以下に、本発明の実施の形態について、添付の図面を参照して説明する。
<システムの構成>
本実施形態に係る位置情報管理システムの構成について説明する前に、基本的な位置情報管理システムの構成について説明する。
図1は、一実施形態に係る位置情報管理システムの構成例を示す図である。図1(a)は、基本的な位置情報管理システム100の構成の一例を示している。図1(a)において、位置情報管理システム100は、複数の出力装置101−1、101−2、101−3、・・・、管理サーバ102、ゲートウェイ103、及び移動装置104等を有する。
なお、以下の説明の中で、複数の出力装置101−1、101−2、101−3、・・・のうち、任意の出力装置を示す場合、「出力装置101」を用いる。また、図1(a)に示す出力装置101、ゲートウェイ103、及び移動装置104等の数は一例である。
複数の出力装置101は、例えば、建物107の天井等の互いに異なる位置に設置され、音波を識別するための識別情報(以下、音波IDと呼ぶ)を含む音波を、互いに異なる領域に対して出力する音波出力装置である。また、複数の出力装置101は、ゲートウェイ103と所定の無線ネットワークを形成しており、ゲートウェイ103を介して、管理サーバ102と通信可能である。
図1(a)の例では、出力装置101−1は、音波を出力するスピーカを有しており、出力装置101−1が出力する音波を識別するための音波ID「ID0001」を含む音波を出力している。同様に、出力装置101−2は、出力装置101−2が出力する音波を識別するための音波ID「ID0002」を含む音波を出力している。さらに、出力装置101−3は、出力装置101−3が出力する音波を識別するための音波ID「ID0003」を含む音波を出力している。
好ましくは、各出力装置101は、所定の周波数より周波数が高い非可聴音領域(例えば、16kHz〜20kHzの周波数)で、音波IDを含む音波を出力する。音波は、高い周波数ほど指向性が高く、16kHz以上の周波数は人間にはほとんど聞こえないため、非可聴音領域の音波は、所定の範囲に向けて音波IDを出力するために好適である。
図1(b)は、複数の出力装置101が出力する音波により形成される複数の領域の一例を示す図である。図1(b)は、図1(a)に示す建物107を上面から見た状態を示している。図1(b)において、出力装置101−1は、領域111−1に対して音波ID「0001」を含む音波を出力している。同様に、出力装置101−2は、領域111−2に対して、音波ID「ID0002」を含む音波を出力し、出力装置101−3は、領域111−3に対して、音波ID「ID0003」を含む音波を出力している。
図1(a)に戻り、位置情報管理システム100のシステム構成の説明を続ける。
管理サーバ(情報処理装置)102は、例えば、インターネットやLAN(Local Area Network)等のネットワーク106に接続された、例えば、PC(Personal Computer)等の情報処理装置、又は複数の情報処理装置を含むシステムである。
管理サーバ102は、ネットワーク106、及びゲートウェイ103を介して複数の出力装置101と通信可能であり、複数の出力装置101によって形成される複数の領域の情報や、各領域に対応する音波ID等の情報を管理する。また、管理サーバ102は、出力装置101が出力した音波ID取得した移動装置104から、取得した音波IDと移動装置104の識別情報とを含む情報を取得すると、移動装置104の位置を特定し、移動装置104の位置情報として管理する。さらに、管理サーバ102は、例えば、各出力装置101が出力する音波IDを含む音波の出力を制御する。
ゲートウェイ103は、ネットワーク106を介して管理サーバ102と接続されており、また、複数の出力装置101と共に無線ネットワークを形成している。ゲートウェイ103は、ゲートウェイ103が提供する無線ネットワークに接続された複数の出力装置101と、管理サーバ102との間のデータの転送(中継)を行う。また、ゲートウェイ103は、必要に応じて、ネットワーク106と、無線ネットワークとのプロトコル変換を行う。
移動装置104は、位置情報管理システム100が位置情報を管理する対象となる装置であり、無線通信により、ネットワーク106に接続して管理サーバ102と通信可能である。移動装置104は、例えば、利用者105が所持している、スマートフォン、携帯電話、タブレット端末等の汎用の情報端末であっても良いし、利用者105が身に付けるウェアラブル端末等であっても良い。さらに、移動装置104は、移動可能な様々な物体、例えば、荷物、台車、ロボット等や、移動可能な物体に取り付けられる端末装置等であっても良い。
移動装置104は、所定のプログラムを実行することにより、内蔵されたマイクロフォン等を用いて出力装置101が出力する音波を取得し、取得した音波に含まれる音波IDを抽出する。また、移動装置104は、抽出された出力装置101の音波IDと、移動装置104を識別するための識別情報(以下、移動装置IDと呼ぶ)とを含む取得情報を管理サーバ102に送信する。
管理サーバ102は、移動装置104から送信された取得情報に含まれる移動装置IDと、音波IDとに基づいて、移動装置104の位置(例えば、領域、位置座標等)を特定し、移動装置104の位置情報として、記憶部に記憶して管理する。
上記の構成により、管理サーバ102は、移動装置104の位置情報を管理する。
上記の構成では、移動装置104の位置情報の検出精度は、出力装置101が出力する音波によって形成される領域(例えば、領域111−1〜111−3等)によって決まる。従って、図1に示す位置情報管理システム100では、移動装置104位置情報の検出精度を向上させるためには、例えば、出力装置101が出力する音波の出力レベルを下げて音波信号の到達範囲を狭くし、より多くの出力装置101を設置しなければならない。
続いて、上記のような問題を解決する本実施形態に係る位置情報管理システムについて説明する。
[第1の実施形態]
図2は、第1の実施形態に係る位置情報管理システムの構成例を示す図である。図2に示す位置情報管理システム100は、複数の出力装置201a〜201f、移動装置202、管理サーバ102、及びゲートウェイ103等を有する。なお、図2に示す位置情報管理システム100の基本的な構成は、図1に示す一実施形態に係る位置情報管理システム100と同様なので、ここでは図1に示す構成との相違点を中心に説明を行う。
なお、以下の説明の中で、複数の出力装置201a〜201fのうち、任意の出力装置を示す場合、「出力装置201」を用いる。また、図2に示す出力装置201、ゲートウェイ103、及び移動装置202等の数は一例である。
出力装置201は、例えば、建物内の会議室、教室、作業スペース、売場等の部屋204の隣接する2辺に沿って所定の間隔で設置され、音波を識別するための音波IDを含む音波を所定の方向に出力する音波出力装置である。
好ましくは、各出力装置201は、所定の周波数より周波数が高い非可聴音領域(例えば、16kHz〜20kHzの周波数)で、音波IDを含む音波を出力する。
