JP2618314B2 - クロメート無処理メッキ鋼板を得る方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明はメッキ鋼板のクロメート
無処理材を得る方法に関するものであって、メッキ鋼板
の化成処理性を向上させることを目的とする。

【０００２】

【従来の技術】従来からメッキ鋼板のコイルを竪型クロ
メート処理設備に通板し、クロメート処理鋼板或はクロ
メート無処理鋼板を一つのコイルから製造することが行
われている。そのためクロメート処理する場合は竪型ク
ロメート処理設備にクロメートを供給しこれに通板し、
又クロメート処理しない場合クロメート処理設備のクロ
メート液を止めロールに水洗浄しながらメッキ鋼板を通
板することが行われている。

【０００３】図１を参考に説明するに、９は竪型クロメ
ート処理槽であって、メッキ鋼板８は方向変換ロール６
に導かれメッキ鋼板８の反りを矯正するロール３により
垂直上方向に導かれ、クロメート処理の場合はスプレー
２からクロメート液がメッキ鋼板８にスプレーされクロ
メート処理される。

【０００４】メッキ鋼板８をクロメート処理しない場
合、クロメート処理液スプレー２を止め、洗浄水スプレ
ー１によってロール３及びロール６の水洗浄が行われて
いるが、クロメート槽底部４からの液のはね上げ液５に
よるメッキ鋼板に汚れが発生し、化成処理方法によって
は化成処理不良が発生する問題があった。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】本発明はクロメート処
理槽を通過するメッキ鋼板におけるロール３、ロール６
の洗滌によって発生するメッキ鋼板のクロメート残滓液
による汚染を防止することを目的とするものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は、メッキ鋼板を
竪型クロメート処理設備に通板し、クロメート処理及び
クロメート無処理鋼板を製造するに当たり、通板中にク
ロメート無処理材を得る場合、竪型クロメート処理設備
のクロメート処理槽の入り口、少なくともメッキ鋼板の
処理槽内ロールとの接触以前にスプレーを設置し、水を
メッキ鋼板の両面もしくはメッキ鋼板がロールに接しな
い面にスプレーし、メッキ鋼板を非乾燥状態とすること
を特徴とするクロメート無処理メッキ鋼板を得る方法で
ある。

【０００７】

【作用】以下図面に基づいて本発明の説明をする。図１
は本発明の実施例を示す図である。１はクロメート処理
を行わないときに使用する洗浄用スプレーであり、２は
クロメート処理液のスプレーである。３はメッキ鋼板８
の反りを矯正するロールであり、その表面は、クロメー
ト処理液等の不純物で汚れている。４は洗浄用スプレー
１及びクロメート処理液用スプレー２からスプレーされ
た液による滞留水であり、クロメート処理液等の不純物
を含んでいる。５は洗浄用スプレー１からの液が帯留水
４に流れ落ち、はね上がる液である。６はメッキ鋼板８
の進行方向を変えるロールであり、その表面はクロメー
ト処理液等の不純物で汚れている。７はクロメート処理
を行なわないときに使用するスプレーであり、クロメー
ト処理槽９の入口近傍に配置され、乾燥状態で進入して
くるメッキ鋼板８がはね上がる液５に接触する前及びロ
ール６がメッキ鋼板８に接触する前にメッキ鋼板８の表
面を非乾燥状態にするものであり、メッキ鋼板８が非乾
燥状態ではね上がる液５及びロール６に接触した場合メ
ッキ鋼板８が乾燥状態ではね上がる液５及びロール６に
接触した場合より、メッキ鋼板８に付着する不純物が大
きく低減する。図中１０はクロメート処理設備である。

