JP2021172745A - 熱可塑性エラストマー組成物、その製造方法及び成形体 - Google Patents

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Abstract

【課題】金属石鹸存在化でも、架橋特性及びゴム弾性に優れた、ニトリルオキシド化合物により動的架橋してなる熱可塑性エラストマー組成物、その製造方法及び成形体を提供する。【解決手段】ポリオレフィン(A)、二重結合を有するポリマー(B)、ニトリルオキシド化合物(C)、金属石鹸(D)及びオキサゾリン基を有する化合物(E)を含む混合物が架橋された熱可塑性エラストマーを含む熱可塑性エラストマー組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、熱可塑性エラストマー組成物、その製造方法及び成形体に関する。
ポリプロピレン系樹脂にオレフィン系やスチレン系の共重合ゴムをブレンドした組成物は、熱可塑性エラストマー組成物として、車両用部材、家電製品用部材、OA機器用部材、医療用部材、雑貨等の分野で広く用いられている。かかる熱可塑性エラストマー組成物の圧縮永久歪みや耐油性は、分散相である共重合ゴムの架橋密度に大きく依存しており、これらの特性を向上させるためには、架橋密度を高くする必要がある。
近年では、熱可塑性エラストマー組成物の架橋密度を向上させる方法として、ニトリルオキシド化合物を架橋剤として用いることが提案されている(特許文献1)。
国際公開第2019/107450号
ニトリルオキシド化合物を架橋剤として用いることは、熱可塑性エラストマー組成物の架橋密度を向上させる方法として有効である。しかしながら、熱可塑性エラストマー組成物中に、ステアリン酸カルシウム等の金属石鹸をブロッキング防止剤として用いている材料が含まれる場合、金属石鹸がニトリルオキシド化合物を失活させ、架橋反応を阻害する傾向にあることがわかった。
本発明は、上記実状に鑑みなされたものであり、その目的は、金属石鹸存在化でも、架橋特性及びゴム弾性に優れた、ニトリルオキシド化合物により動的架橋してなる熱可塑性エラストマー組成物、その製造方法及び成形体を提供することにある。
本発明者らは、上記の目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、ポリオレフィン、二重結合を有するポリマー、ニトリルオキシド化合物、金属石鹸及びオキサゾリン基を有する化合物を含む混合物を動的架橋してなる熱可塑性エラストマーを含む熱可塑性エラストマー組成物、その製造方法及び成形体を見出し、本発明に到達した。即ち、本発明は以下の態様を有する。
[1] ポリオレフィン(A)、二重結合を有するポリマー(B)、ニトリルオキシド化合物(C)、金属石鹸(D)及びオキサゾリン基を有する化合物(E)を含む混合物が架橋された熱可塑性エラストマーを含む熱可塑性エラストマー組成物。
[2] 前記混合物が、更に、炭化水素系ゴム用軟化剤(F)を含む、[1]に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
[3] 前記混合物が、前記炭化水素系ゴム用軟化剤(F)を、前記二重結合を有するポリマー(B)の合計100質量部に対して、1〜350質量部含む、[2]に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
[4] 前記ニトリルオキシド化合物(C)が式[I]で表される化合物であり、融点が25〜300℃であり、ニトリルオキシド当量が1.0〜4.5mmol/gである、[1]〜[3]のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物。
Figure 2021172745

式[I]において、
sは、1〜4の整数であり、
及びRは、それぞれ独立に、炭素数4〜10の炭化水素基又は炭素数4〜10のハロゲン化炭化水素基であり、
Xは、2価の炭化水素基、−O−、−S−又は−N(R)−であり、Rは水素原子又は炭素数1〜6の炭化水素基であり、
Aはs価の有機基である。
[5] 式[I]において、R及びRが、それぞれ独立に、置換されていてもよい炭素数6〜8のアリール基である、[4]に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
[6] 式[I]において、sが2であり、Aが炭素数2〜10のアルキレン基である、[4]又は[5]に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
[7] 式[I]において、Aが、1,2−エチレン基、1,3−プロピレン基、2−メチル−1,3−プロピレン基、2,2−ジメチル−1,3−プロピレン基、1,4−ブチレン基、1,5−ペンチレン基、1,6−ヘキシレン基、1,7−ヘプチレン基、1,8−オクチレン基、3−メチル−1,5−ペンチレン基、1,4−シクロへキシレン基、1,4−シクロヘキサジメチレン基、1−メチル−1,2−エチレン基又は1−メチル−1,3−プロピレン基である、[4]〜[6]のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物。
[8] 式[I]において、sが2であり、Aが、式[II]で表される基である、[4]又は[5]に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
−(R−O)−R−(O−R− ・・・[II]
式[II]において、
mは0又は1であり、
は炭素数2〜4のアルキレン基であり、
は、式[III]で表される基又は式[IV]で表される基である。
Figure 2021172745
式[III]において、
〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6の炭化水素基又はハロゲン原子であり、RとRが連結して芳香族環又は脂肪族環を形成してもよく、RとRが連結して芳香族環又は脂肪族環を形成してもよい。
Figure 2021172745
式[IV]において、
10〜R17は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6の炭化水素基又はハロゲン原子であり、R10とR11が連結して芳香族環又は脂肪族環を形成してもよく、R12とR13が連結して芳香族環又は脂肪族環を形成してもよく、R14とR15が連結して芳香族環又は脂肪族環を形成してもよく、R16とR17が連結して芳香族環又は脂肪族環を形成してもよく、
nは、0又は1であり、
Yは、−C(R18)(R19)−、−C(=O)−、−S−又は−S(=O)−であり、
18及びR19は、それぞれ独立して水素原子、炭素数1〜6の炭化水素基又はハロゲン原子であり、R18とR19が連結して芳香族環又は脂肪族環を形成してもよい。
[9] 前記ニトリルオキシド化合物(C)が、式[II]において、
mが1であり、
が式[IV]で表される基であり、
式[IV]において、
nが1であり、
Yが−C(R18)(R19)−である、
[8]に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
[10] 前記ニトリルオキシド化合物(C)が、式[I]において、
sが1であり、
Aが、式[V]で表される基である、
[4]又は[5]に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
Figure 2021172745
式[V]において、
は、炭素数1〜5のアルキレン基又は炭素数6〜10のアリーレン基であり、
は、極性官能基である。
[11] 前記ニトリルオキシド化合物(C)が、式[V]において、
が、ヒドロキシ基、メルカプト基、カルボキシ基、アミノ基、置換基を有するアミノ基、アミド基、−OR20(但し、R20は、アルキル基又はアリール基である。)又はヘテロ環である、
[10]に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
[12] 前記ニトリルオキシド化合物(C)が、式(C−1)で表されるニトリルオキシド化合物である、[4]又は[5]に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
Figure 2021172745
[13] 前記金属石鹸(D)が炭素数10〜30である脂肪酸の金属塩である、[1]〜[12]のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物。
[14] 前記炭素数10〜30である脂肪酸の金属塩の脂肪酸が、ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、リシノール酸、ベヘン酸、モンタン酸及び12−ヒドロキシステアリン酸からなる群より選択される少なくとも1種である、[13]に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
[15] 前記炭素数が10〜30である脂肪酸の金属塩が、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸バリウム、ラウリン酸カルシウム、ラウリン酸亜鉛、ラウリン酸バリウム、ミリスチン酸亜鉛、リシノール酸カルシウム、リシノール酸亜鉛、リシノール酸バリウム、ベヘン酸亜鉛、モンタン酸ナトリウム、12−ヒドロキシステアリン酸マグネシウム、12−ヒドロキシステアリン酸カルシウム及び12−ヒドロキシステアリン酸亜鉛からなる群より選択される少なくとも1種である、[13]に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
[16] 前記オキサゾリン基を有する化合物(E)が、式[E1]で表される構造を有することを特徴とする、[1]〜[15]のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物。
Figure 2021172745
式[E1]において、R51〜R54は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アラルキル基又は置換基を有していてもよいフェニル基である。
[17] 前記オキサゾリン基を有する化合物(E)が、側鎖及び/又は末端にオキサゾリン基を有する高分子化合物である、[1]〜[16]のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物。
