以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお以下に説明する本実施形態は特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
1.回路装置の構成
図1に本実施形態の回路装置の構成例を示す。図1は本実施形態の回路装置の平面視での回路配置例を示す図である。具体的には、回路装置(半導体チップ)の基板に直交する方向での平面視における回路のレイアウト配置を示す図である。
本実施形態の回路装置は、ブリッジ回路10とアナログ回路28を含む。またドライバー回路18や制御回路20を含むことができる。なお本実施形態の回路装置は図1の構成に限定されず、その構成要素の一部を省略したり、他の構成要素を追加するなどの種々の変形実施が可能である。
ブリッジ回路10は、ハイサイド側のトランジスター(例えば後述する図4のQ1、Q3)とローサイド側のトランジスター(Q2、Q4)を有する。ブリッジ回路10は、駆動対象であるモーター(例えば直流モーター)への駆動電流を出力する回路である。なお、ブリッジ回路10の詳細な構成及び動作については図4等を用いて後述する。また、以下では、回路装置が、モーターを駆動するモータードライバーである場合を例にとり説明するが、本実施形態の回路装置の駆動対象はモーターには限定されず、インダクター(コイル)を有する様々な素子、デバイスを駆動対象とすることができる。
ドライバー回路18は、ブリッジ回路10のプリドライバーである。具体的にはドライバー回路18は、ブリッジ回路10のハイサイド側のトランジスター、ローサイド側のトランジスターの駆動信号を出力する。例えば、ブリッジ回路10のハイサイド側のトランジスターのゲートに第1の駆動信号と第3の駆動信号を出力し、ローサイド側のトランジスターのゲートに第2の駆動信号と第4の駆動信号を出力する。
アナログ回路28は、本実施形態の回路装置においてアナログ信号を処理するための回路である。このアナログ回路28は、後述する図4の検出回路30等を含む。また基準電圧生成回路、バイアス電流生成回路、発振回路等を含むことができる。
制御回路20は、本実施形態の回路装置において例えばデジタル信号(ロジック信号)を処理する回路である。例えば制御回路20は、ブリッジ回路10のハイサイド側のトランジスター及びローサイド側のトランジスターのオン・オフ制御を行う。また回路装置の全体制御のための処理などを行う。
そして本実施形態では、回路装置は、ブリッジ回路10と、少なくとも1つの温度センサー部TSと、過熱検出部OHDを含む。温度センサー部TSは温度検出を行って、温度検出信号を出力する。例えば温度センサー部TSの配置場所での温度の検出を行い、例えば温度に応じて変化する電圧信号を、温度検出信号として出力する。過熱検出部OHDは、温度センサー部TSからの温度検出信号に基づいて過熱検出を行う。例えば、温度検出信号に対応する温度が、過熱状態と判定される温度に達したか否かを判断する。そして過熱状態と判定された場合には、例えばブリッジ回路10のハイサイド側、ローサイド側のトランジスターをオフにする過熱保護動作が行われる。例えば過熱状態と判定された場合には、過熱検出部OHDが、シャットダウン信号(過熱検出信号)を制御回路20に出力し、これを受けた制御回路20が、ブリッジ回路10のハイサイド側、ローサイド側のトランジスターをオフにする制御を行う。
このように本実施形態の回路装置では、温度センサー部TSと過熱検出部OHDを設けることで、ブリッジ回路10に過電流が流れた場合に、これを検知できる。そして、ブリッジ回路10のトランジスターをオフにして、ブリッジ回路10によるモーター等の駆動対象の駆動を停止することで、過熱保護動作を実現する。
ところが、温度センサー部TSによる温度の検出が遅れると、過熱保護動作が行われる前に、過熱により回路装置が破壊してしまうなどの事態が発生するおそれがある。
例えば図2に、本実施形態の比較例における温度センサー部TSの配置例を示す。図2の比較例では、温度センサー部TS及び過熱検出部OHDがアナログ回路28の配置領域に配置されている。即ち、温度センサー部TS及び過熱検出部OHDはアナログ信号を処理するための回路であり、アナログ回路用の電源が供給されて動作する。このため、温度センサー部TS及び過熱検出部OHDは、制御回路20やドライバー回路18の配置領域ではなく、アナログ回路28の配置領域に配置されていた。また、後述するようにブリッジ回路10を構成するハイサイド側やローサイド側のトランジスターは高耐圧トランジスター(DMOS)により実現される。一方、温度センサー部TSを構成する温度検出素子(バイポーラートランジスター、ダイオード等)には高耐圧は要求されない。従って、これまでは、温度センサー部TSが、ブリッジ回路10の配置領域に配置されることはなかった。
一方、モーター等の駆動対象を駆動する回路装置では、高耐圧トランジスターで構成されるブリッジ回路10において大きな電流(例えば数百mA〜数A)が流れる。従って、ブリッジ回路10のトランジスターに不具合が発生して過電流が流れると、この過電流を原因とする過熱で、トランジスターの破壊や信頼性低下などの問題が生じてしまう。
しかしながら、図2の比較例の配置では、温度センサー部TSは、過熱の発生源となる可能性が高いブリッジ回路10から遠い距離に配置されている。従って、ブリッジ回路10に過電流が流れて、過熱状態になった場合にも、温度センサー部TSの温度検出が遅れてしまう。そして、温度検出が遅れると、過熱検出部OHDによる過熱保護動作の開始が遅れてしまい、過電流による過熱により、ブリッジ回路10のトランジスターが破壊等してしまうおそれがある。
そこで本実施形態では、図1に示すように、温度センサー部TSを、ブリッジ回路10に近い距離の位置に配置(レイアウト配置)している。具体的には、温度センサー部TSを、過熱検出部OHDに比べて、ブリッジ回路10に近い位置に配置している。例えば回路装置の基板に直交する平面視において、温度センサー部TSを、過熱検出部OHDに比べて、ブリッジ回路10に、より近い位置に配置する。別の言い方をすれば、温度センサー部TSを、ドライバー回路18に比べて、ブリッジ回路10に近い位置に配置する。
例えば、温度センサー部TSとブリッジ回路10の間の距離をLA1とし、過熱検出部OHDとブリッジ回路10の間の距離をLA2としたとする。この場合に本実施形態では、LA1<LA2となる位置に、温度センサー部TSが配置される。またドライバー回路18とブリッジ回路10の間の距離をLA3とした場合に、LA1<LA3となる位置に、温度センサー部TSが配置される。なお、回路間(ブロック間)の距離は、例えば回路(ブロック)の中心位置間(代表位置間)の距離を用いることができる。中心位置は、例えば回路(ブロック)が四角形(多角形)である場合には例えば4つの頂点(複数の頂点)の中心位置である。
なお図1では、回路装置(半導体チップ)の第1の端辺SD1から、対向する第2の端辺SD2へと向かう方向を、第1の方向DR1とし、第1の方向DR1の反対方向を第2の方向DR2としている。また回路装置の第3の端辺SD3から、対向する第4の端辺SD4へと向かう方向を、第3の方向DR3とし、第3の方向DR3の反対方向を第4の方向DR4としている。第3、第4の方向DR3、DR4は、第1、第2の方向DR1、DR2に交差(直交)する方向である。
