JP2018076552A - ステンレス鋼板 - Google Patents
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Abstract
【課題】圧延時等の製造過程において端面での割れの発生を防止することが可能なステンレス鋼板を提供する。【解決手段】鋼板の化学組成が、質量%で、Cr:16.0〜35.0%、および、B:0.5〜1.0%を含有し、前記鋼板中に、M2B型析出物を有し、前記鋼板が有する端面の少なくとも一部の最表層に、M2B型析出物を含む共晶凝固組織からなる島状分散相を有する層を備える、ステンレス鋼板。【選択図】 図2
Description
本発明は、ステンレス鋼板に関する。
燃料電池は、水素および酸素を利用して直流電流を発電する電池であり、固体電解質形、溶融炭酸塩形、リン酸形および固体高分子形に大別される。それぞれの形式は、燃料電池の根幹部分を構成する電解質部分の構成材料に由来する。
現在、商用段階に達している燃料電池としては、200℃付近で動作するリン酸形、および650℃付近で動作する溶融炭酸塩形がある。近年の技術開発の進展とともに、室温付近で動作する固体高分子形と、700℃以上で動作する固体電解質形が、自動車搭載用または家庭用小型電源として注目されている。
図1は、固体高分子形燃料電池の構造を示す説明図であり、図1(a)は、燃料電池セル(単セル)の分解図、図1(b)は燃料電池全体の斜視図である。
図1(a)および図1(b)に示すように、燃料電池1は単セルの集合体である。単セルは、図1(a)に示すように固体高分子膜2の1面に燃料電極膜(アノード)3を、他面には酸化剤電極膜(カソード)4が積層され、その両面にセパレータ5a、5bが重ねられた構造を有する。
代表的な固体高分子膜2として、水素イオン(プロトン)交換基を有するフッ素系イオン交換樹脂膜がある。
燃料電極膜3および酸化剤電極膜4は、それぞれ、拡散層と、該拡散層の固体高分子膜2側の表面に設けられる触媒層とを備える。拡散層は、カーボン繊維で構成されるカーボンペーパまたはカーボンクロスからなり、触媒層は、粒子状の白金触媒、黒鉛粉、水素イオン(プロトン)交換基を有するフッ素樹脂からなる。そして、燃料電極膜3および酸化剤電極膜4が有する触媒層は、拡散層を透過した燃料ガスまたは酸化性ガスとそれぞれ接触する。
セパレータ5aに設けられている流路6aから燃料ガス(水素または水素含有ガス)Aが流されて燃料電極膜3に水素が供給される。また、セパレータ5bに設けられている流路6bからは空気のような酸化性ガスBが流され、酸素が供給される。これらガスの供給により電気化学反応が生じて直流電力が発生する。
固体高分子形燃料電池セパレータに求められる機能は、(1)燃料極側で、燃料ガスを面内均一に供給する“流路”としての機能、(2)カソード側で生成した水を、燃料電池より反応後の空気、酸素といったキャリアガスとともに効率的に系外に排出させる“流路”としての機能、(3)長時間にわたって電極として低電気的接触抵抗、良電導性を維持する単セル間の電気的“コネクタ”としての機能、および(4)隣り合うセルで一方のセルのアノード室と隣接するセルのカソード室との“隔壁”としての機能などである。
これまで上記の機能を発揮するセパレータの基材について、種々の研究がなされてきた。セパレータに用いられる材料は、金属系材料とカーボン系材料とに大別される。
カーボン系材料として、カーボン板材のセパレータへの適用が、実験室レベルで鋭意検討されてきている。しかしながら、カーボン板材には割れ易いという問題があり、さらに表面を平坦にするための機械加工コストおよびガス流路形成のための機械加工コストが非常に嵩むという問題がある。それぞれが大きな問題であり、燃料電池の商用化そのものを難しくしてきたのが実情である。
カーボンの中でも、熱膨張性黒鉛加工品は格段に安価であることから、固体高分子形燃料電池セパレータ用素材として最も注目されている。しかし、ますます厳しくなる寸法精度への対応、燃料電池適用中に生じる経年的な結着用有機樹脂の劣化、電池運転条件の影響を受けて進行するカーボン腐食、および燃料電池組み立て時と使用中とに起こる予期せぬ割れ事故等の問題も、今後に解決すべき課題として残されている。
こうした黒鉛系素材の適用の検討に対峙する動きとして、コスト削減を目的に、セパレータにステンレス鋼を適用する試みが開始されている。
例えば、特許文献1には、金属製部材からなり、単位電池の電極との接触面に直接金めっきを施した燃料電池用セパレータが開示されている。金属製部材として、ステンレス鋼、アルミニウムおよびニッケル−鉄合金が挙げられており、ステンレス鋼としては、SUS304が用いられている。
特許文献1に記載の発明では、セパレータは金めっきを施されているので、セパレータと電極との接触抵抗が低下し、セパレータから電極への電子の導通が良好となるため、燃料電池の出力電圧が大きくなるとされている。
また、特許文献2には、表面に形成される不動態皮膜が大気により容易に生成される金属材料からなるセパレータが用いられている固体高分子形燃料電池が開示されている。金属材料としてステンレス鋼とチタン合金が挙げられている。
特許文献2に記載の発明では、セパレータに用いられる金属の表面には、必ず不動態皮膜が存在しており、金属の表面が化学的に侵され難くなって燃料電池セルで生成された水がイオン化される度合いが低減され、燃料電池セルの電気化学反応度の低下が抑制されるとされている。また、セパレータの電極膜等に接触する部分の不動態皮膜を除去し、貴金属層を形成することにより、電気接触抵抗値が小さくなるとされている。
しかし、特許文献1および2に開示された、表面に不動態皮膜を備えるステンレス鋼のような金属材料をそのままセパレータに用いても、耐食性が十分でなく金属の溶出が起こり、溶出金属イオンにより担持触媒性能が劣化する。また、溶出後に生成するCr−OHまたはFe−OHのような腐食生成物により、セパレータの接触抵抗が増加するため、金属材料からなるセパレータには、コストを度外視した金めっき等の貴金属めっきが施されているのが現状である。
このような状況の下、セパレータとして、高価な表面処理を施さずに無垢のままで適用できる、耐食性に優れたステンレス鋼も提案されている。
特許文献3には、固体電解質型燃料電池のセパレータとして好適なステンレス鋼が開示されている。また、特許文献4および5には、フェライト系ステンレス鋼からなるセパレータを備えた固体高分子形燃料電池が開示されている。
特許文献6には、鋼中に0.01〜0.15質量%のCを含有し、Cr系炭化物が析出した固体高分子形燃料電池のセパレータ用フェライト系ステンレス鋼およびこれを適用した固体高分子形燃料電池が開示されている。特許文献7には、鋼中に0.015〜0.2%のCを含有し、Niを7〜50%含有する、Cr系炭化物を析出する固体高分子形燃料電池のセパレータ用オーステナイト系ステンレス鋼が示されている。
特許文献8には、ステンレス鋼表面に、導電性を有するM23C6型、M4C型、M2C型、MC型炭化物系金属介在物およびM2B型硼化物系介在物のうちの1種以上が分散、露出している固体高分子形燃料電池のセパレータ用ステンレス鋼が開示されており、質量%で、C:0.15%以下、Si:0.01〜1.5%、Mn:0.01〜1.5%、P:0.04%以下、S:0.01%以下、Cr:15〜36%、Al:0.001〜6%、N:0.035%以下を含有し、かつCr、MoおよびB含有量が17%≦Cr+3×Mo−2.5×Bを満足し、残部Feおよび不可避不純物からなるフェライト系ステンレス鋼が記載されている。
特許文献9には、ステンレス鋼材の表面を酸性水溶液により腐食させて、その表面に導電性を有するM23C6型、M4C型、M2C型、MC型炭化物系金属介在物およびM2B型硼化物系金属介在物のうちの1種以上を露出させる固体高分子形燃料電池のセパレータ用ステンレス鋼材の製造方法が示されており、質量%で、C:0.15%以下、Si:0.01〜1.5%、Mn:0.01〜1.5%、P:0.04%以下、S:0.01%以下、Cr:15〜36%、Al:0.001〜1%、B:0〜3.5%、N:0.035%以下、Ni:0〜5%、Mo:0〜7%、Cu:0〜1%、Ti:0〜25×(C%+N%)、Nb:0〜25×(C%+N%)を含有し、かつCr、MoおよびB含有量は17%≦Cr+3×Mo−2.5×Bを満足しており、残部Feおよび不純物からなるフェライト系ステンレス鋼材が開示されている。
