JP2504032Y2 - 感温変色性複合繊維 - Google Patents

感温変色性複合繊維

Info

Publication number
JP2504032Y2
JP2504032Y2 JP1991011867U JP1186791U JP2504032Y2 JP 2504032 Y2 JP2504032 Y2 JP 2504032Y2 JP 1991011867 U JP1991011867 U JP 1991011867U JP 1186791 U JP1186791 U JP 1186791U JP 2504032 Y2 JP2504032 Y2 JP 2504032Y2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
color
acid
core
fiber
composite fiber
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP1991011867U
Other languages
English (en)
Other versions
JPH04110764U (ja
Inventor
和容 鎌田
比呂美 須野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Matsui Shikiso Chemical Co Ltd
Original Assignee
Matsui Shikiso Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Matsui Shikiso Chemical Co Ltd filed Critical Matsui Shikiso Chemical Co Ltd
Priority to JP1991011867U priority Critical patent/JP2504032Y2/ja
Publication of JPH04110764U publication Critical patent/JPH04110764U/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2504032Y2 publication Critical patent/JP2504032Y2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Artificial Filaments (AREA)
  • Multicomponent Fibers (AREA)

Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本考案は、温度変化に敏感に反応
して色彩が変化する機能を有する感温変色性複合繊維に
関する。詳しくは、衣料、装飾、玩具、インテリア用品
など色彩が極めて重要視されている分野において、温度
により色彩が変化する機能を付与するための感温変色性
複合繊維に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より各種の感温変色性物質が開発さ
れ、そのうち特に酸顕色性物質、酸性物質及び溶媒の3
成分からなる感温変色性組成物は、発色濃度が高く、鮮
明で、色相の選択の幅が広いといった特徴を有する。こ
の様な組成物を繊維に適用できれば、その優れた変色機
能をもって、商品価値を大幅に向上できることは明らか
である。
【0003】従来より、かかる試みとして、例えば
昭59ー83932号公報には感温変色性組成物を、ポ
リオレフィン系樹脂に直接混合したポリオレフィン系樹
脂が提案されているが、この繊維は感温変色性組成物が
経日的にブリードアウトするので、安定性や安全性に問
題があり、又、繊維強度が不十分で発色濃度が経日的に
低下する。特開昭61ー179389号、特開昭63ー
94995号公報にはマイクロカプセル化した感温変色
性組成物を接着剤と共に配合したインキにて繊維表面を
被覆した感温変色性繊維が提案されている。しかしなが
