JP2545714B2 - 超音波トランスジューサおよびその製造方法 - Google Patents

超音波トランスジューサおよびその製造方法

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JP2545714B2 JP63095781A JP9578188A JP2545714B2 JP 2545714 B2 JP2545714 B2 JP 2545714B2 JP 63095781 A JP63095781 A JP 63095781A JP 9578188 A JP9578188 A JP 9578188A JP 2545714 B2 JP2545714 B2 JP 2545714B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は超音波トランスジューサに関するものであ
り、例えば産業用ロボットの近接覚の検出や自動車のバ
ックセンサ等に利用することのできる高性能かつ小型軽
量の静電型超音波トランスジューサの構造とその製造方
法に関するものである。
(従来の技術) 従来、産業用ロボットの分野においては対象物体の距
離、大きさ、形状等の認識に可視光を用いるCCD(電荷
結合素子)等から構成された固体撮像センサが多く用い
られてきた。しかし、可視光を用いるセンサでは、対象
物体が透明であるときやセンサと対象物体との間の媒体
が塵等で汚れているとき等に用いることができないとい
う欠点がある。従って、近年、可視光にかわって超音波
を対象物体の認識に利用しようとする技術が登場した。
超音波トランスジューサにおいては、一つあるいは複数
個のデバイスにより超音波の送波および受波を行なうの
で、超音波の発信および受信を行う機械的要素とこれを
助ける発振回路、受信回路等の電気的要素をうまく組み
合わせて構成する必要がある。特に、ある面を振動させ
て空気中に超音波を放射しようとするとき、その面に対
する空気の手ごたえ(音響インピーダンス)は液体や固
体に比べて非常に小さいので、大きな強度をもつ超音波
の放射が困難である。従って、先に述べた機械的要素に
おいて効率よく超音波が放射されるように設計すること
はもちろん、電気的要素においても増幅補償回路により
小信号を補償して受信する等の工夫が必要である。しか
し、現在一般に用いられている超音波トランスジューサ
は、この機械的要素の特性のデバイス間ばらつきがかな
り大きく、必らずしも最適に設計されているとは言えな
かった。さらに、機械的要素と電気的要素とが一体の構
造にされていないため、装置の小型軽量化が困難である
という欠点も有していた。以下、従来例を図をあげて説
明する。
第4図は従来の超音波トランスジューサの構成例の断
面を示す図である。図中47は、円形のアルミ合金の板
で、表面に数〜数十μmの深さを持つ複数個の穴101が
機械加工により形成されている。この穴101の上面に
は、厚さ約12μmのポリエステルの膜48が金属ケース41
とアルミ合金の板47により挟まれて固定されている。ポ
リエステルの膜48の表面は、アルミ合金の板47と接する
面と反対の側の表面に、金等による上部電極49が蒸着さ
れている。図中の43は保護スクリーンで金属ケース41に
固定されており、ポリエステルの膜48が外部より破損さ
れるのを防いでいる。一方、アルミ合金の板47の裏面に
は、金属よりなる板バネ46が取りつけられており、アル
ミ合金の板47を金属ケース41に押しつけている。また、
板バネ46はプラスチックケース42に固定されている。4
4、45は電極端子で、44は板バネ46と一体に構成されて
おり、一方、45は金属ケース41と一体に構成されてい
る。従って、電極端子44の電位は、板バネ46を介してア
ルミ合金の板47と等しく、一方、電極端子45の電位は、
金属ケース41を介して上部電極49と等しいことになる。
第5図は、前記第4図で述べた静電型超音波トランス
ジューサの動作原理を説明するための図で、振動をおこ
す機械的要素51とこれ以外の電気的要素52から構成され
ている。機械的要素51は振動板51aと固定板51bから構成
されており、例えば第4図に示す構造をもつ。一方、電
気的要素52は、超音波の送波の場合にはバイアス電源5
3、抵抗54、発振回路55から構成される。今、発振回路5
