JP2015196245A - パターン印刷シート、パターン印刷積層体及びパターン印刷積層体の製造方法 - Google Patents

パターン印刷シート、パターン印刷積層体及びパターン印刷積層体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】難燃性に優れ、電子線硬化性樹脂から形成された表面保護層を備え、かつ熱ラミネート後のドットパターン読み取り性が損なわれることのないパターン印刷シートを提供する。【解決手段】基材2上に、パターン状印刷層4及び表面保護層6をこの順に有してなり、該基材2が厚み20〜50μmの二軸延伸白色ポリエステルフィルムであり、該パターン状印刷層4は、規則性を有するドットパターンから形成されてなり、該表面保護層6が電子線硬化性樹脂組成物の架橋硬化物からなるパターン印刷シート1。印刷シート1は、基材2とパターン状印刷層4との間に印刷適性向上層3を有し、パターン状印刷層4と表面保護層6との間に易接着層5を有することが好ましい。【選択図】図1

Description

本発明は、パターン印刷シート、パターン印刷積層体及びパターン印刷積層体の製造方法に関する。
近年、手書きした文字、絵及び記号などを、情報処理装置が扱うことのできる電子データに変換する必要性が高まっており、特に、スキャナーなどの読取装置を経由せず、手書き情報をリアルタイムでコンピューターなどへ入力する要求が高まっている。
例えば、特許文献1には、ディスプレイ装置の前面に装着される透明シートであって、入力用電子ペンなどによる入力軌跡の位置を示すための位置情報を提供可能なドットパターンが印刷された透明シートが開示されている。該透明シートは、所定波長の光を照射することによって読み取り可能な光を発光するインキを用いて該ドットパターンが印刷されており、入力軌跡読取手段によって、これを位置情報として提供する機能を有するものである。
しかしながら、特許文献1には、このような透明シートを具現化するインキの種類、或いは印刷面の向きや位置情報の配置の工夫などは記載されておらず、透明シートのアイデアもしくは願望が記載されているに過ぎず、具体的な透明シートの例示はない。
これに対し、特許文献2には、基材上に、印刷適性向上層、パターン状印刷層、易接着層及び硬化性樹脂組成物の架橋硬化物からなる表面保護層を有する印刷シートが提案されている。
特許文献2は、印刷層を構成するインキが着色剤を含み、印刷層は、パターンを検知可能な入力端末を用いて、表面保護層側から該パターンを読み取ることで、印刷シート上における入力端末の位置に関する情報を提供可能である印刷シートであり、印刷シートの具体例も開示されている。
特開2003−256122号公報 国際公開2013/046742
特許文献2の印刷シートは、映写スクリーンやホワイトボードとしての機能を有している。印刷シートを映写スクリーンやホワイトボードとして用いる場合、設置スペースを少なくするために、印刷シートを壁面に設置することが求められる。この場合、印刷シートには難燃性が期待されるが、特許文献2では難燃性について何ら検討を行っていない。
なお、難燃性の汎用材料として塩化ビニル樹脂がある。しかし、塩化ビニル樹脂は電子線照射への耐性がないため、塩化ビニル樹脂を印刷シートの基材に用いた場合、表面保護層を硬度に優れる電子線硬化性樹脂から形成することができず、印刷シートの耐擦傷性の低下を招いてしまう。
さらに、印刷シートの強度を向上させること等を目的として、印刷シートを鋼板等の被着体と熱ラミネートして使用する場合がある。この熱ラミネートの際に、印刷シートのパターンが収縮して、ドットパターンが本来の機能を発揮できなくなる場合があるが、特許文献2では、熱ラミネート時のドットパターン読み取り性について何ら検討を行っていない。
本発明は、難燃性に優れ、電子線硬化性樹脂から形成された表面保護層を備え、かつ熱ラミネート後のドットパターン読み取り性が損なわれることのないパターン印刷シート、パターン印刷積層体及びパターン印刷積層体の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は、以下の[1]〜[6]を提供する。
[1]基材上に、パターン状印刷層及び表面保護層をこの順に有してなり、該基材が厚み20〜50μmの二軸延伸白色ポリエステルフィルムであり、該パターン状印刷層は、規則性を有するドットパターンから形成されてなり、該表面保護層が電子線硬化性樹脂組成物の架橋硬化物からなるパターン印刷シート。
[2]前記印刷シートは、前記ドットパターンを検知可能な入力端末を用いて、前記表面保護層側から前記ドットパターンを読み取ることで、該印刷シート上における入力端末の位置に関する情報を提供可能なように構成されてなる上記[1]に記載のパターン印刷シート。
[3]前記基材と前記パターン状印刷層との間に印刷適性向上層を有してなる上記[1]又は[2]に記載のパターン印刷シート。
[4]前記パターン状印刷層と表面保護層との間に易接着層を有してなる上記[1]〜[3]の何れかに記載のパターン印刷シート。
[5]上記[1]〜[4]の何れかに記載のパターン印刷シートの表面保護層とは反対側と、被着体とを接着剤層を介して積層してなるパターン印刷積層体。
[6]上記[1]〜[4]の何れかに記載のパターン印刷シートの表面保護層とは反対側と、被着体とを、接着剤層を介して熱ラミネートにより積層する工程を有するパターン印刷積層体の製造方法。
本発明のパターン印刷シート及びパターン印刷積層体は、難燃性に優れるとともに、熱ラミネート後のドットパターン読み取り性が損なわれることを防止できる。また、本発明のパターン印刷シート及びパターン印刷積層体は、電子線硬化性樹脂から形成された表面保護層を備えることから、耐擦傷性にも優れるものである。また、本発明のパターン印刷積層体の製造方法は、前述の効果を備えたパターン印刷積層体を簡易に製造することができる。
