JP2018200012A - 圧縮機および冷凍サイクル - Google Patents

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内田 和秀
Kazuhide Uchida
和秀 内田
土方 康種
Yasutane Hijikata
康種 土方
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Abstract

【課題】給油孔の加工を容易に行うことが可能であると共に、給油孔から供給されるオイルにより体積効率を高めることの可能な圧縮機を提供する。【解決手段】固定スクロール50は、固定盤51、およびその固定盤51に設けられる渦巻状の固定ラップ52を有する。可動スクロール40は、固定盤51に対向して配置される可動盤41、および、その可動盤41に設けられる渦巻状の可動ラップ42を有する。作動室60は、固定スクロール50と可動スクロール40との間に形成され、可動スクロール40の公転に伴う容積の減少により冷媒が圧縮される。給油孔55は、固定盤51のうち、作動室60が最大容積となる状態が形成される部位、または、作動室60が最大容積から僅かに減少した容積となる状態が形成される部位に設けられ、作動室60にオイルを供給する。【選択図】図2

Description

本発明は、スクロール式の圧縮機、および、その圧縮機を備えた冷凍サイクルに関するものである。
従来、冷凍サイクルを循環する冷媒を圧縮するスクロール圧縮機が知られている。
特許文献1に記載のスクロール圧縮機では、可動スクロールが有する可動ラップの上面または側面に給油孔が設けられている。この圧縮機は、その給油孔から作動室に供給されるオイルにより、可動ラップおよび固定ラップの上面、側面、底面の摺動によるカジリ、焼き付きなどを防いでいる。
特開2005−139997号公報
発明者らの詳細な検討の結果、特許文献1に記載のスクロール圧縮機には、次の課題が見出された。即ち、特許文献1に記載のスクロール圧縮機は、可動スクロールが有する可動盤のうち固定ラップとは反対側の面から可動ラップの上面に通じるように給油孔を設けている。そのため、この圧縮機は、給油孔の経路が長くなるため、加工時間が長くなると共に、加工コストが増大する。また、特許文献1では、可動ラップの上面から底面に亘り可動ラップの側面に開口するように給油孔を設けることも提案されている。その場合、給油孔の加工が困難なものとなる。
本発明は、給油孔の加工を容易に行うことが可能であり、且つ、給油孔から供給されるオイルにより体積効率を高めることの可能な圧縮機を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に係る発明は、冷媒を圧縮するスクロール式の圧縮機であって、
固定盤(51)、および固定盤に設けられる渦巻状の固定ラップ(52)を有する固定スクロール(50)と、
固定盤に対向して配置される可動盤(41)、および、可動盤に設けられる渦巻状の可動ラップ(42)を有し、固定ラップと可動ラップとが嵌り合った状態で、固定スクロールに対し公転する可動スクロール(40)と、
固定スクロールと可動スクロールとの間に形成され、可動スクロールの公転に伴う容積の減少により冷媒が圧縮される作動室(60)と、
固定盤のうち作動室が最大容積となる状態が形成される部位、または、作動室が最大容積から僅かに減少した容積となる状態が形成される部位に設けられ、作動室にオイルを供給する給油孔(55)と、を備える。
これによれば、このスクロール圧縮機は、固定盤に給油孔を設けることで、上述した特許文献1のように可動ラップの上面または側面に給油孔を設けることに比べて、給油孔の経路が短くなると共に、給油孔の加工を容易に行うことが可能である。
また、スクロール圧縮機は、固定スクロールおよび可動スクロールの径方向外側に設けられた冷媒吸入室から作動室に吸入された冷媒が、可動スクロールの公転に伴う作動室の容積の減少により圧縮される構成である。このとき、作動室の容積の減少と共に作動室の冷媒圧力が上昇し、最外周にある作動室を形成する固定スクロールと可動スクロールとの摺接箇所または隣接箇所から、作動室の冷媒が冷媒吸入室に漏れることがある。そこで、請求項1に係る発明は、固定盤のうち、作動室が最大容積となる状態が形成される部位、または、作動室が最大容積から僅かに減少した容積となる状態が形成される部位に給油孔を設けている。この給油孔から作動室にオイルを供給することで、固定スクロールと可動スクロールとの摺接箇所または隣接箇所が、そのオイルによってシールされる。そのため、最外周にある作動室から冷媒吸入室への冷媒の漏れが抑制される。したがって、この圧縮機は、冷媒吸入室から作動室への冷媒の吸入完了から可動スクロールが1回転するまでの体積効率に大きな影響を与える工程内で、給油孔から作動室にオイルを供給することで、圧縮機による冷媒圧縮の体積効率を高めることができる。
請求項2に係る発明は、冷媒を圧縮するスクロール式の圧縮機であって、
固定盤(51)、および固定盤に設けられる渦巻状の固定ラップ(52)を有する固定スクロール(50)と、
固定盤に対向して配置される可動盤(41)、および、可動盤に設けられる渦巻状の可動ラップ(42)を有し、固定ラップと可動ラップとが嵌り合った状態で、固定スクロールに対し公転する可動スクロール(40)と、
固定スクロールと可動スクロールとの間に形成され、可動スクロールの公転に伴う容積の減少により冷媒が圧縮される作動室(60)と、
可動ラップまたは固定ラップの少なくとも一方の側面の板厚が薄く形成され、可動ラップまたは固定ラップの渦巻方向外側の端部側から渦巻方向の内側に所定範囲で設けられる逃がし部(44、54)と、
可動ラップまたは固定ラップに設けられた逃がし部の渦巻方向内側の端部(441、541)を起点として渦巻方向の内側と外側に±90°の範囲で固定盤に設けられ、作動室にオイルを供給する給油孔(55)と、を備える。
これによれば、このスクロール圧縮機は、固定盤に給油孔を設けることで、上述した特許文献1のように可動ラップの上面または側面に給油孔を設けることに比べて、給油孔の経路が短くなると共に、給油孔の加工を容易に行うことが可能である。
