JP2012224759A - 3d液晶表示の前面板用シート - Google Patents

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Abstract

【課題】高い透明性を維持した上で、位相差が小さく、難燃性および鉛筆硬度に優れる3D液晶表示の前面板用シートを提供する。
【解決手段】全芳香族ジヒドロキシ成分の5〜95モル%が下記一般式[1]、

[式中、R〜Rは夫々独立して水素原子、炭素原子数1〜9の芳香族基を含んでもよい炭化水素基、またはハロゲン原子である。]で表されるフルオレン系ビスフェノール、95〜5モル%が特定の構造を有する芳香族ジヒドロキシ成分からなる芳香族ポリカーボネート共重合体から形成され、厚みが0.5〜3.0mmの範囲であることを特徴する3D液晶表示の前面板用シート。
【選択図】なし

Description

本発明は、芳香族ポリカーボネート共重合体から形成された3D液晶表示の前面板用シートに関する。さらに詳しくは高い透明性を維持した上で、位相差が小さく、硬度および難燃性に優れる3D液晶表示の前面板用シートに関する。
ポリカーボネート樹脂は、安価で軽量かつ透明性、成形性、光学特性、耐熱性、寸法安定性、機械的強度に優れていることから種々の分野で幅広く利用されている。ポリカーボネート樹脂シートも自動車のメーターパネル盤、計器パネル、家電製品(洗濯機、電子レンジ等)のメンブレンスイッチパネル、携帯電話等のハウジング部品、ダミー缶、ダミーボトル等さまざまな用途に使用されている。
その中で、3D液晶表示の前面板用シート(特に3Dタイプの薄型テレビ前面板用シート)には、主に次のような特性が要求される。第1には、シートの各部位において低複屈折特性に優れることである。すなわちシートの各部位における位相差が小さくかつバラツキも小さいことが挙げられる。第2には、シートの表面外観が良好でかつ表面硬度が高いことが挙げられる。第3には、シートの耐燃性がUL94規格でV−2以上であることが挙げられる。
このようなポリカーボネート樹脂の複屈折を改良する方法としてスチレン系樹脂とグラフト共重合する方法が提案されている(例えば特許文献1、2参照)。しかしながら、ポリカーボネート樹脂とスチレン系樹脂とのグラフト共重合体は、機械強度が低く、極めて脆く、また熱安定性が悪い為に成形が困難であるため、機械強度をあげるためには分子量を高くする必要があるが、分子量を高くすると成形性や表面精度が悪化する問題がある。
この点を改良したものとしてビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン等の芳香族ジヒドロキシ成分からなるポリカーボネート樹脂とアクリロニトリル−スチレン共重合体を混合する方法が提案されている(特許文献3参照)。しかしながら、この樹脂組成物は透明性や複屈折は改善されるものの、熱安定性が低く、成形が非常に困難であるという問題がある。
また、複屈折を改良する方法としてフルオレン骨格を導入した芳香族ジヒドロキシ成分を含むポリカーボネート共重合体が提案されている(例えば特許文献4〜6参照)。しかしながら、これらの文献ではシート状の製品としたときの鉛筆硬度や難燃性に着目していない。
特開昭61−19630号公報 特開昭63−15822号公報 特開平05−27101号公報 特開平06−18701号公報 特開2004−331688号公報 特開2005−89509号公報
本発明の目的は、高い透明性を維持した上で、位相差が小さく、難燃性および鉛筆硬度に優れる3D液晶表示の前面板用シートを提供することにある。
本発明者は上記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、特定の二価フェノールを特定の割合で使用したときに得られる芳香族ポリカーボネート共重合体から形成されたシートが上記目的を達成することを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明によれば、
1.全芳香族ジヒドロキシ成分の5〜95モル%が下記一般式[1]、
[式中、R〜Rは夫々独立して水素原子、炭素原子数1〜9の芳香族基を含んでもよい炭化水素基、またはハロゲン原子である。]
で表されるフルオレン系ビスフェノール、95〜5モル%が下記一般式[2]
[式中、R〜Rは夫々独立して水素原子、炭素原子数1〜9の芳香族基を含んでもよい炭化水素基又はハロゲン原子であり、Wは単結合、炭素原子数1〜20の芳香族基を含んでもよい炭化水素基、O、S、SO、SO、CO又はCOO基である。]
