JP2017079427A - 電子制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】A/D変換精度を向上できるようにした電子制御装置を提供する。【解決手段】基準電圧生成回路17が電源IC3のリファレンス電圧よりも予め高精度に調整された基準電圧を生成し、A/D変換部18がこの基準電圧を用いてリファレンス電圧をA/D変換処理してリファレンス値とする。他方、A/D変換器13はリファレンス電圧を用いてセンサ2のセンサ信号をA/D変換処理する。そして、補正回路15がリファレンス値を用いてセンサ2のセンサ信号のA/D変換結果を補正する。【選択図】図1
Description
本発明は、アナログデジタル(以下、A/Dと略す)変換部を備える電子制御装置に関する。
A/D変換部は参照電圧を用いてA/D変換処理を行うように構成されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、AVref、AVDDを参照電圧としてA/D変換処理した結果に応じてA/D変換器の電源の異常を判定している構成が開示されている。
特許文献1記載の技術を用いると、例えばAVref、AVDDの双方が実際には異常な電圧であって、AVrefを参照電圧とした変換結果=AVDDを参照電圧とした変換結果と判断したときには、AVDD、AVrefが共に正常であると判定されてしまい誤判断されてしまう虞がある。また、特許文献1には、AVref、AVDDの電圧精度が言及されていない。特に例えば車両用のA/D変換回路は、車載温度の耐用範囲、耐用年数、バッテリ電源の電圧変動に応じた電源電圧の変動、など厳しい使用条件が課される。このような使用条件を考慮すると、参照電圧の精度の確保が困難となってきており、この結果、A/D変換精度の確保も厳しくなる。
また、特許文献1記載の技術では、異常時において理想直線のテーブルデータに記憶されたメモリを参照し、理想直線と異常時の変換値の直線との差分により補正値を求めているが、前述した精度の影響を考慮すると補正の正確性に乏しくなる。前述した例では車両用の例を挙げたがこのような課題は車両用に限られるものではない。
本発明の目的は、A/D変換精度を向上できるようにした電子制御装置を提供することにある。
請求項1記載の発明は、基準電圧生成部(17)がリファレンス電圧生成部(3)のリファレンス電圧よりも予め高精度に調整された基準電圧を生成し、A/D変換部(18)がこの基準電圧を用いてリファレンス電圧をA/D変換処理してリファレンス値とする。他方、A/D変換部(13)がリファレンス電圧を用いて対象信号をA/D変換処理する。そして、補正部(15)がリファレンス値を用いて対象信号のA/D変換結果を補正する。これにより、たとえA/D変換回路のリファレンス電圧が何らかの影響で変動した場合であってもA/D変換結果を補正できるためA/D変換精度を向上できる。
以下、電子制御装置及び集積回路の一実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は車両に搭載される電子制御装置1の全体の電気的構成例を概略的に示す。電子制御装置(Electronic Control Unit:ECU)1は、センサ2のセンサ信号を受付けて各種制御を実行する構成であり、電源IC3と車載用のマイクロコンピュータ(以下、マイコン)4とを備えて構成される。電源IC3はリファレンス電圧生成部として構成され、例えば5V電源電圧を生成する集積回路であり電源電圧をマイコン4に出力する。
マイコン4は電源IC3の電源を用いて動作する。マイコン4にはローパスフィルタ(以下フィルタと略す)5を通じてセンサ2が接続されている。センサ2は車両用信号を検出するように構成され、所定範囲のアナログ電圧を出力する。
マイコン4には、実行部としてのCPU6、並びに、ROM、RAM、及びEEPROMなどの非遷移的実体的記録媒体となるメモリ7の他、A/D変換回路8、異常監視回路9、及び、通知部としてのリセット回路10が搭載されている。マイコン4のCPU6はメモリ7に記憶されたプログラムに基づいて処理を実行することで、図1に示すようにソフトウェア的にメイン処理11を実行し、例えば異常時に異常監視回路9から割込を受付けると異常時の割込処理12を実行するように構成される。図1にはこれらの処理を図示している。