さらに、特許文献10には、表面にM2B型の硼化物系金属化合物が露出しており、かつ、アノード面積およびカソード面積をそれぞれ1としたとき、アノードがセパレータと直接接触する面積、およびカソードがセパレータと直接接触する面積のいずれもが0.3から0.7までの割合である固体高分子形燃料電池が示されており、ステンレス鋼表面に、導電性を有するM23C6型、M4C型、M2C型、MC型炭化物系金属介在物およびM2B型硼化物系介在物のうちの1種以上が露出しているステンレス鋼が開示されている。
特許文献10には、セパレータを構成するステンレス鋼が、質量%で、C:0.15%以下、Si:0.01〜1.5%、Mn:0.01〜1.5%、P:0.04%以下、S:0.01%以下、Cr:15〜36%、Al:0.2%以下、B:3.5%以下(ただし0%を除く)、N:0.035%以下、Ni:5%以下、Mo:7%以下、W:4%以下、V:0.2%以下、Cu:1%以下、Ti:25×(C%+N%)以下、Nb:25×(C%+N%)以下で、かつCr、MoおよびBの含有量が、17%≦Cr+3×Mo−2.5×Bを満足するフェライト系ステンレス鋼材であることが示されている。
そして、特許文献11〜15には、表面にM2B型の硼化物系導電性金属析出物が露出するオーステナイト系ステンレスクラッド鋼材およびその製造方法が開示されている。
上述のように、Bを含有し、M2B型硼化物を析出させた鋼板は導電性に優れる。しかしながら、硬質のM2B型析出物を含む鋼板は延性に著しく乏しいため、鋼板端面において割れが発生しやすく、加工が困難であるという問題がある。そして、端面割れの激しい部分は、コイル全幅を分断して廃棄せざるを得なくなるため、経済的損失を招く。
上記の特許文献1〜15では、端面割れを防止する方法については検討がなされておらず、改善の余地が残されている。
本発明は、上記問題を解決し、圧延時等の製造過程において端面での割れの発生を防止することが可能なステンレス鋼板を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、下記のステンレス鋼板を要旨とする。
(1)鋼板の化学組成が、質量%で、
Cr:16.0〜35.0%、および、
B:0.5〜1.0%
を含有し、
前記鋼板中に、M2B型析出物を有し、
前記鋼板が有する端面の少なくとも一部の最表層に、M2B型析出物を含む共晶凝固組織からなる島状分散相を有する層を備える、
ステンレス鋼板。
Cr:16.0〜35.0%、および、
B:0.5〜1.0%
を含有し、
前記鋼板中に、M2B型析出物を有し、
前記鋼板が有する端面の少なくとも一部の最表層に、M2B型析出物を含む共晶凝固組織からなる島状分散相を有する層を備える、
ステンレス鋼板。
(2)前記鋼板の化学組成が、質量%で、
C:0.005〜0.2%、
Si:0.01〜1.5%、
Mn:0.01〜2.5%、
P:0.035%以下、
S:0.01%以下、
Cr:16.0〜30.0%、
Mo:0〜7.0%、
Ni:7.0〜50.0%、
Cu:0.01〜3.0%、
N:0.001〜0.4%、
V:0.3%以下、
B:0.5〜1.0%、
Al:0.001〜0.2%、
W:0〜4.0%、
Sn:0〜3.0%、
REM:0〜0.1%、
残部:Feおよび不純物である、
上記(1)に記載のステンレス鋼板。
C:0.005〜0.2%、
Si:0.01〜1.5%、
Mn:0.01〜2.5%、
P:0.035%以下、
S:0.01%以下、
Cr:16.0〜30.0%、
Mo:0〜7.0%、
Ni:7.0〜50.0%、
Cu:0.01〜3.0%、
N:0.001〜0.4%、
V:0.3%以下、
B:0.5〜1.0%、
Al:0.001〜0.2%、
W:0〜4.0%、
Sn:0〜3.0%、
REM:0〜0.1%、
残部:Feおよび不純物である、
上記(1)に記載のステンレス鋼板。
(3)前記鋼板の化学組成が、質量%で、
C:0.001〜0.15%、
Si:0.01〜1.5%、
Mn:0.01〜1.0%、
P:0.035%以下、
S:0.01%以下、
Cr:22.5〜35.0%、
Mo:0〜6.0%、
Ni:0.01〜6.0%、
Cu:0.01〜1.0%、
N:0.06%以下、
V:0.01〜0.3%、
B:0.5〜1.0%、
Al:0.001〜6.0%、
W:0〜4.0%、
Sn:0〜3.0%、
REM:0〜0.1%、
残部:Feおよび不純物である、
上記(1)に記載のステンレス鋼板。
C:0.001〜0.15%、
Si:0.01〜1.5%、
Mn:0.01〜1.0%、
P:0.035%以下、
S:0.01%以下、
Cr:22.5〜35.0%、
Mo:0〜6.0%、
Ni:0.01〜6.0%、
Cu:0.01〜1.0%、
N:0.06%以下、
V:0.01〜0.3%、
B:0.5〜1.0%、
Al:0.001〜6.0%、
W:0〜4.0%、
Sn:0〜3.0%、
REM:0〜0.1%、
残部:Feおよび不純物である、
上記(1)に記載のステンレス鋼板。
本発明によれば、圧延時等の製造過程において端面での割れの発生を防止することが可能なステンレス鋼板を得ることが可能となる。
本発明者は、長年に亘り、固体高分子形燃料電池のセパレータとして長時間使用しても、セパレータ表面からの金属溶出が少なく、拡散層、高分子膜および触媒層から構成されるMEA(Membrane Electrode Assembly)の金属イオン汚染の進行を抑制でき、触媒および高分子膜の性能の低下を起こし難いステンレス鋼材の開発に専念してきた。その結果、以下の知見を得るに至った。
(a)鋼中に微細に分散し表面に露出したM2Bは、不動態皮膜で覆われたステンレス鋼表面で“電気の通り道”として機能することにより、表面の導電性(電気的な接触抵抗)を顕著に改善する。
(b)鋼中に微細に分散し表面に露出したM2Bを析出核として、その表面にM23C6を複合的に析出させることにより、さらに表面の導電性が改善される。
(c)しかし、M2Bは1230℃を超えるような温度域で溶融を始める低融点の金属間化合物である。そのために、M2Bを含む鋼板における熱間鍛造時および熱間圧延時に許容される加熱温度は、Bを含有しないステンレス鋼板に比べて低めである。加工の際の加工熱により、熱間加工の際の穴あき、表面疵、端面割れの原因となりやすい。その程度は、非常に激しく、製造そのものが困難となることもある。
(d)また、M2Bが分散する素材は延性に乏しく、非常に脆い。そのため、端面割れが発生した圧延素材に対して、常温で切断加工(例えば、コイル幅方向の割れ部除去切断加工、いわゆるスリット加工)を行うと、切断面に細かな割れが非常に多く発生し、その後の圧延が困難となる。特に、素材の厚みが厚いほど顕著であり、例えば、2.2mmを超える板厚段階でコイルのスリット加工を行うと、その後は、コイル端面からの割れを回避しながら冷間圧延を行うことが困難となる。
(e)発明者が端面割れの発生を防止するために詳細な検討を行った結果、レーザー溶断(以下、レーザー切断ともいう)を行うと、2.2mmを超える厚さの素材であっても、コイル端面割れを生じることなく汎用のステンレス素材と同じ条件での冷間圧延が可能となることを見出した。
本発明は上記の知見に基づいてなされたものである。以下、本発明の各要件について詳しく説明する。
1.鋼板中の析出物
本発明に係るステンレス鋼板は、鋼板中に、M2B型析出物を有する。前記M2B型析出物の表面には、M23C6型析出物がさらに析出していてもよい。なお、M2B型析出物中のMは、Cr、またはCrおよびFe等であり、Bの一部は、Cに置換されていてもよい。また、M23C6型析出物中のMは、Cr、またはCrおよびFe等であり、Cの一部は、Bに置換されていてもよい。以下の説明において、M2B型析出物を単にM2Bともいい、M23C6型析出物を単にM23C6ともいう。
本発明に係るステンレス鋼板は、鋼板中に、M2B型析出物を有する。前記M2B型析出物の表面には、M23C6型析出物がさらに析出していてもよい。なお、M2B型析出物中のMは、Cr、またはCrおよびFe等であり、Bの一部は、Cに置換されていてもよい。また、M23C6型析出物中のMは、Cr、またはCrおよびFe等であり、Cの一部は、Bに置換されていてもよい。以下の説明において、M2B型析出物を単にM2Bともいい、M23C6型析出物を単にM23C6ともいう。
ステンレス鋼板を燃料電池用のセパレータとして用いる際には、上記析出物の一部を鋼板表面から突出させることによって、M2BまたはさらにM23C6が導電性パスとしての機能を発揮し、接触抵抗を低減させることが可能になる。
M2BおよびM23C6を鋼板表面から突出させた場合であっても、これら析出物の表面には、不動態皮膜(酸化物皮膜)は形成される。しかし、M2B中およびM23C6中のCr濃度は、マトリクス中のCr濃度よりも高い。そのことに加え、M2BまたはM23C6の表面に形成される不動態皮膜の厚さは、マトリクス表面を覆っている不動態皮膜よりも薄い。そのため、これらの析出物は電子伝導性に優れ、導電性パスとして機能する。