また、スクロール圧縮機は、可動スクロールの公転に伴う作動室の容積の減少により、作動室の冷媒の圧力が次第に上昇する。そして、固定スクロールと可動スクロールとの隣接箇所が、逃がし部の渦巻方向内側の端部付近を通過するとき、最外周にある作動室と冷媒吸入室との差圧が最も大きくなる。そこで、請求項2に係る発明では、逃がし部の渦巻方向内側の端部から±90°の範囲に設けられた給油孔から作動室にオイルを供給することで、固定スクロールと可動スクロールとの摺接箇所または隣接箇所が、そのオイルによってシールされる。そのため、最外周にある作動室から冷媒吸入室への冷媒の漏れが抑制される。したがって、この圧縮機は、冷媒圧縮の体積効率を高めることができる。
請求項9に係る発明は、冷凍サイクルであって、
請求項1ないし5のいずれか1つに記載の圧縮機(1)と、
圧縮機から吐き出された冷媒からオイルを分離するオイルセパレータ(2)と、
オイルセパレータから流出した冷媒を放熱させる放熱器(3)と、
放熱器から流出した冷媒を減圧膨張させる膨張弁(4)と、
膨張弁から流出した冷媒を蒸発させる蒸発器(5)と、を備え、
圧縮機に設けられた給油孔(55)は、オイルセパレータにより分離されたオイルを作動室に供給するものである。
これによれば、圧縮機の吐出口から吐き出された冷媒から分離した高圧のオイルを作動室内に供給することで、オイルを加圧するためのポンプなどを使用することなく、作動室にオイルを供給するための構成を簡素にすることができる。また、冷媒に含まれるオイルをオイルセパレータにより分離することで、冷凍サイクルのCOPを高めることができる。なお、オイルセパレータは、圧縮機と一体に構成されていてもよく、または、圧縮機とは別に構成されていてもよい。
なお、上記各構成に付した括弧内の符号は、後述する実施形態に記載する具体的構成との対応関係の一例を示したものである。
第1実施形態に係る圧縮機の断面図である。 図1のII―II線の部分断面図である。 図2の固定スクロールのみを示す図である。 図2の可動スクロールのみを示す図である。 図3のVA−VA線断面、およびVB−VB線断面において、固定スクロールまたは可動スクロールに設けられる逃がし部を説明するための部分断面図である。 圧縮機の動作を説明するための説明図である。 圧縮機により圧縮される冷媒のオイルレートと体積効率に関する実験結果を示すグラフである。 第2実施形態に係る圧縮機の部分断面図である。 圧縮機の動作を説明するための説明図である。 第3実施形態に係る圧縮機の断面図である。 第3実施形態に係る圧縮機を含む冷凍サイクルの構成図である。 第4実施形態に係る圧縮機の断面図である。 第4実施形態に係る圧縮機により圧縮される冷媒のオイルレートと体積効率に関する実験結果を示すグラフである。 第5実施形態に係る圧縮機の部分断面図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
(第1実施形態)
第1実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1および図2に示すように、本実施形態の圧縮機1は、スクロール式の電動圧縮機である。圧縮機1は、冷媒を圧縮する圧縮機構部10と、その圧縮機構部10を駆動する電動機部20と、圧縮機構部10および電動機部20を収容するハウジング30などを備えている。
ハウジング30は、有底筒状のハウジング本体31と、そのハウジング本体31の一方の側を塞ぐフロントハウジング32とが一体に接合され、密閉容器構造となっている。
電動機部20は、ステータ21と、そのステータ21の内側に設けられたロータ22を有している。ステータ21は、ステータコア23と、そのステータコア23に巻かれたステータコイル24により構成されている。
モータシャフト25の径外側にロータ22が固定されている。モータシャフト25のうち、ロータ22から圧縮機構部10とは反対側へ延出する部位は、ハウジング30に設けられたフロント軸受34に回転可能に支持されている。モータシャフト25のうち、ロータ22から圧縮機構部10側へ延出する部位は、ミドルハウジング35に設けられたメイン軸受36に回転可能に支持されている。
モータシャフト25のうち、メイン軸受36よりもさらに圧縮機構部10側へ延出した箇所に、偏心部26が設けられている。偏心部26は、モータシャフト25の軸29に対して中心位置がずれた円柱状に形成され、圧縮機構部10を構成する可動スクロール40が有するロータ軸受部49の内側に摺動可能に嵌合している。モータシャフト25の軸29を挟んで偏心部26の反対側には、バランスウェイト27が設けられている。
図1および図2に示すように、圧縮機構部10は、可動スクロール40と固定スクロール50とを備えている。なお、図2は、図1のII−II線断面において、固定スクロール50と可動スクロール40の一部のみを図示している。固定スクロール50は、固定盤51、および、その固定盤51に設けられる渦巻状の固定ラップ52を有している。固定スクロール50が有する固定盤51は、ハウジング30に固定されている。固定ラップ52は、固定盤51から可動盤41側へ突き出すように設けられている。
可動スクロール40は、ミドルハウジング35と固定スクロール50との間に形成される空間に設けられている。可動スクロール40は、固定盤51に対向して配置される可動盤41、および、その可動盤41に設けられる渦巻状の可動ラップ42を有している。可動ラップ42は、可動盤41から固定盤51側へ突き出すように設けられている。固定ラップ52と可動ラップ42とは、互いに嵌り合った状態で設置されている。
図1に示した電動機部20が備えるステータコイル24に電力が供給されると、ステータ21に回転磁界が発生し、ロータ22とモータシャフト25が回転駆動する。そのモータシャフト25の回転運動は、偏心部26からロータ軸受部49の内壁を介して可動スクロール40に伝わる。可動スクロール40には、自転を防止するための図示していない自転防止機構が設けられている。そのため、可動スクロール40は、自転することなく、モータシャフト25の軸29を公転の中心として公転運動する。
