本発明に係る電子電気機器は、電子電気機器の内部に設けられて半導体素子を冷却するヒートシンクと、導電性の筐体とを導電部材(例えばケーブル)で接続する構造を有している。本発明に係る電子電気機器は、当該構造を有することにより、放射ノイズ、特に30MHz付近の低周波帯域の放射ノイズを抑制することができる。
以下、本発明の第1実施形態による電子電気機器について電力変換装置を例にとって、詳細に説明する。
〔第1実施形態〕
まず、本発明の第1実施形態及び第2実施形態による電子電気機器としての電力変換装置の概略構成について図1及び図2を用いて説明する。図1(a)では、理解を容易にするため、半導体モジュールの図示が省略されている。また、図1(b)では、理解を容易にするため、電力変換装置は、筐体の側壁の一部を透過した状態で図示されている。
図1(a)に示すように、本発明の第1実施形態による電子電気機器としての電力変換装置E1は、例えば、板金等の導電体で形成された導電部を少なくとも一部に有する筐体11を備えている。筐体11は、少なくとも一部が導電体で形成された側壁(導電部の一例)と、少なくとも一部が導電体で形成された後面部(導電部の一例)とを有している。筐体11は、内側に空間を有している。電力変換装置E1は、パワー半導体モジュール(半導体素子の一例)14(図1(b)参照)と、熱伝導体で形成された熱伝導部を少なくとも一部に有しパワー半導体モジュール14の少なくとも一部に当該熱伝導部を接触して設けられたヒートシンク12とを備えている。ヒートシンク12は、パワー半導体モジュール14と機械的及び熱的に接触することにより、パワー半導体モジュール14で発生した熱を放熱することができる。パワー半導体モジュール14及びヒートシンク12は、筐体11の内部に配置されている。
ヒートシンク12は、絶縁体を介して筐体11に取り付けられている。ヒートシンク12は、板状のベース部121と、ベース部121に直交して配置された薄板状の複数のフィン部122とを有している。複数のフィン部122は、互いに所定の間隙を設けて並列して配置されている。ベース部121及びフィン部122は、いずれもアルミニウムあるいはアルミニウム合金等の熱伝導体で形成されており、熱伝導部の一例に相当する。パワー半導体モジュール14は、ベース部121に機械的及び熱的に接触させて配置されている。
電力変換装置E1は、プリント回路基板17を備えている。プリント回路基板17は、配線パターン部171を有している。図1(b)に示すように、パワー半導体モジュール14は、複数の端子142を有し、複数の端子142を配線パターン部171に貫通させてプリント回路基板17に実装されている。
図1(a)に示すように、プリント回路基板17には、コンバータ部やノイズフィルタなどを構成する電子部品群172が実装されている。パワー半導体モジュール14は、プリント回路基板17に実装されることによって筐体11の内部に配置される。筐体11の内部には、筐体11の後面部側からヒートシンク12、パワー半導体モジュール14及びプリント回路基板17がこの順に配置されている。
電力変換装置E1は、3相の交流電力が入力される入力端子R、入力端子S及び入力端子Tを備えている。入力端子R、入力端子S及び入力端子Tは、プリント回路基板17に設けられている。
電力変換装置E1は、出力端子U、出力端子V及び出力端子Wを備えている。出力端子U、出力端子V及び出力端子Wは、プリント回路基板17に設けられている。
電力変換装置E1は、筐体11の導電部に配置されて接地線を接続する入力接地端子(接地線接続端子の一例)15を備えている。入力接地端子15は、筐体11の側壁の導電体で形成された領域に設けられている。これにより、筐体11と入力接地端子15との電気的な接続が確保されている。入力接地端子15は、電力変換装置E1を大地や床面などの基準アース面に接地するために用いられる。
電力変換装置E1は、ヒートシンク12の熱伝導部に配置されて接地線を接続する出力接地端子16を備えている。出力接地端子16は、ヒートシンク12の熱伝導部の一例であるベース部121に設けられている。これにより、ヒートシンク12と出力接地端子16との電気的な接続が確保される。出力接地端子16は、電力変換装置E1とモータ(不図示)などの負荷とを接続して、負荷装置を接地するために用いられる。なお、出力接地端子16は、フィン部122に設けられていてもよい。
電力変換装置E1は、ヒートシンク12の熱伝導部と筐体11の導電部とを接続し導電性を有するケーブル(導電部材の一例)13を備えている。ケーブル13は、例えばヒートシンク12の熱伝導部の一例であるベース部121と筐体11の導電部の一例である底部とを接続した状態で設けられている。ケーブル13は、ベース部121ではなくフィン部122に接続されていてもよい。ヒートシンク12及び筐体11は、ケーブル13のみで電気的に接続されている。ケーブル13は、電力変換装置E1の単独、又は電力変換装置E1を含むモータ駆動システムにおけるノイズの伝達経路のインピーダンスを調整するために設けられている。つまり、ケーブル13は、モータ駆動システムにおけるノイズの伝達経路のインピーダンス調整部材としての機能を発揮するようになっている。ケーブル13は、例えば銅で形成された複数の細線が束ねられて形成されている。ケーブル13は、柔軟性を有している。ケーブル13は、ヒートシンク12と筐体11との間を例えば最短距離で張り渡されている。また、ケーブル13は、ヒートシンク12と筐体11との間を折り返されたりせずに直線状に張り渡されている。
次に、電力変換装置E1を含むモータ駆動システムMSについて図1を参照しつつ図2を用いて説明する。
図2(a)に示すように、モータ駆動システムMSは、3相の交流電力を供給する商用交流電源Pから供給される交流電力を周波数の異なる交流電力に変換する電力変換装置E1と、電力変換装置E1から供給される交流電力で駆動されるモータMとを備えている。
図2(a)に示すように、モータ駆動システムMSは、商用電源等の商用交流電源Pと電力変換装置E1とを接続する入力ケーブル91を備えている。入力ケーブル91は、商用交流電源Pから供給されるR相の交流電圧が供給されるケーブル91rと、商用交流電源Pから供給されるS相の交流電圧が供給されるケーブル91sと、商用交流電源Pから供給されるT相の交流電圧が供給されるケーブル91tと、アース線91aとを有している。ケーブル91r、ケーブル91s、ケーブル91tは、それぞれ電力変換装置E1に備えられた入力端子R,S,Tに接続されている。アース線91aは、電力変換装置E1に備えられた入力接地端子15に接続されている。アース線91aは、接地線の一例に相当する。電力変換装置E1は、アース線91aを介して大地や床面などの基準アース面93に接地されている。商用交流電源Pも基準アース面93に接地されている。
図2(a)に示すように、電力変換装置E1は、入力端子R,S,Tに接続されたノイズフィルタ18と、ノイズフィルタ18に接続されたコンバータ部19と、コンバータ部19に接続された平滑用コンデンサCdcと、平滑用コンデンサCdcに接続されたインバータ部20とを有している。
ノイズフィルタ18は、伝導ノイズや放射ノイズを低減するために設けられている。ノイズフィルタ18は、電力変換装置E1から商用交流電源Pへ流出する伝導ノイズや電力変換装置E1から外部空間へ放射される放射ノイズを主に低減するために設けられている。ノイズフィルタ18は、LCフィルタで構成されている。ノイズフィルタ18は、入力端子R,S,T側に接続された入力側コンデンサ181と、コモンモードチョークコイル182と、コンバータ部19側に接続された出力側コンデンサ183とを有している。
入力側コンデンサ181は、入力端子R,S,T側にスター結線された3つのコンデンサCr1、Cs1、Ct1を有している。また、入力側コンデンサ181は、コンデンサCr1,Cs1,Ct1のそれぞれの一端が入力端子R,S,Tとコモンモードチョークコイル182との間に接続され、他端が互いに接続されてコンデンサC1を介して入力接地端子15に接続されている。
コモンモードチョークコイル182は1つのコアに3つの銅線が巻き付けられた構造をしており、各巻線の一端は入力端子R,S,Tに接続され、他端はコンバータ部19に接続されている。
出力側コンデンサ183は、コンバータ部19側にスター結線された3つのコンデンサCr3,Cs3,Ct3を有している。また、出力側コンデンサ183は、コンデンサCr3,Cs3,Ct3のそれぞれの一端がコモンモードチョークコイル182とコンバータ部19との間に接続され、他端が互いに接続されてコンデンサC3を介して入力接地端子15に接続されている。
コンバータ部19は、入力端子R,S,Tから出力される商用交流電圧の各々が印加される6個のダイオード19a,19b,19c,19d,19e,19fを有している。ダイオード19a及びダイオード19dは直列に接続され、ダイオード19aとダイオード19dとの接続点である中間点に商用交流電源PのR相の交流電圧が印加される。ダイオード19aのカソードは平滑用コンデンサCdcの正極側電極に接続され、ダイオード19dのアノードは平滑用コンデンサCdcの負極側電極に接続されている。コモンモードチョークコイル182のリアクトルLrの他端がダイオード19aとダイオード19dとの接続点である中間点に接続されている。
ダイオード19b及びダイオード19eは直列に接続され、ダイオード19bとダイオード19eとの接続点である中間点に商用交流電源PのS相の交流電圧が印加される。ダイオード19bのカソードは平滑用コンデンサCdcの正極側電極に接続され、ダイオード19eのアノードは平滑用コンデンサCdcの負極側電極に接続されている。コモンモードチョークコイル182のリアクトルLsの他端がダイオード19bとダイオード19eとの接続点である中間点に接続されている。
ダイオード19c及びダイオード19fは直列に接続され、ダイオード19cとダイオード19fとの接続点である中間点に商用交流電源PのT相の交流電圧が印加される。ダイオード19cのカソードは平滑用コンデンサCdcの正極側電極に接続され、ダイオード19fのアノードは平滑用コンデンサCdcの負極側電極に接続されている。コモンモードチョークコイル182のリアクトルLtの他端がダイオード19cとダイオード19fとの接続点である中間点に接続されている。
インバータ部20は、6個のスイッチング部S1,S2,S3,S4,S5,S6を有している。パワー半導体モジュール14は、6個のスイッチング部S1,S2,S3,S4,S5,S6によってインバータ部20を構成している。
スイッチング部S1,S2,S3は、平滑用コンデンサCdcの正極側に接続されている。スイッチング部S4,S5,S6は、平滑用コンデンサCdcの負極側に接続されている。スイッチング部S1及びスイッチング部S4は、この正極側及び負極側の間に生じる直流電圧のそれぞれの出力部の間に直列に接続されている。スイッチング部S2及びスイッチング部S5は、この直流電圧の正極側と負極側との間に直列に接続されている。スイッチング部S3及びスイッチング部S6は、この正極側及び負極側の直流電圧のそれぞれの出力部の間に直列に接続されている。スイッチング部S1及びスイッチング部S4の接続点は、出力端子Uに接続されている。スイッチング部S2及びスイッチング部S5の接続点は、出力端子Vに接続されている。スイッチング部S3及びスイッチング部S6の接続点は、出力端子Wに接続されている。
スイッチング部S1及びスイッチング部S4は、U相アームを構成し、スイッチング部S2及びスイッチング部S5は、V相アームを構成し、スイッチング部S3及びスイッチング部S6は、W相アームを構成している。したがって、パワー半導体モジュール14は、これらのU相アーム、V相アーム及びW相アームが並列接続された三相ブリッジ回路を有している。スイッチング部S1,S2,S3はハイサイドスイッチを構成し、スイッチング部S4,S5,S6はローサイドスイッチを構成している。
図示は省略するが、電力変換装置E1は、スイッチング部S1,S2,S3,S4,S5,S6のスイッチング動作を個別に制御する6個のゲート駆動装置と、当該ゲート駆動装置を制御する制御部とを備えている。
スイッチング部S1は、絶縁ゲート型バイポーラ・トランジスタ(Insulated
Gate Bipolor Transistor:IGBT)で構成された半導体スイッチQ1と、半導体スイッチQ1に逆並列接続された還流用ダイオードD1とを有している。半導体スイッチQ1のコレクタ端子には還流用ダイオードD1のカソードが接続され、半導体スイッチQ1のエミッタ端子には還流用ダイオードD1のアノードが接続されている。半導体スイッチQ1のゲート端子にはゲート駆動装置(不図示)が接続されている。
スイッチング部S2は、半導体スイッチQ1を半導体スイッチQ2と読み替え、還流用ダイオードD1を還流用ダイオードD2と読み替えた場合のスイッチング部S1と同様の構成を有している。スイッチング部S3は、半導体スイッチQ1を半導体スイッチQ3と読み替え、還流用ダイオードD1を還流用ダイオードD3と読み替えた場合のスイッチング部S1と同様の構成を有している。スイッチング部S4は、半導体スイッチQ1を半導体スイッチQ4と読み替え、還流用ダイオードD1を還流用ダイオードD4と読み替えた場合のスイッチング部S1と同様の構成を有している。スイッチング部S5は、半導体スイッチQ1を半導体スイッチQ5と読み替え、還流用ダイオードD1を還流用ダイオードD5と読み替えた場合のスイッチング部S1と同様の構成を有している。スイッチング部S6は、半導体スイッチQ1を半導体スイッチQ6と読み替え、還流用ダイオードD1を還流用ダイオードD6と読み替えた場合のスイッチング部S1と同様の構成を有している。
インバータ部20を構成するパワー半導体モジュール14(図1(b)参照)に設けられたスイッチング部S1〜S6はそれぞれ、半導体素子の一例に相当する。また、スイッチング部S1〜S6に設けられた半導体スイッチQ1〜Q6はそれぞれ、半導体素子の一例に相当する。
図2(a)に示すように、モータ駆動システムMSは、電力変換装置E1とモータMとを接続する出力ケーブル92を備えている。出力ケーブル92は、電力変換装置E1で生成されたU相の交流電圧をモータMに供給するためのケーブル92uを有している。出力ケーブル92は、電力変換装置E1で生成されたV相の交流電圧をモータMに供給するためのケーブル92vを有している。出力ケーブル92は、電力変換装置E1で生成されたW相の交流電圧をモータMに供給するためのケーブル92wを有している。出力ケーブル92は、アース線92aを有している。ケーブル92uは、電力変換装置E1に備えられた出力端子Uに接続されている。ケーブル92vは、電力変換装置E1に備えられた出力端子Vに接続されている。ケーブル92wは、電力変換装置E1に備えられた出力端子Wに接続されている。アース線92aは、電力変換装置E1に備えられた出力接地端子16に接続されている。モータMは、アース線92a及び出力接地端子16を介して電力変換装置E1に設けられたヒートシンク12に接地されている。ヒートシンク12は、ケーブル13、筐体11、入力接地端子15及びアース線91aを介して基準アース面93に接地されている。このため、モータMも電力変換装置E1及びアース線91aを介して基準アース面93に接地される。また、出力ケーブルには例えば、ケーブル92u、ケーブル92v、ケーブル92w、アース線92aのまわりを編組線で取り囲んだシールドケーブルが用いられる。