鋼板表面から突出したM2Bは、脱落することが懸念される。しかしながら、M2Bは金属析出物であることにより、母相と金属結合しており、脱落することはない。また、M2Bは、大型であり、かつ、非常に硬質な析出物である。そのため、熱間鍛造、熱間圧延、冷間圧延の各工程において機械的に破砕され、均一に分散するようになる。
M2Bは導電性を有し、破砕されたとしても非常に大型の金属析出物である。そのため、M2B単体であっても導電性パスとしての十分な機能は得られる。しかし、M23C6は、M2Bよりもさらに導電性に優れる。そのため、大型で多量に分散しているM2Bの表面に、導電性に優れるM23C6を析出させることで、大型かつ導電性に優れる複合析出物が分散して存在する状態となり、固体高分子形燃料電池セパレータ用鋼板としてより望ましい表面状態が得られる。
ここで、M2Bは、凝固末期に進行する共晶反応により析出する。そのため、組成がほぼ均一であるとともに、熱的にも極めて安定である特長を有している。鋼材の製造工程における熱履歴によって、再固溶も、再析出も、成分変化もすることはない。
一方、M23C6は、鋼中のC含有量にもよるが、加熱過程でその一部または全てが固溶し、その後の冷却過程でM2Bの表面に再析出する。すなわち、適切な加熱、冷却条件を設定した熱処理を行うことにより、M2Bを析出核としてその表面に、M23C6が析出した複合析出物とすることができる。
M23C6の固溶、再析出温度は、鋼中のCrおよびCの含有量に依存する。それに加えて、熱的な平衡状態にある母相が、フェライト単相であるか、オーステナイト単相であるのか、またはフェライト相とオーステナイト相との二相組織であるのかによって、M23C6の固溶および再析出の挙動は変化する。
加熱保持された状態において、母相がフェライト単相である場合には、母相へのC固溶量が少ないため、M23C6の大部分が固溶せずに残留する。そのため、温度低下に伴い再析出するM23C6の量はわずかとなる。
一方、加熱されるとフェライト相の母相中にオーステナイト相が分散する二相組織となる場合には、オーステナイト相中へのC固溶量が多いため、温度上昇に伴いM23C6の多くがオーステナイト相側に固溶し、その結果、温度低下に伴い再析出するM23C6の量も多くなる。ただし、鋼板中に含まれるオーステナイト安定化元素の含有量が高いと、最終焼鈍処理によってフェライト単相とすることが難しくなる。その場合には、さらに600〜700℃の温度域で20時間程度の焼鈍処理を行いフェライト単相化する必要が生じる。
なお、M23C6の析出は、粒界腐食による耐食性低下を回避するために、結晶粒内に析出させることが望ましい。不可避的にM23C6の一部が結晶粒界に析出することもあり得る。M23C6の結晶粒界への析出に伴うCr欠乏層は、析出後に適切な熱処理条件を採用することにより回復させることができる。M23C6型Cr系炭化物の析出に伴うCr欠乏層の存在は、JIS G 0575に規定されている『硫酸―硫酸銅腐食試験』のような粒界腐食性評価試験法により容易に確認することができる。
2.鋼板端面の組織
本発明に係るステンレス鋼板は、端面の少なくとも一部の最表層に、M2B型析出物を含む共晶凝固組織からなる島状分散相を有する層を備える。上記層を備えることによって、熱間圧延時または冷間圧延時に端面で割れが発生するのを防止することが可能になる。
本発明に係るステンレス鋼板は、端面の少なくとも一部の最表層に、M2B型析出物を含む共晶凝固組織からなる島状分散相を有する層を備える。上記層を備えることによって、熱間圧延時または冷間圧延時に端面で割れが発生するのを防止することが可能になる。
図2は、本発明の一実施形態に係るステンレス鋼板の端面における断面写真である。図2から分かるように、鋼板の外側部分において、島状分散相が存在する。上記の島状分散相を有する層は、酸化性ガスをアシストガスとして用いて、端面をレーザー切断し、その後、酸洗することによって、鋼板端面の最表層に形成することができる。
図3は、鋼板端面をレーザー切断した後であって、酸洗を行っていない状態での断面写真である。レーザー切断によって、鋼板母材の端面上には、大きく分けて3種類の領域が形成される。それぞれの層について以下に詳しく説明する。
(A)酸化スケール領域
レーザー切断直後の鋼板端面の最表層である。アシストガスとして酸化性ガスを用いることにより、レーザー切断直後の鋼板の最表層には、Fe酸化物およびCr酸化物を主体とする酸化スケールが形成される。この酸化スケールは、レーザー切断過程で一部は飛散するが、切断後も図3に示すように残存する。ただし、次工程の酸洗処理によって除去される領域である。
レーザー切断直後の鋼板端面の最表層である。アシストガスとして酸化性ガスを用いることにより、レーザー切断直後の鋼板の最表層には、Fe酸化物およびCr酸化物を主体とする酸化スケールが形成される。この酸化スケールは、レーザー切断過程で一部は飛散するが、切断後も図3に示すように残存する。ただし、次工程の酸洗処理によって除去される領域である。
(B)完全溶融再凝固領域
酸化スケール領域の下層には、レーザー切断による熱で完全に溶融した後、再凝固した領域が存在する。図3に示すように、完全溶融再凝固領域は、液相と共存状態で析出した白色部分と、最終凝固過程で共晶反応により析出した黒色部分とからなる。白色部分は、フェライト単相、オーステナイト単相、またはフェライト相とオーステナイト相との二相からなる。そして、黒色部分はさらに、フェライト単相、オーステナイト単相、またはフェライト相とオーステナイト相との二相からなる白色部分と、M2Bの黒色部分とからなる。酸化スケールの形成によってCrが消費されるため、完全溶融再凝固領域の母相のCr含有量は鋼板母材の母相と比較して低くなる。そのため、完全溶融再凝固領域は耐食性が低下しており、次工程の酸洗処理によって除去される領域である。
酸化スケール領域の下層には、レーザー切断による熱で完全に溶融した後、再凝固した領域が存在する。図3に示すように、完全溶融再凝固領域は、液相と共存状態で析出した白色部分と、最終凝固過程で共晶反応により析出した黒色部分とからなる。白色部分は、フェライト単相、オーステナイト単相、またはフェライト相とオーステナイト相との二相からなる。そして、黒色部分はさらに、フェライト単相、オーステナイト単相、またはフェライト相とオーステナイト相との二相からなる白色部分と、M2Bの黒色部分とからなる。酸化スケールの形成によってCrが消費されるため、完全溶融再凝固領域の母相のCr含有量は鋼板母材の母相と比較して低くなる。そのため、完全溶融再凝固領域は耐食性が低下しており、次工程の酸洗処理によって除去される領域である。
(C)部分溶融再凝固領域
完全溶融再凝固領域のさらに下層の領域である。部分溶融再凝固領域では、レーザー切断による熱で融点の低いM2Bとその近傍のマトリックスのみが溶融し、その後の温度低下とともに溶融部のみが再凝固することとなる。黒色の島状分散相は、部分溶融および再凝固した部分であり、M2Bを含む共晶凝固組織からなる。なお、M2Bとその近傍のマトリックスのみが選択的に溶融する過程において鋼板中に微細分散していたM2Bは凝集するため、M2Bの分散密度は低下している。部分溶融再凝固領域では、鋼板母材の母相はM2Bの溶融とともにM2B周辺の部分は溶融するが大部分は鋼板母材のままである。
完全溶融再凝固領域のさらに下層の領域である。部分溶融再凝固領域では、レーザー切断による熱で融点の低いM2Bとその近傍のマトリックスのみが溶融し、その後の温度低下とともに溶融部のみが再凝固することとなる。黒色の島状分散相は、部分溶融および再凝固した部分であり、M2Bを含む共晶凝固組織からなる。なお、M2Bとその近傍のマトリックスのみが選択的に溶融する過程において鋼板中に微細分散していたM2Bは凝集するため、M2Bの分散密度は低下している。部分溶融再凝固領域では、鋼板母材の母相はM2Bの溶融とともにM2B周辺の部分は溶融するが大部分は鋼板母材のままである。
完全溶融再凝固領域に接する表層側においては、レーザー切断中の元素拡散が生じ、Cr含有量が低下する。しかし、母材側に近づくほどCr含有量の低下はわずかとなり、耐食性低下はほとんどみられない。次工程の酸洗処理によってもこの領域の大部分が溶損されない。すなわち、M2B型析出物を含む共晶凝固組織からなる島状分散相を有する層が表面に露出することとなる。
