JP2022180915A - 電動駆動システム - Google Patents

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健 徳山
Takeshi Tokuyama
公則 澤畠
Kiminori Sawahata
英明 後藤
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Abstract

【課題】交流銅損を低減し、かつ循環電流の発生を防止することにより、高効率の電動駆動システムを提供する。【解決手段】電動駆動システムは、回転電機と駆動装置を備える。回転電機のステータコイルは、基準位相と空間的に位相差0°でステータコアに装着される第1系統巻線160Aと、基準位相と空間的に位相差n°でステータコアに装着される第2系統巻線160Bとを有する。第1、第2系統巻線160A,160Bは、それぞれ、外径側コイルにより形成される第1回路C11,C21と、外径側コイルよりも厚みが小さい内径側コイルにより形成される並列回路である第2回路C12,C22とが直列に接続される。駆動装置は、第1、第2系統巻線160A,160Bに接続される第1、第2インバータ171A,171Bを有し、第1、第2系統巻線160A,160Bに対し、時間的にn°の位相差で電圧を印加する。【選択図】図5

Description

本発明は、電動駆動システムに関する。
ステータとロータを備え、ステータコイルに電力を供給することで回転磁界を発生させ、この回転磁界によってロータを回転させる回転電機が知られている(特許文献1参照)。特許文献1には、ヘリカル巻シート状コイルが、シート厚さ方向に複数枚積層されて電気的に接続された3相回転電機のステータコイルが開示されている。ヘリカル巻シート状コイルは、コイル導体が、ヘリカル状につながり波巻き構成となるようにステータコアに巻装されている。
複数枚のヘリカル巻シート状コイルは、ヘリカル巻シート状コイル間において同相の相コイルが直列接続されている直列接続部と、ヘリカル巻シート状コイル間において同相の相コイルが並列接続されている並列接続部と、を有する。特許文献1に記載の回転電機では、ロータ近辺のコイル導体に発生する交流銅損を低減することにより、回転電機の高効率化を図るために、ロータに近接する並列接続部のコイル導体の導体断面積が、直列接続部のコイル導体の導体断面積の並列数分の1とされている。
特開2014-090615号公報
回転電機を駆動する電動駆動システムでは、ステータコイルによって並列回路が形成される場合に、循環電流に起因した損失が発生することがある。このため、並列回路が形成される場合には、循環電流の発生を防止することが重要である。
本発明は、交流銅損を低減し、かつ循環電流の発生を防止することにより、高効率の電動駆動システムを提供することを目的とする。
本発明の一態様による電動駆動システムは、ステータと前記ステータの内周側に回転可能に配置されるロータとを有する回転電機と、前記回転電機に電力を供給する駆動装置と、を備える。前記ステータは、平角線からなるステータコイルと、前記ステータコイルが配置される複数のスロットを有するステータコアと、を有する。前記ステータコイルは、前記ステータコアに波巻きで装着される複数の系統巻線を有する。前記複数の系統巻線は、基準位相と空間的に位相差0°で前記ステータコアに装着される第1系統巻線と、前記基準位相と空間的に位相差n°で前記ステータコアに装着される第2系統巻線と、を有する。前記n°は、360°/(前記スロットの数/極対数)である。前記第1系統巻線及び前記第2系統巻線は、それぞれ、前記ステータコアの外径側のコイル導体により形成される第1回路と、前記ステータコアの内径側のコイル導体により形成される並列回路である第2回路と、が直列に接続される。前記内径側のコイル導体は、前記外径側のコイル導体よりも厚みが小さい。前記駆動装置は、前記第1系統巻線に接続される第1インバータと、前記第2系統巻線に接続される第2インバータと、を有する。前記駆動装置は、前記第1系統巻線及び前記第2系統巻線に対し、時間的に前記n°の位相差で電圧を印加する。
本発明によれば、交流銅損を低減し、かつ循環電流の発生を防止することにより、高効率の電動駆動システムを提供することができる。
図1は電動駆動システムの構成を示す図である 図2は電動駆動システムの側面断面模式図である。 図3は回転電機の一部を示す平面断面模式図である 図4はステータの斜視図であり、ステータの一端側を示す。 図5はステータコイルの結線図である。 図6はステータコアのスロット内に配置される相巻線の位置を説明するための模式図である。 図7は第1回路と第2回路の接続構造について説明する図である。 図8はU1相巻線及びU2相巻線に発生する誘起電圧について説明する図である。 図9は、同じ厚みのスロット内導体を有する回路と、異なる厚みのスロット内導体を有する回路との構成及び効果の違いについて説明する図である。 図10は、循環電流が発生する並列回路Cp3と、循環電流の発生が防止された並列回路Cp4について説明する図である。 図11は、第1系統巻線と第2系統巻線との間で循環電流が発生する回路と、第1系統巻線と第2系統巻線との間で循環電流の発生が防止された回路について説明する図である。 図12は、本実施形態の変形例1-1に係るステータコイルの配置構成について示す図である。 図13は、本実施形態の変形例1-2に係るステータコイルの配置構成について示す図である。 図14は、本実施形態の変形例1-1及び変形例1-2に係る回転電機のトルク波形図である。 図15は、本実施形態の変形例2に係る電動駆動システムの側面断面模式図である。
図面を参照して、本発明の実施形態に係る電動駆動システムについて説明する。本実施形態に係る電動駆動システムは、自動車の走行の駆動源として用いることが好適な電動駆動システムである。本実施形態に係る電動駆動システムは、例えば、エンジンと回転電機の双方によって駆動されるハイブリッド型の電気自動車、回転電機のみによって走行する純粋な電気自動車に適用できる。
図1は電動駆動システム10の構成を示す図であり、図2は電動駆動システム10の側面断面模式図である。図1及び図2に示すように、電動駆動システム10は、回転電機110と、回転電機110に電力を供給する駆動装置170と、を備える。図1に示すように、駆動装置170は、蓄電装置179と、第1インバータ171Aと、第2インバータ171Bと、制御回路基板175と、駆動回路基板173A,173Bと、回転電機110の電流を検出する電流センサ172A,172Bとを備えている。