この場合に図1では、ブリッジ回路10の第1方向DR1側にドライバー回路18が設けられ、ドライバー回路18の第1の方向DR1側にアナログ回路28が設けられる。またアナログ回路28の第1方向DR1側に、制御回路20が設けられる。そして、温度センサー部TSは、この第1の方向DR1において、過熱検出部OHDに比べてブリッジ回路10に近い位置に配置される。
このように本実施形態では、温度センサー部TSが、ブリッジ回路10から近い位置に配置される。従って、ブリッジ回路10に過電流が流れて、過熱状態になった場合に、ブリッジ回路10から近い位置の温度センサー部TSにより、この過熱状態の温度を短時間で検出できるようになる。そして、過熱検出部OHDによる過熱保護動作を直ぐに開始して、例えばブリッジ回路10のトランジスターをオフにして、過電流が流れるのを停止できるようになる。この結果、ブリッジ回路10に過電流が流れることによる過熱により、回路装置(IC)が破壊されたり、信頼性が低下してしまうなどの事態の発生を効果的に抑制できる。即ち、過熱保護機能を短時間で動作させて、回路装置が破壊等に至る過熱を防止して、モーター等の駆動対象の安定したモーター駆動制御を実現することが可能になる。
また図1では、温度センサー部TSはブリッジ回路10の配置領域に配置される。ここで、温度センサー部TSがブリッジ回路10の配置領域に配置されるとは、例えば、温度センサー部TSの温度検出素子(バイポーラートランジスター、ダイオード等)の周囲の少なくとも二方(或いは三方又は四方)の隣接領域に、ブリッジ回路10を構成するハイサイド側やローサイド側のトランジスターが配置されていることを意味している。即ち、温度センサー部TSの配置位置には、ブリッジ回路10のハイサイド側やローサイド側のトランジスターは形成されておらず、温度検出素子が形成されている。そして、その温度検出素子の周囲(隣接領域)に、ブリッジ回路10のトランジスターが形成される。例えば図1では、温度センサー部TSの配置領域には温度検出素子が形成され、その温度検出素子の例えば第2の方向DR2側や第3方向DR3側や第4の方向DR4側の隣接領域に、ブリッジ回路10のトランジスターが形成されている。
このように温度センサー部TSをブリッジ回路10の配置領域に配置すれば、ブリッジ回路10のトランジスターの過電流による過熱を、最短の時間で検出できるようになる。即ち、この過熱状態の温度を即座に検出して、過熱保護動作を最短の時間で開始できるようになる。従って、過熱によるトランジスターの破壊や信頼性低下をより効果的に抑制することが可能になる。
なお、ブリッジ回路10のハイサイド側やローサイド側のトランジスターは、制御回路20等を構成するトランジスターよりも高耐圧のトランジスターで形成される。具体的にはブリッジ回路10のトランジスターはDMOS(Double-diffused Metal Oxide Semiconductor)構造のトランジスターとなっている。そして温度センサー部TSを、この高耐圧トランジスターのプロセス(DMOSプロセス)により形成する場合には、温度センサー部TSの配置領域には、この高耐圧トランジスターのプロセスによる温度検出素子が形成されることになる。例えば、後述する図19に示すように、高耐圧プロセス(DMOS)を使用した場合に、温度センサー部TSは、DMOS構造のトランジスターのボディダイオードDB(温度検出素子)により、構成してもよい。
また、図1では、ブリッジ回路10の配置領域の内側に温度センサー部TSを配置しているが、図3に示すように、ブリッジ回路10の配置領域の外側(配置領域の周囲)に温度センサー部TSを配置してもよい。例えば図3では、後述する低電位側の電源VSSのパッドPD1、PD2に接続される電源線の下方に、温度センサー部TSが配置されている。このようにブリッジ回路10の外側に温度センサー部TSを配置したとしても、ブリッジ回路10から近い距離に温度センサー部TSを配置すれば、ブリッジ回路10の過電流による過熱を、短い時間で検出することが可能になり、過熱によるトランジスターの破壊や信頼性低下を抑制できる。また図3では、電源VSSの下方に温度センサー部TSが配置されている。従って、温度センサー部TSに対して低インピーダンスで電源VSSを供給できるため、後述するようにノイズによる過熱検出の検出精度の低下を効果的に抑制できる。
また図1において、ブリッジ回路10の配置領域のうち、過熱検出部OHD(ドライバー回路、制御回路)から遠い第1の端辺SB1に沿った領域を、第1の端辺側領域AR1とする。また、過熱検出部OHD(ドライバー回路、制御回路)から近い第2の端辺SB2に沿った領域を、第2の端辺側領域AR2とする。第1の端辺側領域AR1は、ブリッジ回路10の中心位置を基準として第1の方向DR1側の端辺領域である。第2の端辺側領域AR2は、ブリッジ回路10の中心位置を基準として第2の方向DR2側の端辺領域である。これらの第1、第2の各端辺側領域AR1、AR2は、各端辺の内側の所定幅の領域である。
この場合に図1では、温度センサー部TSは第2の端辺側領域AR2に配置される。即ち、ブリッジ回路10の中心位置(代表位置)に対して、第1の方向DR1側の領域に温度センサー部TSが配置されている。
また図1に示すように、回路装置は、低電位側の電源VSS(例えばGND)が供給される低電位側電源のパッドPD1、PD2を有する。例えばパッドPD1は、回路装置(半導体チップ)の第3の端辺SD3に沿ったI/O領域に配置される。パッドPD2は、回路装置の第3の端辺SD3に対向する第4の端辺SD4に沿ったI/O領域に配置される。例えば図1において、パッドPD3は、後述する図4のセンス抵抗RSの一端に電気的に接続するためのパッドであり、ローサイド側のトランジスターQ2、Q4のソースに接続され、電圧VSに設定される。このため回路装置の第1の端辺SD1に沿ったI/O領域には、電源VSSのパッドは配置されておらず、センス抵抗RS用のパッドPD3が配置されている。そして電源VSSのパッドPD1、PD2は、回路装置の第3、第4の端辺SD3、SD4に沿ったI/O領域に配置されている。
なお、パッドPD1、PD2は、低電位側の電源VSSを供給する電源線により接続されている。このVSSの電源線はブリッジ回路10とドライバー回路18の間の領域に配線されている。この電源線の下には、回路装置の基板を基板電位(例えばVSS=GND)に設定するためのガード領域を形成することができる。
そして図1では、温度センサー部TSは、ブリッジ回路10のローサイド側のトランジスターに比べて、低電位側電源VSSのパッドPD1、PD2に近い位置に配置される。例えば、温度センサー部TSとパッドPD1(PD2)との距離をLB1とし、ブリッジ回路10とパッドPD1(PD2)との距離をLB2とした場合に、LB1<LB2となる位置に、温度センサー部TSが配置される。なお図1では、温度センサー部TSは、パッドPD1とPD2から等距離(略等距離)の位置に配置されているが、温度センサー部TSを、パッドPD2に比べてパッドPD1に近い位置に配置したり、パッドPD1に比べてパッドPD2に近い位置に配置してもよい。