本実施形態に係る出力装置201は、例えば、図1に示す出力装置101より指向性が強い音波を出力し、複数の出力装置201a〜201fにより、例えば、図3に示すような複数の領域を形成するように配置されている。
図3は、第1の実施形態に係る複数の領域の一例を示す図である。図3において、出力装置201a〜201cは、部屋204の北側の壁面に沿って設置され、南側に向けて音波IDを含む音波を出力しているものとする。例えば、出力装置201aは、出力装置201aの音波の出力範囲301aに向けて、音波ID「ID000a」を含む音波を出力している。また、出力装置201bは、出力装置201bの音波の出力範囲301bに向けて、音波ID「ID000b」を含む音波を出力している。さらに、出力装置201cは、出力装置201cの音波の出力範囲301cに向けて、音波ID「ID000c」を含む音波を出力している。
また、図3において、出力装置201d〜201fは、部屋204の西側の壁面に沿って設置され、東側に向けて音波IDを含む音波を出力しているものとする。例えば、出力装置201dは、出力装置201dの音波の出力範囲301dに向けて、音波ID「ID000d」を含む音波を出力している。また、出力装置201eは、出力装置201eの音波の出力範囲301eに向けて、音波ID「ID000e」を含む音波を出力している。さらに、出力装置201fは、出力装置201cの音波の出力範囲301fに向けて、音波ID「ID000f」を含む音波を出力している。
上記の構成により、図3において、位置情報を計測する領域である位置情報計測エリア300内に、9個の領域AD、AE、AF、BD、BE、BF、CD、CE、CFが形成されている。
例えば、出力装置201a(第1の出力装置)は、領域AD(所定の領域)に向けて、音波ID「ID000a」(第1の識別情報)を含む音波(第1の音波)を出力する。また、出力装置201d(第2の出力装置)は、領域ADに向けて、音波ID「ID000d」(第2の識別情報)を含む音波(第2の音波)を出力する。これにより、領域ADに位置する移動装置202は、移動装置202に内蔵されるマイク等を用いて、音波ID「ID000a」を含む音波と、音波ID「ID000d」を含む音波とを取得することができる。
同様に、移動装置20は、他の領域AE、AF、BD、BE、BF、CD、CE、CFにおいても、北側(第1の方向の一例)から出力される音波IDを含む音波と、西側(第2の方向の一例)から出力される音波IDを含む音波とを取得することができる。
移動装置202は、所定の領域(例えば領域AD)において、第1の方向(例えば北側)から出力される第1の音波に含まれる第1の音波ID、及び第2の方向(例えば西側)から出力される第2の音波に含まれる第2の音波IDを取得する。
好ましくは、移動装置202は、互いに異なる方向から複数の音波を取得する手段を有し、取得した複数の音波の各々に含まれる音波IDを取得することができる。これは、音波の特性として、同じ周波数帯に2つの異なる音波(例えば、第1の音波と第2の音波)が出力されると、信号レベルが低い方の音波がマスクされてしまう場合があるためである。互いに異なる方向から複数の音波(例えば、3つ以上の音波)を取得し、音波IDを取得することにより、信号レベルが低い方の音波がマスクされてしまうという問題を低減させることができる。
移動装置202は、例えば、領域ADで取得した2つの音波IDと、移動装置202の移動装置IDとを含む取得情報を管理サーバ102に送信する。
また、管理サーバ102は、例えば、図3に示すような、複数の領域AD、AE、AF、BD、BE、BF、CD、CE、CFの情報と、各領域に出力される2つの音波IDとを対応付けた領域情報を、記憶部に記憶して管理する。この領域情報には、例えば、第1の音波ID(例えば、「ID000a」)及び第2の音波ID(例えば、「ID000d」)と対応付けて、所定の領域(例えば、領域AD)の情報(領域名、位置座標等)が記憶されている。
管理サーバ102は、移動装置202から受信した2つの音波ID、移動装置202の移動装置ID、及び記憶部に記憶した領域情報を用いて、移動装置202が、領域ADに位置することを特定する。
別の一例として、上記の領域情報は、移動装置202が有しているものであっても良い。これにより、移動装置202は、管理サーバ102によらずに、例えば、領域ADで取得した2つの音波IDを用いて、移動装置20が領域ADに位置することを特定することができるようになる。
なお、図2、3に示す位置情報管理システム100のシステム構成は一例であり、本実施形態に係る位置情報管理システム100は、様々なシステム構成が可能である。
例えば、図3において、所定の領域(例えば、領域BE)に移動装置202があるか否かを判断したい場合、位置情報管理システム100は、出力装置201bと出力装置201eとを有していれば良い。
また、音波が出力される方向(第1の方向、及び第2の方向)は、北、西に限られず、他の方向であっても良い。例えば、第1の方向、及び第2の方向は、北を0°とし、時計回りの角度で示される他の方向(例えば、10°、20°、・・・等)であっても良いし、第1の方向と第2の方向とは、必ずしも直交していなくても良い。
さらに、例えば、出力装置201aが、音波ID「ID000a」を含む第1の音波を出力する音波の出力範囲301aは、複数の出力装置201aの組合せによって形成されるものであっても良い。
<ハードウェア構成>
続いて、本実施形態に係る出力装置201、管理サーバ102、ゲートウェイ103、及び移動装置202のハードウェアの構成について説明する。
(出力装置の外観)
図4は、第1の実施形態に係る出力装置の外観の例を示す図である。
図4(a)は、出力装置201の斜視図を示している。出力装置201は、例えば、開口面401を有する筐体(衝立ユニット)402、及び出力装置201を部屋204の壁面等に取り付けするための複数の取付部403を有している。
図4(b)は、出力装置201を、開口面401の方向から見た上面図を示している。出力装置201は、開口面401に対向する底面404に、音波を出力するスピーカ405が取り付けられている。
本実施形態に係る出力装置201は、例えば、16kHz以上の周波数の指向性が強い音波を用いるが、図4に示すように、筐体(衝立ユニット)402等により、音波の広がりをさらに抑制することができる。
上記の構成により、例えば、図4(a)に示す出力装置201は、スピーカ405から出力される音波を、開口面401に対して垂直に、上方向に向けて出力する。
(出力装置のハードウェア構成)
図5は、第1の実施形態に係る出力装置のハードウェア構成の例を示す図である。出力装置201は、例えば、CPU(Central Processing Unit)501、RAM(Random Access Memory)502、フラッシュROM(Read Only Memory)503、無線通信部504、音波処理部505、マイク506、増幅部507、スピーカ405、RTC(Real Time Clock)及びバス509等を有する。