らこれらの方法では、いずれも、該インキの付着が表面
のみに止まり、十分な濃度が得られないこと、該被覆膜
が物理的に剥離しやすいこと、更に、繊維表面の平滑性
が劣るなどの欠点があった。また特開昭62ー1841
14号公報にはマイクロカプセル化した感温変色性組成
物を繊維の元液中に配合して紡糸する方法が提案されて
いる。しかしながら、この方法では繊維の強度が大幅に
低下する、繊維が不透明となって濃度やつやが低下す
る、あるいは繊維表面が平滑でないといった欠点があっ
た。この様に、いづれの場合も、商品価値の乏しいもの
や、商品化が困難なものしか得られていない。
【0004】
【考案が解決しようとする課題】本考案は、上記従来技
術に属する種々の問題点をすべて解決するためになされ
たもので、その目的とするところは、発色濃度が高く、
変色機能が長期間安定で、力学的特性に優れ、且つ表面
が平滑で光沢の高い感温変色性繊維を提供することにあ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】本考案者らは前記目的を
達成するために、鋭意検討を重ねた結果、ポリオレフィ
ン系樹脂以外の熱可塑性樹脂に感温変色性組成物を直接
配合させたものは、発色濃度が著るしく低かったり、全
く発色しなかったり、又、逆に常に発色したままとなる
欠点があり、これに対してポリオレフィン系樹脂に感温
変色性組成物を直接配合させたものは、経日的にブリー
ドアウトするという欠点はあるが初期の変色機能は良好
で、その発色濃度も著るしく高いものが得られるという
ことが判明した。本考案者らは更に検討を重ねた結果、
感温変色性組成物をポリオレフィン系樹脂に直接配合し
て、これを芯成分とし、ポリエチレンテレフタレート、
ポリブチレンテレフタレート、ナイロン6又はナイロン
6.6などのような熱可塑性樹脂を鞘成分とする芯鞘型
複合繊維となせば、感温変色性組成物がポリオレフィン
系樹脂の系外にブリードアウトすることなく、変色機能
が経日的に安定で発色濃度が高く、更に繊維としての機
械的強度が優れ、表面が平滑で光沢が高い感温変色性繊
維が得られることを見出し、本考案を完成するに至っ
た。
【0006】すなわち、本考案は、酸顕色性物質、酸性
物質及び溶媒の3成分を0.1〜30重量%均一に含有
するポリオレフィン系樹脂を芯成分Aとし、ポリエチレ
ンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ナイ
ロンー6、ナイロンー66から選ばれた熱可塑性樹脂を
鞘成分Bとする芯鞘型複合繊維であって、該複合繊維の
複合比(芯A/鞘Bの重量比)が10/90〜90/1
0であることを特徴とする感温変色性複合繊維に係る。
【0007】
【実施例】以下に本考案の1実施例を添附図面にもとづ
き説明すると、次の通りである。本考案による感温変色
性複合繊維は、図1の断面図に示すように、芯成分Aと
鞘成分Bとの芯鞘型複合構造を有している。
【0008】芯成分Aはポリオレフィン系樹脂から構成
される。ポリオレフィン系樹脂としては特に制限はない
が、できるだけ曳糸性のよいものが適当である。好まし
い樹脂として、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン、エチレン−プロピレン共重合体樹脂などを例示でき
る。
【0009】一方、鞘成分Bはポリエチレンテレフタレ
ート、ポリブチレンテレフタレート、ナイロンー6、ナ
イロンー66から選ばれた熱可塑性樹脂から構成され
る。
【0010】なお、安定に溶融紡糸するためには、芯成
分A及び鞘成分Bに用いられる熱可塑性樹脂の分解温度
以下で紡糸を行ない、該紡糸条件の下での溶融粘度が一
般的に4000ポイズ以下、好ましくは500〜250
0ポイズの範囲にあるのが望ましく、従って紡糸温度及
び熱可塑性樹脂の分子量は上記範囲になるよう適宜選択
すればよい。また、通常繊維に用いられる添加剤、例え
ば紫外線吸収剤、酸化防止剤、染料、顔料、フォトクロ
ミック材料、蛍光増白剤、金属石ケン、界面活性剤、帯
電防止剤、揆水剤、難燃剤、防サビ剤、防虫剤等あるい