本発明のパターン印刷シートの一態様の断面を示す概念図である。
[パターン印刷シート]
本発明のパターン印刷シートは、基材上に、パターン状印刷層及び表面保護層をこの順に有してなり、該基材が厚み20〜50μmの二軸延伸白色ポリエステルフィルムであり、該パターン状印刷層は、規則性を有するドットパターンから形成されてなり、該表面保護層が電子線硬化性樹脂組成物の架橋硬化物からなるパターン印刷シートである。
図1は本発明のパターン印刷シート1の一実施形態を示す断面図である。図1のパターン印刷シートは、基材2上に、パターン状印刷層4及び表面保護層6をこの順に有している。また、図1のパターン印刷シート1は、基材2とパターン状印刷層4との間に印刷適性向上層3を有し、さらに、パターン状印刷層4と表面保護層6との間に易接着層5を有している。
(基材)
本発明のパターン印刷シートは、基材として、厚み20〜50μmの二軸延伸白色ポリエステルフィルムを用いる。該基材を用いることにより、難燃性に優れるとともに、熱ラミネート後のドットパターン読み取り性が損なわれることを防止でき、さらには電子線硬化性樹脂組成物からなる表面保護層を形成することが可能となり耐擦傷性を良好にできる。
基材の厚みが20μm未満の場合、基材のコシや強度不足等を原因として、パターン状印刷層を形成する際にシワが混入してしまう。また、基材の厚みが50μmを超える場合、パターン印刷シートの有機成分が増加し、難燃性が低下してしまう。また、基材が二軸延伸ポリエステルフィルムではない場合、熱ラミネート後のドットパターン読み取り性が損なわれることの防止、及び電子線の照射耐性を両立することが困難である。また、基材が白色基材ではない場合、ホワイトボード等としての適性を付与するために別途隠蔽層を形成する必要があり、隠蔽層の有機成分により難燃性が低下してしまう。
二軸延伸白色ポリエステルフィルムの厚みは、30〜50μmであることが好ましい。
二軸延伸白色ポリエステルフィルムを構成するポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(以下「PET」と称する場合がある。)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート、ポリカーボネート、エチレンテレフタレート−イソフタレート共重合体及びポリアリレート等が挙げられる。この中でも、ポリエチレンテレフタレート及びポリブチレンテレフタレートが好ましく、特にポリエチレンテレフタレートがハンドリング性及びコストの観点から好ましい。
二軸延伸白色ポリエステルフィルムは、白色顔料を含有するタイプと、フィルム内部にボイドを有するタイプとに分けられる。これらの中では、難燃性の観点から、白色顔料を含有するタイプが好適である。
二軸延伸白色ポリエステルフィルムは、パターン印刷シートをホワイトボード或いは映写スクリーンとして使用した際の文字や映像の視認性を良好にするために、隠蔽性に優れることが好ましい。このため、二軸延伸白色ポリエステルフィルムは、下記の方法で測定した色差(ΔE)が10以下であることが好ましい。
隠蔽率試験紙(JIS K5400 7.2(2)(f))の黒地及び白地を下地として、該下地上に二軸延伸白色ポリエステルフィルムを設置した際のL*値、a*値及びb*値をそれぞれ測定する。下地が黒地と白地のL*値の差の2乗、下地が黒地と白地のa*値の差の2乗、及び下地が黒地と白地のb*値の差の2乗の和の平方根を色差(ΔE)とする。
二軸延伸白色ポリエステルフィルム中の白色顔料やボイドの割合は、上記色差(ΔE)を満たすように調整することが好ましい。
また、二軸延伸白色ポリエステルフィルムは、パターン印刷シートをホワイトボード或いは映写スクリーンとして使用した際の文字や映像の視認性を良好にするために、JIS Z 8729−1994に規定されるCIE(国際照明委員会)L***表色系におけるL*値が90以上であることが好ましい。L*値は例えば実施例に記載の方法で測定することができる。
二軸延伸白色ポリエステルフィルムの有機質量は、難燃性及び強度のバランスの観点から、30〜65g/m2であることが好ましい。
二軸延伸白色ポリエステルフィルムは、140℃5分間加熱した際の熱収縮率が、流れ方向(MD方向)及び幅方向(TD方向)の何れにおいても、2.0%未満であることが好ましく、1.0%以下であることがより好ましい。なお、熱収縮率は以下の計算で算出したものである。
熱収縮率(%)=([熱処理前寸法−熱処理後寸法]/熱処理前寸法)×100
二軸延伸白色ポリエステルフィルム中には、本発明の効果を阻害しない範囲で、難燃剤、酸化防止剤、滑剤、発泡剤、紫外線吸収剤及び光安定剤等の添加剤を含有してもよい。
また、二軸延伸白色ポリエステルフィルムは、他の層との密着性を向上させるために、片面又は両面に、酸化法や凹凸化法等の物理的又は化学的表面処理等の易接着処理を施してもよい。
(パターン状印刷層)
二軸延伸白色ポリエステルフィルム上には、直接又は後述する印刷適性向上層等を介して、規則性を有するドットパターンから形成されてなるパターン状印刷層が形成される。
該規則性を有するドットパターンを有してなる本発明のパターン印刷シートは、該ドットパターンを検知可能な入力端末を用いて表面保護層側から該ドットパターンを読み取ることで、パターン印刷シート上における入力端末の位置に関する情報を提供することができる。そして、該入力端末とコンピューターとを接続しておくことにより、該入力端末で検知した位置情報をコンピューターに反映させることができる。具体的には、本発明のパターン印刷シート上で該入力端末を動かすことにより、該入力端末の動作の軌跡をコンピューター画面に反映させることができる。
