JP2540425Y2 - プレートクーラーを備えた飲食カウンター - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、寿司種冷却保存庫を備
える握り寿司用飲食カウンターに関し、特に、板状の冷
却機を内蔵した寿司種冷却保存庫を備える握り寿司用飲
食カウンターに関する。

【０００２】

【従来の技術】一般に、寿司店で利用される飲食カウン
ターには、例えば、寿司種を種類毎容器に入れて保存で
きるようにすると共に寿司種を容易に取り出せるよう
に、搬送コンベア周囲に、冷凍機に接続して冷蔵庫が配
置されいる。このように飲食カウンターに備えられる冷
蔵庫は、一般の冷蔵庫と同様に、庫内の空気を冷却し、
冷却された空気の対流により冷蔵庫内の品物を冷却する
が、冷蔵庫内に設けられる冷媒蒸発器は、当該冷蔵庫と
別個に設けられている冷凍機に冷媒路を接続するもので
ある。このような冷蔵庫では、冷蔵庫内の冷媒蒸発器
で、冷凍機から送られた冷媒を強制的に蒸発させ、これ
により生じる寒冷により冷蔵庫内の空気を冷却して、冷
蔵庫内の温度を低温に保ち、寿司種等を冷却保存してい
る。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし、このような飲
食カウンターに備えられる冷蔵庫においては、冷蔵庫の
蒸発器内で蒸発した冷媒を、冷蔵庫と別個に設けられて
いる冷凍機に送り、再度圧縮し、冷却し液化して冷蔵庫
の蒸発器に循環させるために、圧縮ポンプや送液ポンプ
が設けられている。このようなポンプ類は、運転時に、
振動や振動音を発生するので、冷凍機の運転には、振動
や振動音を避けることができず、このような冷凍機の運
転に伴う振動や振動音は、食事をする環境を悪化して問
題である。また、冷蔵庫においては、冷媒を循環使用す
るために、冷媒蒸発器内で蒸発した冷媒蒸気は、冷凍機
に送られて圧縮された後、室内空気で冷却し液化されて
いる。しかし、この冷却に使用されて暖められた空気
は、そのまま室内に流れるために、室内の環境を悪くす
るので問題とされている。

【０００４】また、飲食カウンターを備える寿司店にお
いても、客の注文により寿司種を冷蔵庫から取り出して
寿司を握り飲食客に提供している。したがって、客から
の注文がある度毎に、寿司種の入った容器を冷蔵庫から
出し入れしており、冷蔵庫のドアの開閉は、比較的に頻
繁に行われている。このような冷蔵庫のドアの開閉によ
り、冷蔵庫内の冷却された空気と室内の空気との換気が
行われ、冷蔵庫内の温度が上昇して、寿司種の鮮度を維
持する上で問題とされている。本考案は、従来の飲食カ
ウンターに備えられている冷蔵庫及び冷凍機に係る問題
点を解決することを目的としている。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本考案は、ドアの開閉に
関係なく、振動音の発生がなく、しかも温められた空気
の室内への流入もなく、寿司種を所定の温度に保持し鮮
度をできる比較的小形の寿司種冷却保存用容器を備える
飲食カウンターを提供することを目的としている。本考
案は、従来のように冷却された空気の対流ではなく、冷
却された板の上に寿司種の入った容器を置き、冷却され
た板から寿司種の入った容器への熱伝導により冷却を行
うものである。

【０００６】即ち、本考案は、循環コンベヤの外側周囲
の一部にカウンターを備え、寿司種冷却保存庫を備える
飲食カウンターにおいて、循環コンベヤの内側周囲の一
部に設けられている調理台と、該調理台の一部に設けら
れている寿司種冷却保存庫とを備えており、前記寿司種
冷却保存庫は、断熱性枠体と、該断熱性枠体の上部に設
けられている断面アーチ形の引き戸と、前記断熱性枠体
に保持されている冷却板と、該冷却板の下面に電気絶縁
性の接着剤を介して吸熱面が固着されている電子冷却素
子と、該電子冷却素子の放熱面に電気絶縁性の接着剤を
介して冷却部接触面が固着され、該冷却部接触面に冷却
水供給口が直角に向けて設けられ、及び側部に冷却水排
出口が設けられている冷却器とを備えていることを特徴
とする握り寿司用飲食カウンターにある。