図2(b)に示すように、半導体スイッチQ1は、半導体チップ11qと、回路パターン12qとを有している。回路パターン12qは、半導体チップ11qにコンバータ部19から入力される直流電圧などを供給するために設けられている。また、半導体スイッチQ1は、ヒートシンク12と熱接触するための銅ベース14qと、回路パターン12qと銅ベース14qとを絶縁する絶縁層13qとを有している。銅ベース14qとヒートシンク12とは、ねじ止めされている。このため、銅ベース14qは、ヒートシンク12と電気的に導通している。また、銅ベース14qと回路パターン12qとは絶縁層13qを介して対向して配置されている。絶縁層13qの膜厚は薄いため、銅ベース14q、回路パターン12q及び絶縁層13qによって浮遊容量Cpが形成される。回路パターン12qは、スイッチング部S1及びスイッチング部S4の接続部に接続されている。このため、スイッチング部S1とヒートシンク12との間には、浮遊容量Cpが形成される。
半導体スイッチQ2〜Q3も半導体スイッチQ1と同様の構成を有している。このため、図2(a)に示すように、半導体スイッチQ1及び半導体スイッチQ4の接続部とヒートシンク12との間には、浮遊容量Cpが形成される。半導体スイッチQ2及び半導体スイッチQ5の接続部とヒートシンク12との間には、浮遊容量Cpが形成され、半導体スイッチQ3及び半導体スイッチQ6とヒートシンク12との間には、浮遊容量Cpが形成される。
また、図2(a)に示すように、モータMには、巻線とフレームとの間には、浮遊容量Cmが形成されている。また、入力ケーブル91のケーブル91r,91s,91tとアース線91aとの間には、浮遊容量C91が形成されている。ただし、本来、浮遊容量C91は入力ケーブル上に分布的に存在するが、図2では簡単のため集中的に示している。また、ケーブル91tとアース線91aとの間の浮遊容量を代表的に「C91」と図示しており、ケーブル91rとアース線91aとの間、ケーブル91sとアース線91aとの間の浮遊容量は省略している。さらに、出力ケーブル92のケーブル92u,92v,92wとアース線92aとの間には、浮遊容量C92が形成されている。同様に、浮遊容量C92は出力ケーブル上に分布的に存在するが、図2では簡単のため集中的に示している。また、ケーブル92uとアース線92aとの間、ケーブル92vとアース線92aとの間の浮遊容量は省略し、ケーブル92wとアース線92aとの間の浮遊容量を代表的に「C92」と図示している。
このため、モータ駆動システムMSにおいて、半導体スイッチQ1〜Q6のスイッチング動作や、浮遊容量Cp、浮遊容量C92及び浮遊容量Cmのそれぞれを充放電する充放電電流がノイズ源となる。半導体スイッチQ1〜Q6のスイッチング動作などによって発生したノイズは、商用交流電源P、入力ケーブル91、ノイズフィルタ18、コンバータ部19、パワー半導体モジュール14、出力ケーブル92、モータM、ヒートシンク12及び入力ケーブル91を伝達経路としてモータ駆動システムMSの内部を伝達したり、商用交流電源Pへ流出したり、モータ駆動システムMSの外部に放射されたりする。
以下、本実施形態による電子電気機器について実施例を用いてより詳細に説明する。以下の実施例においても、本実施形態による電子電気機器について電力変換装置を例にとって説明する。また、図1及び図2を用いて説明した電力変換装置E1と同一の作用・機能を奏する構成要素には、同一の符号を付してその説明は適宜省略する。
(実施例1)
図3に示すように、本実施例による電力変換装置1は、パワー半導体モジュール(半導体素子の一例)14と、熱伝導体で形成された熱伝導部を少なくとも一部に有しパワー半導体モジュール14の少なくとも一部に熱伝導部を接触して設けられたヒートシンク12とを備えている。ヒートシンク12は、熱伝導部としてベース部121及び複数のフィン部122を有している。ヒートシンク12は、全体が熱伝導体で形成されている。ヒートシンク12は、導電体で形成されている。ヒートシンク12のベース部121上にはパワー半導体モジュール14が実装されている。パワー半導体モジュール14とヒートシンク12とは銅ベース14q(図2(b)参照)で熱的な接触が確保されている。これにより、半導体スイッチQ1〜Q6(図2(a)参照)がスイッチング動作することによって発生する熱は、銅ベース14qを介してヒートシンク12に伝導し、外部に放熱される。
電力変換装置1は、導電体で形成された導電部を少なくとも一部に有する筐体11と、ヒートシンク12の熱伝導部(本実施例ではベース部121)と導電部(本実施形態では筐体11の底部)とを接続し導電性を有するケーブル(導電部材の一例)13とを備えている。筐体11の側壁の一部及び底部は、導電体で形成されている。ヒートシンク12は、フィン部122の先端部が筐体11の底部との間で間隙を有するように筐体11に取り付けられている。ヒートシンク12は、不図示の絶縁物を介して筐体11に支持されている。このため、ヒートシンク12と筐体11とは、ケーブル13のみで電気的に接続されている。ヒートシンク12と筐体11とは、ケーブル13によって1箇所で電気的に接続されている。
ケーブル13は、銅で形成された細線を束ねて構成された撚り線の構造を有している。ケーブル13は、例えば、直径が3.5mm、長さが150mmの形状を有している。ケーブル13は、両端部に例えば圧着端子が設けられており、この圧着端子を用いてヒートシンク12及び筐体11にそれぞれ固定されている。ケーブル13は、折り返されたりせずに直線状に最短距離でヒートシンク12と筐体11との間に張り渡して設けられている。
ここで、本実施例による電力変換装置1の放射ノイズと、従来構造を有する電力変換装置の放射ノイズとをEMC規格認証測定と同じセッティングで比較した測定結果について図4及び図5を用いて説明する。従来構造の電力変換装置は、ヒートシンクが筐体に面接触させて取り付けられた構造を有している。従来構造の電力変換装置は、導電性を有するケーブルではなく面接触によってヒートシンクと筐体との電気的接続が確保されている以外は、本実施例による電力変換装置1と同様の構成を有している。図4に示すグラフの横軸は、ノイズの周波数(MHz)を示し、当該グラフの縦軸は、ノイズの放射電界強度(dBμV/m)を示している。図4中に示す曲線N1は、実施例1における電力変換装置1の放射ノイズの放射電界強度のスペクトルを示し、図4中に示す曲線N0は、従来構造の電力変換装置の放射ノイズの放射電界強度のスペクトルを示している。図5に示すグラフの横軸は、ノイズの周波数(MHz)を示し、当該グラフの縦軸は、ノイズ電流(dBμA)を示している。図4中に示す曲線I1は、実施例1における電力変換装置1のノイズ電流のスペクトルを示し、図5中に示す曲線I0は、従来構造の電力変換装置のノイズ電流のスペクトルを示している。
図4中の楕円αで囲んで示すように、本実施例による電力変換装置1は、従来構造の電力変換装置と比較して、放射ノイズが30MHz近傍において約6dB低減している。
本実施例による電力変換装置1は、ヒートシンク12と筐体11とを導電性を有するケーブル13によって接続する構成を有している。このため、電力変換装置1は、ヒートシンクと筐体とが面接触によって電気的に接触している従来構造の電力変換装置よりも、ヒートシンク12と筐体11との間のインピーダンスが高くなる。これにより、電力変換装置1は、従来構造の電力変換装置と比較して、商用交流電源P及び電力変換装置1におけるノイズ電流が流れる経路のインピーダンスが高くなる。その結果、従来構造の電力変換装置では30MHz近傍にあった共振周波数が、電力変換装置1では30MHzよりも低い周波数に移動して30MHz付近の放射ノイズが低減する。より具体的には、図5中に矢印Y1で示すように、ノイズ電流の共振周波数は、従来構造の電力変換装置が30MHzより高いのに対し、電力変換装置1は30MHzよりも低くなっている。さらに、図5中の矢印Y2で示すように、放射ノイズの規制対象の最低周波数である30MHz付近のノイズレベルが、従来構造の電力変換装置よりも電力変換装置1の方が低下している。
図4に戻って、図4中に楕円βで囲んで示すように、電力変換装置1は、従来構造の電力変換装置と比較して、70〜80MHz付近では放射ノイズを低減できるものの90〜120MHzで増加に転じ、周波数間でノイズレベルにトレードオフが発生している。しかしながら、電力変換装置1の90〜120MHzでのノイズレベルは小さいので、放射ノイズ規制に対して問題となる可能性は極めて低い。上述のとおり、本実施例による電力変換装置1は、放射ノイズ対策で最も難しい30MHz付近でのノイズレベルを低減できる。これにより、ヒートシンク12と筐体11とを接続するケーブル13を備える構成は、有効な放射ノイズ対策となる。
また、本実施例による電力変換装置1は、ヒートシンク12のベース部121及び筐体11の底部にケーブル13の接続点を設ける構造を有している。しかしながら、ケーブル13の接続点は、ヒートシンク12のフィン部122に設けても構わない。また、ケーブル13は、筐体11の上部に設けても、本実施例による電力変換装置1と同じ放射ノイズの低減効果が得られる。
(実施例2)
次に、本実施形態の実施例2による電子電気機器としての電力変換装置について図6を用いて説明する。
図6に示すように、本実施例による電力変換装置2は、図1及び図2に示す電力変換装置E1と同じ構成を有しているため、説明は省略する。
(実施例3)
次に、本実施形態の実施例3による電子電気機器としての電力変換装置について図7を用いて説明する。本実施例による電力変換装置3は、出力接地端子が筐体11に設けられている点を除いて、図1及び図2に示す電力変換装置E1と同様の構成を有している。
図7に示すように、本実施例による電力変換装置3は、筐体11に設けられた出力接地端子16aを備えている。出力接地端子16aとモータMとは、アース線92aによって接続されている。筐体11は、入力接地端子15及びアース線91aを介して基準アース面93に接地されている。このため、モータMは、アース線92a、出力接地端子16a、筐体11、入力接地端子15及びアース線91aを介して基準アース面93に接地される。
(実施例2及び3のノイズ低減の効果)
次に、実施例2による電力変換装置2及び実施例3による電力変換装置3のそれぞれのノイズ低減の効果について図6及び図7を参照しつつ図8を用いて説明する。図8に示すグラフの横軸は、ノイズの周波数(MHz)を示し、当該グラフの縦軸は、ノイズの放射電界強度(dBμV/m)を示している。図8中に示す曲線N0は、従来構造の電力変換装置の放射ノイズの放射電界強度のスペクトルを示している。図8中に示す曲線N2は、実施例2における電力変換装置2の放射ノイズの放射電界強度のスペクトルを示している。図8中に示す曲線N3は、実施例3における電力変換装置3の放射ノイズの放射電界強度のスペクトルを示している。また、図8中に示す曲線N4は、入力接地端子及び出力接地端子がヒートシンクに設けられた構造を有する電力変換装置の放射ノイズの放射電界強度のスペクトルを示している。図8中に示す曲線N5は、入力接地端子がヒートシンクに設けられ、出力接地端子が筐体に設けられた構造を有する電力変換装置の放射ノイズの放射電界強度のスペクトルを示している。曲線N4に示す当該スペクトルを有する電力変換装置及び曲線N5に示す当該スペクトルを有する電力変換装置は、入力接地端子及び出力接地端子の設けられた場所が異なる点を除いて、実施例2による電力変換装置2と同様の構成を有している。また、従来構造の電力変換装置は、ケーブルではなく面接触によってヒートシンクと筐体との電気的接続が確保されている以外は、上記実施例1による電力変換装置1と同様の構成を有している。
なお、図8並びに後述する図11及び図13には、アース線91aが電源インピーダンス安定化回路網(LISN)に接続され、かつ電力変換装置が電波暗室に配置されて放射ノイズを測定した結果が示されている。
図8に示すように、ヒートシンクと筐体とをケーブル接続した場合、入力接地端子及び出力接地端子の設置位置が放射ノイズレベルに影響を与える。図8中の曲線N0、曲線N2及び曲線N3に示すように、入力接地端子15が筐体11に設置された実施例2による電力変換装置2及び実施例3による電力変換装置3は、従来構造の電力変換装置と比較して、30MHz付近の放射ノイズを低減することができる。一方、図8中の曲線N0、曲線N4及び曲線N5に示すように、入力接地端子がヒートシンクに設置された電力変換装置は、従来構造の電力変換装置と比較して、30MHz付近の放射ノイズが増加する結果となった。したがって、30MHz付近の放射ノイズを低減するためには、入力接地端子は筐体に設置する必要がある。
また、出力接地端子が設けられる位置の相違は、入力接地端子と比較して、放射ノイズに対する影響は小さい。図8中の曲線N2及び曲線N3で示すように、出力接地端子16がヒートシンク12に設置された構造を有する電力変換装置2は、出力接地端子16aが筐体11に設置された構造を有する電力変換装置3と比較して、30MHz付近の放射ノイズを低減することができる。実施例2による電力変換装置2は、ヒートシンク12にアース線92aを直接、ねじ止めして出力接地端子16とする構造を有している。しかしながら、電力変換装置2は、銅バーの一方の端部をヒートシンク12にねじ止めし、銅バーの他方の端部を出力接地端子16とする構造を有していても、同様の放射ノイズ低減の効果が得られる。しかしながら、電力変換装置の構造設計の難易度等に鑑み、実施例3による電力変換装置3のように、筐体11に出力接地端子16aを設置した構造を有していても、実施例2による電力変換装置2よりも放射ノイズが低減しないものの従来構造の電力変換装置よりもノイズ低減の効果は得られる。
(実施例4)
次に、本実施形態の実施例4による電子電気機器としての電力変換装置について図9を用いて説明する。 図9に示すように、本実施例による電力変換装置4は、ヒートシンク12と、ヒートシンク12のベース部121の一側面に一部が対向する側壁を有する筐体11と、ヒートシンク12と筐体11との間に配置された絶縁層42とを備えている。絶縁層42は、絶縁紙のような絶縁体素材で形成されている。電力変換装置4は、ヒートシンク12を筐体11に固定する樹脂製ねじ41を備えている。ヒートシンク12と筐体11との間に絶縁層42を挟んだ状態で樹脂製ねじ41でヒートシンク12を筐体11にねじ止めすることにより、ヒートシンク12の取り付け箇所における絶縁性が確保される。
筐体11は、ヒートシンク12が取り付けられた側壁に対向する側が開放された形状を有している。ヒートシンク12が取り付けられた側壁側の筐体11の底部には、入力接地端子15が設けられている。
電力変換装置4は、筐体11と絶縁性を確保した状態でヒートシンク12を筐体11に取り付けるとともに、導電性のケーブル13のみによってヒートシンク12と筐体11とを電気的に接続するようになっている。これにより、本実施例による電力変換装置4は、上記実施例1による電力変換装置1と同様に、30MHz付近の放射ノイズを低減することができる。
(実施例5)
次に、本実施形態の実施例5による電子電気機器としての電力変換装置について図10及び図11を用いて説明する。本実施例による電力変換装置5は、導電部材に取り付けられたインピーダンス素子を備える点に特徴を有している。
図10に示すように、電力変換装置5は、ケーブル(導電部材の一例)13と直列に取り付けられた抵抗素子(インピーダンス素子の一例)131を備えている。ケーブル13に抵抗素子131を直列に取り付けることにより、電力変換装置5を有するモータ駆動システムMSのノイズの伝達経路のインピーダンスが調整される。
ケーブル13を通過するノイズ電流は、経路インビーダンス共振点で放射ノイズピークを持つ。ケーブル13に直列に挿入された抵抗素子131は、経路インピーダンス共振点付近でダンピング抵抗として機能する。これにより、電力変換装置5は、放射ノイズの共振ピークを緩和させることができる。