CPU501は、フラッシュROM503等に格納された出力装置201用のプログラムを実行することにより、出力装置201の各機能を実現する演算装置である。RAM502は、CPU501のワークエリア等として用いられる揮発性のメモリである。フラッシュROM503は、出力装置201用のプログラム、出力装置201の識別情報である出力装置ID、音波ID等の様々な情報を記憶する不揮発性のメモリである。
無線通信部504は、ゲートウェイ103と無線通信を行うための無線通信装置であり、例えば、送受信回路、アンテナ、制御回路等が含まれる。本実施形態では、無線通信部504は、例えば、無線LAN、Zigbee(登録商標)、又は、920MHz帯の特定省電力無線(IEEE802.15.4g)等、各種の無線通信方式の無線部を適用することができる。
音波処理部505は、CPU501の制御に従って、例えば、音波IDを含む音波を生成する音波処理を行う。例えば、音波処理部505は、CPU501の制御に従って、音波IDを含む音波を、音声周波数帯域のうち、例えば、16kHz以上の非可聴音領域で生成する。
なお、本実施形態では、具体的な音波によるデータ転送方法について、特に限定しないが、例えば、所定の周波数の音波に、FSK(Frequency Shift Keying)や、PSK(Phase Shift Keying)等の公知の変調をかけて、情報を伝送することができる。
或いは、音波によるデータ転送方法は、所定の周波数(例えば、19kHz)の音波をオン/オフさせることにより、デジタル値の「1」/「0」を表すもの等であっても良い。この場合、音波を受信した移動装置104は、例えば、所定のサンプリングレートで予め定められた周波数の有無を判断することにより、音波に含まれる情報を取得することができる。
なお、音波処理部505は、音声処理用の集積回路等で実現されるものであっても良いし、DSP(Digital Signal Processor)等で実現されるものであっても良い。或いは、音波処理部505は、CPU501で動作するプログラムによって実現されるものであっても良い。
マイク506は、マイクロフォン等の収音素子であり、取得した音波を電気信号に変換する。なお、出力装置201は、マイク506を有していなくても良い。
増幅部507は、スピーカ405に出力する音波信号を増幅する音波増幅器である。
スピーカ405は、増幅部507から出力される音波信号を音波に変換して出力するスピーカである。なお、スピーカ405は、図4(b)に示すスピーカ405に対応している。
RTC508は、出力装置201の電源が切られている間も、バッテリバックアップにより計時を行い、例えば、CPU501からの要求に応じて時刻情報を提供する集積回路である。なお、出力装置201の時刻情報は、CPU501が計時するものであっても良い。
バス509は、上記の各構成要素に接続され、アドレス信号、データ信号、及び各種制御信号等を伝送する。
(管理サーバのハードウェア構成)
図6は、第1の実施形態に係る管理サーバのハードウェア構成例を示す図である。管理サーバ102は、一般的なコンピュータの構成を有しており、例えば、CPU601、RAM602、ROM603、ストレージ部604、外部I/F(Interface)605、入力部606、表示部607、ネットワークI/F608、バス609等を含む。
CPU601は、ROM603やストレージ部604等に格納されたプログラムやデータをRAM602上に読み出し、処理を実行することで、管理サーバ102の各機能を実現する演算装置である。RAM602は、CPU601のワークエリア等として用いられる揮発性のメモリである。ROM603は、電源を切ってもプログラムやデータを保持することができる不揮発性のメモリである。
ストレージ部604は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)や、SSD(Solid State Drive)等のストレージ装置であり、OS(Operation System)、アプリケーションプログラム、及び各種データ等を記憶する。
外部I/F605は、外部装置とのインタフェースである。外部装置には、例えば、記録媒体610等が含まれる。管理サーバ102は、外部I/F605を介して、記録媒体610の読取り及び/又は書き込みを行うことができる。記録媒体610には、例えば、光学ディスク、磁気ディスク、メモリカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ等が含まれる。また、記録媒体610に所定のプログラムを格納し、この記録媒体610に格納されたプログラムを外部I/F605を介して、管理サーバ102にインストールすることにより、管理サーバ102は所定のプログラムを実行することができる。
入力部606は、マウス等のポインティングデバイスや、キーボード等、管理サーバ102に各操作信号を入力するのに用いられる入力デバイスである。表示部607はディスプレイ等、管理サーバ102による処理結果等を表示する表示デバイスである。
ネットワークI/F608は、管理サーバ102をネットワーク106に接続するための、例えば、有線/無線LAN等の通信インタフェースである。管理サーバ102はネットワークI/F608を介して、他の機器とネットワーク106を介して通信を行うことができる。
バス609は、上記各構成要素に接続され、アドレス信号、データ信号、及び各種制御信号等を伝送する。
(ゲートウェイのハードウェア構成例)
図7は、第1の実施形態に係るゲートウェイのハードウェア構成例を示す図である。ゲートウェイ103は、例えば、CPU701、RAM702、ROM703、無線通信部704、ネットワークI/F705、及びバス706を有する。
CPU701は、ROM703等に格納されたプログラムを実行することにより、ゲートウェイ103の各機能を実現する演算装置である。RAM702は、CPU701のワークエリア等として用いられる揮発性のメモリである。ROM703は、ゲートウェイ103のプログラム等を記憶する不揮発性のメモリである。ROM703は、例えば、フラッシュROM、EEPROM等の書き換え可能な不揮発性メモリであっても良い。
無線通信部704は、例えば、前述した出力装置201の無線通信部504と同じ無線通信方式により無線通信を行うための無線通信装置であり、例えば、送受信回路、アンテナ、制御回路等が含まれる。
ネットワークI/F705は、ゲートウェイ103をネットワーク106に接続する、例えば、無線/有線LAN等の通信インタフェースである。
バス706は、上記の各構成要素に接続され、アドレス信号、データ信号、及び各種制御信号等を伝送する。
(移動装置のハードウェア構成)
図8は、第1の実施形態に係る情報端末のハードウェア構成例を示す図である。移動装置202は、一般的なコンピュータの構成を含み、例えば、CPU801、RAM802、ROM803、ストレージ部804、通信I/F805、複数のマイク806、音声信号処理部807、スピーカ808、表示入力部809、及びバス810等を有する。
CPU801は、ROM803やストレージ部804等に格納されたプログラムやデータをRAM802上に読み出し、処理を実行することで、移動装置202の各機能を実現する演算装置である。RAM802は、CPU801のワークエリア等として用いられる揮発性のメモリである。ROM803は、電源を切ってもプログラムやデータを保持することができる不揮発性のメモリである。
