JP2524675Y2 - ディーゼルエンジンの自然流下式燃料供給装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本考案は、フィードポンプによる圧送給油形式とは異
なるディーゼルエンジンの自然流下式燃料供給装置に関
し、フィードポンプのエア抜きを円滑に行えるものを提
供する。

〈従来技術〉 一般に、ディーゼルエンジンの自然流下式燃料供給装
置では、燃料タンク１と、燃料フィルタ２の下流側に位
置する燃料供給系との落差による圧力差で、燃料を燃料
噴射ポンプ３に供給するように構成される。

従って、本考案の対象となるディーゼルエンジンの自
然流下式燃料供給装置の基本構造は、第１図又は第２図
に示すように、 燃料タンク１の下方に燃料フィルタ２を配置し、燃料
タンク１を燃料フィルタ２及び燃料噴射ポンプ３に燃料
通路４で燃料自然流下供給可能に接続し、 燃料フィルタ２をフィルタ用エア抜き通路５で燃料タ
ンク１にエア抜き可能に構成し、 燃料噴射ポンプ３をポンプ用吹き戻し通路６で燃料タ
ンク１にエア抜き及び燃料吹き戻し可能に構成した形式
のものである。

この形式の従来技術としては、第２図に示すように、 燃料フィルタ２を燃料タンク１にフィルタ用エア抜き
管５で接続し、燃料噴射ポンプ３を燃料タンク１にポン
プ用吹き戻し管６で接続して、燃料フィルタ２のエア抜
きと燃料噴射ポンプ３のエア抜きとを別々の配管で行う
ように構成したものがある。

〈考案が解決しようとする課題〉 一般的に、燃料フィルタ２のフィルタエレメントが目
詰まり傾向を示したり、外気温の低下で燃料の粘性が大
きくなったりすると、燃料フィルタ２が燃料タンク１に
対して負圧に傾き易い。

この場合、上記従来技術では、燃料フィルタ２が、エ
アを抜くべきフィルタ用エア抜き管５から逆にエアを吸
い込んでエアロックを起こし、燃料の供給がスムーズに
行かなくなる虞れが少なくない。

本考案は、燃料フィルタが目詰まり気味になるなどし
た場合でも、エアの吸い込みを防止することを技術的課
題とする。

〈課題を解決するための手段〉 上記課題を達成するための手段を、実施例を示す図面
により以下に説明する。

即ち、請求項１の考案は、燃料タンク（１）の下方に
燃料フィルタ（２）と燃料噴射ポンプ（３）とを配置
し、燃料通路（４）によって燃料タンク（１）から燃料
フィルタ（２）と燃料噴射ポンプ（３）との順に燃料自
然流下供給可能に接続し、燃料フィルタ（２）の燃料出
口（24）側をフィルタ用エア抜き通路（５）で燃料タン
ク（１）にエア抜き可能に構成し、燃料噴射ポンプ
（３）をポンプ用吹き戻し通路（６）で燃料タンク
（１）にエア抜き及び燃料吹き戻し可能に構成したディ
ーゼルエンジンの自然流下式供給装置において、フィル
タ用エア抜き通路（５）とポンプ用吹き戻し通路（６）
とのいずれか一方の出口（７）を他方の途中部（８）に
接続し、ポンプ用吹き戻し通路（６）の入口（10）に絞
り部（12）を形成したものである。

また、請求項２の考案は上記請求項１に記載の構成に
おいて、 燃料噴射ノズル（14）から導出したノズル用戻し通路
（15）の出口（16）をフィルタ用エア抜き通路（５）と
ポンプ用吹き戻し通路（６）とのいずれか一方に接続し
たものである。

〈作用〉 （１）請求項１の考案は、例えば第１図に示すように、
次のように作用する。

燃料タンク（１）内の燃料は、燃料通路（４）を介し
て燃料タンク（１）から燃料フィルタ（２）と燃料噴射
ポンプ（３）との順に通ったのち、燃料噴射ノズル（1
4）へ送られる。