ここで、本実施例による電力変換装置5のノイズ電流のスペクトルの測定結果について図11を用いて説明する。図11に示すグラフの横軸は、ノイズの周波数(MHz)を示し、当該グラフの縦軸は、ノイズ電流(dBμA)を示している。図11中に示す曲線I5は、実施例5における電力変換装置5のノイズ電流のスペクトルを示し、図11中に示す曲線I1は、上記実施例1による電力変換装置1のノイズ電流のスペクトルを示し、図11中に示す曲線I0は、従来構造の電力変換装置のノイズ電流のスペクトルを示している。なお、従来構造の電力変換装置は、導電性を有するケーブルではなく面接触によってヒートシンクと筐体との電気的接続が確保されている以外は、上記実施例1による電力変換装置1と同様の構成を有している。
図11中の矢印Y1で示すように、電力変換装置5は、ヒートシンク12と筐体11とを接続するケーブル13を備えることにより、従来構造の電力変換装置と比較して、経路インピーダンス共振点を低周波域にシフトさせることができる。さらに、図11中の矢印Y2で示すように、電力変換装置5は、ケーブル13に直列に挿入された抵抗素子131を有することにより、電力変換装置1と比較して、30MHz付近の放射ノイズのレベルを低下することできる。
電力変換装置5の構造上の問題で、出力接地端子16がヒートシンク12のベース部121の上部に設ける必要がある場合、抵抗素子131は商用交流電源が供給する交流電力の周波数近傍では感電しない程度に低インピーダンスであるとよい。これにより、電力変換装置5の後段に負荷として接続されるモータMのフレームの電位上昇を防止することができる。
このように、本実施例による電力変換装置5は、ヒートシンク12と筐体11とを接続するケーブル13と、ケーブル13と直列に取り付けられた抵抗素子131とを備えている。これにより、電力変換装置5は、放射ノイズの共振周波数を30MHz付近にシフトするとともに、30MHz付近の放射ノイズのレベルを低下することができる。さらに、電力変換装置5は、ケーブル13及び抵抗素子131を備えるというコンパクトな構造によって30MHz付近の放射ノイズのレベルの低下することができる。
(実施例6)
次に、本実施形態の実施例6による電子電気機器としての電力変換装置について図12及び図13を用いて説明する。本実施例による電力変換装置6は、導電部材に取り付けられたインピーダンス素子を備える点に特徴を有している。
図12に示すように、電力変換装置6は、実施例5による電力変換装置5と同様に、ケーブル(導電部材の一例)13と直列に取り付けられたインピーダンス素子を備えている。電力変換装置6に設けられたインピーダンス素子は、コア132である。コア132は、円筒形状を有している。コア132は、内壁側の空間にケーブル13を挿通させることによってケーブル13に取り付けられている。ケーブル13をコア132の内壁側の空間に挿通させることにより、コア132とケーブル13とは電気的に直列に接続される。コア132は、放射ノイズの30MHz帯域で抵抗成分が支配的となる特性を有している。これにより、コア132は、モータ駆動システムMSの経路インピーダンスで決定される共振周波数(30MHz)近傍において抵抗成分として機能する。これにより、電力変換装置6は、共振点(30MHz)付近のノイズレベルを低減することができる。
ここで、本実施例による電力変換装置6のノイズ電流のスペクトルの測定結果について図13を用いて説明する。図13に示すグラフの横軸は、ノイズの周波数(MHz)を示し、当該グラフの縦軸は、ノイズ電流(dBμA)を示している。図13中に示す曲線I6は、実施例6における電力変換装置6のノイズ電流のスペクトルを示し、図13中に示す曲線I1は、上記実施例1による電力変換装置1のノイズ電流のスペクトルを示している。
ケーブル13に直列に挿入されたコア132を有することにより、ケーブル13及びコア132によって形成されるインピーダンスの抵抗成分は、コア132を有さない場合と比較して、30MHz帯域で大きくなる。このため、図13中の矢印Y1で示すように、電力変換装置6は、電力変換装置1と比較して、30MHz付近の放射ノイズのレベルを低下することできる。この場合、コア132は、商用交流電源が供給する交流電力の周波数近傍では感電しない程度に低インピーダンスであるとよい。これにより、出力接地端子16がヒートシンク12のフィン部122に設置する構造の場合にも、モータMのフレームの電位上昇を防止することができる。
ケーブル13にコア132等のインピーダンス素子を挿入する場合、放射ノイズのレベルは、30MHz付近では低下されるものの、図13中に周波数領域γで示す30MHzよりも高い周波数帯域では増加してしまう。コア132にケーブル13を貫通させた場合、ケーブル13及びコア132によって形成されるインビーダンスは、ケーブル13単体のインピーダンスと比較して、モータ駆動システムMSの他の経路のインピーダンスに対し、周波数領域γにおいて高くなる。これにより、周波数領域γに相当する周波数帯域のノイズ電流がコア132を通らなくなり、ノイズレベルが増加するという問題が生じる。
(変形例1)
次に、実施例6の変形例1による電力変換装置について図14を用いて説明する。本変形例による電力変換装置6aは、実施例6による電力変換装置6の上記問題を解消することができる構造を有している。
具体的には、図14中の四角枠ε1で囲んで示すように、本変形例による電力変換装置6aでは、ケーブル(導電部材の一例)13は、コア132に巻き付けられている。ケーブル13は、コア132に複数回、巻き回されている。コア132にケーブル13が巻き付けられていると、コア132のインピーダンスが高くなるだけでなく、ケーブル13の巻き回されている部分の巻線間に浮遊容量が形成される。この浮遊容量は、高周波のノイズ電流をコア132の両端においてバイパスさせる経路を形成する。したがって、コア132に巻き付けるケーブル13の巻数を調整して適切な値の浮遊容量を形成することによって、ケーブル13及びコア132によって形成される経路を高周波ノイズ電流が通過することが可能となる。これにより、図13中の周波数領域γにおけるノイズ電流の増加を抑制することが可能となる。しかしながら、ケーブル13をコア132に巻き付けて浮遊容量を形成する構造は、巻数増加では必要な静電容量の浮遊容量を形成することが難しい場合があるという問題を有している。
(変形例2)
次に、実施例6の変形例2による電力変換装置について図15を用いて説明する。本変形例による電力変換装置6bは、実施例6による電力変換装置6の上記問題と、変形例1による電力変換装置6aの上記問題とを解消できる構造を有している。
具体的には、図15中の四角枠ε2で囲んで示すように、本変形例による電力変換装置6bは、コア132と並列になるようにケーブル(導電部材の一例)13に接続されたコンデンサ133を備えている。コア132に並列となるようにケーブル13に接続されるコンデンサ133は、放射ノイズの低周波においてはコア132より高インピーダンスを持ち、放射ノイズが増加に転じる高周波帯域においてはコア132より低インピーダンスとなる特性を有している。これにより、高周波帯域においてノイズ電流がコア132の両端をバイパスする経路が形成される。その結果、高周波ノイズ電流は、ケーブル13、コア132及びコンデンサ133によって形成される経路を通過できる。これにより、電力変換装置6bは、高周波帯域でのノイズ増加を抑制することが可能となる。さらに、上記変形例1による電力変換装置6aのようにコア132にケーブル13を巻き付ける巻数を増加させるだけでは必要な静電容量の浮遊容量を形成し難い場合がある。これに対し、本変形例による電力変換装置6bは、最適な静電容量のコンデンサを選択して用いることができるので、上記変形例1による電力変換装置6aと比較して、高周波ノイズ電流を低減し易い。
以上説明したように、本実施形態、実施例1〜6及び変形例1,2による電力変換装置E1,1〜6,6a,6bは、インバータ部20を構成するパワー半導体モジュール14と、熱伝導体で形成された熱伝導部(例えばベース部121)及び複数のフィン部122を有しパワー半導体モジュール14の少なくとも一部に例えばベース部121を接触して設けられたヒートシンク12と、導電体で形成された導電部を少なくとも一部(例えば底部)に有する筐体11と、ヒートシンク12の熱伝導部(例えばベース部121)と筐体11の導電部(例えば底部)とを接続し導電性を有するケーブル13とを備えている。
当該構成を備えた電力変換装置E1,1〜6,6a,6bによれば、電磁ノイズを低減することができる。特に、電力変換装置E1,1〜6,6a,6bによれば、30MHz帯の放射ノイズを効果的に低減することができる。
また、電力変換装置E1,1〜6,6a,6bは、ヒートシンク12と筐体11との間に導電性を有するケーブルを設けることによって電磁ノイズを低減できる。これにより、電力変換装置E1,1〜6,6a,6bは、電力変換装置の内部に複数個の貫通コアなどの電子部品を取りつけて行う従来のノイズ対策方法よりも簡素な構成で低周波帯域(例えば30MHz帯)の放射ノイズを低減することが可能となる。
また、従来の電力変換装置では、ノイズを低減するために、ヒートシンクと筐体とは面接触させてアースすることが技術常識であった。これに対し、本発明は、ヒートシンクと筐体とをケーブルなどの導電部材を用いて線で接続させることにより、ノイズの共振点を30MHzよりも低くするとともに、30MHz付近のノイズレベルを低減することができる。
〔第2実施形態〕
本発明の第2実施形態による電子電気機器について図16から図26を用いて説明する。第2実施形態による電子電気機器としての電力変換装置の説明に当たって、上記第1実施形態による電子電気機器としての電力変換装置と作用・機能が同様の構成要素には同一の符号を付してその詳細な説明は省略する。また、本実施形態による電力変換装置の筐体内の構成は、図1及び図2を用いて説明した上記第1実施形態による電力変換装置E1の構成と同様であるため、当該構成の説明は省略する。
図16に示すように、本実施形態による電子電気機器としての電力変換装置E2は、例えば、板金等の導電体で形成された導電部111を少なくとも一部に有する筐体11を備えている。筐体11は、例えば、絶縁性の樹脂で形成された非導電部112を少なくとも一部に有している。筐体11は、少なくとも一部が導電体で形成された側壁(導電部の一例)と、少なくとも一部が導電体で形成された後面部(導電部の一例)とを有している。筐体11は、内側に空間を有している。電力変換装置E2は、パワー半導体モジュール(半導体素子の一例)14と、熱伝導体で形成された熱伝導部を少なくとも一部に有しパワー半導体モジュール14の少なくとも一部に当該熱伝導部を接触して設けられたヒートシンク12とを備えている。ヒートシンク12は、パワー半導体モジュール14と機械的及び熱的に接触することにより、パワー半導体モジュール14で発生した熱を放熱することができる。パワー半導体モジュール14及びヒートシンク12は、筐体11の内部に配置されている。
ヒートシンク12は、絶縁体を介して筐体11に取り付けられている。ヒートシンク12は、板状のベース部121と、ベース部121に直交して配置された薄板状の複数のフィン部122とを有している。複数のフィン部122は、互いに所定の間隙を設けて並列して配置されている。ベース部121及びフィン部122は、いずれもアルミニウムあるいはアルミニウム合金等の熱伝導体で形成されており、熱伝導部の一例に相当する。パワー半導体モジュール14は、ベース部121に機械的及び熱的に接触させて配置されている。
電力変換装置E2は、ヒートシンク12の熱伝導部と筐体11の導電部とを接続し導電性を有するケーブル(導電部材の一例)13を備えている。ケーブル13は、例えばヒートシンク12の熱伝導部の一例であるベース部121と筐体11の導電部の一例である底部とを接続した状態で設けられている。ケーブル13は、ベース部121ではなくフィン部122に接続されていてもよい。ヒートシンク12及び筐体11は、ケーブル13のみで電気的に接続されている。ケーブル13は、電力変換装置E2の単独、又は電力変換装置E2を含むモータ駆動システムにおけるノイズの伝達経路のインピーダンスを調整するために設けられている。つまり、ケーブル13は、モータ駆動システムにおけるノイズの伝達経路のインピーダンス調整部材としての機能を発揮するようになっている。ケーブル13は、例えば銅で形成された複数の細線が束ねられて形成されている。ケーブル13は、柔軟性を有している。ケーブル13は、ヒートシンク12と筐体11との間を例えば最短距離で張り渡されている。また、ケーブル13は、ヒートシンク12と筐体11との間を折り返されたりせずに直線状に張り渡されている。
電力変換装置E2は、アース線91a(入力側の接地線の一例)が接続される入力側接地用端子51と、アース線92a(出力側の接地線の一例)が接続される出力側接地用端子52とを備えている。入力側接地用端子51及び出力側接地用端子52はそれぞれ、筐体11の非導電部112に設けられている。
入力側接地用端子51は、例えば導電性を有している。入力側接地用端子51は、アース線91a及び入力アース部材31(詳細は後述)が接続される箇所が少なくとも露出した状態で筐体11の非導電部112に例えば取り付けられている。また、入力側接地用端子51は、入力アース部材31によって筐体11の導電部111と接続されていない場合は、非導電部112によって導電部111とは電気的に絶縁されている。
同様に、出力側接地用端子52は、例えば導電性を有している。出力側接地用端子52は、アース線92a及び出力アース部材32(詳細は後述)が接続される箇所が少なくとも露出した状態で筐体11の非導電部112に例えば取り付けられている。また、出力側接地用端子52は、出力アース部材32によって筐体11の導電部111と接続されていない場合は、非導電部112によって導電部111とは電気的に絶縁されている。
電力変換装置E2は、入力側接地用端子51と、ヒートシンク12の熱伝導部及び筐体11の導電部の少なくとも一方とを接続し導電性を有する入力アース部材(入力側導電部材の一例)31を備えている。電力変換装置E2は、出力側接地用端子52と、ヒートシンク12の熱伝導部及び筐体11の導電部の少なくとも一方とを接続し導電性を有する出力アース部材(出力側導電部材の一例)32を備えている。
電力変換装置E2は、入力アース部材31が必要に応じて接続される第一入力側接続部61及び第二入力側接続部71を備えている。第一入力側接続部61は、筐体11の導電部111に設けられている。第二入力側接続部71は、ヒートシンク12の熱伝導部に設けられている。電力変換装置E2は、出力アース部材32が必要に応じて接続される第一出力側接続部62及び第二出力側接続部72を備えている。第一出力側接続部62は、筐体11の導電部111に設けられている。第二出力側接続部72は、ヒートシンク12の熱伝導部に設けられている。
ところで、EMC規格認証の際に、電力変換装置は、電気制御盤を模擬した架台上の金属板に筐体の導電部の一部(例えば裏面)を直接ねじ止めされて吊下げられる。この架台の金属板は編組線で床面に接続される。さらに、電力変換装置の入力端子と商用交流電源との間は4芯VCTケーブルによって接続され、電力変換装置の出力端子とモータの間は4芯VCTシールドケーブルによって接続される。
ここで、出力側のケーブルのシールドは、シースの一部をむき出し、電気制御盤を模擬した金属板にクランプされる。これにより、出力側のシールドと当該金属板とが電気的に導通される。このようにセッティングされた状態で電力変換装置の放射ノイズ測定が行われる。このように構成されたEMC規格認証測定のセッティングにおいて、最大のノイズ放射源は入力ケーブルとなる。