後述の図4〜図6に示すように、ブリッジ回路10では、チャージ期間とディケイ期間の切り替え期間において、大きなノイズが発生する。そして、このようなノイズが発生すると、過熱の検出精度が低下する。例えば後述する図7、図8において、温度センサー部TSの温度検出電圧VTDと基準電圧VREFの交わる点が、過熱状態の温度として判定されるが、ブリッジ回路10で大きなノイズが発生すると、過熱判定の検出精度が低下してしまう。例えば温度センサー部TSの温度検出電圧VTDが、ブリッジ回路10のノイズが原因で揺らいでしまうと、過熱判定の検出精度が低下する。従って、温度センサー部TSに対しては、なるべく低インピーダンスで電源VSS(GND)を供給することが望ましい。また、ブリッジ回路10においては、ハイサイド側のトランジスターに比べて、ローサイド側のトランジスターの方が、より大きなノイズの発生源になる。従って、ローサイド側のトランジスターのノイズが、温度センサー部TSになるべく伝達されないようにすることが望まれる。
この点、図1では、温度センサー部TSは、ブリッジ回路10の第2の端辺側領域AR2に配置されている。即ち、電源VSSのパッドPD1、PD2から近い位置に配置されている。従って、温度センサー部TSに対して、低インピーダンスで電源VSS(GND)を供給できる。この結果、ブリッジ回路10で大きなノイズが発生した場合にも、このノイズによる過熱判定の検出精度の低下を最小限に抑えることができ、過熱保護の検出性能を向上できる。また図1では、温度センサー部TSは、ブリッジ回路10の第2の端辺側領域AR2に配置されている。即ち、ハイサイド側のトランジスターに比べて、ローサイド側のトランジスターから遠い位置に配置されている。従って、ローサイド側のトランジスターで大きなノイズが発生しても、このノイズの発生源から遠い位置に温度センサー部TSが配置されているため、当該ノイズが温度センサー部TSに伝達するのを最小限に抑えることできる。この結果、ローサイド側のトランジスターで大きなノイズが発生した場合にも、このノイズによる過熱判定の検出精度の低下を最小限に抑えることができ、過熱保護の検出性能を向上できる。
例えば、前述のように、ローサイド側のトランジスターに近い回路装置の第1の端辺SD1に沿ったI/O領域には、センス抵抗RSの一端に電気的に接続するためのパッドPD3は配置されているが、電源VSSのパッドは配置されていない。従って、温度センサー部TSを、第1の端辺側領域AR1に配置すると、電源VSSを低インピーダンスで供給するのが難しくなる問題があるが、温度センサー部TSを第2の端辺側領域AR2に配置することで、この問題を解消できる。
また本実施形態の回路装置は、ブリッジ回路10のハイサイド側やローサイド側のトランジスターに駆動信号を出力するドライバー回路18を有する。またブリッジ回路10のハイサイド側やローサイド側のトランジスターのオン・オフ制御を行う制御回路20を有する。そして温度センサー部TSは、ドライバー回路18に比べて、ブリッジ回路10に近い位置に配置される。また温度センサー部TSは、制御回路20に比べて、ブリッジ回路10に近い位置に配置される。即ち、ドライバー回路18とブリッジ回路10の距離や制御回路20とブリッジ回路10の距離よりも、温度センサー部TSとブリッジ回路10の距離の方が短くなるように、温度センサー部TSが配置される。このようにすれば、ドライバー回路18や制御回路20よりも、ブリッジ回路10に近い側である第2の方向DR2側に、温度センサー部TSが配置されて、温度センサー部TSとブリッジ回路10の距離を短くできる。従って、ブリッジ回路10での過電流による過熱状態の発生時に、近い距離にある温度センサー部TSによる温度を検出できるため、過熱保護の検出性能を向上でき、適正な過熱保護動作を実現できるようになる。
2.詳細な回路構成例
図4に本実施形態の回路装置の詳細な回路構成例を示す。図4の回路装置は、ブリッジ回路10、ドライバー回路18、制御回路20、検出回路30、過熱保護回路40を含む。なお本実施形態の回路装置は図4の構成に限定されず、その構成要素の一部を省略したり、他の構成要素を追加するなどの種々の変形実施が可能である。
ブリッジ回路10は、ハイサイド側のトランジスターQ1、Q3とローサイド側のトランジスターQ2、Q4を有する。ブリッジ回路10は、モーター100(例えば直流モーター)への駆動電流を出力する回路であり、図4ではHブリッジの回路構成となっている。ハイサイド側のトランジスターQ1、Q3は例えばP型(広義には第1導電型)のトランジスターであり、ローサイド側のトランジスターQ2、Q4は例えばN型(広義には第2導電型)のトランジスターである。ハイサイド側のトランジスターとは、ローサイド側のトランジスターよりも高電位電源側に接続されるトランジスターである。ローサイド側のトランジスターとは、ハイサイド側のトランジスターよりも低電位電源側に接続されるトランジスターである。なおトランジスターQ1、Q2、Q3、Q4の全てがN型のトランジスターであってもよい。またQ1、Q2、Q3、Q4のソース・ドレイン間には図示しないボディダイオード(寄生ダイオード)が存在する。
ハイサイド側のトランジスターQ1、Q3のソースは、高電位側の電源VBB(第1の電源)のノードに接続される。ローサイド側のトランジスターQ2、Q4のソースは、センス抵抗RSの一端が接続されるノードN3に接続される。ノードN3は、例えば、回路装置の端子を介して、外付け部品であるセンス抵抗RSの一端に接続される。
トランジスターQ1のドレインとトランジスターQ2のドレインは、外部のモーター100(広義には駆動対象)の一端に接続されるノードN1に接続される。ノードN1は、回路装置の端子を介して、外部のモーター100の一端に接続される。
トランジスターQ3のドレインとトランジスターQ4のドレインは、モーター100の他端に接続されるノードN2に接続される。ノードN2は、回路装置の端子を介してモーター100の他端に接続される。
検出回路30は、ブリッジ回路10に流れる電流を検出する。例えばセンス抵抗RSの一端の電圧VSを検出することで、チャージ期間でのチャージ電流を検出する。例えば電圧VSと低電位側の電源VSS(例えばGND)の電圧の電圧差(センス抵抗RSの一端の電圧と他端の電圧の電圧差)を検出することで、チャージ電流を検出する。なお検出回路30として、電圧VSとVSSの電圧との電圧差を検出する第1の検出回路と、電圧VSを検出する第2の検出回路を設ける構成としてもよい。
検出回路30は、基準電圧生成回路32とD/A変換回路DACと比較回路CP(コンパレーター)を含む。基準電圧生成回路32は、定電圧の基準電圧VRFを生成する。D/A変換回路DACは、基準電圧VRFを受けて、設定データに基づき可変に変化する基準電圧VRを生成する。比較回路CPは、第1の入力端子(非反転入力端子)に基準電圧VRが入力され、第2の入力端子(反転入力端子)に、センス抵抗RSの一端の電圧である電圧VSが入力され、検出結果信号RQを出力する。例えば後述するようにチョッピング電流は、比較回路CPに入力される基準電圧VRにより決まるため、D/A変換回路DACを用いて基準電圧VRを変化させることで、モーター100のトルクを制御できる。
制御回路20は、検出回路30での検出結果に基づいて、ハイサイド側のトランジスターQ1、Q3及びローサイド側のトランジスターQ2、Q4のオン・オフ制御を行う。具体的には、検出回路30からの検出結果信号RQに基づいて、PWM信号である制御信号IN1、IN2、IN3、IN4を生成する。これらの制御信号IN1、IN2、IN3、IN4によりチャージ期間の長さが制御される。