5から信号が生じていないときには、振動板51aはバイア
ス電源53によって印加されるバイアス電圧により固定板
51bに引かれ撓んでいる。続いて、発振回路55にバイア
ス電圧よりも振幅の小さい交流電圧を印加した場合に
は、発振回路55の両端の電圧の極性により以下のように
変化する。すなわち、発振回路55の両端に印加された電
圧の極性がバイアス電圧と同じときには、これら電圧の
和に等しい電位差が振動板51aと固定板51bに加わるため
に振動板51aの撓みは大きくなる。一方、発振回路55の
電圧の極性がバイアス電圧と逆の場合には、これらの電
圧の差に等しい電位差が振動板51aと固定板51bに加わる
ために、振動板51aの撓みは小さくなる。従って、発振
回路55により発振回路の両端の電圧を周期的に変化させ
るとき、振動板51aが振動し、超音波が前面に放射され
る。なお、抵抗54は、振動板51aと固定板51bの間で放電
等が生じた場合に、回路に大きな電流が流れないように
回路を保護する機能を持っている。以上超音波の送波の
場合について述べたが、受波の場合には、第5図の55を
増幅補償等を行う受信回路とすれば良い。このとき、外
部から侵入した超音波により、振動板51aが振動して、
振動板51aと固定板51bの間の容量が変化する。従って、
受信回路55に交流電流が流れ、これを増幅補償してやる
ことにより超音波の受波が可能となる。
(発明が解決しようとする課題) 以上、例を用いて従来の静電型超音波トランスジュー
サの説明を行った。この中で、第4図に示す穴101を加
工する際に、従来の機械加工による方法では穴の寸法や
形状のばらつきを避けることができなかった。この穴10
1は、第5図に示す振動板51aと固定板51bの間の間隙に
対応するもので、その寸法や外形がばらつくときには、
振動板51aを駆動する力がばらつき、結局、超音波の送
受波諸特性が一定にならないという欠点があった。
また、ポリエステルの膜48(第4図)の厚さは薄い方
が感度が高い。それは上部電極49と下部電極であるアル
ミ合金の板47の距離が小さくなるからである。しかしポ
リエステルの膜48を薄くしていくと膜中に微小な穴が製
造上発生するため、高いバイアス電圧により、上部電極
49とアルミ合金の板47との間に放電が生じて、デバイス
が破壊するということがしばしば起こった。このため、
ポリエステルの膜48の厚さを薄くできず感度を高くでき
ないという困難があった。
また、雰囲気中の温度が変化するとき、第4図のポリ
エステルの膜48とアルミ合金の板47との間に設けられた
穴101に閉じこめられている空気の体積が変化する。こ
れは、ポリエステルの膜48の張力および、ポリエステル
の膜48とアルミ合金の板47との距離を変化させるため、
トランスジューサの送受波特性に直接影響を与えるもの
である。従って、トランスジューサの温度依存性を減少
させる必要があった。
さらに、先に述べたように、超音波トランスジューサ
において、機械的要素と電気的要素の組み合せが必要不
可避なものであり、従来の構造を用いて、さらに高性能
のデバイスを実現しようとすると、ますますこの電気的
要素の占める領域が大きくなり、装置が大型なものにな
るという傾向があった。実際、アレイ化されたトランス
ジューサの電極を結ぶ配線は、これだけでかなりの大き
さとなることが知られている。このように、従来の技術
では、さらに高性能のデバイスを作製しても、デバイス
の小型軽量化をはかることができないという欠点があっ
た。
本発明の目的は、上記従来技術の欠点を除去すること
であって、超音波トランスジューサの送受波特性の温度
依存性を減少させ、特性が均一でしかも、高感度、小型
軽量な超音波トランスジューサとその製造方法を提供す
ることにある。
(課題を解決するための手段) 本発明によれば、一方の面に第一の電極を有する薄膜
と表面に穴を有する半導体基板の表面上に設けた第二の
電極とを備え、当該第一の電極と当該第二の電極との間
に絶縁膜が第二の電極に固着するように設けた超音波ト
ランスジューサであって、前記穴が前記半導体基板の裏
面に通じる貫通穴であってしかもこの穴が外界と通じて
いることを特徴とする超音波トランスジューサが得られ
る。
さらに本発明によれば、一方の面に第一の電極を有す
る薄膜と、表面に穴を有する半導体基板の表面上に設け
た第二の電極とを備え、当該第一の電極と当該第二の電