ハウジング本体31の内側でミドルハウジング35と固定スクロール50との間に形成された空間のうち、固定スクロール50および可動スクロール40の径方向外側は、冷媒吸入室11となっている。冷媒吸入室11には、ハウジング本体31に設けられた吸入ポート12から低圧の気相冷媒が吸入される。固定スクロール50と可動スクロール40との間には、作動室60が形成されている。可動スクロール40が公転すると、冷媒吸入室11から作動室60に冷媒が吸入され、作動室60の容積の減少により冷媒が圧縮される。固定スクロール50には、作動室60で圧縮された冷媒が吐き出される吐出口53が設けられている。なお、吐出口53は、固定盤51のうち作動室60が最小容積となる部位に設けられている。
吐出口53は、ハウジング本体31の底部と固定盤51との間に形成された吐出空間13に連通している。吐出口53と吐出空間13との間には、吐出口53から吐出空間13への冷媒の流れを許容し、吐出空間13から吐出口53への冷媒の流れを規制する吐出用逆止弁14が設けられている。吐出口53から吐出空間13へ吐出された冷媒は、ハウジング本体31に設けられた吐出ポート15から吐き出される。
ミドルハウジング35と可動スクロール40との間には、背圧室16が設けられている。すなわち、背圧室16は、可動盤41の作動室60とは反対側に設けられている。背圧室16には、図示していない流路を通じて、吐出口53から吐き出された高圧の冷媒、またはその冷媒から分離された高圧のオイルが供給される。この背圧室16に供給される高圧の冷媒またはオイルの圧力により、可動スクロール40は、固定スクロール50側へ付勢されている。
図2に示すように、可動スクロール40が有する可動ラップ42の側壁と、固定スクロール50が有する固定ラップ52の側壁とは、複数個所で摺接または隣接している。これにより、可動スクロール40と固定スクロール50との間には、作動室60が形成される。作動室60は、第1作動室61と第2作動室62とを含んで構成されている。第1作動室61は、可動スクロール40の径方向外側且つ固定スクロール50の径方向内側に形成される。第2作動室62は、可動スクロール40の径方向内側且つ固定スクロール50の径方向外側に形成される。この第1作動室61と第2作動室62はいずれも、可動スクロール40の公転と共に渦巻方向の内側に移動しつつ、その容積の減少が減少することで、冷媒が圧縮される。
図2に示した固定スクロール50のみを図3に示し、図2に示した可動スクロール40のみを図4に示す。なお、図4では、可動スクロール40が有する可動盤41の外縁を一点鎖線で示している。
本実施形態では、可動ラップ42および固定ラップ52の側面に、逃がし部44、54が設けられている。逃がし部44、54は、可動ラップ42と固定ラップ52とが接触する板厚に対し、数十〜数百μmだけ板厚を薄くした箇所をいう。図5(A)は図3のVA−VA部分の板厚であり、図5(B)は図3のVB−VB部分の板厚である。すなわち、図5(A)は固定ラップ52に逃がし部54が設けられていない箇所の板厚を示し、図5(B)は固定ラップ52に逃がし部54が設けられた箇所の板厚を示している。なお、可動ラップ42に逃がし部44が設けられていない箇所の板厚と、可動ラップ42に逃がし部44が設けられた箇所の板厚も、図5(A)、(B)に示したものと同様である。
図2〜図4では、可動ラップ42および固定ラップ52の側面に逃がし部44、54が設けられていないとしたときの側壁の位置を破線で示している。すなわち、逃がし部44、54は、破線が記載されている範囲に設けられている。なお、図2〜図5において、逃がし部44、54の厚みは、説明のために実際のものよりも大きく記載されている。
図3に示すように、第1作動室61を形成する固定ラップ52の径方向内側の側壁に設けられる逃がし部54は、固定ラップ52の渦巻方向外側の端部521側を起点として、その起点から渦巻方向の内側に所定範囲S1で設けられる。その所定範囲S1は、例えば260〜370°に設定される。なお、図2〜図4では、第1作動室61を形成する固定ラップ52に設けられる逃がし部54は、固定ラップ52の渦巻方向外側の端部521側を起点として、その起点から渦巻方向の内側に約270°〜290°の範囲に設けられている。また、図2に示すように、第1作動室61を形成する可動ラップ42の径方向外側の側壁に設けられる逃がし部44は、第1作動室61を形成する固定ラップ52の径方向内側の側壁に設けられた逃がし部54に対応する位置に設けられている。
図4に示すように、第2作動室62を形成する可動ラップ42の径方向内側の側壁に設けられる逃がし部44は、可動ラップ42の渦巻方向外側の端部421側を起点として、その起点から渦巻方向の内側に所定範囲S2で設けられる。その所定範囲S2は、例えば260〜370°に設定される。なお、図2〜図4では、第2作動室62を形成する可動ラップ42に設けられる逃がし部44は、可動ラップ42の渦巻方向外側の端部421側を起点として、その起点から渦巻方向の内側に約270°〜290°の範囲に設けられている。また、図2に示すように、第2作動室62を形成する固定ラップ52の径方向外側の側壁に設けられる逃がし部54は、第2作動室62を形成する可動ラップ42の径方向内側の側壁に設けられる逃がし部44に対応する位置に設けられている。
これにより、可動ラップ42と固定ラップ52とは、逃がし部44、54が設けられた範囲よりも渦巻方向の内側の所定箇所で摺接する。したがって、この圧縮機1は、製造上の公差により可動ラップ42と固定ラップ52との摺接箇所にばらつきが生じることを防ぐことが可能である。
さらに、本実施形態では、固定盤51に複数の給油孔55が設けられている。給油孔55は、固定盤51のうち第1作動室61と第2作動室62が形成される部位にそれぞれ設けられている。給油孔55は、図示していないオイル供給源から供給されるオイルを、第1作動室61および第2作動室62に噴射供給するための孔である。なお、図1において、給油孔55と吐出空間13とは連通していない。
図2に示すように、給油孔55は、固定盤51のうち第1作動室61および第2作動室62が最大容積となる状態が形成される部位に設けられる。なお、第1作動室61が最大容積となる状態とは、固定ラップ52の渦巻方向外側の端部521が可動ラップ42に隣接または当接し、冷媒吸入室11から第1作動室61に冷媒が吸入完了した状態をいう。また、第2作動室62が最大容積となる状態とは、可動ラップ42の渦巻方向外側の端部421が固定ラップ52に隣接または当接し、冷媒吸入室11から第2作動室62に冷媒が吸入完了した状態をいう。