A/D変換回路8は、A/D変換処理を主として行うA/D変換器13、リファレンス電圧監視回路14、補正部としての補正回路15、及び、A/D変換結果を格納するためのA/D変換結果レジスタ(以下レジスタと略す)16、を備える。A/D変換器13は、第1A/D変換部に相当するもので、例えば並列比較タイプのnビット(=2^n:例えばn=12)の分解能のもので構成され、リファレンス電圧を用いてフィルタ5を通じて入力されたセンサ2のセンサ信号をA/D変換処理する。このA/D変換器13は、電源IC3から入力される電圧をリファレンス電圧とすると共に、このリファレンス電圧を限度電圧とし、このリファレンス電圧をnビットの分解能(例えば12ビットの場合には4096)でセンサ2のセンサ信号を量子化する。
例えば、電源IC3による5V電源により12ビット分解能でA/D変換処理した場合には、分解可能な量子化最小レベルは約1.22mVとなる。以下の実施形態の説明では、説明の便宜上、A/D変換処理の分解能となる量子化最小レベルを1LSBとして説明を行う。A/D変換器13の後段には補正回路15が接続されており、A/D変換器13はそのA/D変換結果を補正回路15に出力する。
他方、リファレンス電圧監視回路14は、基準電圧生成回路17、A/D変換器18、及び、リファレンス値記憶部19、を備える。基準電圧生成回路17は基準電圧生成部として構成されるもので、例えばバンドギャップリファレンス回路により構成されバンドギャップ基準電圧Vbgを生成する。図2はリファレンス電圧監視回路14の実装時の詳細構成例を示す。基準電圧生成回路17が例えばMOSトランジスタのバンドギャップリファレンス回路で構成されていると、例えば1.数V(例えば1.12V〜1.25V)の基準電圧を高精度に生成できる。この基準電圧生成回路17の出力電圧に合わせて抵抗分圧回路R1及びR2が構成されている。A/D変換器18は第2A/D変換部として構成されるもので、バンドギャップリファレンス回路の基準電圧を参照電圧として電源IC3が出力するリファレンス電圧をA/D変換するが、抵抗分圧回路R1及びR2は、このA/D変換器18によるA/D変換処理を可能にするために設けられる。
抵抗分圧回路R1及びR2は、電源IC3から入力されるリファレンス電圧を分圧し、この分圧電圧AVrefをA/D変換器18に出力する。分圧電圧AVrefは、前述の基準電圧生成回路17が出力する基準電圧よりも低い電圧に調整される。バンドギャップ基準電圧Vbgを用いることで高精度の基準電圧を生成でき、例えば、車載適用時の温度範囲内において例えば±1mV以内の誤差で基準電圧を生成できる。
A/D変換器18は、例えば前述のA/D変換器13と同一回路構成となっている。このA/D変換器18は、基準電圧生成回路17のバンドギャップ基準電圧Vbgを用いてリファレンス電圧をA/D変換処理する。このA/D変換器18は、バンドギャップ基準電圧Vbgを限度電圧とし、このバンドギャップ基準電圧Vbgをnビットの分解能(例えば12ビットの場合には4096)でリファレンス電圧を量子化するように構成される。A/D変換器18は、A/D変換結果をリファレンス値としてリファレンス値記憶部19に出力する。リファレンス値記憶部19は、電源IC3から入力されるリファレンス電圧のA/D変換結果を格納するために設けられ、例えばメモリ7の一部所定領域に設けられる。
このリファレンス値記憶部19の保持内容は、補正回路15及び異常監視回路9から参照可能になっている。補正回路15はA/D変換器13のA/D変換結果を入力しリファレンス値記憶部19の記憶内容に基づいてA/D変換結果を補正する。補正回路15はその補正結果をレジスタ16に保存する。これにより、A/D変換回路8は、センサ2のセンサ信号をアナログ入力し、このアナログ入力信号をデジタル信号に変換した結果をレジスタ16に格納できる。
異常監視回路9は、判定閾値保持レジスタ(以下レジスタと略す)20、異常判定回路21、及びインタフェース22を備える。レジスタ20には、リファレンス電圧の異常時の基準となる閾値が判定値として保持されており、異常判定回路21は異常判定部として構成されるもので、リファレンス値記憶部19に保持されるリファレンス電圧が正常範囲に入っているか否かを判定する。そして異常判定回路21は、リファレンス値記憶部19に保持されるリファレンス電圧が正常範囲に入っていなければ、インタフェース22を通じてリセット回路10及びCPU6に異常通知する。リセット回路10は、異常判定回路21からインタフェース22を通じて異常通知を受付けると、電源IC3をリセット制御する。これにより、電源IC3はリセットされることになり、電源IC3はリファレンス電圧を初期化して再出力する。またCPU6は、異常判定回路21から異常通知を受付けると異常時の割込処理12を実行する。このとき、たとえレジスタ16にA/D変換結果が格納されたとしても当該A/D変換結果の信頼性が劣ることを判断できる。