は酸化チタン、酸化ケイ素等の滑剤、さらには曳糸性を
損なわない範囲で他種ポリマーを添加してもよい。
【0011】芯成分Aには、感温変色性を付与するため
に、酸顕色性物質、酸性物質及び溶媒の3成分からなる
感温変色性組成物が均一に混入される。酸顕色性物質、
酸性物質及び溶媒としては、次のものを例示できる。
【0012】(酸顕色性物質) 3.3′−ジメトキシフルオラン、3.3′−ジブトキ
シフルオラン 3−クロル−6−フェニルアミノフルオラン 3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラ
ン 3−ジエチルアミノ−7.8−ベンゾフルオラン 3.3′−ビス(P−ジメチルアミノフェニル)−6−
ジメチルアミノフタリド 3.3′−ビス(P−ジメチルアミノフェニル)フタリ
ド 3−ジエチルアミノ−7−フェニルアミノフルオラン などの置換フェニルメタン、フルオラン誘導体、インド
リルフタリド類、スピロピラン、クマリン類などの1種
又は2種以上。
【0013】(酸性物質) フェノール類、オキシ芳香族カルボン酸、カルボン酸、
ベンゾトリアゾール類などの1種又は2種以上。
【0014】・フェノール類 ・フェニルフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノ
ールF、ビスフェノールS、2.2′−ビスフェノー
ル、フェノール樹脂オリゴマ−、P−クロロフェノール
ホルマリン樹脂、1.2−ジオキシナフタレン、4.
4′−チオビス(6−ターシャリーブチル−3−メチル
フェノール、2.2′−メチレン−ビス−(4−メチル
−6−ターシャリブチルフェノール) ・オキシ芳香族カルボン酸類 P−オキシ安息香酸アルキル、没食子酸アルキル、プロ
トカテキュ酸アルキル、サリチル酸アルキル、β−オキ
シナフトエ酸、レゾルシン酸など ・カルボン酸 フタル酸、トリメリット酸、1.2−オキシステアリル
酸、酒石酸、アンスラニル酸など ・ベンゾトリアゾール類 5−クロロベンゾトリアゾール、ビスベンゾトリアゾー
ル−5−メタン、ベンゾトリアゾール−5−カルボン酸
など (溶媒) アルコール類、アゾメチン類、エステル類、酸アマイ
ド、水酸基を有するエステル類など ・アルコール類 オクチルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコ
ール、ウラリルアルコール、ミリスチルアルコール、セ
チルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアル
コール、ドコシルアルコール、オレイルアルコール、ト
リメチロールプロパンなど ・アゾメチン類 ベンジリデン・アニリン、ベンジリデン・ブチルアミ
ン、P−メトキシベンジリデン・アニシジン、P−イソ
プロピルベンジリデンアニリン、1.4−ビスフェノー
ルアゾメチン ・エステル類 カプリル酸オクチル、カプリル酸デシル、カプリル酸ミ
リスチル、ラウリン酸デシル、ラウリン酸ラウリル、ラ
ウリン酸ミリスチル、ラウリン酸ラウリル、ミリスチン
酸デシル、ミリスチン酸ラウリル、ミリスチン酸セチ
ル、パルミリン酸ラウリル、パルミチン酸セチル、ステ
アリン酸ステアリル、グリセリンモノステアレート、P
−t−ブチル安息香酸セシル、4−メトキシ安息香酸ス
テアリル、安息香酸ステアリル、安息香酸ベンジル、サ
リチル酸ベンジル、ジプロピレングリコールジベンゾエ
ート、チオジプロピオン酸ジラウリル、チオジプロピオ
ン酸ジミリスチル、チオジプロピオン酸ジステアリル、
フタル酸ジラウリル、グリセリントリラウレート、ペン
タエリスリトールテトラステアレートなど ・水酸基を有するエステル類 ヒドロキシステアリン酸ステアリル、ヒドロキシステア
リン酸パルミチル、ヒドロキシステアリン酸ミリスチ
ル、ヒドロキシステアリン酸トリグリセライド、部分水
添下ヒマシ油、ペンタエリスリトール−ヒドロキシステ
アリン酸トリエステル、トリメチロールプロパン−ヒド
ロキシステアリン酸ジエステル、ミリスチン酸ジグリセ