規則性を有するドットパターンは、入力端末が、パターン形成部とパターン非形成部とのコントラストを検知可能な材料であれば、その材料については特に制限はなく、化粧シートなどにおいて、着色剤として通常用いられるものを使用することができる。
具体的には、着色剤としては、カーボンブラック(墨)、鉄黒、チタン白、アンチモン白、黄色酸化鉄、黄鉛、チタン黄、弁柄、クロムバーミリオン、カドミウムイエロー、カドミウムレッド、フェロシアン化物、群青、コバルトブルーなどの無機顔料、キナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーンなどの有機顔料又は染料、アルミニウム、真鍮などの鱗片状箔片からなる金属顔料、二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛などの鱗片状箔片からなる真珠光沢(パール)顔料などであり、これらを単独若しくは併用して使用することができる。
パターン状印刷層の形成に用いられるインキとしては、バインダーに上記着色剤を含有し、さらに必要に応じて、体質顔料、溶剤、安定剤、可塑剤、触媒及び硬化剤等を混合したものを使用することができる。
バインダーとしては特に制限はなく、例えば、ポリウレタン系樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル系共重合体樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル/アクリル系共重合体樹脂、塩素化ポリプロピレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ブチラール系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ニトロセルロース系樹脂及び酢酸セルロース系樹脂等の1種又は2種以上を使用することができる。
パターン状印刷層の印刷方法としては、特に限定されず公知の方法を用いることができ、例えば、グラビア印刷法、オフセット印刷法、フレキソ印刷法、孔版印刷法及びインキジェット印刷法等が挙げられる。これらの印刷方法のうち、グラビア印刷法が、印刷速度が速く、生産効率が高いので好ましい。
また、パターン状印刷層における規則性を有するドットパターンは、あらかじめ定められた規則に従って配置されており、その配置関係からパターン印刷シート上での位置が特定可能なように構成されている。このため、各ドットは熱収縮等により位置がずれないことが好ましいところ、本発明のパターン印刷シートは、熱収縮を抑制し得る点で有用である。
規則性を有するドットパターンとしては、例えば、アノト社の規格による、いわゆるアノトパターンが挙げられる。
アノトパターンは、各ドットを直交する格子の交点から上下左右のいずれかにずれるように形成するものである。アノトパターンの入力端末には、カメラが内蔵されており、一回に読み取る範囲は通常36ドット(6×6)である。この36ドットは4の36乗通りもの組み合わせがあり、パターン状印刷層のいずれの場所においても36ドットの組み合わせを異なるものにできるため、正確な位置情報を認識することができる。
該アノトパターンは、直交する格子からの微妙な「ずれ」により位置情報を把握するものであり、各ドットパターンの配置がずれないことが重要である。このため、被着体への熱ラミネート時にパターン印刷シートの収縮を抑制し得る本発明のパターン印刷シートは、アノトパターンに対して極めて有用である。
ドットパターンのドット形状は隣接するドットと容易に区別できれば特に制限はなく、通常は、平面視形状が、円、楕円、多角形などの形状が用いられる。またドットの立体形状についても特に制限はなく、略円盤状、半球状、凹面状、多角形状などが挙げられる。これらの内、平面視形状が円形状のものが好適である。
ドットパターンを構成する各ドットは、直径が80〜130μm、グリッドサイズ(直交する格子の交点の間隔)が300±6μmであることが好ましい。
(表面保護層)
表面保護層は、電子線硬化性樹脂組成物を架橋硬化させたもので構成される。
電子線硬化性樹脂としては、電子線硬化性樹脂として慣用されている重合性モノマー及び重合性オリゴマー乃至はプレポリマーの中から適宜選択して用いることができる。
代表的には、重合性モノマーとして、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つ(メタ)アクリレート系モノマーが好適であり、中でも多官能性(メタ)アクリレートが好ましい。なお、ここで「(メタ)アクリレート」とは「アクリレート又はメタクリレート」を意味し、他の類似するものも同様の意である。多官能性(メタ)アクリレートとしては、分子内にエチレン性不飽和結合を2個以上有する(メタ)アクリレートであればよく、特に制限はない。これらの多官能性(メタ)アクリレートは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