上述のように、部分溶融再凝固領域のうちでも表層側領域では、Cr含有量のわずかな低下に起因して延性が向上する。それに加えて、M2Bの凝集効果により、変形能のないM2B起点の割れ発生頻度は低下する。以上のように、表面に露出した島状分散相を有する層は、母材部分と比較して著しく延性に優れる。そのため、鋼板母材の端面の少なくとも一部の最表層に、上記島状分散相を有する層を備えることによって、端面割れを防止することが可能になる。
また、低Cr部分再凝固領域は、鋼板母材の端面上の少なくとも一部に形成されていればよいが、鋼板端面の全周にわたって形成されていることが好ましい。
3.鋼板の化学組成
各元素の限定理由は下記のとおりである。なお、以下の説明において含有量についての「%」は、「質量%」を意味する。
各元素の限定理由は下記のとおりである。なお、以下の説明において含有量についての「%」は、「質量%」を意味する。
本発明に係るステンレス鋼板は、上述のように鋼中にM2Bを析出させるため、Cr:16.0〜35.0%およびB:0.5〜1.0%を含有する。
また、鋼板の化学組成は、C:0.001〜0.2%、Si:0.01〜1.5%、Mn:0.01〜2.5%、P:0.035%以下、S:0.01%以下、Cr:16.0〜35.0%、Mo:0〜7.0%、Ni:0.01〜50.0%、Cu:0.01〜3.0%、N:0.001〜0.4%、V:0.3%以下、B:0.5〜1.0%、Al:0.001〜6.0%、W:0〜4.0%、Sn:0〜3.0%、REM:0〜0.1%、残部:Feおよび不純物であることが好ましい。
ここで「不純物」とは、鋼板を工業的に製造する際に用いる溶解原料、添加元素、スクラップ、製造工程の種々の要因によって混入する成分であって、本発明に悪影響を与えない範囲で許容されるものを意味する。
さらに、上述のように、本発明の鋼板は、フェライト系ステンレス鋼板であってもよいし、オーステナイト系ステンレス鋼板であってもよい。それぞれの化学組成について詳しく説明する。なお、フェライト相とオーステナイト相との二相組織であると、圧延材である鋼板の成形性に方向性が認められるようになるため、二相系ステンレス鋼板は固体高分子形燃料電池セパレータ用の薄鋼板としては適さない。
3−1.オーステナイト系ステンレス鋼板
C:0.005〜0.2%
Cは、母相の組織および組成、特に鋼中のCr含有量にもよるが、Cr主体のM23C6等のCr系炭化物として鋼中に析出することがある。C含有量を0.005%以上とすることによって、M23C6の析出量を十分に確保でき、接触抵抗特性が向上する。一方、Cを過度に含有させると製造性が著しく悪化する。そのため、C含有量は0.005〜0.2%とする。C含有量は0.015%以上であるのが好ましい。
C:0.005〜0.2%
Cは、母相の組織および組成、特に鋼中のCr含有量にもよるが、Cr主体のM23C6等のCr系炭化物として鋼中に析出することがある。C含有量を0.005%以上とすることによって、M23C6の析出量を十分に確保でき、接触抵抗特性が向上する。一方、Cを過度に含有させると製造性が著しく悪化する。そのため、C含有量は0.005〜0.2%とする。C含有量は0.015%以上であるのが好ましい。
Si:0.01〜1.5%
Siは、量産鋼においてはAlと同様に有効な脱酸元素である。Si含有量が0.01%未満では脱酸が不安定となるばかりでなく、Al添加量が多くなり製造コストが嵩むようになる。鋼板表面疵も発生しやすくなる。一方、Si含有量が1.5%を超えると成形性が低下する。そのため、Si含有量は0.01〜1.5%とする。
Siは、量産鋼においてはAlと同様に有効な脱酸元素である。Si含有量が0.01%未満では脱酸が不安定となるばかりでなく、Al添加量が多くなり製造コストが嵩むようになる。鋼板表面疵も発生しやすくなる。一方、Si含有量が1.5%を超えると成形性が低下する。そのため、Si含有量は0.01〜1.5%とする。
Mn:0.01〜2.5%
Mnは、鋼中のSをMn系硫化物として固定する作用があり、熱間加工性を改善する効果がある。Mn含有量が0.01%未満では上記効果は得られない。一方、Mn含有量が2.5%を超えると、上記の効果は飽和する。そのため、Mn含有量は0.01〜2.5%とする。
Mnは、鋼中のSをMn系硫化物として固定する作用があり、熱間加工性を改善する効果がある。Mn含有量が0.01%未満では上記効果は得られない。一方、Mn含有量が2.5%を超えると、上記の効果は飽和する。そのため、Mn含有量は0.01〜2.5%とする。
P:0.035%以下
Pは、Sと並んで有害な不純物元素である。P含有量が0.035%を超えると、製造性が低下する。そのため、P含有量は0.035%以下とする。製造性の観点より、P含有量は、0.030%以下であることが好ましい。
Pは、Sと並んで有害な不純物元素である。P含有量が0.035%を超えると、製造性が低下する。そのため、P含有量は0.035%以下とする。製造性の観点より、P含有量は、0.030%以下であることが好ましい。
S:0.01%以下
Sは、耐食性にとって極めて有害な不純物元素である。このため、S含有量は0.01%以下とする。Sは、鋼中共存元素および鋼中のS量に応じて、Mn系硫化物、Fe系硫化物、または、これらの複合硫化物および酸化物との複合非金属析出物として、そのほとんどが析出している。
Sは、耐食性にとって極めて有害な不純物元素である。このため、S含有量は0.01%以下とする。Sは、鋼中共存元素および鋼中のS量に応じて、Mn系硫化物、Fe系硫化物、または、これらの複合硫化物および酸化物との複合非金属析出物として、そのほとんどが析出している。
固体高分子型燃料電池のセパレータ環境においては、いずれの組成の硫化物系非金属析出物であっても、程度の差はあるものの腐食の起点として作用し、不動態皮膜の維持、金属イオン溶出抑制にとって有害である。通常の量産鋼のS含有量は、0.005%超〜0.008%前後であるが、上記の有害な影響を抑制するためには、S含有量は0.003%以下であるのが好ましく、0.002%以下であるのがより好ましく、0.001%未満であるのがさらに好ましい。S含有量は低ければ低い程、望ましい。工業的量産レベルで、S含有量を0.001%未満とすることは、現状の精錬技術をもってすれば、わずかな製造コストの上昇で可能である。
Cr:16.0〜30.0%
Crは、母材の耐食性を確保する上で極めて重要な基本合金元素である。Cr含有量は高いほど高耐食性を示す。また、鋼板中にM2Bを析出させるためにも、Crを含有させる必要がある。一方、Cr含有量が30.0%を超えると量産規模での生産が難しくなる。そのため、Cr含有量は16.0〜30.0%とする。
Crは、母材の耐食性を確保する上で極めて重要な基本合金元素である。Cr含有量は高いほど高耐食性を示す。また、鋼板中にM2Bを析出させるためにも、Crを含有させる必要がある。一方、Cr含有量が30.0%を超えると量産規模での生産が難しくなる。そのため、Cr含有量は16.0〜30.0%とする。
なお、M23C6を析出させる場合にも、Crは必要な元素である。M2BおよびM23C6が析出することにより、母相中で耐食性向上に寄与するCr濃度が、溶鋼段階でのCr濃度に比べて低下して耐食性が低下する場合がある。固体高分子形燃料電池内部での耐食性を確保するためには、下記(i)式を満足することが好ましい。
24.0≦Cr+3×Mo−2.5×B−17×C≦45.0 ・・・(i)
但し、式中の各元素記号は、鋼板中に含まれる各元素の含有量(質量%)を意味する。
24.0≦Cr+3×Mo−2.5×B−17×C≦45.0 ・・・(i)
但し、式中の各元素記号は、鋼板中に含まれる各元素の含有量(質量%)を意味する。
Mo:0〜7.0%
Moは、Crに比べて少量で耐食性を改善する効果がある。固体高分子形燃料電池内は腐食環境として厳しい環境であるので、必要に応じてMoを含有させてもよい。また、Moは溶出したとしても、アノードおよびカソード部に担持されている触媒の性能に対する影響が比較的軽微である。このことは、溶出したMoが、陰イオンであるモリブデン酸イオンとして存在するため、水素イオン(プロトン)交換基を有するフッ素系イオン交換樹脂膜のプロトン伝導性を阻害する影響が小さいためと考えられる。
Moは、Crに比べて少量で耐食性を改善する効果がある。固体高分子形燃料電池内は腐食環境として厳しい環境であるので、必要に応じてMoを含有させてもよい。また、Moは溶出したとしても、アノードおよびカソード部に担持されている触媒の性能に対する影響が比較的軽微である。このことは、溶出したMoが、陰イオンであるモリブデン酸イオンとして存在するため、水素イオン(プロトン)交換基を有するフッ素系イオン交換樹脂膜のプロトン伝導性を阻害する影響が小さいためと考えられる。