ライド、パルミチン酸ジグリセライド、ステアリン酸ジ
グリセライド、ペンタエリスリトールステアリン酸ジエ
ステル、ペンタエリスリトールステアリン酸トリエステ
ル、トリメチロールプロパンパルミチン酸ジエステル、
ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレ
ート、ソルビタンモノヒドロキシステアレート、ショ糖
ステアリン酸ジエステル、ショ糖ステアリン酸トリエス
テル、ショ糖パルミチン酸ジエステル、ショ糖ヒドロキ
システアリン酸トリエステルなど酸アマイド類の具体例
としてはアセトアマイド、カプリル酸アマイド、ラウリ
ン酸アマイド、ミリスチン酸アマイド、ステアリン酸ア
マイド、オレイン酸アマイド、ビスステアリン酸アマイ
ド、アセトアセチルアマイド、アセトアニリド、パラト
ルエンスルフォアマイド、安息香酸アマイド、サリチル
酸アマイド、蓚酸アマイド、フタル酸アマイド、フタル
イミド、ジエチルユリア、チオ尿素、ジフェニル尿素、
ベンズイミダゾール等が挙げられる。溶媒類は単独で又
は2種以上を併用して使用できる。
【0015】本考案の感温変色性複合繊維は、芯成分A
のポリオレフィン系樹脂に上記の感温変色性組成物を熔
融して均一に混合した後、フレーク状又はペレット状と
なし、これを鞘成分Bと芯鞘型複合紡糸することにより
製造できる。該組成物の配合量は、芯成分Aの0.1〜
30重量%とする。0.1重量%未満では発色濃度が低
すぎて変色が目視し難くなり、また30重量%を越える
と繊維が劣化する傾向となるので、いずれも好ましくな
い。
【0016】また、感温変色性組成物を、芯成分Aを構
成するポリオレフィン系樹脂に混合する際に、熱可塑性
低分子量重合体を加えることが好ましい。該低分子量重
合体は感温変色性組成物のポリオレフィン系樹脂への相
溶性を高め、ブリードアウトを低減する効果を有する。
【0017】かかる低分子量重合体は、特に制限ないが
例えばα−エチレン、低分子量ポリエチレン、低分子量
ポリプロピレン、含フッ素オリゴマー、ポリイソブチレ
ン、低分子量ポリスチレン、石油樹脂などが例示でき、
分子量が200〜10000程度のものが好ましい。該
低分子量重合体はポリオレフィン系樹脂に対して1〜5
0重量%配合するのが望ましく、且つ、該低分子量重合
体と感温変色性組成物の配合比率は重量比で20/80
〜80/20とするのが好ましい。
【0018】以上に説明した芯成分Aと鞘成分Bとを複
合紡糸して芯鞘型複合繊維となすには従来より公知の方
法をそのまま採用できる。芯成分Aと鞘成分Bとの複合
比は重量比で10/90〜90/10(A/B)とする
必要がある。芯成分Aの量が10重量%未満になると変
色が目視し難くなり、一方90重量%を越えると繊維と
しての機械的強度が急激に低下する傾向となり、いずれ
も好ましくない。
【0019】以下に、本考案感温変色性複合繊維の製造
例1〜7と、各製造例より得られた製品の品質試験結果
を記す。尚次表に、各製造例に於て芯成分の溶融紡糸に
用いた芯成分の配合組成を No.1〜7として示し、その
番号は製造例の番号に対応している。尚 No.1〜2に於
ては、次表に示した配合組成物をV型タンブラーにて混
合した後、攪拌羽根を取り付けたステンレス製2重釜中
で220℃にて加熱熔融する。該溶融物をテーブル式フ
レーカーにて冷却して、フレーク状物を製造した。また
No.3〜7に於ては、次表に示した配合組成物を十分に
混合後、2軸押出機により溶融温度220℃にて押出
し、通常の水中冷却法にて冷却後、ペレタイザーにてペ
レット化しカラードペレットを製造した。
【0020】
【表1】
【0021】 (PSD−V)ロイコ染料 新日曹化工(株) 橙色 (PSD−O) 〃 〃 橙色 (CVL) ロイコ染料 保土谷化学
青紫色 (Y−1) 〃 山本化成(株)
黄色 (B−63) 〃 保土谷化学工業(株)
青色 (スミライザーWX)2.2′−チオビス(6−ターシ
ャリースチル−3メチルフェノール)住友化学工業
(株) (UBE−ポリプロS−115M)ポリプロピレン樹脂
