JP2020105547A - 構造用部材及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 比較的低廉な合金からなるとともに、寸法及び形状制限の少ない疲労特性に優れた構造用部材の提供。【解決手段】 部材形状に加工後に表面浸窒処理されて窒化層を有する構造用部材である。質量%で、C:0.13〜0.43%、Si:0.05〜0.35%、Mn:0.60〜0.90%、Cr:0.80〜1.25%、N:0.015%以下、Al:0.020〜0.100%、を含み、残部Fe及び不可避的不純物からなる成分組成を有し、オーステナイト結晶粒度で、表面から3mm以上の内部の結晶粒径を5.0よりも小の粗粒としつつ、表面 から50μm以内の前記窒化層の結晶粒径を8.0よりも大の細粒に維持した組織を有することを特徴とする。【選択図】 なし

Description

本発明は、熱処理を経て与えられる疲労特性に優れた構造用部材及びその製造方法に関し、特に、比較的低廉な合金からなるとともに寸法及び形状制限の少ない構造用部材及びその製造方法に関する。
構造用部材、特に継ぎ手やボルトのような締結部材などにあっては、静的な荷重に対する強度とともに、繰り返し荷重に対する強度が求められる。かかる疲労特性に優れる構造用部材は、NiやMoなどの合金元素を添加した合金鋼などが用いられ、一般的には、焼入れ焼戻しの熱処理を経て提供される。
例えば、特許文献1では、焼入れ焼戻し後に時効処理することで、ボルトの疲労強度を向上させる方法を開示している。ここでは、JIS規格SCM435相当のいわゆるクロムモリブテン合金鋼を用いたボルトの例について述べている。ボルト形状に機械加工された被処理材を800〜950℃に加熱して水または油中に焼入れ、続いて、400〜550℃で30〜120分間保持して焼き戻し、更に、20〜300℃で10分〜735日間保持する時効処理をするとしている。かかる熱処理により、疲労強度を高めることができるとしている。
一方、NiやMoなどの合金元素を抑制し又はこれを含まず、比較的に低廉な成分組成の鋼又は合金鋼を用いて、窒化や浸炭などの表面拡散処理を施すことにより、疲労特性を高めた構造用部材及び製造方法も広く知られている。
例えば、特許文献2では、上記したようにNiやMoなどを含まない比較的に低廉な成分組成の合金鋼であって、浸炭処理しつつ結晶粒径を制御することで疲労特性を高めた構造部材を開示している。質量%で、C:0.10〜0.40%,Si:0.05〜2.00%,Mn:0.30〜2.00%,Cr:0.30〜3.00%,N:0.025%以下とした合金に、Al:0.020〜0.100%,Nb:0.01〜0.20%,Ti:0.005〜0.20%のうちの1種若しくは2種以上を含有させて、ピン止め粒子を生成させて窒化による結晶粒径の制御をするとともに、更に、浸炭処理をして疲労強度を高めるとしている。表面から3mm以上の内部の結晶粒度番号が5番以下の粗粒である一方、浸炭処理により、表面から50μm以内の表層では結晶粒度番号で5番よりも大きな細粒になる。かかる結晶粒径の傾斜により、疲労強度を高めることができるとしている。
特開2015−193932号公報 特開2014−234552号公報
上記したように、比較的低廉な合金でありながら、熱処理により疲労特性を向上させた構造用部材が提案されている。一方で、熱処理を経るため、寸法及び形状に制限が生じる。すなわち、大型部材や複雑形状の部材では、焼入れ時に中心部と表面部とで温度差が生じることから、得られる金属組織にも差が生じて、結果として、所定の疲労特性を得られないことがある。
本発明は、以上のような状況に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、比較的低廉な合金からなるとともに、寸法及び形状制限の少ない疲労特性に優れた構造用部材及びその製造方法を提供することにある。