[18] 前記オキサゾリン基を有する化合物(E)が、式[E4]で表されるオキサゾリニル基を有するスチレン系共重合体である、[1]〜[17]のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物。
Figure 2021172745
式[E4]において、
uは1以上の整数であり、vは1以上の整数である。
[19] 前記混合物において、前記ポリオレフィン(A)と前記二重結合を有するポリマー(B)の質量比[ポリオレフィン(A)の合計質量]/[二重結合を有するポリマー(B)の合計質量]が5/95〜45/55である、[1]〜[18]のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物。
[20] 前記混合物が、前記ニトリルオキシド化合物(C)を、前記二重結合を有するポリマー(B)の100質量部に対して、0.05〜10.0質量部含む、[1]〜[19]のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物。
[21] 前記混合物が、前記金属石鹸(D)を、前記二重結合を有するポリマー(B)の100質量部に対して、0.001〜5.0質量部含む、[1]〜[19]のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物。
[22] 前記混合物が、前記オキサゾリン基を有する化合物(E)を、前記二重結合を有するポリマー(B)の100質量部に対して、0.01〜30.0質量部含む、[1]〜[21]のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物。
[23] 前記混合物を動的架橋することを特徴とする、[1]〜[22]のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
[24] [1]〜[22]のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物からなる成形体。
本発明によれば、金属石鹸存在化でも、架橋特性及びゴム弾性に優れた、ニトリルオキシド化合物により動的架橋してなる熱可塑性エラストマー組成物、その製造方法及び成形体を提供できる。
「〜」を用いて表される数値範囲は、両端の数値をその範囲内に含む。
「(メタ)アクリル」は、アクリル又はメタクリルを意味する。「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸又はメタクリル酸を意味する。「(メタ)アクリル酸エステル」は、アクリルエステル又はメタクリル酸エステルを意味する。「(メタ)アクリロニトリル」は、アクリロニトリル又はメタクリロニトリルを意味する。「(メタ)アクリルアミド」は、アクリルアミド又はメタクリルアミドを意味する。
以下に、本発明の実施の形態について詳細に説明するが、以下の説明は、本発明の実施態様の代表例であり、これらの内容に本発明は限定されるものではない。
[熱可塑性エラストマー組成物]
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、ポリオレフィン(A)、二重結合を有するポリマー(B)、ニトリルオキシド化合物(C)、金属石鹸(D)及びオキサゾリン基を有する化合物(E)を含む混合物が架橋された熱可塑性エラストマーを含む。
前記熱可塑性エラストマーは、二重結合を有するポリマー(B)とニトリルオキシド化合物(C)とが反応することにより架橋して得られると考えられる。
〈ポリオレフィン(A)〉
ポリオレフィン(A)は、二重結合を有する脂肪族炭化水素化合物の重合体、又はその水素添加物である。前記二重結合を有する脂肪族炭化水素化合物としては、エチレン、プロピレン、ブタジエン及びイソプレンが例示される。
ポリオレフィン(A)としては、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂及びポリブテン系樹脂が例示される。これらのなかでも、耐熱性の観点から、ポリプロピレン系樹脂(以下「ポリプロピレン系樹脂(A1)」ともいう。)が、ポリオレフィン(A)として好ましい。
ポリプロピレン系樹脂(A1)とは、プロピレン単位の含有率が、ポリプロピレン系樹脂(A1)を構成する単量体単位の合計質量に対して50質量%以上のポリオレフィン樹脂である。本発明の熱可塑性エラストマー組成物において、ポリプロピレン系樹脂(A1)は成形性に寄与する。
ポリプロピレン系樹脂(A1)の種類は特に制限されない。ポリプロピレン系樹脂(A1)として、例えば、プロピレン単独重合体、プロピレンランダム共重合体及びプロピレンブロック共重合体のいずれも使用できる。
ポリプロピレン系樹脂(A1)がプロピレンランダム共重合体である場合、プロピレンと共重合する単量体としては、エチレン、1−ブテン、2−メチルプロピレン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン及び1−オクテンが例示される。
また、ポリプロピレン系樹脂(A1)がプロピレンブロック共重合体である場合、前記プロピレンブロック共重合体としては、多段階で重合して得られるプロピレンブロック共重合体が例示される。より具体的には、前記プロピレンブロック共重合体として、第一段階でポリプロピレンを重合し、第二段階でプロピレン・エチレン共重合体を重合して得られるプロピレンブロック共重合体が例示される。
ポリプロピレン系樹脂(A1)におけるプロピレン単位の含有率は、ポリプロピレン系樹脂(A1)を構成する単量体単位の合計質量に対して、60質量%以上が好ましく、75質量%以上がより好ましく、90質量%以上が更に好ましい。
ポリプロピレン系樹脂(A1)におけるプロピレン単位の含有率が前記下限値以上であると、熱可塑性エラストマー組成物の耐熱性及び剛性が良好となる傾向にある。
ポリプロピレン系樹脂(A1)におけるプロピレン単位の含有率の上限は、ポリプロピレン系樹脂(A1)を構成する単量体単位の合計質量に対して、通常、100質量%である。
尚、ポリプロピレン系樹脂(A1)におけるプロピレン単位の含有率は、赤外分光法により求めることができる。
ポリプロピレン系樹脂(A1)の230℃、荷重21.2Nでのメルトフローレート(MFR)は、通常、0.05g/10分以上である。前記MFRは、流動性の観点から、0.1g/10分以上が好ましく、0.5g/10分以上がより好ましい。
一方、ポリプロピレン系樹脂(A1)のMFRは、通常、100g/10分以下である。前記MFRは、成形性の観点から、70g/10分以下が好ましく、50g/10分以下がより好ましい。前記MFRは、易破断性の観点から、30g/10分以下が更に好ましい。
ポリプロピレン系樹脂(A1)の製造方法としては、公知のオレフィン重合用触媒を用いた重合方法が用いられる。より具体的には、ポリプロピレン系樹脂(A1)の製造方法として、チーグラー・ナッタ系触媒を用いた多段重合法が例示される。この多段重合法には、例えば、スラリー重合法、溶液重合法、塊状重合法又は気相重合法を用いることができる。これらの重合法は、1種単独で、又は2種以上組み合わせて、用いることができる。
また、ポリプロピレン系樹脂(A1)としては、市販の該当品を用いることも可能である。市販のポリプロピレン系樹脂は、例えば、以下に掲げる製造者から調達可能であり、適宜選択できる。
ポリプロピレン系樹脂の市販品としては、ノバテック(登録商標)PP(日本ポリプロ社)、Prim Polypro(登録商標)(プライムポリマー社)、住友ノーブレン(登録商標)(住友化学社)、ポリプロピレンブロックコポリマー(サンアロマー社)、Moplen(登録商標)(LyondellBasell社)、ExxonMobil PP(ExxonMobil社)、Formolene(登録商標)(Formosa Plastics社)、Borealis PP(Borealis社)、SEETEC PP(LG Chemical社)、ASI POLYPROPYLENE(A. Schulman社)、INEOS PP(INEOS Olefins & Polymers社)、Braskem PP(Braskem社)、Samsung Total(Samsung Total Petrochemicals社)、Sabic(登録商標)PP(Sabic社)、TOTAL PETROCHEMICALS Polypropylene(Total Petrochemicals社)、及びYUPLENE(登録商標)(SK社)が例示される。
ポリオレフィン(A)は、1種単独で、又は2種以上組み合わせて、用いることができる。2種以上のポリオレフィン(A)が用いられる場合、例えば、プロピレン単位の含有率、含まれる単量体単位の種類、含有率及び物性のうち1以上が異なる2種以上が用いられてもよい。
〈二重結合を有するポリマー(B)〉
二重結合を有するポリマー(B)とは、分子内に少なくとも1つの二重結合を有するポリマーである。
前記二重結合は、例えば、炭素−炭素二重結合、炭素−窒素二重結合又は炭素−酸素二重結合であるが、前記二重結合としては、炭素−炭素二重結合が好ましい。
尚、上述したポリオレフィン(A)のうち、二重結合を有するものは、二重結合を有するポリマー(B)に分類するものとする。
二重結合を有するポリマー(B)としては、ポリオレフィン樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂及びポリエステル樹脂のうち、分子内に少なくとも1つの二重結合を有するポリマーが例示される。二重結合を有するポリマー(B)としては、分子内に少なくとも1つの二重結合を有するポリオレフィン樹脂が好ましく、ポリオレフィン(A)との相溶性及びゴム弾性の観点から、エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体(以下「エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体(B1)」ともいう。)がより好ましい。
エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体(B1)におけるエチレン単位の含有率は、エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体(B1)を構成する単量体単位の合計質量に対して、50質量%以上が好ましく、55質量%以上がより好ましい。