以下では、上記構成のA/D変換処理について詳細に説明する。図3は処理の流れを概略的に示すフローチャートである。図3に示すように、マイコン6は、CPU6の内部又は外部から初期設定トリガを発生すると、ステップS1において初期設定する。そして、マイコン6は、ステップS2においてA/D変換トリガを待機し、A/D変換トリガを受付けるとステップS3〜S5の処理を行う。ステップS3において、マイコン6は、A/D変換時におけるリファレンス値をリファレンス値記憶部19に記憶させる。このときのリファレンス値は、リファレンス電圧をA/D変換器18によりデジタル変換したリファレンスデジタル値そのものであっても、リファレンスデジタル値を理論的に変換したアナログ電圧値であっても良く、リファレンス電圧をデジタル変換したA/D変換結果を使用した値であれば、その形態は限られない。例えば、A/D変換器18が、リファレンス電圧をA/D変換処理した結果として、リファレンスデジタル値3211LSBと得られた場合について説明する。このとき、リファレンス電圧をこのリファレンスデジタル値3211LSBに応じて理論的に換算すると、下記の(1)式のように得られる。
3211LSB × (1.25V ÷ 4096) ≒ 4.9V…(1)
ここで、リファレンス電圧の標準値であると共に理想値である標準リファレンス電圧を5Vとし、抵抗分圧回路R1及びR2の分圧比を1/4とし、分解能12ビット(2^12=4096)としている。このため、(1)式における「1.25V」は抵抗分圧回路R1及びR2による分圧電圧の標準値を示すものとなる。ここで、リファレンス値記憶部19が記憶するリファレンス値としては、リファレンスデジタル値3211LSBとしても良いし、リファレンスデジタル値を理論的に変換したアナログ電圧値4.9Vとしても良い。
ここで、リファレンス電圧の標準値であると共に理想値である標準リファレンス電圧を5Vとし、抵抗分圧回路R1及びR2の分圧比を1/4とし、分解能12ビット(2^12=4096)としている。このため、(1)式における「1.25V」は抵抗分圧回路R1及びR2による分圧電圧の標準値を示すものとなる。ここで、リファレンス値記憶部19が記憶するリファレンス値としては、リファレンスデジタル値3211LSBとしても良いし、リファレンスデジタル値を理論的に変換したアナログ電圧値4.9Vとしても良い。
そして、マイコン4は、ステップS4においてA/D変換器13によりセンサ2のセンサ信号を対象信号としてA/D変換処理する。本実施形態では、A/D変換器18と13は別体で設けられているため、ステップS3とS4の処理は並列処理しても良く、この場合、処理を高速化できる。このときA/D変換器13は、リファレンス電圧を用いて、センサ2のセンサ信号を入力してA/D変換処理する。例えば、A/D変換器13が、センサ2のセンサ信号をA/D変換処理した結果として、2000LSBと得られたと仮定して以下説明する。
その後、補正回路15は、ステップS5においてステップS3とS4の結果を用いてA/D変換結果を補正する。すなわち、補正回路は、ステップS4の処理を行うことにより得られた2000LSBを、リファレンス値記憶部19に記憶されたリファレンス値に応じて補正する。例えば補正回路15は下記のように補正を行う。まず、補正回路15は、A/D変換器13の入力電圧値Vinを、(2)式に示すようにA/D変換器13のデジタル変換結果から逆算する。
Vin = (S4のA/D変換結果) × ((1)式の結果) ÷ 4096
= 2000LSB × (4.9V ÷ 4096)
= 2.4V …(2)
例えば、補正回路15は、入力電圧Vinを電源IC3の標準リファレンス値に対応するように補正する。このとき補正回路15は、下記の(3)式に示すように算出する。
= 2000LSB × (4.9V ÷ 4096)
= 2.4V …(2)
例えば、補正回路15は、入力電圧Vinを電源IC3の標準リファレンス値に対応するように補正する。このとき補正回路15は、下記の(3)式に示すように算出する。
補正後Vin = Vin ÷ (5V ÷ 4096)
= 2.4V ÷ (5V ÷ 4096)
=1966LSB …(3)
この(3)式の「5V」が電源IC3の標準的なリファレンス電圧を示しており、標準リファレンス値に対応している。したがって、補正回路15は、リファレンス値と、標準リファレンス値と、を用いてA/D変換結果を補正することになり、例えば、補正回路15が、リファレンス値と、標準リファレンス値と、の比に基づいてA/D変換結果を補正することになる。したがって、A/D変換器13は、そのまま電源IC3のリファレンス電圧を用いてセンサ2の出力アナログ信号をA/D変換処理することで2000LSBと算出されたものの、補正後には1966LSBと導出されることになる。