上記第1実施形態おいて、図4、図5、図8、図11及び図13を用いて説明した放射ノイズの測定結果は、EMC規格認証測定と同様の構成で得られた結果である。EMC規格認証測定の構成では、出力ケーブルにシールドケーブルが用いられ、かつシールドケーブルの一部が電気制御盤を模擬した金属板にクランプされている。このため、EMC規格認証測定の構成では、入力ケーブルが支配的な放射源となっており、出力ケーブルからの放射ノイズは小さい。つまり、出力ケーブルにシールドケーブルが用いられない場合には、支配的な放射源は、出力ケーブルとなる場合、入力ケーブル及び出力ケーブルの両方となる場合、放射ノイズの周波数によって入力ケーブル及び出力ケーブルで入れ替わる場合などがある。なお、入出力ともに4芯ケーブルが用いられた場合には、出力ケーブルからの放射が支配的となる。したがって、上記第1実施形態による電子電気機器のように、EMC規格認証測定の構成で放射ノイズが小さくなるように内部構造が最適化されていると、入出力のケーブル条件が変更になった場合に、30MHz付近の低周波帯域の放射ノイズを十分に低減できない可能性がある。
本実施形態による電力変換装置E2は、上記第1実施形態による電力変換装置E1と同様に、ケーブル13を備えている。これにより、電力変換装置E2は、EMC規格認証測定において、入力ケーブルから放射されるノイズを低減することができる。なお、電力変換装置は、出力側のケーブルがシールドされず、かつケーブル13を備えていない場合には、出力側のケーブルが最大のノイズ放射源となる。したがって、電力変換装置E2の使用者には、EMC規格認証測定と同様のセッティングで電力変換装置E2を使用することが例えば製品取扱説明書に記載されて推奨される。
しかしながら、実際に電力変換装置E2を使用する場合、設置場所における制約やセットメーカーの施工方針などにより、推奨の構成(EMC規格認証測定時の構成)と異なるセッティングで使用される場合がある。具体的には、出力側のケーブルにシールド線が用いられなかったり、電力線には3芯線が使用されかつアース線に単線が使用されたりする場合がある。このような場合、電力変換装置E2は、30MHz付近の低周波帯域の放射ノイズを十分に低減できない可能性がある。
上記第1実施形態による電子電気機器としての電力変換装置では、ヒートシンク12と筐体11の導電部との間をケーブル13によって接続することにより、ヒートシンク12から入力接地端子15の間のインピーダンスが高くなる。これにより、上記第1実施形態における電力変換装置では、入力ケーブル91に流れる高周波電流が抑制される。その結果、上記第1実施形態における電力変換装置は、入力ケーブル91から放射されるノイズを低減することができる。つまり、ヒートシンク12から支配的な放射源となる入力ケーブル91までのインピーダンスを高める構成にすることで、放射ノイズを低減することができる。
したがって、入出力のケーブル条件が変更され、出力ケーブルからのノイズ放射が支配的になる場合には、ヒートシンク12から出力接地端子までのインピーダンスを高くすることにより、出力ケーブルからの放射ノイズを低減することができる。
上記第1実施形態における電力変換装置において、ヒートシンク12から入力接地端子又は出力接地端子までのインピーダンスは、入力接地端子及び出力接地端子をそれぞれ接続する場所で調整することができる。上記第1実施形態における電力変換装置は、入力接地端子15が筐体11の導電部に設けられ、出力接地端子がヒートシンク12に設けられた構成を有している。これにより、上記第1実施形態における電力変換装置では、高周波電流は、電力変換装置のアース電位内部を「ヒートシンク12→ケーブル13→筐体11の導電部→入力接地端子15」という経路をとおり、入力ケーブル91のアース線91aから外部へ流れる。上記第1実施形態における電力変換装置の出力側では、ヒートシンク12及び出力接地端子は直接接続されている。したがって、上記第1実施形態における電力変換装置の内部において、出力側より入力側の方が高インピーダンスに接続されているので、入力ケーブル91に流れる高周波電流の大きさを抑制できる。
そこで、本実施形態による電子電気機器としての電力変換装置E2は、入力側接地用端子51、出力側接地用端子52、入力アース部材31及び出力アース部材32を備えている。これにより、電力変換装置E2は、使用状況に応じて、EMC規格認証測定時での構成との異同を図ることができる。すなわち、電力変換装置E2は、入力アース部材31及び出力アース部材32によって入力ケーブル及び出力ケーブルの接続条件を変更することができる。
例えば、電力変換装置E2がEMC規格認証測定と同じ構成で使用できる場合には、入力アース部材31によって入力側接地用端子51と入力接地端子に相当する第一入力側接続部61との間を接続し、出力アース部材32によって出力接地端子に相当する第二出力側接続部72と出力側接地用端子52との間を接続する。入力アース部材31は、入力側接地用端子51においてアース線91aと接続される。また、出力アース部材32は、出力側接地用端子52においてアース線92aと接続される。これにより、入力アース部材31を介してアース線91a及び筐体11の導電部111が接続され、出力アース部材32を介してヒートシンク12の熱伝導部及びアース線92aが接続される。このため、電力変換装置E2は、入力ケーブル及び出力ケーブルの接続条件がEMC規格認証測定時と同様の構成となる。その結果、電力変換装置E2は、30MHz付近の低周波帯域の放射ノイズを低減できる。
また例えば、電力変換装置E2がEMC規格認証測定と同じ構成で使用できず、出力ケーブルからの放射ノイズが支配的になる場合には、入力アース部材31によって入力側接地用端子51と入力接地端子に相当する第二入力側接続部71との間を接続し、出力アース部材32によって出力接地端子に相当する第一出力側接続部62と出力側接地用端子52との間を接続する。これにより、入力アース部材31を介してアース線91a及びヒートシンク12の熱伝導部が接続され、出力アース部材32を介して筐体11の導電部111及びアース線92aが接続される。このため、電力変換装置E2は、EMC規格認証測定と同じ構成で使用できずEMC規格認証測定時と異なる構成であっても、入力側より出力側のインピーダンスを高めることができる。これにより、電力変換装置E2は、支配的なノイズ放射源である出力ケーブルに流れる高周波電流を抑制して、30MHz付近の低周波帯域の放射ノイズの大きさを低減することができる。
電力変換装置E2では、入力側接地用端子51及び出力側接地用端子52はそれぞれ、筐体11の外表面に設けられている。また、入力アース部材31は、筐体11の外表面及びヒートシンク12の外表面の少なくとも一方に接続されるように構成されている。さらに、出力アース部材32は、筐体11の外表面及びヒートシンク12の外表面の少なくとも一方に接続されるように構成されている。つまり、入力アース部材31及び出力アース部材32は、電力変換装置E2の外部から入力アース部材31及び出力アース部材32の接続状態を変更することができる。これにより、電力変換装置E2の使用者は、電力変換装置E2の全体を分解しなくても、使用環境(例えば入力ケーブル91及び出力ケーブル92の接続条件)に応じて、電力変換装置E2の内部の構成を電力変換装置E2の外部から切り替えることができる。ここで、電力変換装置E2の「外部」とは、電力変換装置E2の使用者が入力ケーブル91及び出力ケーブル92の通常の配線作業を行う際に触れる領域をいい、例えば筐体11の外表面及びヒートシンク12の外表面が相当する。また、電力変換装置E2の「内部」とは、電力変換装置E2の使用者が入力ケーブル91及び出力ケーブル92の通常の配線作業を行う際に触れない領域をいう。
電力変換装置E2は、製品出荷時(初期状態)では、入力アース部材31によって入力側接地用端子51と第一入力側接続部61(すなわち筐体11の導電部)とが少なくとも接続されている。これにより、製品出荷時(初期状態)には、筐体11の導電部と入力側接地用端子51との電気的な接続が確保されている。入力側接地用端子51は、電力変換装置E2を大地や床面などの基準アース面93に接地するために用いられる。
電力変換装置E2は、製品出荷時(初期状態)では、出力アース部材32によって第二出力側接続部72(すなわちヒートシンク12の熱伝導部)と出力側接地用端子52とが少なくとも接続されている。これにより、製品出荷時(初期状態)には、ヒートシンク12の熱伝導部と出力側接地用端子52との電気的な接続が確保されている。出力側接地用端子52は、電力変換装置E2とモータMなどの負荷のフレームとを接続して、負荷装置を接地するために用いられる。図16では、出力側接地用端子52は、ヒートシンク12の熱伝導部の一例であるベース部121に設けられているが、ヒートシンク12の熱伝導部の一例であるフィン部122に設けられていてもよい。
以上説明したように、本実施形態による電子電気機器は、接地線と電子電気機器との電気的な接続をとる場所を切り替えることができるので、使用状況(特にEMC規格認証測定時の構成と異なる使用状況)に応じて、電磁ノイズの放射を低減することができる。
以下、本実施形態による電子電気機器について実施例を用いてより詳細に説明する。以下の実施例においても、本実施形態による電子電気機器について電力変換装置を例にとって説明する。また、図1及び図2に示す上記第1実施形態による電力変換装置E1又は本実施形態における電力変換装置E2と同一の作用・機能を奏する構成要素には、同一の符号を付してその説明は適宜省略する。
(実施例1)
本実施形態の実施例1による電子電気機器としての電力変換装置について図17及び図18を用いて説明する。図17(a)及び図18(a)では、理解を容易にするため、電力変換装置から入力アース部材及び出力アース部材が取り外された状態が図示されている。また、図17(a)及び図18(a)では、理解を容易にするため、電力変換装置に設けられた筐体の非導電部が透過した状態で図示されている。本実施例による電力変換装置7は、入力アース部材31及び出力アース部材32がそれぞれ4種類のアースバーを4本有し、電力変換装置7の使用状況(設置状況)に応じて4種類のアースバーのうちのいずれか2本を選択して入出力を接続する点に特徴を有している。
図17及び図18に示すように、本実施例による電力変換装置7は、パワー半導体モジュール(半導体素子の一例)14(図17及び図18では不図示、図1参照)と、熱伝導体で形成された熱伝導部を少なくとも一部に有しパワー半導体モジュール14の少なくとも一部に熱伝導部を接触して設けられたヒートシンク12とを備えている。ヒートシンク12は、熱伝導部としてベース部121及び複数のフィン部122を有している。ヒートシンク12は、全体が熱伝導体で形成されている。ヒートシンク12は、導電体で形成されている。ヒートシンク12のベース部121上にはパワー半導体モジュール14が実装されている。パワー半導体モジュール14とヒートシンク12とは熱的な接触が確保されている。これにより、半導体スイッチQ1〜Q6(図17及び図18では不図示、図2(a)参照)がスイッチング動作することによって発生する熱は、銅ベース14qを介してヒートシンク12に伝導し、外部に放熱される。
電力変換装置7は、導電体で形成された導電部111を少なくとも一部に有する筐体11と、ヒートシンク12の熱伝導部(本実施例ではベース部121)と導電部(本実施例では筐体11の底部)とを接続し導電性を有するケーブル(導電部材の一例)13(図17及び図18では不図示、図16参照)とを備えている。筐体11の側壁の一部及び底部は、導電体で形成されている。ヒートシンク12は、フィン部122の先端部が筐体11の底部との間で間隙を有するように筐体11に取り付けられている。ヒートシンク12は、不図示の絶縁物を介して筐体11に支持されている。このため、ヒートシンク12と筐体11とは、ケーブル13のみで電気的に接続されている。ヒートシンク12と筐体11とは、ケーブル13によって1箇所で電気的に接続されている。
図17及び図18に示すように、電力変換装置7は、入力側接地用端子51、出力側接地用端子52、入力アース部材(入力側導電部材の一例)31及び出力アース部材(出力側導電部材の一例)32を備えている。入力アース部材31は、入力側接地用端子51とヒートシンク12の熱伝導部とを接続する第一入力アースバー(第一入力側導電部材の一例)311(図18参照)と、入力側接地用端子51と筐体11の導電部とを接続する第二入力アースバー(第二入力側導電部材の一例)312(図17参照)とを有している。出力アース部材32は、出力側接地用端子52とヒートシンク12の熱伝導部とを接続する第一出力アースバー(第一出力側導電部材の一例)321(図17参照)と、出力側接地用端子52と筐体11の導電部111とを接続する第二出力アースバー(第二出力側導電部材の一例)322(図18参照)とを有している。
図18に示すように、筐体11の導電部111に設けられた第一入力側接続部61は、筐体11の底部の一部から張り出して形成された薄板長方形状の切り出し部を筐体11の側壁側に垂直に折り曲げ加工して形成された部位に設けられている。当該部位の端部(筐体11の底部側の端部と反対側の端部)は、外側に向かって折り曲げられて筐体11の底部とほぼ平行になるように形成されている。第一入力側接続部61は、当該部位の当該端部と、当該端部に形成されたねじ穴とで構成されている。
一方、筐体11の導電部111に設けられた第一出力側接続部62は、第一入力側接続部61が設けられた側壁側とは反対の側壁側に設けられている。第一出力側接続部62は、第一入力側接続部61が設けられた部位と対称構造の部位の端部に設けられている。第一出力側接続部62は、当該部位の当該端部と、当該端部に形成されたねじ穴とで構成されている。図17(b)及び図17に示すように、第一入力側接続部61及び第一出力側接続部62は、電力変換装置7を上方から見た場合に、ほぼ一直線上に配置されている。
第二入力側接続部71は、ヒートシンク12の例えばベース部121の一部に形成されたねじ穴と、ベース部121の一部であって当該ねじ穴の周辺部とで構成されている。第二入力側接続部71は、第一入力側接続部61が設けられた筐体11の側壁と同じ側壁側に設けられている。第一入力側接続部61及び第二入力側接続部71は、当該側壁に沿ってほぼ一直線に配置されている。
第二出力側接続部72は、ヒートシンク12の例えばベース部121の一部に形成されたねじ穴と、ベース部121の一部であって当該ねじ穴の周辺部とで構成されている。第二出力側接続部72は、第一出力側接続部62が設けられた筐体11の側壁と同じ側壁側に設けられている。第一出力側接続部62及び第二出力側接続部72は、当該側壁に沿ってほぼ一直線に配置されている。第一出力側接続部62及び第二出力側接続部72は、当該側壁に直交する方向にほぼ一直線上に配置されている。
入力側接地用端子51及び出力側接地用端子52は、導電部111を囲んで配置されて例えば樹脂で形成された非導電部112に設けられている。入力側接地用端子51及び出力側接地用端子52は、非導電部112の一側壁の上端部に並んで配置されている。入力側接地用端子51及び出力側接地用端子52はそれぞれ、非導電部112の一側壁に上端部から所定位置まで形成された穴部で構成されている。入力側接地用端子51及び出力側接地用端子52が設けられた非導電部112の一側壁は、第一入力側接続部61及び第一出力側接続部62が設けられた筐体11の導電部111の側壁並びに第二入力側接続部71及び第二出力側接続部72が設けられた筐体11の導電部111の側壁とほぼ直交して配置されている。
第一入力アースバー311、第二入力アースバー312、第一出力アースバー321及び第二出力アースバー322はそれぞれ、薄板長方形状の金属板を所定形状に折り曲げて形成されている。第一入力アースバー311、第二入力アースバー312、第一出力アースバー321及び第二出力アースバー322は、互いに異なる形状を有している。