しかし、7.0%を超える量のMoを含有させると、製造途中でシグマ相等の金属間化合物の析出回避が困難となり、鋼の脆化の問題から生産が困難となる。また、Moは高価な添加元素である。そのため、Mo含有量は7.0%以下とする。上記効果を得るためには、Mo含有量は、0.4%以上であるのが好ましい。
Ni:7.0〜50.0%
Niは、オーステナイト形成元素であるため、7.0%以上含有させる。しかし、Niは高価な元素であるため、50.0%を超えて含有させるとコストが嵩むばかりで効果は飽和する。また、製造性も低下する。そのため、Ni含有量は7.0〜50.0%とする。
Niは、オーステナイト形成元素であるため、7.0%以上含有させる。しかし、Niは高価な元素であるため、50.0%を超えて含有させるとコストが嵩むばかりで効果は飽和する。また、製造性も低下する。そのため、Ni含有量は7.0〜50.0%とする。
Cu:0.01〜3.0%
Cuはオーステナイト形成元素であるため、0.01%以上含有させる。しかし、Cu含有量が3.0%を超えると耐食性が低下する場合がある。そのため、Cu含有量は0.01〜3.0%とする。なお、Cuは母相に固溶していることが必要である。金属系析出物として分散すると燃料電池内での腐食起点となり電池性能低下をもたらす。
Cuはオーステナイト形成元素であるため、0.01%以上含有させる。しかし、Cu含有量が3.0%を超えると耐食性が低下する場合がある。そのため、Cu含有量は0.01〜3.0%とする。なお、Cuは母相に固溶していることが必要である。金属系析出物として分散すると燃料電池内での腐食起点となり電池性能低下をもたらす。
N:0.001〜0.4%
Nは、最も安価なオーステナイト形成元素であるため、0.001%以上含有させる。しかし、N含有量が0.4%を超えると、製造性が顕著に低下するとともに、薄板加工性も著しく低下する。そのため、N含有量は0.001〜0.4%とする。
Nは、最も安価なオーステナイト形成元素であるため、0.001%以上含有させる。しかし、N含有量が0.4%を超えると、製造性が顕著に低下するとともに、薄板加工性も著しく低下する。そのため、N含有量は0.001〜0.4%とする。
V:0.3%以下
Vは、量産時に用いる溶解原料として添加するCr源中に不可避的に含有されている。Vは意図的に添加する必要はないが、含有量の過度の低減はコストの増大を招く。そのため、V含有量は0.3%以下とする。
Vは、量産時に用いる溶解原料として添加するCr源中に不可避的に含有されている。Vは意図的に添加する必要はないが、含有量の過度の低減はコストの増大を招く。そのため、V含有量は0.3%以下とする。
B:0.5〜1.0%
Bは、Cと同様に重要な元素である。溶鋼段階で添加したBは、凝固時点で共晶反応により、ほぼ全量がM2B型として析出する。鋼板中に析出、分散し、表面に露出したM2Bは、表面の導電性を改善するとともに、M23C6を析出制御するための析出核としての役割も果たす。0.5%未満ではM2Bとして析出量が少なく表面の導電性確保が難しい。一方、1.0%を超えて含有させると延性が著しく低下して鋼板の製造が困難となる。そのため、B含有量は0.5〜1.0%とする。
Bは、Cと同様に重要な元素である。溶鋼段階で添加したBは、凝固時点で共晶反応により、ほぼ全量がM2B型として析出する。鋼板中に析出、分散し、表面に露出したM2Bは、表面の導電性を改善するとともに、M23C6を析出制御するための析出核としての役割も果たす。0.5%未満ではM2Bとして析出量が少なく表面の導電性確保が難しい。一方、1.0%を超えて含有させると延性が著しく低下して鋼板の製造が困難となる。そのため、B含有量は0.5〜1.0%とする。
Al:0.001〜0.2%
Alは、脱酸元素として溶鋼段階で添加する。必須で含有させるBは溶鋼中酸素との結合力が強い元素であるので、Al脱酸により溶鋼中酸素濃度を十分に下げておく必要がある。そのため、Al含有量は0.001〜0.2%とする。
Alは、脱酸元素として溶鋼段階で添加する。必須で含有させるBは溶鋼中酸素との結合力が強い元素であるので、Al脱酸により溶鋼中酸素濃度を十分に下げておく必要がある。そのため、Al含有量は0.001〜0.2%とする。
W:0〜4.0%
Wは、耐食性改善元素であるため、必要に応じて含有させてもよい。たとえ、腐食により溶出したとしても、Moと同様に陽イオンとして存在せず、陰イオンであるタングステン酸イオンとして存在する。水素イオン(プロトン)交換基を有するフッ素系イオン交換樹脂膜の陽イオン伝導性に対する影響が小さい特性を有する。しかし、4.0%を超える量のWを含有させると、延性が低下して加工性が低下する。そのため、W含有量は4.0%以下とする。上記の効果を得るためには、W含有量は0.01%以上であることが好ましい。
Wは、耐食性改善元素であるため、必要に応じて含有させてもよい。たとえ、腐食により溶出したとしても、Moと同様に陽イオンとして存在せず、陰イオンであるタングステン酸イオンとして存在する。水素イオン(プロトン)交換基を有するフッ素系イオン交換樹脂膜の陽イオン伝導性に対する影響が小さい特性を有する。しかし、4.0%を超える量のWを含有させると、延性が低下して加工性が低下する。そのため、W含有量は4.0%以下とする。上記の効果を得るためには、W含有量は0.01%以上であることが好ましい。
Sn:0〜3.0%
Snは、硫酸酸性環境である固体高分子形燃料電池内での耐食性能を改善する働きがあるため、必要に応じて含有させてもよい。しかし、Sn含有量が3.0%を超えると、製造性が著しく低下する。そのため、Sn含有量は3.0%以下とする。上記の効果を得るためには、Sn含有量は0.01%以上であることが好ましい。
Snは、硫酸酸性環境である固体高分子形燃料電池内での耐食性能を改善する働きがあるため、必要に応じて含有させてもよい。しかし、Sn含有量が3.0%を超えると、製造性が著しく低下する。そのため、Sn含有量は3.0%以下とする。上記の効果を得るためには、Sn含有量は0.01%以上であることが好ましい。
REM:0〜0.1%
REM(希土類元素)は、熱間製造性を改善する効果を有するため、必要に応じて含有させてもよい。しかし、過度の含有は、製造コストの増加につながる。そのため、REM含有量は0.1%以下とする。上記の効果を得るためには、REM含有量は0.001%以上であることが好ましい。
REM(希土類元素)は、熱間製造性を改善する効果を有するため、必要に応じて含有させてもよい。しかし、過度の含有は、製造コストの増加につながる。そのため、REM含有量は0.1%以下とする。上記の効果を得るためには、REM含有量は0.001%以上であることが好ましい。
ここで、本発明において、REMはSc、Yおよびランタノイドの合計17元素を指し、前記REMの含有量はこれらの元素の合計含有量を意味する。なお、ランタノイドは、工業的には、ミッシュメタルの形で添加される。
3−2.フェライト系ステンレス鋼板
C:0.001〜0.15%
Cは、母相の組織および組成、特に鋼中のCr含有量にもよるが、Cr主体のM23C6等のCr系炭化物として鋼中に析出することがある。C含有量を0.001%以上とすることによって、M23C6が析出して接触抵抗特性が向上するようになる。一方、Cを過度に含有させると製造性が著しく悪化する。そのため、C含有量は0.001〜0.15%とする。C含有量は0.015%以上であるのが好ましく、0.12%以下であるのが好ましい。
C:0.001〜0.15%
Cは、母相の組織および組成、特に鋼中のCr含有量にもよるが、Cr主体のM23C6等のCr系炭化物として鋼中に析出することがある。C含有量を0.001%以上とすることによって、M23C6が析出して接触抵抗特性が向上するようになる。一方、Cを過度に含有させると製造性が著しく悪化する。そのため、C含有量は0.001〜0.15%とする。C含有量は0.015%以上であるのが好ましく、0.12%以下であるのが好ましい。
Si:0.01〜1.5%
Siは、量産鋼においてはAlと同様に有効な脱酸元素である。Si含有量が0.01%未満では脱酸が不安定となるばかりでなく、Al添加量が多くなり製造コストが嵩むようになる。また、鋼板表面疵も発生しやすくなる。一方、Si含有量が1.5%を超えると成形性が低下する。そのため、Si含有量は0.01〜1.5%とする。
Siは、量産鋼においてはAlと同様に有効な脱酸元素である。Si含有量が0.01%未満では脱酸が不安定となるばかりでなく、Al添加量が多くなり製造コストが嵩むようになる。また、鋼板表面疵も発生しやすくなる。一方、Si含有量が1.5%を超えると成形性が低下する。そのため、Si含有量は0.01〜1.5%とする。
Mn:0.01〜1.0%