で表される芳香族ジヒドロキシ成分からなる芳香族ポリカーボネート共重合体から形成され、厚みが0.5〜3.0mmの範囲であることを特徴する3D液晶表示の前面板用シート。
2.全芳香族ジヒドロキシ成分のうち、15〜85モル%が一般式[1]、85〜15モル%が一般式[2]で表される芳香族ジヒドロキシ成分である、前項1記載の3D液晶表示の前面板用シート。
3.一般式[1]で表される化合物が9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレンである前項1記載の3D液晶表示の前面板用シート。
4.一般式[2]で表される化合物が、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼン、および1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンからなる群から選ばれた少なくとも1種である前項1記載の3D液晶表示の前面板用シート。
5.厚みが1.0〜3.0mmの範囲である前項1記載の3D液晶表示の前面板用シート。
6.シートの表面にハードコート処理する前項1記載の3D液晶表示の前面板用シート。
が提供される。
本発明の芳香族ポリカーボネート共重合体から形成された3D液晶表示の前面板用シートは、透明性、耐熱性に優れ、位相差が小さく、難燃性および鉛筆硬度が良好であり、LCD−TVの前面板、PDP−TV前面板、ゲーム機前面板等の各種用途に好適に用いられる。
本発明で使用される芳香族ポリカーボネート共重合体は、それを構成する芳香族ジヒドロキシ成分として、上記一般式[1]で表されるフルオレン構造を有するビスフェノール化合物が全芳香族ジヒドロキシ成分の5〜95モル%、好ましくは15〜85モル%、さらに好ましくは30〜80モル%である。5モル%未満の場合、シートの位相差が高くなり、また鉛筆硬度が低下するので好ましくない。95モル%を超えると成形加工性に劣り好ましくない。
芳香族ポリカーボネート共重合体において用いられる上記一般式[2]で示される他のジヒドロキシ成分としては、通常芳香族ポリカーボネートのジヒドロキシ成分として使用されているものであればよく、例えばハイドロキノン、レゾルシノール、4,4′−ビフェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン(ビスフェノールC)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(ビスフェノールZ)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、4,4′−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール、α,α′−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼン(ビスフェノールM)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−イソプロピルシクロヘキサンなどが挙げられ、なかでもビスフェノールA、ビスフェノールZ、ビスフェノールC、ビスフェノールMが好ましく、特にビスフェノールA、ビスフェノールMが好ましい。
芳香族ポリカーボネート共重合体の粘度平均分子量(M)は、特に限定されないが、好ましくは1.0×10〜4.0×10であり、より好ましくは1.1×10〜3.0×10であり、さらに好ましくは1.2×10〜2.0×10である。
粘度平均分子量が1.0×10未満の芳香族ポリカーボネート共重合体では、良好な機械的特性が得られない。一方、粘度平均分子量が4.0×10を超える芳香族ポリカーボネート共重合体は、溶融押出時の流動性に劣る点で汎用性に劣る。
本発明でいう粘度平均分子量は塩化メチレン100mlにポリカーボネート樹脂0.7gを20℃で溶解した溶液から求めた比粘度(ηSP)を次式に挿入して求める。
ηSP/c=[η]+0.45×[η]c(但し[η]は極限粘度)
[η]=1.23×10−40.83
c=0.7
本発明で使用される芳香族ポリカーボネート共重合体は、通常の芳香族ポリカーボネート樹脂を製造するそれ自体公知の反応手段、例えば芳香族ジヒドロキシ成分にホスゲンや炭酸ジエステルなどのカーボネート前駆物質を反応させる方法により製造される。ただし、芳香族ポリカーボネート共重合体を得るためには下記に記載するように、芳香族ジヒドロキシ化合物を酸結合剤および溶媒に完全溶解させてからカーボネート前駆物質との反応開始までの時間を限定することが好ましい。次にこれらの製造方法について基本的な手段を簡単に説明する。