蓄電装置179は、キャパシタ、あるいはリチウムイオン電池、ニッケル水素電池などの二次電池で構成され、250ボルトから600ボルト、あるいはそれ以上の高電圧の直流電力を出力する電源装置である。蓄電装置179は、力行走行時には回転電機110に電力を供給し、回生走行時には回転電機110から電力を受ける。蓄電装置179と回転電機110との間の電力の授受は、電力変換装置である第1インバータ171A及び第2インバータ171Bを介して行われる。
回転電機110による回転トルクは、変速機180(図2参照)とデファレンシャルギア(不図示)を介して車輪に伝達され、電気自動車(車両とも記す)が走行する。駆動装置170は、統合制御装置(不図示)からのトルク指令に基づき、指令通りのトルク出力あるいは発電電力が発生するように回転電機110を制御する。
第1インバータ171A及び第2インバータ171Bは、複数のパワー半導体素子を有する。駆動装置170は、統合制御装置(不図示)からの指令に基づきパワー半導体素子のスイッチング動作を制御する。パワー半導体素子のスイッチング動作により、回転電機110は電動機としてあるいは発電機として運転される。第1インバータ171A及び第2インバータ171Bは、DC電圧からパワー半導体素子のスイッチング動作(オン・オフ)により矩形波を生成し、模擬的に交流電圧を生成する。駆動装置170は、パワー半導体素子のスイッチング動作の周期やタイミングを制御することにより、交流電圧の大きさや周波数を制御する。
第1インバータ171Aと第2インバータ171Bとは同一の蓄電装置(電源装置)179に接続されている。つまり、第1インバータ171Aと第2インバータ171BのDCリンク電圧が共有化されている。この構成では、1つの蓄電装置179のDCリンク電圧から、2つのインバータ171A,171Bによって2つの電圧を出力することができる。また、DCリンク電圧を共有化することにより、電動駆動システム10を低コスト化できる。
回転電機110を電動機として運転する場合は、蓄電装置179からの直流電力が第1インバータ171A及び第2インバータ171Bの直流端子に供給される。駆動装置170は、パワー半導体素子のスイッチング動作を制御して供給された直流電力を3相交流電力に変換し、回転電機110に供給する。一方、回転電機110を発電機として運転する場合には、回転電機110のロータが外部から加えられる回転トルクで回転駆動され、ステータコイルに3相交流電力が発生する。発生した3相交流電力は駆動装置170で直流電力に変換され、その直流電力が蓄電装置179に供給されることにより、蓄電装置179が充電される。
駆動回路基板173Aには、第1インバータ171Aのパワー半導体素子のスイッチング動作を制御する駆動回路174Aが設けられている。駆動回路基板173Bには、第2インバータ171Bのパワー半導体素子のスイッチング動作を制御する駆動回路174Bが設けられている。
制御回路基板175には、駆動回路174A,174Bに制御信号を出力する制御回路176が設けられている。駆動回路174A,174Bは、制御回路176から出力された制御信号に基づいて、パワー半導体素子を駆動させるための駆動信号を発生する。
制御回路176は各インバータ171A,171Bを制御する制御装置を構成している。制御回路176は、複数のパワー半導体素子を動作(オン・オフ)させるための制御信号(制御値)を演算するマイクロコンピュータによって構成される。制御回路176には、統合制御装置(不図示)からのトルク指令信号(トルク指令値)、電流センサ172A,172Bのセンサ出力、回転電機110に搭載された回転センサ(不図示)のセンサ出力が入力される。制御回路176は、それらの入力信号に基づいて制御値を演算し、駆動回路174A,174Bにパワー半導体素子のスイッチング動作を制御するための制御信号(指令)を出力する。
制御回路176、第1インバータ171Aと第2インバータ171Bとで共通に使用される。つまり、第1インバータ171Aと第2インバータ172には同一の制御回路(制御装置)176からの指令が入力される。制御回路176を共通化することにより、電動駆動システム10を低コスト化できる。
図2を参照して、電動駆動システム10の構造について説明する。図2に示すように、電動駆動システム10は、回転電機110と、駆動装置170と、変速機180と、それらを収容する筐体190と、を備える。
筐体190は、回転電機110を収容するモータハウジング191と、駆動装置170を収容するインバータハウジング197と、変速機180を収容するギヤハウジング198と、を有する。モータハウジング191とインバータハウジング197とは、ボルト、ナット等の締結部材17によって締結されることにより一体化されている。回転電機110と駆動装置170が1パッケージ化されているため、回転電機110と駆動装置170を個別に車両へ取り付ける場合に比べて、車両への取付作業を向上できる。また、回転電機110と駆動装置170とを別々に配置させる場合に比べてケーブルを省略することができる。これにより、電動駆動システム10の軽量化を図ることができ、さらにノイズを低減することもできる。
ギヤハウジング198は、図示しない締結部材によりモータハウジング191に締結される。
回転電機110は、例えば、永久磁石埋込型の三相同期電動発電機である。回転電機110は、モータハウジング191に固定された円筒状のステータ130と、ステータ130の内周側に隙間をあけて回転可能に配置される円筒状のロータ150とを有する。なお、以下の説明において、「軸方向」、「周方向」、「径方向」とは、次のとおりである。「軸方向」とは、回転電機110(ロータ150)の回転中心軸Caに沿う方向である。なお、回転中心軸Caは、ステータ130の中心軸と一致する。「周方向」とは、回転電機110の回転方向(ロータ150の回転方向)に沿う方向、すなわち軸方向に直交しかつ回転中心軸Caを中心とする円周方向である。「径方向」とは、回転電機110の回転中心軸Ca及び周方向に直交する方向、すなわち半径方向である。また、「内周側」は径方向内側(内径側)を指し、「外周側」はその逆方向、すなわち径方向外側(外径側)のことを指す。
図3及び図4を参照して、ステータ130について説明する。図3は回転電機110の一部を示す平面断面模式図であり、図4はステータ130の斜視図であり、ステータ130の一端側を示す。図3及び図4に示すように、ステータ130は、円筒状のステータコア131と、ステータコア131に装着されるステータコイル160とを有する。ステータコア131は、例えば、円環形状の電磁鋼板を複数枚積層することにより形成される。ステータコア131は、モータハウジング191(図2参照)の内側に嵌合固定される。