Mnは、鋼中のSをMn系硫化物として固定する作用があり、熱間加工性を改善する効果がある。Mn含有量が0.01%未満では上記効果は得られない。一方、Mn含有量が1.0%を超えると、上記の効果は飽和する。そのため、Mn含有量は0.01〜1.0%とする。
Mnは、鋼中のSをMn系硫化物として固定する作用があり、熱間加工性を改善する効果がある。Mn含有量が0.01%未満では上記効果は得られない。一方、Mn含有量が1.0%を超えると、上記の効果は飽和する。そのため、Mn含有量は0.01〜1.0%とする。
P:0.035%以下
Pは、Sと並んで有害な不純物元素である。P含有量が0.035%を超えると、製造性が低下する。そのため、P含有量は0.035%以下とする。
Pは、Sと並んで有害な不純物元素である。P含有量が0.035%を超えると、製造性が低下する。そのため、P含有量は0.035%以下とする。
S:0.01%以下
Sは、耐食性にとって極めて有害な不純物元素である。このため、S含有量は0.01%以下とする。Sは、鋼中共存元素および鋼中のS量に応じて、Mn系硫化物、Fe系硫化物、または、これらの複合硫化物および酸化物との複合非金属析出物として、そのほとんどが析出している。
Sは、耐食性にとって極めて有害な不純物元素である。このため、S含有量は0.01%以下とする。Sは、鋼中共存元素および鋼中のS量に応じて、Mn系硫化物、Fe系硫化物、または、これらの複合硫化物および酸化物との複合非金属析出物として、そのほとんどが析出している。
固体高分子型燃料電池のセパレータ環境においては、いずれの組成の硫化物系非金属析出物であっても、程度の差はあるものの腐食の起点として作用し、不動態皮膜の維持、金属イオン溶出抑制にとって有害である。通常の量産鋼のS含有量は、0.005%超〜0.008%前後であるが、上記の有害な影響を抑制するためには、S含有量は0.003%以下であるのが好ましく、0.002%以下であるのがより好ましく、0.001%未満であるのがさらに好ましい。S含有量は低ければ低い程、望ましい。工業的量産レベルで、S含有量を0.001%未満とすることは、現状の精錬技術をもってすれば、わずかな製造コストの上昇で可能である。
Cr:22.5〜35.0%
Crは、母材の耐食性を確保する上で極めて重要な基本合金元素である。Cr含有量は高いほど高耐食性を示す。また、鋼板中にM2Bを析出させるためにも、Crを含有させる必要がある。一方、Cr含有量が35.0%を超えると量産規模での生産が難しくなる。そのため、Cr含有量は22.5〜35.0%とする。
Crは、母材の耐食性を確保する上で極めて重要な基本合金元素である。Cr含有量は高いほど高耐食性を示す。また、鋼板中にM2Bを析出させるためにも、Crを含有させる必要がある。一方、Cr含有量が35.0%を超えると量産規模での生産が難しくなる。そのため、Cr含有量は22.5〜35.0%とする。
なお、M23C6を析出させる場合にも、Crは必要な元素である。M2BおよびM23C6が析出することにより、母相中で耐食性向上に寄与するCr濃度が、溶鋼段階でのCr濃度に比べて低下して耐食性が低下する場合がある。固体高分子形燃料電池内部での耐食性を確保するためには、下記(i)式を満足することが好ましい。
24.0≦Cr+3×Mo−2.5×B−17×C≦45.0 ・・・(i)
24.0≦Cr+3×Mo−2.5×B−17×C≦45.0 ・・・(i)
Mo:0〜6.0%
Moは、Crに比べて少量で耐食性を改善する効果がある。固体高分子形燃料電池内は腐食環境として厳しい環境であるので、必要に応じてMoを含有させてもよい。また、Moは溶出したとしても、アノードおよびカソード部に担持されている触媒の性能に対する影響が比較的軽微である。このことは、溶出したMoが、陰イオンであるモリブデン酸イオンとして存在するため、水素イオン(プロトン)交換基を有するフッ素系イオン交換樹脂膜のプロトン伝導性を阻害する影響が小さいためと考えられる。
Moは、Crに比べて少量で耐食性を改善する効果がある。固体高分子形燃料電池内は腐食環境として厳しい環境であるので、必要に応じてMoを含有させてもよい。また、Moは溶出したとしても、アノードおよびカソード部に担持されている触媒の性能に対する影響が比較的軽微である。このことは、溶出したMoが、陰イオンであるモリブデン酸イオンとして存在するため、水素イオン(プロトン)交換基を有するフッ素系イオン交換樹脂膜のプロトン伝導性を阻害する影響が小さいためと考えられる。
しかし、6.0%を超える量のMoを含有させると、製造途中でシグマ相等の金属間化合物の析出回避が困難となり、鋼の脆化の問題から生産が困難となる。また、Moは高価な添加元素である。そのため、Mo含有量は6.0%以下とする。上記効果を得るためには、Mo含有量は、0.4%以上であるのが好ましい。
Ni:0.01〜6.0%
Niは、耐食性、靭性を改善する元素である。しかし、Ni含有量が6.0%を超えると、工業的に熱処理を施してもフェライト単相組織とすることが困難となる。そのため、Ni含有量は0.01〜6.0%とする。
Niは、耐食性、靭性を改善する元素である。しかし、Ni含有量が6.0%を超えると、工業的に熱処理を施してもフェライト単相組織とすることが困難となる。そのため、Ni含有量は0.01〜6.0%とする。
Cu:0.01〜1.0%
Cuは溶解原料より不可避的に0.01%以上混入する。0.01%未満で溶解することは可能であるが、製造コストが嵩む。Cu含有量が1.0%を超えると、熱間での加工性を減ずることとなり、量産性の確保が難しくなる。そのため、Cu含有量は0.01〜1.0%とする。なお、Cuは母相に固溶していることが必要である。金属系析出物として分散すると燃料電池内での腐食起点となり電池性能低下をもたらす。
Cuは溶解原料より不可避的に0.01%以上混入する。0.01%未満で溶解することは可能であるが、製造コストが嵩む。Cu含有量が1.0%を超えると、熱間での加工性を減ずることとなり、量産性の確保が難しくなる。そのため、Cu含有量は0.01〜1.0%とする。なお、Cuは母相に固溶していることが必要である。金属系析出物として分散すると燃料電池内での腐食起点となり電池性能低下をもたらす。
N:0.06%以下
Nは、不純物として鋼板中に含まれ、常温靭性を劣化させる元素である。そのため、N含有量は0.06%以下とする。工業的にはN含有量は0.04%以下とすることが望ましい。
Nは、不純物として鋼板中に含まれ、常温靭性を劣化させる元素である。そのため、N含有量は0.06%以下とする。工業的にはN含有量は0.04%以下とすることが望ましい。
V:0.01〜0.3%
Vは、常温靭性を改善する効果を有する元素である。しかし、V含有量が0.3%と過剰であると伸びが低下するので、V含有量は0.01〜0.3%とする。
Vは、常温靭性を改善する効果を有する元素である。しかし、V含有量が0.3%と過剰であると伸びが低下するので、V含有量は0.01〜0.3%とする。
B:0.5〜1.0%
Bは、Cと同様に重要な元素である。溶鋼段階で添加したBは、凝固時点で共晶反応により、ほぼ全量がM2B型として析出する。鋼板中に析出、分散し、表面に露出したM2Bは、表面の導電性を改善するとともに、M23C6を析出制御するための析出核としての役割も果たす。B含有量が0.5%未満では、M2Bの析出量が少なく表面の導電性確保が難しい。一方、1.0%を超えて含有させると延性が著しく低下して鋼板の製造が困難となる。そのため、B含有量は0.5〜1.0%とする。
Bは、Cと同様に重要な元素である。溶鋼段階で添加したBは、凝固時点で共晶反応により、ほぼ全量がM2B型として析出する。鋼板中に析出、分散し、表面に露出したM2Bは、表面の導電性を改善するとともに、M23C6を析出制御するための析出核としての役割も果たす。B含有量が0.5%未満では、M2Bの析出量が少なく表面の導電性確保が難しい。一方、1.0%を超えて含有させると延性が著しく低下して鋼板の製造が困難となる。そのため、B含有量は0.5〜1.0%とする。
Al:0.001〜6.0%
Alはフェライト形成元素であることに加えて、有効な脱酸元素である。必須で含有させるBは溶鋼中酸素との結合力が強い元素であるため、Al脱酸により溶鋼中の酸素濃度を十分に下げておく必要がある。そのため、Alを0.001%以上含有させる必要がある。一方、6.0%を超える量のAlを含有させると、鋼材表面に導電性に劣るアルミ酸化皮膜が生成しやすくなるとともに、製造コストが嵩む。そのため、Al含有量は0.001〜6.0%とする。
Alはフェライト形成元素であることに加えて、有効な脱酸元素である。必須で含有させるBは溶鋼中酸素との結合力が強い元素であるため、Al脱酸により溶鋼中の酸素濃度を十分に下げておく必要がある。そのため、Alを0.001%以上含有させる必要がある。一方、6.0%を超える量のAlを含有させると、鋼材表面に導電性に劣るアルミ酸化皮膜が生成しやすくなるとともに、製造コストが嵩む。そのため、Al含有量は0.001〜6.0%とする。