極との間に絶縁膜を第二の電極に固着するように設けた
超音波トランスジューサの製造方法であって、前記の穴
を異方性エッチング技術を用いて形成するとき同時に前
記基板の裏面からも穴を形成して前記穴と通じさせ貫通
穴とする工程及びこの基板を穴のあいた台座に実装する
工程を含むことを特徴とする超音波トランスジューサの
製造方法が得られる。
さらに本発明によれば、一方の面に第一の電極を有す
る薄膜と表面に穴を有する半導体基板の表面上に設けた
第二の電極とを備え、当該第一の電極と当該第二の電極
との間に絶縁膜が第二の電極に固着するように設けた超
音波トランスジューサであって、前記穴が前記半導体基
板の裏面に通じる貫通穴であってしかもこの穴が外界と
通じるようにした前記超音波トランスジューサを複数個
アレイ状に配置し、個々の超音波トランスジューサの前
記第一及び第二の電極側の少なくとも一方の電極が個々
の超音波トランスジューサ間で互いに分離されているこ
とを特徴とする超音波トランスジューサが得られる。
(作用) 本発明の超音波トランスジューサは、シリコン等のIC
プロセス技術に合致した製法と周辺回路の集積化を可能
とした静電型超音波トランスジューサであり、例えば第
1図に示すように弾性振動体である有機体薄膜10が、シ
リコン基板1上に設けられたSiO2膜3の上下の電極49、
6に加えられた電位差の変化に従って上下に可動するこ
とにより、超音波が送波される。一方、このデバイスを
超音波の受波に用いる場合には、外部超音波の圧力によ
り上記有機体薄膜10が振動し、この結果、上記SiO2膜3
の上下の電極間の静電容量が変化することを利用して、
外部超音波の圧力を(バイアス電圧が印加された)電気
回路に流れる電流値の変化として検出することが可能で
ある。この際、トランスジューサの送受波特性の感度を
大きくするために、上部電極49とシリコン基板1上に設
けられた下部電極6との距離を小さくすることが必要と
なる。本発明では、第1図に一例として示すように、下
部電極6の表面をSiO2膜3等の絶縁膜で覆うことによ
り、上部電極と下部電極との絶縁を良好に保ちつつ、両
者の距離を減少させて感度を高めることを可能とした。
また、エッチング穴12は後方穴22とつながって貫通穴と
なって外界と通じており、従来エッチング穴12に閉じこ
められていた空気が外界と出入りすることができるため
温度変動によるデバイス特性の変動を減少させることが
できる。さらに、本発明の超音波トランスジューサは、
半導体基板を用いるため、(1)半導体の微細エッチン
グ加工技術を用いて半導体基板上に精度良くエッチング
穴12と後方穴22を同時に開けることができ、製造工程が
増えることがなくしかも製造プロセスから生ずるデバイ
ス特性のばらつきを抑えることが可能、(2)発振回路
および受信回路を半導体ICプロセス技術を用いて集積化
することができ、従って高性能超音波トランスジューサ
を小型軽量に製造することが可能となった。
(実施例) 以下、本発明の実施例である静電型超音波トランスジ
ューサについて図面を参照して説明する。
第1図および第2図は、本発明の一実施例を示すもの
であり、それぞれ断面図および平面図である。本実施例
では超音波の送波および受波を行うポリエステル等の有
機体薄膜10の下面に金、アルミ等の上部電極49が蒸着さ
れている。この有機体薄膜10は、第2図に示すようにシ
リコン基板1に規則的に開けられたエッチング穴12の上
で上下に振動して超音波の送受波を行う。有機体薄膜10
の下面に設けられたSiO2膜3の両側には、上部電極49お
よび下部電極6が配置されていて、送波のときは交流電
圧を印加して有機体薄膜10を振動させる。受波のときは
有機体薄膜10が振動することによって電圧が発生する。
下部電極6と上部電極49との間に設けられたSiO2膜3は
両者の電気的絶縁を良好に保つのに役立つ。さらに、Si
O2膜3の厚さを1μm程度としたとき、上部電極49と下
部電極6との空間的距離も1μm程度となり、従来、第
4図に示すように両者の電極49および47との間の距離が
ポリエステルの膜48の厚さ(12μm)程度であったのに
比べて、大幅に電極間の距離を減少させることができる
という利点がある。有機体薄膜10に働く静電的な力は二
つの電極49および6との間の距離の二乗にほぼ反比例す