ステータコア131の内周部には、ステータコア131の中心軸方向に平行な複数(本実施形態では48個)のスロット133が形成される。スロット133は、ステータコア131の径方向に沿って互いに平行な側面を有する半閉平行スロットである。つまり、スロット133は、外周端からティース134の鍔部まで一定の周方向幅を有する。スロット133には、ステータコイル160を構成するU相、V相、W相の複数の相巻線が配置される。複数のスロット133は、ステータコア131の円周方向に等間隔で形成される。
スロット133間にはティース134が形成される。複数のティース134は環状のコアバック135から回転中心軸Caに向かって突出するように形成されている。ティース134は径方向の磁路を形成し、コアバック135は周方向の磁路を形成する。ティース134は、ステータコイル160によって発生した回転磁界をロータ150に導き、ロータ150に回転トルクを発生させる。
図2及び図3を参照して、ロータ150について説明する。図2及び図3に示すように、ロータ150は、ロータコア151と、ロータコア151に固定される複数の永久磁石152と、ロータコア151の貫通孔に固定されるシャフト159とを備える。図2に示すように、シャフト159が筐体190に設けられた複数の軸受によって支承されることにより、ロータ150がステータコア131の内側で回転可能に保持される。
ロータコア151は、例えば、円環形状の電磁鋼板を複数枚積層することにより形成される。永久磁石152は、ロータ150の界磁極を形成する。永久磁石152には、ネオジウム系、サマリウム系の焼結磁石、フェライト磁石、ネオジウム系のボンド磁石などを用いることができる。
図3に示すように、ロータコア151には、直方体形状の磁石挿入孔153が外周部近傍において周方向に等間隔で形成されており、各磁石挿入孔153には永久磁石152が埋め込まれ、接着剤などで固定されている。磁石挿入孔153の周方向の幅は、永久磁石152の周方向の幅よりも大きい。永久磁石152の周方向両端と磁石挿入孔153の周方向両端との間には磁気的空隙が形成される。この磁気的空隙には接着剤を埋め込んでもよいし、樹脂で永久磁石152と一体に固めてもよい。
永久磁石152の磁化方向は径方向を向いており、界磁極毎に磁化方向の向きが反転している。つまり、ある磁極を形成するための永久磁石152のステータ130側の面がN極、シャフト159側の面がS極に磁化されていたとすると、隣の磁極を形成する永久磁石152のステータ130側の面はS極、シャフト159側の面はN極に磁化されている。
図3~図7を参照してステータコイル160について説明する。図4に示すように、ステータコア131には、ステータコイル160が分布巻き(波巻き)で巻き回されている。分布巻きとは、複数のスロット133を跨いで離間した二つのスロット133に相巻線が収納されるように、相巻線がステータコア131に巻かれる巻線方式である。
ステータコイル160は、U字形状の複数のセグメント導体165が波状に接続されることで形成される。セグメント導体165は、中央部がステータ130の軸方向一方のコイルエンド162Aを構成する。セグメント導体165の両側の端部は、溶接されてステータ130の軸方向他方のコイルエンド162Bを構成する。
図3及び図4に示すように、ステータコイル160は、ステータコア131のスロット133内に配置されるコイル導体(以下、スロット内導体と記す)161と、ステータコア131の両端からスロット133外に突出して配置されるコイル導体であるコイルエンド162A,162Bとを有する。ステータコイル160は、断面が矩形状であり、例えば、銅を主成分とした導体(導線)にエナメル被膜等の絶縁被膜が覆われた平角線により形成される。スロット133内に配置されるスロット内導体161は、その径方向の長さ(以下、コイル高さとも記す)Hi,Hoが、その周方向の長さ(以下、コイル幅とも記す)Bに比べて小さい。
図3のスロット拡大図に示すように、1つのスロット133内に、矩形断面を有する6本のスロット内導体161が径方向に1列に並んで配置されている。つまり、スロット133には、複数のスロット内導体(コイル導体)161が、径方向に層状に配置されている。以下、各スロット内導体161が配置されるスロット133内のコイル導体の収容部を、スロット133の内周側(スロット開口側)から外周側に向かって順に1層目L1、2層目L2、3層目L3、4層目L4、5層目L5、6層目L6と称する。
スロット133の1層目L1及び2層目L2に配置されるコイル導体を第1内径側コイル160iaと記し、スロット133の3層目L3及び4層目L4に配置されるコイル導体を第2内径側コイル160ibと記し、スロット133の5層目L5及び6層目L6に配置されるコイル導体を外径側コイル160oと記す。つまり、外径側コイル160oは、ステータコア131の外径側に配置されるコイル導体により形成され、内径側コイル160ia,160ibは、ステータコア131の内径側に配置されるコイル導体により形成される。
第1内径側コイル160ia及び第2内径側コイル160ibのスロット内導体161のコイル高さ(厚み)Hiは、外径側コイル160oのスロット内導体161のコイル高さ(厚み)Hoよりも小さい(Hi<Ho)。本実施形態では、第1内径側コイル160ia及び第2内径側コイル160ibのスロット内導体161のコイル高さ(厚み)Hiは、外径側コイル160oのスロット内導体161のコイル高さ(厚み)Hoの半分である(Hi=(1/2)Ho)。
スロット133の内周面とスロット内導体(コイル導体)161との間、及び、スロット133内の複数のスロット内導体(コイル導体)161同士の間には、絶縁材169が設けられている。絶縁材169は、例えば、ワニスであり、スロット133の内周面とコイル導体との間及び隣接するコイル導体間に充填される。なお、絶縁材169は、非導電性の物質であればよく、ワニスに限定されない。例えば、絶縁材169には、絶縁紙を採用してもよい。スロット133内に絶縁紙を設けた上でワニスを充填してもよい。これにより、回転電機110の絶縁信頼性を向上することができる。