本発明による構造用部材は、部材形状に加工後に浸窒処理されて窒化層を有する構造用部材であって、質量%で、C:0.13〜0.43%、Si:0.05〜0.35%、Mn:0.60〜0.90%、Cr:0.80〜1.25%、N:0.015%以下、Al:0.020〜0.100%、を含み、残部Fe及び不可避的不純物からなる成分組成の鋼からなり、オーステナイト結晶粒度で、表面から3mm以上の内部の結晶粒径を5.0番よりも小さな粗粒としつつ、表面から50μm以内の前記窒化層の結晶粒径を8.0番よりも大きな細粒に維持した組織を有することを特徴とする。
かかる発明によれば、比較的低廉な成分組成の合金からなるとともに、表層の窒化層と内部との結晶粒径に傾斜を与えて疲労特性に優れた構造用部材とし得るのである。
上記した発明において、前記内部は焼き入れ焼き戻し組織を有することを特徴としてもよい。かかる発明によれば、構造用部材として必要とされる靭性を含む機械的性質に優れた構造用部材とし得るのである。
また、本発明による構造用部材の製造方法は、質量%で、C:0.13〜0.43%、Si:0.05〜0.35%、Mn:0.60〜0.90%、Cr:0.80〜1.25%、N:0.015%以下、Al:0.020〜0.100%、を含み、残部Fe及び不可避的不純物からなる成分組成を有する鋼を部品形状に加工し、この被処理材を浸窒性ガスにて浸窒処理後に焼き入れ焼き戻しする窒化層を有する構造用部材の製造方法であって、前記浸窒処理において、オーステナイト結晶粒度で、結晶粒径を8.0番よりも大とした前記被処理材を浸窒処理炉内に設置し、A点以上の保持温度に加熱して保持し、表面から50μm以内の前記窒化層の結晶粒径を8.0番よりも大の細粒に維持させつつ、表面から3mm以上の内部の結晶粒径を5.0番よりも小の粗粒となるようにするにあたって、前記保持温度をT(℃)として保持時間をt(h)とすると、24000<5016+20T+152t<25500とすることを特徴とする。
かかる発明によれば、比較的低廉な合金を用いて、表層の窒化層と内部との結晶粒径に傾斜を有する疲労特性に優れた構造用部材を寸法及び形状制限を受けることなく与え得るのである。
上記した発明において、前記浸窒処理は、前記浸窒性ガスの窒素の分圧を0.1気圧以上とすることを特徴としてもよい。かかる発明によれば、構造用部材として必要とされる靭性を含む機械的性質を劣化させずに、表層の窒化層と結晶粒径の傾斜を確実に与え得るのである。
本発明による構造用部材の製造方法の工程の一例を示すフロー図である。 製造試験に用いた実施例及び比較例の成分組成の一覧表である。 製造試験に用いた実施例及び比較例の浸窒条件及び試験結果の一覧表である。
本発明による1つの実施例としての構造用部材及びその製造方法について、図1及び図2を用いて説明する。
図1を参照すると、まず、所定の成分組成を有する鋼を部材形状に加工し、被処理材とする(S1)。ここでは、鍛造加工や機械加工などによって、得ようとする構造用部材の形状に素材を成形する。部材形状は、後述するように浸窒処理によって得られた窒化層を残存させるため、部材としての最終形状に近い形状である。例えば、窒化層を十分残存させられる場合において、部材形状から表面研磨等の加工をして最終形状としてもよい。なお、被処理材は、その金属組織において、その結晶粒径をオーステナイト結晶粒度で8.0番よりも大きな細粒のものとする。これについては後述する。
上記した所定の成分組成は、質量%で、C:0.13〜0.43%、Si:0.05〜0.35%、Mn:0.60〜0.90%、Cr:0.80〜1.25%、N:0.015%以下、Al:0.020〜0.100%、を含むものである。NiやMoなどの原材料として高価な合金元素を添加するものではなく、比較的低廉な合金の成分組成である。図2の実施例1〜7にその代表な成分組成を示した。
次いで、被処理材は、処理炉内において焼入れに併せて浸窒処理される(S2)。すなわち、処理炉内を真空引きして減圧雰囲気とした上で、オーステナイト相の安定領域となるA点以上の保持温度T(℃)まで加熱するとともに窒素ガス等をパージして浸窒性ガス雰囲気下で保持時間t(h)の保持を行い、浸窒させる。保持後、部材を急冷し、焼入れを完了させる。ここで、浸窒処理による窒化層を確実に与えるために、浸窒性ガスは窒素の分圧を0.1気圧以上とされることが好ましい。