第一入力アースバー311は、電力変換装置7に設置した場合に、一方の端部が入力側接地用端子51上に配置され、他方の端部が第二入力側接続部71上に配置されるように構成されている。第一入力アースバー311の一方の端部には、入力側接地用端子51を構成する穴部と対応する位置に貫通孔が形成されている。第一入力アースバー311の他方の端部には、第二入力側接続部71のねじ穴と対応する位置に貫通孔が形成されている。第一入力アースバー311は例えば、これらの貫通孔の周囲に金属板が露出して他の導電性の部分を覆う絶縁物を有している。つまり、第一入力アースバー311は例えば、これらの貫通孔の周囲に金属板を露出させた状態で当該絶縁物で被覆されている。第一入力アースバー311は、電力変換装置7の外部の上方から内部に取り付けられるように構成されている。第一入力アースバー311は、一部を除いて絶縁物で被覆されていることにより、ヒートシンク12の熱伝導部(本実施例ではベース部121)及び入力側接地用端子51に接続される入力ケーブル91を構成するアース線91a(図17及び図18では不図示、図2参照)以外の導電部に接触することが防止される。
第二入力アースバー312は、電力変換装置7に設置した場合に、一方の端部が入力側接地用端子51上に配置され、他方の端部が第一入力側接続部61上に配置されるように構成されている。第二入力アースバー312の一方の端部には、入力側接地用端子51を構成する穴部と対応する位置に貫通孔が形成されている。第二入力アースバー312の他方の端部には、第一入力側接続部61のねじ穴と対応する位置に貫通孔が形成されている。第二入力アースバー312は例えば、これらの貫通孔の周囲に金属板が露出して他の導電性の部分を覆う絶縁物を有している。つまり、第二入力アースバー312は例えば、これらの貫通孔の周囲に金属板を露出させた状態で当該絶縁物で被覆されている。第二入力アースバー312は、電力変換装置7の外部の上方から内部に取り付けられるように構成されている。第二入力アースバー312は、一部を除いて絶縁物で被覆されていることにより、電力変換装置7に取り付けられた場合に、筐体11の導電部111及び入力側接地用端子51に接続される入力ケーブル91を構成するアース線91a以外の導電部に接触することが防止される。
第一出力アースバー321は、電力変換装置7に設置した場合に、一方の端部が出力側接地用端子52上に配置され、他方の端部が第二出力側接続部72上に配置されるように構成されている。第一出力アースバー321の一方の端部には、出力側接地用端子52を構成する穴部と対応する位置に貫通孔が形成されている。第一出力アースバー321の他方の端部には、第二出力側接続部72のねじ穴と対応する位置に貫通孔が形成されている。第一出力アースバー321は例えば、これらの貫通孔の周囲に金属板が露出して他の導電性の部分を覆う絶縁物を有している。つまり、第一出力アースバー321は例えば、これらの貫通孔の周囲に金属板を露出させた状態で当該絶縁物で被覆されている。第一出力アースバー321は、電力変換装置7の外部の上方から内部に取り付けられるように構成されている。第一出力アースバー321は、一部を除いて絶縁物で被覆されていることにより、ヒートシンク12の熱伝導部(本実施例ではベース部121)及び出力側接地用端子52に接続される出力ケーブル92を構成するアース線92a(図17及び図18では不図示、図2参照)以外の導電部に接触することが防止される。
第二出力アースバー322は、電力変換装置7に設置した場合に、一方の端部が出力側接地用端子52上に配置され、他方の端部が第一出力側接続部62上に配置されるように構成されている。第二出力アースバー322の一方の端部には、出力側接地用端子52を構成する穴部と対応する位置に貫通孔が形成されている。第二出力アースバー322の他方の端部には、第一出力側接続部62のねじ穴と対応する位置に貫通孔が形成されている。第二出力アースバー322は例えば、これらの貫通孔の周囲に金属板が露出して他の導電性の部分を覆う絶縁物を有している。つまり、第二出力アースバー322は例えば、これらの貫通孔の周囲に金属板を露出させた状態で当該絶縁物で被覆されている。第二出力アースバー322は、電力変換装置7の外部の上方から内部に取り付けられるように構成されている。第二出力アースバー322は、一部を除いて絶縁物で被覆されていることにより、電力変換装置7に取り付けられた場合に、筐体11の導電部111及び出力側接地用端子52に接続される出力ケーブル92を構成するアース線92a以外の導電部に接触することが防止される。
図17に示すように、電力変換装置7は、製品出荷時(初期状態)では、EMC規格認証測定構成(メーカ推奨設置構成)の態様、すなわち第二入力アースバー312及び第一出力アースバー321が選択されて取り付けられている。このため、電力変換装置7がEMC規格認証測定構成と同様と見做せる状態で使用される場合には、入力アース部材31及び出力アース部材32を取り換えずに使用できる。
図18に示すように、電力変換装置7は、使用環境などに起因して製品出荷時(初期状態)とは異なる態様(例えば出力ケーブルをシールドできない態様)で使用される場合、第一入力アースバー311及び第二出力アースバー322が選択されて取り付けられる。入力アース部材31及び出力アース部材32の取り換え作業は例えば、電力変換装置7の使用者によって行われる。入力アース部材31及び出力アース部材32の取り換え作業は、通常の入力ケーブル91及び出力ケーブル92を接続する場合に開ける外側カバー(不図示)を開け、ねじの取り外し及びねじ止め作業によって入力アース部材31及び出力アース部材32のそれぞれの種類を交換できる。このため、電力変換装置7は、入力アース部材31及び出力アース部材32の取り換え作業が煩雑になることを防止できる。
これにより、本実施例による電力変換装置7は、上記第2実施形態における電力変換装置E2と同様の効果が得られる。
(実施例2)
本実施形態の実施例2による電子電気機器としての電力変換装置について図19及び図20を用いて説明する。図19(a)及び図20(a)では、理解を容易にするため、電力変換装置から入力アース部材及び出力アース部材が取り外された状態が図示されている。また、図19及び図20では、理解を容易にするため、プリント回路基板の図示が省略されている。本実施例による電力変換装置8は、入力アース部材31及び出力アース部材32がそれぞれ2種類のアースバーを4本有し、電力変換装置8の使用状況(設置状況)に応じて2種類のアースバーのうちのいずれか1種類の2本を選択して入出力を接続する点に特徴を有している。
図19及び図20に示すように、本実施例による電力変換装置7は、パワー半導体モジュール(半導体素子の一例)14(図19及び図20では不図示、図1参照)と、熱伝導体で形成された熱伝導部を少なくとも一部に有しパワー半導体モジュール14の少なくとも一部に熱伝導部を接触して設けられたヒートシンク12とを備えている。ヒートシンク12は、熱伝導部としてベース部121及び複数のフィン部122(図19及び図20では不図示、図1参照)を有している。ヒートシンク12は、全体が熱伝導体で形成されている。ヒートシンク12は、導電体で形成されている。ヒートシンク12のベース部121上にはパワー半導体モジュール14が実装されている。パワー半導体モジュールとヒートシンク12とは熱的な接触が確保されている。これにより、半導体スイッチQ1〜Q6(図19及び図20では不図示、図2(a)参照)がスイッチング動作することによって発生する熱は、ヒートシンク12に伝導し、外部に放熱される。
電力変換装置8は、導電体で形成された導電部111を少なくとも一部に有する筐体11と、ヒートシンク12の熱伝導部(本実施例ではベース部121)と導電部(本実施例では筐体11の底部)とを接続し導電性を有するケーブル(導電部材の一例)13(図19及び図20では不図示、図16参照)とを備えている。筐体11の側壁の一部及び底部は、導電体で形成されている。ヒートシンク12は、フィン部122の先端部が筐体11の底部との間で間隙を有するように筐体11に取り付けられている。ヒートシンク12は、不図示の絶縁物を介して筐体11に支持されている。このため、ヒートシンク12と筐体11とは、ケーブル13のみで電気的に接続されている。ヒートシンク12と筐体11とは、ケーブル13によって1箇所で電気的に接続されている。
図19及び図20に示すように、電力変換装置8は、入力側接地用端子51、出力側接地用端子52、入力アース部材(入力側導電部材の一例)31及び出力アース部材(出力側導電部材の一例)32を備えている。入力アース部材31は、入力側接地用端子51とヒートシンク12の熱伝導部とを接続する第一入力アースバー(第一入力側導電部材の一例)313(図20参照)と、入力側接地用端子51と筐体11の導電部とを接続する第二入力アースバー(第二入力側導電部材の一例)314(図19参照)とを有している。出力アース部材32は、出力側接地用端子52とヒートシンク12の熱伝導部とを接続する第一出力アースバー(第一出力側導電部材の一例)323(図19参照)と、出力側接地用端子52と筐体11の導電部111とを接続する第二出力アースバー(第二出力側導電部材の一例)324(図20参照)とを有している。
第一入力アースバー313及び第二出力アースバー324は、同一の形状を有し、第二入力アースバー314及び第一出力アースバー323は、同一の形状を有している。これにより、本実施例による電力変換装置8は、入力アース部材31及び出力アース部材32において2種類のアース部材を製造すればよいので、製造コストの削減を図ることができる。
入力側接地用端子51は、第一入力側接地用端子511及び第二入力側接地用端子512を有し、出力側接地用端子52は、第一出力側接地用端子521及び第二出力側接地用端子522を有している。第一入力側接地用端子511、第一出力側接地用端子521、第二入力側接地用端子512及び第二出力側接地用端子522は、非導電部112の一側壁の上端部に並んで配置されている。第一入力側接地用端子511、第一出力側接地用端子521、第二入力側接地用端子512及び第二出力側接地用端子522はそれぞれ、非導電部112の一側壁に上端部から所定位置まで形成された穴部に取り付けられている。第一入力側接地用端子511、第一出力側接地用端子521、第二入力側接地用端子512及び第二出力側接地用端子522が設けられた非導電部112の一側壁は、第一入力側接続部61及び第一出力側接続部62が設けられた筐体11の導電部111の側壁並びに第二入力側接続部71及び第二出力側接続部72が設けられた筐体11の導電部111の側壁とほぼ直交して配置されている。第一入力側接地用端子511、第一出力側接地用端子521、第二出力側接地用端子522及び第二入力側接地用端子512は、第一入力側接続部61が設けられた筐体11の側壁側からこの順に並んで配置されている。
第一入力側接地用端子511、第二入力側接地用端子512、第一出力側接地用端子521及び第二出力側接地用端子522はそれぞれ、例えば非導電部112の一側壁の上端部側を開口した円筒状を有している。第一入力側接地用端子511、第二入力側接地用端子512、第一出力側接地用端子521及び第二出力側接地用端子522はそれぞれ、例えばこの円筒状の内壁面にねじが切られている。これにより、第一入力側接地用端子511には、アース線91a(図19及び図20では不図示、図16参照)と、第一入力アースバー313又は第二入力アースバー314とが電気的に接続された状態でねじ止めすることができる。同様に、第二入力側接地用端子512には、アース線91aと、第一入力アースバー313又は第二入力アースバー314とが電気的に接続された状態でねじ止めすることができる。同様に、第一出力側接地用端子521には、アース線92a(図19及び図20では不図示、図16参照)と、第一出力アースバー323又は第二出力アースバー324とが電気的に接続された状態でねじ止めすることができる。同様に、第二出力側接地用端子522には、アース線92aと、第一出力アースバー323又は第二出力アースバー324とが電気的に接続された状態でねじ止めすることができる。
本実施例における第一入力側接続部61は、本実施形態の上記実施例1における第一入力側接続部61と同様の構成を有している。本実施例における第一出力側接続部62は、本実施形態の上記実施例1における第一出力側接続部62と同様の構成を有している。本実施例における第一出力側接続部62は、本実施形態の上記実施例1における第一出力側接続部62と同様の構成を有している。本実施例における第二出力側接続部72は、本実施形態の上記実施例1における第二出力側接続部72と同様の構成を有している。
しかしながら、本実施例における第二入力側接続部71は、本実施形態の上記実施例1における第二入力側接続部71よりも第一入力側接続部61の近くに配置されている。同様に、本実施例における第二出力側接続部72は、本実施形態の上記実施例1における第二出力側接続部72よりも第一出力側接続部62の近くに配置されている。これにより、本実施例における電力変換装置8は、第一入力側接地用端子511から第二入力側接続部71までの長さと、第二入力側接地用端子512から第一入力側接続部61までの長さがほぼ同じになるように構成される。同様に、電力変換装置8は、第一出力側接地用端子521から第二出力側接続部72までの長さと、第二出力側接地用端子522から第一出力側接続部62までの長さがほぼ同じになるように構成される。また、電力変換装置8は、第一入力側接地用端子511から第二入力側接続部71までの長さと、第一出力側接地用端子521から第二出力側接続部72までの長さがほぼ同じになるように構成されている。さらに、電力変換装置8は、第二入力側接地用端子512から第一入力側接続部61までの長さと、第二出力側接地用端子522から第一出力側接続部62までの長さがほぼ同じになるように構成されている。
このため、同一の形状を有する第二入力アースバー314及び第一出力アースバー323を用いて、図19(b)に示すように、第二入力アースバー314によって第二入力側接地用端子512と第一入力側接続部61との間を接続することができ、第一出力アースバー323によって第一出力側接地用端子521と第二出力側接続部72との間を接続することができる。また、同一の形状を有する第一入力アースバー313及び第二出力アースバー324を用いて、図20(b)に示すように、第一入力アースバー313によって第一入力側接地用端子511と第二入力側接続部71との間を接続することができ、第二出力アースバー324によって第二出力側接地用端子522と第一出力側接続部62との間を接続することができる。
第一入力アースバー313は、本実施形態の実施例1における第一入力アースバー311のように、第二入力側接地用端子512及び第一入力側接続部61に接続される部分に金属板が露出され、その他の部分が絶縁物で被覆されている。第二入力アースバー314は、本実施形態の実施例1における第二入力アースバー312のように、第一入力側接地用端子511及び第二入力側接続部71に接続される部分に金属板が露出され、その他の部分が絶縁物で被覆されている。第一出力アースバー323は、本実施形態の実施例1における第一出力アースバー321のように、第一出力側接地用端子521及び第二出力側接続部72に接続される部分に金属板が露出され、その他の部分が絶縁物で被覆されている。第二出力アースバー324は、本実施形態の実施例1における第二出力アースバー322のように、第二出力側接地用端子522及び第一出力側接続部62に接続される部分に金属板が露出され、その他の部分が絶縁物で被覆されている。これにより、第一入力アースバー313、第二入力アースバー314、第一出力アースバー323及び第二出力アースバー324が電力変換装置8にそれぞれ取り付けられた場合に、所定の端子以外の導電部に接触することが防止される。
