JP2012193356A - 界面活性剤被覆磁性ナノ粒子を含む相変化磁気インクおよびその製造プロセス - Google Patents

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Abstract

【課題】磁性金属微粒子を含む磁気インクに存在する自然発火性という問題が改良された磁気インクであって、空気や水に触れても安全で自動小切手処理のほか、文書認証のための偽造防止印刷に好適に用いることができる相変化磁気インクの提供。
【解決手段】相変化インク担体と、任意の着色剤と、任意の分散剤と、任意の相乗剤と、任意の酸化防止剤と、磁気コアおよびその上に配置されたシェルを含む界面活性剤被覆磁性ナノ粒子とを含む相変化磁気インク。
【選択図】なし

Description

MICR印刷に好適な非デジタルインクおよび印刷素子が知られている。この2つの最も広く知られる技術は、リボン型印刷システムおよびオフセット技術である。番号印字ボックスを使用するオフセット印刷に好適なMICRインクは、例えば、大豆系ワニスを含むベースに分散された60%を超える磁性金属酸化物からなる一般的に濃い高濃縮ペーストである。
粒径が500ミクロン未満の金属酸化物系強磁性粒子を使用するMICR用途のデジタル水性インクジェットインク組成物が米国特許第6,767,396号明細書に開示されている。
磁気インクは、(1)自動小切手処理のための磁気インク文字認識(MICR)および(2)文書認証のための偽造防止印刷の2つの主たる用途に必要とされる。MICRインクは、MICR読取装置を介して読取可能であるのに十分に強い磁気信号を生成するのに十分な量の磁性顔料または磁性成分を含む。一般に、インクは、小切手、証券、セキュリティカード等の書類の全体または一部を印刷するために使用される。
MICRインクまたはトナーは、磁性粒子をインクベース中に分散させることによって製造される。MICRインクジェットインクを開発する上で多くの課題が存在する。例えば、たいていのインクジェットプリンタは、インクを基板上に吐出するインクジェット印刷ヘッドノズルのサイズが非常に小さいため、インクの微粒子成分の粒径を著しく制限する。インクジェットヘッドノズル開口のサイズは、一般に約40から50ミクロンであるが、径が10ミクロン未満であり得る。この小さなノズルサイズは、インクジェットインク組成物に含まれる微粒子物質が、ノズル詰まりの問題を回避するのに十分に小さいことを必要とする。粒径がノズルサイズより小さくても、粒子は、依然として凝集物のサイズがノズル開口のサイズを上回る程度までともに凝集または密集しているために、ノズル閉塞が生じる。また、微粒子物質は、印刷時にノズル内に堆積することによって外皮を形成して、ノズル閉塞および/または流動パラメータ不良をもたらす。
さらに、MICRインクジェットインクは、吐出温度で流動性でなくてはならず、乾燥していてはならない。顔料サイズの増大は、インク密度の相応の増大をもたらすことによって、液体インク組成物内での顔料の懸濁または分散を維持することを困難にし得る。
MICRインクは、必要な磁気特性を提供する磁性材料を含む。磁性材料は、印刷文字がそれらの読取可能特性を保持し、検出装置または読取装置によって容易に検出されるように十分な磁気量を保持しなければならない。磁性材料によって保持される磁気量は、「残留磁気」として知られる。磁性材料は、MICR読取可能信号を生成し、それを長時間にわたって保持する能力を有するために、磁化源に曝露されると十分な残留磁気を示さなければならない。一般に、工業規格によって設定される磁気量の許容可能なレベルは、50から200信号レベル単位であり、100が、米国規格協会によって作成された規格から定められる基準値である。信号が小さくなるとMICR読取装置によって検出されないことがあり、信号が大きくなると、正確な読取値が得られないことがある。読み取られる文書は、提示された文書を認証または検証する手段としてMICR印刷文字を採用するため、文字を見落としたり読み違えることなくMICR文字または他の特徴を正確に読み取ることが重要である。したがって、MICRの目的では、残留磁気は、最低でも20emu/g(電磁単位/グラム)であることが好ましい。より大きな残留磁気値は、より強い読取可能信号に対応する。
残留磁気は、磁性顔料コーティングの粒径の関数として増加する傾向がある。また、磁性粒子の粒径が小さくなると、磁性粒子は、残留磁気が相応に低下することになる。磁性粒子の粒径が小さくなり、インク組成物における磁性粒子の含有率の実質的な限界に達すると、十分な信号強度を達成することがますます困難になる。残留磁気値がより大きくなると、インク配合物における磁性粒子の全含有率が小さくて済み、懸濁特性が向上し、磁性粒子含有率がより大きなインク配合物と比較して沈降する確率が小さくなる。
また、MICRインクジェットインクは、圧電プリンタなどのドロップオンデマンド型印刷装置および連続式印刷装置の両方において適正に機能するために、吐出温度(25℃から140℃の範囲の吐出温度)で一般的には約15センチポアズ(cP)未満または2から12cP未満の低粘度を示さなければならない。しかし、粒子の沈降は、より高粘度の液体と比較して、より低粘度の液体で増大するため、低粘度の液体を使用すると、磁性粒子をインク分散体中に成功裡に含めるという課題が増える。
米国特許公開第2009/0321676A1号明細書には、その要約書において、磁性ナノ粒子の磁気異方性の値が2×10J/m以上である安定化磁性単結晶ナノ粒子を含むインクが記載されている。磁性ナノ粒子は、FePtなどの強磁性ナノ粒子であってもよい。インクは、粒子の粒径を最小限にして、特に非水性インクジェットインクにおいて優れた磁性顔料分散安定性をもたらす磁性材料を含む。インクのより小さい粒径の磁性粒子は、また、優れた磁気特性を維持することによって、インクに必要な磁性粒子充填量を減少させる。