図5はステータコイル160の結線図である。ステータコイル160は、ステータコア131に波巻きで装着される複数の系統巻線を有している。本実施形態では、ステータコイル160は、第1インバータ171Aに接続される第1系統巻線160Aと、第2インバータ171Bに接続される第2系統巻線160Bとを有している。第1系統巻線160Aは、U1,V1,W1の相巻線で構成され、第2系統巻線160Bは、U2,V2,W2の相巻線で構成される。各相巻線(U1,U2,V1,V2,W1,W2相巻線)は、スロット133によって相互に適正な間隔をもって配列される。
U1相巻線、V1相巻線、W1相巻線は、スター結線(Y結線)により接続される。U1相巻線、V1相巻線及びW1相巻線は、一端側が中性点で接続され、他端側が第1インバータ171Aに接続される。U2相巻線、V2相巻線、W2相巻線は、スター結線(Y結線)により接続される。U2相巻線、V2相巻線及びW2相巻線は、一端側が中性点で接続され、他端側が第2インバータ171Bに接続される。
U1,V1,W1相巻線及びU2,V2,W2相巻線はそれぞれ6つの周回巻線で構成されている。周回巻線は、複数のセグメント導体165が接続されることにより、ステータコア131を機械的に1周する巻線である。本実施形態では、8つのセグメント導体165によって1つの周回巻線が形成される。例えば、第1系統巻線160AのU1相巻線は複数の周回巻線u12A0,u12B0,u34A0,u34B0,u56A0,u56B0を有し、第2系統巻線160BのU2相巻線は周回巻線u12A30,u12B30,u34A30,u34B30,u56A30,u56B30を有している。
図6はステータコア131のスロット133内に配置される相巻線の位置を説明するための模式図である。本実施形態では、電気角360度にスロット133が12個配置されており、例えば、図6のスロット番号「1」からスロット番号「12」までが2極分(1磁極対分)に相当する。電気角1周期分のスロット133の数は、全スロット数(48スロット)を極対数(4極対)で割ることにより求められる。なお、極対数とは、N極とS極のペアの個数であり、回転電機110の極数/2に相当する。
回転電機110の毎極スロット数は6であり、毎極毎相スロット数NSPPは2(NSPP=スロット数/極数/相数=48スロット/8極/3相=6/3)である。各スロット133には、スロット内導体161が6本ずつ挿通されている。図中、ステータコア131の一方側から反対側への方向を示すクロス印「×」、その逆の方向を示す黒丸印「●」をそれぞれ記した。なお、図6では、U1相巻線を構成する周回巻線u12A0,u12B0,u34A0,u34B0,u56A0,u56B0及びU2相巻線を構成する周回巻線u12A30,u12B30,u34A30,u34B30,u56A30,u56B30について示し、V1相巻線、V2相巻線、W1相巻線及びW2相巻線を構成するコイル導体の位置については、相を表す符号V,Wを示す。
回転電機110はスロット133の数が48であるため、隣接するスロット133間の距離であるスロットピッチは、機械角で7.5°である。これは、空間的に電気角30°の位相差に相当する。隣接するスロット133間の位相差は、360°を電気角1周期分のスロット133の数である12で割ることで求められる。
1層目L1及び2層目L2に配置される周回巻線u12A0と周回巻線u12A30とは、空間的に電気角30°の位相差を持ち、周回巻線u12B0と周回巻線u12B30とは、空間的に電気角30°の位相差を持つ。3層目L3及び4層目L4に配置される周回巻線u34A0と周回巻線u34A30とは、空間的に電気角30°の位相差を持ち、周回巻線u34B0と周回巻線u34B30とは、空間的に電気角30°の位相差を持つ。5層目L5及び6層目L6に配置される周回巻線u56A0と周回巻線u56A30とは、空間的に電気角30°の位相差を持ち、周回巻線u56B0と周回巻線u56B30とは、空間的に電気角30°の位相差を持つ。
このように、U1相巻線とU2相巻線は空間的に電気角30°の位相差を持つように配置される。同様に、V1相巻線とV2相巻線は空間的に電気角30°の位相差を持つように配置され、W1相巻線とW2相巻線は空間的に電気角30°の位相差を持つように配置される。
本実施形態では、第1系統巻線160Aと第2系統巻線160Bが、空間的に電気角30°の位相差を持つように、ステータコア131に装着されている。別の言い方をすれば、第1系統巻線160Aは、基準位相と空間的に位相差0°でステータコア131に装着され、第2系統巻線160Bは、基準位相と空間的に位相差30°でステータコア131に装着されている。ここで、基準位相とは、第1系統巻線160Aが装着されるスロット133の位相のことを指す。第1系統巻線160Aと第2系統巻線160Bの空間的な位相差n°は、360°/(スロット133の数/極対数)に相当する。
図5に示すように、第1系統巻線160AのU1相巻線において、外径側コイル160oによって形成される第1回路C11と、内径側コイル160ia,160ibによって形成される第2回路C12とは直列に接続されている。第1回路C11は、スロット133の5層目L5及び6層目L6に配置される周回巻線u56A0と周回巻線u56B0とが直列に接続された直列回路である。第2回路C12は、第1の直列回路Cs11と第2の直列回路Cs12とが並列に接続された並列回路である。第1の直列回路Cs11は、スロット133の1層目L1及び2層目L2に配置される周回巻線u12A0と、スロット133の3層目L3及び4層目L4に配置される周回巻線u34A0とが直列に接続された直列回路である。第2の直列回路Cs12は、スロット133の1層目L1及び2層目L2に配置される周回巻線u12B0と、スロット133の3層目L3及び4層目L4に配置される周回巻線u34B0とが直列に接続された直列回路である。
第2系統巻線160BのU2相巻線において、外径側コイル160oによって形成される第1回路C21と、内径側コイル160ia,160ibによって形成される第2回路C22とは直列に接続されている。第1回路C21は、スロット133の5層目L5及び6層目L6に配置される周回巻線u56A30と周回巻線u56B30とが直列に接続された直列回路である。第2回路C22は、第1の直列回路Cs21と第2の直列回路Cs22とが並列に接続された並列回路である。第1の直列回路Cs21は、スロット133の1層目L1及び2層目L2に配置される周回巻線u12A30と、スロット133の3層目L3及び4層目L4に配置される周回巻線u34A30とが直列に接続された直列回路である。第2の直列回路Cs22は、スロット133の1層目L1及び2層目L2に配置される周回巻線u12B30と、スロット133の3層目L3及び4層目L4に配置される周回巻線u34B30とが直列に接続された直列回路である。なお、V相巻線及びW相巻線における回路構成は、U相巻線の回路構成と同様であるので、説明を省略する。