カーボネート前駆物質として、例えばホスゲンを使用する反応では、通常酸結合剤および溶媒の存在下に反応を行う。酸結合剤としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物またはピリジンなどのアミン化合物が用いられる。溶媒としては、例えば塩化メチレン、クロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素が用いられる。また反応促進のために例えば第三級アミンまたは第四級アンモニウム塩などの触媒を用いることもできる。その際、反応温度は通常0〜40℃であり、反応時間は数分〜5時間である。
該反応において、芳香族ジヒドロキシ化合物を酸結合剤および溶媒に完全溶解させてから、カーボネート前駆物質との反応開始までの時間は2時間以内である事が好ましく、1時間以内である事がより好ましい。反応開始までの時間が2時間を超えると、フルオレン構造を有する芳香族ジヒドロキシ化合物は一部分解し、その結果フルオレン−9−オンが生成することがある。なお、本発明に用いられる上記式[1]で表されるフルオレン構造を有するビスフェノール化合物のフルオレン−9−オンの含有量が30ppm以下であることが好ましい。
芳香族ポリカーボネート共重合体は、その重合反応において、末端停止剤として通常使用される単官能フェノール類を使用することができる。殊にカーボネート前駆物質としてホスゲンを使用する反応の場合、単官能フェノール類は末端停止剤として分子量調節のために一般的に使用され、また得られた芳香族ポリカーボネート共重合体は、末端が単官能フェノール類に基づく基によって封鎖されているので、そうでないものと比べて熱安定性に優れている。
かかる単官能フェノール類としては、芳香族ポリカーボネート樹脂の末端停止剤として使用されるものであればよく、一般にはフェノール或いは低級アルキル置換フェノールであって、下記一般式で表される単官能フェノール類を示すことができる。
[式中、Aは水素原子、炭素数1〜9の直鎖または分岐のアルキル基あるいはアリールアルキル基であり、rは1〜5、好ましくは1〜3の整数である。]
前記単官能フェノール類の具体例としては、例えばフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−クミルフェノールおよびイソオクチルフェノールが挙げられる。
芳香族ポリカーボネート共重合体は、本発明の趣旨を損なわない範囲で、芳香族ジカルボン酸、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸あるいはその誘導体を共重合したポリエステルカーボネートであってもよい。また少量の3官能化合物を共重合した分岐ポリカーボネートであってもよい。
芳香族ポリカーボネート共重合体は、そのガラス転移温度が160℃以上が好ましく、180℃以上がより好ましく、200℃以上がさらに好ましい。
本発明において、前記芳香族ポリカーボネート共重合体に必要に応じて、リン酸、亜リン酸、ホスホン酸、亜ホスホン酸およびこれらのエステルよりなる群から選択された少なくとも1種のリン化合物を配合することができる。かかるリン化合物の配合量は、該芳香族ポリカーボネート共重合体に対して0.0001〜0.05重量%が好ましく、0.0005〜0.02重量%がより好ましく、0.001〜0.01重量%が特に好ましい。このリン化合物を配合することにより、かかる芳香族ポリカーボネート共重合体の熱安定性が向上し、成形時における分子量の低下や色相の悪化が防止される。
かかるリン化合物としては、リン酸、亜リン酸、ホスホン酸、亜ホスホン酸およびこれらのエステルよりなる群から選択される少なくとも1種のリン化合物であり、好ましくは下記一般式よりなる群から選択された少なくとも1種のリン化合物である。
[式中、R〜R16は、それぞれ独立して、水素原子、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル、ヘキサデシル、オクタデシルなどの炭素数1〜20のアルキル基、フェニル、トリル、ナフチルなどの炭素数6〜15のアリール基またはベンジル、フェネチルなどの炭素数7〜18のアラルキル基を表し、また1つの化合物中に2つのアルキル基が存在する場合は、その2つのアルキル基は互いに結合して環を形成していてもよい。]
上記(1)式で示されるリン化合物としては、例えばトリフェニルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイトなどが挙げられる。