ドライバー回路18は、制御回路20からの制御信号IN1、IN2、IN3、IN4をバッファリングして、駆動信号DG1、DG2、DG3、DG4をトランジスターQ1、Q2、Q3、Q4のゲートに出力する。ドライバー回路18は、制御信号IN1、IN2、IN3、IN4をバッファリングして駆動信号DG1、DG2、DG3、DG4を出力するプリドライバーPR1、PR2、PR3、PR4を有する。
過熱保護回路40は温度センサー部TSと過熱検出部OHDを有し、過熱保護動作を行う。例えば過熱保護回路40は、温度センサー部TSの温度検出結果に基づいて、温度が過熱保護開始(過熱検出)の設定温度(例えば150度)に達したと判断された場合に、シャットダウン信号STDを制御回路20に出力する。そして、シャットダウン信号STDを受けた制御回路20は、例えばブリッジ回路10のトランジスターQ1〜Q4をオフにする制御を行って、ブリッジ回路10をシャットダウンして、過熱保護を実現する。このようにすることで、何らかの事情により、ブリッジ回路10等での発熱が異常に高くなった場合に、ブリッジ回路10を適切にシャットダウンできるようになる。なお、ブリッジ回路10のQ1〜Q4の各トランジスターのゲート・ソース間に過熱保護用トランジスターを設け、過熱保護開始の設定温度に達したと判断された場合に、これらの過熱保護用トランジスターにオンにすることで、過熱保護動作を実現してもよい。
次に図5(A)、図5(B)を用いて本実施形態の回路装置のブリッジ回路10の動作について説明する。
図5(A)に示すように、チャージ期間では、トランジスターQ1、Q4がオンになる。これにより、高電位側の電源VBBからトランジスターQ1、モーター100(モーターコイル)、トランジスターQ4を介して低電位側の電源VSS(GND)に、チャージ電流ICが流れる。
一方、ディケイ期間では、図5(B)に示すように、トランジスターQ2、Q3がオンになり、電源VSSからトランジスターQ2、モーター100、トランジスターQ3を介して電源VBBに、ディケイ電流IDが流れる。これらのチャージ電流IC、ディケイ電流IDは、いずれもモーター100の正極側端子から負極側端子へと流れることになる。
そして図4に示すように、トランジスターQ2、Q4のソースが接続されるノードN3と電源VSSのノードとの間にはセンス抵抗RSが設けられており、比較回路CPが、ノードN3の電圧VSと基準電圧VRとを比較する。そして図6に示すように、制御回路20は、ブリッジ回路10に流れるチョッピング電流ICPを一定に保つチョッピング動作の制御を行う。具体的には制御回路20は、チョッピング電流ICPが一定になるようにPWM信号(IN1〜IN4)のパルス幅を制御し、そのPWM信号に基づいて、トランジスターQ1〜Q4のオン・オフが制御される。
例えば図6のタイミングt0でモーター100の駆動が開始されると、図5(A)に示すチャージ期間となり、トランジスターQ1、Q4がオンになり、トランジスターQ2、Q3がオフになる。これにより、電源VBBからトランジスターQ1、モーター100、トランジスターQ4を介して電源VSSへと、駆動電流(チャージ電流IC)が流れる。そしてタイミングt1で、モーター100の駆動電流がチョッピング電流ICPに達すると、ディケイ期間TD1に切り替わる。具体的には、駆動電流が大きくなり、ノードN3の電圧VSが基準電圧VRを越えると、比較回路CPの比較結果信号RQがローレベルからハイレベルになり、タイミングt1でディケイ期間TD1に切り替わる。このタイミングt1でのモーター100の駆動電流がチョッピング電流ICPであり、電圧VSの検出によりチョッピング電流ICPが検出されたことになる。
ディケイ期間TD1に切り替わると、図5(B)に示すように、トランジスターQ2、Q3がオンになり、トランジスターQ1、Q4がオフになる。これにより、電源VSSからトランジスターQ2、モーター100、トランジスターQ3を介して電源VBBへと、駆動電流(ディケイ電流ID)が流れる。このディケイ期間TD1では、図6に示すようにモーター100の駆動電流は時間経過とともに減少して行く。
そして制御回路20は、例えばタイマー(カウンター回路)等を用いて、ディケイ期間TD1の開始から所定時間が経過したことを検出し、ディケイ期間TD1からチャージ期間TC1に切り替える。チャージ期間TC1では、モーター100の駆動電流が増加し、チョッピング電流ICPに達すると、再びディケイ期間TD2に切り替わる。以降、これを繰り返すことで、駆動電流のピーク電流であるチョッピング電流ICPが一定になるような制御が行われて、モーター100の回転速度が一定に保たれる。
なお、以上では、ブリッジ回路10がHブリッジ型である場合について説明したが、本実施形態はこれに限定されず、ブリッジ回路10はハーフブリッジ型であってもよい。この場合にはブリッジ回路10としてトランジスターQ3、Q4は設けられず、トランジスターQ1、Q2が設けられることになる。また、以上では、回路装置が、モーター100を駆動するモータードライバーである場合を例にとり説明したが、本実施形態の回路装置の駆動対象はモーター100には限定されず、インダクター(コイル)を有する様々な素子、デバイスを駆動対象とすることができる。また図4ではセンス抵抗RSの一端の電圧VSを検出することで、ブリッジ回路10のトランジスターQ1〜Q4のオン・オフ制御を行う例について説明したが、本実施形態はこれに限定されない。例えばセンス抵抗RSを用いずにブリッジ回路10に流れる電流を検出して、トランジスターQ1〜Q4のオン・オフ制御を行うようにしてもよい。
図4の回路装置では、ブリッジ回路10がチョッピング電流によりモーター100を駆動する際に、ブリッジ回路10を構成するトランジスターQ1〜Q4のドレインには大電流が流れる。この大電流は、チョッピング動作によりオン・オフしたりその流れる向きが反転するため、ブリッジ回路10のトランジスターQ1〜Q4のドレイン電圧は大きく電位変動する。このような電位変動が発生すると、この電位変動がノイズとなって、過熱保護回路40の過熱保護動作に不具合が生じるおそれがある。
例えば図5(B)のディケイ期間では、ディケイ電流IDが、低電位側の電源VSSから、トランジスターQ2、モーター100、トランジスターQ3を介して、高電位側の電源VBBに流れる。従って、ローサイド側のトランジスターQ2のドレイン(ノードN1)に対して、電源VSS(GND)に対して負側の電位となる負電圧が印加されてしまう。このため、N型のトランジスターQ2の領域に形成される寄生ダイオードが順バイアス状態になって、基板の電位が大きく変動するノイズが発生する。このノイズによって、例えば温度センサー部TSが悪影響を受けて、適正な過熱の温度検出を実現できなくなる。即ち、過熱保護開始の設定温度(例えば150度)に達しているのに、過熱保護動作を開始することができなくなり、ブリッジ回路10のトランジスターの破壊や信頼性の低下などの問題を招くおそれがある。
この点、図1では、電源VSSのパッドPD1、PD2に近い位置であり、大きなノイズ源であるローサイド側のトランジスターQ2、Q4から遠い位置に、温度センサー部TSが配置されている。従って、ローサイド側のトランジスターQ2、Q4において大きなノイズが発生した場合にも、それによる温度検出の精度の低下等を最小限に抑えることが可能になり、適正な過熱保護動作を実現できるようになる。
3.過熱保護回路