磁性金属ナノ粒子は、MICRインクを効果的にするための重要な特性である高度な磁性残留磁気を提供する可能性を有するため、MICRインクに所望される。多くの場合、磁性金属ナノ粒子は、自然発火性であるため、安全上の問題がある。当該粒子を含む相変化インクの大規模生産は、これらの酸化性の高い粒子を扱う際に空気および水を完全に除去することが必要であるため、困難である。インク製造プロセスは、無機磁性粒子が特定の有機ベースインク成分と不相溶であり得るため、磁性顔料を用いた場合に特に困難である。
磁性金属ナノ粒子は自然発火性であり、空気および水に極めて敏感であり得る。特定の粒径、一般的には約数十ナノメートルの鉄ナノ粒子などの磁性金属ナノ粒子は、空気と接触すると自然に発火することが既知である。真空密閉袋で包装された鉄ナノ粒子は、アルゴン環境中などの不活性雰囲気中で開放された場合でも極端に高温になることが既知であり、酸素および水がそれぞれわずか5百万分率で存在している場合でもアルゴンガス中の微量の酸素および水によって迅速に酸化し、それらの磁性残留磁気特性の多くを失うことが既知である。当該粒子を含むインクの大規模生産は、これらの材料を扱う際に空気および水を完全に除去することが必要であるため、厄介である。
水性MICRインクは、商業的に入手可能である。水性MICRインクは、相変化または固体インク技術などの特定のインクジェット印刷技術で特殊な印刷ヘッドを使用することを必要とする。さらに、固体インクおよび水性インクの両方を同じプリンタで使用すると、不相溶性が生じる可能性があることに関する懸念がある。固体インク加熱インクタンクに近いことによる水の蒸発、錆、および固体インクの高い湿度感受性などの問題は、固体インク装置に水性MICRインクを実装するために取り組まなければならない問題である。
現在、商業的に入手可能な相変化または固体インクMICRインクは存在しない。相変化または固体インクジェット印刷での使用に好適なMICRインクの必要性が存在する。相変化または固体インクジェット印刷での使用に好適なMICRインクを開発する上で多くの課題が存在する。MICR相変化インクプロセスは、(1)無機磁性粒子が相変化インク担体の有機ベース成分と不相溶であり、(2)磁性顔料が一般的な有機顔料よりはるかに高密度である(例えば鉄の密度は8g/cmである)ため、好ましくない粒子沈降を招く可能性があり、(3)金属磁性ナノ粒子が自然発火性であるため安全上の問題をもたらすため、磁性顔料を用いた場合に特に困難である。
現在利用可能なMICRインクおよびMICRインクの製造方法は、それらの意図する目的に好適である。しかし、磁性材料の粒径が小さく、磁性顔料の分散および分散安定性が向上しているとともに、低粒子充填量で優れた磁気特性を維持する能力を有するMICRインクジェットインクの必要性が依然として存在する。相変化インクジェット印刷技術での使用に好適であるMICR相変化インクの必要性が依然として存在する。簡素化され、スケーラブルであり、環境的に安全であり、安定な粒子分散を有する分散性の高い磁気インクを製造することが可能であり、安全かつコスト効率の良い金属ナノ粒子の処理を可能にする、MICRインクを製造するためのプロセスの必要性が依然として存在する。
相変化インク担体と、任意の着色剤と、任意の分散剤と、任意の相乗剤と、任意の酸化防止剤と、磁気コアおよびその上に配置されたシェルを含む界面活性剤被覆磁性ナノ粒子とを含む相変化磁気インクについて記載する。シェルコーティングは、酸素に対する効果的なバリヤを提供し、その結果としてナノ粒子の磁気コアに、酸化に対する有意な安定性を付与する。これらの磁性ナノ粒子を空気中または通常の不活性雰囲気条件下で扱うことができ、発火の危険性も低減される。
本明細書の相変化磁気インクを任意の好適な目的または所望の目的に使用することができる。本開示に従って製造されたインクを、特にMICR用途、ならびに磁気符号化または偽造防止印刷用途に使用することができる。具体的な実施形態において、本明細書のインクは、自動小切手処理のほか、同一に見える印刷物における磁性粒子を検出することなどによる文書認証のための偽造防止印刷のためのMICRインクとして使用される。MICRインクを単独で、または他のインクもしくは印刷材料と組み合わせて使用することができる。
粒径および形状に応じて、2つのタイプの磁性金属系相変化インク、すなわち強磁性相変化インクおよび超常磁性相変化インクを本明細書のプロセスによって得ることができる。
本明細書の金属ナノ粒子は、強磁性であり得る。強磁性インクは、磁石によって磁化され、磁石が除去されると飽和磁化の一部を維持する。このインクの主たる用途は、小切手処理に使用される磁気インク文字認識(MICR)である。
本明細書のインクは超常磁性インクであり得る。超常磁性インクも磁場の存在下で磁化されるが、それらは、磁場が存在しないとそれらの磁化を失う。超常磁性インクの主たる用途は、偽造防止印刷であるが、それに限定されない。この場合、例えば本明細書に記載される磁性粒子およびカーボンブラックを含むインクは、通常の黒色インクのように見えるが、磁気センサまたは磁気撮像デバイスを使用することによって磁気特性を検出することができる。あるいは、このインクによって作製された偽造防止印刷物の磁性金属特性を認証するために金属検出器を使用することができる。磁気検出のための超常磁性画像文字認識のプロセス(すなわち超常磁性インクを使用する方法)が米国特許第5,667,924号明細書に記載されている。