上記(2)式で示されるリン化合物としては、例えばトリブチルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリエチルホスフェート、ジフェニルモノオルソキセニルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジイソプロピルホスフェートなどが挙げられ、上記(3)式で示されるリン化合物としては、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4−ジフェニレンホスホナイトなどが挙げられ、また上記(4)式で示される化合物としては、ベンゼンホスホン酸ジメチル、ベンゼンホスホン酸ジエチル、ベンゼンホスホン酸ジプロピルなどが挙げられる。
これらのリン化合物のなかで、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4−ジフェニレンホスホナイトが好ましく使用される。
前記芳香族ポリカーボネート共重合体には、酸化防止の目的で通常知られた酸化防止剤を添加することができる。その例としてはフェノール系酸化防止剤を示すことができ、具体的には例えばトリエチレングリコール−ビス[3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、N,N−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマイド)、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルホスホネート−ジエチルエステル、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、3,9−ビス{1,1−ジメチル−2−[β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン等が挙げられる。これら酸化防止剤の好ましい添加量の範囲は芳香族ポリカーボネート共重合体に対して0.0001〜0.05重量%である。
さらに前記芳香族ポリカーボネート共重合体には、必要に応じて一価または多価アルコールの高級脂肪酸エステルを加えることもできる。
かかる高級脂肪酸エステルとしては、炭素原子数1〜20の一価または多価アルコールと炭素原子数10〜30の飽和脂肪酸との部分エステルまたは全エステルであるのが好ましい。また、かかる一価または多価アルコールと飽和脂肪酸との部分エステルまたは全エステルとしては、グリセリンモノステアレート、ソルビタンモノステアレート、グリセリンモノベヘネート、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、プロピレングリコールモノステアレート、ステアリルステアレート、パルミチルパルミテート、ブチルステアレート、メチルラウレート、イソプロピルパルミテート、2−エチルヘキシルステアレートなどが挙げられ、なかでもグリセリンモノステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレートが好ましく用いられる。
かかるアルコールと高級脂肪酸とのエステルの配合量は、該芳香族ポリカーボネート共重合体に対して0.01〜2重量%が好ましく、0.015〜0.5重量%がより好ましく、0.02〜0.2重量%がさらに好ましい。配合量がこの範囲内であれば離型性に優れ、また離型剤がマイグレートし冷却ロール等の金属表面に付着することもなく好ましい。
前記芳香族ポリカーボネート共重合体には、さらに光安定剤、着色剤、帯電防止剤、滑剤、充填剤などの添加剤や他のポリカーボネート樹脂、他の熱可塑性樹脂を本発明の目的を損なわない範囲で少割合添加することもできる。
前記芳香族ポリカーボネート共重合体から3D液晶表示の前面板に使用されるシートを製造する方法としては、例えば溶融押出し法が挙げられ、厚みの均一性に優れ、ゲル、ブツ、フィッシュアイ、スクラッチ等の光学欠点の生じない方法であることが好ましい。
本発明の3D液晶表示の前面板用シートは、その厚みが0.5〜3.0mmの範囲であり、1.0〜3.0mmの範囲が好ましく、1.5〜2.5mmの範囲がより好ましい。厚みが0.5mm未満の場合、難燃性に劣り好ましくなく、厚みが3.0mmを超えると、位相差が大きくなり好ましくない。
本発明の3D液晶表示の前面板用シートは、例えば、LCD−TVの前面板、PDP−TV前面板、ゲーム機前面板等の各種用途に好適に用いられる。