また、上記燃料噴射ポンプ（３）から燃料噴射ノズル
（14）へ送られずに余った燃料は、絞り部（12）を通っ
てポンプ用吹き戻し通路（６）へ押し出される。そのポ
ンプ用吹き戻し通路（６）へ一旦押し出された燃料が上
記絞り部（12）によって燃料噴射ポンプ（３）側への戻
りが抑制されることにより、ポンプ用吹き戻し通路
（６）内に溜まった燃料の液面が上昇する。すると、そ
のポンプ用吹き戻し通路（６）内に溜まった燃料がフィ
ルタ用エア抜き通路（５）へ流れ込んでフィルタ用エア
抜き通路（５）内が燃料で満たされる。

（２）請求項２の考案は、上記の作用に加えて更に次の
ように作用する。

燃料噴射ノズル（14）内をオーバーフローした燃料が
ノズル用戻し通路（15）を通ってフィルタ用エア抜き通
路（５）とポンプ用吹き戻し通路（６）とのいずれか一
方へ流れ込むことにより、それらの通路（５）（６）が
燃料で一層満たされる。

〈考案の効果〉 燃料噴射ポンプからポンプ用吹き戻し通路へ押し出し
た燃料によってフィルタ用エア抜き通路内が燃料で確実
に満たされるので、燃料フィルタの目詰まりや外気温の
低下による燃料の粘性の増大で燃料フィルタの燃料出口
側が負圧に傾いた際でもフィルタ用エア抜き通路を介し
て燃料通路内へエアが吸い込まれることが抑制される。

従って、燃料通路内でのエアロックを抑制して燃料を
燃料噴射ノズルへスムーズに供給できる。

フィルタ用エア抜き通路とポンプ用吹き戻し通路とを
燃料タンクへの戻りの途中で合流させ、ポンプ用吹き戻
し通路の入口に絞り部を形成するだけなので、大きな改
良を必要とせず、安価に実施できる。

なお、請求項２の考案では、燃料噴射ノズル内をオー
バーフローした燃料をフィルタ用エア抜き通路内へ供給
するので、フィルタ用エア抜き通路内をより確実に燃料
で満たすことができて、フィルタ用エア抜き通路を介し
て燃料通路内へエアが吸い込まれることをより確実に抑
制できる。

〈実施例〉 以下、本考案の実施例を図面に基づいて述べる。

第１図はディーゼルエンジンの自然流下式燃料供給装
置の概略系統図であって、同燃料供給装置は燃料タンク
１、燃料フィルタ２、燃料噴射ポンプ３及び燃料噴射ノ
ズル14を燃料通路４で順番に接続して構成される。

即ち、上記燃料タンク１の底面から下向きに燃料フィ
ルタ２を固定配置し、燃料フィルタ２の下方に燃料噴射
ポンプ３を配置し、高位にある燃料タンク１からの落差
により、燃料を燃料フィルタ２→燃料噴射ポンプ３に自
然流下供給可能に構成する。

上記燃料フィルタ２はカップ状のフィルタ本体20に
紙から成るフィルタエレメント21を収容し、フィルタ本
体20に上から蓋体22を嵌着したものである。

上記蓋体22に上向きの燃料入口23と横向きの燃料出口
24を空け、蓋体22の中央部に上向きにエア抜き路25を空
ける。

上記燃料フィルタ２を前記燃料噴射ポンプ３に燃料通
路４で接続し、燃料噴射ポンプ３を燃料タンク１の上部
にポンプ吹き戻し通路６で接続する。

当該ポンプ側の接続構造を詳述すると、燃料噴射ポン
プ３の燃料入口28に燃料供給用接続筒具26を螺合し、接
続筒具26に燃料通路４のポンプ側出口27とポンプ吹き戻
し通路６の入口10とを交叉状に形成し、当該吹き戻し通
路６の入口10に絞り具30を付設し、絞り具30にその上流
側及び下流側より開口断面積を小さく設定した絞り路12
を形成する。

この場合、ポンプ吹き戻し通路６から燃料タンク１
に、 燃料噴射ノズル14に供給されなかった余分の燃料が吹
き戻されるとともに、 燃料噴射ポンプ３のエア抜きが行われる。

また、前記フィルタ用エア抜き通路５の出口７をポン
プ吹き戻し通路６の途中部８に接続し、フィルタ用エア
抜き通路５→途中部８→ポンプ吹き戻し通路６→燃料タ
ンク１にエア抜きが行われる。