次に、重合性オリゴマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つオリゴマー、例えばエポキシ(メタ)アクリレート系、ウレタン(メタ)アクリレート系、ポリエステル(メタ)アクリレート系、ポリエーテル(メタ)アクリレート系などが挙げられる。ここで、エポキシ(メタ)アクリレート系オリゴマーは、例えば、比較的低分子量のビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラック型エポキシ樹脂のオキシラン環に、(メタ)アクリル酸を反応しエステル化することにより得ることができる。また、このエポキシ(メタ)アクリレート系オリゴマーを部分的に二塩基性カルボン酸無水物で変性したカルボキシル変性型のエポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーも用いることができる。ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーは、例えば、ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールとポリイソシアネートの反応によって得られるポリウレタンオリゴマーを、(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。ポリエステル(メタ)アクリレート系オリゴマーとしては、例えば多価カルボン酸と多価アルコールの縮合によって得られる両末端に水酸基を有するポリエステルオリゴマーの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより、あるいは、多価カルボン酸にアルキレンオキシドを付加して得られるオリゴマーの末端の水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。ポリエーテル(メタ)アクリレート系オリゴマーは、ポリエーテルポリオールの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
さらに、重合性オリゴマーとしては、他にポリブタジエンオリゴマーの側鎖に(メタ)アクリレート基をもつ疎水性の高いポリブタジエン(メタ)アクリレート系オリゴマー、主鎖にポリシロキサン結合をもつシリコーン(メタ)アクリレート系オリゴマー、小さな分子内に多くの反応性基をもつアミノプラスト樹脂を変性したアミノプラスト樹脂(メタ)アクリレート系オリゴマー、あるいはノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、脂肪族ビニルエーテル、芳香族ビニルエーテルなどの分子中にカチオン重合性官能基を有するオリゴマーなどがある。
上記多官能性(メタ)アクリレートとしては、ホワイトボードの消去性を高めるため、シリコーン(メタ)アクリレートモノマー、オリゴマー及びプレポリマーの何れかを含有することが好ましい。
また、電子線硬化性樹脂組成物中には、粘度を低下させるなどの目的で、単官能性(メタ)アクリレートを、本発明の目的を損なわない範囲で適宜併用することができる。これらの単官能性(メタ)アクリレートは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、電子線硬化性樹脂の数平均分子量(GPC法で測定したポリスチレン換算の数平均分子量)が、1000〜10000であることが好ましく、2000〜10000がより好ましい。数平均分子量が上記範囲内であれば、加工性に優れ、コーティング剤組成物が適度なチキソ性が得られるので、表面保護層の形成が容易となる。
電子線硬化性樹脂組成物中には、フィラーを含有してもよい。電子線硬化性樹脂組成物にフィラーを含有することにより、表面保護層の60度光沢値を下げ、本発明のパターン印刷シートを映写スクリーンとして用いた際の映像の視認性を向上させることができる。
フィラーとしては、後述の無機フィラー及び有機フィラーが挙げられる。無機フィラー及び有機フィラーは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
無機フィラーとしては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、天然シリカ、合成シリカ、カオリン、クレー、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、アルミナ、水酸化マグネシウム、タルク及びマイカ等が挙げられる。
有機フィラーとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂;フッ素系樹脂;スチレン系樹脂;エポキシ系樹脂;メラミン系樹脂;尿素系樹脂;アクリル系樹脂;フェノール系樹脂;ポリイミド系樹脂;ポリアミド系樹脂;ポリエステル系樹脂等が挙げられ、また、これら樹脂の共重合体を用いることもできる。
これら有機フィラーのうち尿素樹脂により形成された有機フィラーは、筆記、消去を行った際にマーカーによるフィラーの染色汚染の防止効果に優れ、ホワイトボードとしての適性に優れる点で好適である。また、電子線硬化性樹脂の硬化後のフィラーの安定性の観点から、電子線硬化性樹脂と反応可能な反応基を付加されたフィラーも好適である。
さらに、映写スクリーンとしての機能を十分に得るとの観点から、有機フィラーは不定形のフィラーであることが好ましく、十分な吸油量を有するものが望ましい。
電子線硬化性樹脂組成物中のフィラーの含有量は、ホワイトボードとしての筆記消去性、及び映写時の光源の映り込み防止性のバランスで決定すればよい。より具体的には、電子線硬化性樹脂100質量部に対して、フィラーを0.5質量部以上12質量部未満含有することが好ましい。フィラーが有機フィラーの場合、電子線硬化性樹脂100質量部に対して、有機フィラーを0.5〜11質量部含有することがより好ましい。
フィラーの平均粒子径は、ホワイトボードとしての筆記消去性、及び映写時の光源の映り込み防止性のバランスの観点から、0.5〜10μmであることが好ましく、1〜7μmであることがより好ましい。
表面保護層の厚み(硬化後の厚み)は、耐擦傷性と難燃性のバランスの観点から、1〜10μmであることが好ましく、1〜7μmであることがより好ましく、2〜5μmであることがさらに好ましい。
電子線硬化性樹脂組成物中には、紫外線吸収剤、酸化防止剤、フィラー、帯電防止剤等の添加剤を含有させてもよい。