また、給油孔55が設けられる位置は、別の規定をすることも可能である。すなわち、給油孔55は、固定盤51のうち、可動ラップ42または固定ラップ52に設けられた逃がし部44、54の渦巻方向内側の端部441、541を起点として、その起点から渦巻方向の内側と外側に±90°の範囲に設けられる。なお、給油孔55は、固定盤51のうち、上記の起点から渦巻方向の内側と外側に±45°の範囲に設けることが、より好ましい。図2〜図4では、給油孔55は、上記の起点から渦巻方向の外側に45°の範囲内に設けられている。
次に、圧縮機1の動作について、図6を参照して説明する。
図6(A)〜(C)は、可動スクロール40が公転している状態を90°ごとに示したものである。図6(A)は、固定ラップ52の渦巻方向外側の端部521と可動ラップ42とが接触または隣接し、且つ、可動ラップ42の渦巻方向外側の端部421と固定ラップ52とが接触または隣接した状態を示している。この状態で、冷媒吸入室11から第1作動室61と第2作動室62への冷媒の吸入(すなわち、冷媒の閉じ込め)が完了する。この状態から可動スクロール40が公転すると、第1作動室61と第2作動室62は周方向に移動しつつ、それらの容積が次第に小さくなる。
図4(A)の状態のとき、給油孔55は、第1作動室61と第2作動室62に開口している。そのため、給油孔55から、第1作動室61と第2作動室62にオイルが供給される。
図4(A)の状態から、図4(B)、(C)、(D)の状態に移行するに従い、第1作動室61と第2作動室62は渦巻方向の内側に移動し、それらの容積が次第に小さくなる。したがって、第1作動室61と第2作動室62に吸入された冷媒の圧力は次第に高くなる。このとき、図4(B)、(C)、(D)の状態では、固定ラップ52の渦巻方向外側の端部521と可動ラップ42とが離れており、且つ、可動ラップ42の渦巻方向外側の端部421と固定ラップ52とが離れている。そのため、第1作動室61と第2作動室62よりも渦巻方向外側の空間の冷媒圧力は、冷媒吸入室11の冷媒圧力と略同じである。したがって、第1作動室61と第2作動室62の渦巻方向の外側に位置する可動ラップ42と固定ラップ52との摺接箇所または隣接箇所611、621から、第1作動室61と第2作動室62の冷媒が冷媒吸入室11側に漏れることがある。
しかし、本実施形態では、上述した範囲に給油孔55が設けられており、その給油孔55から第1作動室61と第2作動室62にオイルが供給される構成である。そのため、可動ラップ42と固定ラップ52との摺接箇所または隣接箇所611、621が、そのオイルによってシールされる。したがって、最外周にある作動室61、62から冷媒吸入室11への冷媒の漏れが抑制される。なお、本実施形態の給油孔55は、図4(D)の状態の前後付近まで第1作動室61と第2作動室62に開口しているので、最外周にある作動室60と冷媒吸入室11との差圧が最も大きくなるときにも、第1作動室61と第2作動室62にオイルを供給することができる。
図4(D)から図4(A)の状態になると、第1作動室61と第2作動室62は中心付近で結合する。その後、さらに可動スクロール40が公転すると、第1作動室61と第2作動室62とが結合された結合作動室63の容積が減少する。結合作動室63の冷媒は、その冷媒の圧力が圧縮機1に設定された吐出圧になると、吐出口53から吐き出される。
続いて、上述した圧縮機1の給油孔55による効果を確認した実験結果について説明する。
図7は、横軸に、圧縮機1により圧縮される冷媒のオイルレートを示している。縦軸に、圧縮機1により圧縮される冷媒の体積効率を示している。
本実施形態の圧縮機1のように給油孔55から第1作動室61と第2作動室62にオイルを供給した場合の実験結果を菱形にてプロットした。一方、従来の圧縮機のように供給ポートから冷媒供給室を介して第1作動室61と第2作動室62にオイルを供給した場合の実験結果を円形にてプロットした。
図7の破線βに示されるように、従来の圧縮機は、オイルの供給量に関わらず、体積効率はほぼ一定である。これに対し、図7の破線αに示されるように、本実施形態の圧縮機1では、オイルの供給量が多くなるほど、体積効率が高くなっている。したがって、この実験結果により、本実施形態の効果を確認することができた。
以上説明した本実施形態の圧縮機1は、次の作用効果を奏するものである。
(1)本実施形態では、給油孔55は、固定盤51のうち作動室60が最大容積となる状態が形成される部位に設けられている。これによれば、この圧縮機1は、固定盤51に給油孔55を設けることで、上述した特許文献1のように可動ラップの上面または側面に給油孔55を設けることに比べて、給油孔55の経路が短くなると共に、給油孔55の加工を容易に行うことが可能である。
また、この圧縮機1は、その位置に設けた給油孔55から作動室60にオイルを供給することで、固定スクロール50と可動スクロール40との摺接箇所または隣接箇所611、621が、給油孔55から供給されたオイルによってシールされる。そのため、最外周にある作動室60から冷媒吸入室11への冷媒の漏れが抑制される。したがって、この圧縮機1は、冷媒吸入室11から作動室60への冷媒の吸入完了から可動スクロール40が1回転するまでの体積効率に大きな影響を与える工程内で給油孔55から作動室60にオイルを供給することで、冷媒圧縮の体積効率を高めることができる。
(2)本実施形態では、給油孔55は、可動ラップ42または固定ラップ52に設けられた逃がし部44、54の渦巻方向内側の端部441、541を起点として、その起点から渦巻方向の内側と外側に±90°の範囲で固定盤51に設けられている。
これによれば、この圧縮機1は、その位置に設けた給油孔55から作動室60にオイルを供給することで、固定スクロール50と可動スクロール40との摺接箇所または隣接箇所611、621が、そのオイルによってシールされる。そのため、最外周にある作動室60から冷媒吸入室11への冷媒の漏れが抑制される。したがって、この圧縮機1は、冷媒圧縮の体積効率を高めることができる。