本明細書の相変化磁気インクを任意の好適な方法または所望の方法によって製造することができる。いくつかの実施形態において、相変化磁気インクを製造するためのプロセスは、相変化インク担体と、任意の着色剤と、任意の分散剤と、任意の相乗剤と、任意の酸化防止剤と、磁気コアおよびその上に配置されたシェルを含む界面活性剤被覆磁性ナノ粒子とを混合すること、加熱して、金属ナノ粒子を含む相変化磁気インクを得ること、場合により相変化磁気インクを液体状態のまま濾過すること、および相変化磁気インクを冷却して固体状態にすることを含む。被覆磁性ナノ粒子を含む濃縮分散体の最初の製造後しばらくしてから、インクにさらなるインク担体材料またはインク成分を加えることができる。
相変化インク担体と、任意の着色剤と、任意の分散剤と、任意の相乗剤と、任意の酸化防止剤と、磁気コアおよびその上に配置されたシェルを含む界面活性剤被覆磁性ナノ粒子との混合物を加熱することは、選択された材料のための溶融組成物を得るのに十分な任意の温度に加熱することを含むことができる。いくつかの実施形態において、加熱は、60℃から180℃または80℃から160℃または100℃から140℃の温度に加熱することを含む。
相変化インク担体、任意の分散剤、任意の相乗剤、任意の酸化防止剤および任意の着色剤の1種または複数種を混合して加熱した後に、任意のさらなる添加剤または含まれていない材料を加えて、第1の組成物を得て、次いで第1の組成物を被覆磁性ナノ粒子と混合した後に、適宜または要望に応じてさらに処理して、相変化磁気インク組成物を形成することができる。
ナイロン布フィルタを使用するなどして、任意の好適な方法または所望の方法によって相変化磁気インクを液体状態にあるときに濾過することができる。いくつかの実施形態において、相変化磁気インクは、70ミリメートルのMott濾過アセンブリにて1マイクロメートルナイロンフィルタまたは5マイクロメートルナイロンフィルタにより135℃で濾過される。
本明細書の界面活性剤被覆金属磁性ナノ粒子は、望ましくはナノメートルの粒径の範囲にある。被覆金属磁性ナノ粒子は、コアおよびシェルを含む平均粒径(平均粒径または最長寸法など)の全体粒径が3から500ナノメートル(nm)、または3から300nm、または3から30nm、または10から500nm、または10から300nm、または10から100nm、または10から50nm、または2から20nm、または25nmである。本明細書において、「平均」粒径は、一般的に、d50で表されるか、または粒径分布の50番目の百分位数の体積中間粒径値として定義され、分布における粒子の50%がd50粒径値より大きく、分布における粒子の他の50%がd50値より小さい。動的光散乱法などの、粒径を推定する光散乱技術を使用する方法によって平均粒径を測定することができる。粒径は、透過型電子顕微鏡法によって生成された粒子の画像、または動的光散乱法の測定値から導かれた顔料粒子の長さを指す。
本明細書の金属ナノ粒子は、強磁性または超常磁性であり得る。超常磁性ナノ粒子は、磁石によって磁化された後に残留磁化が0になる。強磁性ナノ粒子は、磁石によって磁化された後に0より大きい残留磁化を有する。すなわち、強磁性ナノ粒子は、磁石によって誘発された磁化の一部を維持する。ナノ粒子の超常磁性または強磁性特性は、一般には、粒径、形状、材料選択および温度を含むいくつかの要因の関数である。所定の材料では、所定の温度で、保磁力(すなわち強磁性挙動)が、複数磁区構造から単一磁区構造への移行に対応する臨界粒径で最大になる。この臨界粒径は、臨界磁気磁区サイズ(Dc、球形)と呼ばれる。単一磁区の範囲では、熱緩和により、粒径が小さくなると保磁力および残留磁化が急激に低下する。粒径がさらに減少すると、熱効果が支配的になり、それまでは磁気飽和だったナノ粒子を減磁するのに十分に強くなるため、誘発された磁化が完全に失われる。超常磁性ナノ粒子は、残留磁気および保磁力が0である。Dc以上のサイズの粒子は強磁性である。例えば、室温において、Dcは、鉄では15ナノメートルであり、fccコバルトでは7ナノメートルであり、ニッケルでは55ナノメートルである。さらに、粒径が3、8および13ナノメートルの鉄ナノ粒子は超常磁性であるのに対して、粒径が18から40ナノメートルの鉄ナノ粒子は強磁性である。合金では、Dc値が材料に応じて異なり得る。さらに詳細については、Burkeら、Chemistry of Materials、4752〜4761頁、2002を参照されたい。さらに詳細については、米国特許公開第20090321676号明細書、B.D. Cullity and C.D. Graham、Introduction to Magnetic Materials、IEEE Press(Wiley)、第2版、2009、第11章、Fine Particles and Thin Films、359〜364頁;Luら、Angew.Chem.Int.編、2007、46、1222〜444頁、Magnetic Nanoparticles:Synthesis, Protection, Functionalization and Applicationを参照されたい。
任意の好適な金属または所望の金属をこのプロセスにおけるナノ粒子コアに使用することができる。いくつかの実施形態において、磁性ナノ粒子は、Fe、Mn、Co、Niならびにそれらの混合物および合金からなる群から選択されるコアを含む。他の実施形態において、磁性ナノ粒子は、Fe、Mn、Co、Ni、FePt、Fe、Co、CoPt、MnAl、MnBiならびにそれらの混合物および合金からなる群から選択されるコアを含む。一部の具体的な実施形態において、金属ナノ粒子は、Fe、MnおよびCoの少なくとも1つを含む。