(M.I15)宇部興産(株) (徳山ポリプロSE150)ポリプロピレン樹脂(M.
I14) 徳山ソーダー(株) (サンワックス165P)ポリエチレンオリゴマー
三洋化成工業(株) (ビスコースT−550)ポリプロピレンオリゴマ−
【0022】
【製造例1】表中 No.1のフレーク状物を30mmφ1
軸押出機にて溶融温度220℃で溶融し、吐出孔径1.
0mmφ、ホール数24個の同心円型芯鞘複合紡糸口金
を有するパックドーム(240℃)にギャポンプにて計
量しながら芯成分Aとして導入し、他方融点が218℃
であるナイロン6樹脂を30mmφ1軸押出機にて溶融
温度250℃で溶融し、同パックドームにギャポンプに
て計量しながら鞘成分Bとして導入し、巻取速度900
m/分にて通常のエステル系油剤を0.7%付着させ、
未延伸糸として巻取った。この未延伸糸は、500De
/24フィラメントであり、複合比率(A/B)は50
/50であった。この未延伸糸を延伸ローラー温度70
℃、セットローラー温度160℃、冷却ローラー温度室
温の延伸機にて、延伸倍率2.1倍にて延伸し巻き取
り、242Deの感温変色性複合繊維を得た。この繊維
の破断強度は5.8g/deであった。
【0023】またこの延伸糸は約20℃以下で桃色(図
2左参照)を呈し発色しているが、約30℃を越えると
無色(図2右参照)となり消色し、この変化を可逆的に
1000回くり返すことができ、しかも何ら物性が劣化
することはなかった。またこの繊維は表面が平滑で光沢
が高いので、衣料品、インテリア用品、産業資材、雑貨
等各種産業界に幅広く利用でき、その商品価値を著しく
高めることが可能である。
【0024】
【製造例2】No.1のフレーク状物を No.2のフレーク
状物に代える以外は製造例1と同様にして延伸糸を得
た。この延伸糸は235Deであり、その破断強度は
5.4g/ deであった。この延伸糸は製造例1のも
のと同様の変色機能及び平滑性、光沢を示した。しかも
その発色温度が製造例1のものに比べ、約4倍と極めて
高いものであった。
【0025】尚、 No.2のフレーク状物を押出機に充填
し、250℃で溶融し、孔径1.0mmφ、ホール数2
4個のノズルから吐出させ延伸、冷却して250Deの
延伸糸を得たところ、この延伸糸の破断強度は2.0g
/deであり、繊維の機械的強度が極めて不十分であ
り、更に初期の発色濃度は製造例2の糸とほぼ同一であ
ったが、短期間のうちにブリード・アウトが進行し、1
カ月後、発色濃度が1/2に減少し、しかも消色時に不
必要な残色が生じた。
【0026】
【製造例3】No.1のフレーク状物を No.3のカラード
ペレットに代える以外は製造例1と同様にして延伸糸を
得た。この延伸糸は235Deであり、その破断強度は
5.1g/deであった。この延伸糸は製造例2のもの
と同様の変色機能、発色濃度及び平滑性、光沢を示し
た。
【0027】
【製造例4】No.4のカラードペレットを製造例1と同
一紡糸機にて溶融温度220℃で溶融し、芯成分Aに、
他方鞘成分Bは融点255℃のナイロン66樹脂
(〔η〕=1.2)を溶融温度288℃で溶融し、パッ
クドーム(280℃)にそれぞれ導入し、未延伸糸を得
た。この未延伸糸は500De/24フィラメントであ
り、複合比率(A/B)は4/6であった。この未延伸
糸を延伸ローラー温度80℃、セットローラー温度17
5℃、冷却ローラー温度室温の延伸機にて延伸倍率2.
0倍にて延伸し巻き取った。この延伸糸は255Deで
あり、その破断強度は4.9g/deであった。この延
伸糸は約30℃以下では濃厚な橙色であったが、約40
℃以上の温水につけると完全な無色に変化した。この変
化を可逆的に1000回くり返した後も、何ら劣化しな
かった。
【0028】また繊維表面は平滑で、機械的強度も良好
であった。
【0029】
【製造例5】No.5のカラードペレットを製造例1と同
一紡機にて溶融温度220℃で溶融し芯成分Aに他方鞘
成分B側は融点256℃のポリエチレンテレフタレート
(〔η〕=0.60)を溶融温度295℃で溶融し、パ
ックドーム(283℃)にそれぞれ導入し、未延伸系8