W:0〜4.0%
Wは、耐食性改善元素であるため、必要に応じて含有させてもよい。たとえ、腐食により溶出したとしても、Moと同様に陽イオンとして存在せず、陰イオンであるタングステン酸イオンとして存在する。水素イオン(プロトン)交換基を有するフッ素系イオン交換樹脂膜の陽イオン伝導性に対する影響が小さい特性を有する。しかし、4.0%を超える量のWを含有させると、延性が低下して加工性が低下する。そのため、W含有量は4.0%以下とする。上記の効果を得るためには、W含有量は0.01%以上であることが好ましい。
Wは、耐食性改善元素であるため、必要に応じて含有させてもよい。たとえ、腐食により溶出したとしても、Moと同様に陽イオンとして存在せず、陰イオンであるタングステン酸イオンとして存在する。水素イオン(プロトン)交換基を有するフッ素系イオン交換樹脂膜の陽イオン伝導性に対する影響が小さい特性を有する。しかし、4.0%を超える量のWを含有させると、延性が低下して加工性が低下する。そのため、W含有量は4.0%以下とする。上記の効果を得るためには、W含有量は0.01%以上であることが好ましい。
Sn:0〜3.0%
Snは、硫酸酸性環境である固体高分子形燃料電池内での耐食性能を改善する働きがあるため、必要に応じて含有させてもよい。しかし、Sn含有量が3.0%を超えると、製造性が著しく低下する。そのため、Sn含有量は3.0%以下とする。上記の効果を得るためには、Sn含有量は0.01%以上であることが好ましい。
Snは、硫酸酸性環境である固体高分子形燃料電池内での耐食性能を改善する働きがあるため、必要に応じて含有させてもよい。しかし、Sn含有量が3.0%を超えると、製造性が著しく低下する。そのため、Sn含有量は3.0%以下とする。上記の効果を得るためには、Sn含有量は0.01%以上であることが好ましい。
REM:0〜0.1%
REM(希土類元素)は、熱間製造性を改善する効果を有するため、必要に応じて含有させてもよい。しかし、過度の含有は、製造コストの増加につながる。そのため、REM含有量は0.1%以下とする。上記の効果を得るためには、REM含有量は0.001%以上であることが好ましい。
REM(希土類元素)は、熱間製造性を改善する効果を有するため、必要に応じて含有させてもよい。しかし、過度の含有は、製造コストの増加につながる。そのため、REM含有量は0.1%以下とする。上記の効果を得るためには、REM含有量は0.001%以上であることが好ましい。
ここで、本発明において、REMはSc、Yおよびランタノイドの合計17元素を指し、前記REMの含有量はこれらの元素の合計含有量を意味する。なお、ランタノイドは、工業的には、ミッシュメタルの形で添加される。
4.鋼板の製造方法
鋼板の製造条件について特に制限はない。例えば、上記の化学組成を有する鋼に対して、熱延工程、焼鈍工程、冷延工程および最終焼鈍工程を順に行うことによって製造することができる。
鋼板の製造条件について特に制限はない。例えば、上記の化学組成を有する鋼に対して、熱延工程、焼鈍工程、冷延工程および最終焼鈍工程を順に行うことによって製造することができる。
続いて、鋼板の端面をレーザー切断(溶断)する。レーザー切断は、特殊な仕様の切断機を用いて行う必要はない。市販されているレーザー切断機で、所望の含B含有ステンレス鋼の厚板、熱延コイル等を溶断できるものであればよい。
レーザー切断機の一例として、CO2レーザーを用いる小池酸素工業製『LASERTEX−Z』、または『LASERTEX−TRZ』が挙げられる。例えば、最大出力4000Wの定格出力を有する炭酸ガスレーザー発振機を有する『LASERTEX−Z』では20mmまで、そして、最大出力6000Wの定格出力を有する炭酸ガスレーザー発振機を有する『LASERTEX−TRZ』では30mmまでのステンレス鋼材の切断が可能である。
大出力のレーザー発振機としては、炭酸ガスレーザー以外にもYAG(Yttrium Aluminum Garnet:Y3Al5O12)レーザーがある。YAGレーザーを用いてもよい。両レーザー発振機ともに技術進歩が速いので、技術革新による高出力化に伴い、切断可能なステンレス素材厚みもさらに厚くなると期待できる。
なお、本発明のステンレス鋼板の板厚について制限は設けないが、板厚が1.8mm以上である場合に特に端面割れが生じやすくなるため、本発明の効果が得られやすくなる。板厚上限についても特に制限はないが、レーザー切断機の性能を考慮し30mm以下とするのが好ましい。
鋼板の端面の全周にわたって、上面から下面までレーザー切断されていることが最も望ましいが、端面割れは端面エッジ部から発生しやすいという傾向がある。端面上面側ならびに端面下面側のエッジ部がレーザー切断されていれば、板厚の中心部がレーザー溶断面でなくとも、改善された本発明効果が得られると期待される。
ステンレス鋼板のレーザー切断では、切断面酸化防止を目的に窒素ガスをアシストガス(いわゆる溶融金属を吹き飛ばすためのガス)として用いる“無酸化切断”と呼ばれる切断法が最適とされている。しかし、本発明においては、アシストガスとして酸化性ガスを用いる。酸化性ガスの種類について特に制限は設けないが、酸素よりも空気を用いることが望ましい。
酸化性ガスである空気を用いることにより、切断端面の表面は厚い酸化スケール(スラッジ)で覆われる。この際、ステンレス鋼板中のCrが酸化されてスケール化することにより、酸化スケール直下の鋼板端面部のCr濃度が顕著に低下することとなる。低Cr化は、延性改善に効果があり、端面割れ防止に非常に大きな効果がある。
そして、レーザー切断後の端面に対して酸洗処理を施す。酸洗条件については特に制限はないが、例えば、30〜70℃の7〜15%硝酸+3〜10%ふっ酸水溶液中に、5〜30分程度浸漬することが好ましい。
以下、実施例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
表1に示す化学組成を有する鋼No.1〜6を180kg真空溶解炉にて溶解し、最大厚み80mmの扁平インゴットに造塊した。
造塊後のインゴットは、室温まで放冷後に都市ガスバーナー燃焼の加熱炉内で1180℃まで加熱して2時間保持した後に、28mm厚さまで熱間鍛造を行った。凝固組織が破壊された状態であり、析出しているM2Bも破砕された状態にあるが、M2Bは未だ析出物としては大きな粒径の状態であった。
そのうちの一部(表2中の試験No.1、6、11、16、21および26)については、切断、表面疵除去のための表面削りおよび端面削り、さらに切断の機械加工を行い、厚さ18mm、幅120mm、長さ110mmの熱間圧延性評価用鍛造素材とした。また、残り(表2中の試験No.2〜5、7〜10、12〜15、17〜20、22〜25および27〜30)については、機械加工および長辺側端面のレーザー切断加工により作製した。そして、機械加工のみで加工した素材とほぼ同じ大きさである厚さ18mm、幅120(±2)mm、長さ110mmの熱間圧延性評価用鍛造素材とした。
熱間圧延性評価用鍛造素材の長辺側端面のレーザー切断加工は、小池酸素工業製『LASERTEX−Z』を用いて行った。レーザー発振用混合ガスには、市販されている60vol%He−33vol%N2−7vol%CO2混合ガスを用いた。流量は20L/hとした。また、レーザー発振機の周波数は2000Hzとし、Duty Ratio(レーザーの出力が出ている“ON”の時間と、出ていない“OFF”の時間の比率)は30%とした。出力は2500Wで調整を行い、送り速度は600cm/minで調整した。
アシストガスとしては、酸素、空気、窒素、またはAr+10%He混合ガスのいずれかを用いた。レーザー切断後には、10%硝酸−5%フッ酸水溶液中での酸洗により、表面スケールを除去した。酸洗後に、端面の断面組織を光学顕微鏡観察し、端面での分散相の有無を調べた。そして、端面表面に露出している組織が図3に示したB:完全溶融再凝固領域であるか、C:部分溶融再凝固領域であるかを判定するとともに、端面割れの発生状況を判定した。判定結果をまとめて表2に示す。
その後、熱間圧延性評価用鍛造素材を電気炉中で1180℃に加熱、保持した後に、最大許容荷重500トンの4段ロール式熱間圧延機を用いて、板厚1.8(±0.2)mmまで熱間圧延を行った。熱間圧延を実施した温度範囲は、1150℃から860℃の温度域であり、熱間圧延後は鉄板上で放冷した。そして、熱間圧延後の長辺側端面の割れ状況の判定を行った。これらの結果をまとめて表2に示す。