浸窒条件としては、表面近傍に窒化層を形成するとともに、表面から深さ3.0mm以上の内部において結晶粒をオーステナイト結晶粒度で5.0番よりも小さな粗粒とし、且つ、表面から50μm以内の表層部において結晶粒を同じく結晶粒度で8.0番よりも大きな微細粒とするように定める。
特に、浸窒条件として、保持温度T(℃)と保持時間t(h)とを用いた以下の式1の値を24000よりも大きく25500よりも小さい範囲内となるようにすることが好ましい。
5016+20T+152t … (式1)
式1の値を24000よりも大きくすることで素材を良好に焼入れ可能とするとともに、ピン止め粒子の少ない内部を十分に粗粒化させる。このような浸窒に伴い内部の結晶粒は成長する。他方、式1の値を25500よりも小さくすることで、表面から侵入する窒素による窒化物を形成させて結晶粒の粗大化を抑制して、特に、表面から深さ50μm以内の表層部の結晶粒を微細に維持する。つまり、保持温度を低く、保持時間を短くする傾向とすることで結晶粒の過剰な成長を抑制し、表層の窒化物からなるピン止め粒子によるピン止め効果を十分得るのである。すなわち、このように式1の値を上記した範囲内に納めるような浸窒条件とすることで、得られる構造用部材の表層部と内部とに上記したような結晶粒径の傾斜を与えることが容易になる。
最後に、必要に応じて焼戻し処理して、焼入れ焼き戻し組織を与えて構造用部材としての機械的性質を調整する(S3)。上記したように式1の値を所定の範囲内に納めたことで、かかる焼き戻し処理の後に構造用部材として必要とされる靭性や引張強度などの機械的性質を確実に与えることができる。
上記した浸窒処理により、表層の結晶粒の成長を抑制して微細に維持する。特に、焼戻し後において、表面から深さ3.0mm以上の内部では、粒度番号を5.0番よりも小さくする粒径の粗大な結晶粒に成長するが、表面から深さ50μm以内の表層部では、粒度番号を8.0番よりも大きな細かい結晶粒径を有する細粒を維持させるのである。すなわち、浸窒処理される被処理材は浸窒処理前において、オーステナイト結晶粒度で粒度番号を8.0番より大きな粒径の微細な結晶粒を有するものとする必要がある。
ここで、特許文献2でも述べられているように、結晶粒について部材の表層を細粒にして内部を粗粒にすることで疲労強度を高くできる。よって、本実施例においても上記したように、表層部を微細な結晶粒に維持したまま、内部を粗大な結晶粒に成長させたことで高い疲労強度を得ることができる。これにより、大型部材や複雑形状の部材のように焼入れ時に中心部と表面部とで温度差が生じるような部材であっても、所定の疲労特性を得ることが容易となる。つまり、寸法及び形状制限を受けることなく疲労特性に優れた構造用部材を得ることができる。
本実施例による構造部材は、表層を細粒にしたことで、さらに耐遅れ破壊性にも優れる。遅れ破壊は、水素の拡散に起因するが、例えば、0.1規定の塩酸を滴下する曲げ遅れ破壊試験において、30h破断強度を静曲げ試験の破断強度に対する比(遅れ破壊強度比)で0.6以上とすることができる。よって、例えば、耐遅れ破壊性を要求される継ぎ手やボルトのような締結部材などにも適用し得る。細粒とすることで結晶粒全体としての表面積が増え、結晶粒界に偏析する不純物の面積あたりの濃度を低下させるため、粒界強度が上昇し耐遅れ破壊性を向上させ得るものと考えられる。
[製造試験]
上記した製造方法により構造部材としての試験材を製造し、結晶粒度、引張強度、遅れ破壊強度比を測定した結果について、図2及び図3を用いて説明する。
図2に示すように、実施例1〜7及び比較例1〜5の成分組成による合金を用いて試験材を製造した。すなわち、これらの合金からなる素材について、上記した部材形状として試験片形状に加工した後、浸窒処理した。
図3に示すように、浸窒処理については、実施例1〜7、比較例1〜5のそれぞれについての「浸窒条件」に従った。すなわち、それぞれの実施例及び比較例において、示された窒素分圧、保持温度T(℃)、保持時間t(h)による浸窒処理をし、油冷により焼入れした。このとき、上記した式1:5016+20T+152tの値をそれぞれ示した。さらに、焼戻し処理として、500℃で1h保持し、空冷した。