【０００８】図２は、クロメート無処理材通板時間と、
化成処理性評点の関係を示した図である。本発明では、
板厚０．４〜１．６ｍｍ、板巾６１０〜１２１９ｍｍ、
亜鉛付着量両面６０〜１２０ｇ／ｍ² のＧＩゼロスパン
グル材において、クロメート無処理として通板する。従
来との変更点はメッキ鋼板８がはね上がる液５及びロー
ル６に接触する前にメッキ鋼板８に１５〜６０ｍｉｎ／
ｌの浄水をスプレーし、メッキ鋼板８をはね上がる液５
及びロール６に接触する前に非乾燥状態としたことであ
る。

【０００９】無処理材通板時間とは、クロメート処理材
通板後、連続して無処理材を通板したとき、クロメート
処理が終了した時点からの無処理材通板経過時間のこと
をいう。

【００１０】化成処理性評点とは、ある特定の化成処理
を行った際に発生する局所的な色ムラをその個数、濃淡
を基準として、評点付けを行ったもので、局所的な色ム
ラが大きいほど、またその色あいが黒に近いほど評点が
悪くなる。

【００１１】評点０は、化成処理ムラが全く発生しない
もの、評点１は３００ｍｍ×３００ｍｍ中に薄い化成ム
ラが数個発生したもの、評点２は３００ｍｍ×３００ｍ
ｍ中に濃い化成ムラが数個発生したもの、評点３は３０
０ｍｍ×３００ｍｍ化成ムラが数１０個以上発生したも
の。

【００１２】図２の曲線について説明する。本発明と従
来とを比較すると、本発明では化成処理性評点の向上が
みられる。化成処理評点を悪化させる原因は、特にはね
上がる液５がメッキ鋼板８に付着し、メッキ鋼板８の表
面にクロム酸等の不純物皮膜が形成され、化成処理時に
その部分において性状の異なった化成処理皮膜が形成さ
れるためである。メッキ鋼板８の表面に一度クロム酸等
の不純物の皮膜が形成すると、洗浄しても皮膜は除去す
ることはできないことから化成処理性評点を向上させる
ためにははね上がる液５及びロール６とメッキ鋼板８の
表面へのクロム酸等の不純物皮膜を形成させないことが
必要である。

【００１３】種々の実験を通してみるに、はね上がる液
５及びロール６とメッキ鋼板８との反応、すなわちメッ
キ鋼板８の表面へのクロム酸等の不純物皮膜形成は、メ
ッキ鋼板８が乾燥状態のときより非乾燥状態のほうが起
こりにくいことが判明した。そのため、従来より本発明
の方が化成処理性評点が良好となってくる。また無処理
材通板時間が長くなるにつれ、化成処理性評点の向上が
見られるのは、無処理材通板時間が長くなるにつれ、は
ね上る液５及びロール６の表面の不純物等の濃度が低下
し、メッキ鋼板８との反応が起こりにくくなっているた
めである。

【００１４】

【発明の効果】本発明によって、従来より短時間で化成
処理ムラの発生しないクロメート無処理のメッキ鋼板製
造が可能となった。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明法を実施するための竪型クロメート設備

【図２】無処理材通板時間と化学処理性評点の関係を示
す。

【符号の説明】

１ 洗浄用スプレー ２ クロメート処理液のスプレー ３ メッキ鋼板の反りを矯正するロール ４ 滞留水 ５ はね上る液 ６ メッキ鋼板の進行方向を変えるロール ７ クロメートを行なわない時使用する水スプレー ８ メッキ鋼板 ９ 竪型クロメート処理槽 １０ 竪型クロメート処理設備

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 メッキ鋼板を竪型クロメート処理設備に
   通板し、クロメート処理及びクロメート無処理鋼板を製
   造するに当たり、通板中にクロメート無処理材を得る場
   合、竪型クロメート処理設備のクロメート処理槽の入り
   口、少なくともメッキ鋼板の処理槽内ロールとの接触以
   前にスプレーを設置し、水をメッキ鋼板の両面もしくは
   メッキ鋼板がロールに接しない面にスプレーし、メッキ
   鋼板を非乾燥状態とすることを特徴とするクロメート無
   処理メッキ鋼板を得る方法。