ストレージ部804は、例えば、HDD、SSD、フラッシュROM等のストレージ装置であり、OS、アプリケーションプログラム、及び各種データ等を記憶する。
通信I/F805は、例えば、3G(3rd. Generation)、LTE(Long Term Evolution)等の移動通信網や、無線LAN等の通信方式に対応した通信インタフェースである。移動装置202は、通信I/F805を介して、ネットワーク106に接続して管理サーバ102等とデータ通信を行うことができる。
複数のマイク806は、マイクロフォン等の収音素子であり、取得した音波を音波信号に変換する。
音声信号処理部807は、複数のマイク806が取得する音波信号を処理する回路又はプロセッサであり、例えば、複数のマイク806を用いて、ビームフォーミングを行うための信号処理を実行する。音声信号処理部807の機能は、CPU801で実行されるプログラム等によって実現されるものであっても良い。
好適な一例として、複数のマイク806は、例えば、MEMS(Micro Electronics Mechanical System)マイクロフォン等によって構成される。また、複数のマイク806、及び音声信号処理部807は、1つのマイクモジュール811等に含まれているものであっても良い。
ここで、マイクモジュール811の一例について説明する。
図9は、第1の実施形態に係るマイクモジュールの一例について説明するための図である。図9(a)の例では、マイクモジュール811は、所定の位置に配置された4つのMEMSマイク901を有する。各MEMSマイク901は、マイク部902で音波を取得することができる。
マイクモジュール811は、4つのマイク部902がアレイ状に配置され、例えば、図9(b)に示すように、マイクモジュール811を中心とした360°方向の複数の音波に対して、ビームフォーミングを行うことができる。
ビームフォーミングは、複数のマイクを含むマイクアレイを用いて、マイクアレイの指向性を制御する既知の技術(例えば、特許文献2参照)である。本実施形態に係る移動装置202は、一例として、マイクモジュール811を用いて、既知のビームフォーミング技術により、互いに異なる方向から複数の音波を取得することができるものとする。
なお、図9に示すマイクモジュール811は、好適な一例であり、移動装置202は、例えば、複数の異なる方向に向けて設けられた複数のマイク806を用いて、複数の音波を取得するもの等であっても良い。
図8に戻り、移動装置202のハードウェア構成の説明を続ける。
スピーカ808は、音波信号を音波に変換して出力するデバイスである。なお、移動装置202は、スピーカ808を有していなくても良い。
表示入力部809は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)等の表示デバイスと、タッチパネル等の入力用のデバイス素子とを含み、利用者による入力操作を受付けると共に、移動装置202で実行されるプログラムによる表示画面等を表示する。なお、移動装置202は、表示入力部809を有していなくても良い。
バス810は、上記各構成要素に接続され、アドレス信号、データ信号、及び各種制御信号等を伝送する。
<機能構成>
図10は、第1の実施形態に係る位置情報管理システムの機能構成図である。図10に示す出力装置201a、201d、移動装置202、管理サーバ102、及びゲートウェイ103は、図2に示す各装置に対応している。
(管理サーバの機能構成)
管理サーバ(情報処理装置)102は、通信部1011、領域情報管理部1012、識別情報受信部1013、位置特定部1014、方向特定部1015、位置情報管理部1016、出力装置管理部1017、及び記憶部1018等を有する。
通信部1011は、例えば、図6のCPU601で実行されるプログラム等によって実現され、ネットワークI/F608を用いて、管理サーバ102をネットワーク106に接続し、通信を行うための手段である。例えば、通信部1011は、ゲートウェイ103を介して、複数の出力装置201と通信を行うと共に、移動装置202等との通信を行う。
領域情報管理部1012は、例えば、図6のCPU601で実行されるプログラム等によって実現され、図11(a)に示すような領域情報1021を記憶部1018に記憶して管理する。
図11(a)は、領域情報1021の一例を示している。図11(a)の例では、領域情報1021には、「領域名」、「音波1」、「音波2」、「位置座標」等の情報が含まれる。
「領域名」の情報は、例えば、図3の複数の領域AD、AE、AF、BD、BE、BF、CD、CE、CFに対応する名前等の情報である。なお、領域名は、各領域を識別するための識別情報である領域ID等であっても良い。
「音波1」の情報は、第1の方向(例えば、図3の0°の方向)から、各領域に向けて出力される音波である第1の音波に関する情報であり、例えば、「音波ID」、及び「方向」の情報が含まれる。「音波ID」は、第1の音波に含まれる音波ID(第1の識別情報)であり、「方向」は、各領域に向けて第1の音波が到来する方向である第1の方向を示す情報である。
「音波2」の情報は、第2の方向(例えば、図3の270°の方向)から、各領域に向けて出力される音波である第2の音波に関する情報であり、例えば、「音波ID」、及び「方向」の情報が含まれる。「音波ID」は、第2の音波に含まれる音波ID(第2の識別情報)であり、「方向」は、各領域に向けて第2の音波が到来する方向である第2の方向を示す情報である。
「位置座標」の情報は、各領域の基準点(例えば、図3の各領域の左上等)の座標(例えば、緯度、経度、高度等の3次元座標)を示す情報である。
図10に戻り、管理サーバ102の機能構成の説明を続ける。
識別情報受信部1013は、例えば、図6のCPU601で実行されるプログラム等によって実現され、移動装置202から、移動装置202が取得した複数の音波IDと、移動装置202の移動装置IDとを含む取得情報を受信する。
なお、移動装置202が、図9に示すようなマイクモジュール811を有する場合、移動装置202から送信される取得情報には、音波IDが抽出された1つ以上の音波のうち、音波の信号強度が最も強い音波の方向を示す取得方向の情報が含まれる。この取得方向の情報は、後述する方向特定部1015によって利用される。
位置特定部1014は、例えば、図6のCPU601で実行されるプログラム等によって実現され、移動装置202が取得した2つの音波IDと、領域情報管理部1012が管理する領域情報1021とを用いて、移動装置202が位置する領域を特定する。
例えば、図3において、移動装置202が領域ADに位置している場合、識別情報受信部1013が移動装置202から受信する取得情報には、2つの音波ID「ID000a」、「ID000d」が含まれる。この場合、位置特定部1014は、図11(a)に示すような領域情報1021を用いて、2つの音波ID「ID000a」、「ID000d」に対応付けられている領域ADに、移動装置202が位置していると特定することができる。