U1相巻線の第1の直列回路Cs11を構成する1層目L1及び2層目L2に配置される周回巻線の数と、第2の直列回路Cs12を構成する1層目L1及び2層目L2に配置される周回巻線の数は一致する。また、U1相巻線の第1の直列回路Cs11を構成する3層目L3及び4層目L4に配置される周回巻線の数と、第2の直列回路Cs12を構成する3層目L3及び4層目L4に配置される周回巻線の数は一致する。
同様に、U2相巻線の第1の直列回路Cs21を構成する1層目L1及び2層目L2に配置される周回巻線の数と、第2の直列回路Cs22を構成する1層目L1及び2層目L2に配置される周回巻線の数は一致する。また、U2相巻線の第1の直列回路Cs21を構成する3層目L3及び4層目L4に配置される周回巻線の数と、第2の直列回路Cs22を構成する3層目L3及び4層目L4に配置される周回巻線の数は一致する。
このように、本実施形態では、スロット133の内周側から外周側に向かって順に1層目、2層目、・・・、m層目、m+1層目とした場合、第1の直列回路Cs11を構成するs,s+1層目(sは、1~mまでの奇数)に配置される周回巻線の数と、第2の直列回路Cs12を構成するs,s+1層目に配置される周回巻線の数が同じである。なお、U1相巻線を構成する周回巻線は、U字状のセグメント導体165が2つ接続されることにより形成される波状コイルが、4つ接続されることにより形成される。このため、第1の直列回路Cs11を構成するs,s+1層目に配置される波状コイルの数と、第2の直列回路Cs12を構成するs,s+1層目に配置される波状コイルの数とが一致しているともいえる。これにより、並列回路である第2回路C12に循環電流が発生することを防止できる。
同様に、第1の直列回路Cs21を構成するs,s+1層目(sは、1~mまでの奇数)に配置される周回巻線の数と、第2の直列回路Cs22を構成するs,s+1層目に配置される周回巻線の数が同じである。なお、U2相巻線を構成する周回巻線は、U字状のセグメント導体165が2つ接続されることにより形成される波状コイルが、4つ接続されることにより形成される。このため、第1の直列回路Cs21を構成するs,s+1層目に配置される波状コイルの数と、第2の直列回路Cs22を構成するs,s+1層目に配置される波状コイルの数とが一致しているともいえる。これにより、並列回路である第2回路C22に循環電流が発生することを防止できる。さらに、U1相及びU2相と同様の回路構成であるV1相、V2相、W1相及びW2相における並列回路(第2回路)においても、循環電流が発生することを防止できる。
図7を参照して、第1回路C11,C21と第2回路C12,C22の接続構造について説明する。U1相巻線の第1回路C11と第2回路C12の接続構造と、U2相巻線の第1回路C21と第2回路C22の接続構造は同様であるので、U1相巻線の第1回路C11と第2回路C12の接続構造を代表して説明する。
図7に示すように、第1回路C11と第2回路C12とは、スロット133の外側において、接続用導体168によって接続される。接続用導体168は、例えば、矩形平板状の銅板により形成され、溶接等により第1回路C11の引出し線と第2回路C12の引出し線とに接続される。
上述したように、第1回路C11のコイル導体の厚み(コイル高さHo)と、第2回路C12のコイル導体の厚み(コイル高さHi)とは異なる(図3参照)。厚みの異なるコイル導体を突き合わせ等で直接溶接する場合、溶接作業が難しい。
これに対して、本実施形態では、接続用導体168を第1回路C11の引出し線の側面と第2回路C12の引出し線の側面のそれぞれに溶接する。つまり、接続用導体168と第1回路C11とが溶接部を介して接続されるとともに、接続用導体168と第2回路C12とが溶接部を介して接続される。第1回路C11と第2回路C12を直接接続するのではなく接続用導体168を介して接続することにより、第1回路C11と第2回路C12とを容易に接続することができる。このため、回転電機110の製造コストを低減することができる。なお、接続用導体168は、銅板に限らず、リード線などの導電部材であってもよい。
図8を参照して、U1相巻線及びU2相巻線に発生する誘起電圧について説明する。誘起電圧は、コイルに鎖交する磁束に起因して発生する。上述したように、第1系統巻線160Aと第2系統巻線160Bとが、空間的な位相差n°(=30°)を有している。このため、駆動装置170は、第1系統巻線160A及び第2系統巻線160Bに対し、時間的にn°(=30°)の位相差で電圧を印加する。
図8に示すように、周回巻線u12A0,u12B0には、基準位相と空間的に位相が一致する誘起電圧Vu12∠0°が発生し、周回巻線u34A0,u34B0には、基準位相と空間的に位相が一致する誘起電圧Vu34∠0°が発生し、周回巻線u56A0,u56B0には、基準位相と空間的に位相が一致する誘起電圧Vu56∠0°が発生する。また、周回巻線u12A30,u12B30には、基準位相と空間的にn°(=30°)の位相差を持つ誘起電圧Vu12∠30°が発生し、周回巻線u34A0,u34B0には、基準位相と空間的にn°(=30°)の位相差を持つ誘起電圧Vu34∠30°が発生し、周回巻線u56A0,u56B0には、基準位相と空間的にn°(=30°)の位相差を持つ誘起電圧Vu56∠30°が発生する。なお、V1相巻線、V2相巻線、W1相巻線及びW2相巻線を構成する周回巻線にも同様の誘起電圧が発生する。
上述したように、駆動装置170は、空間的に位相差0°の第1系統巻線160Aに時間的に位相差0°の電圧を印可し、空間的に位相差n°の第2系統巻線160Bに時間的に位相差n°の電圧を印可する。このため、第1系統巻線160Aにより形成される回路と、第2系統巻線160Bにより形成される回路とは、電圧がバランスすることになるので、循環電流の発生を防ぐことができる。
本実施形態では、第1インバータ171Aに接続された回路に対して、第2インバータ171Bに接続された回路は、空間的に30°進み、時間的に30°進んでいる。時間的な30°の進みは、空間的には30°遅れることに等価となるため、30°-30°=0°となる。よって、第1インバータ171Aに接続された回路と第2インバータ171Bに接続された回路の電圧がバランスする。