= 2.4V ÷ (5V ÷ 4096)
=1966LSB …(3)
この(3)式の「5V」が電源IC3の標準的なリファレンス電圧を示しており、標準リファレンス値に対応している。したがって、補正回路15は、リファレンス値と、標準リファレンス値と、を用いてA/D変換結果を補正することになり、例えば、補正回路15が、リファレンス値と、標準リファレンス値と、の比に基づいてA/D変換結果を補正することになる。したがって、A/D変換器13は、そのまま電源IC3のリファレンス電圧を用いてセンサ2の出力アナログ信号をA/D変換処理することで2000LSBと算出されたものの、補正後には1966LSBと導出されることになる。
以下、比較例の技術と本実施形態に係る技術との誤差を比較する。
<比較例の技術の精度>
例えば、一般的なA/D変換器を用いた場合、当該A/D変換器の電源電圧の精度に応じてデジタル値の出力結果が異なる。例えば、電源電圧の精度を5V±20mVとし、この精度誤差をそのままA/D変換器の出力誤差に換算可能とする場合には、次のように導出される。
<比較例の技術の精度>
例えば、一般的なA/D変換器を用いた場合、当該A/D変換器の電源電圧の精度に応じてデジタル値の出力結果が異なる。例えば、電源電圧の精度を5V±20mVとし、この精度誤差をそのままA/D変換器の出力誤差に換算可能とする場合には、次のように導出される。
2.5 ÷ {(5V+20mV) ÷ 4096) }= 2040LSB…(4)
2.5 ÷ {(5V−20mV) ÷ 4096}}= 2056LSB…(5)
の差が16LSBと求められる。
2.5 ÷ {(5V−20mV) ÷ 4096}}= 2056LSB…(5)
の差が16LSBと求められる。
例えば、5V電源の12ビットA/D変換回路を用いたときに、参照電圧が50[mV]程度変動すると、A/D変換入力アナログ信号電圧が2.5[V]印加されたときには、A/D変換結果は十〜数十LSB(約20LSB程度)変動する。
<本実施形態に係る技術の精度>
本実施形態に係る構成においては、補正回路15がA/D変換器13のA/D変換結果を補正するため、リファレンス電圧監視回路14を構成する抵抗R1、R2の公差に起因した分圧電圧AVrefの誤差、基準電圧生成回路17のバンドギャップ基準電圧Vbgの誤差、に基づいて誤差が規定されることになる。このとき、抵抗分圧回路の抵抗R1、R2が例えばチップ抵抗により構成されていると、一般にチップ抵抗の最小公差を±0.01%に抑えることができる。これらの抵抗分圧回路の抵抗R1、R2は、その周辺温度が変化したとしても抵抗値は同一方向に変化するため、抵抗分圧回路R1及びR2の分圧電圧AVrefにはその温度変化の影響は表れにくく、分圧電圧生成時にキャンセルでき、リファレンス電圧の分圧電圧AVrefを概ね一定にできる。また、バンドギャップ基準電圧Vbgは、電源電圧VDDが5Vであれば±1mV程度の精度で構成できる。このような仮定条件の下での計算処理は省略するが、A/D変換回路8は数LSB(例えば3〜4LSB程度)の精度に抑えることができる。
本実施形態に係る構成においては、補正回路15がA/D変換器13のA/D変換結果を補正するため、リファレンス電圧監視回路14を構成する抵抗R1、R2の公差に起因した分圧電圧AVrefの誤差、基準電圧生成回路17のバンドギャップ基準電圧Vbgの誤差、に基づいて誤差が規定されることになる。このとき、抵抗分圧回路の抵抗R1、R2が例えばチップ抵抗により構成されていると、一般にチップ抵抗の最小公差を±0.01%に抑えることができる。これらの抵抗分圧回路の抵抗R1、R2は、その周辺温度が変化したとしても抵抗値は同一方向に変化するため、抵抗分圧回路R1及びR2の分圧電圧AVrefにはその温度変化の影響は表れにくく、分圧電圧生成時にキャンセルでき、リファレンス電圧の分圧電圧AVrefを概ね一定にできる。また、バンドギャップ基準電圧Vbgは、電源電圧VDDが5Vであれば±1mV程度の精度で構成できる。このような仮定条件の下での計算処理は省略するが、A/D変換回路8は数LSB(例えば3〜4LSB程度)の精度に抑えることができる。
このため、例えば抵抗R1の抵抗値を4kΩ、抵抗R2の抵抗値を1kΩ、とし、前述に例示したように、A/D変換器の入力変換結果を2000LSBとし、補正回路により1966LSBと補正された場合、数LSB(例えば3〜4LSB程度)の精度でA/D変換結果を算出できる。