方向特定部1015は、例えば、図6のCPU601で実行されるプログラム等によって実現され、移動装置202で音波IDが抽出された1つ以上の音波のうち、音波の信号強度が最も強い音波の情報に基づいて、移動装置202の方向を特定する。
例えば、図3において、移動装置202が領域BEに位置しており、図9に示すマイクモジュール811の角度「90°」から音波ID「ID000e」を抽出した音波の信号強度が、他の音波の信号強度が強いものとする。
この場合、識別情報受信部1013が、移動装置202から受信する取得情報には、信号強度が最も強い音波から取得した音波ID「ID000e」、及び信号強度が最も強い音波の方向を示す取得方向「90°」の情報が含まれる。
方向特定部1015は、領域BEに対して、音波ID「ID000e」を含む音波が到来する方向「270°」と、移動装置202から取得した取得方向「90°」との差により、移動装置202の装置方向が「180°」であることを特定することができる。
位置情報管理部1016は、例えば、図6のCPU601で実行されるプログラム等によって実現され、図11(b)に示すような移動装置202の位置情報1022を、記憶部1018に記憶して管理する。
図11(b)は、位置情報1022の一例を示している。図11(b)の例では、位置情報1022には、「移動装置ID」、「音波ID1」、「取得方向」、「音波ID2」、「取得日時」、「領域名」、「位置情報」、及び「装置方向」等の情報が含まれる。
「移動装置ID」の情報は、移動装置202を識別するための移動装置IDである。
「音波ID1」の情報は、移動装置202で音波IDが抽出された1つ以上の音波のうち、音波の信号強度が最も強い音波の音波IDである。
「取得方向」の情報は、移動装置202で音波IDが抽出された1つ以上の音波のうち、音波の信号強度が最も強い音波を取得した方向を示す情報である。
「音波ID2」の情報は、移動装置202で音波IDが抽出された複数の音波のうち、音波の信号強度が2番目に強い音波の音波IDである。
「取得日時」の情報は、位置情報を取得した日時を示す情報である。
「領域名」、「位置座標」の情報は、位置特定部1014によって特定された移動装置202の位置を示す情報の一例である。
「装置方向」の情報は、方向特定部1015によって特定された移動装置202の方向を示す情報である。
このように、位置情報管理部1016は、移動装置202の位置を示す位置情報1022を、記憶部1018に記憶して管理する。
出力装置管理部1017は、例えば、図6のCPU601で実行されるプログラム等によって実現され、図11(c)に示すような出力装置情報1023を、記憶部1018に記憶して管理する。
図11(c)は、出力装置情報1023の一例を示している。図11(c)の例では、出力装置情報1023には、「出力装置ID」、「音波ID」、「方向」、「設置位置」、及び「出力タイミング」等の情報が含まれる。
「出力装置ID」の情報は、出力装置201を識別するための出力装置IDである。
「音波ID」の情報は、「出力装置ID」に対応する出力装置201が出力する音波に含まれる音波IDを示す情報である。
「方向」の情報は、「出力装置ID」に対応する出力装置201の設置方向を示す情報である。
「設置位置」の情報は、「出力装置ID」に対応する出力装置201の設置位置を示す情報(例えば、3次元の座標情報)である。
「出力タイミング」の情報は、「出力装置ID」に対応する出力装置201が、音波を出力するタイミングを示す情報である。なお、出力タイミングについては、第2の実施形態で後述する。
好ましくは、出力装置管理部1017は、例えば、所定の時刻、又は所定の時間間隔等に、複数の出力装置201に対して、音波IDを含む音波の出力要求を送信することにより、複数の出力装置201が出力する音波IDを更新する。
また、領域情報管理部1012は、複数の出力装置201が出力する音波IDが更新されると、出力装置情報1023に基づいて、図11(a)に示す領域情報1021の音波IDの情報を更新する。
記憶部1018は、例えば、図6のストレージ部604、RAM602、及び図6のCPU601で実行されるプログラム等によって実現され、前述した領域情報1021、位置情報1022、及び出力装置情報1023等の情報を記憶する手段である。
(移動装置の機能構成)
図10に示すように、移動装置202は、音波取得部1031、情報抽出部1032、信号強度測定部1033、音波選択部1034、識別情報送信部1035、通信部1036、及び記憶部1037等を有する。
音波取得部1031は、例えば、図8に示すマイクモジュール811(又は、複数のマイク806、音声信号処理部807)、及び図8のCPU801で実行されるプログラム等によって実現され、互いに異なる方向から複数の音波を取得する。
例えば、音波取得部1031は、図9に示すマイクモジュール811を用いて、角度「0°」から、所定の角度(例えば、10°)毎に、360°の各方向から音波を取得する。なお、10°は、所定の角度の一例であり、所定の角度は他の角度(例えば、1°、20°)であっても良い。
別の一例として、音波取得部1031は、互いに異なる方向に向けて設けられた複数のマイク806を用いて、複数の音波を取得するものであっても良い。
情報抽出部1032は、例えば、図8の音声信号処理部807、又は図8のCPU801で実行されるプログラム等によって実現され、音波取得部1031が取得する複数の音波の各々に含まれる音波IDを抽出する。
信号強度測定部1033は、例えば、図8の音声信号処理部807、又は図8のCPU801で実行されるプログラム等によって実現され、音波取得部1031が取得する複数の音波の信号強度を測定する。
音波選択部1034は、例えば、図8のCPU801で実行されるプログラムによって実現され、情報抽出部1032で音波IDが抽出された複数の音波の中から、信号強度測定部1033が測定した信号強度が強い2つの音波を選択する。例えば、音波選択部1034は、情報抽出部1032で音波IDが抽出された複数の音波の中から、信号強度が最も強い音波と、信号強度が2番目に強い音波を選択する。
識別情報送信部1035は、例えば、図8のCPU801で実行されるプログラムによって実現され、音波選択部1034が選択した2つの音波に含まれる2つの音波IDと、移動装置202の移動装置IDとを含む取得情報を管理サーバ102に送信する。この取得情報により、管理サーバ102は、移動装置202が位置している領域を特定することができる。
好ましくは、識別情報送信部1035が管理サーバ102に送信する取得情報には、情報抽出部1032で音波IDが抽出された複数の音波のうち、信号強度が最も強い音波を取得した方向を示す取得方向の情報が含まれる。これにより、管理サーバ102は、移動装置202が位置している領域に加えて、移動装置202の方向を特定することができるようになる。
通信部1036は、例えば、図8のCPU801で実行されるプログラムによって実現され、図8の通信I/F805を用いて移動装置202を、ネットワーク106に接続する。また、通信部1036は、識別情報送信部1035からの要求に応じて、前述した取得情報を管理サーバ102に送信する。