また、エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体(B1)におけるエチレン単位の含有率は、エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体(B1)を構成する単量体単位の合計質量に対して、89質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましい。
エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体(B1)におけるエチレン単位の含有率が前記下限値以上かつ前記上限値以下であると、熱可塑性エラストマー組成物に適度な柔軟性を与えるために好ましい。
エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体(B1)におけるα−オレフィン単位としては、プロピレン単位、1−ブテン単位、3−メチル−1−ブテン単位、1−ペンテン単位、4−メチル−1−ペンテン単位、1−ヘキセン単位、4−メチル−1−ヘキセン単位、1−ヘプテン単位、1−オクテン単位及び1−デセン単位が例示される。
エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体(B1)におけるα−オレフィン単位としては、プロピレン単位、1−ブテン単位及び1−ヘキセン単位からなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。
エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体(B1)におけるα−オレフィン単位は、1種のみが含まれていても2種以上が含まれていてもよい。
エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体(B1)におけるα−オレフィン単位の含有率は、エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体(B1)を構成する単量体単位の合計質量に対して、10質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましい。
また、エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体(B1)におけるα−オレフィン単位の含有率は、エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体(B1)を構成する単量体単位の合計質量に対して、45質量%以下が好ましく、35質量%以下がより好ましい。
エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体(B1)におけるα−オレフィン単位の含有率が前記下限値以上かつ前記上限値以下であると、熱可塑性エラストマー組成物に適度な柔軟性を与えるために好ましい。
エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体(B1)における非共役ジエン単位としては、ジシクロペンタジエン単位、1,4−ヘキサジエン単位、シクロオクタジエン単位、メチレンノルボルネン単位、エチリデンノルボルネン単位及びビニリデンノルボルネン単位が例示される。
エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体(B1)における非共役ジエン単位として、エチリデンノルボルネン単位及びビニリデンノルボルネン単位のいずれか一方又は両方が含まれていると、エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体(B1)に適度な架橋構造を与えることができる。
エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体(B1)における非共役ジエン単位は、1種のみが含まれていても2種以上が含まれていてもよい。
エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体(B1)における非共役ジエン単位の含有率は、エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体(B1)を構成する単量体単位の合計質量に対して、1質量%以上が好ましく、3質量%以上がより好ましい。
また、エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体(B1)における非共役ジエン単位の含有率は、エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体(B1)を構成する単量体単位の合計質量に対して、10質量%以下が好ましく、8質量%以下がより好ましい。
エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体(B1)における非共役ジエン単位の含有率が前記下限値以上であると、熱可塑性エラストマー組成物の架橋度を高める観点から好ましく、前記上限値以下であると、熱可塑性エラストマー組成物の成形性の観点から好ましい。
尚、後述する実施例では、非共役ジエン単位の含有率を、エチリデンノルボルネン単位の含有率と表現している。非共役ジエン単位の含有率と、エチリデンノルボルネン単位の含有率とは、同じ数値である。
尚、エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体(B1)における各構成単位の含有率は、赤外分光法により求めることができる。
エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体(B1)のゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー法(GPC法)によるポリプロピレン換算の重量平均分子量(Mw)は、300,000以上が好ましく、350,000以上がより好ましく、400,000以上が更に好ましい。
また、エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体(B1)のMwは、1,000,000以下が好ましく、900,000以下がより好ましく、800,000以下が更に好ましい。
エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体(B1)のMwが前記上限値以下であると、成形体の外観の観点から好ましく、前記下限値以上であると、成形体のブリードアウト防止の観点から好ましい。
エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体(B1)のGPC法の測定条件は以下の通りである。
機器 :Waters 150C
カラム :Shodex AD806MS×3 (8.0mm内径×300mm長さ)
検出器 :IR(分散型、3.42μm)
溶媒 :o−ジクロロベンゼン
温度 :140℃
流速 :1.0mL/分
注入量 :200μL
較正試料:多分散標準ポリエチレン
較正法 :Mark−Houwink式を用いてポリプロピレン換算
二重結合を有するポリマー(B)は、1種単独で、又は2種以上組み合わせて、用いることができる。2種以上の二重結合を有するポリマー(B)が用いられる場合、例えば、含まれる単量体単位の種類、含有率及び物性のうち1以上が異なる2種以上が用いられてもよい。
〈ニトリルオキシド化合物(C)〉
ニトリルオキシド化合物(C)は、分子内に少なくとも1つのニトリルオキシド基を有する化合物である。
ニトリルオキシド化合物(C)には脂肪族ニトリルオキシド化合物と芳香族ニトリルオキシド化合物がある。
前記脂肪族ニトリルオキシド化合物としては、ニトリルオキシド基が二量化及び異性化しにくいことから、式[I]で表される化合物が好ましい。
Figure 2021172745
sは、1〜4の整数である。
sは、高分子間反応を抑制する観点から、1〜3の整数が好ましく、2又は3がより好ましく、2が更に好ましい。
及びRは、それぞれ独立に、炭素数4〜10の炭化水素基又は炭素数4〜10のハロゲン化炭化水素基である。
前記炭素数4〜10の炭化水素基又は炭素数4〜10のハロゲン化炭化水素基としては、t−ブチル基、イソブチル基、フェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、4−クロロフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、及び3,4−ジメチルフェニル基が例示される。
及びRとしては、ニトリルオキシド基が二量化しにくいことから、置換されていてもよい炭素数6〜8のアリール基が好ましい。
前記置換されていてもよい炭素数6〜8のアリール基としては、フェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、及び4−クロロフェニル基が例示される。
前記置換されていてもよい炭素数6〜8のアリール基としては、フェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、及び2,4−ジメチルフェニル基からなる群から選択される少なくとも1種が好ましく、フェニル基がより好ましい。
及びRは、同一であってもよく、異なっていてもよい。R及びRは、分子の対称性が高くなり、ニトリルオキシド化合物が固体化しやすく、室温での保存安定性に優れることから、同じであることが好ましい。
Xは、2価の炭化水素基、−O−、−S−又は−N(R)−である。
Xとしては、ニトリルオキシド化合物の合成が容易であることから、2価の炭化水素基、−O−又は−S−が好ましく、2価の炭化水素基又は−O−がより好ましい。
前記2価の炭化水素基としては、炭素数1〜3のアルキレン基、炭素数6〜8のアリーレン基、又はこれらの組み合わせが挙げられる。
は、水素原子又は炭素数1〜6の炭化水素基である。前記炭素数1〜6の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基及びヘキシル基が例示される。Rとしては、ニトリルオキシド化合物の合成が容易であることから、水素原子又はメチル基が好ましい。
Aは、s価の有機基である。前記有機基は、炭素原子を必須とし、必要に応じて、例えば、水素原子、酸素原子、塩素原子、窒素原子又は硫黄原子を有する。