図7に、過熱保護回路40の詳細な構成例を示す。なお過熱保護回路40は図7の構成に限定されず、その構成要素の一部を省略したり、他の構成要素を追加するなどの種々の変形実施が可能である。例えば図7ではバイポーラートランジスターを用いて温度検出を行っているが、ダイオード等の他の温度検出素子を用いて温度検出を行うようにしてもよい。
図7に示すように、過熱保護回路40は温度センサー部TSと過熱検出部OHDを含む。温度センサー部TSは、電流源IS(電流源回路)と、バイポーラートランジスターBP1、BP2を含む。電流源ISは、高電位側の電源VDDのノードと温度センサー部TSの出力ノードNB1との間に設けられる。バイポーラートランジスターBP1、BP2は、温度センサー部TSの出力ノードNB1と低電位側の電源VSSのノードとの間に直列に設けられる。バイポーラートランジスターBP1、BP2は、そのコレクターとベースが接続されるダイオード接続となっており、例えばCMOSのラテラルバイポーラーにより実現できる。なお、電流源ISは、温度センサー部TSの構成要素であってもよいし、過熱検出部OHDの構成要素であってもよい。即ち、図7において温度センサー部TSは少なくともバイポーラートランジスターBP1、BP2(広義には温度検出素子)を含むものであればよい。
過熱検出部OHDは、比較回路CPB(コンパレーター)と基準電圧生成回路50を含む。比較回路CPBは、その第1の入力端子(+:非反転入力端子)に、温度センサー部TSからの温度検出電圧VTDが入力され、その第2の入力端子(−:反転入力端子)に、基準電圧生成回路50からの基準電圧VREFが入力される。
基準電圧生成回路50は、定電圧源52と抵抗RB1、RB2、RB3とトランジスターTB1を含む。定電圧源52は定電圧VRBを生成する。抵抗RB1、RB2、RB3は、定電圧VRBの供給ノードNB3と電源VSSのノードNB6との間に直列に設けられる。そして、抵抗RB1とRB2の間のノードNB4に生成された基準電圧VREFが、比較回路CPBの第2の入力端子(−)に入力される。
N型のトランジスターTB1は、抵抗RB3の両端のノードNB5、NB6の間に設けられ、そのゲートに比較回路CPBからのシャットダウン信号STDが入力される。シャットダウン信号STDがLレベルの場合には、トランジスターTB1はオフになり、ノードNB4には、基準電圧VREF=VREFH=VRB×{(RB2+RB3)/(RB1+RB2+RB3)}が生成される。シャットダウン信号STDがHレベルの場合には、トランジスターTB1がオンになることで、抵抗RB3がバイパスされ、ノードNB4には、基準電圧VREF=VREFL=VRB×{(RB2/(RB1+RB2)}が生成される。ここでVREFH>VREFLとなるように、抵抗RB1、RB2、RB3の抵抗値が設定されている。
図8は、温度センサー部TSの温度検出電圧VTDと基準電圧VREFの関係を示す図である。図8に示すように、温度検出電圧VTDは温度が上昇すると共に減少し、負の温度特性を有する。バイポーラートランジスターBP1、BP2は、そのコレクターとベースが接続されるダイオード接続となっており、そのベース・エミッター間電圧Ebeは負の温度特性を有する。そして、温度検出電圧はVTD=2×Ebeと表されるため、温度検出電圧VTDも負の温度特性を有する。一方、基準電圧VREFは温度が上昇しても一定となる平坦(フラット)な温度特性を有する。
そして図8では、過熱保護開始の設定温度は例えば150度に設定されており、設定温度=150度よりも低い温度では、温度検出電圧はVTD>VREFとなるため、シャットダウン信号STDは非アクティブ(例えばHレベル)になる。そして温度が設定温度=150度を超えると、VTD<VREFとなるため、シャットダウン信号STDはアクティブ(例えばLレベル)になる。シャットダウン信号STDがアクティブになると、制御回路20はブリッジ回路10の全てのトランジスターQ1〜Q4をオフにするシャットダウン動作を実行する。これにより過熱保護動作が実現される。
なお、シャットダウン信号STDが非アクティブ(Hレベル)の場合には、前述のようにトランジスターTB1がオンになることで、VREF=VREFLになる。一方、シャットダウン信号STDが非アクティブからアクティブ(Lレベル)になると、トランジスターTB1がオフになることで、VREF=VREFH>VREFLになる。このように図7の回路では、温度が過熱保護開始の設定温度を越え、シャットダウン信号STDが非アクティブからアクティブになった場合に、基準電圧VREFがVREFLからVREFHに上昇する。これにより、過熱保護の検出にヒステリシス特性を持たせることができる。このようなヒステリシス特性を持たせることで、一旦、設定温度を超えた後に、雑音等によりシャットダウン信号STDの電圧レベルが上昇したような場合にも、シャットダウン信号STDはアクティブから非アクティブに変化しないようになるため、雑音耐性を向上できる。
4.複数の温度センサー部の配置
図1では1つの温度センサー部が配置されていたが、本実施形態では複数の温度センサー部を回路装置に配置してもよい。例えば図9では、複数の温度センサー部のうちの第1の温度センサー部TS1は、ブリッジ回路10のハイサイド側のトランジスター(Q1、Q3)の配置領域に配置されている。一方、第2の温度センサー部TS2は、ブリッジ回路10のローサイド側のトランジスター(Q2、Q4)の配置領域に配置されている。
このようにすれば、例えばハイサイド側のトランジスターの過電流により過熱状態になった場合には、ハイサイド側のトランジスターに近い位置に配置される温度センサー部TS1により、その過熱状態を短時間で検出できるようになる。一方、ローサイド側のトランジスターの過電流により過熱状態になった場合には、ローサイド側のトランジスターに近い位置に配置される温度センサー部TS2により、その過熱状態を短時間で検出できるようになる。
例えば図1の配置構成では、ローサイド側のトランジスターの過電流により過熱状態になった場合に、ローサイド側のトランジスターから比較的遠い位置に配置される温度センサー部TSにより過熱状態を検出する必要があるため、過熱状態の検出が遅れてしまう事態が生じるおそれがある。この点、図9の配置構成によれば、ローサイド側のトランジスターでの過熱を、より近い距離に配置される温度センサー部TS2により検出できるため、上記のような事態の発生を抑制できる。
また図9のようにハイサイド側のトランジスターの配置領域に温度センサー部TS1を配置し、ローサイド側のトランジスターの配置領域に温度センサー部TS2を配置すれば、各配置領域での温度を個別に検出して、保存することなどが可能になる。例えば、各温度センサー部TS1、TS2による過熱状態の検出結果を、回路装置の図示しない記憶部に保存する。このようにすれば、事後的に、ハイサイド側とローサイド側のトランジスターのいずれの配置領域で、過電流が発生したのかを特定できるようになり、信頼性の向上等の実現が可能になる。
なお図9では、温度センサー部TS1は、図1と同様に第2の端辺側領域AR2に配置されており、温度センサー部TS2は、第1の端辺側領域AR1ではなく、ハイサイド側のトランジスターの配置領域に近い領域AR3に配置されている。このようにすれば、温度センサー部TS1、TS2に対して、より低インピーダンスで電源VSSを供給できるようになるため、ノイズによる過熱の検出精度の低下を効果的に抑制できる。即ち、図8において、温度が過熱保護開始の設定温度付近になっている時に、図7の温度センサー部TSへの電源VSSの供給ノードにノイズが乗ると、設定温度付近において温度検出電圧VTDが揺らいでしまい、過熱の検出精度が低下してしまう問題が発生するおそれがある。この点、上述のように、温度センサー部TSに対して低インピーダンスで電源VSSを供給すれば、このような問題の発生を抑制できる。