記憶部1037は、例えば、図8のストレージ部804、RAM802、及び図8のCPU801で実行されるプログラム等によって実現され、例えば、移動装置の移動装置IDや、取得した音波ID等の様々な情報を記憶する。
(出力装置の機能構成)
図12は、第1の実施形態に係る出力装置の機能構成図である。出力装置201は、通信部1201、音波生成部1202、音波出力制御部1203、記憶部1204、及び時刻管理部1205を有する。
通信部1201は、例えば、図5の無線通信部504、及び図5のCPU501で実行されるプログラム等によって実現され、出力装置201を、ゲートウェイ103が提供する無線ネットワークに接続する。これにより、出力装置201は、ゲートウェイ103を介して、管理サーバ102と通信を行うことができるようになる。
音波生成部1202は、例えば、図5の音波処理部505、又は図5のCPU501で実行されるプログラム等によって実現され、記憶部1204等に記憶された音波IDを含む音波を生成する。
音波出力制御部1203は、例えば、図5のCPU501で実行されるプログラムによって実現され、図5の増幅部507、スピーカ405を用いて、音波生成部1202が生成した音波IDを含む音波を出力する。例えば、音波出力制御部1203は、通信部1201を介して、管理サーバ102から通知された音波IDを記憶部1204に記憶し、管理サーバ102からの指示に従って、記憶した音波IDを含む音波を出力する。
記憶部1204は、例えば、図5のフラッシュROM、及び図5のCPU501で実行されるプログラム等によって実現され、出力装置201の出力装置IDや、管理サーバ102から通知された音波ID等を記憶する。
時刻管理部1205は、例えば、図5のRTC508、及び図5のCPU501で実行されるプログラム等によって実現され、現在の時刻を示す時刻情報を管理する。
<処理の流れ>
続いて、本実施形態に係る位置情報管理システムによる位置情報管理方法の処理の流れについて説明する。
図13は、第1の実施形態に係る位置情報管理システムの処理の例を示すシーケンス図である。この処理は、位置情報管理システム100が、図3の位置情報計測エリア300にある移動装置202の位置と方向を含む位置情報を管理する処理の一例を示している。
ステップS1301、S1302において、管理サーバ102の出力装置管理部1017は、ゲートウェイ103を介して、出力装置201aに音波の出力要求を送信する。この音波の出力要求には、例えば、出力装置201aの出力装置ID「SPID001」、音波ID「ID000a」等が含まれる。
ステップS1303において、出力装置201aは、音波の出力要求を受信すると、音波の出力要求に含まれる音波ID「ID000a」を含む音波の出力を開始する。
例えば、出力装置201aの音波出力制御部1203は、音波の出力要求に含まれる音波ID「ID000a」を記憶部1204に記憶し、音波生成部1202を用いて、音波ID「ID000a」を含む音波を生成する。また、音波出力制御部1203は、音波生成部1202が生成した音波を、図5の増幅部507、及びスピーカ405を用いて出力する。
また、ステップS1304、S1305において、管理サーバ102の出力装置管理部1017は、ゲートウェイ103を介して、出力装置201dに音波の出力要求を送信する。この出力要求には、例えば、出力装置201aの出力装置ID「SPID004」、音波ID「ID000d」等が含まれる。
ステップS1306において、出力装置201dは、音波の出力要求を受信すると、音波の出力要求に含まれる音波ID「ID000d」を含む音波の出力を開始する。
同様にして、管理サーバ102の出力装置管理部1017は、他の出力装置201b、201c、201e、201fに、音波の出力要求を送信し、音波IDを含む音波を出力させる。
ステップS1307において、管理サーバ102の領域情報管理部1012は、上記の処理により変更された音波IDを、例えば、図11(a)に示す領域情報1021の音波IDの情報に反映させる。
好ましくは、管理サーバ102は、上記のステップS1301〜S1307の処理を、所定の時間間隔、又は所定の時刻等に実行して、複数の出力装置201a〜201fの音波IDを更新する。
この状態で、移動装置202が、図3の領域ADに移動するものとする。これにより、ステップS1308で出力装置201aが出力する音波、及びステップS1309で出力装置201dが出力する音波が、移動装置202に届くようになる。
ステップS1310において、移動装置202は、例えば、図14に示すような、音波IDの取得処理を実行する。
図14は、第1の実施形態に係る音波IDの取得処理の例を示すフローチャートである。
ステップS1401において、移動装置202の音波取得部1031は、例えば、図9(b)に示すマイクモジュール811において、角度θを「0°」として、音波を取得する。
ステップS1402において、移動装置202の情報抽出部1032は、取得した音波から音波IDを抽出し、信号強度測定部1033は、取得した音波の信号強度を測定する。
ステップS1403において、移動装置202は、ステップS1402で音波IDが抽出されたか否かに応じて処理を分岐させる。
音波IDが抽出されない場合、移動装置202は、処理をステップS1408に移行させる。一方、音波IDが抽出された場合、移動装置202は、処理をステップS1404に移行させる。
ステップS1404に移行すると、移動装置202の情報抽出部1032は、抽出した音波IDと同一の音波IDが、記憶部1037の一時保存領域に保存されているかを判断する。なお、記憶部1037の一時保存領域は、図14に示す処理が開始される前に、初期化されているものとする。
抽出した音波IDと同一の音波IDが保存されていない場合、情報抽出部1032は、処理をステップS1407に移行させる。一方、抽出した音波IDと同一の音波IDが保存されている場合、情報抽出部1032は、処理をステップS1405に移行させる。
ステップS1405に移行すると、移動装置202の情報抽出部1032は、信号強度測定部1033が取得した音波の信号強度と、記憶部1037の一時保存領域に保存されている同一の音波IDに対応する音波の信号強度とを比較する。
ステップS1406において、移動装置202の情報抽出部1032は、取得した音波の方が、記憶部1037の一時保存領域に保存されている同一の音波IDに対応する音波より、信号強度が大きいか否かに応じて処理を分岐させる。
取得した音波の方が、信号強度が強い場合、情報抽出部1032は、処理をステップS1407に移行させる。一方、取得した音波の方が、信号強度が強くない場合、情報抽出部1032は、処理をステップS1408に移行させる。
ステップS1407に移行すると、情報抽出部1032は、取得した音波から情報抽出部1032が抽出した音波IDを、信号強度測定部1033が測定した信号強度と共に、記憶部1037の一時保存領域に保存する。
ステップS1408に移行すると、音波取得部1031は、角度θの値が360°に達したかを判断する。