前記有機基としては、炭化水素基(アルキレン基、アリーレン基等)、炭化水素基と各種結合(−O−、−C(=O)−、−S−、−S(=O)−等)との組み合わせ、炭化水素基と極性官能基(ヒドロキシ基、メルカプト基、カルボキシ基、アミノ基、アミド基、アルコキシ基等)との組み合わせ、及び炭化水素基と各種結合と極性官能基との組み合わせが例示される。
前記脂肪族ニトリルオキシド化合物としては、ニトリルオキシド化合物の融点が高くなりやすく、室温での保存安定性に優れることから、下記の(i)〜(iii)のニトリルオキシド化合物が好ましい。
(i)式[I]において、sが2であり、Aが炭素数2〜10のアルキレン基であるニトリルオキシド化合物。
(ii)式[I]において、sが2であり、Aが後述する式[II]で表される基であるニトリルオキシド化合物。
(iii)式[I]において、sが1であり、Aが後述する式[V]で表される基であるニトリルオキシド化合物。
(i)のように対称性が高く、炭素鎖が短いアルキレン基を導入することによって、ニトリルオキシド化合物の融点を高めることができる。
(ii)のように対称性が高く、剛直なアリーレン基を有する式[II]で表される基を導入することによって、ニトリルオキシド化合物の融点を高めることができる。
(iii)のように鎖長が短いアルキレン基又は剛直なアリーレン基を有する式[V]で表される基を導入することによって、ニトリルオキシド化合物の融点を高めることができる。
(i)におけるAは、炭素数2〜10のアルキレン基である。
(i)におけるAとしては、ニトリルオキシド化合物を固体化させ、ポリオレフィンに近い融点を発現させることから炭素数3〜8のアルキレン基が好ましく、炭素数4〜6のアルキレン基がより好ましい。
(i)におけるAとしては、1,2−エチレン基、1,3−プロピレン基、2−メチル−1,3−プロピレン基、2,2−ジメチル−1,3−プロピレン基、1,4−ブチレン基、1,5−ペンチレン基、1,6−ヘキシレン基、1,7−ヘプチレン基、1,8−オクチレン基、3−メチル−1,5−ペンチレン基、1,4−シクロへキシレン基、1,4−シクロヘキサジメチレン基、1−メチル−1,2−エチレン基、及び1−メチル−1,3−プロピレン基が例示される。
(i)におけるAとしては、1,3−プロピレン基、1,4−ブチレン基、1,6−ヘキシレン基、3−メチル−1,5−ペンチレン基、1,4−シクロへキシレン基又は1,4−シクロヘキサジメチレン基が好ましく、1,4−ブチレン基、1,6−ヘキシレン基又は3−メチル−1,5−ペンチレン基がより好ましい。
(ii)におけるAは、式[II]で表される基である。
−(R−O)−R−(O−R− ・・・[II]
mは、0又は1である。
mは、ニトリルオキシド化合物の製造のしやすさの観点からは1が好ましく、ニトリルオキシド化合物の融点を高くする観点からは0が好ましい。
は、炭素数2〜4のアルキレン基である。
としては、1,2−エチレン基及び1,3−プロピレン基が例示される。
としては、炭素数が小さいほどニトリルオキシド化合物の融点を高めることができることから、1,2−エチレン基が好ましい。
は、式[III]で表される基又は式[IV]で表される基である。
としては、式[IV]で表される基が好ましい。
Figure 2021172745
〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6の炭化水素基又はハロゲン原子である。
とRは、連結して芳香族環又は脂肪族環を形成してもよい。
とRは、連結して芳香族環又は脂肪族環を形成してもよい。
前記炭素数1〜6の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基及びフェニル基が例示される。
前記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が例示される。
〜Rとしては、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、フェニル基又は塩素原子が好ましく、水素原子、メチル基、イソプロピル基又はt−ブチル基がより好ましく、水素原子又はメチル基が更に好ましい。
10〜R17は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6の炭化水素基又はハロゲン原子である。
10とR11は、連結して芳香族環又は脂肪族環を形成してもよい。
12とR13は、連結して芳香族環又は脂肪族環を形成してもよい。
14とR15は、連結して芳香族環又は脂肪族環を形成してもよい。
16とR17は、連結して芳香族環又は脂肪族環を形成してもよい。
前記炭素数1〜6の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基及びフェニル基が例示される。
前記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が例示される。
10〜R17としては、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、フェニル基又は塩素原子が好ましく、水素原子、メチル基、イソプロピル基又はt−ブチル基がより好ましく、水素原子又はメチル基が更に好ましい。
nは0又は1である。架橋時の立体障害を防ぐためには、nは、1が好ましい。
Yは、−C(R18)(R19)−、−C(=O)−、−S−又は−S(=O)−である。
Yとしては、溶融混練時にポリオレフィンへの溶解性が高くなることから、−C(R18)(R19)−が好ましい。
18及びR19は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6の炭化水素基又はハロゲン原子である。
18とR19は、連結して芳香族環又は脂肪族環を形成してもよい。
前記炭素数1〜6の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基及びフェニル基が例示される。
18とR19が連結した例としては、1,1−シクロへキシレン基が挙げられる。
前記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が例示される。
18及びR19としては、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、エチル基又はフェニル基が好ましい。
(iii)におけるAは、式[V]で表される基である。
Figure 2021172745
は、炭素数1〜5のアルキレン基又は炭素数6〜10のアリーレン基である。
前記炭素数1〜5のアルキレン基としては、メチレン基、1,2−エチレン基、1,3−プロピレン基、1,4−ブチレン基及び1,5−ペンチレン基が例示される。
前記炭素数6〜10のアリーレン基としては、フェニレン基及びナフチレン基が例示される。
としては、1,2−エチレン基、1,3−プロピレン基、1,4−ブチレン基又はフェニレン基が好ましい。
がアルキレン基である場合、炭素鎖が短いほどニトリルオキシド化合物の融点が高くなりやすい。
は、極性官能基である。
前記極性官能基としては、ヒドロキシ基、メルカプト基、カルボキシ基、アミノ基、置換基を有するアミノ基、アミド基、エーテル基、−OR20(但し、R20は、アルキル基又はアリール基である。)及びヘテロ環が例示される。
前記ヘテロ環は、ホウ素原子、窒素原子、酸素原子又は硫黄原子のようなヘテロ原子を有する環状置換基である。前記ヘテロ環としては、フリル基、チエニル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラニル基、ピリジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、ピロリジニル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、モルホリニル基、カルバゾリル基及びイミダゾリドニル基が例示される。前記ヘテロ環は、置換基を有していてもよい。
としては、フィラーや他の樹脂との反応性が高いことから、ヒドロキシ基、メルカプト基、カルボキシ基、アミノ基、置換基を有するアミノ基又はヘテロ環が好ましい。
ニトリルオキシド化合物(C)の融点は、25〜300℃が好ましく、40〜280℃がより好ましく、60〜260℃が更に好ましく、80〜240℃がいっそう好ましい。ニトリルオキシド化合物(C)の融点が前記範囲の下限値以上であれば、室温での運動性が低下するため、室温での保存安定性が向上する。ニトリルオキシド化合物(C)の融点が前記範囲の上限値以下であれば、溶融反応中にニトリルオキシド化合物(C)が融解しやすくなり、反応性が高くなる。
例えば、Aに対称性の高い構造を加えて分子構造の対称性を高めたり、Aに剛直性の高い基や短鎖の基を導入したりすることにより、ニトリルオキシド化合物(C)の融点を25℃以上とすることができる。
ニトリルオキシド化合物(C)のニトリルオキシド当量は、下記式から求めることができる。
ニトリルオキシド当量[mmol/g]=1000×(分子内のニトリルオキシド基の数/ニトリルオキシド化合物の分子量)
ニトリルオキシド化合物(C)のニトリルオキシド当量は、1.0〜4.5mmol/gが好ましく、1.2〜4.4mmol/gがより好ましく、1.5〜4.3mmol/gが更に好ましい。
ニトリルオキシド化合物(C)のニトリルオキシド当量が前記範囲の下限値以上であれば、質量当たりの官能基量が多くなる。また、ニトリルオキシド化合物(C)の分子量が低く抑えられるため、特に高分子との反応では相溶性や粘度比の問題が発生しにくい。そのため、ニトリルオキシド化合物(C)の反応性が高くなる。
ニトリルオキシド化合物(C)のニトリルオキシド当量が前記範囲の上限値以下であれば、分子量運動が抑制され、分子間二量化の副反応が抑制される。
芳香族ニトリルオキシド化合物としては、例えば、式[VI]で表される化合物、式[VII]で表される化合物が挙げられる。
Figure 2021172745
式[VI]において、R31〜R36のうちいずれか1つ以上はニトリルオキシド基である。それ以外のR31〜R36は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、ヘテロアリール基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基又はアミノ基である。隣接する2つの置換基は、互いに結合して環を形成してもよい。