金属ナノ粒子は、二種金属ナノ粒子または三種金属ナノ粒子である。好適な二種金属磁性ナノ粒子の例としては、限定することなく、CoPt、fcc相FePt、fct相FePt、FeCo、MnAl、MnBiおよびそれらの混合物等が挙げられる。三種金属ナノ粒子の例としては、限定することなく、上記磁気ナノ粒子の三種混合物、またはコバルト被覆fct相FePtなどの三種金属ナノ粒子を形成するコア/シェル構造体が挙げられる。一部の実施形態において、金属ナノ粒子は、二種金属コアまたは三種金属コアを含む。
より大きな粒子のボールミル磨砕(ナノサイズの顔料の製造に使用される一般的な方法)の後に焼鈍することを含む当該技術分野で既知の任意の方法によって磁性ナノ粒子を製造することができる。ボールミル粉砕は、後に必要な単一結晶形に結晶化することが必要になる非晶質のナノ粒子を生成するため、焼鈍が一般に必要である。ナノ粒子を高周波(RF)プラズマによって直接製造することもできる。適切な大規模RFプラズマ反応器は、Tekna Plasma Systemsから入手可能である。
磁性ナノ粒子は、20emu/グラムから100emu/グラム、30emu/グラムから80emu/グラムまたは50emu/グラムから70emu/グラムの残留磁気を有することができるが、これらの範囲外の量も可能である。
磁性ナノ粒子の保磁力は、200エルステッドから50000エルステッド、1000エルステッドから40000エルステッドまたは10000エルステッドから20000エルステッドであり得るが、これらの範囲外の量も可能である。
磁気飽和モーメントは、例えば、20emu/グラムから150emu/グラム、30emu/グラムから120emu/グラムまたは40emu/グラムから80emu/グラムであってもよいが、これらの範囲外の量も可能である。
界面活性剤被覆磁性ナノ粒子は、任意の可能な形状または構成を有することができる。界面活性剤被覆磁性ナノ粒子は、コーティング材料を有する磁気金属コアまたはその上に配置されたシェルを含む。コーティング材料またはシェルは、金属ナノ粒子を保護するように作用することができる。コーティングまたはシェルは、空気および水分安定性を磁性金属ナノ粒子に付与して、磁性金属ナノ粒子を取扱い上安全にする。
磁性ナノ粒子は、0.2ナノメートル(nm)から100nmまたは0.5nmから50nmまたは1nmから20nmの厚さを有するシェルを含む。
磁性ナノ粒子は任意の形状であってよい。磁性ナノ粒子の例示的な形状としては、針形、粒状、球形、板状、針状、円筒状、八面体形、十二面体形、管状、立方体形、六角形、卵形、球状、樹枝状、角柱形および不定形等を挙げることができる。不定形は、本開示の文脈において、認識可能な形状を有する不明確な形と定義される。例えば、不定形は、明確な辺または角度を有さない。いくつかの実施形態において、単一ナノ結晶の短軸に対する長軸の比(D長/D短)は、10:1未満、2:1未満または3:2未満であり得る。具体的な実施形態において、磁気コアは、アスペクト比が3:2から10:1未満の針状形を有する。
任意の好適な、または所望の界面活性剤コーティング材料またはコーティング材料の組合せを本明細書のコーティングまたはシェルに対して選択することができる。コーティング材料は、界面活性剤コーティングまたはその混合物および組合せを含む。磁性ナノ粒子は、ベータ−ヒドロキシカルボン酸、ベータ−ヒドロキシカルボン酸エステル、ソルビトールエステル、ポリマー化合物、ブロックコポリマー界面活性剤およびそれらの組合せからなる群から選択される界面活性剤を含むシェルを含む。本明細書のコーティングまたはシェルのための好適な界面活性剤の例としては、オレイン酸、オレイルアミン、トリオクチルホスフィン酸化物(TOPO)、ヘキシルホスホン酸(HPA);ポリビニルピロリドン(PVP)、商品名SOLSPERSE(登録商標)で市販されている界面活性剤、ペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシルおよびウンデシル等の、5から60個の炭素を有する鎖などの長鎖直鎖状、環式または分枝状脂肪族鎖を含むベータ−ヒドロキシカルボン酸およびそれらのエステル;ラウリル酸、オレイン酸、パルミチン酸およびステアリン酸などの長鎖脂肪族カルボン酸とのソルビトールエステル、ポリ(1−ビニルピロリドン)−グラフト−(1−ヘキサデセン)、ポリ(1−ビニルピロリドン)−グラフト−(1−トリアコンテン)などのポリマー化合物、ならびにそれらの混合物および組合せが挙げられる。磁性ナノ粒子は、オレイン酸、臭化セチルトリメチルアンモニウム、オレイルアミン、トリオクチルホスフィン酸化物、トリブチルホスフィン、ヘキシルホスホン酸、ポリビニルピロリドン、ラウリル酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ポリ(1−ビニルピロリドン)−グラフト−(1−ヘキサデセン)、ポリ(1−ビニルピロリドン)−グラフト−(1−ビニルピロリドン)−グラフト−(1−ヘキサデセン)、ポリ(1−ビニルピロリドン)−グラフト−(1−トリアコンテン)、ペンチルベータ−ヒドロキシカルボン酸、ヘキシルベータ−ヒドロキシカルボン酸、シクロヘキシルベータ−ヒドロキシカルボン酸、ヘプチルベータ−ヒドロキシカルボン酸、オクチルベータ−ヒドロキシカルボン酸、ノニルベータ−ヒドロキシカルボン酸、デシルベータ−ヒドロキシカルボン酸、ウンデシルベータ−ヒドロキシカルボン酸、1−ブタノールおよびそれらの組合せからなる群から選択される界面活性剤を含むシェルを含む。