本発明の3D液晶表示の前面板用シートの表面にハードコート処理することも好ましい。ハードコート層は、透明性を損なうことなく、十分な密着性を有するものであれば、材質、積層方法等において特に限定されるものでない。一般的に、熱、紫外線、電子線等によって硬化する硬化性塗料を塗布する方法、物理気相蒸着法、化学気相蒸着法等が挙げられるが、製造上の観点から紫外線硬化性塗料を塗布する方法が好ましい。
紫外線硬化性塗料は、紫外線硬化性樹脂および光重合開始剤を含有する組成物であれば、特に限定されるものではない。紫外線硬化性樹脂としては、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ポリエステルアクリレート、グリシジル化合物、脂環状エポキシ化合物、オキセタン化合物等が挙げられる。光重合開始剤としては、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル−1−〔(4−メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4´−メチルフェニルサルファイド、2,4−ジエチルチオキサントン等が挙げられる。またこの組成物に希釈溶剤、消泡剤、レベリング剤、帯電防止剤等を添加してもよい。
紫外線硬化性塗料を使用してハードコート層を積層する塗装手段としては、噴霧コート法、フローコート法、ディッピング法、ロールコート法、バーコート法等の任意の方法を用いればよく、塗料性状の観点から、ロールコート法、バーコート法がより好ましい。また、ハードコート層は、用途に応じて片面のみに形成しても両面に積層してもよい。
得られるハードコート層の厚さは1〜20μmの範囲が好ましく、1.5〜15μmの範囲がより好ましく、2〜10μmの範囲がさらに好ましい。ハードコート層の厚さが上記範囲であると十分な耐擦傷性が得られ、反りも小さく好ましい。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに説明する。なお実施例中の部は重量部であり、%は重量%である。なお、評価は下記の方法により実施した。
(1)位相差
実施例で得られた表1記載の厚みのシートを、550nmにおける位相差を、日本分光(株)製M−220型エリプソメーターにて測定した。
(2)鉛筆硬度
実施例で得られた表1記載の厚みのシートを、JIS K 5600に準拠し、750g加重で鉛筆硬度の測定を行った。
(3)難燃性
実施例で得られた表1記載の厚みのシートから難燃性評価用の試験片を作成し、UL規格94に規定されている垂直燃焼試験に従って、その等級を評価した。なお、V−0、V−1、V−2の順に難燃性に優れることを意味しており、判定がV−0、V−1、V−2のいずれの基準も満たすことが出来なかった場合「notV」と示すこととする。
[実施例1]
(芳香族ポリカーボネート共重合体の製造)
温度計、攪拌機、還流冷却器付き反応器にイオン交換水3608部、48%水酸化ナトリウム水溶液482部を入れ、1,3−ビス{2−(4−ヒドロキシフェニル)プロピル}ベンゼン(以下、BPMと略す場合がある)173.4部、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン(以下、BCFと略す場合がある)442.0部およびハイドロサルファイト1.3部を溶解した後、塩化メチレン1704部を加えた後、攪拌しながら18〜23℃でホスゲン215部を60分を要して吹き込んだ。ホスゲン吹き込み終了後、p−tert−ブチルフェノール12.5部と48%水酸化ナトリウム水溶液69部を加え、25〜30℃で45分間攪拌して反応を終了した。反応終了後、生成物を塩化メチレンで希釈して水洗したのち塩酸酸性にして水洗し、水相の導電率がイオン交換水とほぼ同じになったところで、ニーダーにて塩化メチレンを蒸発して、BPMとBCFの比がモル比で30:70の粘度平均分子量が15000である黄白色のポリマー粉粒体619部を得た(収率92%)。
(3D液晶表示の前面板用シートの製造)
得られたポリマー粉粒体に、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4−ジフェニレンホスホナイト0.050%、グリセリンモノステアレート0.10%をそれぞれ加えて、ベント付きφ30mm単軸押出機を用いて、ペレット化した後、ベント付きTダイ押出機により、押出機温度250〜330℃、ダイス温度250〜330℃で幅1000mm、厚み1.5mmのシートを溶融押出した。このシートを用いて位相差、鉛筆硬度および難燃性の測定を実施した。結果を表1に示した。
[実施例2]