<本実施形態のまとめ>
本実施形態によれば、基準電圧生成回路17が電源IC3のリファレンス電圧よりも予め高精度に調整された基準電圧を生成し、A/D変換器18がこの基準電圧を用いてリファレンス電圧をA/D変換処理してリファレンス値とする。他方、A/D変換器13が電源IC3のリファレンス電圧を用いてセンサ2のセンサ信号をA/D変換処理する。そして、補正回路15がリファレンス値を用いてセンサ信号のA/D変換結果を補正する。これにより、たとえA/D変換回路のリファレンス電圧が何らかの影響で変動した場合であってもA/D変換結果を補正できるためA/D変換精度を向上できる。
本実施形態によれば、基準電圧生成回路17が電源IC3のリファレンス電圧よりも予め高精度に調整された基準電圧を生成し、A/D変換器18がこの基準電圧を用いてリファレンス電圧をA/D変換処理してリファレンス値とする。他方、A/D変換器13が電源IC3のリファレンス電圧を用いてセンサ2のセンサ信号をA/D変換処理する。そして、補正回路15がリファレンス値を用いてセンサ信号のA/D変換結果を補正する。これにより、たとえA/D変換回路のリファレンス電圧が何らかの影響で変動した場合であってもA/D変換結果を補正できるためA/D変換精度を向上できる。
補正回路15は、リファレンス値記憶部19に記憶されたリファレンス値と、リファレンス電圧の標準値である標準リファレンス値と、を用いてセンサ信号のA/D変換結果を補正するため、A/D変換精度を向上できる。
補正回路15は、リファレンス値記憶部19に記憶されたリファレンス値と、標準リファレンス値(上記の例では5V又はこれに対応するデジタル値)と、の比に基づいてセンサ信号のA/D変換結果を補正するため、A/D変換精度を向上できる。
異常判定回路21はリファレンス値が所定の正常範囲に存在するか否かを判定して異常の有無を判定するため、レジスタ16に格納されるA/D変換結果の正否を判断することができる。また、異常判定回路21がCPU6に異常通知すると、CPU6が割込処理12において異常時処理を実行することでこの異常に対処できるようになる。
また、異常判定回路21がリセット回路10に異常通知すると、リセット回路10が外部の電源IC3に通知する。このとき、リセット回路10はリセット信号を電源IC3に出力して電源IC3をリセットするため、電源IC3の出力リファレンス電圧を初期化することができる。A/D変換器13及びA/D変換器18が並列処理するときにはA/D変換処理を高速化できる。
このような構成を用いることにより、電源IC3のリファレンス電圧の変動に基づくA/D変換誤差を補正可能となり、この結果、遡って逆に考慮すれば、電源IC3のリファレンス電圧の要求精度を緩和できると共に、リファレンス電圧を高精度化するための電源IC3の周辺に構成される回路の素子数を少なくすることができる。
(他の実施形態)
本発明は、前述実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に示す変形又は拡張が可能である。
電子制御装置1が実行する機能の一部または全部を複数のIC等によりハードウェア的に構成した形態を示したが、逆にソフトウェア的に構成しても良い。
A/D変換器13とA/D変換器18は例えば同一タイプのもので構成したときには、当該A/D変換器13及びA/D変換器18の機能を一体化してスイッチで切替えて構成しても良く、この場合、回路規模の増大を極力抑制できる。
本発明は、前述実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に示す変形又は拡張が可能である。
電子制御装置1が実行する機能の一部または全部を複数のIC等によりハードウェア的に構成した形態を示したが、逆にソフトウェア的に構成しても良い。
A/D変換器13とA/D変換器18は例えば同一タイプのもので構成したときには、当該A/D変換器13及びA/D変換器18の機能を一体化してスイッチで切替えて構成しても良く、この場合、回路規模の増大を極力抑制できる。
異常監視回路9、リセット回路10を必要に応じて省いても良い。標準リファレンス値(例えば5Vに対応する値)を用いて補正する形態を示したが、これに限定されるものではない。リファレンス値記憶部19のリファレンス値と標準リファレンス値の比に基づいて補正する形態を示したが、これに限定されるものではない。