以上のように構成される本実施形態に係る電動駆動システム10によって得られる効果について、以下で説明する参考例と比較しながら説明する。本実施形態では、ステータコア131の外周側に配置された外径側コイル160oのコイル高さHo(厚み)に比べて、ステータコア131の内周側に配置された内径側コイル160ia,160ibのコイル高さHi(厚み)が小さい。この構成により、交流銅損を低減することができる。
図9は、同じ厚みのスロット内導体161を有する回路と、異なる厚みのスロット内導体161を有する回路との構成及び効果の違いについて説明する図である。図9の上側に示す回路(以下、第1参考回路Cr1と記す)は、2つの系統巻線が並列に接続された構成であり、ステータコア131に厚みtのスロット内導体161が4つ配置されている。この構成では、1層目L1及び2層目L2において大きな交流銅損が発生する。交流銅損は、内径側に配置されるコイル導体ほど大きくなる。
これに対して、図9の下側に示す回路(以下、第2参考回路Cr2と記す)は、2つの系統巻線が並列に接続された構成であり、厚みtのスロット内導体161が2つ、厚みt/2のスロット内導体161が4つ配置されている。スロット内導体161の厚みを半分にする場合、交流銅損は、(1/2)=1/16となる。内径側に配置されるスロット内導体161の厚みを半分にすることで、第1参考回路Cr1に比べて、交流銅損を大きく低減することができる。
なお、第2参考回路Cr2では、スロット内導体161の本数の増加により、スロット133内におけるコイル導体の絶縁被膜の総断面積が増加する。したがって、第2参考回路Cr2では、絶縁被膜の断面積の増加分だけ、導体の断面積が減少する。その結果、コイル導体の電気抵抗が増加するため、直流銅損が増加する。しかしながら、交流銅損の低減量に比べて直流銅損の増加量は小さい。このため、第2参考回路Cr2では、第1参考回路Cr1に比べて、全銅損を低減することができる。また、各コイル導体の銅損を平準化することができる。スロット内導体161の温度も平準化されるため、ステータコイル160のピーク温度も低減することができる。本実施形態においても、内径側コイル160ia,160ibのスロット内導体161の厚みが、外径側コイル160oのスロット内導体161の厚みの半分とされているため(図3参照)、同様の効果が得られる。
第1参考回路Cr1は、2Y結線とされ、電源の電流400Aに対して各相巻線に通電される電流は1/2の200Aとなる。一方、第2参考回路Cr2では、内径側のスロット内導体161の厚みがt/2である。したがって、内径側コイル160ia,160ibにより形成される周回巻線の電流密度を、外径側コイル160oと同等とするためには、内径側コイル160ia,160ibに流れる電流を1/4の100Aにする必要がある。このため、第2参考回路Cr2では、内径側コイル160ia,160ibにより形成される回路Ciが、並列に接続されることで並列回路Cpが形成されている。
第2参考回路Cr2では、各並列回路Cpにおいてコイル導体の誘起電圧がバランスしない場合に循環電流が発生する。図10を参照して、循環電流が発生する並列回路Cp3と、循環電流の発生が防止された並列回路Cp4について説明する。図10の上側に示す回路(以下、第3参考回路Cr3と記す)は、第2参考回路Cr2と同様の構成を有する。第3参考回路Cr3は、1層目L1及び2層目L2に配置される複数の周回巻線Cw12が直列に接続された直列回路と、3層目L3及び4層目L4に配置される複数の周回巻線Cw34が直列に接続された直列回路とが並列に接続された並列回路Cp3を有する。
スロット133が平行スロットである場合、ティース134はコアバック135から回転中心軸Caに向かうにつれて周方向の幅が短くなる先細り形状となっている。ティース134の周方向の幅が異なることで磁気飽和が異なる。ティース134の周方向の幅が大きいほど、磁束が通りやすくなるため誘起電圧が大きくなる。つまり、1層目L1及び2層目L2に配置される周回巻線に発生する誘起電圧Vu12、3層目L3及び4層目L4に配置される周回巻線に発生する誘起電圧Vu34、並びに、5層目L5及び6層目L6に配置される周回巻線に発生する誘起電圧Vu56の大小関係は、Vu56>Vu34>Vu12となる。このため、第3参考回路Cr3では、並列回路Cp3において、電圧のアンバランスが生じ、循環電流が発生する。
図10の下側に示す回路(以下、第4参考回路Cr4と記す)は、第2参考回路Cr2と同様の構成を有する。第4参考回路Cr4は、1層目L1及び2層目L2に配置される周回巻線Cw12と3層目L3及び4層目L4に配置される周回巻線Cw34が直列に接続された直列回路同士が、並列に接続された並列回路Cp4を有する。
以下、U1相巻線により形成される並列回路Cp4の構成を代表して説明する。第4参考回路Cr4では、並列回路Cp4を構成する一方の直列回路の1層目L1及び2層目L2に配置される周回巻線Cw12の数と、並列回路Cp4を構成する他方の直列回路の1層目L1及び2層目L2に配置される周回巻線Cw12の数とが同じである。また、第4参考回路Cr4では、並列回路Cp4を構成する一方の直列回路の3層目L3及び4層目L4に配置される周回巻線Cw34の数と、並列回路Cp4を構成する他方の直列回路の3層目L3及び4層目L4に配置される周回巻線Cw34の数とが同じである。なお、U2相巻線、V1相巻線、V2相巻線、W1相巻線及びW2相巻線の回路構成は、U1相巻線と同様の回路構成である。したがって、第4参考回路Cr4では、内径側コイル160ia,160ibにより形成された並列回路Cp4での電圧がバランスするため、循環電流の発生が防止される。本実施形態に係る第2回路C12,C22(図5参照)は、第4参考回路Cr4の並列回路Cp4と同様の構成であるため、同様の効果が得られる。
図11を参照して、第1系統巻線と第2系統巻線との間で循環電流が発生する回路と、第1系統巻線と第2系統巻線との間で循環電流の発生が防止された回路について説明する。図11の上側に示す第4参考回路Cr4では、空間位相0°の第1系統巻線160Acによる回路と、空間位相30°の第2系統巻線160Bcによる回路とが並列に接続された並列回路が形成されている。このため、第1系統巻線160Acによる回路と第2系統巻線160Bcによる回路との間に電圧のアンバランスが発生し、循環電流が発生する。