界面活性剤を含む保護層またはシェルを有するコア−シェル粒子を任意の好適な方法または所望の方法によって製造することができる。いくつかの実施形態において、溶媒中好適な界面活性剤の存在下で、金属前駆体から金属ナノ粒子を作製することによって、界面活性剤被覆ナノ粒子を製造することができる。溶媒中界面活性剤被覆磁性金属ナノ粒子を製造するための好適な方法としては、ホウ化水素による金属塩の還元、ポリオールによる金属塩の還元および金属カルボニルの熱分解を挙げることができる。
ホウ化水素によって金属塩を還元するための一般的なプロセスにおいて、水中に水溶性金属塩を含むナノ液滴(逆ミセル)を有機溶媒に分散させることができる。金属塩は、ナノ液滴に存在するホウ化水素イオンによって金属形態まで(酸化度が0になるまで)還元される。そのプロセスから、安定化界面活性剤被覆金属ナノ粒子が得られる。一般的な金属前駆体としては、FeClまたはCoClなどのFe(II)およびCo(II)塩が挙げられるが、それらに限定されない。この方法により達成される界面活性剤としては、1−ブタノール、高分子量アルコール、オレイン酸、CTAB(臭化セチルトリメチルアンモニウム)およびオレイルホスフィンが挙げられるが、それらに限定されない。
界面活性剤被覆金属ナノ粒子をポリオールによる金属塩の還元によって製造することもできる。この方法は、以下のように、200℃から300℃の温度などで加熱しながらポリオールで金属塩を還元することを含むことができるが、それに限定されない。ただし、Men+は、Fe2+、Fe3+、Co2+、Ni2+、これらの金属の合金またはそれらの組合せ(ただし、それらに限定されない)からなる群から選択される金属であり、nは、金属電荷を表す整数であり;塩は、Co(OH)、Fe(OH)または水酸化物の存在下での前駆体、Co(アセテート)x4HO、FeClx4HO、Co(acac)およびFe(acac)(acacはアセテートである)からなる群から選択される塩などの任意の好適な塩または所望の塩であり;(CH基は、n個のCH基を含み、いくつかの実施形態においてnは1から120の整数であり;Me(0)は金属ナノ粒子生成物であり、0は金属状態のゼロ酸化を示す。一般的なポリオールとしては、テトラエチレングリコール、トリメチレングリコール、ジエチレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,2−プロパンジオールが挙げられる。
界面活性剤被覆金属ナノ粒子を金属カルボニルの熱分解によって製造することもできる。熱分解反応は、110℃から350℃、110℃から260℃、150℃から350℃または200℃から350℃または300℃などの高温で生じる。このプロセスは、以下のように、1つまたは複数の界面活性剤の存在下で有機溶媒中にて金属カルボニルを加熱して、金属カルボニルを分解し、界面活性剤で被覆された金属ナノ粒子を生成することを含むことができる。ただし、Meは金属であり、xは整数であり、いくつかの実施形態において、xは1から10の整数であり;(CO)はカルボニル基(C=O)であり、yは、カルボニル基の数を表す整数であり、いくつかの実施形態において、yは1から30の整数であり;Me(0)は界面活性剤被覆金属ナノ粒子生成物であり、0は金属状態のゼロ酸化を示し;yCOは一酸化炭素であり、yは整数であり、いくつかの実施形態において、yは1から10の整数である。
さらに詳細については、Guoら、Phys.Chem.Chem.Phys.3、1661〜5(2001)、J. Tanoriら、Colloid.Polym.Sci.、273、886〜92(1995)、S.Sunら、J.Appl.Phys.、85、4326(1999)、C.B.Murrayら、MRS Bull.985(2001)、G.S.Chaubeyら、J.Am.Chem.Soc.、120、7214〜5(2007)、B.Martoranaら、Sensors and Actuators A 129、176〜9(2006)]、 T.Hyeonの米国特許第7,407,572号明細書、V.F.Puntesら、Science,291,2115(2001)およびS.−J.Parkら、J.Am.Chem.Soc.122、8581〜2(2000)を参照されたい。
インク中の磁性ナノ粒子の必要充填量は、任意の好適な量または所望の量であってもよく、いくつかの実施形態においては、0.5重量パーセントから30重量パーセント、5重量パーセントから10重量パーセントまたは6重量パーセントから8重量パーセントであるが、これらの範囲外の量も可能である。
本明細書のMICR相変化インクは、任意の所望の、または有効な担体組成物を含むことができる。好適なインク担体材料の例としては、モノアミド、テトラアミドおよびそれらの混合物等の脂肪アミドが挙げられる。好適な脂肪アミドインク担体材料の具体的な例としては、ステアリルステアラミド、二量体酸とエチレンジアミンとステアリン酸との反応生成物である二量体酸系テトラアミド、および二量体酸とエチレンジアミンと少なくとも36個の炭素原子を有するカルボン酸との反応生成物である二量体酸系テトラアミド等、ならびにそれらの混合物が挙げられる。脂肪アミドインク担体が、二量体酸とエチレンジアミンと少なくとも36個の炭素原子を有するカルボン酸との反応生成物である二量体酸系テトラアミドである場合は、カルボン酸は、一般式
(式中、Rは、直鎖状、分枝状、飽和、不飽和および環式アルキル基を含むアルキル基であり、前記アルキル基は、いくつかの実施形態において少なくとも36から200個の炭素原子を有するが、これらの範囲外の炭素原子数も可能である)のカルボン酸である。この式のカルボン酸は、例えばBaker Petrolite(オクラホマ州Tulsa)から商業的に入手可能であり、米国特許第6,174,937号明細書の実施例1に記載されているように製造され得る。
ウレタンイソシアネート由来材料、尿素イソシアネート由来材料、ウレタン/尿素イソシアネート由来材料およびそれらの混合物等のイソシアネート由来樹脂およびワックスも相変化インク担体材料として好適である。