るため、デバイスの送受波特性の感度を大きくすること
ができる。なお下部電極6とシリコン基板1の間にもSi
O2膜20が挿入されており、下部電極6とシリコン基板1
の間に電流が漏れるのを防いでいる。下部電極6は、こ
れもSiO2膜3の上に形成されたアルミ配線(図示せず)
を介してシリコン基板1に作製された駆動および受信の
ための集積回路8と電気的に接続している。また、前記
エッチング穴12は、この中に封入された空気が外界と出
入りすることができるように、後方穴22と通じておりあ
わせて貫通穴となっている。これらエッチング穴12およ
び後方穴22は、寸法および形状を精度良く仕上げるため
に、シリコンの異方性エッチング技術を応用して作製す
る。これは、例えば、主面を(100)方向に持つシリコ
ン基板1の一方の面に、一辺が<110>方向に目合せさ
れた複数個の正方形のSiO2膜のパターンをフォトリソグ
ラフィ技術を用いて形成した後、試料をヒドラジン等の
異方性エッチング液中に浸して行う。この場合には、ピ
ラミッド型の四角錐の形状をしたエッチング穴12および
後方穴22ができた段階で、シリコンのエッチングが自動
的に停止するという特長がある。従って、フォトリソグ
ラフィ技術を用いてエッチング穴12および後方穴22の形
状を作製するとき、微細な形状を高い精度で形成するこ
とができること、さらに、試料を液中に浸してエッチン
グを行うので、一度に多量の試料を処理することができ
るという利点がある。
第3図(a)〜(e)は、本発明の実施例をもつ超音
波トランスジューサを製造する手順の一例を示した断面
図である。図において、先に本発明の一実施例として示
した第1図および第2図と同一番号は同一構成要素を示
している。同図(a)は、(100)面をもつシリコン基
板1の表裏に熱酸化法でSiO2膜20をつけたものにフォト
リソグラフィ技術を用いて一方の面に、前記第2図のエ
ッチング穴12と同じ形状の一辺が数十μmの長さの正方
形の開口30および他方の面に、数百μmの寸法の矩形の
形状をもつ後方の開口31を形成したものである。後方の
開口31は、エッチングした後に、基板1の表裏に設けら
れた穴が互いに通ずるように開口の寸法が定められてい
る。開口30、31を形成する際には、第2図のエッチング
穴12および後方穴22の辺が<110>方向に向くように配
置する必要がある。この試料をEDP(エチレンジアミン
ピロカテコール)あるいはヒドラジン等の水溶液に浸し
て、シリコンの異方性エッチングを行いエッチング穴12
と後方穴22を同時に形成する(同図(b))。EDP、ヒ
ドラジン等の水溶液は、シリコンの(111)面に対する
エッチング率に比べて(100)面に対するエッチング率
が著しく大きいという性質(異方性)をもっている。従
って、同図(a)の試料を前記水溶液に浸すことによ
り、同図(b)に示すエッチング穴12および後方穴22を
作製することができる。図では12と22の角度が異なって
いるが実際には両者は同じ角度であり、シリコン基板1
の水平面となす角度は約70度である。続いて、エッチン
グ穴12および後方穴22表面にSiO2膜20をつけるために試
料を再び熱酸化し、その後、通常のシリコンICプロセス
技術を用いて、送受信用の集積回路8を形成する(同図
(c))。続いて下部電極6および集積回路8に接続す
る配線(図示せず)を形成するため集積回路8上のSiO2
膜20を一部除去してアルミを蒸着し通常のフォトリソグ
ラフィ技術を用いて配線としてパターニングする。この
後CVD法でSiO2膜3を形成する(同図(d))。
下部電極6は、SiO2膜3との接着を良くするためにCr
の下地にAuを上に形成したものが望ましいが、必らずし
もこれに限定されることなく、アルミ等の金属で代用し
ても良い。この後、上部電極49を蒸着した有機体薄膜10
をシリコン基板1に接着する(同図(e))。その後外
界と通じさせるため穴のあいた台座35(ステム)に実装
する。
第1図および第2図に示した本発明の一実施例では、
上部電極49がSiO2膜3に直接接触した構成が示されてい
る。一方、この上部電極49と有機体薄膜10との位置関係
を逆転させ、従来例の第4図と同様にした構成も本発明
に含まれる。この場合、先の実施例に比べれば上部電極
49と下部電極6の距離が大きくなるので感度が低くなる