式[VII]において、R41〜R45のうちいずれか1つ以上はニトリルオキシド基である。それ以外のR41〜R45は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、ヘテロアリール基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基又はアミノ基である。隣接する2つの置換基は、互いに結合して環を形成してもよい。
46は、芳香環同士を繋ぐスペーサーであり、炭素数1〜20の2価以上の有機基又は酸素原子である。
rは2以上の整数である。
ニトリルオキシド化合物(C)としては、式(C−1)で表されるニトリルオキシド化合物C−1が好ましい。
Figure 2021172745
ニトリルオキシド化合物(C)は、1種単独で、又は2種以上組み合わせて、用いることができる。
〈金属石鹸(D)〉
金属石鹸(D)は、二重結合を有するポリマー(B)のブロッキング防止剤として働く。
二重結合を有するポリマー(B)と金属石鹸(D)をブレンドすることで、二重結合を有するポリマー(B)の表面に金属石鹸(D)が付着し、二重結合を有するポリマー(B)同士のブロッキングを防ぐのに効果的であると考えられる。これにより、本発明の熱可塑性エラストマー組成物の製造における作業性及び原料供給安定性を向上させることができる。
金属石鹸(D)としては、炭素数が10〜30である脂肪酸の金属塩が好ましく、炭素数が15〜20である脂肪酸の金属塩がより好ましい。
前記脂肪酸は直鎖又は分岐鎖であってよく、飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸であってよい。
前記炭素数が10〜30である脂肪酸の金属塩に用いる脂肪酸としては、ブロッキング防止性の観点から、ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、リシノール酸、ベヘン酸、モンタン酸及び12−ヒドロキシステアリン酸からなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
前記金属塩に含まれる金属イオンは、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、アルミニウムイオン、亜鉛イオン及びバリウムイオンからなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
前記炭素数が10〜30である脂肪酸の金属塩としては、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸バリウム;ラウリン酸カルシウム、ラウリン酸亜鉛、ラウリン酸バリウム、ミリスチン酸亜鉛、リシノール酸カルシウム、リシノール酸亜鉛、リシノール酸バリウム、ベヘン酸亜鉛、モンタン酸ナトリウム、12−ヒドロキシステアリン酸マグネシウム、12−ヒドロキシステアリン酸カルシウム及び12−ヒドロキシステアリン酸亜鉛からなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
金属石鹸(D)としては、ブロッキング防止特性に優れることから、ステアリン酸カルシウムが好ましい。
〈オキサゾリン基を有する化合物(E)〉
オキサゾリン基を有する化合物(E)は、オキサゾリン基を分子内に少なくとも1つ有する化合物である。本発明においてオキサゾリン基には、オキサゾリン基に存在する水素原子の1以上が置換された誘導体も含まれる。
オキサゾリン基を有する化合物(E)は、式[E1]、[E2]又は[E3]で表される構造を有することが好ましい。
Figure 2021172745
式[E1]において、R51〜R54は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アラルキル基又は置換基を有していてもよいフェニル基である。
Figure 2021172745
式[E2]において、R55〜RE62は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アラルキル基又は置換基を有していてもよいフェニル基である。
Figure 2021172745
式[E3]において、R63〜R70は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アラルキル基又は置換基を有していてもよいフェニル基である。R71は、アルキレン基、アルケニレン基又は置換基を有していてもよいフェニレン基である。
式[E1]〜[E3]において、前記アルキル基の炭素数は1〜10であり、前記アラルキル基の炭素数は7〜20であり、前記アルキレン基の炭素数は1〜10であり、前記アルケニレン基の炭素数は2〜10であり、これらの基は直鎖であっても分岐鎖であってもよい。
前記フェニル基及び前記フェニレン基の置換基としては、例えば、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1〜10のアルキル基及びヘテロ原子を含んでもよい炭素数2〜10のアルケニル基が挙げられる。
オキサゾリン基を有する化合物(E)は、式[E1]〜[E3]で表される構造の1種を有してもよく、2種以上を有してもよい。
オキサゾリン基を有する化合物(E)は、これらの中でも、式[E1]で表される構造を有することが好ましい。
式[E1]〜[E3]で表される構造を有する化合物としては、2−フェニルオキサゾリン、4,4−ジメチル−2−オキサゾリン、2−エチル−2−オキサゾリン、2−プロピル−2−オキサゾリン、2−イソプロピル−2−オキサゾリン、2−メチル−2−オキサゾリン、2,4,4−トリメチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−エチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、1,3−フェニレンビス(2−オキサゾリン)、1,4−フェニレンビス(2−オキサゾリン)、2,2−ビス(2−オキサゾリン)、2,2−ビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,2−ビス(4,4−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2−ビス(4−エチル−2−オキサゾリン)、2,2−ビス(4−プロピル−2−オキサゾリン)、2,2−ビス(4−ブチル−2−オキサゾリン)、2,2−ビス(4−ヘキシル−2−オキサゾリン)、2,2−ビス(4−フェニル−2−オキサゾリン)、2,2−ビス(4−シクロヘキシル−2−オキサゾリン)、2,2−ビス(4−ベンジル−2−オキサゾリン)、2,2−エチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2−テトラメチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2−ヘキサメチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2−エチレンビス(4−エチル−2−オキサゾリン)、及び2,2−シクロヘキシルビス(4−エチル−2−オキサゾリン)が例示される。
また、オキサゾリン基を有する化合物(E)は、熱安定性の観点で側鎖及び末端のいずれか一方又は両方にオキサゾリン基を有する高分子化合物が好ましい。
前記側鎖及び末端のいずれか一方又は両方にオキサゾリン基を有する高分子化合物のMwは、10,000〜300,000が好ましく、20,000〜200,000がより好ましい。
オキサゾリン基を有する高分子化合物(E)のMwは、例えば、テトラヒドロフランを溶媒として、GPCにより測定し、ポリスチレン換算値として求めることができる。
前記側鎖及び末端のいずれか一方又は両方にオキサゾリン基を有する高分子化合物は、オキサゾリン基を有する単量体と、オキサゾリン基を有しない単量体とを共重合させて得られる高分子化合物が好ましい。
前記オキサゾリン基を有する単量体としては、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−エチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、及び2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリンが例示される。
前記オキサゾリン基を有する単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記オキサゾリン基を有しない単量体としては、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル及びメタクリル酸−2−エチルヘキシル等の(メタ)アクリル酸エステル類、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸及びマレイン酸等の不飽和カルボン酸類、アクリロニトリル及びメタクリロニトリル等の不飽和ニトリル類、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド及びN−メチロールメタクリルアミド等の不飽和アミド類、酢酸ビニル及びプロピオン酸ビニル等のビニルエステル類、メチルビニルエーテル及びエチルビニルエーテル等のビニルエーテル類、エチレン及びプロピレン等のオレフィン類、並びにスチレン及びα−メチルスチレン等の芳香族ビニル単量体類が例示される。
前記オキサゾリン基を有しない単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記側鎖及び末端のいずれか一方又は両方にオキサゾリン基を有する高分子化合物としては、耐熱性の観点より、式[E4]で表されるオキサゾリニル基を有するスチレン系共重合体が好ましい。
Figure 2021172745
式[E4]において、u及びvは、それぞれ独立に、1以上の整数である。
〈炭化水素系ゴム用軟化剤(F)〉
本発明の熱可塑性エラストマー組成物及びその製造方法では、得られる熱可塑性エラストマー組成物を軟化させ、柔軟性と弾性を増加させるとともに、得られる熱可塑性エラストマー組成物の加工性、流動性を向上させるために、炭化水素系ゴム用軟化剤(F)を用いることが好ましい。
炭化水素系ゴム用軟化剤(F)としては、鉱物油系軟化剤及び合成樹脂系軟化剤が例示される。
炭化水素系ゴム用軟化剤(F)としては、他の成分との親和性の観点から、鉱物油系軟化剤が好ましい。