脂肪アミド材料とイソシアネート由来材料との混合物を本開示のインクのためのインク担体組成物として採用することもできる。
本開示のためのさらなる好適な相変化インク担体材料としては、パラフィン、微結晶ワックス、ポリエチレンワックス、エステルワックス、アミドワックス、脂肪酸、脂肪アルコール、脂肪アミドおよび他の蝋質材料、スルホンアミド材料、(例えばタル油ロジンおよびロジンエステルなどの)異なる天然源から製造された樹脂系材料、および多くの合成樹脂、オリゴマー、ポリマーおよびコポリマー、例えば、エチレン/酢酸ビニルコポリマー、エチレン/アクリル酸コポリマー、エチレン/酢酸ビニル/アクリル酸コポリマーおよびアクリル酸とポリアミドのコポリマー等、アイオノマーならびにそれらの混合物が挙げられる。これらの材料の1種または複数種を脂肪アミド材料および/またはイソシアネート由来材料との混合物で使用することもできる。
担体は、任意の好適な量または所望の量、例えば、インクに対して0.1重量パーセントから99重量パーセントまでの量で存在し得る。
場合により分散剤がインク配合物に存在してもよい。分散剤の役割は、被覆材料との相互作用を安定化することによって被覆磁性ナノ粒子の分散安定性をさらに向上させることである。好適な分散剤は、本明細書のコーティングまたはシェルに使用される界面活性剤材料を含むことができる。好適な分散剤のさらなる例としては、Disperbyk(登録商標)108、Disperbyk(登録商標)116、Borchi(登録商標)GEN911、Irgasperse(登録商標)2153および2155、酸および酸エステルワックス、例えばLicowax(登録商標)が挙げられる。好適な分散剤は、米国特許公開第2010/0292467号にも記載されている。さらなる好適な分散剤が、米国特許出願第12,641,564号明細書および米国特許出願第12/891,619号明細書にも記載されており、好適な分散剤としては、オレイン酸、トリオクチルホスフィン酸化物(TOPO)、ヘキシルホスホン酸(HPA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ならびに界面活性剤コーティングまたはシェルについて以上に開示されている他の材料、およびそれらの組合せも挙げられる。
分散剤の使用は任意であるが、シェルが分散剤を含む本開示では、有利には分散剤の使用を低減または除外することができる。分散剤は、ナノ粒子およびインク媒体に存在する他の任意の粒子を分散および安定化する目的に応じた任意の所望の量または有効な量、例えば、インクの重量に対して0.1から20、または0.5から12、または0.8から10重量パーセントの量で存在し得る。
相乗剤がインクベースに含まれていてもよい。相乗剤を、任意の好適な時間または所望の時間に加えることができる。
相乗剤は、任意の好適な量または所望の量、例えば、インクに対して0.1重量パーセントから10重量パーセントの量で存在し得る。
任意の好適な相乗剤または所望の相乗剤を採用することができる。商業的に入手可能な相乗剤の具体的な例としては、Solsperse(登録商標)22000およびSolsperse(登録商標)5000が挙げられる。
本開示のインクは、酸化防止剤を場合により含むこともできる。インク組成物の任意の酸化防止剤は、画像を酸化から保護するとともに、インク製造過程の加熱部分を通じてインク組成物を酸化から保護する。好適な酸化防止剤の具体的な例としては、NAUGUARD(登録商標)524、NAUGUARD(登録商標)76およびNAUGUARD(登録商標)512ならびにIRGANOX(登録商標)1010が挙げられる。任意の酸化防止剤は、存在する場合は、任意の所望の量または有効な量、例えば、インクに対して0.01重量パーセントから20重量パーセントの量でインクに存在する。
本開示のインクは、粘度調整剤を場合により含むこともできる。好適な粘度調整剤の例としては、ステアロン等の脂肪族ケトン、ポリスチレンおよびポリメチルメタクリレートなどのポリマー、ならびに増粘剤が挙げられる。任意の粘度調整剤は、存在する場合は、任意の所望の量または有効な量、例えば、インクに対して0.1から99重量パーセントの量でインクに存在する。
インクに対する他の任意の添加剤としては、透明剤、粘着剤、可塑剤が挙げられる。当該添加剤をそれらの通常の目的のための従来の量で含めることができる。それら任意の添加剤は、任意の好適な量または所望の量、例えば、インクに対して0.1から50重量パーセントの量で存在してもよい。
本開示の相変化インクは、着色剤化合物をさらに含むことができる。この任意の着色剤は、所望の色または色調を得るための所望の量または有効な量、いくつかの実施形態ではインクに対して1重量パーセントから20重量パーセントの量でインクに存在し得る。着色剤は、染料、含量およびそれらの混合物等を含む任意の好適な着色剤または所望の着色剤であり得る。いくつかの実施形態において、本明細書の相変化磁気インクに対して選択される着色剤は顔料である。具体的な実施形態において、本明細書の相変化磁気インクに対して選択される着色剤はカーボンブラックである。