【０００７】本発明において、電子冷却素子は、電子冷
凍に使用される冷却素子であり、ペルチエ効果を利用す
る冷却素子である。本考案において、冷却板に接触する
電子冷却素子に直流電流を流すことにより電子冷却素子
の両面に温度差が発生し、吸熱側では温度低下を生じ、
発熱側では温度上昇を生じる。

【０００８】本考案において、電子冷却素子の吸熱側に
接している冷却板の表面温度を効率よく低温にするに
は、発熱側に水冷式の冷却器を取り付け、発熱した熱を
水冷により取り除いて、連続的に且つ強制的に吸熱側か
ら発熱側へ熱移動を発生させ、冷却板の表面温度を低温
に維持することができる。本考案においては、冷却板の
表面で冷却された冷たい空気が、冷却板上の空間に可及
的に長い間滞留するように、囲壁で囲って冷却用空間を
形成するのが好ましい。この場合、囲壁の高さは、冷却
された空気が、暖かい空気との対流により容易に置換さ
れることがないように設定される。

【０００９】この場合、囲壁は、冷却板を保持するると
共に、囲壁の上端を冷却板の上面より高くして、冷却板
上の冷却空間内に、冷却された空気が長時間を保持され
得るように形成されるのが好ましい。しかし、本考案に
おいて、囲壁は、寿司種を入れる容器を出し入れし易い
ように、寿司種を入れる容器の高さより僅かに低く囲壁
を設けるのが好ましい。この場合、容器壁と囲壁の間の
間隙を小さくすると、冷却板の表面で冷却された冷たい
空気は、この囲壁の高さを乗り越えることなく、また暖
かい空気と置換されることなく、滞留することが可能と
なる。したがって、囲壁上部が開放されていても、寿司
種を入れた容器は、冷却板による冷却と、容器壁と囲壁
間の冷たい空気による冷却とにより、低温に維持される
ことになる。本考案において、冷却器の下方を断熱材等
で囲い、電子冷却素子の端子に接続する電線路及び冷却
用水の配管を収容する空間を形成すると、該空間内の空
気も、冷却用水により冷却されることになり、電子冷却
素子の放熱部が周囲の空気により、更に冷却されること
となるので好ましい。

【００１０】

【作用】本考案は、囲壁に保持されている冷却板と、該
冷却板の下面に吸熱面が接触している電子冷却素子と、
該電子冷却素子の発熱面に外部壁面が接触し、給水口及
び排水口を備える放熱室を備える冷却用容器を、飲食カ
ウンターの循環コンベヤの一部周囲に設けたので、例え
ば寿司種を入れた容器を例えば蓋をして、該冷却用容器
内に入れて、寿司種の冷却保存を行うことができる。本
考案は、電子冷凍に使用する冷却手段により冷却するの
で、振動及び振動音を発生することなく、寿司種の冷却
保存を行うことができ、飲食店の環境を落ち着いた静か
なものとすることができる。

【００１１】

【実施例】以下、図面を参照して本考案の実施の態様の
例を説明するが、本考案は、以下の説明及び例示によっ
て何等制限されるものではない。第１図は、本考案の飲
食カウンターの一実施例を示す概略の断面図であり、第
２図は、本考案の飲食カウンターの第１図の実施例にお
いて使用される、プレートクーラーについて、冷却板を
中心に示す部分断面図である。

【００１２】本例において、飲食カウンター１には、循
環形式のクレセントコンベヤ２が設けられており、クレ
セントコンベヤ２の外側の一部周囲には、カウンタ３が
設けられ、またクレセントコンベヤ２の内側一部周囲に
は調理台４が設けられている。前記調理台４には、まな
板５が設けられ、まな板５とクレセントコンベヤ２の間
にプレートクーラー６が設けられている。本例におい
て、プレートクーラ６には、上部開放端を開閉できる断
面アーチ形の引戸７が設けられている。本例において、
プレートクーラ６に引戸７を設けると、種々の容器８に
寿司種（図示されていない）を入れて、冷却板９の上に
配置し、寿司種の冷却保存を行うことができ、また引戸
７を開けても、冷却保存用容器内の温度上昇を気にせず
客の注文により、寿司種を取り出して寿司を握り客に提
供することができる。