(3)本実施形態では、作動室60は、可動スクロール40の径方向外側且つ固定スクロール50の径方向内側に形成される第1作動室61と、可動スクロール40の径方向内側且つ固定スクロール50の径方向外側に形成される第2作動室62とを含んで構成されている。給油孔55は、固定盤51のうち第1作動室61と第2作動室62が形成される部位にそれぞれ設けられる。
これによれば、最外周にある第1作動室61と第2作動室62から冷媒吸入室11側に冷媒が漏れることを抑制することができる。
(4)本実施形態では、可動スクロール40は、背圧室16に供給される高圧の冷媒またはオイルの圧力により固定スクロール50側へ付勢されている。
これによれば、背圧室16に供給される高圧の冷媒またはオイルの圧力により、可動ラップ42の固定盤51側の端面と固定盤51との隙間が小さくなり、固定ラップ52の可動盤41側の端面と可動盤41との隙間が小さくなる。そのため、給油孔55から作動室60に供給されたオイルは、可動ラップ42と固定ラップ52との隣接箇所または摺動箇所からの冷媒の漏れを防ぐことに有効に使われる。したがって、圧縮機1は、冷媒圧縮の体積効率を高めることができる。
(第2実施形態)
第2実施形態について説明する。第2実施形態は、第1実施形態に対して給油孔55を設ける位置を変更したものであり、その他については第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
図8に示すように、第2実施形態では、給油孔55は、固定盤51のうち、第1作動室61および第2作動室62が最大容積から僅かに減少した容積となる状態が形成される部位に設けられている。
また、給油孔55が設けられる位置は、別の規定をすることも可能である。すなわち、給油孔55は、固定盤51のうち、可動ラップ42または固定ラップ52に設けられた逃がし部44、54の渦巻方向内側の端部441、541を起点として、その起点から渦巻方向の内側と外側に±90°の範囲に設けられる。図8では、給油孔55は、上記の起点から渦巻方向の内側に90°の範囲内に設けられている。
次に、圧縮機1の動作について、図9を参照して説明する。
図9(A)〜(C)は、可動スクロール40が公転している状態を90°ごとに示したものである。図9(A)は、固定ラップ52の渦巻方向外側の端部521と可動ラップ42とが接触または隣接し、且つ、可動ラップ42の渦巻方向外側の端部421と固定ラップ52とが接触または隣接した状態を示している。この状態で、冷媒吸入室11から第1作動室61と第2作動室62への冷媒の吸入が完了する。この状態から可動スクロール40が公転すると、第1作動室61と第2作動室62は周方向に移動しつつ、それらの容積が次第に小さくなる。
図9(A)の状態のとき、給油孔55は、第1作動室61と第2作動室62に開口していない。図9(A)から図9(B)に僅かに移行する途中で、給油孔55は、第1作動室61と第2作動室62に開口する。これにより、給油孔55から、第1作動室61と第2作動室62にオイルが供給される。
図9(A)の状態から、図9(B)、(C)、(D)の状態に移行するに従い、第1作動室61と第2作動室62は渦巻方向の内側に移動し、それらの容積が次第に小さくなる。したがって、第1作動室61と第2作動室62に吸入された冷媒の圧力は次第に高くなる。このとき、第1作動室61と第2作動室62よりも渦巻方向外側の空間の冷媒圧力は、冷媒吸入室11の冷媒圧力と略同じである。したがって、第1作動室61と第2作動室62の渦巻方向の外側に位置する可動ラップ42と固定ラップ52との摺接箇所または隣接箇所611、621から、第1作動室61と第2作動室62の冷媒が冷媒吸入室11側に漏れることがある。
しかし、第2実施形態でも、上述した範囲に給油孔55が設けられており、その給油孔55から第1作動室61と第2作動室62にオイルが供給される構成である。そのため、可動ラップ42と固定ラップ52との摺接箇所または隣接箇所611、621が、そのオイルによってシールされる。したがって、最外周にある作動室60から冷媒吸入室11への冷媒の漏れが抑制される。なお、第2実施形態の給油孔55は、図4(D)の状態から図4(A)の状態となる直前まで第1作動室61と第2作動室62に開口しているので、最外周にある作動室60と冷媒吸入室11との差圧が最も大きくなるときにも、第1作動室61と第2作動室62にオイルを供給することができる。
以上説明した第2実施形態も、冷媒吸入室11から作動室60への冷媒の吸入完了から可動スクロール40が1回転するまでの体積効率に大きな影響を与える工程内で、給油孔55から作動室60にオイルを供給することで、圧縮機1による冷媒圧縮の体積効率を高めることができる。すなわち、第2実施形態の圧縮機1も、上述した第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
(第3実施形態)
第3実施形態について説明する。第3実施形態は、第1および第2実施形態に対してオイルセパレータ2を備えたものであり、その他については第1および第2実施形態と同様であるため、第1および第2実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
図10に示すように、第3実施形態では、圧縮機1は、オイルセパレータ2を備えている。オイルセパレータ2は、圧縮機1と一体に構成されていてもよく、または、圧縮機1とは別に構成されていてもよい。オイルセパレータ2は、圧縮機1の吐出口53から吐き出された気相冷媒に混入しているオイルを遠心力などによって分離する装置である。オイルセパレータ2により分離されたオイルは、所定のオイル流路7を通り、給油孔55から作動室60に供給される。オイルセパレータ2によりオイルの大部分が取り除かれた冷媒は、オイルセパレータ2から冷凍サイクルを構成する放熱器側へ流出する。
ここで、冷凍サイクル100について、図11を参照して説明する。冷凍サイクル100は、圧縮機1、オイルセパレータ2、放熱器3、膨張弁4、蒸発器5などが配管6で接続された蒸気圧縮式のヒートポンプサイクルである。