得られた試験片を用いて、結晶粒度、引張強度、遅れ破壊強度比、それぞれについての測定を行った。結晶粒度については、表面からの深さ50μmの位置及び3mmの位置で測定してそれぞれ表層結晶粒度及び内部結晶粒度とした。引張試験はJIS Z2241に従った。また、遅れ破壊強度比については、曲げ遅れ破壊試験によって測定した。静曲げ強度を測定した上で、0.1規定の塩酸を滴下しつつ静曲げ強度の0.8〜0.2倍の応力を負荷し、遅れ破壊の破断時間を求めた上で、30h破断強度と静曲げ強度との比をとって遅れ破壊強度比とした。
実施例1〜7は、いずれも、式1の値を24000超及び25500未満の範囲内としている。表層部の窒化層内では微細な結晶粒径を維持しており、結晶粒度番号で最低9.2番、少なくとも、結晶粒度番号で8.0番よりも大きな微細な結晶粒となっていた。また、内部では、結晶粒度番号で最大4.9番であり、少なくとも、結晶粒度番号で5.0番よりも小さい粗大な結晶粒となっていた。上記した通り、表層の窒化層を微細粒に維持しつつ、内部において粗粒となるような浸窒処理であり、これにより疲労強度を高く且つ引張強度を1180〜1246MPaとできて、遅れ破壊強度比をいずれも0.60以上とできるのである。つまり、耐遅れ破壊性にも優れる。
一方、比較例1では、式1の値が24000に満たず、内部でも結晶粒径が細かく、結晶粒度番号で11.0であった。つまり、内部でも、結晶粒度番号を5.0番よりも小とするような粗大な結晶粒は得られず、疲労強度の観点で劣っていた。また、引張強度も他に比べて低く、1050MPaであった。
比較例2では、式1の値が25500以上となり、表層部でも結晶粒径が大きく、結晶粒度番号で7.2番であった。つまり、表層部でも、結晶粒度番号を8.0番よりも大とするような微細な結晶粒は得られず、疲労強度の観点で劣っていた。また、遅れ破壊強度比を0.6未満として耐遅れ破壊性に乏しい。
比較例3では、式1の値を24000よりも大きく25500よりも小さい範囲内としたものの、表層部でも結晶粒径が大きく、結晶粒度番号で7.1番であった。つまり、表層部でも結晶粒度番号を8.0番よりも大とする微細な結晶粒は得られず、疲労強度の観点で劣っていた。また、遅れ破壊強度比を0.6未満として耐遅れ破壊性にも乏しい。これはAlの含有量が少なかったために、窒化層のうち特に表層部にピン止め粒子を十分に形成できなかったものと考えられる。
比較例4では、式1の値を上記した範囲内としたものの、表層部でも結晶粒径が大きく、結晶粒度番号で6.6番であった。つまり、表層部でも結晶粒度番号を8.0番よりも大とする微細な結晶粒を得られず、疲労強度の観点で劣っていた。また、遅れ破壊強度比を0.6未満として耐遅れ破壊性にも乏しい。これは、窒素分圧が0.1気圧よりも低かったために、表層部にピン止め粒子を十分に形成できるような浸窒性ガス雰囲気を得られていなかったためと考えられる。
比較例5では、合金にMoを添加された成分組成を有することで浸窒条件の同じ比較例1に比べて高い引張強度を得ており、高い焼入れ性を有すると考えられる。しかし、比較例1と同様に式1の値を24000以下とした結果、内部でも結晶粒径が小さく、結晶粒度番号で10.7番であった。このように、結晶粒度番号を5.0番よりも小とする粗大な結晶粒を得られていないが、遅れ破壊強度比は高く、耐遅れ破壊性には優れる。なお、上記した実施例1〜7のMoは不可避的不純物(0.05%以下)として含有したものである(図2参照)。
以上の結果からわかるように、実施例1〜7においては、結晶粒に関して部材の表層部で微細粒を得るとともに内部で粗粒を得て、上記したように疲労強度の観点から優れるとともに、耐遅れ破壊性にも優れる。他方、比較例によれば、表層部の結晶粒を粗大にしたり内部の結晶粒を微小にしたりして、いずれも疲労強度の観点で劣っていた。また、比較例2〜4においては耐遅れ破壊性においても劣った。