00De/24フィラメントを紡速1000m/分にて
巻き取った。この未延伸糸を製造例1の延伸機を用い、
延伸ローラー温度90℃、セットローラー温度150℃
で延伸倍率3.3倍に延伸し、245De/24フィラ
メントとして、200m/分にて巻き取った。この糸の
破断強度5.2g/deであり、複合比率(A/B)は
6/4であった。この延伸糸は約35℃以下では極めて
濃厚な青紫色を呈し、約45℃以上の温風を当てると、
完全な無色に変化した。この変化を可逆的に1000回
くり返したが、何ら劣化しなかった。また、繊維表面は
滑らかで、編機、織機によって全くトラブルが起こらず
得られた織物同志を接圧200g/cm2 で5000回摩
擦後も熱変色機能は全く低下していなかった。
【0030】
【製造例6】No.5のカラードペレットを No.6のカラ
ードペレットに代える以外は製造例5と同様にして延伸
糸を得た。この延伸糸は245Deであり、破断強度は
5.3g/deであった。この延伸糸は約55℃以下で
は濃い黄色を呈しており、これに約65℃以上の熱風を
当てると完全な無色に変化した。なお、繊維の機械強
度、変色機能、平滑性、光沢共に製造例5と同様に優れ
たものであった。
【0031】
【製造例7】No.4のカラードペレットを No.7のカラ
ードペレットに代える以外は製造例4と同様にして延伸
糸を得た。この延伸糸は255Deであり、破断強度は
4.9g/deであった。
【0032】この延伸糸は約20℃以上では、濃厚な青
色を呈しているが約30℃以上で完全な無色に変化し
た。なお繊維の機械的強度、変色機能、平滑性、光沢共
に製造例4と同様に優れたものであった。以下に比較例
を挙げる。
【比較例1】表1中、No.1に於ける徳山ポリプロS
E150(96重量部)を製造例1に於ける鞘成分たる
ナイロン6樹脂(96重量部)に置き換える以外は全て
表中No.1のものと同様にしてフレーク状物を得た。
かかるフレーク状物を用いると共に、鞘成分として徳山
ポリプロSE150を用いることを除き、他は全て製造
例1と同様にして芯鞘型複合繊維を得た。該フレーク状
物は、20℃以下の温度に於いても消色したままであ
り、いずれの温度に於いても全く発色せず、得られた複
合繊維に於いても一切変色挙動は観察されなかった。
【比較例2〜3】比較例1に於けるナイロン6樹脂をナ
イロン66樹脂(製造例4の鞘成分)、ポリエチレンテ
レフタレート(製造例5の鞘成分)にそれぞれ置き換え
る以外は全て比較例1と同様にして複合繊維を得た。た
だし、フレーク状物製造工程に於けるステンレス製2重
釜の溶融温度は、上記樹脂の融点以上とした。得られた
複合繊維は、いずれも一切変色挙動を示さなかった。
【比較例4〜7】製造例1に於いて鞘成分として用いら
れるナイロン6樹脂を、ポリエチレン、ポリスチレン、
アクリル樹脂、ウレタン樹脂にそれぞれ置き換える以外
は、全て製造例1と同様にして芯鞘型複合繊維を得た。
このようにして得られた複合繊維は、いずれも初期に於
いては製造例1のものとほぼ同様の機能を示したが、3
月後において、発色濃度が大幅に減少すると共に、消
色時に不必要な残色が生じ、いずれもその性能が製造例
1の物に比べ劣っていた。
【0033】
【考案の効果】本考案に於ては、感温変色性物質を含有
しないポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレ
フタレート、ナイロンー6、ナイロンー66から選ばれ
た熱可塑性樹脂を鞘成分とし、感温変色性組成物を含有
するポリオレフィン系樹脂を芯成分として、感温変色性
複合繊維を構成したので、変色機能の経日安定性、発色
濃度、表面の平滑性、光沢、繊維の機械的強度のどれを
とっても、従来のものと比べ大幅に優れたものとなり、
その産業利用性を大幅に拡大できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の1実施例を示す拡大断面図である。
【図2】発色と消色の可逆的変化状態を示す斜視図であ
る。
【符号の説明】
A 芯成分 B 鞘成分