図10は、複数の温度センサー部の他の配置例を示す図である。図10では、複数の温度センサー部のうちの第1の温度センサー部TS1は、ブリッジ回路10の配置領域に配置される一方で、第2の温度センサー部TS2は、ブリッジ回路10の配置領域の外側領域に配置されている。具体的には温度センサー部TS2は、アナログ回路28の配置領域に配置されている。
例えば過熱状態の検出を、図8のように絶対的な温度だけで検出しようとすると、検出速度が遅れてしまったり、検出精度に誤差が生じるおそれがある。
この点、図10では、温度センサー部TS1での検出温度と温度センサー部TS2での検出温度の温度差に基づいて、過熱状態の検出を行うことが可能になる。例えば温度センサー部TS1からの第1の温度検出信号と、温度センサー部TS2からの第2の温度検出信号に基づいて、過熱検出を行うことが可能になる。即ち、ブリッジ回路10のトランジスターで過電流が発生した場合には、まずブリッジ回路10の配置領域で温度が上昇し、それに遅れて、アナログ回路28の配置領域において温度が徐々に上昇して行く。従って、温度センサー部TS1での検出温度と温度センサー部TS2での検出温度と温度差を検出することで、効果的な過熱検出を実現できるようになる。即ち、温度センサー部TS1からの第1の温度検出信号と、温度センサー部TS2からの第2の温度検出信号との比較結果に基づいて、過熱検出を行うことが可能になる。そして、このように回路装置の複数の場所の温度差に基づいて過熱検出を行えば、検出速度や検出精度等の向上を期待できるようになり、よりインテリジェントな過熱検出を実現できる。例えば絶対的な温度を検出するのに時間を要する場合にも、相対的な温度差を検出することで、検出速度等の向上を図れるようになる。
図11に別の配置例を示す。図11では、回路装置は、第1のブリッジ回路10に加えて、ハイサイド側のトランジスターとローサイド側のトランジスターとを有する第2のブリッジ回路12を有する。第1のブリッジ回路10は第1のチャンネル用のブリッジ回路であり、第2のブリッジ回路12は第2のチャンネル用のブリッジ回路である。図11では、第1のブリッジ回路10のローサイド側のトランジスターのソースと外部のセンス抵抗とを接続するためのパッドPD3と、第2のブリッジ回路12のローサイド側のトランジスターのソースと外部のセンス抵抗とを接続するためのパッドPD4が配置されている。このように2チャンネルのブリッジ回路10、12を設ければ、1つの回路装置を用いて、同時に2つのモーターを駆動できるようになり、電子機器のコンパクト化や低コスト化を実現できる。また、2チャンネルのブリッジ回路10、12を設けることで、ステッピングモーターの1相駆動やマイクロステップ駆動などの実現も可能になる。
そして図11では、複数の温度センサー部のうちの第1の温度センサー部TS1は、第1のブリッジ回路10の配置領域に配置され、第2の温度センサー部TS2は、第2のブリッジ回路12の配置領域に配置されている。具体的には、温度センサー部TS1は、ブリッジ回路10の第2の端辺SB2側の領域に配置され、温度センサー部TS2は、ブリッジ回路12の第2の端辺SC2側の領域に配置される。
図11の配置例によれば、例えばブリッジ回路10の過電流により過熱状態になった場合には、ブリッジ回路10の配置領域に配置される温度センサー部TS1により、その過熱状態を短時間で検出できるようになる。一方、ブリッジ回路12の過電流により過熱状態になった場合には、ブリッジ回路12の配置領域に配置される温度センサー部TS2により、その過熱状態を短時間で検出できるようになる。また図11の配置例によれば、各ブリッジ回路10、12の配置領域での温度を個別に検出して、保存することなどが可能になる。例えば、各温度センサー部TS1、TS2による過熱状態の検出結果を、回路装置の図示しない記憶部に保存する。このようにすれば、事後的に、第1のチャンネルのブリッジ回路10と第2のチャンネルのブリッジ回路12のいずれの配置領域で、過電流が発生したのかを特定できるようになり、信頼性の向上等を図れる。
図12の更に別の配置例を示す。図12では、複数の温度センサー部のうちの第3の温度センサー部TS3は、第1のブリッジ回路10と第2のブリッジ回路12の間に配置されている。このように、複数の温度センサーTS1、TS2、TS3を、ブリッジ回路10、12の配置領域に分散して配置すれば、ブリッジ回路10、12の配置領域の全体での平均温度等を測定することが可能になる。例えば温度センサー部TS1、TS2、TS3での温度検出電圧の平均化処理等を行って、過熱検出を行うことも可能になる。
また、図12の配置例では、複数の温度センサー部のうちの第4の温度センサー部TS4は、アナログ回路28の領域に配置されている。即ち、温度センサー部TS1、TS2、TS3はブリッジ回路10、12の近くの位置に配置されているのに対して、温度センサー部TS4は、ブリッジ回路10、12から遠く離れた位置に配置されている。このようにすることで、温度センサー部TS4での検出温度と、温度センサー部TS1、TS2、TS3の各々での検出温度との温度差等を用いて、過熱検出を行うことが可能になり、検出精度や信頼性がより高い過熱検出を実現することが可能になる。
図13に更に別の配置例を示す。図13では、温度センサー部TS1、TS2、TS3、TS4については図12と同様の位置に配置されている。そして温度センサー部TS5が、ブリッジ回路10のローサイド側のトランジスターの配置領域に配置され、温度センサー部TS6が、ブリッジ回路12のローサイド側のトランジスターの配置領域に配置されている。
このようにすれば、ブリッジ回路10においては、ハイサイド側のトランジスター(QB1、QB3)の過電流で過熱状態になった場合には、温度センサー部TS1により過熱状態を短時間で検出できる。またローサイド側のトランジスター(QB2、QB4)の過電流で過熱状態になった場合には、温度センサー部TS2により過熱状態を短時間で検出できるようになる。
またブリッジ回路12においては、ハイサイド側のトランジスター(QC1、QC3)の過電流で過熱状態になった場合には、温度センサー部TS3により過熱状態を短時間で検出できる。ローサイド側のトランジスター(QC2、QC4)の過電流で過熱状態になった場合には、温度センサー部TS4により過熱状態を短時間で検出できるようになる。
また図13では、ブリッジ回路10、12の配置領域において、温度センサー部TS1、TS2、TS3、TS5、TS6が更に満遍なく分散されて配置されるようになる。従って、これらの温度センサー部TS1、TS2、TS3、TS5、TS6での温度検出結果の平均化処理等を行うことで、検出精度等の更なる向上を図れるようになる。
図14は、複数の温度センサー部TS1〜TSn(nは2以上の整数)を回路装置に配置した場合の過熱保護回路40の構成例を示す図である。