上述したように、圧縮機1の吐出口53から吐き出された気相冷媒は、オイルセパレータ2に流入する。オイルセパレータ2は、気相冷媒に含まれるオイルを分離し、そのオイルを圧縮機1の給油孔55に戻す。また、オイルセパレータ2は、オイルの大部分が取り除かれた気相冷媒を、放熱器3側へ流出させる。
放熱器3は、オイルセパレータ2から流入した冷媒と、図示していない被加熱流体である所定の熱媒体との熱交換を行い、冷媒を放熱させる。放熱器3から流出した冷媒は、膨張弁4へ流れる。
膨張弁4は、放熱器3から流入した冷媒を減圧膨張させる減圧器である。膨張弁4から流出した冷媒は蒸発器5へ流れる。
蒸発器5には、膨張弁4で減圧された冷媒が流入する。蒸発器5は、その冷媒と、図示していない被冷却流体である所定の熱媒体との熱交換を行い、被冷却流体を冷却する。蒸発器5の流路を流れる冷媒は、被冷却流体から吸熱して蒸発する。蒸発器5から流出した気相冷媒は、圧縮機1の吸入ポート12に吸入される。
以上説明した第3実施形態の圧縮機1または冷凍サイクル100は、吐出口53から吐き出された冷媒からオイルを分離するオイルセパレータ2を備えている。
これによれば、圧縮機1の吐出口53から吐き出された冷媒から分離した高圧のオイルを作動室60内に供給することで、オイルを加圧するためのポンプなどを使用することなく、作動室60内にオイルを供給するための構成を簡素にすることができる。
また、冷凍サイクル100は、オイルセパレータ2によって冷媒からオイルが分離され、サイクル内を循環する冷媒のオイルレートが小さくなることから、成績係数(COP)を高めることができる。
(第4実施形態)
第4実施形態について説明する。第4実施形態は、第3実施形態に対して放熱部を備えたものであり、その他については第3実施形態と同様であるため、第3実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
図12に示すように、第4実施形態では、オイルセパレータ2と給油孔55を接続するオイル流路7の途中に、放熱部8が設けられている。放熱部8は、オイル流路7を流れるオイルと、図示していない所定の熱媒体との熱交換を行い、オイルを放熱させる。放熱部8から流出したオイルは、給油孔55から作動室60に供給される。
上述した放熱部8を設けたことによる効果を確認した実験結果について説明する。
図13は、横軸に、圧縮機1により圧縮される冷媒のオイルレートを示している。縦軸に、圧縮機1により圧縮される冷媒の体積効率を示している。
図13の実線Pは、第4実施形態のように放熱部8により冷却したオイルを給油孔55から作動室60にオイルを供給した場合の実験結果を示したものである。一方、図13の実線Qは、圧縮機1の吐出口53から吐き出された冷媒からオイルセパレータ2により分離したオイルを冷却することなく、高温のまま給油孔55から作動室60に供給した場合の実験結果を示したものである。
図13の実線Qに示されるように、高温のオイルを作動室60に供給した場合、オイルレートが所定の値Rを超えると、オイルレートが大きくなるほど体積効率が低下する傾向にある。これに対し、図13の実線Pに示されるように、放熱部8により放熱させたオイルを作動室60に供給した場合、高温のオイルを作動室60に供給した場合よりもオイルレートに対する体積効率が高くなる。また、オイルレートが所定の値Rを超えても、オイルレートが大きくなるほど体積効率は高くなっている。したがって、この実験結果により、本実施形態の効果を確認することができた。
以上説明した第4実施形態の圧縮機1は、オイルセパレータ2から給油孔55に流れるオイルを放熱させる放熱部8を備えている。
これによれば、オイルセパレータ2で分離されたオイルを冷却することで、オイルの粘度が高くなる。そのため、その粘度の高いオイルを作動室60に供給することで、作動室60から冷媒吸入室11側に冷媒が漏れることをより防ぐことが可能となる。
また、放熱部8は、オイルセパレータ2の内側の冷媒とオイルの界面でオイルを冷却するものでなく、オイルセパレータ2で冷媒から分離された後にオイルを冷却するので、オイルの冷媒溶解度を高めることなく、オイルの粘度を高くすることができる。
(第5実施形態)
第5実施形態について説明する。第5実施形態は、第1〜第4実施形態に対して給油孔55の数を変更したものであり、その他については第1〜第4実施形態と同様であるため、第1〜第4実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
図14に示すように、第5実施形態では、給油孔55は、固定盤51のうち第1作動室61が形成される部位に複数個設けられ、第2作動室62が形成される部位に複数個設けられている。
第5実施形態においても、給油孔55は、固定盤51のうち、第1作動室61および第2作動室62が最大容積となる状態が形成される部位、または、第1作動室61および第2作動室62が最大容積から僅かに減少した容積となる状態が形成される部位に設けられている。
また、給油孔55が設けられる位置は、別の規定をすることも可能である。すなわち、給油孔55は、固定盤51のうち、可動ラップ42または固定ラップ52に設けられた逃がし部44、54の渦巻方向内側の端部441、541を起点として、その起点から渦巻方向の内側と外側に±90°の範囲に設けられる。
以上説明した第5実施形態では、複数の給油孔55から第1作動室61または第2作動室62に供給されるオイルの量を増加させることが可能である。また、この圧縮機1は、冷媒吸入室11から作動室60への冷媒の吸入完了から可動スクロール40が1回転するまでの体積効率に大きな影響を与える工程内で、給油孔55から作動室60に継続してオイルを供給することが可能である。したがって、この圧縮機1は、作動室60から冷媒吸入室11への冷媒の漏れ防止効果を高めることで、冷媒圧縮の体積効率を高めることができる。
(他の実施形態)
本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。また、上記各実施形態は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、上記各実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。また、上記各実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されるものではない。