図19に示すように、電力変換装置8は、製品出荷時(初期状態)では、EMC規格認証測定構成(メーカ推奨設置構成)の態様、すなわち2種類のアースバーのうちの一方の種類の第二入力アースバー314及び第一出力アースバー323が選択されて取り付けられている。このため、電力変換装置8がEMC規格認証測定構成と同様と見做せる状態で使用される場合には、入力アース部材31及び出力アース部材32を取り換えずに使用できる。
図20に示すように、電力変換装置8は、使用環境などに起因して製品出荷時(初期状態)とは異なる態様(例えば出力ケーブルをシールドできない態様)で使用される場合、2種類のアースバーのうちの他方の種類の第一入力アースバー313及び第二出力アースバー324が選択されて取り付けられる。本実施例における入力アース部材31及び出力アース部材32の取り換え作業は、本実施形態の上記実施例1による入力アース部材31及び出力アース部材32の取り換え作業と同様に行うことができる。さらに、本実施例による入力アース部材31及び出力アース部材32の取り換え作業は、第一入力アースバー313及び第二出力アースバー324が同一の形状を有しているので、第一入力アースバー313及び第二出力アースバー324は入出力のいずれの側にも接続でき、いずれの側にも接続しても電力変換装置8は同様の放射ノイズの低減効果が得られる。このため、本実施例による電力変換装置8は、入力アース部材31及び出力アース部材32の取り換え作業が煩雑になることを防止するとともに、本実施形態の上記実施例1による電力変換装置7よりも入力アース部材31及び出力アース部材32の取り換え作業の作業効率の向上を図ることができる。
また、本実施例による電力変換装置8では、第二入力アースバー314及び第一出力アースバー323は同一の形状を有し、第一入力アースバー313及び第二出力アースバー324は同一の形状を有している。これにより、本実施例による電力変換装置8は、入力アース部材31及び出力アース部材32において2種類のアース部材を製造すればよいので、製造コストの削減を図ることができる。
本実施例による電力変換装置8は、第一入力アースバー313、第二入力アースバー314、第一出力アースバー323及び第二出力アースバー324、すなわち2種類かつ4本のアースバーを備えている。しかしながら、本実施例による電力変換装置8は、2種類かつ2本のアースバーを備えていてもよい。上述のとおり、電力変換装置8は、製品出荷時(初期状態)では、第二入力アースバー314及び第一出力アースバー323が選択されて取り付けられている。このため、使用環境などに起因して製品出荷時(初期状態)とは異なる態様(例えば出力ケーブルをシールドできない態様)で電力変換装置8が使用される場合には、第二入力アースバー314を第二出力アースバーとして使用し、第一出力アースバー323を第一入力アースバーとして使用するように切り替えることができる。これにより、電力変換装置8で使用されるアースバーの本数を削減することができるので、電力変換装置8の低コスト化を図ることができる。
本実施例では、第一入力アースバー313及び第一出力アースバー323は、異なる形状を有し、第二入力アースバー314及び第二出力アースバー324は、異なる形状を有している。しかしながら、第一入力アースバー313及び第一出力アースバー323は、同一の形状を有し、第二入力アースバー314及び第二出力アースバー324は、同一の形状を有していてもよい。すなわち、第一入力アースバー313、第二入力アースバー314、第一出力アースバー323及び第二出力アースバー324は、同一の形状を有していてもよい。例えば、第一入力側接地用端子511から第二入力側接続部71までの長さ、第二出力側接地用端子522から第一入力側接続部61までの長さ、第一出力側接地用端子521から第二出力側接続部72までの長さ、及び第二入力側接地用端子512から第一出力側接続部62までの長さを同一とすることにより、各アースバーを同一の形状とすることができる。これにより、電力変換装置8の低コスト化を図ることができる。
(実施例3)
本実施形態の実施例3による電子電気機器としての電力変換装置について図21及び図22を用いて説明する。図21では、理解を容易にするため、電力変換装置から入力アース部材及び出力アース部材が取り外された状態が図示されている。また、図21及び図22では、理解を容易にするため、プリント回路基板の図示が省略されている。本実施例による電力変換装置9は、入力アース部材33及び出力アース部材34と筐体11の導電部111及びヒートシンク12の熱伝導部との接続箇所を適宜変更することによって使用環境に対応する点に特徴を有している。
図21及び図22に示すように、本実施例による電力変換装置9は、パワー半導体モジュール(半導体素子の一例)14(図21及び図22では不図示、図1参照)と、熱伝導体で形成された熱伝導部を少なくとも一部に有しパワー半導体モジュール14の少なくとも一部に熱伝導部を接触して設けられたヒートシンク12とを備えている。ヒートシンク12は、熱伝導部としてベース部121及び複数のフィン部122(図21及び図22では不図示、図1参照)を有している。ヒートシンク12は、全体が熱伝導体で形成されている。ヒートシンク12は、導電体で形成されている。ヒートシンク12のベース部121上にはパワー半導体モジュール14が実装されている。パワー半導体モジュールとヒートシンク12とは熱的な接触が確保されている。これにより、半導体スイッチQ1〜Q6(図21及び図22では不図示、図2(a)参照)がスイッチング動作することによって発生する熱は、ヒートシンク12に伝導し、外部に放熱される。
電力変換装置9は、導電体で形成された導電部111を少なくとも一部に有する筐体11と、ヒートシンク12の熱伝導部(本実施例ではベース部121)と導電部(本実施例では筐体11の底部)とを接続し導電性を有するケーブル(導電部材の一例)13(図21及び図22では不図示、図16参照)とを備えている。筐体11の側壁の一部及び底部は、導電体で形成されている。ヒートシンク12は、フィン部122の先端部が筐体11の底部との間で間隙を有するように筐体11に取り付けられている。ヒートシンク12は、不図示の絶縁物を介して筐体11に支持されている。このため、ヒートシンク12と筐体11とは、ケーブル13のみで電気的に接続されている。ヒートシンク12と筐体11とは、ケーブル13によって1箇所で電気的に接続されている。
図21及び図22に示すように、電力変換装置9は、入力側接地用端子51及び出力側接地用端子52を備えている。また、電力変換装置9は、入力側接地用端子51と、ヒートシンク12の熱伝導部及び筐体11の導電部111の少なくとも一方とを接続し導電性を有する入力アース部材(入力側導電部材の一例)33を備えている。さらに、電力変換装置9は、出力側接地用端子52と、ヒートシンク12の熱伝導部及び筐体11の導電部111の少なくとも一方とを接続し導電性を有する出力アース部材(出力側導電部材の一例)34を備えている。
入力アース部材33は、入力側接地用端子51、ヒートシンク12の熱伝導部及び筐体11の導電部111と電気的に接触する箇所を少なくとも露出して導電性の部分を覆う入力側絶縁物33aを有している。出力アース部材34は、出力側接地用端子52、ヒートシンク12の熱伝導部及び筐体11の導電部111と接触する箇所を少なくとも露出して導電性の部分を覆う出力側絶縁物34aを有している。
入力アース部材33は、例えば金属板で形成されている。入力側絶縁物33aは、入力アース部材33の金属製の表面(導電性の部分の一例)を当該表面の一部を残して絶縁処理することによって形成される。このため、入力側絶縁物33aは例えば、入力アース部材33の表面を覆う絶縁性の被膜で構成されている。
出力アース部材34は、例えば金属板で形成されている。出力側絶縁物34aは、出力アース部材34の金属製の表面(導電性の部分の一例)を当該表面の一部を残して絶縁処理することによって形成される。このため、出力側絶縁物34aは例えば、出力アース部材34の表面を覆う絶縁性の被膜で構成されている。
図22に示すように、電力変換装置9は、入力アース部材33と、ヒートシンク12の熱伝導部及び筐体11の導電部111のいずれか一方とを接続するねじ81(第一入力側接続部材の一例)を備えている。電力変換装置9は、出力アース部材34と、ヒートシンク12の熱伝導部及び筐体11の導電部111のいずれか他方とを接続するねじ82(第一出力側接続部材の一例)とを備えている。
図21及び図22に示すように、入力アース部材33は、入力側絶縁物33aを有していない箇所にねじ穴331、ねじ穴332(図22(b)参照)及びねじ穴333を有している。入力アース部材33を電力変換装置9に取り付けた場合に、ねじ穴331は入力側接地用端子51と対応する位置に配置され、ねじ穴332は第一入力側接続部61と対応する位置に配置され、ねじ穴333は第二入力側接続部71と対応する位置に配置される。なお、本実施例における入力側接地用端子51は、本実施形態の実施例1における入力側接地用端子51と同様の構造を有している。また、本実施例における第一入力側接続部61は、本実施形態の実施例1における第一入力側接続部61と同様の構造を有している。さらに、本実施例における第二入力側接続部71は、本実施形態の実施例1における第二入力側接続部71と同様の構造を有している。
入力側絶縁物33aは、ねじ81が接触する入力アース部材33の箇所で導電性の部分を露出している。より具体的には、入力側絶縁物33aは、ねじ穴331、ねじ穴332及びねじ穴333のねじが切られている入力アース部材33の内側面に形成されていない。一方、入力側絶縁物33aは、ねじ穴331、ねじ穴332及びねじ穴333の周縁部には形成されている。これにより、入力側絶縁物33aは、ねじ穴331、ねじ穴332及びねじ穴333のねじが切られている入力アース部材33の内側面を露出している。その結果、ねじ81がねじ穴332及び第一入力側接続部61に取り付けられた場合には、ねじ穴332及び第一入力側接続部61は、ねじ81と機械的に接触し、ねじ81を介して電気的に接触するので、入力アース部材33及び筐体11の導電部111は、ねじ81を介して電気的に接触することができる。一方、ねじ81がねじ穴333及び第二入力側接続部71に取り付けられた場合には、ねじ穴333及び第二入力側接続部71は、ねじ81と機械的及び電気的に接触するので、入力アース部材33及びヒートシンク12の熱伝導部は、ねじ81を介して電気的に接触することができる。
図21及び図22に示すように、出力アース部材34は、出力側絶縁物34aを有していない箇所にねじ穴341、ねじ穴342(図22(a)参照)及びねじ穴343を有している。出力アース部材34を電力変換装置9に取り付けた場合に、ねじ穴341は出力側接地用端子52と対応する位置に配置され、ねじ穴342は第一出力側接続部62と対応する位置に配置され、ねじ穴343は第二出力側接続部72と対応する位置に配置される。なお、本実施例における出力側接地用端子52は、本実施形態の実施例1における出力側接地用端子52と同様の構造を有している。また、本実施例における第一出力側接続部62は、本実施形態の実施例1における第一出力側接続部62と同様の構造を有している。さらに、本実施例における第二出力側接続部72は、本実施形態の実施例1における第二出力側接続部72と同様の構造を有している。
出力側絶縁物34aは、ねじ82が接触する出力アース部材34の箇所で導電性の部分を露出している。より具体的には、出力側絶縁物34aは、ねじ穴341、ねじ穴342及びねじ穴343のねじが切られている出力アース部材34の内側面に形成されていない。一方、出力側絶縁物34aは、ねじ穴341、ねじ穴342及びねじ穴343の周縁部には形成されている。これにより、出力側絶縁物34aは、ねじ穴341、ねじ穴342及びねじ穴343のねじが切られている出力アース部材34の内側面を露出している。その結果、ねじ82がねじ穴342及び第一出力側接続部62に取り付けられた場合には、ねじ穴342及び第一出力側接続部62は、ねじ82と機械的に接触し、ねじ82を介して電気的に接触するので、出力アース部材34及び筐体11の導電部111は、ねじ82を介して電気的に接触することができる。一方、ねじ82がねじ穴343及び第二出力側接続部72に取り付けられた場合には、ねじ穴342及び第二出力側接続部72は、ねじ82と機械的及び電気的に接触するので、出力アース部材34及びヒートシンク12の熱伝導部は、ねじ82を介して電気的に接触することができる。
図22(a)及び図22(b)に示すように、入力アース部材33及び出力アース部材34は、電気的に接触される対象が逆になる。より具体的には、図22(a)に示すように、入力アース部材33は、ねじ81がねじ穴332に取り付けられて筐体11の導電部111と電気的に接触するのに対し、出力アース部材34は、ねじ82がねじ穴343に取り付けられてヒートシンク12の熱伝導部と電気的に接触する。一方、図22(b)に示すように、入力アース部材33は、ねじ81がねじ穴333に取り付けられてヒートシンク12の熱伝導部と電気的に接触するのに対し、出力アース部材34は、ねじ82がねじ穴342に取り付けられて筐体11の導電部111と電気的に接触する。
図22(a)に示すように、電力変換装置9は、製品出荷時(初期状態)では、EMC規格認証測定構成(メーカ推奨設置構成)の態様、すなわち、ねじ81がねじ穴332(図22(b)参照)に取り付けられ、ねじ82がねじ穴343(図22(b)参照)に取り付けられている。これにより、電力変換装置9は、製品出荷時(初期状態)では、入力アース部材33が筐体11の導電部111に接続され、出力アース部材34がヒートシンク12の熱伝導部に接続される。このため、電力変換装置9がEMC規格認証測定構成と同様と見做せる状態で使用される場合には、ねじ81及びねじ82を付け替えずに使用できる。
図22(b)に示すように、電力変換装置9は、使用環境などに起因して製品出荷時(初期状態)とは異なる態様(例えば出力ケーブルをシールドできない態様)で使用される場合、ねじ81がねじ穴333(図22(a)参照)に取り付けられ、ねじ82がねじ穴342(図22(a)参照)に取り付けられる。本実施例における入力アース部材33及び出力アース部材34の接続状態の変更作業(本実施形態の実施例1及び2におけるアース部材の取り換え作業に相当する)は、ねじ81及びねじ82の取り付け箇所を変更するだけである。このため、本実施例による電力変換装置9は、入力アース部材33及び出力アース部材34の接続状態の変更作業が煩雑になることを防止するとともに、本実施形態の上記実施例1及び2による電力変換装置7,8における入力アース部材31及び出力アース部材32の取り換え作業よりも作業効率の向上を図ることができる。
本実施例による電力変換装置9は、ねじ穴332,333及びねじ81によって入力アース部材33と、筐体11の導電部111及びヒートシンク12の熱伝導部のいずれか一方とが電気的に接触するように構成されている。また、電力変換装置9は、ねじ穴342,343及びねじ82によって出力アース部材34と、筐体11の導電部111及びヒートシンク12の熱伝導部のいずれか一方とが電気的に接触するように構成されている。しかしながら、電力変換装置9は、このような構成ではなく、筐体11の導電部111及びヒートシンク12の熱伝導部に切り込みなどの入力アース部材33及び出力アース部材34を保持する構成を有していてもよい。この場合、電力変換装置9は、これらの領域のうち入力アース部材33と電気的に接触させる対象の方の領域を例えば入力アース部材33に押圧して電気的に接触させ、非対象の方の領域では当該領域を押圧せずに入力アース部材33と電気的に接触させない。同様に、電力変換装置9は、これらの領域のうち出力アース部材34と電気的に接触させる対象の方の領域を例えば出力アース部材34に押圧して電気的に接触させ、非対象の方の領域では当該領域を押圧せずに出力アース部材34と電気的に接触させない。このような構成であっても、入力アース部材33と、筐体11の導電部111及びヒートシンク12の熱伝導部のいずれか一方とを電気的に接触させ、出力アース部材34と、筐体11の導電部111及びヒートシンク12の熱伝導部のいずれか他方とを電気的に接触することができるので、本実施例による電力変換装置9と同様の効果が得られる。