基準電圧生成回路17としては、バンドギャップリファレンス回路を用いた形態を示したが、電源IC3が生成するリファレンス電圧よりも、例えば電源電圧依存特性や温度依存特性の良い高精度な電圧を生成できればバンドギャップリファレンス回路に限られるものではない。A/D変換器13とA/D変換器18のA/D変換タイプを同一タイプとした形態を示したが、互いに異なる構成又は互いに異なるタイプのA/D変換器を用いても良い。前述した構成は各形態の構成を互いに組み合わせて適用しても良い。
図面中、1は電子制御装置、4はマイクロコンピュータ(電子制御装置)、6はCPU(実行部)、10はリセット回路(通知部)、13はA/D変換器(第1A/D変換部)、15は補正回路(補正部)、17は基準電圧生成回路(基準電圧生成部)、18はA/D変換器(第2A/D変換部)、19はリファレンス値記憶部、21は異常判定回路(異常判定部)、を示す。
Claims (8)
- リファレンス電圧生成部(3)により生成されたリファレンス電圧よりも予め高精度に設定された基準電圧を生成する基準電圧生成部(17)と、
前記リファレンス電圧を用いて対象信号をA/D変換処理してA/D変換結果とし、前記基準電圧生成部により生成された基準電圧を用いて前記リファレンス電圧をA/D変換処理しリファレンス値とするA/D変換部(13、18)と、
前記リファレンス値を用いて前記対象信号のA/D変換結果を補正する補正部(15)と、を備える電子制御装置(1、4)。 - 請求項1記載の電子制御装置において、
前記補正部は、前記リファレンス値と、前記リファレンス電圧の標準値である標準リファレンス値と、を用いて、前記対象信号のA/D変換結果を補正する電子制御装置(1、4)。 - 請求項2記載の電子制御装置において、
前記補正部は、前記リファレンス値と、前記標準リファレンス値と、の比に基づいて、前記対象信号のA/D変換結果を補正する電子制御装置(1、4)。 - 請求項1〜3の何れか一項に記載の電子制御装置において、
前記リファレンス値が所定の正常範囲に存在するか否かを判定することで異常の有無を判定する異常判定部(21)をさらに備える電子制御装置(1、4)。 - 請求項4記載の電子制御装置において、
前記異常判定部により異常判定されたときには異常時処理を実行する実行部(6)をさらに備える電子制御装置(1、4)。 - 請求項4または5記載の電子制御装置において、
前記異常判定部により異常判定されたときには外部に異常を通知する通知部(10)をさらに備える電子制御装置(1、4)。 - 請求項1から6の何れか一項に記載の電子制御装置において、
前記A/D変換部は、前記リファレンス電圧を用いて対象信号をA/D変換処理する第1A/D変換部(13)と、前記基準電圧生成部により生成された基準電圧を用いて前記リファレンス電圧をA/D変換処理しリファレンス値とする第2A/D変換部(18)と、を別体に備え、
前記第1A/D変換部と前記第2A/D変換部とが並列処理するように構成される電子制御装置(1、4)。 - 請求項1から7の何れか一項に記載の電子制御装置において、
マイクロコンピュータ(4)により構成されることを特徴とする電子制御装置(4)。
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2019012962A (ja) * | 2017-06-30 | 2019-01-24 | 東芝三菱電機産業システム株式会社 | 半導体装置 |
JP2019087917A (ja) * | 2017-11-08 | 2019-06-06 | トヨタ自動車株式会社 | 制御装置 |
JP2021117072A (ja) * | 2020-01-24 | 2021-08-10 | セイコーエプソン株式会社 | 物理量検出回路、物理量センサー、電子機器、移動体及び物理量センサーの故障診断方法 |
-
2015
- 2015-10-21 JP JP2015207193A patent/JP2017079427A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2019012962A (ja) * | 2017-06-30 | 2019-01-24 | 東芝三菱電機産業システム株式会社 | 半導体装置 |
JP2019087917A (ja) * | 2017-11-08 | 2019-06-06 | トヨタ自動車株式会社 | 制御装置 |
JP2021117072A (ja) * | 2020-01-24 | 2021-08-10 | セイコーエプソン株式会社 | 物理量検出回路、物理量センサー、電子機器、移動体及び物理量センサーの故障診断方法 |
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