これに対して、図11の下側に示す本実施形態に係る回路では、空間位相0°の第1系統巻線160Aによる回路と、空間位相30°の第2系統巻線160Bによる回路とが独立しており、それぞれが異なるインバータに接続されている。また、空間位相30°の第2系統巻線160Bに通電する電源電圧に時間的に30°の位相差が与えられる。これにより、本実施形態では、第1系統巻線160Aによる回路と第2系統巻線160Bによる回路の電圧がバランスするため、循環電流の発生を防止することができる。つまり、第1系統巻線160Aによる回路と第2系統巻線160Bによる回路との間に電流差が生じることを防止できる。
上述した実施形態によれば、次の作用効果を奏する。
(1)電動駆動システム10は、回転電機110と、回転電機110に電力を供給する駆動装置170とを備える。回転電機110は、ステータ130と、ステータ130の内周側に回転可能に配置されるロータ150とを有する。ステータ130は、平角線からなるステータコイル160と、ステータコイル160が配置される複数のスロット133を有するステータコア131と、を有している。ステータコイル160は、ステータコア131に波巻きで装着される複数の系統巻線を有している。複数の系統巻線は、基準位相と空間的に位相差0°でステータコア131に装着される第1系統巻線160Aと、基準位相と空間的に位相差n°でステータコア131に装着される第2系統巻線160Bとを有している。n°は、360°/(スロット133の数/極対数)である。第1系統巻線160A及び第2系統巻線160Bは、それぞれ、ステータコア131の外径側のコイル導体により形成される第1回路C11,C21と、ステータコア131の内径側のコイル導体により形成される並列回路である第2回路C12,C22とが直列に接続されている。内径側のコイル導体(内径側コイル160ia,160ibのスロット内導体161)は、外径側のコイル導体(外径側コイル160oのスロット内導体161)よりも厚み(コイル高さ)が小さい。駆動装置170は、第1系統巻線160Aに接続される第1インバータ171Aと、第2系統巻線160Bに接続される第2インバータ172とを有している。駆動装置170は、第1系統巻線160A及び第2系統巻線160Bに対し、時間的にn°の位相差で電圧を印加する。
この構成によれば、交流銅損を低減し、かつ循環電流の発生を防止することにより、高効率の電動駆動システム10を提供することができる。
(2)系統巻線160A,160Bは、複数の周回巻線を有している。スロット133には、複数のコイル導体が径方向に層状に配置されている。第2回路C12,C22は、複数の周回巻線が直列に接続された第1の直列回路Cs11,Cs21と、複数の周回巻線が直列に接続された第2の直列回路Cs12,Cs22とが並列に接続されている。スロット133の内周側から外周側に向かって順に1層目、2層目、・・・、m層目、m+1層目とした場合(本実施形態において、m=5)、第1の直列回路Cs11,Cs21を構成するs,s+1層目(sは、1~mまでの奇数)に配置される周回巻線の数と、第2の直列回路Cs12,Cs22を構成するs,s+1層目に配置される周回巻線の数は一致する。
この構成によれば、第1の直列回路Cs11,Cs21と第2の直列回路Cs12,Cs22とにより形成される並列回路である第2回路C12,C22において、循環電流が発生することを防止することができる。
次のような変形例も本発明の範囲内であり、変形例に示す構成と上述の実施形態で説明した構成を組み合わせたり、以下の異なる変形例で説明する構成同士を組み合わせたりすることも可能である。
<変形例1>
ステータコア131のスロット133へのステータコイル160の配置構成は、上記実施形態に限定されない。
<変形例1-1>
例えば、図12に示すように、隣接するスロット133の一方(スロット番号「1」のスロット)にU1相巻線のコイル導体を6本配置し、隣接するスロット133の他方(スロット番号「2」のスロット)にU2相巻線のコイル導体を6本配置してもよい。この場合、V相巻線及びW相巻線においても同様に、同じスロット133に同相のコイル導体が6本配置される。つまり、本変形例では、第1回路C11,C21を構成するステータコイル160(外径側コイル160o)の磁束中心軸と、第2回路C12,C22を構成するステータコイル160の磁束中心軸とが一致している。
<変形例1-2>
さらに、トルク脈動を低減することを目的として、図13に示すように、5層目及び6層目のコイル導体を図12に示す配置構成に対して、1スロットだけずらして配置してもよい。本変形例では、第1回路C11,C21を構成するステータコイル160(外径側コイル160o)の磁束中心軸Cm1と、第2回路C12,C22を構成するステータコイル160の磁束中心軸Cm2が、電気的に30°の位相差を持っている。
図14の左側のトルク波形図は、変形例1-1に係る回転電機110のトルク波形図であり、図14の右側のトルク波形図は、変形例1-2に係る回転電機110のトルク波形図である。変形例1-2では、第1回路C11,C21と第2回路C12,C22に空間的な位相差30°を持たせているため、トルク脈動の6次成分が180°(=6×30°)の位相差を持っている。つまり、第1回路C11,C21の磁束によるトルク波形と第2回路C12,C22の磁束によるトルク波形とが反転する。これにより、第1回路C11,C21の磁束によるトルク脈動と、第2回路C12,C22の磁束によるトルク脈動とが相殺される。したがって、本変形例1-2(図13参照)では、変形例1-1(図12参照)に比べて、回転電機110の合計トルクのトルク脈動を低減することができる。その結果、回転電機110で発生する音、振動を低減することができる。
<変形例2>
上記実施形態では、回転電機110を収容するモータハウジング191と駆動装置170を収容するインバータハウジング197とが締結部材17によって締結されることにより一体化されている例について説明したが、本発明はこれに限定されない。図15に示すように、回転電機110を収容するモータハウジング191と駆動装置170を収容するインバータハウジング197とは一体成形により形成されていてもよい。例えば、モータハウジング191とインバータハウジング197は、鋳造やダイキャストにより1つの構造物として成形することができる。この構成によれば、締結部材17によってモータハウジング191とインバータハウジング197とを締結する作業が不要になるため、電動駆動システム10の組立工数を低減できる。
<変形例3>