実施例1のBPMの使用量を289.0部、BCFの使用量を315.7部とする以外は実施例1と同様にして、BPMとBCFの比がモル比で50:50の粘度平均分子量が16000である黄白色のポリマー粉粒体630部を得た(収率95%)。得られたポリマー粉粒体を使用して、実施例1と同様の方法で幅1000mm、厚み1.5mmのシートを溶融押出した。このシートを用いて位相差、鉛筆硬度および難燃性の測定を実施した。結果を表1に示した。
[実施例3]
実施例1において、芳香族ジヒドロキシ成分として2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下、BPAと略す場合がある)287.5部、BCF304.9部を使用すること以外は実施例1と同様にして、BPAとBCFの比がモル比で60:40の粘度平均分子量が14000である黄白色のポリマー粉粒体545部を得た(収率90%)。得られたポリマー粉粒体を使用して、実施例1と同様の方法で幅1000mm、厚み1.5mmのシートを溶融押出した。このシートを用いて位相差、鉛筆硬度および難燃性の測定を実施した。結果を表1に示した。
[実施例4]
シートの厚みを2.5mmとすること以外は実施例1と同様の方法でシートを溶融押出した。このシートを用いて位相差、鉛筆硬度および難燃性の測定を実施した。結果を表1に示した。
[比較例1]
粘度平均分子量16000のBPAから得られた芳香族ポリカーボネート樹脂を用いて、実施例1と同様の方法でシートを溶融押出した。このシートを用いて位相差、鉛筆硬度および難燃性の測定を実施した。結果を表1に示した。
[比較例2]
粘度平均分子量24000のBPAから得られた芳香族ポリカーボネート樹脂を用いて、実施例1と同様の方法でシートを溶融押出した。このシートを用いて位相差、鉛筆硬度および難燃性の測定を実施した。結果を表1に示した。
[比較例3]
シートの厚みを0.4mmとすること以外は実施例1と同様の方法でシートを溶融押出した。このシートを用いて位相差、鉛筆硬度および難燃性の測定を実施した。結果を表1に示した。
[比較例4]
シートの厚みを4.0mmとすること以外は実施例1と同様の方法でシートを溶融押出した。このシートを用いて位相差、鉛筆硬度および難燃性の測定を実施した。結果を表1に示した。
なお、実施例1〜3および比較例1〜2のクロスニコルで観察した写真を表2に示した。
本発明の3D液晶表示の前面板用シートは、透明性、耐熱性に優れ、位相差が小さく、難燃性および鉛筆硬度が良好であり、LCD−TVの前面板、PDP−TV前面板、ゲーム機前面板等の各種用途として有用である。

Claims (6)

  1. 全芳香族ジヒドロキシ成分の5〜95モル%が下記一般式[1]、
    [式中、R〜Rは夫々独立して水素原子、炭素原子数1〜9の芳香族基を含んでもよい炭化水素基、またはハロゲン原子である。]
    で表されるフルオレン系ビスフェノール、95〜5モル%が下記一般式[2]
    [式中、R〜Rは夫々独立して水素原子、炭素原子数1〜9の芳香族基を含んでもよい炭化水素基又はハロゲン原子であり、Wは単結合、炭素原子数1〜20の芳香族基を含んでもよい炭化水素基、O、S、SO、SO、CO又はCOO基である。]
    で表される芳香族ジヒドロキシ成分からなる芳香族ポリカーボネート共重合体から形成され、厚みが0.5〜3.0mmの範囲であることを特徴する3D液晶表示の前面板用シート。
  2. 全芳香族ジヒドロキシ成分のうち、15〜85モル%が一般式[1]、85〜15モル%が一般式[2]で表される芳香族ジヒドロキシ成分である、請求項1記載の3D液晶表示の前面板用シート。
  3. 一般式[1]で表される化合物が9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレンである請求項1記載の3D液晶表示の前面板用シート。
  4. 一般式[2]で表される化合物が、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼン、および1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンからなる群から選ばれた少なくとも1種である請求項1記載の3D液晶表示の前面板用シート。
  5. 厚みが1.0〜3.0mmの範囲である請求項1記載の3D液晶表示の前面板用シート。
  6. シートの表面にハードコート処理する請求項1記載の3D液晶表示の前面板用シート。
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