温度センサー部TS1〜TSnからの温度検出電圧VTD1〜VTDnは、スイッチ素子SW1〜SWnを介して、比較回路CPBの第1の入力端子(+)に入力される。具体的には、スイッチ制御回路60が、スイッチ素子SW1〜SWnのいずれかをオンにすると、オンになったスイッチ素子に接続された温度センサー部からの温度検出電圧が、比較回路CPBの第1の入力端子(+)に入力される。例えばスイッチ素子SW1がオン状態になると、温度センサー部TS1からのVTD1が、温度検出電圧VTDとして比較回路CPBの第1の入力端子に入力され、基準電圧VREFとの比較処理が行われる。またスイッチ素子SW2がオンになると、温度センサー部TS2からのVTD2が、温度検出電圧VTDとして比較回路CPBの第1の入力端子に入力され、基準電圧VREFとの比較処理が行われる。即ち図14では、過熱検出部OHD(比較回路)は、複数の温度センサー部のうちの第1の温度センサー部(TS1)からの第1の温度検出信号(VTD1)と、第2の温度センサー部(TS2)からの第2の温度検出信号(VTD2)に基づいて、過熱検出を行っている。このようにすることで、各温度センサー部(TS1〜TSn)での検出温度が、図8の過熱保護開始の設定温度(150度)を越えたか否かを判断できるようになる。
図15は、図14の詳細な実現構成例を示す図である。図15では、図14の温度センサー部TS1、TS2・・・TSnが、各々、バイポーラートランジスターBP11及びBP21、BP12及びBP22・・・BP1n及びBP2nにより実現される。そしてバイポーラートランジスターBP11、BP12・・・BP1nのコレクターが、スイッチ素子SW1、SW2・・・SWnを介して電流源ISに接続される。即ち、電流源ISは、これらのバイポーラートランジスターBP11及びBP21、BP12及びBP22・・・・BP1n及びBP2nに共用される。この場合に電流源ISは、例えばアナログ回路28の配置領域に配置され、例えば過熱検出部OHDの構成要素とすることができる。
図16(A)は、複数の温度センサー部TS1〜TSnを回路装置に配置した場合の過熱保護回路40の他の構成例を示す図である。
スイッチ回路62は、スイッチ制御回路60のスイッチ制御により、温度センサー部TS1〜TSnのいずれか2つからの温度検出電圧を選択し、温度検出電圧VTDA、VTDBとして出力する。
そして、過熱検出のための相対的な温度差の検出を行う第1の検出モードでは、スイッチ素子SWBがオンになり、スイッチ素子SWC、SWOFがオフになる。そして比較回路CPBは、温度検出電圧VTDAと、温度検出電圧VTDBにオフセット電圧VOFを加算した電圧を比較する。こうすることで、温度検出電圧VTDAに対応する検出温度と、温度検出電圧VTDBに対応する検出温度の差が、所定の温度差(オフセット電圧VOFに対応する温度差)になった場合に、それを検出できるようになる。
例えばスイッチ回路62により、温度センサー部TS1、TS2の温度検出電圧VTD1、VTD2が温度検出電圧VTDA、VTDBとして選択されたとする。この場合には、第1の検出モードでは、温度センサー部TS1での検出温度と温度センサー部TS2での検出温度の差が、所定の温度差になったかを検出できるようになる。これにより、温度差に基づく過熱検出を実現できるようになり、検出速度や検出精度等の向上が可能になる。
一方、絶対的な過熱の温度検出を行う第2の検出モードでは、スイッチ素子SWC、SWOFがオンになり、スイッチ素子SWBがオフになる。またスイッチ回路62は、温度センサー部TS1〜TSnのいずれか1つからの温度検出電圧を選択し、温度検出電圧VTDAとして出力する。そして、比較回路CPBは、温度検出電圧VTDAと、基準電圧生成回路50からスイッチ素子SWC、SWOFを介して入力される基準電圧VREFとの比較処理を行う。こうすることで、図8で説明した絶対的な過熱の温度検出を実現できるようになる。即ち、各温度センサー部TS1〜TSnでの検出温度が、過熱保護開始の設定温度に達したか否かを検出できるようになる。
以上のように図16(A)の構成例を用いた手法によれば、過熱検出部OHDは、第1の温度センサー部(例えばTS1)からの第1の温度検出信号(例えばVTD1)と、第2の温度センサー部(例えばTS2)からの第2の温度検出信号(例えばVTD2)との比較結果に基づいて、過熱検出を行うことが可能になる。即ち、相対的な温度差の検出を行う第1の検出モードでの過熱検出が可能になり、検出速度や検出精度等の向上が可能になる。
この場合に図16(B)のC1、C2、C3に示すように、過熱検出部OHDは、複数の温度センサー部TS1〜TSnから時分割に入力される温度検出信号に基づいて、過熱検出を行うことが望ましい。
例えば図16(B)のC1では、スイッチ回路62が、温度センサー部TS4、TS1からの温度検出電圧(広義には温度検出信号)VTD4、VTD1を、各々、温度検出電圧VTDA、VTDBとして選択する。これにより、過熱検出部OHDの比較回路CPBの第1の入力端子(+)にはVTDA=VTD4が入力され、第2の入力端子(−)にはVTDB=VTD1+VOFが入力される。そして、これらの温度検出電圧VTDA、VTDBの比較処理を行うことで、過熱検出が行われる。即ち、温度センサー部TS4での検出温度と温度センサー部TS1での検出温度との温度差が、オフセット電圧VOFに対応する温度差を越えたか否かが判断され、越えた場合には過熱状態であると判定される。例えば図13おいて、ブリッジ回路10から距離が離れたアナログ回路28の領域に配置された温度センサー部TS4での検出温度と、ブリッジ回路10のハイサイド側トランジスターの領域に配置された温度センサー部TS1での検出温度との温度差が、所定の温度差を越えたか否かが判断される。そして、ブリッジ回路10のハイサイド側のトランジスターで過電流が流れた場合には、温度センサー部TS1での検出温度が、温度センサー部TS4での検出温度よりも、時間的に先に上昇するため、両者の検出温度に温度差が生じる。過熱検出部OHDは、この温度差を検出することで、ブリッジ回路10のハイサイド側のトランジスターの過電流により生じた過熱状態を検出できるようになる。
次に、図16(B)のC2では、スイッチ回路62が、温度センサー部TS4、TS2からの温度検出電圧VTD4、VTD2を、各々、温度検出電圧VTDA、VTDBとして選択する。これにより、過熱検出部OHDの比較回路CPBの第1の入力端子にはVTDA=VTD4が入力され、第2の入力端子にはVTDB=VTD2+VOFが入力される。そして、これらの温度検出電圧VTDA、VTDBの比較処理を行うことで、過熱検出が行われる。例えば図13おいて、アナログ回路28の領域に配置された温度センサー部TS4での検出温度と、ブリッジ回路12のハイサイド側トランジスターの領域に配置された温度センサー部TS2での検出温度との温度差が、所定の温度差を越えたか否かが判断される。そして、ブリッジ回路12のハイサイド側のトランジスターで過電流が流れた場合には、温度センサー部TS2での検出温度が、温度センサー部TS4での検出温度よりも、時間的に先に上昇するため、両者の検出温度に温度差が生じる。過熱検出部OHDは、この温度差を検出することで、ブリッジ回路12のハイサイド側のトランジスターの過電流により生じた過熱状態を検出できるようになる。