ところで、上記した実施例を含む合金とほぼ同等の結晶粒度を部材の表層部及び内部で得てほぼ同等の疲労強度及び耐遅れ破壊性を得ることのできる合金の組成範囲は以下のように定められる。
Cは、機械強度を確保するために必要である。一方、過剰に含有させると靭性を低下させてしまう。これらを考慮して、Cは、質量%で0.13〜0.43%の範囲内である。
Siは、脱酸剤として必要である。一方、過剰に含有させると熱間鍛造などの塑性加工において割れの発生を助長する。これらを考慮して、Siは、質量%で、0.05〜0.35%の範囲内である。
Mnは、焼入れ性を確保するために必要である。一方、過剰に含有させると冷間や熱間での塑性加工性や被削性などの機械加工性を劣化させる。これらを考慮して、Mnは、質量%で、0.60〜0.90%の範囲内である。
Crは、引張強度及び靭性を向上させるために必要である。一方、過剰に含有させると加工性の劣化を招く。これらを考慮して、Crは、質量%で、0.80〜1.25%の範囲内である。
Nは、Alと結合してピン止め粒子としての窒化物粒子を形成し、浸窒処理によって表層の結晶粒成長を抑制するが、内部の結晶粒を粗大化させるために予め鋼中に含有させる量を少なくしておくことが好ましい。そこで、Nは、質量%で、0.015%以下の範囲内である。
Alは、Nと結合してピン止め粒子としての窒化物粒子を形成し、浸窒処理によって表層の結晶粒成長を抑制するために必要である。一方、過剰に含有させると加工性を劣化させたり、粗大な窒化物を生成したりする。これらを考慮して、Alは、質量%で、0.020〜0.100%の範囲内である。
以上、本発明の代表的な実施例を説明したが、本発明は必ずしもこれらに限定されるものではなく、当業者であれば、本発明の主旨又は添付した特許請求の範囲を逸脱することなく、種々の代替実施例及び改変例を見出すことができるであろう。

Claims (4)

  1. 部材形状に加工後に表面浸窒処理されて窒化層を有する構造用部材であって、
    質量%で、
    C:0.13〜0.43%、
    Si:0.05〜0.35%、
    Mn:0.60〜0.90%、
    Cr:0.80〜1.25%、
    N:0.015%以下、
    Al:0.020〜0.100%、
    を含み、残部Fe及び不可避的不純物からなる成分組成の鋼からなり、
    オーステナイト結晶粒度で、表面から3mm以上の内部の結晶粒径を5.0番よりも小さな粗粒としつつ、表面から50μm以内の前記窒化層の結晶粒径を8.0番よりも大きな細粒に維持した組織を有することを特徴とする構造用部材。
  2. 前記内部は焼き入れ焼き戻し組織を有することを特徴とする請求項1記載の構造用部材。
  3. 質量%で、
    C:0.13〜0.43%、
    Si:0.05〜0.35%、
    Mn:0.60〜0.90%、
    Cr:0.80〜1.25%、
    N:0.015%以下、
    Al:0.020〜0.100%、
    を含み、残部Fe及び不可避的不純物からなる成分組成を有する鋼を部品形状に加工し、この被処理材を浸窒性ガスにて浸窒処理後に焼き入れ焼き戻しする窒化層を有する構造用部材の製造方法であって、
    前記浸窒処理において、オーステナイト結晶粒度で、結晶粒径を8.0番よりも大きな細粒の前記被処理材を浸窒処理炉内に設置し、A点以上の保持温度に加熱して保持し、表面から50μm以内の前記窒化層の結晶粒径を8.0番よりも大きな細粒に維持させつつ、表面から3mm以上の内部の結晶粒径を5.0番よりも小さな粗粒となるようにするにあたって、
    前記保持温度をT(℃)として保持時間をt(h)とすると、
    24000<5016+20T+152t<25500
    とすることを特徴とする構造用部材の製造方法。
  4. 前記浸窒処理は、前記浸窒性ガスの窒素の分圧を0.1気圧以上とすることを特徴とする請求項3記載の構造用部材の製造方法。

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