(実施例4)
本実施形態の実施例4による電子電気機器としての電力変換装置について図23及び図24を用いて説明する。図23及び図24では、理解を容易にするため、プリント回路基板の図示が省略されている。本実施例による電力変換装置70は、2個の入力側接地用端子及び2個の出力側接地用端子を備え、未使用の入力側接地用端子及び出力側接地用端子をカバー部材で覆う点に特徴を有している。
図23及び図24に示すように、本実施例による電力変換装置70は、パワー半導体モジュール(半導体素子の一例)14(図23及び図24では不図示、図1参照)と、熱伝導体で形成された熱伝導部を少なくとも一部に有しパワー半導体モジュール14の少なくとも一部に熱伝導部を接触して設けられたヒートシンク12とを備えている。ヒートシンク12は、熱伝導部としてベース部121及び複数のフィン部122(図23及び図24では不図示、図1参照)を有している。ヒートシンク12は、全体が熱伝導体で形成されている。ヒートシンク12は、導電体で形成されている。ヒートシンク12のベース部121上にはパワー半導体モジュール14が実装されている。パワー半導体モジュールとヒートシンク12とは熱的な接触が確保されている。これにより、半導体スイッチQ1〜Q6(図23及び図24では不図示、図2(a)参照)がスイッチング動作することによって発生する熱は、ヒートシンク12に伝導し、外部に放熱される。
電力変換装置70は、導電体で形成された導電部111(図23及び図24では、不図示、図19参照)を少なくとも一部に有する筐体11と、ヒートシンク12の熱伝導部(本実施例ではベース部121)と導電部(本実施例では筐体11の底部)とを接続し導電性を有するケーブル(導電部材の一例)13(図23及び図24では不図示、図16参照)とを備えている。筐体11の側壁の一部及び底部は、導電体で形成されている。ヒートシンク12は、フィン部122の先端部が筐体11の底部との間で間隙を有するように筐体11に取り付けられている。ヒートシンク12は、不図示の絶縁物を介して筐体11に支持されている。このため、ヒートシンク12と筐体11とは、ケーブル13のみで電気的に接続されている。ヒートシンク12と筐体11とは、ケーブル13によって1箇所で電気的に接続されている。
筐体11は、非導電部112上に配置された上部部材113を有している。上部部材113は例えば、非導電部112と同様に樹脂で形成されている。詳細は後述するが、上部部材113は、入力側接地用端子51及び出力側接地用端子52が設けられている場所にも配置されている。
図23及び図24に示すように、電力変換装置70は、入力側接地用端子51及び出力側接地用端子52を備えている。入力側接地用端子51は、第一入力側接地用端子513(図23参照)及び第二入力側接地用端子514(図24参照)を有し、出力側接地用端子52は、第一出力側接地用端子523(図24参照)及び第二出力側接地用端子524(図23参照)を有している。第一入力側接地用端子513及び第一出力側接地用端子523は、筐体11の一側端部に配置されている。第二入力側接地用端子514及び第二出力側接地用端子524は、入出力端子台の近傍に配置されている。
第一入力側接地用端子513は、本実施形態の実施例1から3における第一入力側接続部61と同様に、筐体11の底部の一部から張り出して形成された薄板長方形状の切り出し部を筐体11の側壁側に垂直に折り曲げ加工して形成された部位に設けられている。第一入力側接地用端子513は、本実施形態の実施例1から3における第一入力側接続部61と同様に、当該部位の端部と、当該端部に形成されたねじ穴とで構成されている。第二入力側接地用端子514は、本実施形態の実施例1及び3における入力側接地用端子51と同様に筐体11の非導電部112に設けられている。第二入力側接地用端子514は、本実施形態の実施例1及び実施例3における入力側接地用端子51と同様の構成を有している。すなわち、第二入力側接地用端子514は、導電性を有しており、かつ内壁面にねじが切られているので、入力ケーブル91のアース線91a(図23及び図24では不図示、図2参照)と入力アース部材(詳細は後述)とを電気的に接続した状態でねじ止めすることができる。
第一出力側接地用端子523は、本実施形態の実施例1から3における第一出力側接続部62と同様に、筐体11の底部の一部から張り出して形成された薄板長方形状の切り出し部を筐体11の側壁側に垂直に折り曲げ加工して形成された部位に設けられている。第一出力側接地用端子523は、本実施形態の実施例1から3における第一出力側接続部62と同様に、当該部位の端部と、当該端部に形成されたねじ穴とで構成されている。第二出力側接地用端子524は、本実施形態の実施例1及び3における出力側接地用端子52と同様に筐体11の非導電部112に設けられている。第二出力側接地用端子524は、本実施形態の実施例1及び実施例3における出力側接地用端子52と同様の構成を有している。すなわち、第二出力側接地用端子524は、導電性を有しており、かつ内壁面にねじが切られているので、出力ケーブル92のアース線92a(図23及び図24では不図示、図2参照)と出力アース部材(詳細は後述)とを電気的に接続した状態でねじ止めすることができる。
図23及び図24に示すように、電力変換装置70は、絶縁性材料(例えば樹脂)で形成されて入力側接地用端子51を覆う入力側カバー部材57と、絶縁性材料(例えば樹脂)で形成されて出力側接地用端子52を覆う出力側カバー部材58とを備えている。上述のとおり、入力側接地用端子51は、第一入力側接地用端子513及び第二入力側接地用端子514を有し、出力側接地用端子52は、第一出力側接地用端子523及び第二出力側接地用端子524を有している。
入力側カバー部材57は、第一入力側接地用端子513及び第二入力側接地用端子514を別個独立して覆うように形成されている。また、出力側カバー部材58は、第一出力側接地用端子523及び第二出力側接地用端子524を別個独立して覆うように形成されている。より具体的には、図24に示すように、入力側カバー部材57は、第一入力側接地用端子513を覆っている場合には、第二入力側接地用端子514を覆わないように構成されている。また、図23に示すように、入力側カバー部材57は、第一入力側接地用端子513を覆っていない場合には、第二入力側接地用端子514を覆うように構成されている。図24に示すように、出力側カバー部材58は、第一出力側接地用端子523を覆っていない場合には、第二出力側接地用端子524を覆うように構成されている。また、図23に示すように、出力側カバー部材58は、第一出力側接地用端子523を覆っている場合には、第二出力側接地用端子524を覆わないように構成されている。
第一入力側接地用端子513及び第一出力側接地用端子523は、上部部材113の一部を切り欠いた領域に露出して配置されている。入力側カバー部材57は、第一入力側接地用端子513を露出させる切り欠き領域に嵌め込むことが可能な形状を有している。出力側カバー部材58は、第一出力側接地用端子523を露出させる切り欠き領域に嵌め込むことが可能な形状を有している。入力側カバー部材57は、第一入力側接地用端子513を露出させる切り欠き領域に嵌め込まれることによって、第一入力側接地用端子513が外部に露出することを防止できる。同様に、出力側カバー部材58は、第一出力側接地用端子523を露出させる切り欠き領域に嵌め込まれることによって、第一出力側接地用端子523が外部に露出することを防止できる。
第二入力側接地用端子514及び第二出力側接地用端子524は、上部部材113の上面に形成された対向壁部の間に配置されている。第二入力側接地用端子514は、第二入力側接地用端子514の両側に設けられた当該対向壁部の間に露出して配置されている。第二出力側接地用端子524は、第二出力側接地用端子524の両側に設けられた当該対向壁部の間に露出して配置されている。入力側カバー部材57は、第二入力側接地用端子514の両側に設けられた当該対向壁部の間に挟み込まれることが可能な形状を有している。出力側カバー部材58は、第二出力側接地用端子524の両側に設けられた当該対向壁部の間に挟み込まれることが可能な形状を有している。このため、入力側カバー部材57は、第二入力側接地用端子514の両側に設けられた当該対向壁部の間に挟み込まれることによって、第二入力側接地用端子514が外部に露出することを防止できる。同様に、出力側カバー部材58は、第二出力側接地用端子524の両側に設けられた当該対向壁部の間に挟み込まれることによって、第二出力側接地用端子524が外部に露出することを防止できる。
電力変換装置70は、第二入力側接地用端子514とヒートシンク12の熱伝導部とを接続する入力アース部材(入力側導電部材の一例、図23及び図24では不図示)を備えている。電力変換装置70は、第二出力側接地用端子524とヒートシンク12の熱伝導部とを接続する出力アース部材(出力側導電部材の一例、図23及び図24では不図示)を備えている。入力アース部材は、一方の端部で第二入力側接地用端子514にねじ止めされ、他方の端部でヒートシンク12の熱伝導部にねじ止めされている。出力アース部材は、一方の端部で第二出力側接地用端子524にねじ止めされ、他方の端部でヒートシンク12の熱伝導部にねじ止めされている。
図23に示すように、電力変換装置70は、製品出荷時(初期状態)では、EMC規格認証測定構成(メーカ推奨設置構成)の態様では、第二入力側接地用端子514に入力側カバー部材57が取り付けられ、第一出力側接地用端子523に出力側カバー部材58が取り付けられている。これにより、電力変換装置70がEMC規格認証測定構成と同様と見做せる状態で使用される場合には、入力側カバー部材57及び出力側カバー部材58を付け替えずに、第一入力側接地用端子513に入力ケーブル91のアース線91aを接続し、第二出力側接地用端子524に出力ケーブル92のアース線92aを接続することによって使用できる。
図24に示すように、電力変換装置70は、使用環境などに起因して製品出荷時(初期状態)とは異なる態様(例えば出力ケーブルをシールドできない態様)で使用される場合、第一入力側接地用端子513に入力側カバー部材57が付け替えられ、第二出力側接地用端子524に出力側カバー部材58が付け替えられる。さらに、第二入力側接地用端子514に入力ケーブル91のアース線91aが接続され、第一出力側接地用端子523に出力ケーブル92のアース線92aが接続される。これにより、入力ケーブル91のアース線91aとヒートシンク12の熱伝導部とが入力アース部材を介して接続され、出力ケーブル92のアース線92aと筐体11の導電部111とが接続される。
本実施例における入力側カバー部材57及び出力側カバー部材58の付け替え作業は、工具を用いずに手作業で行うことができる。また、入力側カバー部材57及び出力側カバー部材58は、通常の入力ケーブル91及び出力ケーブル92を接続する場合に開ける外側カバー(不図示)を開けるだけで触れることが可能な場所に取り付けられている。このため、本実施例による電力変換装置70は、入力側カバー部材57及び出力側カバー部材58の付け替え作業が煩雑になることを防止することができる。さらに、本実施例による電力変換装置70は、未使用の入力側接地用端子及び出力側接地用端子を入力側カバー部材57及び出力側カバー部材58で塞ぐことによって、使用環境に応じた入力ケーブル91及び出力ケーブル92の取り付け誤りを低減することができる。
(実施例5)
本実施形態の実施例5による電子電気機器としての電力変換装置について図25及び図26を用いて説明する。図25では、理解を容易にするため、電力変換装置から入力アース部材及び出力アース部材が取り外された状態が図示されている。また、図25及び図26では、理解を容易にするため、プリント回路基板の図示が省略されている。本実施例による電力変換装置80は、入力アース部材33及び出力アース部材34と筐体11の導電部111及びヒートシンク12の熱伝導部との接続箇所を解除することによって使用環境に対応する点に特徴を有している。
本実施例による電力変換装置80は、本実施例の実施例3による電力変換装置9とほぼ同様の構成を有しているため、電力変換装置9と異なる点を詳細に説明する。
図26(a)に示すように、電力変換装置80は、入力アース部材33と、ヒートシンク12の熱伝導部及び筐体11の導電部111のいずれか一方とを接続するねじ811(第一入力側接続部材の一例)を備えている。電力変換装置80は、出力アース部材34と、ヒートシンク12の熱伝導部及び筐体11の導電部111のいずれか他方とを接続するねじ821(第一出力側接続部材の一例)とを備えている。
電力変換装置80は、入力アース部材33と、ヒートシンク12の熱伝導部及び筐体11の導電部111のいずれか他方とを接続するねじ812(第二入力側接続部材の一例)を備えている。電力変換装置80は、出力アース部材34と、ヒートシンク12の熱伝導部及び筐体11の導電部111のいずれか一方とを接続するねじ822(第二出力側接続部材の一例)を備えている。
入力側絶縁物33aは、ねじ812が接触する入力アース部材33の箇所で導電性の部分を露出している。より具体的には、入力側絶縁物33aは、ねじ812が取り付けられるねじ穴333(図25及び図26(b)参照)のねじが切られている入力アース部材33の内側面に形成されていない。一方、入力側絶縁物33aは、ねじ穴333の周縁部には形成されている。これにより、入力側絶縁物33aは、ねじ穴333のねじが切られている入力アース部材33の内側面を露出している。その結果、ねじ812がねじ穴333及び第二入力側接続部71に取り付けられた場合には、ねじ穴333及び第二入力側接続部71は、ねじ812と機械的及び電気的に接触するので、入力アース部材33及びヒートシンク12の熱伝導部は、ねじ812を介して電気的に接触することができる。
出力側絶縁物34aは、ねじ822が接触する出力アース部材34の箇所で導電性の部分を露出している。より具体的には、出力側絶縁物34aは、ねじ822が取り付けられるねじ穴343(図25及び図26では不図示、図22(b)参照)のねじが切られている出力アース部材34の内側面に形成されていない。一方、出力側絶縁物34aは、ねじ穴343の周縁部には形成されている。これにより、出力側絶縁物34aは、ねじ穴343のねじが切られている出力アース部材34の内側面を露出している。その結果、ねじ822がねじ穴343及び第二出力側接続部72に取り付けられた場合には、ねじ穴343及び第二出力側接続部72は、ねじ822と機械的及び電気的に接触するので、出力アース部材34及びヒートシンク12の熱伝導部は、ねじ822を介して電気的に接触することができる。
詳細な説明は省略するが、ねじ811がねじ穴332及び第一入力側接続部61に取り付けられた場合には、ねじ穴332及び第一入力側接続部61は、ねじ811と機械的に接触し、ねじ811を介して電気的に接触するので、入力アース部材33及び筐体11の導電部111は、ねじ811を介して電気的に接触することができる。また、ねじ821がねじ穴342及び第一出力側接続部62に取り付けられた場合には、ねじ穴342及び第一出力側接続部62は、ねじ821と機械的に接触し、ねじ821を介して電気的に接触するので、出力アース部材34及び筐体11の導電部111は、ねじ821を介して電気的に接触することができる。