次に、図16(B)のC3では、スイッチ回路62が、温度センサー部TS4、TS5からの温度検出電圧VTD4、VTD5を、各々、温度検出電圧VTDA、VTDBとして選択する。これにより、過熱検出部OHDの比較回路CPBの第1の入力端子にはVTDA=VTD4が入力され、第2の入力端子にはVTDB=VTD5+VOFが入力される。そして、これらの温度検出電圧VTDA、VTDBの比較処理を行うことで、過熱検出が行われる。例えば図13おいて、アナログ回路28の領域に配置された温度センサー部TS4での検出温度と、ブリッジ回路10のローサイド側トランジスターの領域に配置された温度センサー部TS5での検出温度との温度差が、所定の温度差を越えたか否かが判断される。そして、ブリッジ回路10のローサイド側のトランジスターで過電流が流れた場合には、温度センサー部TS5での検出温度が、温度センサー部TS4での検出温度よりも、時間的に先に上昇するため、両者の検出温度に温度差が生じる。過熱検出部OHDは、この温度差を検出することで、ブリッジ回路10のローサイド側のトランジスターの過電流により生じた過熱状態を検出できるようになる。
以上のように、回路装置に複数の温度センサー部を配置し、これらの温度センサー部から時分割に入力された温度検出信号の比較処理を行うことで、回路装置の異なる場所での温度差等に基づく過熱検出が可能になり、過熱検出の検出精度や検出速度の向上を図れるようになる。
5.DMOS
本実施形態では、ブリッジ回路10を構成するトランジスターQ1〜Q4として、DMOS(Double-diffused Metal Oxide Semiconductor)構造のトランジスターを用いている。また、ロジック回路20、アナログ回路28等を構成するトランジスターとしては、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)構造のトランジスターを用いている。
図17に、ローサイド側のトランジスター(Q2、Q4)の断面構造の例を示す。この例では、P型のシリコン基板上に、ローサイド側のトランジスターとしてDMOS構造のN型トランジスターが形成される。
具体的には、P型基板(Psub)にN型埋め込み層(NBLA)を形成し、その埋め込み層の上にP型エピタキシャル層を形成し、そのエピタキシャル層にN型ウェル(NWLC)を形成する。N型ウェルの上にN型拡散層を形成して、DMOS構造のN型トランジスターのドレインを形成する。また、N型ウェルの上にP型ウェル(PBDA)を形成し、そのP型ウェルの上にN型拡散層を形成して、DMOS構造のN型トランジスターのソースを形成する。ここでP型ウェル(PBDA)は、ソースに接続されたP型拡散層によりソース電圧と同電位に設定される。
またP型基板(Psub)は、VSSの電圧(GND)に設定される。DMOS構造のN型トランジスターのドレインは、N型領域(N型拡散層)に接続され、その下のN型層(NWLC、NBLA)を介してP型基板に接するので、ドレインとP型基板との間には寄生ダイオードDp1が生じている。
図18に、ハイサイド側のトランジスター(Q1、Q3)の断面構造の例を示す。この例では、P型のシリコン基板上に、ハイサイド側のトランジスターとしてDMOS構造のP型トランジスターが形成される。
具体的には、P型基板(Psub)にN型埋め込み層(NBLA)を形成し、その埋め込み層の上にP型エピタキシャル層を形成し、そのエピタキシャル層にN型ウェル(NWLC)を形成する。N型ウェルの上にP型ウェル(PDPM)を形成し、そのP型ウェルの上にP型拡散層を形成して、DMOS構造のP型トランジスターのドレインを形成する。また、N型ウェル(NWLC)の上に更にN型ウェル(NWLB)を形成し、そのN型ウェルの上にN型拡散層とP型拡散層を形成して、DMOS構造のP型トランジスターのソースを形成する。ここでN型ウェル(NWLB)は、ソースに接続されたN型拡散層によりソース電圧と同電位に設定される。
またP型基板(Psub)はVSSの電圧(GND)に設定される。その上のN型領域(N型層NWLC、NBLA)は、ソースのN型ウェル(NWLB)を介して電源電圧VBBに設定される。ドレインはP型領域(P型拡散層)に接続され、その下のP型層(PDPM)を介してN型領域に接するので、ドレインとN型領域との間には寄生ダイオードDp2が生じている。
以上のように本実施形態では、図17、図18に示すように、ブリッジ回路10(12)のハイサイド側のトランジスターとローサイド側のトランジスターとして、DMOS構造のトランジスターを用いている。この場合に本実施形態では、温度センサー部TSを、DMOS構造のトランジスターのボディダイオードにより形成することができる。即ち、温度センサー部TSの温度検出素子を、DMOS構造のトランジスターのボディダイオードにより実現する。
例えば図19は、図17と同様にDMOS構造のN型のトランジスターの断面図に相当する。そして図19のA1に示すように、このトランジスターTRのゲートとソースを接続し、トランジスターTRのソースとドレインの間に形成されるボディダイオードDBを、温度センサー部TSの温度検出素子として用いる。
即ち図19において、トランジスターTRのゲートとソースを接続することで、このトランジスターTRのチャネルは形成されないようになり、このソース及びゲートは、ボディダイオードDBのアノード(A)になる。一方、トランジスターTRのドレインは、ボディダイオードDBのカソード(K)になり、アノードからカソードへの方向が順方向となるボディダイオードDBが形成される。別の言い方をすれば、P型拡散層を介してソースに電気的に接続されるP型領域(PBDA)がアノードになり、N型拡散層を介してドレインに電気的に接続されるN型領域(NWLC、NBLA)がカソードになるボディダイオードDBが形成される。
このボディダイオードDBは、図8と同様に負の温度特性を有する。従って、図7のバイポーラートランジスターBP1、BP2の代わりに、DMOS構造のトランジスターTRのボディダイオードDBを用いることで、過熱検出のための温度センサー部TSの温度検出素子を実現できるようになる。
6.電子機器
図20に、本実施形態の回路装置200(モータードライバー)が適用された電子機器の構成例を示す。電子機器は、処理部300、記憶部310、操作部320、入出力部330、回路装置200、これらの各部を接続するバス340、モーター280を含む。以下ではモーター駆動によりヘッドや紙送りを制御するプリンターを例にとり説明するが、本実施形態はこれに限定されず、種々の電子機器に適用可能である。
入出力部330は例えばUSBコネクターや無線LAN等のインターフェースで構成され、画像データや文書データが入力される。入力されたデータは、例えばDRAM等の内部記憶装置である記憶部310に記憶される。操作部320により印刷指示を受け付けると、処理部300は、記憶部310に記憶されたデータの印刷動作を開始する。処理部300は、データの印刷レイアウトに合わせて回路装置200(モータードライバー)に指示を送り、回路装置200は、その指示に基づいてモーター280を回転させ、ヘッドの移動や紙送りを行う。
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義または同義な異なる用語(第1導電型、第2導電型、駆動対象、温度検出素子、温度検出信号等)と共に記載された用語(P型、N型、モーター、バイポーラートランジスター、温度検出電圧等)は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また本実施形態及び変形例の全ての組み合わせも、本発明の範囲に含まれる。また回路装置の構成、動作及び配置構成等も、本実施形態で説明したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。