表面保護層は、例えば、パターン状印刷層若しくは後述の易接着層上に電子線硬化性樹脂組成物を塗工し、電子線を照射することにより形成することができる。電子線硬化性樹脂組成物の塗工方法としては、特に制限はなく、グラビアコート、バーコート、ロールコート、リバースロールコート、コンマコートなどの公知の方式を用いることができる。
(印刷適性向上層)
二軸延伸白色ポリエステルフィルムとパターン状印刷層との間には、印刷適性向上層を有することが好ましい。
印刷適性向上層は、JIS K6768:1999に準拠して測定されるぬれ張力が30〜60mN/mであることが好ましい。
印刷適性向上層のぬれ張力を30mN/m以上とすることにより、印刷適性向上層と接する層(パターン状印刷層等)との密着性を良好にすることができる。また、印刷適性向上層のぬれ張力を60mN/m以下とすることにより、パターン状印刷層が印刷された直後に濡れ広がることを抑制し、ドット径を適正な範囲に制御しやすくできる。
印刷適性向上層は、例えば、ポリウレタン樹脂及びアクリルポリオール樹脂から選ばれる少なくとも1種の樹脂と、酸化チタンとを含有する樹脂組成物から形成することができる。
印刷適性向上層に用いられるポリウレタン樹脂は、熱硬化性ポリウレタン樹脂及び熱可塑性ポリウレタン樹脂のいずれでもよいが、二軸延伸白色ポリエステルフィルムとの密着性の観点から、熱硬化性ポリウレタン樹脂が好ましい。
熱硬化性ポリウレタン樹脂としては、2液硬化型及び1液硬化型のいずれでもよいが、2液硬化型ポリウレタン樹脂が好ましい。
2液硬化型ポリウレタン樹脂は、ポリオールを主剤としポリイソシアネートを架橋剤(硬化剤)とするポリウレタン樹脂であるが、ポリオールとしては、分子中に2個以上の水酸基を有する化合物、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリウレタンポリオールなどが用いられる。また、ポリイソシアネートは、分子中に2個以上のイソシアネート基を有する化合物、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートなどの芳香族イソシアネート、或いは、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネートなどの脂肪族(乃至は脂環式)イソシアネートが用いられる。或いはまた、ポリイソシアネートとしては、上記各種ポリイソシアネートの付加体又は多量体、例えば、トリレンジイソシアネートの付加体、トリレンジイソシアネート3量体なども用いられる。
熱可塑性ポリウレタン樹脂は、イソシアネート基とアルコール基などの水酸基を有する化合物が縮合してできるウレタン結合でモノマーを共重合させた共重合体である。
また、アクリルポリオール樹脂は、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)などのように、ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリル系モノマー単位を含む重合体である。
印刷適性向上層を形成する樹脂組成物は酸化チタンを含有することが好ましい。また、印刷適性向上層のぬれ張力を30〜60mN/mに制御する観点から、酸化チタンの吸油量は10〜48ml/100gであることが好ましい。酸化チタンの吸油量を低くすると印刷適性向上層のぬれ張力を低くすることができ、酸化チタンの吸油量を高くすると印刷適性向上層のぬれ張力を高くすることができる。
酸化チタンの含有量は、印刷適性向上層を形成する樹脂組成物全量中、40〜90質量%であることが好ましく、45〜85質量%であることがより好ましい。40質量%以上であれば、パターン印刷シートの隠蔽性をより高くすることができ、90質量%以下であれば、印刷適性が良好であり、また印刷適性向上層の塗膜強度を維持できる。
印刷適性向上層の厚さは、印刷適性及び難燃性のバランスの観点から、0.5〜10μmであることが好ましく、1〜7μmであることがより好ましい。
また、印刷適性向上層の塗工方法としては、特に制限はなく、グラビアコート、バーコート、ロールコート、リバースロールコート、コンマコートなどの公知の方式を用いることができる。
(易接着層)
パターン状印刷層と表面保護層との間には易接着層を有することが好ましい。易接着層は、パターン状印刷層の保護や、表面保護層の密着性を向上させる役割を有する。
易接着層を構成する樹脂組成については特に制限が無いが、上記の密着性向上の目的と、最終製品としてのドット読み取り性の観点から、無色、若しくは半透明乳白色の2液硬化型樹脂が望ましく、特に2液硬化型ポリウレタン樹脂が好ましい。2液硬化型ポリウレタン樹脂としては、上述の印刷適性向上層で例示したものが好適に用いられる。
また易接着層には、本発明の効果を阻害しない範囲で、耐候性改善剤を添加することが可能である。耐候性改善剤としては、紫外線吸収剤や光安定剤を用いることができる。
紫外線吸収剤は、無機系、有機系のいずれでもよく、無機系紫外線吸収剤としては、平均粒径が5〜120nm程度の二酸化チタン、酸化セリウム、酸化亜鉛などを好ましく用いることができる。また、有機系紫外線吸収剤としては、例えばベンゾトリアゾール系、具体的には、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、ポリエチレングリコールの3−[3−(ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオン酸エステルなどが挙げられる。一方、光安定剤としては、例えばヒンダードアミン系、具体的には2−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2’−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレートなどが挙げられる。