上記実施形態では、スロット133に6つのコイル導体が層状に配置される例について説明したが、本発明はこれに限定されない。8つ以上のコイル導体がスロット133に層状に配置されていてもよい。また、スロット133の数、磁極数についても、上記実施形態に限定されない。
<変形例4>
上記実施形態では、複数の系統巻線として第1系統巻線160Aと第2系統巻線160Bが設けられる例について説明したが、本発明はこれに限定されない。電動駆動システム10は、3つ以上の系統巻線と、各系統巻線に個別に接続された3つ以上のインバータとを備える構成であってもよい。回転電機110の毎極毎相スロット数NSPPは、インバータの数に一致する。毎極毎相スロット数NSPPが2の回転電機110では、2つのインバータと2つの系統巻線とを備えた高効率の電動駆動システム10を得ることができる。毎極毎相スロット数NSPPが3の回転電機110では、3つのインバータと3つの系統巻線とを備えた電動駆動システムを得ることができる。3つのインバータと、各インバータに個別に接続された3つの系統巻線とを備えた電動駆動システムの回転電機は、例えば、スロット数が72、磁極数が8の構成を採用することができる。
<変形例5>
上記実施形態では、自動車に搭載される電動駆動システム10を例に説明したが、本発明はこれに限定されない。エレベータ、鉄道車両等、回転電機によって駆動力を発生させる種々の移動体に本発明を適用することができる。なお、電動駆動システムは、移動体に搭載される場合に限定されることもない。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
10…電動駆動システム、17…締結部材、110…回転電機、130…ステータ、131…ステータコア、133…スロット、134…ティース、135…コアバック、150…ロータ、151…ロータコア、152…永久磁石、153…磁石挿入孔、159…シャフト、160…ステータコイル、160A…第1系統巻線、160B…第2系統巻線、160ia…第1内径側コイル、160ib…第2内径側コイル、160o…外径側コイル、161…スロット内導体(コイル導体)、168…接続用導体、169…絶縁材、170…駆動装置、171A…第1インバータ、171B…第2インバータ、176…制御回路(制御装置)、179…蓄電装置(電源装置)、190…筐体、191…モータハウジング、197…インバータハウジング、198…ギヤハウジング、C11…第1回路、C12…第2回路、C21…第1回路、C22…第2回路、Ca…回転中心軸、Cm1,Cm2…磁束中心軸

Claims (10)

  1. ステータと前記ステータの内周側に回転可能に配置されるロータとを有する回転電機と、前記回転電機に電力を供給する駆動装置と、を備える電動駆動システムであって、
    前記ステータは、平角線からなるステータコイルと、前記ステータコイルが配置される複数のスロットを有するステータコアと、を有し、
    前記ステータコイルは、前記ステータコアに波巻きで装着される複数の系統巻線を有し、
    前記複数の系統巻線は、基準位相と空間的に位相差0°で前記ステータコアに装着される第1系統巻線と、前記基準位相と空間的に位相差n°で前記ステータコアに装着される第2系統巻線と、を有し、
    前記n°は、360°/(前記スロットの数/極対数)であり、
    前記第1系統巻線及び前記第2系統巻線は、それぞれ、前記ステータコアの外径側のコイル導体により形成される第1回路と、前記ステータコアの内径側のコイル導体により形成される並列回路である第2回路と、が直列に接続され、
    前記内径側のコイル導体は、前記外径側のコイル導体よりも厚みが小さく、
    前記駆動装置は、前記第1系統巻線に接続される第1インバータと、前記第2系統巻線に接続される第2インバータと、を有し、
    前記駆動装置は、前記第1系統巻線及び前記第2系統巻線に対し、時間的に前記n°の位相差で電圧を印加する、
    電動駆動システム。
  2. 請求項1に記載の電動駆動システムにおいて、
    前記回転電機の毎極毎相スロット数は2である、
    電動駆動システム。
  3. 請求項1に記載の電動駆動システムにおいて、
    前記系統巻線は、複数の周回巻線を有し、
    前記スロットには、複数の前記コイル導体が径方向に層状に配置され、
    前記第2回路は、前記複数の周回巻線が直列に接続された第1の直列回路と、前記複数の周回巻線が直列に接続された第2の直列回路と、が並列に接続され、
    前記スロットの内周側から外周側に向かって順に1層目、2層目、・・・、m層目、m+1層目とした場合、前記第1の直列回路を構成するs,s+1層目(sは、1~mまでの奇数)に配置される周回巻線の数と、前記第2の直列回路を構成する前記s,s+1層目に配置される周回巻線の数は一致する、
    電動駆動システム。
  4. 請求項1に記載の電動駆動システムにおいて、
    前記第1回路を構成する前記ステータコイルの磁束中心軸と前記第2回路を構成する前記ステータコイルの磁束中心軸が電気的に30°の位相差を持つ、
    電動駆動システム。
  5. 請求項1に記載の電動駆動システムにおいて、
    前記第1回路と前記第2回路とが接続用導体によって接続される、
    電動駆動システム。
  6. 請求項1に記載の電動駆動システムにおいて、
    前記スロットの内周面と前記コイル導体との間、及び、前記スロット内の複数の前記コイル導体同士の間には、絶縁材が設けられている、
    電動駆動システム。
  7. 請求項1に記載の電動駆動システムにおいて、
    前記第1インバータと前記第2インバータとが同一の電源装置に接続されている、
    電動駆動システム。
  8. 請求項1に記載の電動駆動システムにおいて、
    前記第1インバータと前記第2インバータには同一の制御装置からの指令が入力される、
    電動駆動システム。
  9. 請求項1に記載の電動駆動システムにおいて、
    前記回転電機を収容するハウジングと前記駆動装置を収容するハウジングとが締結部材によって締結されることにより一体化されている、
    電動駆動システム。
  10. 請求項1に記載の電動駆動システムにおいて、
    前記回転電機を収容するハウジングと前記駆動装置を収容するハウジングとは一体成形により形成されている、
    電動駆動システム。
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