本開示によるMICRインクに使用される好適な着色剤としては、限定することなく、カーボンブラック、ランプブラック、アイロンブラック、ウルトラマリン、ニグロシン染料、アニリンブルー、DuPont(登録商標)オイルレッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロリド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ロダミン6Cレーキ、クロムイエロー、キナクリドン、ベンジジンイエロー、マラカイトグリーン、ハンサイエローC、マラカイトグリーンヘキサレート、オイルブラック、アゾオイルブラック、ローズベンガル、モノアゾ顔料、ジアゾ顔料、トリアゾ顔料、第三級アンモニウム塩、サリチル酸およびサリチル酸誘導体の金属塩、ファーストイエローG3、ハンサブリリアントイエロー5GX、ジアゾイエローAAA、ナフトールレッドHFG、レーキレッドC、ベンズイミダゾロンカルミンHF3CS、ジオキサジンバイオレット、ベンズイミダゾロンブラウンHFR、アニリンブラック、酸化チタン、アtルタジンレーキ、ロダミン6Gレーキ、メチルバイオレットレーキ、ベーシック6Gレーキ、ブリリアントグリーンレーキ、ハンサイエロー、ナフトールイエロー、ロダミンB、メチレンブルー、ビクトリアブルーおよびウルトラマリンブルー等が挙げられる。
製造されるMICRインクは黒色または暗褐色である。本開示によるMICRインクを、インク製造時に着色剤を加えることによって着色インクとして製造することができる。あるいは、無着色(すなわち着色剤無添加)MICRインクを初回通過時に基板に印刷した後で2回目通過を行うことができ、着色インクをMICR読取可能にするように、MICR粒子を含まない着色インクが着色インクの上に直接印刷される。本明細書のプロセスは、(1)相変化インク担体と、任意の着色剤と、任意の分散剤と、任意の相乗剤と、任意の酸化防止剤と、磁気コアおよびその上に配置されたシェルを含む界面活性剤被覆磁性ナノ粒子とを含む相変化磁気インクをインクジェット印刷装置に導入すること、(2)インクを溶融させること、および(3)溶融インクの液滴を画像様パターンで基板上に噴射させること、(4)相変化インク担体と、着色剤と、任意の分散剤と、任意の相乗剤と、任意の酸化防止剤とを含む相変化インクをインクジェット印刷装置に導入すること、(5)インクを溶融させること、および(6)(5)の溶融インクの液滴を画像様パターンで基板上に噴射させることであって、該画像様パターンが、(4)のインクをMICR読取可能にするように(3)の画像様パターンを被覆することを含むことができる。
本明細書のMICR相変化インク組成物は、50℃以上150℃以下の融点を有するが、これらの範囲外の融点も可能である。
本明細書のMICR相変化インク組成物は、吐出温度(いくつかの実施形態においては75℃以上140℃以下であるが、これらの範囲外の吐出温度も可能である)において25センチポアズ以下の溶融粘度または2センチポアズ以上の溶融粘度を有するが、これらの範囲外の溶融粘度も可能である。
本開示のMICR相変化インクを直接印刷インクジェットプロセスに対応する装置、および間接(オフセット)印刷インクジェット用途に採用することができる。本開示の別の実施形態は、本開示のMICR相変化インクをインクジェット印刷装置に取り入れ、インクを溶融させ、溶融インクの液滴を画像様パターンで記録基板上に噴射させることを含むプロセスに関する。いくつかの実施形態において、基板は、最終画像記録シートであり、溶融インクの液滴は、画像様パターンで最終画像記録シートなどの最終画像受取基板上に直接噴射される。本開示のさらに別の実施形態は、本開示のインクをインクジェット印刷装置に取り入れ、インクを溶融させ、溶融インクの液滴を画像様パターンで中間転写部材上に噴射させ、インクを画像様パターンで中間転写部材から最終記録基板上に噴射させることを含むプロセスに関する。1つの具体的な実施形態において、印刷装置は、圧電気振動素子の振動によってインクの液滴を画像様パターンで噴射させる圧電印刷プロセスを採用する。いくつかの実施形態において、中間転写部材を、最終記録シートの温度より高く、印刷装置における溶融インクの温度より低い温度まで加熱する。本開示のインクをホットメルト音響インクジェット印刷、ホットメルトサーマルインクジェット印刷、およびホットメルト連続流または偏向インクジェット印刷等の他のホットメルト印刷プロセスに採用することもできる。本開示の相変化インクをホットメルトインクジェット印刷プロセス以外の印刷プロセスに使用することもできる。
XEROX(登録商標)4200ペーパー、XEROX(登録商標)イメージシリーズペーパーなどの普通紙、罫線ノート紙、ボンド紙、シリカ被覆紙等、透明材料、織物、繊維製品、プラスチック、ポリマーフィルム、金属および木材などの無機基板を含む任意の好適な基板または記録シートを採用することができる。
実施例1
1.a.界面活性剤被覆ナノ粒子。300℃にて93%Arと7%Hとの気体混合物下で、1,2−ヘキサデカンジオール中界面活性剤(オレイン酸とトリオクチルホスフィン)の混合物中でFe(III)アセチルアセトネートおよびCo(II)アセチルアセトネートを還元分解することによって、(TEMによって測定された)平均粒径が10ナノメートルの界面活性剤被覆FeCo合金磁性ナノ粒子を得る。その実験手順は、J.Am.Chem.Soc.、120、7214〜5(2007)に詳細に記載されている。
1.b.濃縮インク。残留している可能性のある油およびグリースを除去するために最初にアセトンで、次いでトルエンで予備洗浄し、次いで溶媒を除去するために120℃に加熱されたオーブンにて乾燥させたHoover Precision Products,Inc.から入手可能な1800.0グラムの1/8インチ径の440Cグレード25鋼球を、Union Processから入手可能なSzegvari01アトライタに充填する。以下の成分を一緒に加え、600ミリリットルビーカー中にて120℃で溶融混合する。89.86グラムのKemamide(登録商標)S−180(Chemtura Corporationから商業的に入手可能なステアリルステアラミド)および15.12グラムのSolsperse(登録商標)17000(Lubrizol Corporationから入手可能なポリマー分散剤)。均一な溶液を得た後、混合物をアトライタ容器に定量的に移してから、3.02グラムのSolsperse(登録商標)5000(Lubrizol Corporationから入手可能な相乗剤)を加える。Solsperse(登録商標)5000の磨砕を175RPMで1時間続けてから、実施例1.aに記載したように製造した72グラムの界面活性剤被覆鉄粒子をアトライタ容器に加える。着色混合物を225RPMで19時間にわたって終夜磨砕させた後に、得られた濃縮物を溶融状態で鋼球から排出および分離し、次いで凍結させる。