前記鉱物油系軟化剤は、一般に、芳香族炭化水素、ナフテン系炭化水素及びパラフィン系炭化水素の混合物である。前記鉱物油系軟化剤のうち、全炭素原子の50%以上がパラフィン系炭化水素の炭素原子であるものがパラフィン系オイルと呼ばれ、全炭素原子の30〜45%がナフテン系炭化水素の炭素原子であるものがナフテン系オイルと呼ばれ、全炭素原子の35%以上が芳香族系炭化水素の炭素原子であるものが芳香族系オイルと呼ばれる。
前記鉱物油系軟化剤としては、パラフィン系オイルが好ましい。
炭化水素系ゴム用軟化剤(F)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
炭化水素系ゴム用軟化剤(F)の40℃における動粘度は、20センチストークス(cSt)以上が好ましく、50cSt以上がより好ましい。
また、炭化水素系ゴム用軟化剤(F)の40℃における動粘度は、800cSt以下が好ましく、600cSt以下がより好ましい。
尚、炭化水素系ゴム用軟化剤(F)の40℃における動粘度は、JIS K 2283:2000の方法で測定できる。
また、炭化水素系ゴム用軟化剤(F)の引火点(COC法)は、200℃以上が好ましく、250℃以上がより好ましい。
尚、炭化水素系ゴム用軟化剤(F)の引火点(COC法)は、JIS K 2265−4:2007の方法で測定できる。
炭化水素系ゴム用軟化剤(F)を用いる場合、ポリオレフィン(A)と二重結合を有するポリマー(B)とを混合する前に、炭化水素系ゴム用軟化剤(F)と二重結合を有するポリマー(B)とを予め混合して油展ゴムとして用いてもよい。
油展ゴムを製造する方法(油展方法)としては公知の方法を用いることができる。油展方法としては、例えば、ミキシングロールやバンバリーミキサーを用い、二重結合を有するポリマー(B)と炭化水素系ゴム用軟化剤(F)を機械的に混練して油展する方法、二重結合を有するポリマー(B)に所定量の炭化水素系ゴム用軟化剤(F)を添加し、その後スチームストリッピング等の方法により脱溶媒する方法、クラム状の二重結合を有するポリマー(B)と炭化水素系ゴム用軟化剤(F)の混合物をヘンシェルミキサー等で撹拌して含浸させる方法が挙げられる。
前記油展ゴムは市販品を用いてもよい。前記油展ゴムの市販品としては、JSR EPR(JSR社製)、三井EPT(登録商標)(三井化学社製)、エスプレン(登録商標)(住友化学社製)、Keltan(登録商標)(LANXESS社製)、KEP(登録商標)(KUMHO POLYCHEM社製)、及びNODEL(登録商標)(DOW社製)が例示される。
〈原料の使用量〉
本発明の熱可塑性エラストマー組成物の原料使用量について以下に説明する。
二重結合を有するポリマー(B)の使用量は、柔軟性の観点から、ポリオレフィン(A)及び二重結合を有するポリマー(B)の合計100質量%に対し、55質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、65質量%以上が更に好ましい。
また、二重結合を有するポリマー(B)の使用量は、成形加工性の観点から、ポリオレフィン(A)及び二重結合を有するポリマー(B)の合計100質量%に対し、95質量%以下が好ましく、90質量%以下がより好ましく、85質量%以下が更に好ましい。
[ポリオレフィン(A)の配合量]/[二重結合を有するポリマー(B)の配合量]で表される質量比は、架橋特性及びゴム弾性の観点から、5/95〜45/55が好ましく、10/90〜40/60がより好ましい。
炭化水素系ゴム用軟化剤(F)を用いる場合の炭化水素系ゴム用軟化剤(F)の使用量は、柔軟性の観点から、二重結合を有するポリマー(B)の合計100質量部に対し、1質量部以上が好ましく、10質量部以上がより好ましく、20質量部以上が更に好ましく、30質量部以上がいっそう好ましい。
また、炭化水素系ゴム用軟化剤(F)を用いる場合の炭化水素系ゴム用軟化剤(F)の使用量は、製造安定性の観点から、二重結合を有するポリマー(B)の合計100質量部に対し、350質量部以下が好ましく、300質量部以下がより好ましい。
炭化水素系ゴム用軟化剤(F)を用いる場合の炭化水素系ゴム用軟化剤(F)の使用量は、二重結合を有するポリマー(B)の合計100質量部に対し、1〜350質量が好ましく、10〜300質量部がより好ましく、20〜300質量部が更に好ましい。
ニトリルオキシド化合物(C)の使用量は、架橋反応を十分に進行させるため、二重結合を有するポリマー(B)の合計100質量部に対し、0.05質量部以上が好ましく、0.2質量部以上がより好ましい。
また、ニトリルオキシド化合物(C)の使用量は、架橋反応を制御する観点から、二重結合を有するポリマー(B)の合計100質量部に対し、10質量部以下が好ましく、8質量部以下がより好ましく、6質量部以下が更に好ましい。
金属石鹸(D)の使用量は、ブロッキング防止の観点から、二重結合を有するポリマー(B)の合計100質量部に対し、0.001質量部以上が好ましく、0.01質量部以上がより好ましい。
また、金属石鹸(D)の使用量は、ブリードアウト防止の観点から、5質量部以下が好ましく、3質量部以下がより好ましく、1.5質量部以下が更に好ましい。
オキサゾリン基を有する化合物(E)の使用量は、架橋の観点から、二重結合を有するポリマー(B)の合計100質量部に対し、0.01質量部以上が好ましく、0.1質量部以上がより好ましい。
また、オキサゾリン基を有する化合物(E)の使用量は、ブリードアウト、柔軟性及びゴム弾性の観点から、二重結合を有するポリマー(B)の合計100質量部に対し、30質量部以下が好ましく、10質量部以下がより好ましい。
オキサゾリン基を有する化合物(E)の配合量が前記下限値から前記上限値の範囲内であれば、金属石鹸存在化でも、ブリードアウト等の外観不良並びに柔軟性及びゴム弾性等の機械的物性の低下を抑えて、ニトリルオキシド化合物により動的架橋してなる熱可塑性エラストマー組成物に、優れた架橋特性及びゴム弾性を付与できる。
〈その他の成分〉
本発明の熱可塑性エラストマー組成物の製造には、ポリオレフィン(A)、二重結合を有するポリマー(B)、ニトリルオキシド化合物(C)、金属石鹸(D)、オキサゾリン基を有する化合物(E)及び炭化水素系ゴム用軟化剤(F)以外に、本発明の効果を損なわない範囲で、目的に応じてその他の成分を使用できる。
前記その他の成分としては、充填材、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、滑剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、分散剤、着色剤、難燃剤、帯電防止剤、導電性付与剤、金属不活性化剤、分子量調整剤、防菌剤、防黴材及び蛍光増白剤等の各種添加物、ポリオレフィン(A)及び二重結合を有するポリマー(B)以外の熱可塑性樹脂又はエラストマー、並びにニトリルオキシド化合物(C)以外の架橋剤が例示される。
前記その他の成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記充填材としては、ガラス繊維、中空ガラス球、炭素繊維、タルク、炭酸カルシウム、マイカ、チタン酸カリウム繊維、シリカ、金属石鹸、二酸化チタン及びカーボンブラックが例示される。前記充填材を用いる場合、前記充填材の使用量は、成分(A)〜(F)の合計100質量部に対して、通常、0.1〜50質量部である。
前記酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、フォスファイト系酸化防止剤及びチオエーテル系酸化防止剤が例示される。前記酸化防止剤を用いる場合、前記酸化防止剤の使用量は、成分(A)〜(F)の合計100質量部に対して、通常、0.01〜3.0質量部である。
前記ポリオレフィン(A)及び二重結合を有するポリマー(B)以外の熱可塑性樹脂としては、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ナイロン6及びナイロン66等のポリアミド系樹脂、ポリエチレンテレフタレート及びポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリオキシメチレンホモポリマー及びポリオキシメチレンコポリマー等のポリオキシメチレン系樹脂、ポリメチルメタクリレート系樹脂、ポリオレフィン樹脂(但し、ポリオレフィン(A)又は二重結合を有するポリマー(B)に該当するものを除く。)が例示される。
また、ポリオレフィン(A)、二重結合を有するポリマー(B)以外のエラストマーとしては、スチレン・ブタジエン共重合体ゴム及びスチレン・イソプレン共重合体ゴム等のスチレン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、並びにポリブタジエンが例示される。
前記その他の成分は、後述する動的熱処理前に原料混合物に混合して用いてもよいし、動的熱処理後の熱可塑性エラストマー組成物に混合して用いてもよい。
[熱可塑性エラストマー組成物の製造方法]
本発明の熱可塑性エラストマー組成物の製造方法は、ポリオレフィン(A)、二重結合を有するポリマー(B)、金属石鹸(D)、オキサゾリン基を有する化合物(E)及び、必要に応じて、炭化水素系ゴム用軟化剤(F)を含む混合物を、ニトリルオキシド化合物(C)の存在下で動的熱処理して動的架橋させ、熱可塑性エラストマーを得ることを含む。
本発明において、「動的熱処理」とは、溶融状態又は半溶融状態で混練することを意味する。この動的熱処理は、溶融混練によって行なうことが好ましい。溶融混練のための溶融混練装置としては、非開放型バンバリーミキサー、ミキシングロール、ニーダー及び二軸押出機が例示される。前記溶融混練装置としては、二軸押出機が好ましい。
二軸押出機を用いた製造方法の好ましい態様としては、複数の原料供給口を有する二軸押出機の原料供給口(ホッパー)に各成分を供給して動的熱処理を行なう方法が挙げられる。
動的熱処理を行なう際の処理温度は、通常、160〜280℃であり、165〜250℃が好ましく、170〜220℃がより好ましい。
また、動的熱処理を行なう際の処理時間は、通常、0.1〜30分である。
[熱可塑性エラストマー組成物の物性]
本発明の熱可塑性エラストマー組成物のデュロA硬度の値は、30〜95が好ましく、30〜90がより好ましく、35〜90が更に好ましい。
デュロA硬度の測定方法は、後述する実施例に示す。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物において、二重結合を有するポリマー(B)のゲル分率は、80〜100%が好ましく、85〜100%がより好ましい。