耐候性改善剤の配合量は、易接着層を形成する樹脂組成物全量中、1〜50質量%であることが好ましく、3〜40質量%がより好ましく、5〜25質量%がさらに好ましい。
易接着層の厚さは、密着性向上、ドットパターンの読み取り性、ドットパターンの保護及び難燃性のバランスの観点から、0.5〜10μmが好ましく、1〜5μmがより好ましい。
易接着層の塗工方法としては、特に制限はなく、グラビアコート、バーコート、ロールコート、リバースロールコート、コンマコートなどの公知の方式を用いることができる。
(その他の層、物性)
本発明のパターン印刷シートは、後述の被着体と積層するために、二軸延伸白色ポリエステルフィルムのパターン状印刷層とは反対側の面に接着剤層を形成してもよい。
接着剤層で使用する接着剤は、感圧接着剤(粘着剤)、熱硬化型接着剤、ホットメルト接着剤等が挙げられる。これらの中でも耐熱性の観点から熱硬化型接着剤が好適である。
接着剤層の厚さは、使用する接着剤の種類などに応じて異なるが、通常は0.1〜30μm程度とすればよい。
熱硬化型接着剤は、熱によって化学反応が生じて架橋する性質を有する組成物を含むものであり、例えば、2液硬化型ウレタン系接着剤、ポリエステルウレタン系接着剤、ポリエ−テルウレタン系接着剤、アクリル系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリアミド系接着剤、ポリ酢酸ビニル系接着剤、エポキシ系接着剤、ゴム系接着剤等が挙げられる。これらの中でも、耐熱性の観点から2液硬化型ウレタン系接着剤が好適である。
感圧接着剤(粘着剤)としては、ポリエステル系感圧接着剤、アクリル系感圧接着剤等が挙げられる。
ホットメルト接着剤は、加熱することで流動性を示し、冷却により固化する際に接着力を発現する(ヒートシール性を発現する)熱可塑性材料からなる加熱溶融型の接着剤である。ホットメルト接着剤としては、例えばエチレン−酢酸ビニル系、塩化ビニル−酢酸ビニル系、ポリオレフィン系、ポリアミド系、ナイロン系、ポリエステル系、ゴム系、アクリル系、ウレタン系、セルロース系、反応型ホットメルト系等の樹脂が挙げられる。
なお、上述の接着剤層は被着体側に形成してもよい。その場合、密着性を向上させるために、二軸延伸白色ポリエステルフィルムのパターン状印刷層とは反対側の面には、裏面プライマー層を形成することが好ましい。
裏面プライマー層は、2液硬化型樹脂組成物から形成することが好ましい。
2液硬化型樹脂の硬化剤は特に制限されないが、ポリイソシアネートを硬化剤とするものが好ましい。
ポリイソシアネートとしては、汎用のポリイソシアネートを用いることができる。なお、被着体が鋼板である場合には、アロファネート変性イソシアネートを用いることが好適である。イソシアネート系硬化剤には、環状構造を有するイソシアヌレートタイプと鎖状構造を有するアロファネートタイプとに大別される。前述のアロファネート変性イソシアネートは、実質的にイソシアヌレート基を有さないものを言う。アロファネート変性イソシアネートは、硬化後も鎖状を維持するために運動性が制限されないという特徴を有する。
アロファネート変性イソシアネートは、例えば、アロファネート化触媒の存在下、ジオール化合物と有機ジイソシアネートを反応させて得ることができる。
2液硬化型樹脂の主剤は特に制限されないが、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂等が挙げられる。
裏面プライマー層の厚さは、密着性向上及び費用対効果の観点から、0.1〜5μmが好ましく、0.1〜3μmがより好ましい。
裏面プライマー層の塗工方法としては、特に制限はなく、グラビアコート、バーコート、ロールコート、リバースロールコート、コンマコートなどの公知の方式を用いることができる。
また、本発明のパターン印刷シートは、パターンの認識性が損なわれない範囲で、さらに絵柄層を設けてもよい。
絵柄層は、例えば、パターン状印刷層と、易接着層又は表面保護層との間に形成することができる。絵柄層は汎用の印刷機を用いて形成することができる。
上述した本発明のパターン印刷シートは、パターン状印刷層側に設ける層の合計厚みが1.5〜20μmであることが好ましく、2〜15μmであることがより好ましい。該合計厚みを1.5μm以上とすることにより、熱ラミネート時の熱負荷を分散させて二軸延伸白色ポリエステルフィルムの熱収縮を抑制し、ドットパターン読み取り性をより良好にでき、該合計厚みを20μm以下とすることにより、光の影響によりドットパターンが読み取りにくくなることや、表面保護層等を原因とする難燃性の低下を防止できる。
また、パターン印刷シートのパターン状印刷層側に設ける層の合計厚みと、二軸延伸白色ポリエステルフィルムの厚みとの比率[パターン状印刷層側に設ける層の合計厚み/二軸延伸白色ポリエステルフィルムの厚み]は、0.05〜0.30であることが好ましく、0.10〜0.25であることがより好ましい。該比を0.05以上とすることにより、熱ラミネート時の熱負荷を分散させて二軸延伸ポリエステルフィルムの熱収縮を抑制し、ドットパターン読み取り性をより良好にできるとともに、難燃性をより良好にしやすくでき、該比を0.30以下とすることにより、光の影響によりドットパターンが読み取りにくくなることを防止できる。
また、本発明のパターン印刷シートは、映写スクリーンとしての機能と表面のマーカー消去性との両立を求める観点から、60度光沢値が10〜75の範囲であることが好ましく、10〜65の範囲であることがより好ましい。マーカー消去性の観点を重要視すると、60度光沢値が25以上であることがさらに好ましい。