そこで、本実施例の燃料供給装置の機能を説明する。

ポンプ用吹き戻し通路６の入口10に絞り路12を形成し
たので、燃料噴射ポンプ３内の余剰燃料を絞り部12で積
極的に吹き戻し通路６に押し出すとともに、吹き戻し通
路６に一旦吹き出した燃料の戻りを絞り路12で抑制して
吹き戻し通路６内を燃料で満たしてその容量を増し、燃
料液面を上昇させる。

一方、フィルタ用エア抜き通路５は、液位の上昇した
ポンプ吹き戻し通路６の途中部８に連通するので、フィ
ルタ用エア抜き通路５内もこの吹き戻し燃料で満たされ
る。

この結果、燃料フィルタ２の目詰まりや、外気温の低
下による燃料の粘性の増大で、燃料フィルタ２が燃料タ
ンク１に対して負圧に傾いても、燃料フィルタ２がフィ
ルタ用エア抜き通路５からエアを吸い込むことはなく、
燃料を燃料噴射ポンプ３及び噴射ノズル14にスムーズに
供給できる。

他方、第２図に示す従来技術では、ディーゼルエンジ
ンＥに付設した各燃料噴射ノズル14をノズル用戻し通路
15で燃料タンク１に接続し、燃料噴射ノズル14の余剰燃
料を燃料タンク１に戻すように構成していた。

しかしながら、第１図の仮想線で示すように、このノ
ズル用戻し通路15の出口16を前記ポンプ吹き戻し通路６
の途中部16（上記フィルタ用エア抜き通路５が接続する
途中部８より燃料噴射ポンプ３寄りの部位）に連通する
と、 燃料噴射ノズル14内のオーバフロー燃料を、ノズル用
戻し通路15を介してポンプ用吹き戻し通路６に還流し
て、フィルタ用エア抜き通路５に燃料を一層確実に案内
することができるので、フィルタ用エア抜き管５内は燃
料で満たされてエアの吸い込みをより確実に防止でき
る。

尚、本考案では、フィルタ用エア抜き通路５とポンプ
用吹き戻し通路６とのいずれか一方の出口７を他方の途
中部８に接続すれば良いので、フィルタ用エア抜き通路
５の一端を燃料タンク１に接続し、ポンプ吹き戻し通路
６の出口を当該フィルタ用エア抜き通路５の途中部に連
通しても良い。

また、ノズル用戻し通路15の出口16は、上記実施例に
限らず、フィルタ用エア抜き通路５の側に接続しても差
し支えない。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例を示すディーゼルエンジンの自
然流下式燃料供給装置の概略系統図、第２図は従来技術
を示す第１図相当図である。 １……燃料タンク、２……燃料フィルタ、３……燃料噴
射ポンプ、４……燃料通路、５……フィルタ用エア抜き
通路、６……ポンプ用吹き戻し通路、７……５又は６の
出口、８……５又は６の途中部、10……６の入口、12…
…絞り部、14……燃料噴射ノズル、15……ノズル用戻し
通路、16……15の出口、24……２の燃料出口。

Claims (2)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】燃料タンク（１）の下方に燃料フィルタ
   （２）と燃料噴射ポンプ（３）とを配置し、燃料通路
   （４）によって上記燃料タンク（１）から上記燃料フィ
   ルタ（２）と上記燃料噴射ポンプ（３）との順に燃料自
   然流下供給可能に接続し、 上記燃料フィルタ（２）の燃料出口（24）側をフィルタ
   用エア抜き通路（５）で上記燃料タンク（１）にエア抜
   き可能に構成し、 上記燃料噴射ポンプ（３）をポンプ用吹き戻し通路
   （６）で上記燃料タンク（１）にエア抜き及び燃料吹き
   戻し可能に構成したディーゼルエンジンの自然流下式供
   給装置において、 上記フィルタ用エア抜き通路（５）と上記ポンプ用吹き
   戻し通路（６）とのいずれか一方の出口（７）を他方の
   途中部（８）に接続し、 上記ポンプ用吹き戻し通路（６）の入口（10）に絞り部
   （12）を形成したことを特徴とするディーゼルエンジン
   の自然流下式供給装置。
2. 【請求項２】燃料噴射ノズル（14）から導出したノズル
   用戻し通路（15）の出口（16）を前記フィルタ用エア抜
   き通路（５）と前記ポンプ用吹き戻し通路（６）とのい
   ずれか一方に接続したことを特徴とする請求項１に記載
   のディーゼルエンジンの自然流下式供給装置。