図26(a)に示すように、電力変換装置80は、製品出荷時(初期状態)では、ねじ811,812,821,822が電力変換装置80の所定箇所に取り付けられた状態にある。このため、電力変換装置80は、製品出荷時(初期状態)では、筐体11の導電部111とヒートシンク12の熱伝導部とが、入力アース部材33及びねじ811,812並びに出力アース部材34及びねじ821,822によって多点で接続されている。このため、電力変換装置80は、製品出荷時(初期状態)では、ケーブル13の効果は無効になり、ヒートシンク12の熱伝導部と筐体11の導電部111とが面接触している状態と等価となる。
これにより、電力変換装置80は、ケーブル13の効果は無効になるものの、本実施形態の上記実施例1〜3による電力変換装置のように入力アース部材及び出力アース部材の組み換え作業において、入力アース部材又は出力アース部材の付け忘れや接続不良などによって負荷の接地がとれず誤動作してしまうことを防止できる。
図26(b)に示すように、電力変換装置80は、使用環境がEMC規格認証測定構成(メーカの推奨構成)と同様と見做せる場合には、ねじ812及びねじ821が取り外される。これにより、ヒートシンク12の熱伝導部と、筐体11の導電部111とがケーブル13のみで接続される状態となる。また、入力側接地用端子51が筐体11の導電部111と接続され、出力側接地用端子52がヒートシンク12の熱伝導部と接続された推奨設置状態となる。その結果、電力変換装置80は、放射ノイズを低減することが可能となる。
電力変換装置80は、使用環境がEMC規格認証測定構成以外の場合には、製品出荷状態のまま使用される。電力変換装置80の内部は、筐体11及びヒートシンク12が面接触している状態と看做せることから、ヒートシンク12から入力側接地用端子51までのインピーダンスと、ヒートシンク12から出力側接地用端子52までのインピーダンスがほぼ等しくなる。その結果、電力変換装置80は、出力ケーブル92からの放射されるノイズの増加を抑制することができる。
電力変換装置80は、入力アース部材33と筐体11の導電部111との接続点、及び出力アース部材34とヒートシンク12の熱伝導部との接続点は、ねじ811,812,821,822が外れないように、ねじ811,812,821,822を覆うカバー部材を有していてもよい。電力変換装置80は、当該カバー部材を有することにより、負荷のアースをより確実にとることが可能となる。
以上説明したように、本実施形態、実施例1〜5による電力変換装置E2,7〜8,70,80は、インバータ部20を構成するパワー半導体モジュール14と、熱伝導体で形成された熱伝導部(例えばベース部121)及び複数のフィン部122を有しパワー半導体モジュール14の少なくとも一部に例えばベース部121を接触して設けられたヒートシンク12と、導電体で形成された導電部を少なくとも一部(例えば底部)に有する筐体11と、ヒートシンク12の熱伝導部(例えばベース部121)と筐体11の導電部(例えば底部)とを接続し導電性を有するケーブル13とを備えている。
これにより、本実施形態、実施例1〜5による電力変換装置E2,7〜8,70,80は、上記第1実施形態、実施例及び変形例による電力変換装置E1,1〜6,6a,6bと同様の効果が得られる。
また、本実施形態、実施例1〜5による電力変換装置E2,7〜8,70,80は、入力側のアース線91aが接続される入力側接地用端子51と、出力側のアース線92aが接続される出力側接地用端子52と、入力側接地用端子51と、ヒートシンク12の熱伝導部及び筐体11の導電部111の少なくとも一方とを接続し導電性を有する入力アース部材31,33と、出力側接地用端子52と、ヒートシンク12の熱伝導部及び筐体11の導電部111の少なくとも一方とを接続し導電性を有する出力アース部材32,34とを備えている。
これにより、本実施形態、実施例1〜5による電力変換装置E2,7〜8,70,80は、電力変換装置E2,7〜8,70,80の使用環境や設定条件などに応じて、30MHz帯の放射ノイズを効果的に低減することができる。
本発明は上記実施形態に限らず、種々の変形が可能である。
上記実施形態などによる電力変換装置E1,1〜6,6a,6b,E2,7〜9,79,80は、ケーブルで構成された導電部材を有しているが、本発明はこれに限られない。例えば、導電部材は、ノイズの伝達経路の共振周波数を30MHzより小さくできる所定のインピーダンスを有していれば、銅板のような剛性を有する部材であってもよい。
上記実施形態などでは、ケーブル13は、ヒートシンク12と筐体11との間に最短距離で張り渡されているが、本発明はこれに限られない。例えば、ケーブル13で例示される導電部材は、ノイズの伝達経路の共振周波数を30MHzより小さくできる所定のインピーダンスを有していれば、ヒートシンク12と筐体11との間に最短距離で張り渡されていなくてもよい。但し、導電部材は、筐体の内部に引き回しすぎると、導電部材自体からノイズが放射される可能性がある。このため、導電部材は、所定のインピーダンスを確保しつつ可能な限り短い長さに形成されるとよい。
上記実施形態などでは、スイッチング部は、IGBTで構成された半導体スイッチを有しているが、本発明はこれに限られない。例えば、スイッチング部に設けられる半導体スイッチは、ワイドバンドギャップ半導体を有する高耐圧のMOSFETであってもよい。ワイドバンドギャップ半導体として例えばシリコンカーバイド(SiC)、窒化ガリウム(GaN)及びダイアモンドの少なくとも1つが用いられていてもよい。
上記第1実施形態及び第2実施形態による電力変換装置E1,E2は、ノイズフィルタ18を備えているが、ノイズフィルタは備えていなくてもよい。
上記第2実施形態の実施例1から5による電力変換装置は、ケーブル13によってヒートシンク12と筐体11との間が接続されているが、本発明はこれに限られない。例えば、上記第2実施形態の実施例1から5による電力変換装置は、上記第1実施形態の実施例5又は6による電力変換装置と同様に、ケーブル13と直列に取り付けられたインピーダンス素子(例えば抵抗素子131又はコア132)を備えていてもよい。また、この場合、ケーブル13は、上記第1実施形態の実施例6の変形例1による電力変換装置と同様に、インピーダンス素子としてのコア132に巻き付けられていてもよい。さらに、上記第2実施形態の実施例1から5による電力変換装置は、上記第1実施形態の実施例6の変形例2による電力変換装置と同様に、コア132と並列になるようにケーブル13に接続されたコンデンサ133を備えていてもよい。
上記第2実施形態の実施例1及び2による電力変換装置は、製品出荷時(初期状態)に、入力アース部材及び出力アース部材がそれぞれ1つずつ取り付けられているが、本発明はこれに限られない。電力変換装置は、入力アース部材及び出力アース部材がそれぞれ2つずつ取り付けられていてもよい。この場合、電力変換装置は、使用環境に合わせて、入力アース部材及び出力アース部材のそれぞれの一方が取り外されて使用される。また、上記第2実施形態の実施例5による電力変換装置と同様に、筐体11の導電部111とヒートシンク12の熱伝導部とが、入力アース部材33及びねじ811,812並びに出力アース部材34及びねじ821,822によって多点で接続される。このため、電力変換装置は、ケーブル13の効果が無効になり、ヒートシンク12の熱伝導部と筐体11の導電部111とが面接触している状態と等価となる。この場合の電力変換装置は、上記第2実施形態の実施例5による電力変換装置と同様の効果が得られる。
具体的には、電力変換装置の使用環境がEMC規格認証測定構成(メーカの推奨構成)と同様とみなせる場合には、入力側接地用端子及びヒートシンクの間を接続する入力アース部材と、出力側接地用端子及び筐体の導電部の間を接続する出力アース部材が取り外される。これにより、ヒートシンクと筐体11の導電部とがケーブルのみによる接続状態となる。また、入力側接地用端子及び筐体の導電部が入力アース部材によって接続され、出力側接地用端子及びヒートシンクが出力アース部材によって接続される。このため、電力変換装置は、EMC規格認証測定構成(メーカの推奨構成)と同じ構成となるので、放射ノイズを低減することが可能となる。
さらに、入力側接地用端子及び筐体の導電部の間を接続する入力アース部材と、出力側接地用端子及びヒートシンクの間を接続する出力アース部材とは、外部から取り外すことができない構造としてもよい。また、入力側接地用端子及びヒートシンクの間を接続する入力アース部材と、出力側接地用端子及び筐体の導電部の間を接続する出力アース部材は、外部から取り外しができる構造としておいてもよい。これにより、電力変換装置の製品出荷時(初期状態)では、2つの入力アース部材及び2つの出力アース部材が接続された状態となり、設置状況(使用環境)に合わせて、入力側接地用端子及びヒートシンクの間を接続する入力アース部材並びに出力側接地用端子及び筐体の導電部の間を接続する出力アース部材を取り外すか否かを、電力変換装置の使用者が選択できる。
これにより、電力変換装置や後段に接続される負荷の接地を確実にとることが可能となるので、電力変換装置の誤動作を防止できる。さらに、電力変換装置の設置条件(使用環境)がEMC規格測定構成と同様と看做せる場合には、入力側接地用端子及びヒートシンクの間を接続する入力アース部材並びに出力側接地用端子及び筐体の導電部の間を接続する出力アース部材を取り外すことで、放射ノイズを低減することが可能となる。また、電力変換装置の設置条件(使用環境)がEMC規格測定構成と異なると判断される場合には、入力アース部材及び出力アース部材が全て接続されている状態を選択することで、筐体の導電部とヒートシンクが多点(3点)で接続されることになる。このため、筐体の導電部とヒートシンクが面接触状態と等価となるので、ヒートシンクと入力側接地用端子との間のインピーダンスと、ヒートシンクと出力側接地用端子との間のインピーダンスとが、ほぼ同じになってバランスする。その結果、電力変換装置は、出力ケーブルからの放射ノイズの増加を緩和することができる。
上記第2実施形態では、入力側接地用端子51及び出力側接地用端子52は、導電性を有しているが、本発明はこれに限られない。入力側接地用端子51は、電気的に接続された状態のアース線91a及び入力アース部材31を保持できれば、非導電性を有していてもよい。同様に、出力側接地用端子52は、電気的に接続された状態のアース線92a及び出力アース部材32を保持できれば、非導電性を有していてもよい。例えば、入力側接地用端子51及び出力側接地用端子52は、筐体11の非導電部112と一体に形成されていてもよい。この場合、入力側接地用端子51及び出力側接地用端子52は例えば、筐体11の非導電部112の一側壁に上端部から所定位置まで形成された穴部で構成されていてもよい。入力側接地用端子51及び出力側接地用端子52は、当該穴部を囲む内壁面に例えばねじが切られていてもよい。これにより、入力側接地用端子51は、電気的に接続された状態のアース線91a及び入力アース部材31をねじ止めすることができる。また、出力側接地用端子52は、電気的に接続された状態のアース線92a及び出力アース部材32をねじ止めすることができる。
このように、入力側接地用端子51及び出力側接地用端子52が非導電性を有していても、アース線91a及び入力アース部材31並びにアース線92a及び出力アース部材32のそれぞれの電気的接続を確保できるので、電力変換装置は、上記第2実施形態による電力変換装置と同様の効果が得られる。
上記第2実施形態の実施例2では、第一入力側接地用端子511、第二入力側接地用端子512、第一出力側接地用端子521及び第二出力側接地用端子522は、導電性を有しているが、本発明はこれに限られない。第一入力側接地用端子511及び第二入力側接地用端子512はそれぞれ、電気的に接続された状態でアース線91aと、第一入力アースバー313又は第二入力アースバー314とを保持できれば、非導電性を有していてもよい。また、第一出力側接地用端子521及び第二出力側接地用端子522はそれぞれ、電気的に接続された状態でアース線92aと、第一出力アースバー323又は第二出力アースバー324とを保持できれば、非導電性を有していてもよい。この場合、第一入力側接地用端子511、第二入力側接地用端子512、第一出力側接地用端子521及び第二出力側接地用端子522は例えば、筐体11の非導電部112の一側壁に上端部から所定位置まで形成された穴部で構成されていてもよい。第一入力側接地用端子511、第二入力側接地用端子512、第一出力側接地用端子521及び第二出力側接地用端子522は、当該穴部を囲む内壁面に例えばねじが切られていてもよい。これにより、第一入力側接地用端子511及び第二入力側接地用端子512はそれぞれ、電気的に接続された状態のアース線91aと第一入力アースバー313又は第二入力アースバー314とをねじ止めすることができる。また、第一出力側接地用端子521及び第二出力側接地用端子522はそれぞれ、電気的に接続された状態のアース線92aと第一出力アースバー323又は第二出力アースバー324とをねじ止めすることができる。
このように、第一入力側接地用端子511、第二入力側接地用端子512、第一出力側接地用端子521及び第二出力側接地用端子522が非導電性を有していても、アース線92aと、第一出力アースバー323又は第二出力アースバー324との電気的接続を確保でき、アース線92aと、第一出力アースバー323又は第二出力アースバー324との電気的接続を確保できるので、電力変換装置は、上記第2実施形態の実施例2による電力変換装置と同様の効果が得られる。
上記第2実施形態の実施例4では、第二入力側接地用端子514及び第二出力側接地用端子524は、導電性を有しているが、本発明はこれに限られない。第二入力側接地用端子514は、電気的に接続された状態のアース線91a及び入力アース部材を保持できれば、非導電性を有していてもよい。同様に、第二出力側接地用端子524は、電気的に接続された状態のアース線92a及び出力アース部材を保持できれば、非導電性を有していてもよい。例えば、第二入力側接地用端子514及び第二出力側接地用端子524は、筐体11の非導電部112と一体に形成されていてもよい。この場合、第二入力側接地用端子514及び第二出力側接地用端子524は例えば、筐体11の非導電部112の一側壁に上端部から所定位置まで形成された穴部で構成されていてもよい。第二入力側接地用端子514及び第二出力側接地用端子524は、当該穴部を囲む内壁面に例えばねじが切られていてもよい。これにより、第二入力側接地用端子514は、電気的に接続された状態のアース線91a及び入力アース部材をねじ止めすることができる。また、第二出力側接地用端子524は、電気的に接続された状態のアース線92a及び出力アース部材をねじ止めすることができる。
このように、第二入力側接地用端子514及び第二出力側接地用端子524が非導電性を有していても、アース線91a及び入力アース部材並びにアース線92a及び出力アース部材のそれぞれの電気的接続を確保できるので、電力変換装置は、上記第2実施形態の実施例4による電力変換装置と同様の効果が得られる。
本発明の技術的範囲は、図示され記載された例示的な実施形態に限定されるものではなく、本発明が目的とするものと均等な効果をもたらす全ての実施形態をも含む。さらに、本発明の技術的範囲は、請求項により画される発明の特徴の組み合わせに限定されるものではなく、全ての開示されたそれぞれの特徴のうち特定の特徴のあらゆる所望する組み合わせによって画されうる。