(1)上記各実施形態では、圧縮機1は、可動ラップ42および固定ラップ52の側面に逃がし部44、54を設ける構成としたが、これに限らない。圧縮機1は、可動ラップ42および固定ラップ52の側面に逃がし部44、54を設けていない構成としてもよい。或いは、圧縮機1は、可動ラップ42および固定ラップ52のいずれか一方の側面に逃がし部44、54を設け、他方の側面に逃がし部44、54を設けない構成としてもよい。
(2)上記各実施形態では、冷凍サイクル100の高圧側の回路を流れる冷媒からオイルセパレータ2によって分離したオイルを給油孔55から作動室60に供給したが、これに限らない。冷凍サイクル100は、低圧側の回路を流れる冷媒からオイルセパレータ2によって分離したオイルを加圧した後、給油孔55から作動室60に供給する構成としてもよい。
(まとめ)
上述の実施形態の一部または全部で示された第1の観点によれば、冷媒を圧縮するスクロール式の圧縮機は、固定スクロール、可動スクロール、作動室および給油孔を備える。固定スクロールは、固定盤、およびその固定盤に設けられる渦巻状の固定ラップを有する。可動スクロールは、固定盤に対向して配置される可動盤、および、その可動盤に設けられる渦巻状の可動ラップを有し、固定ラップと可動ラップとが嵌り合った状態で、固定スクロールに対し公転する。作動室は、固定スクロールと可動スクロールとの間に形成され、可動スクロールの公転に伴う容積の減少により冷媒が圧縮される。給油孔は、固定盤のうち、作動室が最大容積となる状態が形成される部位、または、作動室が最大容積から僅かに減少した容積となる状態が形成される部位に設けられ、作動室にオイルを供給する。
第2の観点によれば、冷媒を圧縮するスクロール式の圧縮機は、固定スクロール、可動スクロール、作動室、逃がし部および給油孔を備える。固定スクロールは、固定盤、およびその固定盤に設けられる渦巻状の固定ラップを有する。可動スクロールは、固定盤に対向して配置される可動盤、および、その可動盤に設けられる渦巻状の可動ラップを有し、固定ラップと可動ラップとが嵌り合った状態で、固定スクロールに対し公転する。作動室は、固定スクロールと可動スクロールとの間に形成され、可動スクロールの公転に伴う容積の減少により冷媒が圧縮される。逃がし部は、可動ラップまたは固定ラップの少なくとも一方の側面の板厚が薄く形成され、固定ラップまたは可動ラップの渦巻方向外側の端部側から渦巻方向の内側に所定範囲で設けられる。給油孔は、可動ラップまたは固定ラップに設けられた逃がし部の渦巻方向内側の端部を起点として、その起点から渦巻方向の内側と外側に±90°の範囲で固定盤に設けられ、作動室にオイルを供給する。
第3の観点によれば、逃がし部は、固定ラップまたは可動ラップの渦巻方向外側の端部側から渦巻方向の内側に260°〜370°の範囲で設けられる。
これにより、逃がし部が設けられた範囲よりも渦巻方向の内側で、固定ラップと可動ラップとが摺接する。したがって、この圧縮機は、製造上の公差により可動ラップと固定ラップとの摺接箇所にばらつきが生じることを防ぐことができる。
第4の観点によれば、作動室は、可動スクロールの径方向外側且つ固定スクロールの径方向内側に形成される第1作動室と、可動スクロールの径方向内側且つ固定スクロールの径方向外側に形成される第2作動室とを含んで構成されている。給油孔は、固定盤のうち第1作動室と第2作動室が形成される部位にそれぞれ設けられる。
これによれば、最外周にある第1作動室と第2作動室から冷媒吸入室側に冷媒が漏れることを抑制することができる。
第5の観点によれば、給油孔は、固定盤のうち第1作動室または第2作動室が形成される部位に複数個設けられる。
これによれば、複数の給油孔から第1作動室または第2作動室に供給されるオイルの量を増加させることが可能である。また、冷媒吸入室から作動室への冷媒の吸入完了から可動スクロールが1回転するまでの工程内で、給油孔から作動室に継続してオイルを供給することが可能となる。したがって、この圧縮機は、作動室から冷媒吸入室への冷媒の漏れ防止効果を高めることで、冷媒圧縮の体積効率を高めることができる。
第6の観点によれば、圧縮機は、吐出口およびオイルセパレータをさらに備える。吐出口は、固定盤のうち作動室が最小容積となる部位に設けられ、冷媒を吐き出す。オイルセパレータは、吐出口から吐き出された冷媒からオイルを分離する。給油孔は、オイルセパレータにより分離されたオイルを作動室内に供給するものである。
これによれば、圧縮機の吐出口から吐き出された冷媒から分離した高圧のオイルを作動室内に供給することで、オイルを加圧するためのポンプなどを使用することなく、作動室にオイルを供給するための構成を簡素にすることができる。
第7の観点によれば、オイルセパレータで冷媒から分離された後にオイルセパレータから給油孔に流れるオイルを放熱させる放熱部さらに備える。
これによれば、オイルセパレータで分離されたオイルを冷却することで、オイルの粘度が高くなる。そのため、その粘度の高いオイルを作動室に供給することで、作動室から冷媒吸入室側に冷媒が漏れることをより防ぐことが可能となる。
また、放熱部は、オイルセパレータの内側の冷媒とオイルの界面でオイルを冷却するものでなく、オイルセパレータで冷媒から分離された後にオイルを冷却するので、オイルの冷媒溶解度を高めることなく、オイルの粘度を高くすることができる。
第8の観点によれば、圧縮機は、可動盤の作動室とは反対側に設けられ、吐出口から吐き出された高圧の冷媒またはその冷媒から分離されたオイルが供給される背圧室をさらに備える。可動スクロールは、背圧室に供給される高圧の冷媒またはオイルの圧力により固定スクロール側へ付勢されている。
これによれば、背圧室に供給される高圧の冷媒またはオイルの圧力により、可動ラップの固定盤側の端面と固定盤との隙間が小さくなり、固定ラップの可動盤側の端面と可動盤との隙間が小さくなる。そのため、給油孔から作動室に供給されたオイルは、可動ラップと固定ラップとの隣接箇所または摺動箇所からの冷媒の漏れを防ぐことに有効に使われる。したがって、この圧縮機は、冷媒圧縮の体積効率を高めることができる。