【００１３】本例において、冷却板９の材質は温度分布
が均一になるように熱伝導の良い材質例えば、銅、銅合
金、アルミニューム、アルミニューム合金等の材質で形
成されるのが好ましい。冷却板９の周縁を囲む断熱性枠
体１０は外部に熱を逃がさないように、熱伝導の悪い材
質例えば、塩化ビニール、ジュラコン、ＡＢＳ樹脂等の
材質で形成されるのが好ましい。

【００１４】また、断熱性枠体１０の上端１１は、冷却
板の上面より遥かに高く設けられ、寿司種を入れる容器
が出し入れし易いように、寿司種を入れる容器８の高さ
よりは低く設けられる。したがって、冷却板９で冷却さ
れた比重の重い空気は、断熱性枠体１０の外に逃げ難い
ようになっており、冷却板９の上に載せられた寿司種を
いれた容器８は、冷却板９からの熱伝導と、容器８と断
熱性枠体１０間に滞留した冷たい空気により低温を維持
することができる。

【００１５】本例において、断熱性枠体１０の上面に
は、断面アーチ形の引戸７が設けてあり、上からの落下
物より保護することができる。冷却板９の裏面１２に
は、電子冷却素子１３が、その吸熱面１４を電気絶縁性
の接着剤を介して固着されている。電子冷却素子１３の
放熱面１５は、放熱器１６の冷却部１７に接着剤を介し
て一定の圧力で密に固着されている。電子冷却素子１３
は、放熱器１６を冷却板９に対してボルト止めすること
により、冷却板９と放熱器１６の間に固定されている。
この場合、使用されるボルト１８は、放熱器１６から冷
却板９に直接熱伝導させないように、熱伝導率の低い材
質例えばポリカボネード、塩化ビニール等のエンジニア
リング用のプラスチック製のボルト１７で固定されるの
が好ましい。

【００１６】電子冷却素子１３は、電子冷却素子１３に
直流電流を流すことにより、電子冷却素子１３の吸熱面
１４側は低温になり、吸熱面１４に接触する冷却板９か
ら熱を奪い冷却板９を低温に冷却するが、他方、電子冷
却素子の放熱面１５は高温となるので、吸熱面１４の低
温を維持するためには、放熱面１５は一定の温度になる
ように、放熱器１６により冷却される。このように、電
子冷却素子１３は吸熱側に接している冷却板９から吸熱
して熱を奪い、この奪った熱を放熱側から放熱器１６に
放出する。

【００１７】本例において、放熱器１６には、冷却水供
給口１９及び冷却水排出口２０が設けられており、冷却
水供給口１９からの冷却水により、放熱器１６の冷却部
１７を一定の温度に冷却し、電子冷却素子１３の放熱面
１５を一定の温度に保持して、電子冷却素子１３の吸熱
面１４の温度を一定の低い温度に保ち、冷却板９から連
続して、強制的に熱を奪うことができる。本例におい
て、冷却水は、電子冷却素子１３の放熱面１５に接触す
る放熱器１６の接触面の内側中央に直角に当たるように
供給され、電子冷却素子１３が放熱する熱は、放熱器１
６の接触面内側中央に当たる冷却水により機外に放出さ
れる。このため冷却板９は、室温により温度を上昇させ
ることなく効率よく低温に保っことができる。

【００１８】冷却板９から吸熱した熱は、放熱器１６に
供給している冷却水に移動するので、放熱器からの室内
への放熱が避けられ、室内温度を上昇させることがな
く、冷蔵庫等に比較して、騒音その他の点で客に不快感
を与えることがない。冷却板９の裏面１２にはサーモス
タット（図示されていない）が取り付けられており、所
定の温度以下に冷却面が冷却されたとき、電源を自動的
に遮断することができるので、寿司種をいれた容器内の
寿司種を一定の温度に保つことができ、寿司種の鮮度を
維持することができる。

【００１９】本例において、冷却板９の裏面１２は、図
２に示されるように、電子冷却素子１３及び放熱器１６
が取り付けられている箇所の周りを、断熱材２１で覆
い、冷却板の裏面１２からの冷たさの損失防止をはかっ
ている。しかし、この場合、冷却板９の裏面１２からの
若干の冷たさの損失は避けられない。そこで、本例にお
いては、冷却板９の裏面１２を断熱材２１で囲んで、電
子冷却素子１３の配線路（図示されていない）及び冷却
水配管路（図示されていない）の収容室２２を形成し、
この収容室２２の蓄冷作用により、冷却板９の補冷を可
能にさせている。