1.c.界面活性剤被覆磁性ナノ粒子を含む磁気インクの製造。磁気インクを実施例2.bの濃縮物から以下の方法で形成する。以下の成分を一緒に加え、600ミリリットルビーカー中にて120℃で溶融混合して溶液#1を形成する。Baker Petroliteの71.9グラムの蒸留ポリエチレンワックス、16.45グラムのトリアミドワックス(米国特許第6,860,930号明細書に記載されているトリアミド)、4.97グラムのKemamide(登録商標)S−180(Chemtura Corporationから商業的に入手可能なステアリルステアラミド)、16.59グラムのKE−100(登録商標)樹脂(Arakawa Corporationから商業的に入手可能なテトラヒドロアビエチン酸とグリセロールとのエステル)、(米国特許第6,309,453号明細書の実施例4に記載されている)2.28グラムのウレタン樹脂および0.3グラムのNaugard(登録商標)445(Chemtura Corporationから入手可能な酸化防止剤)。実施例2.b.で形成した37.5グラムの濃縮物を250ミリリットルビーカーに移して、オーブンにて120℃で溶融させ、次いでオーバーヘッド撹拌機を備えたホットプレートに移す。液飛びを回避するために低速度で濃縮物を撹拌しながら溶液#1を徐々に加える。300RPMの高速度で2時間にわたってさらに撹拌を続けて、磁気インクを形成させる。
比較例2
未塗布金属ナノ粒子による火災危険の反例。MTI Corp.(米国カリフォルニア州Richmond)の未塗布の鉄ナノ粒子(平均粒径が50ナノメートル)を、安全対策として酸素量および湿分量がそれぞれ5ppm(百万分率)および5ppmになるようにアルゴンで最初に不活性化させたグローブボックス内に広げた。これらの条件下でも、それらのナノ粒子は即座に非常に高温になった。それらは、アルゴンガス中で(それぞれ5ppmの)微量の酸素および水によって迅速に酸化され、それらの磁性残留磁気特性のほとんどを実質的に失った。空気中で広げたとしたら、これらの自然発火性材料が即座に発火したであろう。

Claims (10)

  1. 相変化インク担体と、任意の着色剤と、任意の分散剤と、任意の相乗剤と、任意の酸化防止剤と、磁気コアおよびその上に配置されたシェルを含む界面活性剤被覆磁性ナノ粒子とを含む相変化磁気インク。
  2. 前記シェルは、ベータ−ヒドロキシカルボン酸、ベータ−ヒドロキシカルボン酸エステル、ソルビトールエステル、ポリマー化合物、ブロックコポリマー界面活性剤およびそれらの組合せからなる群から選択される界面活性剤を含む請求項1に記載の相変化磁気インク。
  3. 前記磁性ナノ粒子は、二種金属コアまたは三種金属コアを含む請求項1に記載の相変化磁気インク。
  4. 前記磁性ナノ粒子は、Fe、Mn、Co、Ni、FePt、CoPt、MnAl、MnBiならびにそれらの混合物および合金からなる群から選択されるコアを含む請求項1に記載の相変化磁気インク。
  5. 前記磁性ナノ粒子は、0.2ナノメートルから100nmの厚さを有するシェルを含む請求項1に記載の相変化磁気インク。
  6. 前記磁気コアは、アスペクト比が3:2から10:1未満の針状形を有する請求項1に記載の相変化磁気インク。
  7. 前記磁性ナノ粒子は、20emu/グラムから150emu/グラムの磁気飽和モーメントを有する請求項1に記載の相変化磁気インク。
  8. 前記磁性ナノ粒子は、20emu/gから100emu/gの残留磁気を有する請求項1に記載の相変化磁気インク。
  9. 相変化磁気インクを製造するためのプロセスであって、相変化インク担体と、任意の着色剤と、任意の分散剤と、任意の相乗剤と、任意の酸化防止剤と、磁気コアおよびその上に配置されたシェルを含む界面活性剤被覆磁性ナノ粒子とを混合すること、加熱して、金属ナノ粒子を含む相変化磁気インクを得ること、場合により相変化磁気インクを液体状態のまま濾過すること、および相変化磁気インクを冷却して固体状態にすることを含むプロセス。
  10. (1)相変化インク担体と、任意の着色剤と、任意の分散剤と、任意の相乗剤と、任意の酸化防止剤と、磁気コアおよびその上に配置されたシェルを含む界面活性剤被覆磁性ナノ粒子とを含む相変化磁気インクをインクジェット印刷装置に取り入れること、(2)インクを溶融させること、および(3)溶融インクの液滴を画像様パターンで基板上に噴射させることを含み、(4)相変化インク担体と、着色剤と、任意の分散剤と、任意の相乗剤と、任意の酸化防止剤とを含む相変化インクをインクジェット印刷装置に取り入れすこと、(5)インクを溶融させること、および(6)(5)の溶融インクの液滴を画像様パターンで基板上に噴射させることであって、該画像様パターンが、(4)のインクをMICR読取可能にするように(3)の画像様パターンを被覆し、該基板が場合により最終画像受取基板であることを場合によりさらに含むプロセス。
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