Claims (1)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】酸顕色性物質、酸性物質及び溶媒の3成分
    を0.1〜30重量%均一に含有するポリオレフィン系
    樹脂を芯成分Aとし、ポリエチレンテレフタレート、ポ
    リブチレンテレフタレート、ナイロンー6、ナイロンー
    66から選ばれた熱可塑性樹脂を鞘成分Bとする芯鞘型
    複合繊維であって、該複合繊維の複合比(芯A/鞘Bの
    重量比)が10/90〜90/10であることを特徴と
    する感温変色性複合繊維。
JP1991011867U 1991-03-06 1991-03-06 感温変色性複合繊維 Expired - Lifetime JP2504032Y2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP1991011867U JP2504032Y2 (ja) 1991-03-06 1991-03-06 感温変色性複合繊維

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP1991011867U JP2504032Y2 (ja) 1991-03-06 1991-03-06 感温変色性複合繊維

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH04110764U JPH04110764U (ja) 1992-09-25
JP2504032Y2 true JP2504032Y2 (ja) 1996-07-03

Family

ID=31900929

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP1991011867U Expired - Lifetime JP2504032Y2 (ja) 1991-03-06 1991-03-06 感温変色性複合繊維

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2504032Y2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4610022B2 (ja) * 2005-02-23 2011-01-12 パイロットインキ株式会社 フォトクロミック複合繊維及びそれを用いたフォトクロミック製品、フォトクロミック製品セット
MX2008002463A (es) * 2005-09-13 2008-04-07 Sca Hygiene Prod Ab Articulo absorbente con propiedades de cambio de color.

Family Cites Families (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5077616A (ja) * 1973-11-19 1975-06-25
JPS59144613A (ja) * 1983-02-04 1984-08-18 Fujii Keori Kk 衣料用糸及びその製造方法
JPS61179389A (ja) * 1985-01-30 1986-08-12 パイロツトインキ株式会社 熱変色性繊維
JPS6297918A (ja) * 1985-10-21 1987-05-07 Teijin Ltd 導電性繊維
JPS62184114A (ja) * 1986-01-31 1987-08-12 Kanegafuchi Chem Ind Co Ltd 感温変色性アクリル系繊維
JPS6394995A (ja) * 1986-10-09 1988-04-26 Fuji Photo Film Co Ltd 乳酸定量用一体型多層分析要素
JPH0241415A (ja) * 1988-07-25 1990-02-09 Mitsubishi Rayon Co Ltd 原着繊維
JP2824130B2 (ja) * 1989-07-25 1998-11-11 株式会社クラレ 感温変色性複合繊維

Also Published As

Publication number Publication date
JPH04110764U (ja) 1992-09-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2009300986A (ja) 温度時間経歴を表示する流通履歴表示ラベル
CA2105126C (en) Shelf stable nonwoven fabrics and films
JP2504032Y2 (ja) 感温変色性複合繊維
JPH04202811A (ja) フォトクロミック複合繊維
KR100366831B1 (ko) 폴리올레핀수지조성물및수지필름
JP2595107B2 (ja) 感温変色性複合繊維
IL148023A (en) Colored cellulose bodies are designed
JP3677365B2 (ja) 可逆熱変色性ポリオレフィン繊維
JP3554620B2 (ja) 吸放湿性を有する生分解性複合繊維とその製造法
JP7378412B2 (ja) 可逆熱変色性複合繊維
JPS6248691B2 (ja)
JP4112389B2 (ja) 感温変色性複合繊維
JP4286387B2 (ja) 感温変色性繊維及びその製法
JPH05163426A (ja) 近赤外線吸収ポリカーボネート系樹脂組成物及びその成形体
JP2007100260A (ja) セルロース脂肪酸エステル組成物およびそれからなる繊維およびその製造方法
US5422382A (en) Substituted xanthene compounds
JPH0515804B2 (ja)
JPH0382812A (ja) 感温変色性熱可塑繊維
JPS6261065B2 (ja)
JPH05187930A (ja) 可逆性熱変色材料
JP2007091871A (ja) セルロース脂肪酸エステル組成物およびそれからなる繊維およびその製造方法
JP2018059216A (ja) 海島型複合繊維およびそれからなる布帛
JP2002004131A (ja) 光可逆変色性ポリオレフィン溶融紡糸体
JP2007297494A (ja) 紫外線遮蔽性組成物、その製造方法、それらの使用方法およびそれらを使用した物品
JPH0340809A (ja) ポリオレフィン樹脂繊維