の互いに反対側で同側の前記端子
   間を配線でそれぞれ接続するとともに、残りの１つの相
   間については、前記接点を跨いで互いに異なる側の端子
   間を渡り配線で接続し、前記接点の一方の側において、
   相間が前記配線で接続されていない２つの前記主回路の
   前記端子をいずれか２つの前記スターポイントに接続
   し、前記接点の他方の側において、相間が前記配線で接
   続された２つの前記主回路のいずれか一方の前記端子を
   残りの前記スターポイントに接続するようにしたことを
   特徴とする交流回路の短絡装置。
2. 【請求項２】請求項１記載の装置を用いたことを特徴と
   する三相誘導電動機のスターデルタ始動器。
3. 【請求項３】請求項１記載の装置を用いたことを特徴と
   する三相誘導電動機のコンドルファ始動器。
4. 【請求項４】請求項１記載の装置を用いたことを特徴と
   する三相誘導電動機の二次抵抗始動器。