【００２０】電子冷却素子及び放熱器は、冷却板の裏面
に複数個付けてあり放熱器に供給される冷却水は、数個
の放熱器を直列に配管で接続することにより、放熱器内
を流れる冷却水は流速を増加させることができ冷却板９
より吸熱した熱を効率よく冷却水に置換するので使用す
る冷却水の使用量を少なくすることができる。放熱器１
６に取り付けられたサーモスタットは、放熱器に供給さ
れる冷却水が不足したり停止した場合、放熱器が温度上
昇しサーモスタットが作動し電源を遮断することにより
電子冷却素子１３を保護することができる。

【００２１】本例は以上のように構成されているので、
調理台４で調理するに、引戸７を開いても、比較的暖か
い空気は、例えば容器８内の寿司種の表面に触れるが、
本例においては、冷却板９により直接伝熱作用により冷
却されるので、冷却が損なわれることに至らない。しか
も、容器８の縁部２３と断熱性枠体１０の間の間隙２４
は比較的小さいので、容器下部２５と断熱性枠体１０の
間の冷たい空気は、室内の暖かい空気に比して密度が大
きいから、前記間隙２４から外へ流出が少なく、冷却が
損なわれるに至らない。

【００２２】

【考案の効果】本考案は、枠に保持されている冷却板
と、該冷却板の下面に吸熱面が接触している電子冷却素
子と、該電子冷却素子の発熱面に外部壁面が接触し、給
水口及び排水口を備える放熱室を備える冷却用容器を、
飲食カウンターの循環コンベヤの一部周囲に設けたの
で、従来の寿司種を入れる冷蔵庫を備えた飲食カウンタ
ーに比して、外気の温度に関係なく、寿司種の冷却保存
を行うことができ、また、振動及び振動音を発生するこ
となく、寿司種の冷却保存を行うことができ、飲食店の
環境を落ち着いた静かなものとすることができる。

【００２３】本考案によると、寿司種をいれた容器を冷
却板の上に置き、作業者は冷却板の上から寿司種をいれ
た容器を取り出すことなく寿司種を取り、寿司を握るこ
とができるので作業が容易になる。しかも作業中寿司種
をいれた容器を冷却板から動かすことがないので、一定
の温度に寿司種を維持でき、常に新鮮な寿司を客に提供
することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の飲食カウンターの一実施例を示す概略
の断面図である。

【図２】本考案の飲食カウンターの第１図の実施例のプ
レートクーラーのについて、冷却板を中心に示す部分断
面図である。

【符号の説明】

１ 飲食カウンタ ２ クレセントコンベア ３ カウンタ ４ 調理台 ５ まな板 ６ プレートクーラー ７ 引戸 ８ 容器 ９ 冷却板 １０ 断熱性枠体 １１ 断熱性枠体の上端部 １２ 冷却板の裏面 １３ 電子冷却素子 １４ 電子冷却素子の吸熱面 １５ 電子冷却素子の放熱面 １６ 放熱器 １７ 放熱器の冷却部 １８ ボルト １９ 冷却水供給口 ２０ 冷却水排出口 ２１ 断熱材 ２２ 収容室 ２３ 容器の縁部 ２４ 縁部と断熱材枠体上端部との間隙 ２５ 容器下部

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 循環コンベヤの外側周囲の一部にカウン
   ターを備え、寿司種冷却保存庫を備える飲食カウンター
   において、循環コンベヤの内側周囲の一部に設けられて
   いる調理台と、該調理台の一部に設けられている寿司種
   冷却保存庫とを備えており、前記寿司種冷却保存庫は、
   断熱性枠体と、該断熱性枠体の上部に設けられている断
   面アーチ形の引き戸と、前記断熱性枠体に保持されてい
   る冷却板と、該冷却板の下面に電気絶縁性の接着剤を介
   して吸熱面が固着されている電子冷却素子と、該電子冷
   却素子の放熱面に電気絶縁性の接着剤を介して冷却部接
   触面が固着され、該冷却部接触面に冷却水供給口が直角
   に向けて設けられ、及び側部に冷却水排出口が設けられ
   ている冷却器とを備えていることを特徴とする握り寿司
   用飲食カウンター。