また、難燃性及び熱ラミネート後のドットパターン読み取り性の観点からは、パターン印刷シートの表面積が大きすぎないことが好ましい。
パターン印刷シートは、表面の鉛筆硬度が2B以上であることが好ましい。鉛筆硬度が2B以上であると、良好な耐擦傷性が得られるとともに入力端末である先端が硬質な電子ペンなどのペン先で筆記した場合の筆圧による凹みがつき難い。以上の観点から、鉛筆硬度はB以上がさらに好ましい。
本発明のパターン印刷シートのドットパターンの認識に用いることができる入力端末としては、パターン状印刷層のパターン形成部とパターン非形成部とのコントラストを認識し得るものであれば、特に限定はなく、従来公知のセンサーが備えられていればよい。
入力端末で読み取った連続的な撮像データから位置情報が算出され、それを時間情報と組み合わせ、情報処理装置で扱える入力軌跡データとして提供される。なお、これらの処理装置としては、特に限定されず、プロセッサ、メモリ、通信インタフェース及びバッテリなどの部材を具備していればよい。
また、読取データ処理装置は、入力端末に内蔵されていてもよいし、また、外部の情報処理装置に内蔵されていてもよい。
[パターン印刷積層体]
本発明のパターン印刷積層体は、上述した本発明のパターン印刷シートの表面保護層とは反対側と、被着体とを接着剤層を介して積層してなるものである。
被着体は、パターン印刷シートのコシ、強度等を向上させるとともに、難燃性をより向上させることなどを目的として、パターン印刷シートと積層される部材である。
被着体としては、鉄、アルミニウム、銅等の鋼板や、難燃剤含有の樹脂板等が挙げられる。鋼板の厚みは通常0.1〜2.0mm程度であり、樹脂板の厚みは通常0.1〜20mm程度である。
接着剤層は、パターン印刷シートで例示したものと同様のものを使用でき、熱硬化型接着剤が好適である。接着剤層は、パターン印刷シートと被着体とを積層する前に、パターン印刷シートの表面保護層とは反対側、あるいは被着体の何れかに形成しておけばよい。
パターン印刷シートと被着体とを積層する手段は、ドライラミネートでも良いが、後述の熱ラミネートが好適である。
本発明のパターン印刷積層体の層構成の具体例としては、被着体/接着剤層/基材/パターン状印刷層/表面保護層、が挙げられる。
[パターン印刷積層体の製造方法]
本発明のパターン印刷積層体の製造方法は、上述した本発明のパターン印刷シートの表面保護層とは反対側と、被着体とを、熱ラミネートにより積層する工程を有するものである。
熱ラミネートの際には、パターン印刷シートの表面保護層とは反対側に接着剤層が形成されていれば、該接着剤層の接着力により、パターン印刷シートと被着体とを積層できる。パターン印刷シートの表面保護層とは反対側に接着剤層が形成されていない場合、被着体上に接着剤層を形成した後に、該接着剤層と、パターン印刷シートの表面保護層とは反対側とを対向させて熱ラミネートすればよい。
使用する接着剤は熱硬化型接着剤が好適である。
通常、パターン印刷シートを被着体に熱ラミネートする際、パターン印刷シートの基材が熱収縮することにより、ドットパターンの読み取り性が損なわれてしまう。しかし、本発明では、上述した本発明のパターン印刷シートを用いていることから、熱ラミネート時のパターン印刷シートの基材の熱収縮が抑制され、ドットパターンの読み取り性が良好なパターン印刷積層体を得ることができる。
熱ラミネートは、ロールラミネーター等の汎用の熱ラミネート手段により行えばよい。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
<評価方法>
実施例及び比較例で用いた基材について、以下(1)〜(6)の評価を行った。また、実施例及び比較例で作製したパターン印刷シート及びパターン印刷積層体について以下(7)の評価を行った。結果を表1に示す。
(1)明度(L*値)
JIS Z 8729−1994に規定されるCIE(国際照明委員会)L***表色系における各基材のL*値を、D65光源及び10度の視野条件で分光測色計(「CM−3700d(型番)」,コニカミノルタ社製)を用いて測定した。
(2)隠蔽性
隠蔽率試験紙(JIS K5400 7.2(2)(f))の黒地及び白地を下地として、該下地上に基材を設置した際のL*値、a*値及びb*値をそれぞれ測定する。下地が黒地と白地のL*値の差の2乗、下地が黒地と白地のa*値の差の2乗、及び下地が黒地と白地のb*値の差の2乗の和の平方根を色差(ΔE)とする。
(3)EB照射耐性
各基材に電子線(EB)を照射し、基材の変質(黄変等)を目視で評価した。基材が変質しないものを〇、変質したものを×とした。
(4)難燃性
各基材の有機質量(g/m2)を算出した。また、各基材の主成分の樹脂の性質と、有機質量とを考慮して、各基材の難燃性レベルの総合評価を◎、〇、△、×の4段階で行った。なお、各樹脂の性質については、「ポリ塩化ビニルは自己消化性が高く難燃性が高いこと」、及び「PETは分子中に酸素を含み、分子組成中の炭化水素の割合が低い点でポリプロピレンよりも難燃性に優れること」を考慮した。
(5)印刷適性
基材上にパターン印刷層を形成した際に、基材にシワが生じるか否かを目視で評価した。シワが生じないものを〇、シワが生じないものを×とした。
(6)熱収縮率
各基材を140℃5分間熱処理し、以下の計算により、各基材の流れ方向(MD方向)及び幅方向(TD方向)の熱収縮率を算出した。
熱収縮率(%)=([熱処理前寸法−熱処理後寸法]/熱処理前寸法)×100
(7)ドットパターン読み取り性
パターン印刷シート及びパターン印刷積層体について、アノトパターン検出装置「TECHKON製 APA DMS910IR」、及び専用ソフトウェア 「Anoto Pattern Analyzer」を使用し、ドットパターンの座標情報を読み取りできるか否かの確認をした。下記の評価基準により判定した。