角度θの値が360°に達していない場合、音波取得部1031は、処理をステップS1409に移行させる。一方、角度θの値が360°に達した場合、音波取得部1031は、処理をステップS1410に移行させる。
ステップS1409に移行すると、音波取得部1031は、角度θに所定の角度a(例えば、a=10°)を加算し、音波を取得する。
ステップS1410に移行すると、移動装置202の音波選択部1034は、記憶部1037の一時保存領域に保存された複数の音波IDの中から、信号強度が最も強い音波ID(音波ID1)と、信号強度が次に強い音波ID(音波ID2)とを選択する。
上記の処理により、移動装置202は、互いに異なる方向から取得した音波IDを含む音波のうち、最も信号強度が強い音波の音波ID及びその取得方向と、次に信号強度が強い音波の音波IDとを取得することができる。
ここで、図13に戻り、シーケンス図の説明を続ける。
ステップS1311において、移動装置202の識別情報送信部1035は、例えば、図14に示した音波IDの取得処理で取得した取得情報を管理サーバ102に送信する。この取得情報には、最も信号強度が強い音波、例えば、出力装置201aから出力される音波の音波ID及びその取得方向と、次に信号強度が強い音波、例えば、出力装置201dから出力される音波の音波IDと、移動装置202の移動装置IDとが含まれる。送信された取得情報は、管理サーバ102の識別情報受信部1013によって受信される。
ステップS1312において、管理サーバ102の位置特定部1014は、識別情報受信部1013が受信した取得情報を用いて、移動装置202の位置を特定する。
例えば、取得情報に、最も信号強度が強い音波の音波ID1として「ID000a」が含まれており、次に信号強度が強い音波の音波ID2として「ID000d」が含まれているものとする。この場合、位置特定部1014は、例えば、図11(a)に示すような領域情報1021を用いて、2つの音波ID「ID000a」、「ID000d」と対応付けて記憶されている「領域AD」に、移動装置202が位置していると特定する。
ステップS1313において、管理サーバ102の方向特定部1015は、識別情報受信部1013が受信した取得情報を用いて、移動装置202の方向を特定する。
例えば、取得情報に、最も信号強度が強い音波の音波ID1として「ID000a」が含まれており、最も信号強度が強い音波の取得方向として「0°」が含まれているものとする。この場合、方向特定部1015は、例えば、図11(a)に示すような領域情報1021から、音波ID「ID000a」を含む音波の方向「0°」を示す情報を取得する。また、方向特定部1015は、音波ID「ID000a」を含む音波の方向「0°」と、取得情報に含まれる取得方向「0°」との差から、移動装置202の装置方向が「0°」であることを特定する。
別の一例として、領域情報1021から取得した音波IDを含む音波の方向が「270°」であり、取得情報に含まれる取得方向が「90°」であるものとする。この場合、方向特定部1015は、音波IDを含む音波の方向が「270°」と、取得情報に含まれる取得方向が「90°」との差から、移動装置202の装置方向が270°−90°=180°であると特定する。
なお、ステップS1313に示す方向を特定する処理は、好適な一例であり、必須ではない。
ステップS1314において、管理サーバ102の位置情報管理部1016は、位置特定部1014が特定した位置を示す情報、方向特定部1015が特定した方向を示す情報等を、移動装置202の移動装置IDと対応付けて位置情報1022に記憶する。
また、位置情報管理部1016は、必要に応じて、移動装置202の位置情報を、移動装置202や、移動装置202にコンテンツを提供するコンテンツサーバ等に送信するものであっても良い。
上記の処理により、位置情報管理システム100は、例えば、図3に示す位置情報計測エリア300内のどの領域に移動装置202が位置しているかを示す詳細な位置情報を検出することができるようになる。また、図3の例では、位置情報管理システム100は、6個の出力装置201を用いて、9個の領域のどこに移動装置202が位置しているかを特定することができる。
このように、本実施形態によれば、出力装置201から出力される音波に基づいて、移動装置202の位置情報を管理する位置情報管理システム100において、出力装置201の数を抑制しつつ、位置情報の検出精度を向上させることができる。
また、本実施形態に係る位置情報管理システム100では、移動装置202が位置する領域だけではなく、移動装置202の方向を特定することができる。従って、本実施形態によれば、移動装置202の位置と方向とを含む、より詳細な位置情報を検出することができるようになる。
[第2の実施形態]
第1の実施形態では、例えば、図9に示すマイクモジュール811等、互いに異なる複数の音波を取得可能な移動装置202を用いて、移動装置202の位置情報を管理する場合の例について説明を行った。
しかし、例えば、図3の領域ADにおいて、出力装置201aが出力する第1の音波の信号強度と、出力装置201dが出力する第2の音波の信号強度が同等である場合、通常の情報端末では、2つの音波に含まれる音波IDを正しく取得できない場合がある。
第2の実施形態では、移動装置202が、例えば、スマートフォン、タブレット端末、ノートPC等の通常の情報端末であっても、移動装置202の位置情報を管理することができる位置情報管理システム100の例について説明する。
図15は、第2の実施形態に係る音波の出力タイミングの例を示す図である。図15(a)は、図3に示す出力装置201aが出力する音波ID1を含む音波と、出力装置201dが出力する音波ID2を含む音波の出力タイミングの一例を示している。
図15(a)において、出力装置201a、201dは、音波IDを送信するために時間Tを要するものとする。また、出力装置201a、201dは、例えば、時間t0から音波IDの出力を開始し、音波IDの出力を終えた時間t1において、次の音波IDの出力を開始するものとする。
この場合、例えば、図3の領域ADにおいて、1つマイクで取得した音波から音波IDを抽出すると、出力装置201aが出力する第1の音波と、出力装置201dが出力する第2の音波のうち、信号強度が強い方の音波に含まれる音波IDのみが取得されると考えられる。また、第1の音波の信号強度と、第2の音波の信号強度が同等である場合には、どちらの音波に含まれる音波IDも取得できない可能性がある。
このような場合でも、第1の実施形態に示す移動装置202では、互いに異なる複数の方向から音波を取得するので、音波を取得する方向によって、第1の音波と第2の音波の信号強度が変化し、音波ID1、及び音波ID2を抽出することができる。
図15(b)は、図3に示す出力装置201aが出力する音波ID1を含む音波と、出力装置201dが出力する音波ID2を含む音波の、第2の実施形態に係る出力タイミングの例を示している。