ゲル分率の測定方法は、後述する実施例に示す。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物の、JIS K 6262:2013に準拠して、試験温度70℃、試験時間22時間、25%圧縮の条件で測定した圧縮永久歪みは、60%以下が好ましく、50%以下がより好ましく、40%以下が更に好ましい。
圧縮永久歪みが上記上限値以下であると、本発明の熱可塑性エラストマー組成物のゴム弾性がより優れる。
[成形体]
本発明の成形体は、本発明の熱可塑性エラストマー組成物からなる成形体である。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、熱可塑性エラストマー組成物の成形に通常用いられる成形方法によって、成形体とすることができる。前記成形方法としては、射出成形、押出成形、中空成形及び圧縮成形が例示される。本発明の熱可塑性エラストマー組成物の成形方法としては、射出成形又は押出成形が好ましい。
また、これらの成形を行なった後に、積層成形又は熱成形等の二次加工を行うこともできる。
[用途]
本発明の熱可塑性エラストマー組成物及びその製造方法は、自動車分野(シール、クッション又はブーツ等)、建築分野(ガスケット又はパッキン等)、その他各種の雑貨分野、例えば、スポーツ用品(ゴルフクラブやテニスラケットのグリップ類等)、工業用部品(ホースチューブ、ガスケット等)、家電部品(ホース、パッキン類等)、医療用部品(医療用容器、ガスケット、パッキン等)、食品用部品(容器、パッキン等)、医療用機器部品、電線、その他雑貨の広汎な分野で用いることができる。
以下、実施例を用いて本発明の内容を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例によって限定されるものではない。以下の実施例における各種の製造条件や評価結果の値は、本発明の実施態様における上限又は下限の好ましい値としての意味をもつものであり、好ましい範囲は前記した上限又は下限の値と、下記実施例の値又は実施例同士の値との組み合わせで規定される範囲であってもよい。
尚、以下の記載において、「部」及び「%」は、特に断りが無い限り、それぞれ「質量部」及び「質量%」を示す。
以下の実施例で使用した原材料及び評価方法は次のとおりである。
[原料]
〈成分(A)〉
・ポリプロピレン系樹脂A−1:
日本ポリプロ社製 ノバテック(登録商標)PP MA3Q
MFR(測定条件:230℃、荷重21.2N)=10g/10分)
・ポリプロピレン系樹脂A−2:
日本ポリプロ株式会社製 WAYMAX MFX3
MFR(測定条件:230℃、荷重21.2N)=8.8g/10 分
〈成分(B)〉
・エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体B−1 100部及び炭化水素系ゴム用軟化剤F−1 100部からなる混合物(油展エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体):
KUMHO POLYCHME社製 KEP902NP
密度:0.868g/cm
エチレン単位の含有率:66.5%
ムーニー粘度ML1+4(125℃):50
エチリデンノルボルネン単位の含有率:4.5%
ここで、密度、エチレン単位の含有率、エチリデンノルボルネン単位の含有率はB−1の値であり、ムーニー粘度はF−1で希釈後の値である。
〈成分(C)〉
・ニトリルオキシド化合物C−1:
Figure 2021172745
ニトリルオキシド化合物C−1の合成方法
Figure 2021172745
1,6−ヘキサンジオールの14.17g(120mmol)を脱水THFの120mLに溶解し、0℃に冷却した。この溶液に、窒素ガス下で水素化ナトリウムの16g(400mmol)を加え、0℃で1時間撹拌した。この液に、1−ニトロ−2,2−ジフェニルエチレンの60g(266mmol)を加え、20℃で16時間撹拌した。
溶液を0℃に冷却した後、2mol/Lの塩化水素水溶液でpHが6〜7になるまで中和した。中和後の液について、ジクロロメタンを用いて抽出を行なった。ジクロロメタン溶液を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過した。濾液を濃縮し、精製した。得られた固体を酢酸エチルで洗浄することで、白色固体の化合物C−01を50g得た(収率70%)。
化合物C−01のNMRスペクトル:
H−NMR(400MHz,CDCl):δ7.36−7.24(m,20H),
5.34(s,4H),3.35(t,4H),1.74−1.61(m,4H),
1.47−1.32(m,4H)ppm.
化合物C−01の25g(44.0mmol)を脱水ジクロロメタンの750mLに溶解した。この溶液に、4−クロロフェニルイソシアネートの22.5mL(176mmol)、トリエチルアミンの26.90g(266mmol)、モレキュラーシーブス4Aの50gを投入し、窒素ガス下、20℃で16時間撹拌した。
溶液を濾過し、濾液を濃縮した後、カラムクロマトグラフィー(酸性シリカゲル、溶媒:n−ヘキサン/酢酸エチル1/0,3/1)で精製することで、白色固体のニトリルオキシド化合物C−1を7.87g得た(収率34%)。
ニトリルオキシド化合物C−1のNMRスペクトル:
H−NMR(400MHz,CDCl):δ7.44−7.30(m,20H),
3.45(t,4H),1.69(m4H),1.41(m,4H)ppm.
分子量:533
融点:95℃
ニトリルオキシド当量:3.75mmol/g
〈成分(D)〉
・金属石鹸D−1:
ステアリン酸カルシウム (日東化成工業(株)製)
〈成分(E)〉
・オキサゾリン基を有する化合物E−1:
エポクロス(登録商標) RPS−1005((株)日本触媒 製)
密度:1.05g/cm
オキサゾリン基量:0.27 mmol/g・solid
分子量:Mn=70000、Mw=160000
ガラス転移温度:109℃
構造式は下記一般式[E4]で示す通りである。
Figure 2021172745
式[E4]において、u及びvは、それぞれ独立に、1以上の整数である。
〈成分(F)〉
・炭化水素系ゴム用軟化剤F−1:
パラフィン系オイル
〈酸化防止剤〉
・ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]
[評価方法]
〈デュロA硬度(1)〉
ラボプラストミル及び油圧プレス機により得られた熱可塑性エラストマー組成物シートを用い、JIS K 6253−3:2012に準拠して、デュロA硬度(15秒後値)を測定した。
〈ゲル分率(2)〉
予め質量を測定した60メッシュの金網中に、得られた熱可塑性エラストマー組成物を量り入れ、ソックスレー抽出器の中に入れ、還流が12分/回になるように温度調節をしながら4時間キシレンで抽出した。抽出後の金網を冷却した後、80℃の真空乾燥機内で4時間乾燥させ、金網の質量を測定した。キシレン抽出前試料に対するキシレン抽出残分の質量百分率を、二重結合を有するポリマー(B)の含有量で換算し、熱可塑性エラストマー組成物中の二重結合を有するポリマー(B)のゲル分率として評価した。
熱可塑性エラストマー組成物中の二重結合を有するポリマー(B)のゲル分率は大きい程架橋反応が進行していることを意味する。
〈圧縮永久歪み(3)〉
JIS K 6262:2013の規格に準拠した方法で70℃、22時間、25%圧縮条件で測定した。
[実施例1]
ポリプロピレン系樹脂A−1の15部と、エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体B−1及び炭化水素系ゴム用軟化剤F−1の混合物の80部(B−1:40部、F−1:40部)と、金属石鹸D−1の0.5部と、オキサゾリン基を有する化合物E−1の1部と、酸化防止剤の0.1部とを配合し、ラボプラストミル(東洋精機製作所社製)を用いて180℃にて30秒間溶融混練し、ポリプロピレン系樹脂A−2の5部と、ニトリルオキシド化合物C−1の1部とを加え、180℃にて4分間溶融混練し、熱可塑性エラストマー組成物を得た。
得られた熱可塑性エラストマー組成物を、金属プレス板及び横100mm、縦100mm、厚み2mmのシート用スペーサーを用いて、油圧加熱プレス機(東洋精機社製、油圧加熱プレス機、型番A−591901104)にて、温度180℃、圧力150kg/cmにて3分間熱プレスを行ない、油圧冷却プレス機(東洋精機社製、油圧加熱プレス機、型番A−591901105)にて水冷、圧力150kg/cm、3分間冷却することにより、2mm厚の熱可塑性エラストマー組成物シートを得た。
得られたシートについて、前記(1)〜(3)の評価を行なった。結果を表1に示す。
[実施例2]
表1に示す配合量(部)となるように、A−1と、B−1及びF−1の混合物と、D−1と、E−1と、酸化防止剤の0.1部とを配合し、ラボプラストミルを用いて180℃にて30秒間溶融混練し、A−2と、C−1とを加え、180℃にて4分間溶融混練し、熱可塑性エラストマー組成物を得た。
得られた熱可塑性エラストマー組成物を用い、実施例1と同様にして前記(1)〜(3)の評価を行なった。結果を表1に示す。
[比較例1]
表1に示す配合量(部)となるように、A−1と、B−1及びF−1の混合物と、D−1と、酸化防止剤の0.1部とを配合し、ラボプラストミル(東洋精機製作所社製)を用いて180℃にて30秒間溶融混練し、A−2と、C−1とを加え、180℃にて4分間溶融混練し、熱可塑性エラストマー組成物を得た。
得られた熱可塑性エラストマー組成物を用い、実施例1と同様にして前記(1)〜(3)の評価を行なった。結果を表1に示す。
Figure 2021172745
[評価結果]
表1より、本発明に該当する実施例1及び2は架橋特性(ゲル分率)及びゴム弾性(圧縮永久歪み)が優れることがわかった。
比較例1は金属石鹸によってニトリルオキシド化合物が失活されたため、架橋特性(ゲル分率)及びゴム弾性(圧縮永久歪み)が劣ることがわかる。
本発明のポリオレフィン(A)、二重結合を有するポリマー(B)、ニトリルオキシド化合物(C)、金属石鹸(D)及びオキサゾリン基を有する化合物(E)を含む混合物が架橋されて得られる熱可塑性エラストマーを含む熱可塑性エラストマー組成物、その製造方法及び成形体は、架橋特性及びゴム弾性に優れ、車両用部材、家電製品用部材、OA機器用部材、医療用部材、雑貨等に有用である。

Claims (24)