〇:上記の専用の読み取り装置で問題なく座標情報を読み取れた。
△:上記の専用の読み取り装置で座標情報を読み取れない部分がわずかにあった。
×:上記の専用の読み取り装置で座標情報を読み取れなかった。
実施例1
厚さ45μmの白色二軸延伸PETフィルム(三菱樹脂社製「W410E45」)の表面に、塩化ビニル/酢酸ビニル/アクリル系共重合体樹脂をバインダーとし、顔料にカーボンブラックを含有した黒インキ(昭和インク社製の「化X(NT)ブラック」及び「化X(NT)チキソ性メジウム2」の質量比5:95の混合物)を用いて、グラビアコーター法にて規則性を有するドットパターン(ドットサイズ80〜130μm、グリッドサイズ300±6μm)からなるパターン状印刷層を形成した。
次に、アクリルポリオール系樹脂(昭和インク工業社製「EBFプライマー」)をバインダー(主剤)とし、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)を硬化剤とし、その質量比(主剤/HMDI)が(100/15)である2液硬化型ウレタン樹脂、グラビアコーター法にて乾燥後の厚みが2μmになるように塗布して易接着層を形成した。
次いで、電子線硬化性アクリレート樹脂及び多官能モノマーを主成分とする電子線硬化性樹脂(DICグラフィックス社製「WBWハード(平均官能基数4.0)100質量部に対して、シリコーンアクリレートプレポリマー(DICグラフィックス社製「WBWシリコーン添加剤」)3質量部、及び平均粒径5μmの尿素系樹脂からなる有機フィラーを5質量部添加した電子線硬化性樹脂組成物をグラビアダイレクトコータ法により、硬化後の厚みが3μmとなるように塗布し、加速電圧165kV、照射線量50kGy(5Mrad)の電子線を照射して、電子線硬化性樹脂組成物を硬化させて表面保護層を形成し、パターン印刷シートを作製した。
比較例1〜5
基材を表1に示すものに変更したこと以外は、実施例1と同様にしてパターン印刷シートを作製した。実施例1と同様に評価した結果を第1表に示す。
(パターン印刷積層体の作製)
実施例1及び比較例1〜5で作製したパターン印刷シートの基材の裏面側(パターン印刷層を形成した面とは反対側)に、主剤である塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂(塩化ビニル成分の含有率95質量%)に、アロファネート変性ポリイソシアネートとヘキサメチレンジイソシアネートの反応物を硬化剤として3質量%含有する組成物を乾燥後の厚みが1μmとなるように塗工し、裏面プライマー層を形成した。
次に、被着体として厚み0.4mmの亜鉛メッキ鋼板を準備した。該鋼板に、主剤であるポリエステル樹脂(横浜ゴム社製「ハマタイトY−6255−A」)と、硬化剤であるポリイソシアネート系硬化剤(横浜ゴム社製「ハマタイトY−6255−B」)とからなる接着剤組成物を乾燥後の厚みが10μmとなるように塗工し、接着剤層を形成した。
次いで、鋼板の接着剤層側と、パターン印刷シートの表面保護層とは反対側(裏面プライマー層側)とを対向させ、ロールラミネーターを用いて140℃で熱ラミネートし、鋼板とパターン印刷シートとを積層し、パターン印刷積層体を作製した。
表1の結果から、実施例1のパターン印刷シート及びパターン印刷積層体は、難燃性に優れるとともに、熱ラミネート後のドットパターン読み取り性が損なわれることを防止できることが確認できる。また、実施例1のパターン印刷シート及びパターン印刷積層体は、電子線硬化性樹脂から形成された表面保護層を備えることから、表中には示していないが、耐擦傷性に優れるものであることが分かる。
また、実施例1のパターン印刷積層体の製造方法によれば、前述の効果を備えたパターン印刷積層体を簡易に製造できることが確認できる。
本発明のパターン印刷シート及びパターン印刷積層体は、ホワイトボード、映写スクリーンあるいはホワイトボード兼映写スクリーン等として用いることができる。また、前記用途で用いた際に、パターン印刷シート及びパターン印刷積層体の表面に対して、ドットパターンを検知可能な入力端末により入力を行うことにより、該入力をリアルタイムで高精度なデジタル情報としてコンピューターに取り込み、映写スクリーン等に反映させることができる。
1:パターン印刷シート
2:基材
3:印刷適性向上層
4:パターン状印刷層
5:易接着層
6:表面保護層

Claims (6)

  1. 基材上に、パターン状印刷層及び表面保護層をこの順に有してなり、該基材が厚み20〜50μmの二軸延伸白色ポリエステルフィルムであり、該パターン状印刷層は、規則性を有するドットパターンから形成されてなり、該表面保護層が電子線硬化性樹脂組成物の架橋硬化物からなるパターン印刷シート。
  2. 前記印刷シートは、前記ドットパターンを検知可能な入力端末を用いて、前記表面保護層側から前記ドットパターンを読み取ることで、該印刷シート上における入力端末の位置に関する情報を提供可能なように構成されてなる請求項1に記載のパターン印刷シート。
  3. 前記基材と前記パターン状印刷層との間に印刷適性向上層を有してなる請求項1又は2に記載のパターン印刷シート。
  4. 前記パターン状印刷層と表面保護層との間に易接着層を有してなる請求項1〜3の何れかに記載のパターン印刷シート。
  5. 請求項1〜4の何れかに記載のパターン印刷シートの表面保護層とは反対側と、被着体とを接着剤層を介して積層してなるパターン印刷積層体。
  6. 請求項1〜4の何れかに記載のパターン印刷シートの表面保護層とは反対側と、被着体とを、接着剤層を介して熱ラミネートにより積層する工程を有するパターン印刷積層体の製造方法。
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