本実施形態に係る複数の出力装置201の各々は、現在の時刻を示す時刻情報を管理しており、出力装置201aは、時間t0から音波ID1を含む音波の出力を開始する。また、出力装置201aは、時間t1に音波ID1を含む音波の送信を完了すると、期間Tだけ音波の出力を休止し、時間t2から再び音波ID1を含む音波の出力を開始する。このように、出力装置201aは、時間t0から、周期2Tで、期間Tずつ音波ID1を含む音波を間欠送信する。
一方、出力装置201dは、時間t0から期間Tを経過した時間t1から、音波ID2を含む音波の出力を開始する。また、出力装置201dは、時間t2に音波ID2を含む音波の送信を完了すると、期間Tだけ音波の出力を休止し、時間t3から再び音波ID3を含む音波の出力を開始する。このように、出力装置201dは、時間t1から、周期2Tで、期間Tずつ音波ID2を含む音波を間欠送信する。
これにより、出力装置201aから出力される音波、及び出力装置201dから出力される音波は、他方の音波によってマスクされることがなくなるので、1つのマイクで取得した音波から、音波ID1と音波ID2とを取得することができるようになる。
<処理の流れ>
図16は、第2の実施形態に係る音波の出力処理の例を示すシーケンス図である。この処理は、位置情報管理システム100が、複数の出力装置201に、図15(b)に示すような出力タイミングで音波を出力させる処理の一例を示している。
ステップS1601、S1602において、管理サーバ102の出力装置管理部1017は、ゲートウェイ103を介して、出力装置201aに音波の出力要求を送信する。この出力要求には、出力装置201aの出力装置ID「SPID001」、音波ID「ID000a」に加えて、出力を開始する開始時刻、及び図15の時間t0から間欠送信を開始することを示す出力タイミング(出力タイミング0)等の情報が含まれる。
ステップS1603において、出力装置201aは、音波の出力要求を受信すると、音波の出力要求に含まれる開始時刻まで待機する。例えば、出力装置201aが、音波IDを含む音波を出力中である場合、出力装置201aは、現在の音波IDを含む音波を出力している状態を維持する。一方、出力装置201aが、音波IDを含む音波を出力していない場合、出力装置201aは、音波IDを含む音波を出力していない状態を維持する。
ステップS1604、S1605において、管理サーバ102の出力装置管理部1017は、ゲートウェイ103を介して、出力装置201dに音波の出力要求を送信する。この出力要求には、出力装置201dの出力装置ID「SPID004」、音波ID「ID000d」に加えて、出力を開始する開始時刻、及び図15の時間t1から間欠送信を開始することを示す出力タイミング(出力タイミング1)等の情報が含まれる。
ステップS1606において、出力装置201dは、音波の出力要求を受信すると、音波の出力要求に含まれる開始時刻まで待機する。
同様にして、管理サーバ102の出力装置管理部1017は、出力装置201b、201cに対して、開始時刻、及び時間t0から間欠送信を開始することを示す出力タイミング(出力タイミング0)の情報を含む音波の出力要求を送信する。また、管理サーバ102の出力装置管理部1017は、出力装置201e、201fに対して、開始時刻、及び時間t1から間欠送信を開始することを示す出力タイミング(出力タイミング1)の情報を含む音波の出力要求を送信する。
ステップS1607において、管理サーバ102の領域情報管理部1012は、上記の処理により変更された音波IDを、例えば、図11(a)に示す領域情報1021の音波IDの情報に反映させる。
ステップS1608、S1609において、指定された開始時刻になると、各出力装置201の音波出力制御部1203は、例えば、図5のRTC508からのアラーム割込み等により、開始時刻になったと判断する。
ステップS1610において、出力装置201aの音波出力制御部1203は、例えば、出力タイミング0で、音波ID「ID000a」を含む音波の間欠送信を開始する。
ステップS1611において、出力装置201dの音波出力制御部1203は、例えば、出力タイミング1で、音波ID「ID000d」を含む音波の間欠送信を開始する。
これにより、例えば、図15(b)に示すように、出力装置201aと出力装置201dは、音波ID1を含む第1の音波と、音波ID2を含む第2の音波とを交互に間欠送信することができるようになる。
上記の処理により、位置情報管理システム100は、例えば、図9に示すようなマイクモジュール811を有していない通常の情報端末においても、移動装置202として、位置情報を管理することができるようになる。
(移動装置の例)
ここで、移動装置202の例について説明する。
本実施形態に係る移動装置202は、利用者105が所持する情報端末等であっても良いが、例えば、図17(a)に示すように、利用者105が装着するウェアラブル端末等であっても良い。
例えば、図19(a)に示す移動装置202aは、利用者105が被るヘルメットや帽子等の頭頂部等にマイクモジュール811を備えたウェアラブル端末の一例を示している。工場や、作業場等において、作業者が図19(a)に示すような移動装置202aを装着することにより、位置情報管理システム100を用いて、作業者の位置だけではなく、作業者が向いている方向を含む詳細な位置情報を管理することができるようになる。
また、図19(b)に示す移動装置202bは、利用者105が装着する眼鏡型のウェアラブル端末に、互いに異なる方向に向けて複数のマイク806が設けられている。例えば、教室や、職場等、ヘルメットを装着できない場所においても、利用者105が、図17(a)に示すような移動装置202bを装着することにより、位置情報管理システム100を用いて、利用者105の位置と顔の方向を管理することができるようになる。
また、本実施形態に係る移動装置202は、利用者と共に移動する装置に限られず、例えば、図17(b)に示すように、走行機能を有する移動装置202cや、歩行機能を有する移動装置202d等、移動手段を有する移動装置202であっても良い。
図17(b)に示す移動装置202cは、例えば、操作者の操作に従って、或いは自律的に移動する走行機能を有する移動装置202c(例えば、台車、リモコンカー等)の上面等に、マイクモジュール811を装着した移動装置202の一例を示している。
また、図17(b)に示す移動装置202dは、操作者の操作に従って、或いは自律的に移動する歩行機能を有する移動装置202d(例えば、ロボット等)の上面等に、マイクモジュール811を装着した移動装置202の別の一例を示している。
このような移動装置202c、202dにおいて、位置情報管理システム100を用いることにより、移動装置202c、202dの位置だけではなく、移動装置202c、202dが向いている方向まで管理することができるようになる。
さらに、このような移動装置202c、202dが、自律的に移動する場合、移動装置202c、202dは、図10に示す領域情報管理部1012、位置特定部1014、方向特定部1015等を有していても良い。これにより、移動装置202c、202dは、管理サーバ102によらずに、自装置で位置及び方向を特定し、移動を制御することができるようになる。
なお、移動装置202のマイクモジュール811は、必ずしも移動装置202の上面に備えられたものでなくても良い。