第9の観点は、圧縮機、オイルセパレータ、放熱器、膨張弁および蒸発器を備える冷凍サイクルである。オイルセパレータは、圧縮機から吐き出された冷媒からオイルを分離する。放熱器は、オイルセパレータから流出した冷媒を放熱させる。膨張弁は、放熱器から流出した冷媒を減圧膨張させる。蒸発器は、膨張弁から流出した冷媒を蒸発させる。圧縮機に設けられた給油孔は、オイルセパレータにより分離されたオイルを作動室に供給するものである。
第10の観点によれば、冷凍サイクルは、オイルセパレータで冷媒から分離された後にオイルセパレータから給油孔に流れるオイルを放熱させる放熱部さらに備える。
これによれば、オイルセパレータで分離されたオイルを冷却することで、オイルの粘度が高くなる。そのため、その粘度の高いオイルを作動室に供給することで、作動室から冷媒吸入室側に冷媒が漏れることをより防ぐことが可能となる。
また、放熱部は、オイルセパレータの内側の冷媒とオイルの界面でオイルを冷却するものでなく、オイルセパレータで冷媒から分離された後にオイルを冷却するので、オイルの冷媒溶解度を高めることなく、オイルの粘度を高くすることができる。
1 圧縮機
40 可動スクロール
41 可動盤
42 可動ラップ
50 固定スクロール
51 固定盤
52 固定ラップ
55 給油孔
60 作動室

Claims (10)

  1. 冷媒を圧縮するスクロール式の圧縮機であって、
    固定盤(51)、および前記固定盤に設けられる渦巻状の固定ラップ(52)を有する固定スクロール(50)と、
    前記固定盤に対向して配置される可動盤(41)、および、前記可動盤に設けられる渦巻状の可動ラップ(42)を有し、前記固定ラップと前記可動ラップとが嵌り合った状態で、前記固定スクロールに対し公転する可動スクロール(40)と、
    前記固定スクロールと前記可動スクロールとの間に形成され、前記可動スクロールの公転に伴う容積の減少により冷媒が圧縮される作動室(60)と、
    前記固定盤のうち前記作動室が最大容積となる状態が形成される部位、または、前記作動室が最大容積から僅かに減少した容積となる状態が形成される部位に設けられ、前記作動室にオイルを供給する給油孔(55)と、を備える圧縮機。
  2. 冷媒を圧縮するスクロール式の圧縮機であって、
    固定盤(51)、および前記固定盤に設けられる渦巻状の固定ラップ(52)を有する固定スクロール(50)と、
    前記固定盤に対向して配置される可動盤(41)、および、前記可動盤に設けられる渦巻状の可動ラップ(42)を有し、前記固定ラップと前記可動ラップとが嵌り合った状態で、前記固定スクロールに対し公転する可動スクロール(40)と、
    前記固定スクロールと前記可動スクロールとの間に形成され、前記可動スクロールの公転に伴う容積の減少により冷媒が圧縮される作動室(60)と、
    前記可動ラップまたは前記固定ラップの少なくとも一方の側面の板厚が薄く形成され、前記可動ラップまたは前記固定ラップの渦巻方向外側の端部側から渦巻方向の内側に所定範囲で設けられる逃がし部(44、54)と、
    前記可動ラップまたは前記固定ラップに設けられた前記逃がし部の渦巻方向内側の端部(441、541)を起点として、その起点から渦巻方向の内側と外側に±90°の範囲で前記固定盤に設けられ、前記作動室にオイルを供給する給油孔(55)と、を備える圧縮機。
  3. 前記逃がし部は、前記固定ラップまたは前記可動ラップの渦巻方向外側の端部(521、421)から渦巻方向の内側に260°〜370°の範囲で設けられる、請求項2に記載の圧縮機。
  4. 前記作動室は、前記可動スクロールの径方向外側且つ前記固定スクロールの径方向内側に形成される第1作動室(61)と、前記可動スクロールの径方向内側且つ前記固定スクロールの径方向外側に形成される第2作動室(62)とを含んで構成されており、
    前記給油孔は、前記固定盤のうち前記第1作動室と前記第2作動室が形成される部位にそれぞれ設けられる、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の圧縮機。
  5. 前記給油孔は、前記固定盤のうち前記第1作動室または前記第2作動室が形成される部位に複数個設けられる、請求項4に記載の圧縮機。
  6. 前記固定盤のうち前記作動室が最小容積となる部位に設けられ、冷媒を吐き出す吐出口(53)と、
    前記吐出口から吐き出された冷媒からオイルを分離するオイルセパレータ(2)と、をさらに備え、
    前記給油孔は、前記オイルセパレータにより分離されたオイルを前記作動室内に供給するものである、請求項1ないし5のいずれか1つに記載の圧縮機。
  7. 前記オイルセパレータで冷媒から分離された後に前記オイルセパレータから前記給油孔に流れるオイルを放熱させる放熱部(8)さらに備える、請求項6に記載の圧縮機。
  8. 前記可動盤の前記作動室とは反対側に設けられ、前記吐出口から吐き出された高圧の冷媒またはその冷媒から分離されたオイルが供給される背圧室(16)をさらに備え、
    前記可動スクロールは、前記背圧室に供給される高圧の冷媒またはオイルの圧力により固定スクロール側へ付勢されている、請求項6または7に記載の圧縮機。
  9. 請求項1ないし5のいずれか1つに記載の前記圧縮機(1)と、
    前記圧縮機から吐き出された冷媒からオイルを分離するオイルセパレータ(2)と、
    前記オイルセパレータから流出した冷媒を放熱させる放熱器(3)と、
    前記放熱器から流出した冷媒を減圧膨張させる膨張弁(4)と、
    前記膨張弁から流出した冷媒を蒸発させる蒸発器(5)と、を備え、
    前記圧縮機に設けられた前記給油孔(55)は、前記オイルセパレータにより分離されたオイルを前記作動室に供給するものである、冷凍サイクル。
  10. 前記オイルセパレータで冷媒から分離された後に前記オイルセパレータから前記給油孔に流れるオイルを放熱させる放熱部(8)さらに備える、請求項9に記載の冷凍サイクル。
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