という欠点があるが、両電極の間にSiO2膜3と有機体薄
膜10の両方が存在するので両電極間の電気的絶縁が充分
に補償される。従って両電極間の短絡事故が減りデバイ
スの信頼性が向上する。またSiO2膜3があるため有機体
薄膜10の厚さは薄くできるので従来技術に比べて感度を
高くすることができる。また有機体薄膜の厚さを厚くも
薄くもできることから設計の自由度が増大するという利
点が生ずる。
また、有機体薄膜10にかえて、金、チタン等の金属薄
膜を使用することも可能である。このとき、金属の融点
が有機体よりも高いため、高い温度でトランスジューサ
を動作することが可能になるという利点がある。
第6図および第7図は本発明の他の実施例を示す平面
図である。図において、第1図および第2図と同一番号
は同一構成要素を示している。これらの実施例におい
て、破線で示された矩形70は、第1図および第2図に示
す同一下部電極6上に含まれる振動体要素を示してい
る。ただし集積回路8は含まれない。また、振動体要素
70の上下面に形成された電極は集積化された周辺回路
8′の一部とアルミ配線を介して接続されている(図示
せず)。第6図および第7図の実施例に示すように振動
体要素70を複数個並べたときには、超音波を前面の小さ
な角度に強く放射したり、前面の小さな角度のみの超音
波を強く受信したりすることができ、周囲の雑音に惑わ
されることが少なくなる。また、先に述べたシリコンの
異方性エッチングの技術を用いると、正確に形状の等し
い振動体要素70を同時に形成することができるため、品
質は安定ししかも製造に要する時間も短い。ここに示し
た実施例の他にも、中央の振動体要素70の面積を大きく
とり、周辺に行くに従って振動体要素70の面積を小さく
した実施例もある(図示せず)。この場合には、上記し
た指向性がさらに改善され、雑音のより少ない高品質の
デバイスを提供することができるという利点がある。
第8図は、本願第3の発明の実施例の平面図を示した
ものである。図において、第6図と同一番号は同一構成
要素を示している。本発明の実施例においては、振動体
要素70に形成された下部電極6が互いに分離して配置さ
れており、それぞれアルミ配線を介して周辺回路8′に
接続されていることに特徴がある。従って、本実施例の
構成をとる超音波トランスジューサにおいては、各振動
体要素70ごとに異なった強度および位相をもつ電圧を印
加することが可能となる。特に各振動体要素70に異なっ
た位相をもつ電位を印加することにより、超音波の送波
および受波の方向を変化させることができ、従って、電
気的に走査を行う高性能な超音波トランスジューサを提
供できる。
第8図においては1行5列のアレイ状の超音波トラン
スジューサを示したが、振動体要素70の個数について何
ら制限する必要はない。例えば前記第7図の実施例にお
いて、振動体要素70の上下面の電極を各振動体要素70ご
とに分離して配置し、それぞれの電極を周辺回路8′に
接続すると二次元の方向に電気的に走査することのでき
る二次元超音波トランスジューサを実現することができ
る。また、本実施例で述べた超音波トランスジューサに
おいては、各振動体要素70の下部電極は通常のICプロセ
ス技術を用いて同時にかつ容易に形成することができる
という点も従来技術に比べて大きな長所である。
なお下部電極が分離された実施例において、一つの振
動体要素70は第1図、第2図に示したような複数のエッ
チング穴を持つものとして説明したがこれに限らず第1
図、第2図中のエッチング穴一個が一つの振動体要素に
対応するものと考えてもよい。
以上、本発明について例を挙げ詳細な説明を行った。
なお、本発明の構成は、信号として使用する超音波が連
続的に変化するか、あるいは一乃至数個の波長のみでパ
ルス的に変化するか等に関係なく成り立つものである。
また、超音波の波長が単一かあるいは複数個かにも関係
なく成り立つものである。さらには、後方の穴の外側に
スポンジ等の音を吸収する物質を置く等の方法によりデ
バイスの裏側の影響を少なくした構成、および振動体の
前面にホーンを配置して感度を高くした構成も本発明に
含まれる。
なお、上記実施例において振動に寄与する金属薄膜又
は有機体薄膜の面積を大きくしたり、厚さを薄くしたり
することにより超音波の送波および受波の感度を大きく
することができる。さらに、有機体薄膜と下部電極との