端面割れ状況に関しては、割れが全く認められなかった場合を「◎」、端面よりの割れ深さが1mm以下である微小な割れが発生したものの許容できる範囲である場合を「○」、端面よりの割れ深さが1mm超え10mm未満である場合を「△」、端面よりの割れ深さが10mm以上であって目標とする板厚1.8(±0.2)mmまでの圧延継続が困難であると判断した場合を「×」、として表記している。本発明においては、◎または○である場合を合格、△または×である場合を不合格と判断した。
表2にから分かるように、機械加工を行った場合または非酸化性ガスをアシストガスとしてレーザー切断を行った場合には、圧延途中で端面に割れが生じた。それに対して、酸化性ガスをアシストガスとしてレーザー切断を行った場合には、割れが生じないか許容できる程度の微小なものであった。
実施例1において、4.6mmまで端面割れなしで熱間圧延可能であった鋼材のみ、再度、両端面を機械加工またはレーザー切断し、その後に、酸洗を行い、上下一段ロール方式の80トン実験室規模冷間圧延機で冷間圧延した。なお、レーザー切断条件は実施例1と同一である。
冷間圧延最終板厚は1.0(±0.010)mm(総圧下率78.2%)とし、中間焼鈍なしで最終目標板厚までシート圧延した。圧延機出側での張力負荷は行っていない。ロール径は216mmφであった。冷間圧延結果を表3に示す。
端面割れ状況に関しては、割れが全く認められなかった場合を「◎」、端面よりの割れ深さが0.5mm以下である微小な割れが発生したものの許容できる範囲である場合を「○」、端面よりの割れ深さが1mm超え3mm未満である場合を「△」、端面よりの割れ深さが3mm以上であって目標とする板厚1.0(±0.010)mmまでの圧延継続が困難であると判断した場合を「×」として表記している。本発明においては、◎または○である場合を合格、△または×である場合を不合格と判断した。
表3から分かるように、酸化性ガスをアシストガスとしてレーザー切断を行った本発明例では、冷間加工を施した場合であっても、割れが生じないか許容できる程度の微小なものであった。
表1に示す化学組成を有する鋼No.7を溶解規模80トンで量産製造したオーステナイト系ステンレス鋼の熱間圧延コイルを用いて、コイル端面におけるレーザー切断効果を量産規模で検証した。熱間圧延コイルは空冷により室温まで冷却したままであり、コイル板厚は、3.8mm、2.2mmの2水準である。比較として量産コイルに適用する最も一般的な機械式切断方式であるギャングスリッターによりコイル全長にわたってコイル幅を減ずるスリット処理を行ったコイルを準備した。いずれのコイルにおいても目視で判別できるような割れは、微小な割れを含めてコイル全長にわたって確認できなかった。なお、コイル単重は、各4トンである。
レーザー切断は、コイル巻き出し、巻き取り能力のあるコイル展開ラインに設置した小池酸素工業製『LASERTEX−Z』を用いて行った。レーザー切断機はコイル両端位置にそれぞれ1台が設置されており、コイルを1パスさせることで、コイルの両端面を同時にレーザー切断スリット加工可能である。レーザー切断条件は実施例1および2と同一である。
レーザー切断後には、都市ガス燃焼方式のコイル専用連続焼鈍・酸洗ラインで焼鈍および脱スケール処理を行った。酸洗後に、端面表面ならびに断面の光学顕微鏡観察を行い、M2B相を含む共晶凝固組織からなる分散相の有無を調べた。そして、端面表面に露出している組織が図3に示したB:完全溶融再凝固領域であるか、C:部分溶融再凝固領域であるかを判定するとともに、端面割れの発生状況を判定した。判定結果をまとめて表4に示す。
端面割れ状況に関しては、割れが全く認められなかった場合を「◎」、端面よりの割れ深さが0.5mm以下である微小な割れが発生したものの許容できる範囲である場合を「○」、端面よりの割れ深さが1mm超え3mm未満である場合を「△」として表記している。◎または○である場合を合格、△である場合を不合格と判断した。本実施例においては、すべての試験条件で割れは確認できなかった。
その後、各素材について、20段ゼンジミア圧延機で冷間圧延した。ワークロール径は58mmφであり、コイル幅は860mmであった。総圧下率は板厚減にて最大50%とした。コイル端面割れが予想されるため、圧延速度は低速とした。圧延機出側のコイル負荷張力は制御が可能な範囲で低めに制御した。
初回の冷間圧延で、不合格となるような端面割れが認められないコイルのみを、冷間圧延コイル専用の量産規模連続焼鈍ラインで中間焼鈍処理、酸洗処理した後に、二度目の冷間圧延処理を行った。用いた冷間圧延機は、初回に用いた20段ゼンジミア圧延機である。これまでは、不可避であった中間焼鈍処理後の端面スリット処理は省略した。総圧下率は、初期の板厚によらず、80%とした。そして、冷間圧延後の端面の割れ状況の判定を行った。これらの結果をまとめて表4に示す。
端面割れ状況に関しては、割れが全く認められなかった場合を「◎」、端面よりの割れ深さが0.5mm以下である微小な割れが発生したものの許容できる範囲である場合を「○」、端面よりの割れ深さが0.5mm超え2mm未満である場合を「△」として表記している。本発明においては、◎または○である場合を合格、△である場合を不合格と判断した。
表4から分かるように、酸化性ガスをアシストガスとしてレーザー切断を行った本発明例では、量産規模での冷間加工を施した場合であっても、割れが生じないか許容できる程度の微小なものであった。
本発明によれば、圧延時等の製造過程において端面での割れの発生を防止することが可能なステンレス鋼板を得ることが可能となる。本発明に係るステンレス鋼板を使用することで、コイル端面からの割れ発生が回避可能となるばかりでなく、熱間圧延工程および冷間圧延工程での製品歩留まりを格段に向上させることができる。また、工程途中で行っていた加熱焼鈍処理および割れ部除去のための作業等の省略が可能となり、製造コストが大幅に下げられる。すなわち、本発明鋼板を適用して製造されたセパレータ、および、これを適用した固体高分子形燃料電池の安定した製造と、低コスト化が可能となる。
1 燃料電池
2 固体高分子膜
3 燃料電極膜(アノード)
4 酸化剤電極膜(カソード)
5a,5b セパレータ
6a,6b 流路
2 固体高分子膜
3 燃料電極膜(アノード)
4 酸化剤電極膜(カソード)
5a,5b セパレータ
6a,6b 流路
Claims (3)
- 鋼板の化学組成が、質量%で、
Cr:16.0〜35.0%、および、
B:0.5〜1.0%
を含有し、
前記鋼板中に、M2B型析出物を有し、
前記鋼板が有する端面の少なくとも一部の最表層に、M2B型析出物を含む共晶凝固組織からなる島状分散相を有する層を備える、
ステンレス鋼板。 - 前記鋼板の化学組成が、質量%で、
C:0.005〜0.2%、
Si:0.01〜1.5%、
Mn:0.01〜2.5%、
P:0.035%以下、
S:0.01%以下、
Cr:16.0〜30.0%、
Mo:0〜7.0%、
Ni:7.0〜50.0%、
Cu:0.01〜3.0%、
N:0.001〜0.4%、
V:0.3%以下、
B:0.5〜1.0%、
Al:0.001〜0.2%、
W:0〜4.0%、
Sn:0〜3.0%、
REM:0〜0.1%、
残部:Feおよび不純物である、
請求項1に記載のステンレス鋼板。 - 前記鋼板の化学組成が、質量%で、
C:0.001〜0.15%、
Si:0.01〜1.5%、
Mn:0.01〜1.0%、
P:0.035%以下、
S:0.01%以下、
Cr:22.5〜35.0%、
Mo:0〜6.0%、
Ni:0.01〜6.0%、
Cu:0.01〜1.0%、
N:0.06%以下、
V:0.01〜0.3%、
B:0.5〜1.0%、
Al:0.001〜6.0%、
W:0〜4.0%、
Sn:0〜3.0%、
REM:0〜0.1%、
残部:Feおよび不純物である、
請求項1に記載のステンレス鋼板。
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JP2016218362A JP2018076552A (ja) | 2016-11-08 | 2016-11-08 | ステンレス鋼板 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN110079744A (zh) * | 2019-05-14 | 2019-08-02 | 东南大学 | 一种含重稀土双相不锈钢及其制备方法 |
-
2016
- 2016-11-08 JP JP2016218362A patent/JP2018076552A/ja active Pending
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