  1. ポリオレフィン(A)、二重結合を有するポリマー(B)、ニトリルオキシド化合物(C)、金属石鹸(D)及びオキサゾリン基を有する化合物(E)を含む混合物が架橋された熱可塑性エラストマーを含む熱可塑性エラストマー組成物。
  2. 前記混合物が、更に、炭化水素系ゴム用軟化剤(F)を含む、請求項1に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  3. 前記混合物が、前記炭化水素系ゴム用軟化剤(F)を、前記二重結合を有するポリマー(B)の合計100質量部に対して、1〜350質量部含む、請求項2に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  4. 前記ニトリルオキシド化合物(C)が式[I]で表される化合物であり、融点が25〜300℃であり、ニトリルオキシド当量が1.0〜4.5mmol/gである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
    Figure 2021172745
    式[I]において、
    sは、1〜4の整数であり、
    及びRは、それぞれ独立に、炭素数4〜10の炭化水素基又は炭素数4〜10のハロゲン化炭化水素基であり、
    Xは、2価の炭化水素基、−O−、−S−又は−N(R)−であり、Rは水素原子又は炭素数1〜6の炭化水素基であり、
    Aはs価の有機基である。
  5. 式[I]において、R及びRが、それぞれ独立に、置換されていてもよい炭素数6〜8のアリール基である、請求項4に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  6. 式[I]において、sが2であり、Aが炭素数2〜10のアルキレン基である、請求項4又は5に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  7. 式[I]において、Aが、1,2−エチレン基、1,3−プロピレン基、2−メチル−1,3−プロピレン基、2,2−ジメチル−1,3−プロピレン基、1,4−ブチレン基、1,5−ペンチレン基、1,6−ヘキシレン基、1,7−ヘプチレン基、1,8−オクチレン基、3−メチル−1,5−ペンチレン基、1,4−シクロへキシレン基、1,4−シクロヘキサジメチレン基、1−メチル−1,2−エチレン基又は1−メチル−1,3−プロピレン基である、請求項4〜6のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  8. 式[I]において、sが2であり、Aが、式[II]で表される基である、請求項4又は5に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
    −(R−O)−R−(O−R− ・・・[II]
    式[II]において、
    mは0又は1であり、
    は炭素数2〜4のアルキレン基であり、
    は、式[III]で表される基又は式[IV]で表される基である。
    Figure 2021172745
    式[III]において、
    〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6の炭化水素基又はハロゲン原子であり、RとRが連結して芳香族環又は脂肪族環を形成してもよく、RとRが連結して芳香族環又は脂肪族環を形成してもよい。
    Figure 2021172745
    式[IV]において、
    10〜R17は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6の炭化水素基又はハロゲン原子であり、R10とR11が連結して芳香族環又は脂肪族環を形成してもよく、R12とR13が連結して芳香族環又は脂肪族環を形成してもよく、R14とR15が連結して芳香族環又は脂肪族環を形成してもよく、R16とR17が連結して芳香族環又は脂肪族環を形成してもよく、
    nは、0又は1であり、
    Yは、−C(R18)(R19)−、−C(=O)−、−S−又は−S(=O)−であり、
    18及びR19は、それぞれ独立して水素原子、炭素数1〜6の炭化水素基又はハロゲン原子であり、R18とR19が連結して芳香族環又は脂肪族環を形成してもよい。
  9. 前記ニトリルオキシド化合物(C)が、式[II]において、
    mが1であり、
    が式[IV]で表される基であり、
    式[IV]において、
    nが1であり、
    Yが−C(R18)(R19)−である、
    請求項8に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  10. 前記ニトリルオキシド化合物(C)が、式[I]において、
    sが1であり、
    Aが、式[V]で表される基である、
    請求項4又は5に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
    Figure 2021172745
    式[V]において、
    は、炭素数1〜5のアルキレン基又は炭素数6〜10のアリーレン基であり、
    は、極性官能基である。
  11. 前記ニトリルオキシド化合物(C)が、式[V]において、
    が、ヒドロキシ基、メルカプト基、カルボキシ基、アミノ基、置換基を有するアミノ基、アミド基、−OR20(但し、R20は、アルキル基又はアリール基である。)又はヘテロ環である、
    請求項10に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  12. 前記ニトリルオキシド化合物(C)が、式(C−1)で表されるニトリルオキシド化合物である、請求項4又は5に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
    Figure 2021172745
  13. 前記金属石鹸(D)が炭素数10〜30である脂肪酸の金属塩である、請求項1〜12のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  14. 前記炭素数10〜30である脂肪酸の金属塩の脂肪酸が、ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、リシノール酸、ベヘン酸、モンタン酸及び12−ヒドロキシステアリン酸からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項13に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  15. 前記炭素数が10〜30である脂肪酸の金属塩が、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸バリウム、ラウリン酸カルシウム、ラウリン酸亜鉛、ラウリン酸バリウム、ミリスチン酸亜鉛、リシノール酸カルシウム、リシノール酸亜鉛、リシノール酸バリウム、ベヘン酸亜鉛、モンタン酸ナトリウム、12−ヒドロキシステアリン酸マグネシウム、12−ヒドロキシステアリン酸カルシウム及び12−ヒドロキシステアリン酸亜鉛からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項13に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  16. 前記オキサゾリン基を有する化合物(E)が、式[E1]で表される構造を有することを特徴とする、請求項1〜15のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
    Figure 2021172745
    式[E1]において、R51〜R54は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アラルキル基又は置換基を有していてもよいフェニル基である。
  17. 前記オキサゾリン基を有する化合物(E)が、側鎖及び/又は末端にオキサゾリン基を有する高分子化合物である、請求項1〜16のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  18. 前記オキサゾリン基を有する化合物(E)が、式[E4]で表されるオキサゾリニル基を有するスチレン系共重合体である、請求項1〜17のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
    Figure 2021172745
    式[E4]において、
    uは1以上の整数であり、vは1以上の整数である。
  19. 前記混合物において、前記ポリオレフィン(A)と前記二重結合を有するポリマー(B)の質量比[ポリオレフィン(A)の合計質量]/[二重結合を有するポリマー(B)の合計質量]が5/95〜45/55である、請求項1〜18のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  20. 前記混合物が、前記ニトリルオキシド化合物(C)を、前記二重結合を有するポリマー(B)の100質量部に対して、0.05〜10.0質量部含む、請求項1〜19のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  21. 前記混合物が、前記金属石鹸(D)を、前記二重結合を有するポリマー(B)の100質量部に対して、0.001〜5.0質量部含む、請求項1〜19のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  22. 前記混合物が、前記オキサゾリン基を有する化合物(E)を、前記二重結合を有するポリマー(B)の100質量部に対して、0.01〜30.0質量部含む、請求項1〜21のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  23. 前記混合物を動的架橋することを特徴とする、請求項1〜22のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
  24. 請求項1〜22のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物からなる成形体。
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