間のSiO2膜を薄くすることによっても感度を増大させる
ことが可能である。しかし、この場合には、同時にデバ
イスの周波数特性等の変化が生ずるので、超音波センサ
を設計する際には、以上の効果を考慮して、感度および
周波数特性や電気音響変換効率等を最適にするように振
動体及びSiO2膜の寸法を決めなければならない。
また前記実施例ではSiO2膜3を用いたがこれに限ら
ず、Si3N4、SiOxNy、ポリイミドなど下部電極表面にCV
D、スパッタ、塗布などの方法で薄膜状に固着できるも
のならば使うことができる。
(発明の効果) 以上説明したとおり、本発明によれば温度変化による
特性の変動が小さく、特性のばらつきが少なく高感度、
小型軽量の集積化超音波トランスジューサを供給するこ
とが可能となった。その結果、産業用ロボット等の分野
で近接覚等の検出に高性能な超音波トランスジューサを
利用することができるようになった。また、本発明の超
音波トランスジューサは従来の半導体IC製造プロセス技
術と合致した製法で大量に製造することができるため、
製造コストを低減することができる。これらの効果は著
しいものであり、本発明は有効なものである。
【図面の簡単な説明】
第1図および第2図はそれぞれ本願第1の発明の一実施
例の断面図および平面図、第3図(a)〜(e)は本願
第1の発明の実施例を製造する方法の一実施例を示す断
面図、第4図は従来の超音波トランスジューサの断面
図、第5図は従来の静電型トランスジューサの原理図、
第6図および第7図は本願第1の発明の他の実施例を示
す平面図、第8図は本願第3の発明による超音波トラン
スジューサアレイの一実施例を示す平面図。 1……シリコン基板、3,20……SiO2膜、6……下部電
極、8……集積回路、8′……周辺回路、10……有機体
薄膜、12……エッチング穴、22……後方穴、30……開
口、31……後方の開口、35……台座、41……金属ケー
ス、42……プラスチックケース、43……保護スクリー
ン、44,45……電極端子、46……板バネ、47……アルミ
合金の板、48……ポリエステルの膜、49……上部電極、
51……機械的要素、51a……振動板、51b……固定板、52
……電気的要素、53……バイアス電源、54……抵抗、55
……発振回路(あるいは受信回路)、70……振動体要
素。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一方の面に第一の電極を有する薄膜と、表
    面に穴を有する半導体基板の表面上に設けた第二の電極
    とを備え、当該第一の電極と当該第二の電極との間に絶
    縁膜が第二の電極に固着するように設けた超音波トラン
    スジューサであって、前記穴が前記半導体基板の裏面に
    通じる貫通穴であってしかもこの穴が外界と通じている
    ことを特徴とする超音波トランスジューサ。
  2. 【請求項2】一方の面に第一の電極を有する薄膜と、表
    面に穴を有する半導体基板の表面上に設けた第二の電極
    とを備え、当該第一の電極と当該第二の電極との間に絶
    縁膜を第二の電極に固着するように設けた超音波トラン
    スジューサの製造方法であって、前記穴を異方性エッチ
    ング技術を用いて形成するとき同時に前記基板の裏面か
    らも穴を形成して前記穴と通じさせ貫通穴とする工程及
    びこの基板を穴のあいた台座に実装する工程を含むこと
    を特徴とする超音波トランスジューサの製造方法。
  3. 【請求項3】一方の面に第一の電極を有する薄膜と、表
    面に穴を有する半導体基板の表面上に設けた第二の電極
    とを備え、当該第一の電極と当該第二の電極との間に絶
    縁膜が第二の電極に固着するように設けた超音波トラン
    スジューサであって、前記穴が前記半導体基板の裏面に
    通じる貫通穴であってしかもこの穴が外界と通じるよう
    にした前記超音波トランスジューサを複数個アレイ状に
    配置し、個々の超音波トランスジューサの前記第一及び
    第二の電極側の少なくとも一方の電極が個々の超音波ト
    ランスジューサ間で互いに分離されていることを特徴と
    する超音波トランスジューサ。
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